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特許7370072分離器内蔵型SPD、および分離器内蔵型SPDユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】分離器内蔵型SPD、および分離器内蔵型SPDユニット
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/08 20060101AFI20231020BHJP
   H02H 3/16 20060101ALI20231020BHJP
   H02H 3/22 20060101ALI20231020BHJP
   H01H 37/76 20060101ALI20231020BHJP
   H01C 7/12 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
H02H3/08 P
H02H3/08 S
H02H3/16 B
H02H3/22
H01H37/76 F
H01C7/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020161316
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022054241
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-06-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000123354
【氏名又は名称】音羽電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川坂 悟史
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 智章
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特許第6537089(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0330908(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0036185(US,A1)
【文献】特開2007-288114(JP,A)
【文献】特開2014-155340(JP,A)
【文献】特開2014-155339(JP,A)
【文献】特開2009-128508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/08
H02H 3/16
H02H 3/22
H01H 37/76
H01C 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子および第2端子と、
前記第1端子と前記第2端子との間に設けられたバリスタと、
前記バリスタと電気的に直列に接続された過電流分離器と、
前記バリスタと電気的に直列に接続された熱分離器と、
アクチュエータを有し、前記アクチュエータが押されることによりオンするマイクロスイッチとを備え、
前記過電流分離器は、過電流によるヒューズ本体の溶断時にストライカーが外部に突出する電流ヒューズであり、
前記熱分離器は、前記バリスタの端子に接続されており、前記バリスタの過熱時に当該端子から分離する導体と、前記導体が当該端子から分離したとき、前記導体が前記アクチュエータを押すよう、復元力によって前記導体を移動させるばねとを有しており、
前記電流ヒューズと前記マイクロスイッチは、前記ストライカーが外部に突出したとき当該ストライカーが前記アクチュエータを直接押す位置に、配置されている
ことを特徴とする分離器内蔵型SPD(Surge Protective Device)。
【請求項2】
請求項1記載の分離器内蔵型SPDにおいて、
前記熱分離器が有する前記導体は、側面から見た形状がS字状に屈曲した第1部分と、側面から見た形状が直線状に形成された第2部分とを有する、板状の金属片を含み、
前記金属片は、前記第1部分側の端が前記電流ヒューズの端子と接続されており、前記第2部分は、一方の面が前記アクチュエータに当接しており、他方の面が前記ばねにより付勢されている
ことを特徴とする分離器内蔵型SPD。
【請求項3】
SPD(Surge Protective Device)を構成するための分離器内蔵型SPDユニットであって、
第1端子および第2端子と、
前記第1端子と前記第2端子との間に設けられたバリスタと、
前記バリスタと電気的に直列に接続された過電流分離器と、
前記バリスタと電気的に直列に接続された熱分離器と、
アクチュエータを有し、前記アクチュエータが押されることによりオンするマイクロスイッチとを備え、
前記過電流分離器は、過電流によるヒューズ本体の溶断時にストライカーが外部に突出する電流ヒューズであり、
前記熱分離器は、前記バリスタの端子に接続されており、前記バリスタの過熱時に当該端子から分離する導体と、前記導体が当該端子から分離したとき、前記導体が前記アクチュエータを押すよう、復元力によって前記導体を移動させるばねとを有しており、
前記電流ヒューズと前記マイクロスイッチは、前記ストライカーが外部に突出したとき当該ストライカーが前記アクチュエータを直接押す位置に、配置されている
ことを特徴とする分離器内蔵型SPDユニット。
【請求項4】
請求項3記載の分離器内蔵型SPDユニットにおいて、
前記熱分離器が有する前記導体は、側面から見た形状がS字状に屈曲した第1部分と、側面から見た形状が直線状に形成された第2部分とを有する、板状の金属片を含み、
前記金属片は、前記第1部分側の端が前記電流ヒューズの端子と接続されており、前記第2部分は、一方の面が前記アクチュエータに当接しており、他方の面が前記ばねにより付勢されている
ことを特徴とする分離器内蔵型SPDユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雷サージを安全に放出し、過電圧・過電流が機器を破壊することを防ぐSPD(Surge Protective Device)に関するものであり、特に、過電流分離器及び熱分離器を内蔵したSPDに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、雷によって起こる電気・電子機器の故障を防ぐために、SPD(避雷器)が利用されている。SPDは、雷サージなどの過渡的な過電圧を制限しサージ電流を分流させる目的で、非線形素子を内蔵している。この非線形素子は、例えば、酸化亜鉛バリスタ等の金属酸化物バリスタ(MOV、以下適宜、単にバリスタという)等である。SPDは、通常の電源電圧に対しては絶縁物と同等の高抵抗であり、雷サージなどの過電圧に対しては瞬時に低抵抗になり、サージ電流を接地側に流すとともに雷サージの電圧を抑制する。
【0003】
SPDは過大な雷サージ等によって劣化する場合があり、劣化が進行すると、1.過電流、2.バリスタの過熱、等の現象が発生する。特許文献1は、これらの現象を検出したとき、故障表示及び/または警報接点出力を行う分離器内蔵型SPDを開示している。
【0004】
特許文献1の構成は、図9に示すように、過電流分離器として、ストライカー122を内蔵した電流ヒューズ120を備えており、熱分離器として、バリスタ140の過熱時にバリスタ140の端子から分離する導体130を備えている。電流ヒューズ120は、過電流によるヒューズ本体の溶断時にストライカー122が外部に突出し、ストライカー122によって打撃された第1のスライダー123は、ばねの復元力に抗しながら所定方向に移動する。また、導体130は、バリスタ140の過熱時にバリスタ140の端子から分離し、この分離により第2のスライダー131は導体130との係止が解除されて、ばねの復元力により所定方向に移動する。第2のスライダー131の移動により、第1のスライダー123は所定方向に移動させられる。この第1のスライダー123の移動によって、回動レバー150を介して、マイクロスイッチ153はオンする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6537089号公報(図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、過電流発生時、または、バリスタの過熱発生時に、マイクロスイッチ153がオンすることによって、故障表示及び/または警報接点出力を行うことができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成は、過電流分離器および熱分離器の機械的動作を検出してマイクロスイッチをオンさせるために、2個のスライダーを利用している。また、それぞれのスライダーを付勢するために、ばねも2個必要になっている。さらには、スライダーとマイクロスイッチとの間に、別の部品が必要になっている。このため、SPDの部品数が多くなっており、高い信頼性が得られない。また、内部構成が複雑であり、このため、装置の小型化が困難になっている。このことは、SPDのサイズをいわゆる協約寸法に収めることへの妨げになっており、好ましくない。
【0008】
本発明は、前記のような問題に鑑み、従来よりも信頼性が高く、かつ、小型化が容易な内部構造を有する分離器内蔵型SPDおよび分離器内蔵型SPDユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様では、分離器内蔵型SPDは、第1端子および第2端子と、前記第1端子と前記第2端子との間に設けられたバリスタと、前記バリスタと電気的に直列に接続された過電流分離器と、前記バリスタと電気的に直列に接続された熱分離器と、アクチュエータを有し、前記アクチュエータが押されることによりオンするマイクロスイッチとを備え、前記過電流分離器は、過電流によるヒューズ本体の溶断時にストライカーが外部に突出する電流ヒューズであり、前記熱分離器は、前記バリスタの端子に接続されており、前記バリスタの過熱時に当該端子から分離する導体と、前記導体が当該端子から分離したとき、前記導体が前記アクチュエータを押すよう、復元力によって前記導体を移動させるばねとを有しており、前記電流ヒューズと前記マイクロスイッチは、前記ストライカーが外部に突出したとき当該ストライカーが前記アクチュエータを直接押す位置に、配置されている。
【0010】
この態様によると、分離器内蔵型SPDは、過電流分離器として、過電流によるヒューズ本体の溶断時にストライカーが外部に突出する電流ヒューズを備えている。分離器内蔵型SPDは、熱分離器として、バリスタの端子に接続された導体と、バリスタの過熱時に導体がバリスタの端子から分離したとき、導体がマイクロスイッチのアクチュエータを押すよう、復元力によって導体を移動させるばねとを有する。そして、電流ヒューズとマイクロスイッチは、ストライカーが外部に突出したときマイクロスイッチのアクチュエータを直接押す位置に配置されている。これにより、過電流発生時、または、バリスタの過熱発生時に、マイクロスイッチがオンされることによって、故障表示及び/または警報接点出力を行うことができる。しかも、従来の構成と比べて、2個のスライダーを利用しておらず、かつ、ばねも1つだけで済むため、部品数が少なくシンプルな構成になる。したがって、信頼性が高く、小型化が容易な分離器内蔵型SPDを実現することができる。
【0011】
そして、前記態様において、前記熱分離器が有する導体は、側面から見た形状がS字状に屈曲した第1部分と、直線状に形成された第2部分とを有する、板状の金属片を含み、前記金属片は、前記第1部分側の端が前記電流ヒューズの端子と接続されており、前記第2部分は、一方の面が前記アクチュエータに当接しており、他方の面が前記ばねにより付勢されている、としてもよい。
【0012】
この態様によると、バリスタの過熱発生を検知するための熱分離器を、コンパクトに構成することができる。
【0013】
また、本発明の別の態様では、SPDを構成する分離器内蔵型SPDユニットは、上述した態様に係る分離器内蔵型SPDと同様の構成を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、従来よりも信頼性が高く、かつ、小型化が容易な内部構造を有する分離器内蔵型SPDおよび分離器内蔵型SPDユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る分離器内蔵型SPDの内部構成
図2図1の分離器内蔵型SPDの基本的な回路構成
図3図1の構成において、熱分離器が動作した場合の説明図
図4図1の構成において、過電流分離器が動作した場合の説明図
図5】実施形態に係る分離器内蔵型SPDユニットを用いたSPDの構成例であり、(a)は正面図、(b)は側面図
図6】(a)は実施形態に係る分離器内蔵型SPDユニットの外観図、(b)は(a)の分離器内蔵型SPDユニットがSPDに組み込まれた状態を示す図
図7】実施形態に係る分離器内蔵型SPDユニットの他の例の外観図
図8図7の分離器内蔵型SPDユニットを用いて構成するプラグインタイプのSPDの構成例
図9】従来の分離器内蔵型SPDの内部構成
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
(実施形態)
図1は本発明の実施形態に係る分離器内蔵型SPD(Surge Protective Device)の内部構成を示す図である。図1の分離器内蔵型SPD1は、第1端子11と第2端子12との間に、雷サージによる過電圧の抑制用素子として、金属酸化物バリスタ30(以下、適宜、単にバリスタ30という)を備えている。バリスタ30は、例えば酸化亜鉛バリスタである。分離器内蔵型SPD1は、過電流分離器として電流ヒューズ20を備えており、また、熱分離器40を備えている。分離器内蔵型SPD1は、さらに、マイクロスイッチ50を備える。マイクロスイッチ50がオンされることによって、分離器内蔵型SPD1の外部に、故障表示及び/または警報接点出力が行われる。
【0018】
図2図1の分離器内蔵型SPD1の原理的な構成図である。図2に示すように、バリスタ30は、第1端子11と第2端子12との間に設けられている。電流ヒューズ20は、バリスタ30と電気的に直列に接続されている。熱分離器40は、バリスタ30と電気的に直列に接続されている。電流ヒューズ20が過電流を検出したとき、または、熱分離器40がバリスタ30の過熱を検出したとき、マイクロスイッチ50がオンする。すなわち、本実施形態に係る分離器内蔵型SPD1は、過電流発生時における電流ヒューズ20の機械的動作、または、バリスタ30の過熱時における熱分離器40の機械的動作に応じて、マイクロスイッチ50がオンするように、構成されている。
【0019】
図1に戻り、電流ヒューズ20は、ヒューズ本体21と、端子21a,21bとを有する。電流ヒューズ20は、過電流によるヒューズ本体21の溶断時に、内蔵するストライカー(棒状部材)22が外部に突出する。ここでは、ストライカー22は図面上方向に突出する。
【0020】
熱分離器40は、バリスタ30の端子31aと電流ヒューズ20の端子21aとを電気的に接続する導体41,42を有する。なお、導体41,42は一体に形成されていてもよい。導体41は、ほぼ直線状の板状に形成されており、一端がバリスタ30の端子31aと半田によって接続されている。導体42は、側面(図面正面)から見たとき、S字状に屈曲した部分42aと、直線状に形成された部分42bとを有する、板状の金属片である。金属片42は、部分42a側の端が電流ヒューズ20の端子21aと接続されており、部分42b側の端が導体41の他端と接続されている。ばね43は、一端の位置が固定されており、他端が金属片42の部分42bの一方の面に当接している。ばね43はその復元力によって、金属片42の部分42bを付勢、すなわち、図面上方向の力を付与している。バリスタ30が過熱状態になると、導体41とバリスタ30の端子31aとの間の電気的接続部(半田)が溶融して、導体41とバリスタ30は分離する。このとき、導体41は、金属片42の部分42bを付勢するばね43の復元力によって、図面上方向に移動する。
【0021】
マイクロスイッチ50は、電流ヒューズ20および熱分離器40からみて図面上方に配置されている。マイクロスイッチ50は、アクチュエータ51が電流ヒューズ20および熱分離器40の側に位置しており、オンオフ信号を出力する端子52が分離器内蔵型SPD1から露出している。マイクロスイッチ50のアクチュエータ51は、熱分離器40の金属片42に当接している。すなわち、金属片42の部分42bは、一方の面がアクチュエータ51に当接しており、他方の面がばね43により付勢されている。導体41とバリスタ30の端子31aとが分離したとき、ばね43の復元力によって導体41および金属片42が図面上方に移動し、これにより、アクチュエータ51が押されてマイクロスイッチ50はオンする。また、電流ヒューズ20のストライカー22が外部に突出したとき、アクチュエータ51が押されてマイクロスイッチ50はオンする。
【0022】
図3図1の構成において、熱分離器40が動作したときの状態を示す。バリスタ30の過熱により、導体41とバリスタ30の端子31aとが分離したとき、導体41および金属片42がばね43の復元力によって図面上方に移動し、これにより、金属片42の部分42bの面に当接していたアクチュエータ51が図面上方に押されて、マイクロスイッチ50がオンする。
【0023】
図4図1の構成において、過電流分離器すなわち電流ヒューズ20が動作したときの状態を示す。過電流によってヒューズ本体21が溶断したとき、電流ヒューズ20からストライカー22が図面上方に突出する。このストライカー22によって、マイクロスイッチ50のアクチュエータ51が直接、図面上方に押されて、マイクロスイッチ50がオンする。
【0024】
以上のように本実施形態によると、分離器内蔵型SPD1は、過電流分離器として、過電流によるヒューズ本体21の溶断時にストライカー22が外部に突出する電流ヒューズ20を備えている。また、分離器内蔵型SPD1は、熱分離器40として、バリスタ30の端子31aに接続された導体41,42と、バリスタ30の過熱時に導体41,42がバリスタ30の端子31aから分離したとき、導体41,42がマイクロスイッチ50のスイッチ51片を押すよう、復元力によって導体41,42を移動させるばね43とを有する。そして、電流ヒューズ20とマイクロスイッチ50は、ストライカー22が外部に突出したときマイクロスイッチ50のアクチュエータ51を直接押す位置に配置されている。これにより、過電流発生時、または、バリスタ30の過熱発生時に、マイクロスイッチ50がオンされることによって、故障表示及び/または警報接点出力を行うことができる。しかも、従来の構成と比べて、2個のスライダーを利用しておらず、かつ、ばねも1つだけで済むため、部品数が少なくシンプルな構成になっている。したがって、信頼性が高く、小型化が容易な分離器内蔵型SPDを実現することができる。
【0025】
また、熱分離器40は、側面から見た形状がS字状に屈曲した第1部分42aと、直線状に形成された第2部分42bとを有する、板状の金属片42を含む。金属片42は、第1部分42a側の端が電流ヒューズ20の端子21aと接続されており、第2部分42bは、一方の面がアクチュエータ51に当接しており、他方の面がばね43により付勢されている。これにより、熱分離器40を、コンパクトに構成することができる。
【0026】
また、熱分離器40の導体41の下に位置しているリブ46は、その上面が傾斜している。具体的には、図面右側から左側に向かうに従って、リブ46の上面が徐々に高くなっている。これにより、導体41がバリスタ30の端子31aから分離したとき、導体41がリブ46の上面の傾斜によって上方に移動し、導体41とバリスタ30との再度の電気的接触が回避される。
【0027】
また、導体41は、図面右側の側面に切り欠き部41aを有している。導体41がバリスタ30の端子31aから分離したとき、この切り欠き部41aがリブ46の角部に係り、これによって、導体41とバリスタ30との再度の電気的接触が回避される。
【0028】
<分離器内蔵型SPDユニットを用いた構成例>
上述した分離器内蔵型SPDは、SPDを構成する1つの部品、すなわち分離器内蔵型SPDユニットとして、用いてもかまわない。以下、本実施形態に係る分離器内蔵型SPDユニットを用いて構成したSPDの構成例について説明する。
【0029】
(構成例:組み込みタイプ)
図5は本実施形態に係る分離器内蔵型SPDユニットを用いて構成したSPD200の構成例であり、同図中、(a)は正面図、(b)は側面図である。また、図6(a)は分離器内蔵型SPDユニット1の外観図、図6(b)は分離器内蔵型SPDユニット1がSPD200の中に組み込まれた状態を示す分解図である。
【0030】
図5に示すSPD200は、第1ケース201と第2ケース202とがねじ止め、またはその他の方法によって結合されており、その内部に分離器内蔵型SPDユニット1が組み込まれている。203はSPD200の劣化時に信号が出力されるスクリューレス端子台である。204はSPD200を分電盤等に用いられるDINレールに取り付けるための機構であるスライダーである。
【0031】
図6(a)に示す分離器内蔵型SPDユニット1は、図1と同様の内部構成を有しており、マイクロスイッチ50がオンオフ信号を出力する端子52が外部に露出している。図6(b)では、3個の分離器内蔵型SPDユニット1がSPD200内部に組み込まれている。SPD200内部には、各分離器内蔵型SPDユニット1の端子52をスクリューレス端子台203に接続するフレキシブル基板(図示せず)が設けられている。いずれかの分離器内蔵型SPDユニット1においてマイクロスイッチのアクチュエータが押されたとき、その端子52から出力される信号の切り替わりは、スクリューレス端子台203から検出することができる。
【0032】
なお、図6(b)では、SPD200内部に3個の分離器内蔵型SPDユニット1が組み込まれている状態を示しているが、SPD内部に組み込む分離器内蔵型SPDユニット1の個数は、3個に限られるものではなく、例えば4個でもよい。
【0033】
(構成例:プラグインタイプ)
図7は実施形態に係る分離器内蔵型SPDユニットの他の例の外観図である。図7に示す分離器内蔵型SPDユニット301は、基本的には図1と同様の内部構成を有している。ただし、プラグインタイプに対応させるために、各端子の位置を変更している。図7において、端子311が図1の第1端子11に相当し、端子312が図1の第2端子12に相当している。また、端子352が図1のマイクロスイッチ50の端子52に対応している。すなわち、図7に示す分離器内蔵型SPDユニット301は、端子311,312,352がいずれも同じ側の面(図における下側の面)から外部に露出している。
【0034】
図8図7に示す分離器内蔵型SPDユニット301を用いて構成するプラグインタイプのSPD300を示す図である。図8に示すように、端子台302は、図7に示す分離器内蔵型SPDユニット301を装着可能なように構成されている。図8では、端子台302は、3個の分離器内蔵型SPDユニット301を装着可能である。分離器内蔵型SPDユニット301は、端子311,312,352が露出した面を端子台302に向けた状態で、装着される。321はSPD300の劣化時に信号が出力されるスクリューレス端子台である。322はSPD300を分電盤等に用いられるDINレールに取り付けるための機構であるスライダーである。
【0035】
端子台302内部には、装着された各分離器内蔵型SPDユニット301の端子352をスクリューレス端子台203に接続する構成が設けられている。いずれかの分離器内蔵型SPDユニット301においてマイクロスイッチのアクチュエータが押されたとき、その端子352から出力される信号の切り替わりは、スクリューレス端子台203から検出することができる。
【0036】
なお、図8では、端子台302は3個の分離器内蔵型SPDユニット301が装着可能になっているが、端子台に装着可能である分離器内蔵型SPDユニットの個数は、3個に限られるものではなく、例えば4個でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、雷サージ対策に用いられる分離器内蔵型SPDの信頼性向上および小型化に有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 分離器内蔵型SPD,分離器内蔵型SPDユニット
11 第1端子
12 第2端子
20 電流ヒューズ(過電流分離器)
21 ヒューズ本体
22 ストライカー
30 バリスタ
31a バリスタの端子
40 熱分離器
41 導体
42 金属片(導体)
42a 第1部分
42b 第2部分
43 ばね
50 マイクロスイッチ
51 アクチュエータ
200 SPD
300 SPD
301 分離器内蔵型SPDユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9