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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】ワーク検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20231020BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R31/26 Z
G01R1/067 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020146122
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022041092
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】591009705
【氏名又は名称】株式会社 東京ウエルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小寺 克義
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-503894(JP,A)
【文献】特開2006-220627(JP,A)
【文献】実開昭61-155774(JP,U)
【文献】特開平05-333097(JP,A)
【文献】特開2020-027922(JP,A)
【文献】特開2017-223573(JP,A)
【文献】特開2016-125965(JP,A)
【文献】特開2013-217935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 1/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台上に回転自在に設けられ、ワークを収納する複数のワーク収納孔が外周部に形成されたインデックステーブルと、
前記インデックステーブルの外周に設けられ、検査位置を有する検査部とを備え、
前記検査部は前記基台に設けられ、前記検査位置にある前記ワーク収納孔内のワークに当接してワークに対して電気的検査を行う一対のプローブと、
前記基台内に設けられ、前記検査位置にある前記ワーク収納孔内のワークを吸引して前記一対のプローブに当接させる真空路とを有し、
前記ワークはワーク本体と電極とを有し、前記ワーク本体または前記電極は、磁性体からなり、各プローブはプローブ本体と、このプローブ本体の外面に設けられた磁石付補助磁極板とを有し、
前記一対のプローブは半径方向内方に位置する内側プローブと、半径方向外方に位置する外側プローブとからなり、
前記一対のプローブは前記インデックステーブルの接線方向からみて、前記検査部の前記検査位置に向かって上方へ傾斜して八字状に配置され、
前記真空路は前記八字状に配置された一対のプローブによって下方から上方へ延びるよう形成される、ワーク検査装置。
【請求項2】
各プローブはその先端部に対応する前記電極に当接する超硬チップを有し、前記超硬チップは前記ワークに向かって40°~110°のテーパ角をもって先細状に形成され、前記ワークに対して相対的に水平方向に移動する各プローブの前記超硬チップにより前記電極が擦られて、酸化被膜を破り導通し易くなる、請求項1記載のワーク検査装置。
【請求項3】
前記一対のプローブは上下方向に対して固定され、前記検査位置にある前記ワーク収納孔内のワークが前記一対のプローブに対して当接する、請求項1または2記載のワーク検査装置。
【請求項4】
各プローブは、前記検査部の前記検査位置を通る垂直線に対して5°~10°の角度で傾斜する、請求項1乃至3のいずれか記載のワーク検査装置。
【請求項5】
前記検査部は前記検査位置にある前記ワーク収納孔内の前記ワークを覆うとともに、前記ワーク収納孔と連通する連通口を含む検査カバーを有する、請求項1乃至4のいずれか記載のワーク検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はチップ型電子部品(以下、ワークともいう)に対して電気的特性の検査を行うワーク検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりチップ型電子部品(以下、ワークともいう)に対して抵抗値、静電容量等の電気的特性の検査を行うワーク検査装置が知られている。
【0003】
このワーク検査装置はワークを収納したワーク収納孔を有するインデックステーブルと、検査部とを備え、この検査部はワーク収納孔内のワークに当接するプローブを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-105258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したワーク検査装置において、インデックステーブルのワーク収納孔内のワークに対してプローブがワークの下方から上下動して当接し、この際、プローブによりワークの電気的特性が検査される。
【0006】
しかしながら、プローブを上下動させてワークに当接させる場合、ワークが損傷することがあり、かつプローブも摩擦してしまう。とりわけワークとプローブとの当接時に騒音が発生する。
【0007】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、ワークの損傷を抑え、プローブの摩耗が比較的少なく、かつ騒音を生じさせることのないワーク検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、基台と、前記基台上に回転自在に設けられ、ワークを収納する複数のワーク収納孔が外周部に形成されたインデックステーブルと、前記インデックステーブルの外周に設けられ、検査位置を有する検査部とを備え、前記検査部は前記基台に設けられ、前記検査位置にある前記ワーク収納孔内のワークに当接してワークに対して電気的検査を行う一対のプローブと、前記基台内に設けられ、前記検査位置にある前記ワーク収納孔内のワークを吸引して前記一対のプローブに当接させる真空路とを有し、前記ワークはワーク本体と電極とを有し、前記ワーク本体または前記電極は、磁性体からなり、各プローブはプローブ本体と、このプローブ本体に設けられた磁石付補助磁極板とを有する、ワーク検査装置である。
【0009】
本開示は、前記一対のプローブは上下方向に対して固定され、前記検査位置にある前記ワーク収納孔内のワークが前記一対のプローブに対して当接し、前記ワークに対して相対的に横方向に移動する前記一対のプローブにより前記電極が擦られて、酸化被膜を破り導通し易くなる、ワーク検査装置である。
【0010】
本開示は、前記一対のプローブは半径方向内方に位置する内側プローブと、半径方向外方に位置する外側プローブとからなる、ワーク検査装置である。
【0011】
本開示は、各プローブは前記検査部の前記検査位置に向かって傾斜し、側面からみて八字状に配置されている、ワーク検査装置である。
【0012】
本開示は、前記検査部は前記検査位置にある前記ワーク収納孔内のワークを覆うとともに、前記ワーク収納孔と連通する連通口を含む検査部カバーを有する、ワーク検査装置である。
【0013】
本開示は、前記真空路は前記一対のプローブ間に形成されている、ワーク検査装置である。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本開示によれば、ワークに対して電気的検査を行う際、ワークの損傷を抑え、プローブの摩耗が比較的少なく、かつ騒音の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本実施の形態によるワーク検査装置の検査部の拡大側断面図。
図2図2はワーク検査装置が組み込まれたワーク処理システム全体を示す側面図。
図3図3はワーク検査装置が組み込まれたワーク処理システム全体を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、図2および図3によりワーク検査装置30Aが組み込まれたワーク処理システム全体について説明する。
【0017】
図2および図3に示すように、ワーク処理システム1Aは、供給されたワークW(図1参照)の向きを揃えて整列させるパーツフィーダ1と、パーツフィーダ1から整列したワークを受け取り一列状態で搬送する機能を有するリニアフィーダ2と、円形で水平に設置されるとともにリニアフィーダ2からのワークWを受け取り、図示されない動力源の作用により、鉛直方向の回転軸5を中心として図2の矢印の方向に間歇回転するインデックステーブル3とを備えている。またインデックステーブル3はその外周部に、外側向きに開孔して設けられたワーク収納孔3aを有し、リニアフィーダ2により搬送されたワークWはこのワーク収納孔3aに個別に収容される(図1参照)。またリニアフィーダ2とインデックステーブル3との間に、リニアフィーダ2からのワークWをインデックステーブル3のワーク収納孔3aに移載する機能を有する分離供給部4が設けられている。
【0018】
またインデックステーブル3の外周に、インデックステーブル3のワーク収納孔3a内のワークWに対して電気的検査を行う検査部30と、インデックステーブル3のワーク収納孔3a内のワークWをキャリアテープ7に移載するワーク挿入部6が設けられている。
【0019】
キャリアテープ7は全体として紙製となっており、紙製のキャリアテープ7にパンチングを施すことにより、キャリアテープ7上に図示しないキャビティ13が形成される。
【0020】
このような構成からなるキャリアテープ7は供給リール8から供給されてワーク挿入部6に達する。そしてワーク挿入部6において、上述のようにキャリアテープ7のキャビティ内にワークWが移載されて収納される。ワークWがキャビティ内に収納されたキャリアテープ7はその後下流側へ搬送される(図2および図3)。
【0021】
次にキャビティ内にワークWが収納されたキャリアテープ7に対してトップテープ供給部17Aから案内ローラ17Bを介して合成樹脂製のトップテープ17が供給され、キャビティ内にワークWが収納されたキャリアテープ7に対し、トップテープ17がキャリアテープの熱圧着装置20により、熱圧着される。
【0022】
次にキャリアテープの熱圧着装置20によりトップテープ17が熱圧着されたキャリアテープ7は、その後、ARC(オートリールチェンジャ)10に送られる。
【0023】
なお、図2および図3において、ワーク挿入部6の直下には、キャリアテープ7を案内するテープ送り歯車9が設けられている。
【0024】
上述のように図2および図3において、外周部にワークWを収納するワーク収納孔3aを有するインデックステーブル3が回転可能に設けられている。この場合、インデックステーブル3は基台3A上に回転可能に配置されている。
【0025】
そして基台3Aと、基台3A上に配置されたインデックステーブル3と、インデックステーブル3の外周に配置された検査部30とにより、本実施の形態によるワーク検査装置30Aが構成される。
【0026】
次に図1により本実施の形態によるワーク検査装置30Aについて詳述する。
【0027】
上述のように、ワーク検査装置30Aは基台3Aと、基台3A上に回転可能に配置され、外周部にワークWを収納する複数のワーク収納孔3aが形成されたインデックステーブル3と、インデックステーブル3の外周に設けられ、ワーク収納孔3a内のワークWに対して電気的検査を行う検査部30とを備える。
【0028】
また図1に示すように、インデックステーブル3の外周には、インデックステーブル3を囲んでインデックスガイド3Dが配置され、このインデックスガイド3Dは基台3Aにより支持されている。
【0029】
またインデックステーブル3とインデックスガイド3Dの上方には、これらインデックステーブル3とインデックスガイド3Dを上方から覆うようにインデックスカバー3Bが配置されている。
【0030】
図1はインデックステーブル3の外周に設けられた検査部30をインデックステーブル3の接線方向からみた拡大側断面図である。図1において、左側がインデックステーブル3の半径方向内方となり、右側がインデックステーブル3の半径方向外方となる。
【0031】
図1に示すインデックスガイド3Dは、リング状をなし、インデックステーブル3を外周から囲んで配置されている。
【0032】
またインデックステーブル3およびインデックスガイド3Dを覆うインデックスカバー3Bは、全体として円盤状をなす。
【0033】
図1に示すインデックスガイド3Dおよびインデックスカバー3Bは、図2および図3において便宜上取り除かれている。
【0034】
また図1に示すように、インデックスカバー3Bは、検査部30において一部除去されて空間3Eが形成され、インデックスカバー3Bの空間3E内にサファイアガラス製の検査部カバー40が嵌め込まれている。
【0035】
検査部30はその中心が検査位置30aとなっており、インデックステーブル3は間歇回転する。そしてインデックステーブル3のワーク収納孔3aがこの検査部30の検査位置30aに達したとき、インデックステーブル3の回転が停止するようになっている。
【0036】
また検査部30に配置された検査部カバー40には、検査位置30aにあるワーク収納孔3aと外部とを連通する連通口41が形成されている。
【0037】
次にワーク検査装置30Aの検査部30について、図1により更に述べる。検査部30は上述のように検査位置30aを有している。また検査部30は基台3Aに設けられ検査位置30aにくるワーク収納孔3a内のワークWに当接して、ワークWに対して抵抗値検査等の電気的検査を行う一対のプローブ31、32と、基台3Aに設けられワーク収納孔3a内のワークを吸引して一対のプローブ31、32に当接させる真空路35とを有する。
【0038】
ここでワークWは磁性体からなるワーク本体W0と、一対の電極W1、W2を含み、全体として磁性体の特性をもつチップ型の電子部品となっている。また一対のプローブ31、32は半径方向内方に位置するとともに一方の電極W1に当接する内側プローブ31と、半径方向外方に位置するとともに他方の電極W2に当接する外側プローブ32とからなる。またワークWの電極W1、W2はニッケル及びスズメッキ製となっている。
【0039】
このうち内側プローブ31は、プローブ先端のワークWにより生じる摩擦と通電による温度上昇に耐えるよう、ハイスピード鋼製または耐摩耗性をもつ超硬製のプローブ本体31aと、プローブ本体31aの外面に設けられたネオジウム磁石付補助磁極板31bを有する。また、プローブ本体31aは全体として磁性体からなる。さらにまた、内側プローブ31は電極W1に当接する先端部に超硬チップ33を有する。
【0040】
同時に外側プローブ32はプローブ先端のワークWにより生じる摩擦と通電による温度上昇に耐えるよう、ハイスピード鋼製または耐摩耗性をもつ超硬製のプローブ本体32aと、プローブ本体32aの外面に設けられたネオジウム磁石付補助磁極板32bを有する。また、プローブ本体32aは全体として磁性体からなる。さらにまた、外側プローブ32は電極W2に当接する先端部に超硬チップ34を有する。
【0041】
図1に示すように、一対のプローブ31、32は、各々検査部30の検査位置30aを通る垂直線に対して、およそ5~10°の角度で傾斜しており、このことにより、インデックステーブル3の接線方向からみて、一対のプローブ31、32は八字状に配置されている。
【0042】
また一対のプローブ31、32の先端に設けられた超硬チップ33、34はワークWに向かって40°~110°のテーパ角をもって先細状に形成されている。
【0043】
また基台3Aに設けられた真空路35は一対のプローブ31、32間に形成され、この真空路35は接続ライン36を介して真空ポンプ37に接続されている。ワーク収納孔3aが検査位置30aに到着した際、ワーク収納孔3a内のワークWは、まず一対のプローブ31,32からの磁力作用により引き寄せられ、プローブ31,32の先端部にワークWの電極W1,W2が接触する。次にプローブ31,32からの磁力作用に加え、真空路35による吸引力によりワークWを一対のプローブ31,32側へ押圧させて、ワークWと一対のプローブ31,32との接触圧を増加させることができる。
【0044】
なお図1において、一対のプローブ31、32のうち、内側プローブ31はN極プローブとなっており、外側プローブ32はS極プローブとなる。
【0045】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0046】
図2および図3に示すように、パーツフィーダ1に供給されたワークWは、パーツフィーダ1の作用により向きを揃えて整列し、リニアフィーダ2に移載される。そして、リニアフィーダ2の作用により一列となって搬送され、インデックステーブル3に到達する。さらにワークWは、分離供給部4の作用により、インデックステーブル3に設けられたワーク収納孔3aに個別に収容される。
【0047】
ワーク収納孔3aに収容されたワークWは、インデックステーブル3が図3の矢印の方向に間歇回転することにより、検査部30に送られ、ワーク収納孔3aが検査部30の検査位置30aに到ると、ワーク収納孔3a内のワークWがプローブ31、32に当接して、ワークWの電気的検査が行われる。電気的検査の結果、不良と判断されたワークWは、図示されない排出機能によりワーク収納孔3aから排出される。電気的検査の結果、良品と判断されたワークWは、ワーク収納孔3aに収容されたまま、インデックステーブル3の間歇回転によりワーク挿入部6に到達する。
【0048】
この間、供給リール8に巻かれたキャリアテープ7は、ワーク挿入部6の直下に設置されたテープ送り歯車9からARC10側へ送られる。
【0049】
テープ送り歯車9の間歇回転により、キャリアテープ7がワーク挿入部6に到達して停止し、ワークを移載できる状態になると、インデックステーブル3のワーク収納孔3a内のワークWがキャリアテープ7の図示しないキャビティに移載される。
【0050】
次にキャリアテープ7に対してトップテープ17が供給され、トップテープ17はキャリアテープの熱圧着装置20によりキャリアテープ7に熱圧着される。トップテープ17が熱圧着されたキャリアテープ7はその後、ARC10側へ送られる。
【0051】
この間行われる、検査部30におけるワークWに対する電気的検査方法について、以下詳述する。
【0052】
基台3Aに設けられた一対のプローブ31、32は各々ネオジウム磁石付補助磁極板31b、32bを有し、内側プローブ31がN極プローブとなり、外側プローブ32がS極プローブとなっている。またワークWは全体として磁性体からなっている。図1に示すように、インデックステーブル3の外周部に設けられたワーク収納孔3a内のワークWが検査部30の検査位置30aに達すると、一対のプローブ31、32とワークWとにより磁気回路を構成することができる。そしてワークWは一対のプローブ31、32による磁力作用によって、一対のプローブ31、32に吸引され、一対のプローブ31,32の先端部にワークWの電極W1,W2が接触する。
【0053】
この間、ワーク収納孔3a内のワークWが真空ポンプ37により真空状態を保つ真空路35により基台3Aに設けられた一対のプローブ31、32側へ吸引される。この場合、真空路35は真空ポンプ37により常時真空状態に維持されている。また検査部30に設けられた検査部カバー40は、検査位置30aにあるワーク収納孔3aと外部とを連通する連通口41を有するため、検査位置にあるワーク収納孔3aのワークWを真空路35により確実に吸引して一対のプローブ31、32側へ吸引することができる。このため、プローブ31,32からの磁力作用による吸引に加え、真空路35による真空吸引力により、ワークWを一対のプローブ31,32側へ押圧させて、ワークWと一対のプローブ31,32との接触圧を増加させることができる。
【0054】
この場合、内側プローブ31はワークWの電極W1に当接し、外側プローブ32はワークWの電極W2に当接し、一対のプローブ31、32によりワークWの電気的特性、例えば抵抗値、静電容量等の電気的特性が測定される(検査される)。
【0055】
また、検査部30の一対のプローブ31、32は固定されており、上下方向に移動することなく、ワークWのみが、一対のプローブ31、32による磁力作用と、真空路35による真空吸引作用とにより一対のプローブ31、32側へ吸引されて下方へ移動することになる。この場合、一対のプローブ31,32は各々ワークWの各電極W1,W2に当接する。そして、ワーク収納孔3a内のワークWに対して相対的に横方向に(水平方向に)移動する一対のプローブ31,32の先端部により、各電極W1,W2の酸化被膜が破られて導通し易くなり、一対のプローブ31,32は各電極W1,W2と正常に接触する。
【0056】
このような検査部30における電気的検査が終了すると、インデックステーブル3が回転し、インデックステーブル3のワーク収納孔3a内に収納されたワークWは次工程のワーク挿入部6まで送られ、上述のようにワーク挿入部6においてキャリアテープ7のキャビティ内に移載される。
【0057】
以上のように本実施の形態によれば、検査部30において、一対のプローブ31、32は固定され上下方向に移動することなく、ワークWのみが一対のプローブ31、32へ吸引されて当接する。
【0058】
このためプローブ31、32が上下動してワークWに当接する場合に比べて、プローブ31、32とワークWとの接触圧力を小さくすることができる。このためワークWが損傷することはなく、プローブの摩耗が比較的少なく、かつ騒音が生じることもない。このことによりプローブのメンテナンス間隔を延ばすことができる。
【0059】
またプローブ31、32が上下動してワークWに当接する場合、プローブ31、32の上方向の動作時間に加えて、プローブ31、32がワークWに当接してワークWが暴れるため、ワークWの電気的特性を検査するまで、ワークWの安定化させる時間が必要となるが、本実施の形態によれば、プローブ31、32が上下動することはなく、検査時間を短縮化させることができる。
【0060】
さらにまた本実施の形態によれば、プローブ31、32を上下動させる機構を設ける必要がなく、さらにプローブ31、32に可撓性をもつ伝送ラインを接続する必要がないため、特性インピーダンスを考慮した高周波部品の測定も行うことができる。
【0061】
さらにまた、プローブ31、32上下動させる必要がないため、プローブ31、32からワークWに加わる接触力を小さくすることができ、ワークWの電極W1、W2に形成される測定痕を小さくすることができる。このためワークWの電極W1、W2に測定痕が生じて、電極W1、W2内部のニッケルまで酸化することはなく、後工程でワークWに対して半田付けを施す際、この半田付け作用に支障が生じることもない。
【符号の説明】
【0062】
1A ワーク処理システム
3 インデックステーブル
3a ワーク収納孔
3A 基台
3B インデックスカバー
3D インデックスガイド
30 検査部
30A ワーク検査装置
30a 検査位置
31 内側プローブ
31a プローブ本体
31b ネオジウム磁石付補助磁極板
32 外側プローブ
32a プローブ本体
32b ネオジウム磁石付補助磁極板
35 真空路
36 接続ライン
37 真空ポンプ
40 検査部カバー
41 連通口
W ワーク
W0 ワーク本体
W1 電極
W2 電極
図1
図2
図3