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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】飲料用グラスシステム及び飲料用グラス
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/22 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
A47G19/22 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023132726
(22)【出願日】2023-07-29
【審査請求日】2023-08-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510286433
【氏名又は名称】株式会社ネットアプリ
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/230471(WO,A1)
【文献】特開2023-69979(JP,A)
【文献】特許第7287722(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用グラスと、映像表示装置とを含む飲料用グラスシステムであり、
前記映像表示装置は長辺と短辺を有する長方形の板の形状しており、
前記飲料用グラスは、
上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、
前記映像表示装置を設置するための台座と、
前記映像表示装置をその映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で前記台座上に固定または支持するための固定機構と、
前記映像表示装置の画像を前記グラス本体越しに視認するための透明部と
を備え、
前記グラス本体の側面に前記透明部を備え、
前記透明部は水平方向に湾曲しており、
前記台座は前記グラス本体の側面に固定されており、
前記映像表示装置は前記長辺と前記グラス本体の底面が水平の状態で前記台座の上端にある接地面に設置し、
前記グラス本体の直径は前記長辺の長さよりも短く、
前記接地面の鉛直方向の高さが4.0cmよりも高く、
前記映像表示装置が前記接地面の上に設置時に前記映像表示面の下端部の鉛直方向の位置が4.0cmよりも高く、
前記固定機構は前記映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で且つ前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記接地面に前記映像表示装置を支持または固定し、
ユーザーは前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記映像表示装置のボタンまたは前記映像表示面を押下し、
ユーザーは前記映像表示装置が前記接地面に設置した状態で前記映像表示装置を前記グラス本体の底面に対して水平方向にスライドし、
ユーザーは前記グラス本体が飲料充填時に前記透明部と前記グラス本体内の飲料越しに前記映像表示装置の画像の一部の拡大像を見ることを特徴とする飲料用グラスシステム。
【請求項3】
前記台座が透明な材料から成り、
前記グラス本体は全て透明な材料から成り、
ユーザーは前記透明部と前記台座越しに前記グラス本体の背後の物体を見ることを特徴とする請求項1に記載の飲料用グラスシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の飲料用グラスシステムで用いる飲料用グラスであり、
前記飲料用グラスは、
上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、
前記映像表示装置を設置するための台座と、
前記映像表示装置をその映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で前記台座上に固定または支持するための固定機構と、
前記映像表示装置の画像を前記グラス本体越しに視認するための透明部と
を備え、
前記グラス本体の側面に前記透明部を備え、
前記透明部は水平方向に湾曲しており、
前記台座は前記グラス本体の側面に固定されており、
前記映像表示装置は前記長辺と前記グラス本体の底面が水平の状態で前記台座の上端にある接地面に設置し、
前記グラス本体の直径は前記長辺の長さよりも短く、
前記接地面の鉛直方向の高さが4.0cmよりも高く、
前記映像表示装置が前記接地面の上に設置時に前記映像表示面の下端部の鉛直方向の位置が4.0cmよりも高く、
前記固定機構は前記映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で且つ前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記接地面に前記映像表示装置を支持または固定し、
ユーザーは前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記映像表示装置のボタンまたは前記映像表示面を押下し、
ユーザーは前記映像表示装置が前記接地面に設置した状態で前記映像表示装置を前記グラス本体の底面に対して水平方向にスライドし、
ユーザーは前記グラス本体が飲料充填時に前記透明部と前記グラス本体内の飲料越しに前記映像表示装置の画像の一部の拡大像を見ることを特徴とする飲料用グラス。
【請求項6】
請求項3に記載の飲料用グラスシステムで用いる飲料用グラスであり、
前記飲料用グラスは、
上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、
前記映像表示装置を設置するための透明な材料から成る台座と、
前記映像表示装置をその映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で前記台座上に固定または支持するための固定機構と、
前記映像表示装置の画像を前記グラス本体越しに視認するための透明部と
を備え、
前記グラス本体は全て透明な材料から成り、
前記グラス本体の側面に前記透明部を備え、
前記透明部は水平方向に湾曲しており、
前記台座は前記グラス本体の側面に固定されており、
前記映像表示装置は前記長辺と前記グラス本体の底面が水平の状態で前記台座の上端にある接地面に設置し、
前記グラス本体の直径は前記長辺の長さよりも短く、
前記接地面の鉛直方向の高さが4.0cmよりも高く、
前記映像表示装置が前記接地面の上に設置時に前記映像表示面の下端部の鉛直方向の位置が4.0cmよりも高く、
前記固定機構は前記映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で且つ前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記接地面に前記映像表示装置を支持または固定し、
ユーザーは前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記映像表示装置のボタンまたは前記映像表示面を押下し、
ユーザーは前記透明部と前記台座越しに前記グラス本体の背後の物体を見ることが可能で、
ユーザーは前記映像表示装置が前記接地面に設置した状態で前記映像表示装置を前記グラス本体の底面に対して水平方向にスライドし、
ユーザーは前記グラス本体が飲料充填時に前記透明部と前記グラス本体内の飲料越しに前記映像表示装置の画像の一部の拡大像を見ることを特徴とする飲料用グラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用グラスシステム及びその飲料用グラスシステムに用いる飲料用グラスに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を入れる機能以外に様々な機能を持ったグラスが開発されている。
例えば特許文献1~3には本願発明者が発明した飲料用演出グラスが開示されている。この飲料用演出グラスは、グラス本体と、グラス本体の底部から内部側にのびており携帯電話又はスマートフォンを格納するための格納部と、グラス本体の側面から内部側にのびており携帯電話の電波を通過させるための導波部とを備えている。この飲料用演出グラスはグラス本体内に飲料を充填した状態でも携帯電話の電波を導波部を通して外部に出して無線通信できる。
特許文献4には本願発明者が発明した飲料用演出グラスが開示されている。この飲料用演出グラスは、グラス側面に固定された映像表示装置と、グラス本体内部に配置された反射鏡とを備えてりおり、映像表示装置の映像を疑似的にグラス内部に投影する演出が可能なグラスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6337256号
【文献】特許第6406742号
【文献】特許第6432960号
【文献】特許第6488049号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1~4の飲料用演出グラスは、グラス側面に映像表示装置の一部のエリアだけを選択または抽出して映すこと及び映像表示装置のタッチパネルの画面を両手で押下または操作する事は不可能である。
【0005】
本発明は上記問題を鑑み、グラス側面に映像表示装置の画像の一部のエリアだけを選択または抽出して映すこと及び映像表示装置のタッチパネルの画面を両手で押下または操作する事が可能な飲料用グラスシステムを提供することを課題とする。また、その飲料用グラスシステムに使用する飲料用グラスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の飲料用グラスシステムは、飲料用グラスと、映像表示装置とを含む飲料用グラスシステムであり、前記映像表示装置は長辺と短辺を有する長方形の板の形状しており、前記飲料用グラスは、上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、前記映像表示装置を設置するための台座と、前記映像表示装置をその映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で前記台座上に固定または支持するための固定機構と、前記映像表示装置の画像を前記グラス本体越しに視認するための透明部とを備え、前記グラス本体の側面に前記透明部を備え、前記透明部は水平方向に湾曲しており、前記台座は前記グラス本体の側面に固定されており、前記映像表示装置は前記長辺と前記グラス本体の底面が水平の状態で前記台座の上端にある接地面に設置し、前記グラス本体の直径は前記長辺の長さよりも短く、前記接地面の鉛直方向の高さが4.0cmよりも高く、前記映像表示装置が前記接地面の上に設置時に前記映像表示面の下端部の鉛直方向の位置が4.0cmよりも高く、前記固定機構は前記映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で且つ前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記接地面に前記映像表示装置を支持または固定し、ユーザーは前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記映像表示装置のボタンまたは前記映像表示面を押下し、ユーザーは前記映像表示装置が前記接地面に設置した状態で前記映像表示装置を前記グラス本体の底面に対して水平方向にスライドし、ユーザーは前記グラス本体が飲料充填時に前記透明部と前記グラス本体内の飲料越しに前記映像表示装置の画像の一部の拡大像を見ることを特徴とする。
また、前記台座の高さを変更するための台座高さ調整機構を備えることを特徴とする。
また、前記台座が透明な材料から成り、前記グラス本体は全て透明な材料から成り、ユーザーは前記透明部と前記台座越しに前記グラス本体の背後の物体を見ることを特徴とする。
また、前記上部開口を塞ぐ蓋を備えることを特徴とすることを特徴とする。
本発明の飲料用グラスは、上記飲料用グラスシステムで用いる飲料用グラスであり、前記飲料用グラスは、上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、前記映像表示装置を設置するための台座と、前記映像表示装置をその映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で前記台座上に固定または支持するための固定機構と、前記映像表示装置の画像を前記グラス本体越しに視認するための透明部とを備え、前記グラス本体の側面に前記透明部を備え、前記透明部は水平方向に湾曲しており、前記台座は前記グラス本体の側面に固定されており、前記映像表示装置は前記長辺と前記グラス本体の底面が水平の状態で前記台座の上端にある接地面に設置し、前記グラス本体の直径は前記長辺の長さよりも短く、前記接地面の鉛直方向の高さが4.0cmよりも高く、前記映像表示装置が前記接地面の上に設置時に前記映像表示面の下端部の鉛直方向の位置が4.0cmよりも高く、前記固定機構は前記映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で且つ前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記接地面に前記映像表示装置を支持または固定し、ユーザーは前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記映像表示装置のボタンまたは前記映像表示面を押下し、ユーザーは前記映像表示装置が前記接地面に設置した状態で前記映像表示装置を前記グラス本体の底面に対して水平方向にスライドし、ユーザーは前記グラス本体が飲料充填時に前記透明部と前記グラス本体内の飲料越しに前記映像表示装置の画像の一部の拡大像を見ることを特徴とする。
また、前記飲料用グラスは、上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、前記映像表示装置を設置するための透明な材料から成る台座と、前記映像表示装置をその映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で前記台座上に固定または支持するための固定機構と、前記映像表示装置の画像を前記グラス本体越しに視認するための透明部とを備え、前記グラス本体は全て透明な材料から成り、前記グラス本体の側面に前記透明部を備え、前記透明部は水平方向に湾曲しており、前記台座は前記グラス本体の側面に固定されており、前記映像表示装置は前記長辺と前記グラス本体の底面が水平の状態で前記台座の上端にある接地面に設置し、前記グラス本体の直径は前記長辺の長さよりも短く、前記接地面の鉛直方向の高さが4.0cmよりも高く、前記映像表示装置が前記接地面の上に設置時に前記映像表示面の下端部の鉛直方向の位置が4.0cmよりも高く、前記固定機構は前記映像表示面を前記グラス本体の方向に向けた状態で且つ前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記接地面に前記映像表示装置を支持または固定し、ユーザーは前記映像表示装置の左端部および右端部が前記接地面と非接触の状態で前記映像表示装置のボタンまたは前記映像表示面を押下し、ユーザーは前記透明部と前記台座越しに前記グラス本体の背後の物体を見ることが可能で、ユーザーは前記映像表示装置が前記接地面に設置した状態で前記映像表示装置を前記グラス本体の底面に対して水平方向にスライドし、ユーザーは前記グラス本体が飲料充填時に前記透明部と前記グラス本体内の飲料越しに前記映像表示装置の画像の一部の拡大像を見ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の飲料用グラスシステムと飲料用グラスは、スマートフォンや携帯電話或いはタブレット端末のような長辺と短辺を有する長方形板形状の映像表示装置を飲料用グラスにセットした際に、その長方形状の映像表示装置の左右の端部が飲料用グラスの側面から強制的にはみ出させる(又は突き出させる)構成にしているため、ユーザーは長方形板形状の映像表示装置の左右にあるボタンやタッチパネルボタン(つまり映像表示面)を片手及び両手で押下操作可能である。これにより本発明の飲料用グラスシステムを用いれば飲料用グラスにスマートフォンや携帯電話をセットしてその映像表示部(または映像表示面)に映ったコンピュータソフトウェアを両手または片手のいずれでも操作できる。
本発明の飲料用グラスシステムと飲料用グラスは、スマートフォンや携帯電話のような長方形の映像表示装置の左右の端部が飲料用グラスの側面から強制的に突き出させる構成で且つその長方形板形状の映像表示装置を片手または両手で水平方向にスライド出来る構成になっているため、ユーザーは飲料用グラス内に投影させる画像や映像の位置やエリアをユーザーの左右の指や手を以って水平方向にスライドさせる事により変更できる。
本発明の飲料用グラスシステムは、長方形板形状の映像表示装置の画像を一部分だけを抽出して飲料用レンズ内の飲料のレンズ効果を用いて拡大して投影出来る。また、ユーザーは映像表示装置を水平方向に手でスライドさせることにより飲料レンズで拡大させる画像の位置を変更する事が出来る。
本発明の飲料用グラスシステムと飲料用グラスは、飲料用グラスを置いたテーブルと飲料用グラスにセットされた映像表示装置の下端部の間に薬指と小指が入るスペースを確保するために高さ4.0[cm]以上の台座の上に映像表示装置を設置する構成で且つ飲料用グラスの直径は映像表示装置の長辺(つまり長手方向に水平な辺)の長さよりも短い構成にしている、これによりユーザーは本システムをテーブルに置いて使用時には映像表示装置の下端部とテーブルの間に薬指と小指を入れる事が可能になるため、映像表示装置の左右の端部を握り易くなると同時に親指での映像表示装置のボタンの操作や押下が容易になる。
本発明の飲料用グラスシステムと飲料用グラスは、高さ4.0[cm]以上の台座の上に映像表示装置を設置する構成になっており、これにより飲料用グラスを透過する画像の下端部(より厳密には映像表示面の下端部)がグラス底面より4.0[cm]以上高く設置できる。このため、ユーザーは画像を見る際にグラスを持ち上げたりしなくても良い。
本発明の飲料用グラスシステムと飲料用グラスは、飲料により映像表示装置の画像を色付けする事が出来る(例えば琥珀色のウィスキーで画像を琥珀色に色付け又は演色する事が可能)。また、ユーザーは平坦な接地面上の映像表示装置をスライドさせることにより演色させる画像の位置を変更出来る。
本発明の飲料用グラスシステムと飲料用グラスは長方形状の映像表示装置の左右の端部を飲料用グラスの側面から強制的に突出させる構成になっているため、両手または左右の手でその映像表示装置の左右の端部を掴む又は握ることによりグラスを持ち上げることが出来る。つまり、映像表示装置その物をグラスの取っ手の代わりに出来る。
本発明の飲料用グラスシステムと飲料用グラスは、映像表示装置の画像の一部を抽出して飲料用グラスに投影または拡大投影出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態の飲料用グラスシステムを示す斜視図
図2】第1の実施の形態の飲料用グラスシステムを示す正面図
図3】第1の実施の形態の飲料用グラスシステムを示す断面図
図4】台座を透明にした飲料用グラスシステムを示す斜視図
図5】蓋を備える飲料用グラスシステムの例を示す断面図
図6】第1の実施の形態の飲料用グラスを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[飲料用グラスシステムの第1の実施の形態]
以下、本発明の飲料用グラスシステムの第1の実施の形態を図面を用いて示す。
本発明の飲料用グラスシステム1は図1及び図2に示すように長方形の形状の映像表示装置の左右端部を両手で以って押下操作しながら映像表示装置の画像の一部を選択して拡大するシステムであり、飲料用グラス10と、映像表示装置80から概略構成される。
映像表示装置80は長辺と短辺を有する長方形の板の形状しており、映像表示装置80の例としてはスマートフォンや携帯電話、タブレット端末、小型ディスプレイ、ワイドTVモニター端末、携帯型コンピュータゲーム端末のような長方形の板形状(またはシート状形状)の薄型の映像表示装置が挙げられる。
飲料用グラス10は上部開口13を有する有底の筒状体であるグラス本体11、映像表示装置80を設置するための台座50、映像表示装置80をその映像表示面81をグラス本体11の方向に向けた状態で台座50上に固定または支持するための固定機構60、映像表示装置80の画像82をグラス本体11越しに視認するための透明部から構成される。
【0010】
グラス本体11は有底の筒状体(水平方向に湾曲した円筒形)であり、その内部には飲料Lが充填される。グラス本体11の例としてはコップやグラス、取っ手を備えたビールジョッキ等が挙げられる。グラス本体11の材料の例としては通常のガラスやアクリル等の透明な樹脂が考えられる。
台座50はグラス本体11の側面または側面近傍に固定されており、映像表示装置80をグラス本体11側面にその長辺(または長辺の端部87)をグラス本体11の底面に対して水平にした状態で且つ映像表示面81をグラス本体11の方向に向けた状態でグラス本体11の側面(又は側面近傍)に設置(又は固定)しておくための部材である。
固定機構60は映像表示装置80をその映像表示面81をグラス本体11の方向に向けた状態で台座50上に固定または支持するための部材または機構であり、固定機構60の例としては係止爪よる固定機構、マグネットやネジによる固定機構、吸盤による固定機構が挙げられる。なお図1図2の例では固定機構60として係止爪を用いて映像表示装置80を台座50上に固定している。なお、これらの固定機構60は映像表装置80を台座50上でスライド移動させる際は一時的に取り外せる機構または構成にしておくと良い。
透明部12はグラス本体11越しに映像表示装置80の画像82を視認するためのグラス本体1の側面に設けた透明部である。透明部12は通常のコップやグラスと同じく水平方向に湾曲している。映像表示装置80の画像82(或いは画像82の光)は透明部12を透過してユーザーUの目に到達する。なお、図1または図2の飲料用グラスシステム1では通常の飲料用グラスと同じく全てが透明、つまり全てが透明部12であることを想定している。なお、必ずしもグラス本体11の側面が全て透明(つまり透明部12)である必要は無く、ユーザーUがグラス本体11越しに(グラス本体11側面に取り付けられた)映像表示装置80の画像82を視認出来れば他のエリアは透明でなくても構わない。
【0011】
透明部12について補足しておく。
透明部12は図1のようにユーザーUが映像表示装置80の画像82をグラス本体11(又は飲料用グラス10)越しに視認するためにこれらグラス本体11側面に設けられた透明なエリアである。ユーザーUは透明部12を介してグラス本体11の内部の飲料L越しに画像82をグラス本体11の外部から視認する(見る)ことが可能である。
なお、図1図3内の破線Pは映像表示装置80から投射された画像82の光の光路Pのイメージを説明のために図示した物であり、光路Pのように映像表示装置80(より厳密には映像表示面81)に表示された画像82はグラス本体11内の飲料Lと透明部12を透過(又は通過)してグラス本体11の外部に至る。
グラス本体11は(通常のグラスやジョッキと同じく)筒状の円筒形の形状のため、透明部12は水平方向に湾曲している。そのため、必然的にそれらグラス本体11内の飲料Lも図1のように水平方向に湾曲する。水の光の屈折率(約1.33)は空気の光の屈折率(約1.0003)に比して大きい為、水平方向に湾曲したその飲料Lがレンズの働きをするため画像82は水平方向に拡大する。別の言い方をすれば、湾曲した飲料Lが円柱形レンズ(又は両凸レンズ)の光屈折媒質として働く。つまり、図1のように、水平方向に湾曲した透明部12を介してユーザーUはグラス本体11内部にある湾曲した飲料L越し(飲料レンズ越し)に画像82を見ることにより、画像82の拡大像83を見ることが可能である。
本発明の飲料用グラスシステム1では、飲料Lそのものがレンズとして機能するため別途拡大用のレンズを飲料用グラスに設ける必要が無く、グラス本体11の軽量化が可能である。なお、画像82の画像拡大率はグラス本体11(厳密には透明部12)の曲率半径(つまりレンズである飲料Lの曲率半径)を小さくすることで大きくすることが可能である。これはレンズの曲率半径を小さくするとレンズの拡大率は大きくなるという光学やレンズの基本原理に基づく(詳細はレンズや光学の専門書を参照されたい)。
【0012】
台座50について補足しておく。
図1図2のように、本発明の飲料用グラスシステム1では映像表示面81をグラス本体11の方向に向けた状態で且つ映像表示装置80の長辺の端部87(つまり長方形の形状の映像表示装置80の長辺)とグラス本体11の底面が水平の状態で映像表示装置80を台座50の上端にある接地面51に設置する構成である。
台座50に映像表示装置80を設置する理由は2つ有り、一つ目の理由は図2のようにグラス本体11を置いたテーブルTとグラス本体11に取り付けられた映像表示装置80の下端部の間に薬指と小指が入るスペースを確保するためである。図2のようにグラス本体11をテーブルTに置いた状態で映像表示装置80の左端部88と右端部90の近傍のボタン85や映像表示面のボタン86(タッチパネルのボタン)を左端部88と右端部90をユーザーの手UHで握りながらユーザーの親指を以って押下操作するには、ユーザーの手UHの薬指RFと小指LFが映像表示装置80の下端とテーブルTの間のスペース(空間)に配置する必要が有る(仮に薬指RFと小指LFをこのスペースに配置できなければボタン85やタッチパネルボタン86を押下操作する際は親指を無理に伸ばす等して押下操作する必要が有り疲れる)。人間の薬指や小指の幅は最大でも約2.0[cm]程度であるため、テーブルTと映像表示装置80の下端の間に薬指RFや小指LFを配置出来る空間を作る為に本発明の飲料用グラスシステム1では台座50の上端の接地面51の高さh2(厳密には鉛直方向の高さ)を4.0[cm]以上にしている。つまり、接地面51の高さh2を4.0[cm]以上にすることによりユーザーは映像表示端末80の左端部88や右端部89近傍のボタン85や映像表示面81(或いは映像表示面のタッチパネル上のボタン86)を親指で押下操作し易くなる。
台座50に映像表示装置80を設置する理由の二つ目の理由は、接地面51の高さh2を4.0[cm]以上にすることによりグラス本体11を透過する画像82の下端部(より厳密には映像表示面81の下端部)がグラス底面より4.0[cm]以上高くする事ができる。このため、ユーザーUは飲料用グラス越しの画像82(厳密にはその拡大像83)を見る際にグラスを持ち上げたり視点を低くしたりしなくても良い。つまり接地面51の高さh2(より厳密には鉛直方向の高さh2)を4.0[cm]以上にすることによりユーザーUは快適に飲料用グラス越しの画像が見えるようになる。なお、当たり前の話だが、接地面51の高さh2はグラス本体11の高さh1よりも低くしないと画像82が透明部12や飲料Lを透過出来なくなるので接地面51の高さh2はグラス本体の高さh1以下でなければならない。
なお、当然のことであるが接地面51は、グラス本体11の底面と水平であり、接地面51上の映像表示装置80がスライド移動出来る程度には平坦であることも追記しておく。
【0013】
本発明の飲料用グラスシステム1では図2図3のように、台座50はグラス本体11の側面に固定されており、映像表示装置80はその長辺(長辺の端部87)とグラス本体11の底面が水平の状態で台座50の上端にある接地面51に設置し、グラス本体11の直径Rは映像表示装置80の長辺の長さWよりも短く、接地面51の鉛直方向の高さh2が4.0[cm]よりも高く、映像表示装置80が接地面51の上に設置時に映像表示面81の下端部の鉛直方向の位置が4.0cmよりも高く、固定機構60は映像表示面81をグラス本体11の方向に向けた状態で且つ映像表示装置80の左端部88および右端部89が接地面51と非接触の状態で接地面51に映像表示装置80を支持または固定し、ユーザーUは映像表示装置80の左端部88および右端部89が接地面51と非接触の状態で映像表示装置80のボタン85または映像表示面81(厳密には映像表示面のタッチパネルボタン86)を押下(または押下操作)する。また、ユーザーUは映像表示装置80が接地面51に設置した状態で映像表示装置80をグラス本体11の底面に対して水平方向にスライドし、ユーザーUはグラス本体11が飲料L充填時に透明部12とグラス本体11内の飲料L越しに映像表示装置80の画像82の一部の拡大像83を見ることも可能である。
【0014】
本発明の飲料用グラスシステム1では図2のように、グラス本体11の直径Rは映像表示装置80の長辺の長さWよりも短くすることにより強制的に映像表示装置80の左端部88および右端部89が(映像表示面81を正面から見ているユーザーUの視点から見ると)グラス側面からはみ出る(又は突き出す)構成にしており、これによりユーザーUはグラス本体11が飲料L充填時に透明部12とグラス本体11内の飲料L越しに映像表示装置80の画像82の一部の拡大像83を見ることが可能にしていることが大きな特長である。また、この構成により、ユーザーUは映像表示装置80を左右いずれかの手を以って映像表示装置80を水平方向にスライドさせる事によりグラス本体11内の飲料レンズで拡大させる画像82の位置やエリアを水平方向に変更(またはシフト移動)出来るのも大きな特長である。
また、台座50を用いてグラス本体11側面(又は側面近傍)に固定された映像表示装置80の鉛直方向の位置をグラス本体11の底面よりも4.0[cm]以上高くしているため、図2のようにユーザーUは映像表示装置80の左端部88(または右端部89)をユーザーの手UHで握った状態でユーザーの手UHの親指を以って映像表示装置80のボタン85または映像表示面81(タッチパネルボタン86)を押下操作する際に薬指RFと小指LFを左端部88(または右端部89)の下端とグラス本体11を設置した面(テーブルT)の間の空間に配置出来るのも大きな特長である(つまり台座50の高さを4.0cm以上にすることによりユーザーUは快適に親指でボタン85等を押下操作できるようになる)。
【0015】
本発明の飲料用グラスシステム1では台座50の高さh2(接地面51の高さh2)を変更するためのネジアジャスター機構などの台座高さ調整機構を備えても良い。これによりユーザーは状況に応じて画像82(又は拡大像83)が映る高さ(鉛直方向の高さ)を調整出来る。
また、図5のように上部開口13を塞ぐ蓋15を備えても良い
【0016】
図3図4のように台座50とグラス本体11を全て透明な材料から成るようにすることにより、ユーザーUは透明部12と台座50越しにグラス本体11の背後の物体0(厳密にはその拡大像02)を見えるようにしても良い。
飲料用グラスシステム1では高さ4.0[cm]以上の台座50の上に映像表示装置80を設置する構成になっているため、台座50を透明にすることによりユーザーUの視点からは映像表示面81のエリア以外はグラス本体11やその透明な台座50を透過してそれらの背後の風景や物体0を視認出来るため、これによりグラス本体11内に投影される画像82(厳密には飲料レンズで拡大された画像の拡大像83)が飲料L内を浮いているように見せる演出が可能になる。また、空気は無色透明なため、グラスに入れる飲料Lも無色透明な飲料にすればユーザー視点から見て映像表示装置80が疑似的に空中浮遊しているように見える演出も可能になる。
なお、図3図4内の破線P2はグラス本体11の背後の物体0から投射された光の光路P2のイメージを説明のために図示した物であり、光路P2のように物体0から投射された光は透明な台座50とグラス本体11内の飲料Lと透明部12を透過(又は通過)してグラス本体11の外部に至る。
【0017】
[飲料用グラスの第1の実施の形態]
以下、本発明の飲料用グラスの第1の実施の形態を図面を用いて示すが、前述の第1の実施の形態の飲料用演出グラスシステム1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態の飲料用グラス10は図6に示すように、上部開口13を有する有底の筒状体であるグラス本体11と、映像表示装置80を設置するための台座50と、映像表示装置80をその映像表示面81をグラス本体11の方向に向けた状態で台座50上に固定または支持するための固定機構60と、映像表示装置80の画像82をグラス本体11越しに視認または見るための透明部12とを備え、グラス本体11の側面に透明部12を備え、透明部12は水平方向に湾曲しており、台座50はグラス本体11の側面に固定されており、映像表示装置80は長方形状の映像表示装置80の長辺(或いは映像表示装置80の長辺の端部87)とグラス本体11の底面が水平の状態で台座50の上端にある接地面51に設置し、グラス本体11の直径Rは映像表示装置の長辺の長さWよりも短く、接地面51の鉛直方向の高さh2が4.0cmよりも高く、映像表示装置80が接地面51の上に設置時に映像表示面81の下端部の鉛直方向の位置が4.0cmよりも高く、固定機構60は映像表示面81をグラス本体11の方向に向けた状態で且つ映像表示装置80の左端部88および右端部89が接地面51と非接触の状態で接地面51に映像表示装置80を支持または固定し、ユーザーUは映像表示装置80の左端部88および右端部89が接地面51と非接触の状態で映像表示装置80のボタン85または映像表示面81を押下し、ユーザーUは映像表示装置80が接地面51に設置した状態で映像表示装置80をグラス本体11の底面に対して水平方向にスライドし、ユーザーUはグラス本体11が飲料L充填時に透明部12とグラス本体11内の飲料L越しに映像表示装置80の画像82の一部の拡大像83を見ることを特徴とする。本実施の形態の飲料用グラス10を用いることにより長辺と短辺を有する長方形の形状の映像表示装置80があれば前述の飲料用演出グラスシステム1を即座に容易に構築出来る。
飲料グラス10は図3図4のように台座50とグラス本体11を全て透明な材料から成るようにすることにより、ユーザーUは透明部12と台座50越しにグラス本体11の背後の物体0(厳密にはその拡大像02)を見えるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、水平方向に湾曲した飲料グラス、グラス側面近傍に固定された薬指と小指の幅を足し合わせた高さを有する台座、映像表示装置とを組み合わせる事により映像表示装置を左右端部のボタンを押下操作しながらその映像表示装置の画像の一部を任意に抽出または選択して飲料グラスに拡大投影する事が可能である飲料用グラスシステムである。本システムを用いればスマートフォン内にインストールされたコンピュータアプリケーションやコンピュータソフトウェアを両手の親指で快適に操作しながらグラスに投影可能である。以上より本発明は産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0019】
U ユーザー
UH ユーザーの手
L 飲料(液体)
h1 高さ(グラス本体の鉛直方向の高さ)
h2 高さ(接地面の鉛直方向の高さ)
P 光路
P2 光路
0 物体(グラス本体の背後の物体)
02 物体の拡大像(グラス本体の背後の物体の拡大像)
R グラス本体の直径
W 映像表示装置の長辺の長さ
T テーブル(テーブル台)
RF 薬指
LF 小指
1 飲料用グラスシステム
10 飲料用グラス
11 グラス本体
12 透明部
13 上部開口
15 蓋
50 台座
51 接地面
60 固定機構
80 映像表示装置
81 映像表示面
82 画像
83 拡大像(画像の拡大像)
85 ボタン
86 映像表示面のボタン(映像表示面のタッチパネルのボタン)
87 長辺の端部(映像表示装置の長辺の端部)
88 左端部(映像表示装置の左端部)
89 右端部(映像表示装置の右端部)
【要約】
【課題】 本発明はグラス側面に映像表示装置の画像の一部のエリアだけを選択または抽出して映すこと及び映像表示装置のタッチパネルの画面を両手で押下または操作する事が可能な飲料用グラスシステムを提供することを課題とする。また、その飲料用グラスシステムに使用する飲料用グラスを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の飲料用グラスシステムは飲料用グラスと、映像表示装置とを含む飲料用グラスシステムであり、前記映像表示装置は台座の上端にある接地面に設置し、前記グラス本体の直径は前記長辺の長さよりも短く、前記接地面の鉛直方向の高さが4.0cmよりも高いことを特徴とする飲料用グラスシステム。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6