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  • 特許-基板処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20231020BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
H01L21/30 572B
H01L21/304 643A
H01L21/304 648F
H01L21/304 648K
H01L21/304 647Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023029373
(22)【出願日】2023-02-28
【審査請求日】2023-03-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513194894
【氏名又は名称】ミクロエース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】永井 達夫
(72)【発明者】
【氏名】宮本 賢司
(72)【発明者】
【氏名】永江 隆治
(72)【発明者】
【氏名】中村 賢太郎
【審査官】三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-167560(JP,A)
【文献】特開2007-103518(JP,A)
【文献】特開2017-005142(JP,A)
【文献】特開2006-114880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉式洗浄機を使用して基板表面のフォトレジスト膜を処理液により除去する基板処理方法において、枚葉式洗浄機内で前記基板を保持し、前記基板の面と交差する軸で前記基板を回転させるとともに、前記基板の表面に前記処理液として加熱部によって加熱された硫酸溶液を放出し、前記基板から離脱したフォトレジストを含む硫酸溶液を回収し、回収した前記硫酸溶液を電気分解してフォトレジストを分解し、前記フォトレジストが分解された前記硫酸溶液を再び枚葉式洗浄機に戻し基板の表面のフォトレジスト膜の除去に使用し、
前記基板に放出する硫酸溶液の硫酸濃度が85質量%~96質量%であり、
前記基板に放出する硫酸溶液の温度が、前記硫酸溶液の硫酸濃度が95質量%超~96質量%では130℃~200℃とし、硫酸濃度が90質量%超~95質量%では150~200℃とし、硫酸濃度が85質量%~90質量%では170~200℃とし、
前記基板に放出する前記硫酸溶液中の酸化剤濃度を前記加熱部による加熱の前において0.5g/L未満とすることを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
前記硫酸溶液の放出をノズルからの吐出により行う請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
回収した前記硫酸溶液を20℃~60℃に冷却し、前記電気分解をすることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記電気分解を行った硫酸溶液を、所定径の粒子を取り除くフィルターを通過させることを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液を用いて基板を処理する技術に関し、例えば基板表面のフォトレジスト膜を処理液により除去する枚葉式洗浄機における基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板やガラス基板等の各種基板の表面処理を目的として、基板を処理液により洗浄処理することが広く行われている。例えば半導体基板の表面に形成されているフォトレジスト膜を剥離除去するプロセスでは、処理液として濃硫酸と過酸化水素水との混合液(硫酸過酸化水素水、Sulfuric acid and hydrogen Peroxide Mixture:SPM)が使われる。例えば特許文献1に記載の技術では、枚葉式洗浄機において、基板が水平姿勢に保持されて所定速度で回転され、その上方に配置されたノズルからSPMが吐出される。
【0003】
SPMとは、式(1)に示す硫酸と過酸化水素の反応によって生成されるペルオキソ一硫酸(HSO)という酸化剤を利用するもので、一旦フォトレジスト膜の除去に使用されるとペルオキソ一硫酸は消費され無くなる。よって、この使用された溶液を再利用するためには、再び過酸化水素を添加する必要がある。しかし、式(1)からわかるように、過酸化水素を添加するとHO(水)が副生され、硫酸濃度が低下する。
SO + H → HSO + HO 式(1)
【0004】
硫酸濃度が低下するとフォトレジスト膜の除去性能が大きく低下するため、過酸化水素を添加して再利用する回数は1回もしくは2回程度となる。また、過酸化水素を添加しての再利用では最初のSPMとは硫酸濃度が異なるため、ものづくりは同じ工程でなされるべきとの観点から、一度の使用でSPMを廃棄される半導体メーカーが多く、フォトレジスト膜の除去に大量の硫酸と過酸化水素水を使用している。その薬剤の購入費用及び廃液処理に要する費用が大きく、半導体の価格を押し上げている。
【0005】
また、半導体製造装置には、バッチ式と枚葉式の大きく分けて2つのタイプがある。バッチ式は多数の基板を同時にまとめて処理するタイプで、一方、枚葉式は1枚ずつ処理していくタイプである。
近年は1つの製品をたくさん作る少品種大量生産よりも、沢山の種類の製品を少数作る多品種少量生産の流れになってきていることから、バッチ式のメリットが活かせなくなってきている。また、半導体IC回路の線幅も細くなってきたため、微粒子等の不純物の寸法は小さく、かつ単位面積当たりに付着する量も少なくすることを求められている。そこで、製造装置、特に洗浄装置では枚葉式の採用が増えている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5127325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1にあるように、SPMは硫酸1に対し0.1から0.35の流量の比率で過酸化水素水を混合する。この混合後の硫酸濃度は、76.9質量%から87.8質量%となる。
本願発明者は、硫酸溶液は硫酸濃度が低いと親水性を、濃度が高くなると疎水性を帯び、75質量%を超えるとフォトレジストを溶解できるということ、次に硫酸濃度が低いほど硫酸温度を高める必要があることの知見を得ている。さらには、SPMのように酸化剤が存在する処理液を使用するとフォトレジストを除去できる硫酸濃度もしくは硫酸温度を低くする方向に働くことも知見として得ている。
酸化剤を含まない硫酸を処理液として使用する場合、硫酸濃度もしくは硫酸温度を若干高める必要はあるが、フォトレジストを効果的に溶解することができる。しかし溶解するだけなので、繰り返し使用するためには硫酸からフォトレジストを二酸化炭素と水に分解する必要がある。
【0008】
フォトレジストを溶解した硫酸を電気分解すると、陽極で式(2)に示す反応によりペルオキソ二硫酸(H、酸化還元電位2.01V)というSPMで得られるペルオキソ一硫酸(酸化還元電位1.81V)よりも酸化還元電位の高い強酸化剤を生成することができる(図2参照)。
2HSO → H + 2H + 2e 式(2)
このペルオキソ二硫酸を高温にすると式(3)によって硫酸ラジカルとなり、硫酸中に溶解したフォトレジスト(Rとする)を式(4)にように有機物ラジカルに変化させ、反応性を高め、最終的に二酸化炭素と水に分解する。
2- → 2SO ・ 式(3)
SO ・ + R → R・ + HSO 式(4)
フォトレジストを除去した硫酸は、再びフォトレジスト膜の除去に使用することができ、る。
【0009】
本発明は上記事情を背景としてなされたものであり、フォトレジスト等を基板から取り除いた硫酸溶液を繰り返し使用することを可能にする基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の基板処理方法のうち、第一の形態は、 枚葉式洗浄機を使用して基板表面のフォトレジスト膜を処理液により除去する基板処理方法において、枚葉式洗浄機内で前記基板を保持し、前記基板の面と交差する軸で前記基板を回転させるとともに、前記基板の表面に前記処理液として加熱部によって加熱された硫酸溶液を放出し、前記基板から離脱したフォトレジストを含む硫酸溶液を回収し、回収した前記硫酸溶液を電気分解してフォトレジストを分解し、前記フォトレジストが分解された前記硫酸溶液を再び枚葉式洗浄機に戻し基板の表面のフォトレジスト膜の除去に使用し、
前記基板に放出する硫酸溶液の硫酸濃度が85質量%~96質量%であり、
前記基板に放出する硫酸溶液の温度が、前記硫酸溶液の硫酸濃度が95質量%超~96質量%では130℃~200℃とし、硫酸濃度が90質量%超~95質量%では150~200℃とし、硫酸濃度が85質量%~90質量%では170~200℃とし、
前記基板に放出する前記硫酸溶液中の酸化剤濃度を前記加熱部による加熱の前において0.5g/L未満とすることを特徴とする。
【0011】
他の形態の基板処理方法の発明は、前記形態の発明において、前記硫酸溶液の放出をノズルからの吐出により行う。
【0012】
他の形態の基板処理方法の発明は、前記形態の発明において、回収した前記硫酸溶液を20℃~60℃に冷却し、前記電気分解をすることを特徴とする。
【0014】
以下に、本発明で規定する内容について説明する。
硫酸濃度:85質量%~96質量%
本願発明としてはフォトレジスト膜の除去に際し、硫酸溶液の濃度が特定の範囲に限定されるものではないが、硫酸濃度は85質量%~96質量%が望ましい。硫酸濃度が低すぎると硫酸溶液の疎水性が弱くなり、フォトレジストの溶解速度が遅くなる。また、硫酸溶液濃度が高すぎることに問題はないが、半導体用に市販されている硫酸濃度が96質量%である。
【0015】
硫酸溶液温度:130℃~200℃
本願発明としてはフォトレジスト膜の除去に際し、硫酸溶液の温度が特定の範囲に限定されるものではないが、130℃~200℃とするのが望ましい。硫酸溶液の温度が低すぎるとフォトレジストの溶解速度が遅くなり、硫酸溶液の温度が高すぎると加熱部の負荷が大きくなるだけでなく、枚葉式洗浄機に使用している各部品を耐熱性の高いものに選定し直す必要が出てくる。
硫酸溶液の硫酸濃度が95質量%超~96質量%では130℃~200℃とし、硫酸濃度が90質量%超~95質量%では150~200℃とし、硫酸濃度が85質量%~90質量%では170~200℃とするのが望ましい。
【0016】
電気分解時の硫酸溶液温度:20℃~60℃
フォトレジスト膜が除去された硫酸溶液は、電気分解を行う際に、20℃~60℃とするのが望ましい。硫酸溶液の温度が低すぎると、硫酸イオンの拡散速度が遅いためペルオキソ二硫酸の生成速度が遅くなる。また、硫酸溶液の温度が高すぎると、硫酸溶液中物質の拡散速度が速くなり、生成したペルオキソ二硫酸が陰極にて還元され、ペルオキソ二硫酸濃度を高めることができないためである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した本発明によれば、枚葉式洗浄機内で回転する基板表面に硫酸溶液が接触することでフォトレジスト膜を効果的に除去することができ、除去されたフォトレジストを含む硫酸溶液は電気分解によってフォトレジストが分解され、電気分解された硫酸溶液は再度基板の処理に用いることができる。これによりフォトレジスト膜の除去性能は変わらないまま、硫酸溶液を循環使用することができ、薬液の大幅な削減を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に用いられる装置の一例を示す模式的な構図である。
図2】酸化還元電位の一例である。
図3】ヒ素のプルベイ線図である。
図4】酸化剤濃度と酸化還元電位との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
処理システム1は、薬液によって基板の処理を行う枚葉式洗浄機2と、使用する薬剤を回収するために集液する構成を有している。
【0020】
枚葉式洗浄機2には、半導体の製造に用いる基板100を、表面が水平になるように保持して縦方向の回転軸で回転することができる基板保持部3を有しており、保持された基板100の上方に位置して下方に向けて薬液を噴射するノズル4を有している。
この実施形態では、基板保持部3は、基板100の表面が水平になるように保持する。ただし、本発明としては、基板の表面を水平に保持されるものに限定されるものではなく、水平方向に対し、基板表面を傾斜させたものとすることができる。また、基板の回転中に傾斜角度や傾斜方向を動的に変更できるものとしてもよい。基板保持部3における回転軸は、垂直方向に沿ったものの他、垂直方向に対し角度を有するものであってもよい。
【0021】
ノズル4は、保持された基板100の表面に薬液を吐出する。ノズル4の位置は固定されているものであってもよく、また、基板100に対し、径方向位置や上下位置を調整可能とするものとしてもよい。調整は、吐出前に行う他、吐出に際し、動的に行えるものであってもよい。
枚葉式洗浄機2の下方部は、基板100に吐出された薬液を回収する回収部5となっている。
【0022】
処理システム1には、回収装置貯留槽6が設けられており、回収装置貯留槽6内の薬液をノズル4に供給する送液ライン7Aと、回収部5の薬液を回収装置貯留槽6に戻す集液ライン7Bとを有している。送液ライン7Aと集液ライン7Bとには、処理液を送る図示しないポンプが設けられている。また、送液ライン7Aには、送液される処理液を加熱する加熱部8を有している。加熱部8の構成は特に限定されるものではなく、適宜のヒータなどを用いることができる。
【0023】
さらに処理システム1は、薬液を電気分解する電解装置10A,10B、10Cを有している。電解装置10A、10B、10Cは並列に配置され、その入液側に硫酸を送液する電解用送液ライン11Aが接続されている。電解用送液ライン11Aの始端側は回収装置貯留槽6内に配置されており、電解用送液ライン11Aには、硫酸を冷却する冷却器12とポンプ13とが介設されている。
電解装置10A、10B、10Cの出液側には、電解液戻りライン11Bが接続されており、電解液戻りライン11Bの先端側は回収装置貯留槽6内に配置されている。電解液戻りライン11Bには、硫酸に含まれる粒子を捕捉するフィルタ14が介設されている。
【0024】
次に、処理システム1を用いた処理方法について説明する。
半導体の製造に際しフォトレジスト膜が残存した基板100を基板保持部3に設置し、保持する。回収装置貯留槽6には、薬液として硫酸Lを収容する。硫酸Lの濃度は、好適には85質量%~96質量%とする。
回収装置貯留槽6に収容された硫酸Lは、送液ライン7Aを介して図示しないポンプにより送液され、加熱器8によって好適には130~200℃に加熱され、ノズル4に供給される。この際に、基板100は、基板保持部3で保持されて、基板表面を上方向にして回転させる。ノズル4から吐出される硫酸は、当該温度を有しているのが望ましい。
ノズル4から吐出された硫酸は、基板100の表面に接触し、基板100の表面に残っているフォトレジスト膜を除去して硫酸内に取りこむ。
フォトレジストが含まれる硫酸は、回収部5に回収される。回収部5は容器形状などで構成することができる。
【0025】
回収部5に移動した硫酸は、フォトレジスト成分を含んだままで集液ライン7Bを介して図示しないポンプにより回収装置貯留槽6に戻される。
この動作とともに、回収装置貯留槽6内に戻された硫酸Lは、電解液送液ライン11Aを介してポンプ13によって電解装置側に送液される。この際に、硫酸は冷却器12によって、好適には20℃~60℃になるように冷却される。硫酸温度は、電解装置に導入されるときに当該温度を有しているのが望ましい。
【0026】
電解液送液ライン11Aで送られる硫酸は、基板100から除去されたフォトレジスト成分を含んでおり、分岐して電解装置10A、10B、10Cに送られる。
電解装置10A、10B、10Cでは、図示しない電極間に電圧を加えて電極間を通過する硫酸を電解する。電解に際しての電圧、電流は適宜設定することができる。
【0027】
硫酸の電解により強酸化剤であるペルオキソ二硫酸が生成され、硫酸に溶解したフォトレジストを二酸化炭素と水に分解する。さらには電解液戻しライン11Bを介して図示しないポンプにより回収装置内貯留槽6内の硫酸にペルオキソ二硫酸を含む硫酸が供給され、枚葉式洗浄機2から戻ってきた硫酸に含まれるフォトレジストを分解する。
【0028】
なお、フォトレジストの除去に使用した硫酸は、フォトレジストの他に、インプラントされた元素もしくは分子も含まれる。半導体製造の中で最も使用されているヒ素(As)は図3に示すように、Asとして微粒子となるため、この粒子径よりも細かい5nm程度の微粒子を捕捉できるフィルタ14により除去する。なお、フィルタ14には除去可能な粒子径が適宜であるものを使用することができる。
【0029】
回収装置内貯留槽6内に収容された硫酸はフォトレジストが分解されており、送液ライン7Aを介して図示しないポンプによりノズル4に再度供給される。この際に、硫酸は、加熱器8によって130~200℃に加熱されて基板100のフォトレジスト膜の除去に用いられる。
なお、電解装置10A、10B、10Cから戻された硫酸溶液では、少量のペルオキソ二硫酸(酸化剤)が含まれているが、回収装置貯留槽6内でフォトレジストの分解に消耗されるとともに、硫酸に残った0.5g/L未満のペルオキソ二硫酸は、加熱器8の加熱によって分解が促進され、ノズル4から吐出される際には硫酸には殆ど残らない状態になっている。
また、酸化剤濃度が1g/L未満となると、図4に示すように酸化還元電位が1,100mV未満となり、硫酸浴にほぼ同等である。
【0030】
上記の動作によって硫酸を繰り返して使用して利用することができ、処理に要する薬液の大幅な削減を可能とする。すなわち、有機物でありかつ疎水性であるフォトレジスト膜を剥離除去するプロセスにおける処理液として、SPMの代わりに高濃度の硫酸を用い、硫酸に溶解させたフォトレジストを電気分解により二酸化炭素と水に分解することができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、基板から除去するものとしてフォトレジスト膜について記載したが、本発明としては除去対象がフォトレジスト膜に限定されるものではなく、硫酸によって除去が可能であり、電解によって分解を行うことができるものを広く対象とすることができる。
【実施例1】
【0032】
以下に、図1の処理システム1を用いた本発明の処理方法の実施例を説明する。
予め回収装置内貯留槽6内に濃度85質量%~96質量%の硫酸を入れ、硫酸の温度を130℃から200℃に加熱し基板に噴射する。基板に噴射された硫酸は集液ラインを用い回収される。同時に電解装置を循環させる。フォトレジストを分解された硫酸を温度を130℃~200℃となるよう加熱し、基板に再び噴射する。
各試験例では、表1に示す硫酸濃度と、加熱温度とした硫酸によって基板のフォトレジストを除去した。なお、各硫酸では酸化剤を含んでいない。
【0033】
基板:φ300mmSiウエハ
フォトレジスト:ArF用、厚さ1000nm
インプラント:As、1.0×1015atoms/cm
ノズルからの吐出量:0.9L/min
処理時間:最長90秒
電解条件:(1)硫酸溶液の温度 40℃
(2)電流密度 1.5A/dm
の条件で除去可否を評価し、その結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【符号の説明】
【0035】
1 処理システム
2 枚葉式洗浄機
3 基板保持部
4 ノズル
5 回収部
6 回収装置貯留槽
7A 送液ライン
7B 集液ライン
8 加熱部
10A 電解装置
10B 電解装置
10C 電解装置
11A 電解用送液ライン
11B 電解液戻りライン
12 冷却器
13 ポンプ
14 フィルタ
100 基板
L 硫酸
【要約】
【課題】基板に付着しているフォトレジストを効率よく除去する。
【解決手段】枚葉式洗浄機2内で基板100を保持し、基板100を回転させるとともに、基板の表面に硫酸溶液を放出し、基板100から離脱したフォトレジスト等を含む硫酸を回収し、回収した硫酸溶液を電気分解してフォトレジスト等を分解し、フォトレジスト等が分解された硫酸溶液を再び枚葉式洗浄機2に戻し基板100の表面のフォトレジスト膜等の除去に繰り返し使用する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4