(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】ロボット及びその直線移動制御方法、データ処理機器
(51)【国際特許分類】
H02S 40/10 20140101AFI20231020BHJP
B08B 1/04 20060101ALI20231020BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20231020BHJP
【FI】
H02S40/10
B08B1/04
G05D1/02 H
(21)【出願番号】P 2022201014
(22)【出願日】2022-12-16
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】202210469203.X
(32)【優先日】2022-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518015815
【氏名又は名称】蘇州瑞得恩光能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU RADIANT PHOTOVOLTAIC TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No. 636, Zixu Road, Xukou Township, Wuzhong Dist. Suzhou, Jiangsu 215101 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】徐 斐
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-530094(JP,A)
【文献】特開2015-144547(JP,A)
【文献】特表2022-502778(JP,A)
【文献】特表2010-521733(JP,A)
【文献】特開2019-133450(JP,A)
【文献】特開2015-138873(JP,A)
【文献】特開2019-034306(JP,A)
【文献】特表2020-518072(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111993421(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 40/10-40/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの直線移動制御方法において、
太陽光発電パネルアレイ上を所定の方向に沿って移動するように車体を備えるロボットを制御する方向設定ステップと、
前記車体の両側の、その表示内容が前記太陽光発電パネルアレイの一部であるリアルタイム画像を取得する画像取得ステップと、
前記車体の中心点を原点としてワールド座標系を確立し、
複数のフレームを含む前記リアルタイム画像に含まれる各
前記フレームの前記リアルタイム画像に対して座標変換処理を実行する座標変換ステップと、
各
前記フレームの前記リアルタイム画像から基準線を識別する基準線識別ステップと、
前記ワールド座標系で前記基準線が位置する直線の座標セットを計算する基準線座標計算ステップと、
前記基準線と前記原点とのリアルタイム距離を計算し、当該リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲内にあるかどうかを判断すると同時に、前記車体の実際の移動方向と所定の方向との夾角のリアルタイム角度を取得し、当該リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にあるかどうかを判断する距離及び角度比較ステップと、
前記リアルタイム距離が
前記所定の距離閾値範囲外にあり、前記リアルタイム角度が
前記所定の角度閾値範囲内にある場合、
距離の差が前記所定の距離閾値範囲内になるまで、
前記移動方向が左側又は右側に調整されるように前記車体を制御し、前記方向設定ステップに戻る方向調整ステップと、を含
み、
前記基準線識別ステップは、具体的に、
各前記フレームの前記リアルタイム画像から少なくとも1つの可視線分を識別するステップであって、各前記可視線分は前記リアルタイム画像における前記太陽光発電パネルアレイに含まれる1つの太陽光発電パネルの枠の映像であるステップと、
前記ワールド座標系で各前記可視線分が位置する直線の傾きと位置を計算するステップと、
前記可視線分が位置する直線から所定の傾き範囲内の傾きを有する少なくとも1つの直線を候補直線として選別するステップと、
各前記候補直線と前記原点との距離を計算するステップと、
前記候補直線から前記原点との距離が最も近い少なくとも1つの直線を前記基準線として選択するステップと、を含み、
前記基準線識別ステップにおいて、
各前記候補直線と前記原点との距離を計算するステップの後に、
各前記候補直線と前記原点との距離が前記所定の距離閾値範囲内にあるかどうかを判断し、前記所定の距離閾値範囲内でないと、当該候補直線を除外するステップをさらに含む
ことを特徴とするロボットの直線移動制御方法。
【請求項2】
前記画像取得ステップの後に、
前記リアルタイム画像の明るさが所定の明るさ閾値よりも小さいかどうかを判断し、小さいと、補助照明装置を起動し、
前記車体の両側の映像を取得するステップに戻るステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のロボットの直線移動制御方法。
【請求項3】
前記方向調整ステップは、
前記所定の距離閾値範囲に従って最大閾値及び最小閾値を取得するステップと、
前記基準線を表示するリアルタイム写真に対応するカメラの番号を取得するステップと、
前記カメラと前記車体との相対位置に基づいて、前記基準線と前記車体との相対位置を判断するステップと、
前記基準線が前記車体の左側に位置し、前記距離の差が前記最大閾値よりも大きい場合、又は前記基準線が前記車体の右側に位置し、前記距離の差が前記最小閾値よりも小さい場合、
前記移動方向が左側に調整されるように前記車体を制御するステップと、
前記基準線が前記車体の右側に位置し、前記距離の差が前記最大閾値よりも大きい場合、又は前記基準線が前記車体の左側に位置し、前記距離の差が前記最小閾値よりも小さい場合、
前記移動方向が右側に調整されるように前記車体を制御するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のロボットの直線移動制御方法。
【請求項4】
実行可能なプログラムコードを格納するためのメモリと、
前記メモリに接続されるプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記実行可能なプログラムコードを読み取って、前記実行可能なプログラムコードに対応するコンピュータプログラムを実行することにより、請求項1~
3のいずれか一項に記載のロボットの直線移動制御方法を実行することを特徴とするデータ処理機器。
【請求項5】
請求項
4に記載のデータ処理機器を備えることを特徴とするロボット。
【請求項6】
太陽光発電パネルアレイ上を移動可能な車体と、
前記車体の左右両側に配置されるカメラと、をさらに備え、
前記車体の両側の映像を収集するために、前記カメラのレンズは前記太陽光発電パネルアレイに面しており、
前記データ処理機器は、前記車体内に配置され、前記カメラに接続されることを特徴とする請求項
5に記載のロボット。
【請求項7】
前記データ処理機器に接続される補助照明装置をさらに備え、
前記カメラによって収集された映像の明るさが所定の明るさ閾値より小さいか又は等しい場合、前記補助照明装置は起動されることを特徴とする請求項
6に記載のロボット。
【請求項8】
前記データ処理機器に接続されるジャイロスコープをさらに備え、前記ジャイロスコープは、前記車体のリアルタイム移動方向をリアルタイムに取得するために使用されることを特徴とする請求項
5に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、知能ロボットの技術分野に関し、特に、ロボット及びその直線移動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーは一種の再生可能でクリーンなエネルギーである。太陽光発電技術はますます成熟しており、世界の各国で広く使用されている。しかし、太陽光発電パネルの上面は砂やホコリなどのゴミがたまりやすく、発電の効率や発電量に大きな影響を与える。したがって、パネルの表面を効率的に清掃するための自動機器が市場で必要とされる。
【0003】
太陽光発電パネルは傾斜した平面であり、清掃後に発生したゴミやホコリは上から下へ滑り落ちるので、最適な清掃方式は上から下へ1列ずつ横方向に清掃することである。清掃中では、パネルの表面を隅々と掃除してデッドコーナーを残さないようにする必要がある。繰り返し掃除する領域を最小限に抑えて、作業効率を向上させ、繰り返しの作業量を軽減する必要もあるため、ロボットが計画されたルートに従って、逸脱することなく直線移動できるようにする必要がある。
【0004】
中国特許(CN106325276B)には、傾斜面を直線走行するロボットの判定方法及び制御方法が開示され、加速度センサーのリアルタイム方向データを用いて標準方向データベースと比較している。この方法の欠点として、まず、加速度センサーの精度に対する要求が非常に高いため、ロボットのコストが高くなり、競争力に欠けること、次に、太陽光発電パネルの傾斜角度は完全に一致しておらず、同じ発電所内の異なるパネルアレイの傾斜角度も異なる可能性があるため、ロボットをパネルアレイに配置するたびに、標準方向データベースを再設定する必要があり、操作が面倒であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術に存在するロボットのコストが高く、操作が面倒という技術的問題を解決するためのロボット及びその直線移動制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明によって提供されるロボットの直線移動制御方法は、太陽光発電パネルアレイ上を所定の方向に沿って移動するように車体を備えるロボットを制御する方向設定ステップと、前記車体の両側の、その表示内容が前記太陽光発電パネルアレイの一部であるリアルタイム画像を取得する画像取得ステップと、車体の中心点を原点としてワールド座標系を確立し、各フレームの前記リアルタイム画像に対して座標変換処理を実行する座標変換ステップと、各フレームの前記リアルタイム画像から基準線を識別する基準線識別ステップと、ワールド座標系で前記基準線が位置する直線の座標セットを計算する基準線座標計算ステップと、前記基準線と前記原点とのリアルタイム距離を計算し、当該リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲内にあるかどうかを判断すると同時に、前記車体の実際の移動方向と所定の方向との夾角のリアルタイム角度を取得し、当該リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にあるかどうかを判断する距離及び角度比較ステップと、前記リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲外にあり、前記リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、前記距離の差が前記所定の距離閾値範囲内になるまで、移動方向が左側又は右側に調整されるように前記車体を制御し、前記方向設定ステップに戻る方向調整ステップと、を含む。
【0007】
さらに、前記基準線識別ステップは、具体的に、各フレームの前記リアルタイム画像から少なくとも1つの可視線分を識別するステップであって、各可視線分は前記リアルタイム画像における1つの太陽光発電パネルの枠の映像であるステップと、ワールド座標系で各可視線分が位置する直線の傾きと位置を計算するステップと、前記可視線分が位置する直線から所定の傾き範囲内の傾きを有する少なくとも1つの直線を候補直線として選別するステップと、各候補直線と前記原点との距離を計算するステップと、前記候補直線から前記原点との距離が最も近い少なくとも1つの直線を基準線として選択するステップと、を含む。
【0008】
さらに、前記基準線識別ステップにおいて、各候補直線と原点との距離を計算するステップの後に、各候補直線と原点との距離が所定の距離閾値範囲内にあるかどうかを判断し、所定の距離閾値範囲内でないと、当該候補直線を除外するステップをさらに含む。
【0009】
さらに、前記画像取得ステップの後に、前記リアルタイム画像の明るさが所定の明るさ閾値よりも小さいかどうかを判断し、小さいと、補助照明装置を起動し、車体の両側の映像を取得するステップに戻るステップをさらに含む。
【0010】
さらに、前記方向調整ステップは、前記所定の距離閾値範囲に従って最大閾値及び最小閾値を取得するステップと、前記基準線を表示するリアルタイム写真に対応するカメラの番号を取得するステップと、前記カメラと前記車体との相対位置に基づいて、前記基準線と前記車体との相対位置を判断するステップと、前記基準線が前記車体の左側に位置し、前記距離の差が前記最大閾値よりも大きい場合、又は前記基準線が前記車体の右側に位置し、前記距離の差が前記最小閾値よりも小さい場合、方向が左側に調整されるように前記車体を制御するステップと、前記基準線が前記車体の右側に位置し、前記距離の差が前記最大閾値よりも大きい場合、又は前記基準線が前記車体の左側に位置し、前記距離の差が前記最小閾値よりも小さい場合、方向が右側に調整されるように前記車体を制御するステップと、を含む。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明はさらにデータ処理機器を提供しており、実行可能なプログラムコードを格納するためのメモリと、前記メモリに接続されるプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記実行可能なプログラムコードを読み取って、前記実行可能なプログラムコードに対応するコンピュータプログラムを実行することにより、上記のロボットの直線移動制御方法を実行する。
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明はさらに上記のデータ処理機器を備えるロボットを提供する。
【0013】
さらに、前記のロボットは、太陽光発電パネルアレイ上を移動可能な車体と、前記車体の左右両側に配置されるカメラと、をさらに備え、前記車体の両側の映像を収集するために、前記カメラのレンズは前記太陽光発電パネルアレイに面しており、前記データ処理機器は、前記車体内に配置され、前記カメラに接続される。
【0014】
さらに、前記のロボットは、前記データ処理機器に接続される補助照明装置をさらに備え、前記カメラによって収集された映像の明るさが所定の明るさ閾値より小さいか又は等しい場合、前記補助照明装置は起動される。
【0015】
さらに、前記のロボットは、前記データ処理機器に接続されるジャイロスコープをさらに備え、前記ジャイロスコープは、前記車体のリアルタイム移動方向をリアルタイムに取得するために使用される。
【発明の効果】
【0016】
上記の技術手段のいずれにも、次のような利点又は有益な効果がある。即ち、提供されるロボット及びその直線移動制御方法によれば、カメラで取得したリアルタイム画像により、車体と太陽光発電パネルアレイの縁部との距離を確定し、映像識別技術によって各フレームのリアルタイム画像から基準線の位置を識別するため、基準線の識別精度が高い。ロボットは、基準線と車体との相対位置に応じて、太陽光発電パネルアレイ上を直線に沿って移動するように車体を制御し、移動中に車体が所定のルートから逸脱した場合、所定のルートに戻るように方向を自動で調整し、高度な自動化が実現される。
【0017】
前記基準線が前記車体の左側に位置し、前記距離の差が前記最大閾値よりも大きく、ジャイロスコープのリアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、又は、前記基準線が前記車体の右側に位置し、前記距離の差が前記最小閾値よりも小さく、ジャイロスコープのリアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、ロボットが所定のルートに従って太陽光発電パネル上を直線的に移動するように、方向が左側に調整されるように前記車体を制御する。
【0018】
前記基準線が前記車体の右側に位置し、前記距離の差が前記最大閾値よりも大きく、ジャイロスコープのリアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、又は、前記基準線が前記車体の左側に位置し、前記距離の差が前記最小閾値よりも小さく、ジャイロスコープのリアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、ロボットが所定のルートに従って太陽光発電パネル上を直線的に移動するように、方向が右側に調整されるように前記車体を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本出願の技術手段及び他の有益な効果は、図面と併せて以下の本出願の特定の実施形態の詳細な説明を通じて明らかになるであろう。
【
図1】本出願の実施例による太陽光発電パネルアレイを移動するロボットの構造模式図である。
【
図2】本出願の実施例によるロボットの機能図である。
【
図3】本出願の実施例によるロボットの第1視野角の構造模式図である。
【
図4】本出願の実施例によるロボットの第2視野角の構造模式図である。
【
図5】本出願の実施例によるロボットの第2視野角の構造模式図である。
【
図6】本出願の実施例によるロボットの直線移動制御方法のフローチャートである。
【
図7】本出願の実施例による基準線識別ステップのフローチャートである。
【
図8】本出願の実施例による方向調整ステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本出願の実施例における技術手段について、本出願の実施例における図面を参照しながら明確かつ完全に説明する。また、説明される実施例は本出願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではないことは言うまでもない。本出願における実施例に基づいて、当業者が創造的な努力なしに得た他の全ての実施例は、いずれも本出願の保護範囲に含まれる。
【0021】
図1に示すように、本実施例は、傾斜配置された太陽光発電パネルアレイ200に対して清掃作業を行うためのロボット100を提供しており、太陽光発電パネルアレイ200の4つの縁部線は、互いに平行な上側サイドライン21及び下側サイドライン22と、互いに平行な左側サイドライン23及び右側サイドライン24と、を含む。
図1に示すように、上側サイドライン21の延在方向は第1方向xであり、左側サイドライン23の延在方向は第2方向yである。太陽光発電パネルアレイ200は、2つ以上の太陽光発電パネル20からなるアレイ型平面構造であり、各太陽光発電パネル20の縁部には、いずれも途切れの金属枠(図示せず)が設けられ、本実施例では、太陽光発電パネル20は長方形であり、その4つの枠はいずれもアルミニウム合金で製造される。太陽光発電パネルアレイ200の4つの縁部線は、いずれも同一直線上に並んだ複数の太陽光発電パネルの枠で構成されている。
【0022】
図2に示すように、ロボット100は、車体1と、カメラ2と、補助照明装置3と、ジャイロスコープ4と、位置決めセンサー5と、データ処理機器6と、を備え、カメラ2、補助照明装置3、ジャイロスコープ4、及び位置決めセンサー5は、いずれもデータ処理機器6に接続されている。
【0023】
図1~
図5に示すように、車体1は太陽光発電パネルアレイ200上を移動することができる。車体1は、モーター11、ノーズ12及び胴体13を含み、その中、モーター11はノーズ12又は胴体13内に取り付けられて動力源を提供し、ロボット100が太陽光発電パネルアレイ200上を第1方向x又は第2方向yに沿って往復移動できるようにする。車体1の前端又は後端には清掃部が設けられ、本実施例の清掃部は好ましくは1つ又は複数のローラーブラシであり、車体1内にはローラーブラシが回動するように駆動するための制御可能なローラーブラシモーターが設けられる。
【0024】
太陽光発電パネルアレイが傾斜した平面であるため、グリップを向上させ、ロボット100がパネルから滑り落ちるのを防止するために、通常、ロボット100の底部には吸着装置が設けられる。しかしながら、隣接する2列のパネルの間には通常隙間があり、ロボット100の移動中に、当該隙間が常にロボット100の下に位置していると、吸着装置が故障する原因となる。従って、ロボット100の滑り落ちを防止するために、ロボット100は、太陽光発電パネルの各列を清掃するとき、2列のパネル間の隙間の上を移動してはいられない。
【0025】
洗浄過程中、ホコリ、ゴミ及び汚水はパネルの表面に沿って滑り落ち、洗浄効果を保証するために、ロボット100は太陽光発電パネルマトリックスの左下隅又は右下隅から起動し、太陽光発電パネルマトリックスの左側サイドライン又は右側サイドラインに沿って当該マトリックスの下端直線からその上端まで走行し、その後、第1方向xに沿って当該マトリックス上を移動し、マトリックスの縁部で左側又は右側に曲がり、第1方向xに沿ってマトリックス上を逆方向に移動し続ける。ロボット100の車体の第1方向xに移動する高さは、その前の第1方向xに移動する高さよりも低い。
【0026】
ロボット100が太陽光発電パネルアレイ200に配置される前に、太陽光発電パネルアレイ200のサイズは、ロボット100にとって未知のパラメータである。太陽光発電パネルアレイ200のサイズが異なるため、パネルアレイ上のロボット100の最適な移動ルートが異なり、同じ列のパネルでUターンする回数も異なり、その動作モードも異なる。ロボット100は、その移動中に太陽光発電パネルアレイ内の各パネルのサイズ、特にその傾斜方向におけるパネルの各列の長さを自動的に計算し、ロボット100がそのサイズに応じてパネルの各列を往復移動する回数と距離を計算し、ロボット100のUターンの回数と位置を計算し、パネルの各列の隅々まで清掃できるようにする必要がある。
【0027】
車体1が第1方向xに移動する度に通過するパネルアレイ領域を清掃通路と定義することができ、各清掃通路は清掃部(ローラーブラシ)の幅と等しいか又は小さく、車体1が清掃通路を移動するとき、その清掃部(ローラーブラシ)は当該清掃通路外まで延在する可能性がある。
【0028】
同じ列にある少なくとも1つの太陽光発電パネル20は、太陽光発電パネルアレイ200の左側から右側に延びる第1方向xに延在するN個の清掃通路に分割される。ここで、Nは、傾斜面上の当該列の太陽光発電パネル20の長さと清掃部の幅との商の整数部分に1を加えたものである。例えば、パネルの1列の長さが2メートル、ローラーブラシの幅が0.7メートル、Nが3の場合、当該列のパネルを3つの横方向の清掃通路に分割する必要があり、清掃するロボット100はデッドコーナーを残さずにパネルの列全体を掃除するためには3回も往復移動しなければならない。3つの清掃通路は、それぞれ上から第1通路、第2通路及び第3通路であり、3つの清掃通路の幅はそれぞれ0.7メートル、0.6メートル及び0.7メートルに設定することができ、車体1が中間の第2通路を走行するとき、そのローラーブラシの両端の縁部は第1通路と第3通路に延在する。
【0029】
この形態では、車体がある清掃通路を直線走行する際に、移動中に車体1が所定の方向から逸脱しないようにすることが重要な技術的問題である。
【0030】
カメラ2は、車体1の左右両側の外側壁に配置され、カメラ2のレンズは、車体1の両側の映像を収集するために太陽光発電パネルアレイ200に面している。ここで、車体1の左側にあるカメラ2が左側カメラ201であり、車体1の右側にあるカメラ2が右側カメラ202である。
【0031】
位置決めセンサー5は、車体1の左右両側に配置され、車体の底部に固定されるか、又は一端が車体1の側壁に固定され、他端が車体1の底部まで延在する。各位置決めセンサー5は1つのカメラ2と同一直線上に位置している。ここで、車体1の左側に位置する位置決めセンサー5は左側位置決めセンサー501であり、車体1の右側に位置する位置決めセンサー5は右側位置決めセンサー502であり、これら左右側の位置決めセンサーは金属センサー5であり、データ処理機器6と通信接続が確立される。金属センサー5は、一定の距離内の金属物質を検出するために使用され、検出範囲が小さく、感度が高いという特徴を有し、一般的な検出範囲は数十ミリメートルである。
【0032】
金属センサー5と金属枠との間の距離が所定の閾値(本実施例では、この所定の閾値は2.5センチメートルである)よりも小さい場合、電気信号が生成され、当該電気信号をデータ処理機器6に送信する。本実施例では、金属センサー5と太陽光発電パネル20との間の垂直距離は約2センチメートルである。即ち、金属センサー5が金属枠の真上に位置する場合、太陽光発電パネル上の金属センサー5の投影は金属枠に位置し、金属センサー5内で電気信号を生成することができる。
【0033】
ロボット100は、太陽光発電パネルアレイの左下隅又は右下隅に最初に配置され、車体が最初に起動した後、車体は第2方向yに沿って直線移動すべきであり、車体の左側又は右側にある金属センサー55は、常に太陽光発電パネルアレイの複数の金属枠が位置する左側サイドライン又は右側サイドラインの真上に位置する。
【0034】
車体1が太陽光発電パネルアレイ200の上側サイドライン又は下側サイドラインまで走行すると、車体1は自動的に方向を変えるか、又はUターンし、第1方向xに沿って直線移動し、車体1の左側又は右側にある金属センサー5は、常に太陽光発電パネルアレイ200の上側サイドライン又は下側サイドラインの金属枠の真上に位置する。
【0035】
太陽光発電パネルアレイ200中の複数の太陽光発電パネル20の間には隙間があるが、その隙間の幅は小さく、金属センサー5が隙間の真上に位置しても、隙間の両側の金属枠を感知することができる。従って、車体1がアレイのサイドラインで太陽光発電パネルアレイのサイドラインに沿って直線移動する限り、金属センサー5の感知範囲内には常に金属枠が存在し、金属センサー5は継続して電気信号を生成する。
【0036】
車体1が所定の移動方向から外れる場合、太陽光発電パネル20の上面の金属センサー5の投影は金属枠の外側にあり、金属センサー5の有効感知範囲内に金属がないと、金属センサー5は電気信号を生成できない。データ処理機器6は、ロボット100の制御システムを含み、金属センサー5のリアルタイム信号状況に応じて、車体1が直線に沿って移動するか否かをモニタリングし、車体1が移動中に外れるかどうかをリアルタイムで判断し、外れている場合、適切に方向を調整して元の移動ルートに戻せる。
【0037】
上記の方法は、ロボット100が太陽光発電パネルアレイ200のサイドラインに沿ってまっすぐ移動する状況にのみ適し、ロボット100が太陽光発電パネルアレイ200の中部を移動する必要がある場合、その左右両側の金属センサー5はいずれも金属枠の真上に位置してはいられない。このとき、ロボット100の基準線となる他の直線を少なくとも1本求める必要がある。
【0038】
ロボット100が太陽光発電パネルアレイ200の中部を移動している場合、その左右両側の2つのカメラは太陽光発電パネルアレイの1本又は2本のサイドラインの映像をリアルタイムで収集することができ、データ処理機器6は、適切なアルゴリズムを使用して、リアルタイム写真内のサイドラインの映像に対して座標変換処理を実行して、ロボット100の移動中に、車体1の中心点とサイドラインとのリアルタイム距離をリアルタイムで取得する。太陽光発電パネルアレイのサイドラインを基準線として、車体1と基準線との距離が一定であるかどうかを判断することができ、一定であると、車体1が所定の方向に沿って直線移動していることを意味し、大きくなったり小さくなったりすると、データ処理機器6は車体1を制御してその移動方向を適切に調整することができる。
【0039】
本実施例では、太陽光発電パネル20の清掃過程中に、カメラ2又は位置決めセンサー5を単独で使用して車体1が所定のルートから外れているかどうかを判断することができ、もちろんカメラ2及び位置決めセンサー5を同時に使用してもよい。
【0040】
本実施例によって提供されるロボット100は、カメラ2により車体1の両側の画像をリアルタイムで収集し、各フレームのリアルタイム画像に対して座標変換による座標変換処理を行い、画像中の太陽光発電パネルアレイのサイドラインの座標をワールド座標系の座標に変換して、車体1とその左右両側の太陽光発電パネルアレイ200のサイドラインとの間の距離を求め、ロボット100が太陽光発電パネル20上を所定のルートに従って直線移動するようにする。
【0041】
同じ列の少なくとも1つの太陽光発電パネル20が第1方向に延びる3つ以上の清掃通路に分割できる場合、ロボット100は当該列の太陽光発電パネルアレイ200上を横方向に3回以上往復移動する必要がある。
【0042】
具体的に、
図1に示すように、ロボット100が太陽光発電パネルアレイ200を清掃するために第1方向xに沿って移動している間、ロボット100が太陽光発電パネル20の上側金属枠と下側金属枠に近づくと、即ちロボット100が太陽光発電パネル20の最初の清掃通路と最後の清掃通路に位置すると、位置決めセンサー5を介して太陽光発電パネルアレイ200上の車体1の位置をリアルタイムで取得することができる。ロボット100が他の清掃通路に位置すると、カメラ2を介して車体1の両側の画像をリアルタイムで収集することができ、それによって、太陽光発電パネルアレイ200上の車体1の位置をリアルタイムで取得することができる。もちろん、太陽光発電パネルアレイ200全体を清掃している間、ロボット100は、位置決めセンサー5ではなくカメラ2のみを使用して太陽光発電パネルアレイ200上の車体1の位置をリアルタイムで取得することができる。理論的には、ロボット100が1つの基準線を見つけた場合、直線移動するように保証でき、当該基準線はカメラによって収集してもよく、金属センサー5によって収集してもよい。映像識別と金属識別の精度問題を考慮して、2つの基準線を同時に使用して方向を補正することで、精度を向上させ、識別エラーを減らしてもよい。
【0043】
日中の太陽光が十分な場合、太陽光発電パネルアレイ200は正常に動作する必要があるが、ロボット100によるパネルの洗浄作業は、太陽光発電パネルアレイ200の発電効率にある程度の影響を与えてしまう。従って、太陽光発電パネルの洗浄作業は夜間に完了してもよいが、夜間はパネルアレイ200の表面の光が不十分であると、カメラ2により収集されるパネル映像の明るさに影響を与える。映像の明るさが不十分であると、映像識別の精度が低下し、車体の直線移動が保証できないため、本実施例では、特別に2つの補助照明装置3が設けられ、2つのカメラ2の傍にそれぞれ位置され、それらの向きはカメラ2の向きと一致する。
【0044】
カメラ2によって収集された映像の明るさが所定の明るさ閾値より小さいか又は等しい場合、データ処理機器6は制御コマンドを送信して補助照明装置3を起動させ、逆に、映像の明るさが所定の明るさ閾値よりも大きい場合、補助照明装置3を起動する必要がない。補助照明装置3はフラッシュランプであり、ユーザーは、補助照明装置3が点滅しているかどうかによって補助照明装置3が動作状態にあるかどうかを判断することができ、補助照明装置3が点滅状態にある場合、補助照明装置3が動作状態にあることを意味し、補助照明装置3が消灯状態にある場合、補助照明装置3がシャットダウン又はスタンバイ状態にあることを意味する。従って、当該補助照明装置3は、ロボット100が低照度環境で太陽光発電パネルアレイ200を直線移動できないという問題を十分に解決し、ロボット100が夜間に正常に作業できるようにすることができる。
【0045】
ジャイロスコープ4は、車体1内に設けられ、車体1のリアルタイム移動方向、すなわち車の向きをリアルタイムで取得するために使用され、データ処理機器6に車体1のリアルタイムの角度を伝送することができる。ジャイロスコープ4は、光ファイバージャイロスコープ又はレーザージャイロスコープであってもよい。本実施例では、車体1のリアルタイム移動方向を取得するためにジャイロスコープ4を使用することに加えて、車体1のリアルタイム移動方向を取得してデータ処理機器6に車体1のリアルタイムの角度を伝送できれば、他のセンサーを代わりに使用してもよく、ここでは特別な制限はない。
【0046】
データ処理機器6は車体1内に設けられ、データ処理機器6はメモリ52及びプロセッサ51を備える。具体的に、メモリ52は、実行可能なプログラムコードを格納するために使用される。プロセッサ51は、メモリ52に接続され、実行可能なプログラムコードを読み取ることによって、実行可能なプログラムコードに対応するコンピュータプログラムを稼働させ、後述するロボット100の直線移動制御方法を実行する。
【0047】
本実施例によって提供されるロボット100は、カメラを使用して車体1の両側のリアルタイム画像を取得し、当該リアルタイム画像によって車体1と太陽光発電パネルの縁部との距離を確定し、ジャイロスコープによって取得されたリアルタイム角度とのデータ融合を行う。即ち、各フレームのリアルタイム画像中の基準線と原点とのリアルタイム距離を算出し、同時に車体1の時間移動方向と所定の方向との夾角のリアルタイム角度を取得し、リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲外であり、リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内である場合、距離の差が所定の距離閾値範囲内になるまで、移動方向が左側又は右側に調整されるように車体を制御し、ロボット100が所定のルートに従って太陽光発電パネルアレイ200上を直線移動できるように確保する。
【0048】
図6に示すように、本実施例は、次のようなステップS1)~S8)を含む前記ロボット100の直線移動制御方法を提供する。
【0049】
S1)方向設定ステップであって、ロボット100を制御して太陽光発電パネルアレイ200上を所定の方向に沿って移動させる。ロボット100は、車体1を備え、その左右両側にはカメラ2が設けられ、アレイのサイドラインが撮影できるように太陽光発電パネルアレイ200に面している。
【0050】
図1に示すように、ロボット100は太陽光発電パネルアレイ200上を第1方向xに沿って移動し、左側カメラ201は車体1の上側サイドライン21に近い側に配置され、右側カメラ202は車体1の上側サイドライン21から離れた側に配置される。ジャイロスコープ4は、ロボット100の移動中に車体1のリアルタイム移動方向をリアルタイムで取得するために使用される。
【0051】
S2)画像取得ステップであって、前記車体1両側の、その表示内容が前記太陽光発電パネルアレイ200の一部であるリアルタイム画像を取得する。
【0052】
具体的に、左側カメラ201は車体1の左側のリアルタイム画像を取得し、右側カメラ202は車体1の右側のリアルタイム画像を取得し、左側カメラ201及び右側カメラ202は取得したリアルタイム画像を出力処理機器に伝送する。
【0053】
S3)前記リアルタイム画像の明るさが所定の明るさ閾値よりも小さいかどうかを判断し、小さいと、S41)補助照明装置3を起動し、車体1の両側の映像を取得するステップに戻る。
【0054】
具体的に、出力処理機器は、取得したリアルタイム画像をモデル変化し、さらに当該リアルタイム画像の明るさが設定された閾値範囲内にあるか否かを判断し、リアルタイム画像の明るさが所定の明るさ閾値よりも小さいと、車体1に配置されている補助照明装置3を起動し、それ以外の場合は、次のステップを実行する。当該補助照明装置3は、ロボット100が低照度環境で太陽光発電パネルアレイ200を直線移動できないという問題を十分に解決することができる。
【0055】
S4)座標変換ステップであって、前記車体1の中心点を原点としてワールド座標系を確立し、各フレームの前記リアルタイム画像に対して座標変換処理を実行して、パネルアレイ200の上面のシーンに基本的に一致する映像パラメータ、即ちワールド座標を得る。
【0056】
【0057】
【0058】
従って、車体1の左右両側のカメラ201によって収集されたリアルタイム画像に基づいて、上記の透視変換式により、車体1の中心点を原点として、ワールド座標系を確立し、各フレームのリアルタイム画像をワールド座標系での画像に変換し、変換後、画像内の各画素点と画像の原点との間の距離がワールド座標系での実際の物理的距離である。
【0059】
S5)基準線識別ステップであって、各フレームの前記リアルタイム画像から基準線を識別し、各フレームの座標変換後の映像パラメータからワールド座標系における基準線上の各画素点の座標を求める。太陽光発電パネルアレイ200のリアルタイム映像において、太陽光発電パネル20は、一般に、黒色、濃青色、又は濃灰色などの暗い色であり、パネル枠は、一般に銀白色のアルミニウム合金材質である。映像のコントラストは非常に明確であるが、枠には一定の幅があるため、枠の2本のサイドラインはそれぞれ内側サイドラインと外側サイドラインであり、識別の精度を向上させるために、太陽光発電パネル20の上面に直接繋がる内側サイドラインを基準線として使用することが好ましい。
【0060】
S6)基準線座標計算ステップであって、ワールド座標系で前記基準線が位置する直線の座標セットを計算し、各フレームの座標変換後の映像パラメータからワールド座標系で基準線が位置する直線の座標セットを求める。
【0061】
S7)距離及び角度比較ステップであって、前記基準線と前記原点とのリアルタイム距離を計算し、当該リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲内にあるかどうかを判断すると同時に、前記車体1の実際の移動方向と所定の方向との夾角のリアルタイム角度を取得し、当該リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にあるかどうかを判断する。
【0062】
具体的に、作業中、ロボット100は、ジャイロスコープ4を使用して車体1のリアルタイム進行方向、即ち車の向きを取得し、この方向を所定の方向と比較することで、車体1の実際の移動方向と所定の方向との夾角のリアルタイム角度(即ち、ジャイロスコープのリアルタイム角度)を取得し、当該リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にあるかどうかを判断する。当該リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にあるということは、車体1のリアルタイム進行方向にずれがなく、車体1の移動方向を調整する必要がないことを意味する。当該リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にないと、車体1のリアルタイム進行方向がずれており、車体1の移動方向を調整する必要があることを意味する(即ち、次のステップに移行する)。車体1のリアルタイム進行方向を調整する過程で、車体1のリアルタイム進行方向も、全体として上又は下に移動するなど、前述した所定のルートから逸脱する可能性がある。このとき、車体1から両側の基準線までの距離が元とは異なるため、基準線と原点とのリアルタイム距離を計算し、当該リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲内にあるかどうかを判断する必要がある。当該リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲内にあるということは、車体1のリアルタイム進行方向が前述した所定のルートから逸脱していないことを意味する。当該リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲内にないと、車体1のリアルタイム進行方向が前述した所定のルートから逸脱しており、車体1から両側の基準線及び原点までのリアルタイム距離を調整する必要があることを意味する(即ち、次のステップに移行する)。
【0063】
S8)方向調整ステップであって、前記リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にあるかどうかをリアルタイムで判断すると同時に、前記リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲内にあるかどうかをリアルタイムで判断する。
【0064】
前記リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲外であるということは、車体1が、その時点で所定の方向から大きく逸脱していることを意味し、車体1の大幅な横滑り事故が原因である可能性があり、その移動方向が所定の方向と一致し、前記リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にあるように、移動方向が左側又は右側に調整されるように前記車体1を制御する必要がある。いくつかの実施例では、まず車体1の位置が所定の清掃通路内にあるかどうかを判断し、所定の清掃通路内にないと、車体1を調整してその所定のルートに戻り、横滑り事故が発生する前の位置に戻り、その後に、前記車体1を制御してその移動方向が所定の方向と一致するように移動方向を左側又は右側に調整してもよい。
【0065】
前記リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲外であり、前記リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、この時点で車体1が全体として逸脱しているが、車の向きは基本的に正しいことを意味する。前記距離の差が前記所定の距離閾値範囲内になるまで、移動方向が左側又は右側に調整されるように前記車体1を制御し、前記方向設定ステップS1)に戻る。例えば、車体が太陽光発電パネルアレイの右側サイドラインから左側サイドラインへの第1方向xで横方向に走行している間、左側カメラ201は車体と下側サイドラインとの第1距離をリアルタイムで検出し、右側カメラは車体と上側サイドラインとの第2距離をリアルタイムで検出する。車体が第1方向でずっと直線的に移動している場合、第1距離と第2距離は所定の距離閾値範囲内にのみ収まる。第1距離が大きくなり、第2距離が小さくなると、車体が右側に偏り、左側に調整する必要があることを意味し、データ処理機器は、車体を左に曲がるように制御するコマンドを発し、第1距離と第2距離が所定の距離閾値範囲内に戻ると、方向を再度調整して、所定の方向に沿って移動するように車体を制御する。同様に、第1距離が小さくなり、第2距離が大きくなると、車体が左側に偏り、右側に調整する必要があることを意味し、データ処理機器は、車体を右にまがるように制御するコマンドを発し、第1距離と第2距離が所定の距離閾値範囲内に戻ると、方向を再度調整して、所定の方向に沿って移動するように車体を制御する。
【0066】
前記リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲内にあり、前記リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、この時点で車体1が逸脱していないことを意味し、車の向きも基本的に正しく、方向調整を行う必要がなく、前記方向設定ステップS1)に戻る。
【0067】
図7に示すように、S5)基準線識別ステップには、具体的に次のステップが含まれる。
【0068】
S501):各フレームの前記リアルタイム画像から少なくとも1つの可視線分を識別する。各可視線分は前記リアルタイム画像における1つの太陽光発電パネル20の枠の映像である。太陽光発電パネルは暗色であり、パネル枠は銀白色であり、画像の二値化処理後、パネル枠に対応する可視線分は非常に明らかである。枠は一定の幅があるため、枠の2本のサイドラインはそれぞれ内側サイドラインと外側サイドラインであり、太陽光発電パネルの上面に直接繋がる内側サイドラインを基準線として使用することが好ましく、識別の精度を向上させるために、両者の色の違いをより明確にする。
【0069】
S502):ワールド座標系で各可視線分が位置する直線の傾きと位置を計算する。
【0070】
きと位置を求める。カメラの視野内では、太陽光発電パネルアレイ200の4つの方向における枠がいずれもはっきりと見える。従って、このステップにおいて、データ処理機器6は、カメラを介して車体1の左右の側壁の延在方向に平行な2本のサイドラインでの少なくとも1つのパネル枠を識別することができ、車体1の左右の側壁の延在方向に垂直な2本のサイドラインでの一部のパネル枠を識別することもできる。例えば、車体1が太陽光発電パネルアレイ200の右側サイドラインから左側サイドラインへの第1方向xで横方向に走行している間、左側カメラ201は太陽光発電パネルアレイ200の下側サイドラインの映像をリアルタイムで収集し、右側カメラ202はパネルアレイ200の上側サイドラインの映像をリアルタイムで収集する。しかし、左側カメラ201及び右側カメラ202は、いずれも太陽光発電パネルアレイ200の左側サイドライン及び右側サイドラインの一部の映像を収集することができる。
【0071】
S503):前記可視線分が位置する直線から所定の傾き範囲内の傾きを有する少なくとも1つの直線を候補直線として選別する。本実施例で言及される基準線は、車体の左右の側壁の延在方向に平行な2本のサイドラインであり、車体の左右の側壁の延在方向に垂直な2本のサイドラインは基準線とすることができないため、干渉を排除するために選別する必要がある。所定の傾き範囲は、車体1の左右の側壁の延在方向に平行な直線の傾きを中心とし、前後方向でそれぞれ3~5%程度ずれた傾き範囲である。
【0072】
S504):各候補直線と前記原点との距離を計算する。
【0073】
具体的に、データ処理機器6によって各候補直線と原点との間の距離を計算する。車体1は一定のサイズを有し、原点は車体1の中心点であるため、候補直線から原点までの距離を車体1と候補直線との距離として定義することができる。
【0074】
S505):各候補直線と原点との距離が所定の距離閾値範囲内にあるかどうかを判断し、所定の距離閾値範囲内でないと、S507)当該候補直線を除外する。太陽光発電所では、空間利用を改善するために、複数の太陽光発電パネル20のマトリックス間の距離が比較的近くなり、カメラの視野内には、車体1が位置する太陽光発電パネルマトリックスの枠の映像に加えて、他の太陽光発電パネルのマトリックスの枠の一部の映像も表示される場合がある。これらの枠は候補直線としても識別される可能性があるが、車体1の移動中にこれらの枠を撮影できない場合があり、その延在方向及び車体1との距離は、車体1にとってあまり参考にならないので、削除する必要がある。太陽光発電パネルアレイ200上に直線状の薄色の雑貨がある場合、それらも候補直線として識別される可能性があるが、その延在方向も参考にならないので、干渉を排除するために削除されるべきである。
【0075】
S506):前記候補直線から前記原点との距離が最も近い少なくとも1つの直線を基準線として選択する。ステップS505)において、干渉となる可能性のある全ての直線が除去された後、残りの候補直線は、車体1の左右の側壁の延在方向に平行な2本の枠の内側サイドライン及び外側サイドラインのみであり、外側サイドラインの近くには他の背景パターンがある可能性があるため、太陽光発電パネル20に直接繋がる内側サイドラインであることが好ましい。従って、コントラストが明らかで、境界が明瞭である。
【0076】
図8に示すように、S8)前記方向調整ステップには、次のようなステップが含まれる。
【0077】
S801):前記所定の距離閾値範囲に従って最大閾値及び最小閾値を取得する。
【0078】
S802):前記基準線を表示するリアルタイム画像に対応するカメラ(左側カメラ201又は右側カメラ202)の番号を取得する。具体的に、基準線を表示するリアルタイム画像に対応する各カメラ2に番号を付け、前記基準線を撮影しているカメラが車体の左側にあるか右側にあるかを判断する。
【0079】
S803):前記カメラと前記車体との相対位置に基づいて、前記基準線と前記車体1との相対位置を判断し、前記基準線を表示するリアルタイム画像が車体の左側のものか右側のものかを判断する。
【0080】
前記基準線が前記車体1の左側にあると、S811):前記距離の差が前記最大閾値よりも大きいかどうかを判断し、大きい場合、S812)左側に方向を調整し、大きくない場合、S813)前記距離の差が前記最小閾値よりも小さいかどうかを判断し、小さい場合、S814)右側に方向を調整し、小さくない場合、S815)方向を調整しない。
【0081】
前記基準線が前記車体1の右側にあると、S821):前記距離の差が前記最大閾値よりも大きいかどうかを判断し、大きい場合、S822)右側に方向を調整し、大きくない場合、S823)前記距離の差が前記最小閾値よりも小さいかどうかを判断し、小さい場合、S824)左側に方向を調整し、小さくない場合、S825)方向を調整しない。
【0082】
従って、上記のステップの調整により、ロボット100は所定の移動閾値範囲内で直線的に移動し続けることができる。
【0083】
上記のステップS811~814は、ステップS821~824と同期して実行され、他の実施例では順次実行されてもよい。ステップS811とステップS813は順次実行され、他の実施例では同期して実行されてもよい。ステップS821とステップS823は順次実行され、他の実施例では同期して実行されてもよい。
【0084】
本実施例によって提供されるロボット100の直線移動制御方法は、カメラで取得したリアルタイム画像により、車体1と太陽光発電パネルアレイ200の縁部との間の距離を確定し、座標変換によって各フレームのリアルタイム画像から基準線を識別する。
【0085】
前記基準線が前記車体1の左側に位置し、前記距離の差が前記最大閾値よりも大きく、ジャイロスコープ4のリアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、又は、前記基準線が前記車体の右側に位置し、前記距離の差が前記最小閾値よりも小さく、ジャイロスコープのリアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、方向が左側に調整されるように前記車体1を制御する。
【0086】
前記基準線が前記車体の右側に位置し、前記距離の差が前記最大閾値よりも大きく、ジャイロスコープのリアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、又は、前記基準線が前記車体の左側に位置し、前記距離の差が前記最小閾値よりも小さく、ジャイロスコープ4のリアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、方向が右側に調整されるように前記車体を制御する。
【0087】
そのため、ロボット100は所定のルートに従って太陽光発電パネル20上を直進し、高い識別精度と高度な自動化を実現する。
【0088】
以上では、本出願の実施例によって提供されるロボット及びその直線移動制御方法を詳細に説明しており、本明細書では特定の例を使用して本出願の原理及び実施形態を説明し、上記の実施例の説明は、本出願の技術手段及びその核となる構想の理解を助けるためにのみ使用され、当業者であれば、前述の各実施例に記載された技術手段に依然として修正を加えることができること、又はその技術的特徴の一部に対して同等の置換を実行することができ、これらの修正又は置換は、対応する技術手段の本質を、本出願の各実施例の技術手段の範囲から逸脱させないことを理解されるべきである。
【符号の説明】
【0089】
100 ロボット、200 太陽光発電パネルアレイ、1 車体、2 カメラ、3 補助照明装置、4 ジャイロスコープ、5 位置決めセンサー、6 データ処理機器、20 太陽光発電パネル、21 上側サイドライン、22 下側サイドライン、23 左側サイドライン、24 右側サイドライン、51 プロセッサ、52 メモリ、11 モーター、12 ノーズ、13 胴体。
【要約】 (修正有)
【課題】ロボット及びその直線移動制御方法を提供する。
【解決手段】カメラで取得したリアルタイム画像により、車体と太陽光発電パネルアレイの縁部との距離を確定し、座標の変化によって各フレームのリアルタイム画像から基準線を識別し、前記基準線と前記原点とのリアルタイム距離を計算し、リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲内にあるかどうかを判断し、前記車体の実際の移動方向と所定の方向との夾角のリアルタイム角度を取得し、当該リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にあるかどうかを判断し、前記リアルタイム距離が所定の距離閾値範囲外にあり、前記リアルタイム角度が所定の角度閾値範囲内にある場合、前記距離の差が前記所定の距離閾値範囲内になるまで、移動方向が左側又は右側に調整されるように前記車体を制御する。そのため、ロボットは所定のルートに従って太陽光発電パネル上を直進し、高い識別精度と高度な自動化を実現する。
【選択図】
図6