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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】トップリング
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
A47J37/06 316
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020194977
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022083577
(43)【公開日】2022-06-06
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000213231
【氏名又は名称】株式会社中部コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】安田 典充
(72)【発明者】
【氏名】本田 樹意
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-082840(JP,U)
【文献】実開昭63-142603(JP,U)
【文献】実開昭61-188925(JP,U)
【文献】特開2006-248621(JP,A)
【文献】実開平07-016733(JP,U)
【文献】特開昭64-080320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00-37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓上に形成された開口部内に設けた加熱部により食材を加熱するロースターに用いられ、前記開口部の周縁部を着脱可能に覆うトップリングであり、
前記開口部の下側の側方を覆う複数の側壁と、これらの複数の側壁の間に形成される複数の角部を有する角形筒部と、
前記角形筒部の上端から外側に延出して前記開口部の外側周縁部の上面に当接するフランジ部とを備え、
前記角形筒部は互いに対向する一対の側壁の下部に他の側壁の下端よりも下方に延びる一対の下方延出部を備え、
前記下方延出部を下部に有する前記一対の側壁の各々は、前記下方延出部を含めて下側に進むにしたがって前記角形筒部の内側に直線的に傾斜させることで、前記一対の下方延出部の外側の間の長さを前記一対の側壁の上部の内側の間の長さよりも短くしたことを特徴とするトップリング。
【請求項2】
請求項1に記載のトップリングにおいて、
前記下方延出部の幅方向の両端部には前記幅方向の内側に凹む凹部が形成され、
前記凹部は、前記下方延出部を有する側壁の両側に隣接する側壁の各々の厚みより大きく、前記隣接する側壁の各々の厚みの2倍より小さく形成されたことを特徴とするトップリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルやカウンターテーブル等の卓上に形成した開口部内に設けた加熱部により食材を加熱するロースターに用いられ、卓上に形成した開口部の周縁部を着脱可能に覆うトップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には焼肉等の調理をテーブル等の卓上で行う無煙ロースターが開示されている。無煙ロースターは、テーブル等の卓上に形成した円形の開口部内にガス燃焼器具や炭等を用いた加熱部と、加熱部の上方に配置されて焼き網を載置する載置調理手段と、卓上の開口部の周縁部に設けた円形の載置リングと、載置リングに載置されて卓上の開口部の周縁部を覆う円形のトップリングとを備えている。この無煙ロースターでは、肉等の食材は焼き網に載せられて加熱部によって加熱調理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-059142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の無煙ロースターは、円形の開口部内に円形の焼き網を設置したものであるが、図1に示したように、長方形の開口部内に長方形の焼き網やプレートを設置した所謂、角型の無煙ロースターも焼肉店等の飲食店で一般的に用いられている。角型の無煙ロースターは、長方形の開口部に長方形の焼き網やプレートを設置し、長方形の開口部の周縁部に角形のトップリングが着脱可能に取り付けられている。図9に示した従来の角形のトップリングは、開口部の下側の側方を覆う平面視で長方形の角形筒部と、角形筒部の上端から外側に延出して開口部の外側周縁部の上面に当接するフランジ部とを備えている。
【0005】
無煙ロースターで肉等の食材を加熱調理すると、トップリングには肉等の食材を加熱調理した際に飛散する油等の汚れが付着するので、トップリングを取り外して定期的に洗浄する必要がある。店舗内の各テーブルの卓上の開口部からトップリングを取り外して厨房の洗い場に持って行くときに、角形のトップリングを上下に多段状に積み重ねて運ぶと効率よく運搬することができる。複数の角形のトップリングを長手方向が上下で平行となるように積み重ねると、上側のトップリングの角形筒部が下側のトップリングの角形筒部内に傾いて嵌まり、複数の角形のトップリングを長手方向が平行となるように積み重ねにくかった。また、複数の角形のトップリングを上下で長手方向が直交するように互い違いに積み重ねると、上側のトップリングの角形筒部が下側のトップリングの角形筒部内に傾いて嵌まることがないが、上側のトップリングが下側のトップリングに対して係止しているわけでないので、上側のトップリングが下側のトップリングの上面を滑って落下しやすく、一度に多数のトップリングを持ち運びにくくなっていた。本発明は、トップリングを上下に多段状に積み重ねて持ち運びやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、卓上に形成された開口部内に設けた加熱部により食材を加熱するロースターに用いられ、開口部の周縁部を着脱可能に覆うトップリングであり、開口部の下側の側方を覆う複数の側壁と、これらの複数の側壁の間に形成される複数の角部を有する角形筒部と、角形筒部の上端から外側に延出して開口部の外側周縁部の上面に当接するフランジ部とを備え、角形筒部は互いに対向する一対の側壁の下部に他の側壁の下端よりも下方に延びる一対の下方延出部を備え、下方延出部を下部に有する一対の側壁の各々は、下方延出部を含めて下側に進むにしたがって角形筒部の内側に直線的に傾斜させることで、一対の下方延出部の外側の間の長さを一対の側壁の上部の内側の間の長さよりも短くしたことを特徴とするトップリングを提供するものである。
【0007】
上記のように構成したトップリングにおいては、角形筒部は互いに対向する一対の側壁の下部に他の側壁の下端よりも下方に延びる一対の下方延出部を備え、下方延出部を下部に有する一対の側壁の各々は、下方延出部を含めて下側に進むにしたがって角形筒部の内側に直線的に傾斜させることで、一対の下方延出部の外側の間の長さを一対の側壁の上部の内側の間の長さよりも短くしている。一対の側壁が並ぶ方向が同じ方向となるようにトップリングを上下に積み重ねたときに、上側のトップリングの一対の下方延出部の外側の間の長さは、下側のトップリングの一対の側壁の上部の内側の間の長さよりも短いので、上側のトップリングの一対の下方延出部は下側のトップリングの一対の側壁の間の上部に嵌挿される。この状態では、上側のトップリングの一対の下方延出部は下側のトップリングの一対の側壁の上部の間で一対の側壁が並ぶ方向への移動が規制されるので、上側のトップリングが一対の側壁が並ぶ方向で下側のトップリングから滑り落ちにくくなり、トップリングを上下に多段状に積み重ねて持ち運びやすくなるとともに、トップリングを上下に多段状に安定して積み重ねることができるので、広い保管場所を必要としないようにすることができる。また、一対の側壁が並ぶ方向が同じ方向となるようにトップリングを上下に積み重ねて、上側のトップリングの一対の下方延出部を下側のトップリングの一対の側壁の間の上部に嵌挿したときに、上側のトップリングの一対の側壁以外の他の側壁の下端が下側のトップリングの一対の側壁以外の他の側壁またはフランジ部に当接することで、上側のトップリングの一対の下方延出部が下側のトップリングの一対の側壁の上部に強く嵌まり込まないようになり、上側のトップリングは下側のトップリングから取り外しにくくならない。さらに、下方延出部を下部に有する一対の側壁の各々は、下方延出部を含めて下側に進むにしたがって角形筒部の内側に直線的に傾斜させいるので、トップリングの加工に手間がかかりにくくなるだけでなく、下方延出部を有する側壁に段部が形成されないので、一対の側壁に汚れを残りにくくすることができる。
【0008】
上記のように構成したトップリングにおいては、下方延出部の幅方向の両端部には幅方向の内側に凹む凹部が形成され、凹部は、下方延出部を有する側壁の両側に隣接する側壁の各々の厚みより大きく、隣接する側壁の各々の厚みの2倍より小さく形成されるのが好ましい。互いに対向する一対の側壁が同じ方向となるようにトップリングを上下に積み重ねたときに、凹部は下方延出部を有する側壁の両側に隣接する側壁の各々の厚みより大きいので、上側のトップリングの下方延出部が凹部によって一対の側壁に隣接する側壁の内側に挿通可能な状態となる。また、凹部は下方延出部を有する側壁の両側に隣接する側壁の各々の厚みの2倍より小さいので、下方延出部の凹部によって隣接する側壁との間に形成される隙間は当該隣接する側壁の厚みより小さくなり、上側のトップリングが一対の側壁の幅方向にずれても、上側のトップリングが一対の側壁に隣接する側壁の厚みの長さより大きく移動しないので、上側のトップリングの一対の側壁に隣接する側壁が下側のトップリングの一対の側壁に隣接する側壁またはフランジ部に確実に当接し、上側のトップリングが一対の側壁の幅方向にずれることに起因して下側のトップリングの内側に傾いて嵌まり込まないようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のトップリングが卓上の無煙ロースターで用いられているときの斜視図である。
図2】トップリングの斜視図である。
図3】A-A断面図である。
図4】B-B断面図である。
図5】トップリングを上下に2段で積み重ねたときの斜視図である。
図6】C-C断面図である。
図7】D-D断面図である。
図8】下方延出部を一対の側壁の下部の内側に設けた段部に形成したときの図3に相当する断面図である。
図9】従来のトップリングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明のトップリングの一実施形態を無煙ロースターに用いたときの実施形態により図面を参照して説明する。図1に示したように、本発明のトップリング10は、テーブルやカウンターテーブル等の卓上に形成された開口部A内にガスヒータや炭等を用いた加熱部によりプレートBの上側の食材を加熱する無煙ロースター(ロースター)に用いられるものであり、開口部Aの周縁部を着脱可能に覆う4つ(複数)の角部を有する平面視で長方形の角形のトップリングである。本発明のトップリング10は、複数を上下に多段状に積み重ねて持ち運びやすくしたものである。
【0012】
図2に示したように、トップリング10は、開口部Aの下側の側方を覆う平面視で略長方形の4つ(複数)の側壁21~24を有する角形筒部20と、角形筒部20の上端から外側に延出して開口部Aの外側周縁部の上面に当接するフランジ部30とを備えている。角形筒部20は、4つの側壁21~24と、これらの4つの側壁21~24の間に形成される4つの角部を有し、平面視で略長方形の筒形をしている。フランジ部30は平面視で略長方形の角形筒部20の上縁から外側に延出する平面視で略長方形の枠形状をしている。
【0013】
図1及び図2に示したように、角形筒部20は、幅の長さが短い方の短辺側の側壁21,22と、幅が長い方の長辺側の側壁23,24とを備えている。短辺側の側壁21,22の上部には水平方向に延びる4つの貫通孔21a(側壁22の貫通孔は図示省略した)が形成されており、これらの貫通孔21aは加熱部の熱がフランジ部30に伝わるのを抑制するために形成されている。また、長辺側の側壁23,24の上部には複数の吸気孔23a(側壁24の吸気孔は図示省略した)が形成されており、これらの吸気孔23aはプレートBの上側に発生した煙を開口部A内に設けた排気ダクトに送り出すためのものである。
【0014】
図2及び図3に示したように、角形筒部20は、互いに対向する短辺側の一対の側壁21,22の下部に他の側壁23,24の下端よりも下方に延びる一対の下方延出部21b,22bを備えている。側壁23,24が鉛直方向に延びているのに対し、一対の側壁21、22は下方延出部21b,22bを含めて下側に進むに従って角形筒部20の内側に直線的に傾斜している。この実施形態では、図3のθに示したように、側壁21,22は鉛直方向よりも1°内側に傾斜することで水平方向から内側に89°で傾斜している。一対の下方延出部21b,22bを下部に有する一対の側壁21,22を内側に傾斜させていることで、一対の下方延出部21b,22bの外側の間の長さw1は、一対の下方延出部21b,22bを有する一対の側壁21,22の上部の内側の間の長さw2よりも短くなっている。
【0015】
図2に示したように、下方延出部21b,22bの幅方向の両端部には幅方向の内側に凹む凹部21c,22cが形成されている。図4に示したように、凹部21cは側壁21に隣接する側壁23,24の各々の厚みより少し大きく幅方向の内側に凹んでいる。凹部21cの幅方向の長さdを側壁21に隣接する側壁23,24の各々の厚みtより大きくすることで、互いに対向する一対の側壁21,22が同じ方向となるようにトップリング10を上下に積み重ねたときに、下方延出部21bを側壁23,24の間に挿通(嵌挿)することができるようになる。
【0016】
また、凹部21cは側壁21に隣接する側壁23,24の各々の厚みの2倍より小さく幅方向の内側に凹んでいる。凹部21cの幅方向の長さdを側壁21に隣接する側壁23,24の各々の厚みtの2倍(t×2)より小さくすることで、互いに対向する一対の側壁21,22が同じ方向となるようにトップリング10を上下に積み重ねたときに、上側のトップリング10が側壁21,22の幅方向にずれたとしても、下方延出部21bの幅方向の両端部の凹部21cにより生じる側壁23,24との間の隙間は側壁23,24の厚みより小さいので、上側のトップリング10が側壁23,24の厚みtよりも大きく移動せず、上側のトップリング10が一対の側壁21,22の幅方向に傾かないようになる。なお、側壁22に形成された凹部22cは、図4に示した側壁21に形成された凹部21cと同じであるので図示して説明するのを省略する。
【0017】
図5に示したように、トップリング10を一対の側壁21,22が並ぶ方向を同じ方向(長手方向が同じ方向)となるように上下に積み重ねたときに、図3に示したように、一対の下方延出部21b,22bの外側の間の長さw1は、一対の下方延出部21b,22bを有する一対の側壁21,22の上部の内側の間の長さw2よりも短くなっているので、図6に示したように、上側のトップリング10の一対の下方延出部21b,22bは下側のトップリング10の一対の側壁21,22の上部の間に嵌挿される。下側のトップリング10の一対の側壁21,22の上部の間に嵌挿される上側のトップリング10の一対の下方延出部21b,22bは、下側のトップリング10の一対の側壁21,22の上部の内側で移動が規制され、上側のトップリング10が一対の側壁21,22が配置される方向へ滑り落ちにくくなる。
【0018】
また、図7に示したように、上側のトップリング10の側壁21の下部の下方延出部21bは幅方向の両端部が直ぐ側方に隣接する側壁23,24の上部によって幅方向への移動が規制されているだけでなく、凹部21cと隣接する側壁23,24との間の隙間gが側壁23,24の各々の厚みtより小さいので、上側のトップリング10の側壁23,24の下端が下側のトップリング10の側壁23,24の上端またはフランジ部30から内側に滑り落ちにくくなる。なお、側壁22の下部の下方延出部22bについても同様である。
【0019】
さらに、上側のトップリング10の下方延出部21b,22bが下側のトップリング10の一対の側壁21,22の上部の間に嵌挿されたときに、上側のトップリング10の一対の側壁21,22に隣接する他の側壁23,24の下端が下側のトップリング10の側壁23,24の上端またはフランジ部30に当接するので、上側のトップリング10の下方延出部21b,22bが下側のトップリング10の一対の側壁21,22の下部まで挿通されない。これにより、上側のトップリング10の下方延出部21b,22bが下側のトップリング10の一対の側壁21,22の間で強く嵌まり込むことに起因して、上側のトップリング10が下側のトップリング10から取り外しにくくならない。
【0020】
上記のように構成したトップリング10は、卓上に形成された開口部A内に設けた加熱部により食材を加熱する無煙ロースター(ロースター)に用いられ、開口部Aの周縁部を着脱可能に覆うものである。このトップリング10は、開口部Aの下側の側方を覆う4つ(複数)の側壁21~24と、これらの4つの側壁21~24の間に形成される複数の角部を有する角形筒部20と、角形筒部の上端から外側に延出して開口部Aの外側周縁部の上面に当接するフランジ部30とを備えた、所謂、角形のトップリングである。
【0021】
このトップリング10においては、角形筒部20は互いに対向する一対の側壁21,22の下部に他の側壁23,24の下端よりも下方に延びる一対の下方延出部21b,22bを備え、一対の下方延出部21b,22bの外側の間の長さを一対の側壁21,22の上部の内側の間の長さよりも短くしている。一対の側壁21,22が並ぶ方向が同じ方向となるように、トップリング10を上下に積み重ねたときに、上側のトップリング10の一対の下方延出部21b,22bの外側の間の長さw1は、下側のトップリング10の一対の側壁21,22の上部の内側の間の長さw2よりも短いので、上側のトップリング10の一対の下方延出部21b,22bは下側のトップリング10の一対の側壁21,22の間の上部に嵌挿される。この状態では、上側のトップリング10の一対の下方延出部21b,22bは下側のトップリング10の一対の側壁21,22の上部の間で一対の側壁21,22が並ぶ方向への移動が規制されるので、上側のトップリング10が一対の側壁21,22が並ぶ方向で下側のトップリング10から滑り落ちにくくなり、トップリング10を上下に多段状に積み重ねて持ち運びやすくなる。また、トップリング10を上下に多段状に安定して積み重ねことができるので、広い保管場所を必要としないようにすることができる。
【0022】
また、一対の側壁21,22が並ぶ方向が同じ方向となるようにトップリング10を上下に積み重ねて、上側のトップリング10の一対の下方延出部21b,22bを下側のトップリング10の一対の側壁21,22の間の上部に嵌挿したときに、上側のトップリング10の一対の側壁21,22以外の他の側壁23,24の下端が下側のトップリング10の一対の側壁21,22以外の他の側壁23,24またはフランジ部30に当接することで、上側のトップリング10の一対の下方延出部21b,22bが下側のトップリング10の一対の側壁21,22の上部に嵌まり込まないようになり、上側のトップリング10は下側のトップリング10から取り外しにくくならない。
【0023】
このトップリング10においては、下方延出部21b,22bの幅方向の両端部には幅方向の内側に凹む凹部21c,22cが形成され、凹部21c,22cは下方延出部21b,22bを有する側壁21,22の両側に隣接する側壁23,24の各々の厚みtより大きく、隣接する側壁23,24の各々の厚みtの2倍より小さく形成されている。互いに対向する一対の側壁21,22が同じ方向となるようにトップリング10を上下に積み重ねたときに、凹部21c,22cは下方延出部21b,22bを有する側壁21,22の両側に隣接する側壁23,24の各々の厚みtより大きいので、上側のトップリング10の下方延出部21b,22bが凹部21c,22cによって一対の側壁21,22に隣接する側壁23,24の内側に挿通可能な状態となる。また、凹部21c,22cは下方延出部21b,22bを有する側壁21,22の両側に隣接する側壁23,24の各々の厚みtの2倍(2×t)より小さいので、下方延出部21b,22bの凹部21c,22cによって隣接する側壁23,24と間に形成される隙間gは当該隣接する側壁23,24の厚みtより小さくなり、上側のトップリング10が一対の側壁21,22の幅方向にずれても、上側のトップリング10が一対の側壁21,22に隣接する側壁23,24の厚みtの長さより大きく移動しないので、上側のトップリング10の一対の側壁21,22に隣接する側壁23,24が下側のトップリング10の一対の側壁21,22に隣接する側壁23,24またはフランジ部30に確実に当接し、上側のトップリング10が一対の側壁21,22の幅方向にずれることに起因して下側のトップリング10の内側に傾いて嵌まり込まないようになる。
【0024】
このトップリング10においては、下方延出部21b,22bを下部に有する一対の側壁21,22の各々は、下方延出部21b,22bを含めて下側に進むにしたがって角形筒部20の内側に直線的に傾斜させることで、一対の下方延出部21b,22bの外側の間の長さを一対の側壁21,22の上部の内側の間の長さよりも短くしている。このようにしたことで、トップリング10の加工に手間がかかりにくくなるだけでなく、下方延出部21b,22bを有する側壁21,22に段部が形成されないので、一対の側壁21,22に汚れが残りにくくすることができる。なお、この実施形態では、一対の側壁21,22は下方延出部21b,22bを含めて下側に進むにしたがって内側に直線的に傾斜させるようにすることで、一対の下方延出部21b,22bの外側の間の長さを一対の側壁21,22の上部の内側の間の長さよりも短くしているが、これに限られるものでなく、図8に示したように、側壁21,22を傾斜させることなく鉛直に延出させ、側壁21,22の下端部に水平方向(斜め下方であってもよい)の内側に延出する段部を形成し、段部の先端から下方に延びる下方延出部21b,22bを形成するようにしたものであってもよい。このようにしたときにも、上側のトップリング10が一対の側壁21,22が並ぶ方向で滑り落ちにくくすることができる。
【0025】
上記の実施形態のトップリング10の角形筒部20は、複数の側壁と、これらの複数の側壁の間に形成される複数の角部を有する角形筒部として平面視略長方形となっているが、これに限られるものでなく、平面視正方形としたものであってもよく、平面視四角形以上の多角形であればよく、さらに偶数の多角形、特に偶数の正多角形であるのが好ましい。また、角形筒部の各角部をアール形状として曲面形状としたものであってもよい。
【符号の説明】
【0026】
10…トップリング、20…角形筒部、21,22…一対の側壁、21b,22b…一対の下方延出部、21c,22c…凹部、23,24…隣接する側壁、30…フランジ部、A…開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9