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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】テープホルダー
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
B65H35/07 E
B65H35/07 F
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2023524505
(86)(22)【出願日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2023015620
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-151544(JP,A)
【文献】米国特許第4978330(US,A)
【文献】実開昭56-6853(JP,U)
【文献】実開昭49-121989(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回されたテープを回転可能に保持するテープホルダーであって、
前記テープを両側方から覆う第1及び第2の側板部を備え、
前記第1及び第2の側板部の各々は、第1及び第2の面を有し、
前記第1及び第2の側板部の前記第1の面どうしが対向した状態である第1の状態と、前記第1及び第2の側板部の前記第2の面どうしが対向した状態である第2の状態とを切り替えられるように構成されていることを特徴とするテープホルダー。
【請求項2】
請求項1に記載のテープホルダーにおいて、
前記テープの巻回部の内側に挿通され、前記第1の側板部と前記第2の側板部とを連結する連結部を備えるテープホルダー。
【請求項3】
請求項2に記載のテープホルダーにおいて、
前記連結部は、前記第1の側板部に接続された第1の板状部と、前記第2の側板部に接続された第2の板状部とを含み、
前記連結部は、前記第1及び第2の板状部が互いに重なった状態で解除可能に固定されることにより、前記第1の側板部と前記第2の側板部とを連結するテープホルダー。
【請求項4】
請求項3に記載のテープホルダーにおいて、
前記第1の板状部は、爪部を有し、
前記第2の板状部は、前記爪部が差し込まれる切込を有し、
前記第1及び第2の板状部は、前記爪部が前記切込に差し込まれることにより、互いに固定されるテープホルダー。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープホルダーにおいて、
前記第1及び第2の側板部は、前記テープの巻回部の全体を側方から覆っているテープホルダー。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープホルダーにおいて、
前記第1及び第2の側板部は、前記テープの巻回部の一部のみを側方から覆っているテープホルダー。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープホルダーにおいて、
前記第1及び第2の側板部の下端に接続された底板部を備えるテープホルダー。
【請求項8】
請求項7に記載のテープホルダーにおいて、
前記テープの引出部を切断する切断刃を備えるテープホルダー。
【請求項9】
請求項8に記載のテープホルダーにおいて、
前記切断刃は、前記底板部に取り付けられているテープホルダー。
【請求項10】
請求項9に記載のテープホルダーにおいて、
前記切断刃の上方に設けられ、前記テープの端が前記切断刃から浮いた状態で当該テープの裏面が貼着される貼着部を備え、
前記テープは、前記裏面に粘着面が露出した粘着テープであり、
前記切断刃は、前記テープの表面側に当接した状態で前記引出部を切断するテープホルダー。
【請求項11】
請求項10に記載のテープホルダーにおいて、
上下方向についての前記切断刃から前記貼着部までの距離は、前記第1及び第2の側板部間の間隔以上であるテープホルダー。
【請求項12】
請求項10に記載のテープホルダーにおいて、
前記貼着部は、前記第1及び第2の側板部に接続されているテープホルダー。
【請求項13】
請求項12に記載のテープホルダーにおいて、
前記貼着部は、前記第1及び第2の側板部の側端に接続されているテープホルダー。
【請求項14】
請求項10に記載のテープホルダーにおいて、
前記貼着部の先端部の幅は、前記テープの幅よりも小さいテープホルダー。
【請求項15】
請求項14に記載のテープホルダーにおいて、
前記貼着部の幅は、前記先端部に近づくにつれて単調に小さくなるテープホルダー。
【請求項16】
請求項10に記載のテープホルダーにおいて、
前記第1及び第2の側板部の側端どうしは、前記貼着部のみによって連結されているテープホルダー。
【請求項17】
請求項10に記載のテープホルダーにおいて、
前記第1及び第2の側板部の上端どうしは、連結されていないテープホルダー。
【請求項18】
請求項10に記載のテープホルダーにおいて、
前記貼着部は、前記第1及び第2の側板部に対して着脱自在であるテープホルダー。
【請求項19】
請求項8に記載のテープホルダーにおいて、
前記第1及び第2の側板部の側端間の所定の範囲内に前記テープの引出部を案内する案内部を備え、
前記テープは、粘着テープであり、
前記案内部は、
前記底板部から離間しており、前記引出部が通過する開口と、
前記開口に連設され、前記引出部が貼着される貼着部と、
前記開口を通過した前記引出部を切断する前記切断刃と、を有するテープホルダー。
【請求項20】
請求項19に記載のテープホルダーにおいて、
前記貼着部は、前記開口から前記第1及び第2の側板部の外側に向かって張り出しているテープホルダー。
【請求項21】
請求項19に記載のテープホルダーにおいて、
前記切断刃の先端は、前記貼着部から離間しているテープホルダー。
【請求項22】
請求項19に記載のテープホルダーにおいて、
前記貼着部の幅は、前記テープの幅よりも小さいテープホルダー。
【請求項23】
請求項19に記載のテープホルダーにおいて、
前記開口は、側面視で、前記第1及び第2の側板部の前記側端に重なるテープホルダー。
【請求項24】
請求項19に記載のテープホルダーにおいて、
前記案内部は、前記第1及び第2の側板部に接続されているテープホルダー。
【請求項25】
請求項24に記載のテープホルダーにおいて、
前記案内部は、前記第1及び第2の側板部の前記側端に接続されているテープホルダー。
【請求項26】
請求項19に記載のテープホルダーにおいて、
前記第1及び第2の側板部の前記側端どうしは、前記案内部のみによって連結されているテープホルダー。
【請求項27】
請求項19に記載のテープホルダーにおいて、
前記案内部は、前記第1及び第2の側板部に対して着脱自在であるテープホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回されたテープ用のテープホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテープホルダーとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載されたテープホルダーは、巻回されたテープを回転可能に保持するテープホルダーであって、一対の側板部(面板)を備えている。一対の側板部は、テープを両側方から覆っている。このテープホルダーにおいてテープは、一対の側板部間の隙間から繰り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-48553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、側板部の外面には、何らかのデザインが施されているのが通常である。ユーザは、テープホルダーを購入する際、好みのデザインが施された商品を選択することができる。しかしながら、デザインの好みは、ユーザのその時の気分にも左右されるため、一定とは限らない。この点、従来のテープホルダーは、当然ながら、側板部の外面に施されたデザインを変更することができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、側板部の外面のデザインを変更することが可能なテープホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるテープホルダーは、巻回されたテープを回転可能に保持するテープホルダーであって、上記テープを両側方から覆う第1及び第2の側板部を備え、上記第1及び第2の側板部の各々は、第1及び第2の面を有し、上記第1及び第2の側板部の上記第1の面どうしが対向した状態である第1の状態と、上記第1及び第2の側板部の上記第2の面どうしが対向した状態である第2の状態とを切り替えられるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
このテープホルダーは、第1及び第2の側板部の第1の面どうしが対向した状態(第1の状態)と、第1及び第2の側板部の第2の面どうしが対向した状態(第2の状態)とを切り替えられるように構成されている。第1の状態では第2の面が各側板部の外面を構成する一方、第2の状態では第1の面が各側板部の外面を構成することになる。このため、第1及び第2の面に相異なるデザインを施しておけば、第1及び第2の状態の切替えにより、各側板部の外面のデザインを変更することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、側板部の外面のデザインを変更することが可能なテープホルダーが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるテープホルダーの第1実施形態を示す斜視図である。
図2図1のテープホルダーを示す側面図である。
図3図1のテープホルダーを示す側面図である。
図4図1のテープホルダーを示す正面図である。
図5図1のテープホルダーを示す端面図である。
図6】貼着部50を示す斜視図である。
図7図1のテープホルダーの製造方法の一例を説明するための図である。
図8図1のテープホルダーの製造方法の一例を説明するための図である。
図9図1のテープホルダーの製造方法の一例を説明するための図である。
図10図1のテープホルダーの使用方法の一例を説明するための側面図である。
図11図1のテープホルダーの使用方法の一例を説明するための側面図である。
図12図1のテープホルダーの使用方法の一例を説明するための側面図である。
図13図1のテープホルダーの使用方法の一例を説明するための斜視図である。
図14】本発明によるテープホルダーの第2実施形態を示す斜視図である。
図15図14のテープホルダーを示す側面図である。
図16図14のテープホルダーを示す側面図である。
図17図14のテープホルダーを示す正面図である。
図18図14のテープホルダーを示す平面図である。
図19図14のテープホルダーを示す端面図である。
図20】案内部70を示す斜視図である。
図21図14のテープホルダーの製造方法の一例を説明するための図である。
図22図14のテープホルダーの製造方法の一例を説明するための図である。
図23図14のテープホルダーの製造方法の一例を説明するための図である。
図24図14のテープホルダーの製造方法の一例を説明するための図である。
図25図14のテープホルダーの使用方法の一例を説明するための端面図である。
図26図14のテープホルダーの使用方法の一例を説明するための端面図である。
図27図14のテープホルダーの使用方法の一例を説明するための斜視図である。
図28】一変形例に係る案内部70を示す斜視図である。
図29】他の変形例に係る案内部70を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0011】
図1は、本発明によるテープホルダーの第1実施形態を示す斜視図である。図2及び図3は、図1のテープホルダーを示す側面図である。図4は、図1のテープホルダーを示す正面図である。図4は、図1のテープホルダーを右側から見た図に相当する。また、図5は、図1のテープホルダーを示す端面図である。
【0012】
テープホルダー1は、巻回されたテープ90を回転可能に保持するテープホルダーである。テープ90は、円環状の芯に巻回されている。テープ90は、裏面に粘着面が露出した粘着テープである。テープ90は、裏面にのみ粘着面が設けられていてもよいし、両面(表面及び裏面)に粘着面が設けられていてもよい。前者の例としては、例えば、セロハンテープ、医療用テープ、及びマスキングテープが挙げられる。後者の例としては、例えば両面テープが挙げられる。両面テープは、裏面にのみ粘着面が露出していてもよいし、両面に粘着面が露出していてもよい。前者の両面テープにおいては、表面に剥離紙が貼着されている。なお、図1乃至図4においては、テープ90の図示を省略している。
【0013】
テープ90は、巻回部92、及び引出部94からなる(図5参照)。巻回部92は、テープ90における芯に巻回された部分であり、全体として円環状をしている。巻回部92の各部分の裏面は、巻回部92の他の部分の表面、又は芯に貼着されている。引出部94は、テープ90における巻回部92から引き出された部分である。それゆえ、引出部94の裏面は、巻回部92の表面にも芯にも貼着されていない。
【0014】
テープホルダー1は、側板部12(第1の側板部)、及び側板部14(第2の側板部)を備えている。側板部12及び側板部14は、テープ90を挟むように設けられており、テープ90を両側方から覆っている。図2及び図3は、それぞれ、側板部12及び側板部14側からテープホルダー1を見た図に相当する。また、図5は、各側板部12,14に平行で、かつ側板部12と側板部14との中間に位置する端面を示している。側板部12と側板部14とは、互いに合同な形状をしており、側面視で完全に重なり合っている。
【0015】
各側板部12,14の下部(側面視で、後述する連結部20を含む直線より下の部分)は、矩形をしている。一方、各側板部12,14の上部(側面視で、上記直線より上の部分)は、半円状をしている。本実施形態において側板部12及び側板部14は、テープ90の巻回部92の全体を側方から覆っている。すなわち、側板部12及び側板部14は、側面視で、巻回部92の全体に重なっている。各側板部12,14は、板状をしており、面S1(第1の面)及び面S2(第2の面)を有している。各側板部12,14において面S2は、面S1と反対側の面である。図示は省略されているが、面S1及び面S2には、相異なるデザインが施されている。例えば、面S1を黄色、桃色、青色に着色する一方、面S2を緑色、赤色、橙色に着色してもよい。また、面S1に白雪姫のキャラクターを描く一方、面S2にミニオンのキャラクターを描いてもよい。さらに、面S1にスペインの旅行写真を印刷する一方、面S2にフランスの旅行写真を印刷してもよい。
【0016】
各側板部12,14は、半円状の開口部16を有している。開口部16は、各側板部12,14の上部に形成されている。開口部16は、指を挿入することが可能な大きさをしている。それゆえ、テープホルダー1は、開口部16に指を入れた状態で、手に持って使用することができる。また、各側板部12,14には、後述する爪部54の差込口となる切込18が形成されている。
【0017】
テープホルダー1は、側板部12及び側板部14の面S1どうしが対向した状態(第1の状態)と、側板部12及び側板部14の面S2どうしが対向した状態(第2の状態)とを切り替えられるように構成されている。図1は、第1の状態を示している。テープホルダー1においては、テープホルダー1を損傷することなく、第1の状態と第2の状態との切替えを繰り返し行うことができる。これにより、テープホルダー1は、第1の状態及び第2の状態の何れでも使用することができるリバーシブル構造を有している。側板部12,14の材料としては、例えば、紙類、プラスチック、金属、又は木材を用いることができる。紙類には、加工紙、及びセルロースナノファイバー(CNF)も含まれる。プラスチックは、生分解性プラスチックであってもよい。
【0018】
さらに、テープホルダー1は、連結部20、底板部30、切断刃40、及び貼着部50を備えている。連結部20は、側板部12と側板部14とを連結している。連結部20は、巻回部92の内側に挿通されている。連結部20は、板状をしている。連結部20の厚み方向は、各側板部12,14の厚み方向に垂直である。連結部20は、板状部22(第1の板状部)、及び板状部24(第2の板状部)を含んでいる。板状部22及び板状部24は、それぞれ、側板部12及び側板部14に接続されている。詳細には、板状部22及び板状部24は、開口部16の下端に接続されている。
【0019】
連結部20は、板状部22及び板状部24が互いに重なった状態で解除可能に固定されることにより、側板部12と側板部14とを連結している。ここで、「解除可能」とは、テープホルダー1を損傷することなく、板状部22及び板状部24が互いに固定された状態を解除できるということである。連結部20は、側板部12,14と一体に形成されることが好ましい。連結部20の材料は、側板部12,14の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
底板部30は、側板部12の下端12a及び側板部14の下端14aに接続されている。これにより、側板部12の下端12aと側板部14の下端14aとは、底板部30によって連結されている。底板部30は、各下端12a,14aの全体に接続されていてもよいし、一部にのみ接続されていてもよい。底板部30は、板状をしている。底板部30の厚み方向は、各側板部12,14の厚み方向に垂直であり、連結部20の厚み方向に等しい。底板部30は、側板部12,14と一体に形成されることが好ましい。底板部30の材料は、側板部12,14の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
切断刃40は、テープ90の引出部94を切断する。詳細には、切断刃40は、テープ90の表面側に当接した状態で引出部94を切断する。切断刃40は、底板部30に取り付けられている。具体的には、切断刃40は、底板部30の端部に取り付けられている。切断刃40の先端は、底板部30から食み出している。切断刃40の先端は、巻回部92から離間している。これにより、切断刃40は、一定の長さの引出部94を残して、テープ90を切断する。切断刃40の材料は、側板部12,14の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。切断刃40は、底板部30と一体に形成されてもよい。
【0022】
貼着部50は、切断刃40の上方に設けられている。図5に示すように、貼着部50には、テープ90の端90aが切断刃40から浮いた状態で、テープ90の裏面が貼着される。具体的には、貼着部50の先端部52に、テープ90の裏面が貼着される。先端部52は、貼着部50の下端に等しい。先端部52(テープ90の裏面が接触する部分)は、平坦であってもよいし、凹凸が形成されていてもよい。貼着部50の幅は、先端部52に近づくにつれて単調に小さくなっている。先端部52の幅w1(図4参照)は、テープ90の幅よりも小さい。すなわち、幅w1は、テープホルダー1において使用することが想定されるテープ90の幅よりも小さく設計されている。幅w1は、テープ90の幅の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
【0023】
貼着部50は、側板部12及び側板部14に接続されている。具体的には、貼着部50は、側板部12の側端12b及び側板部14の側端14bに接続されている。側端12bは、側板部12の下端12a以外の周縁のうち、下部に位置する部分である。同様に、側端14bは、側板部14の下端14a以外の周縁のうち、下部に位置する部分である。側端12b,14bは、直線状をしている。これにより、側板部12の側端12bと側板部14の側端14bとは、貼着部50によって連結されている。側端12bと側端14bとは、貼着部50のみによって連結されている。それゆえ、側端12bと側端14bとは、貼着部50の反対側においては連結されていない。また、側板部12の上端12cと側板部14の上端14cとも、連結されていない。上端12cは、側板部12の下端12a以外の周縁のうち、上部に位置する部分である。同様に、上端14cは、側板部14の下端14a以外の周縁のうち、上部に位置する部分である。上端12c,14cは、曲線状をしている。
【0024】
上下方向についての切断刃40から貼着部50(先端部52)までの距離d1(図4参照)は、側板部12及び側板部14間の間隔d2以上であることが好ましい。上下方向は、底板部30の厚み方向(図1乃至図4の上下方向)に等しい。距離d1は、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。
【0025】
図6は、貼着部50を示す斜視図である。貼着部50には、爪部54が接続されている。爪部54は、貼着部50を側板部12,14に取り付けるための部分である。爪部54は、貼着部50の両側端の各々から側板部12,14の内側に向かって延在している。爪部54を各側板部12,14の切込18に差し込むことにより、側板部12,14に貼着部50を取り付けることができる。本実施形態において爪部54は、各側板部12,14の外面から内面に向かって差し込まれている。爪部54を切込18から引き抜くことにより、側板部12,14から貼着部50を取り外すことができる。このように、貼着部50は、側板部12及び側板部14に対して着脱自在である。ここで、着脱自在とは、テープホルダー1を損傷することなく、側板部12,14に対する貼着部50の取付け及び取外しを繰り返し行えるということである。
【0026】
側面視で、先端部52は、側端12b,14b上に位置している。平面視で、先端部52は、切断刃40の先端に重なってもよいし、重ならなくてもよい。すなわち、先端部52は、切断刃40の先端の真上に位置してもよいし、斜め上に位置してもよい。後者の場合、平面視で切断刃40の先端から先端部52までの距離(水平方向の距離)は、距離d1よりも小さいことが好ましい。貼着部50は、板状をしている。貼着部50の厚み方向は、各側板部12,14の厚み方向にも底板部30の厚み方向にも垂直である。貼着部50の材料は、側板部12,14の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0027】
図7乃至図9を参照しつつ、テープホルダー1の製造方法の一例を説明する。まず、充分な大きさのシートを切断し、図7に示す形のシート62、及び図8に示す形のシート64を準備する。本例において各シート62,64は、紙類(厚紙)からなる。シート62は、側板部12となる部分12p、側板部14となる部分14p、板状部22となる部分22p、板状部24となる部分24p、及び底板部30となる部分30pからなる。各部分12p,14pには、開口部16となる部分16p、及び切込18が形成されている。部分22pは、爪部23を有している。部分24pには、爪部23の差込口となる切込25が形成されている。部分30pには、切断刃40が取り付けられている。シート64は、貼着部50となる部分50p、及び爪部54となる部分54pからなる。
【0028】
次に、図9に示すように、折目L1、折目L2、折目L3、折目L4及び折目L5に沿ってシート62を直角に谷折りにする。折目L1は、部分12pと部分22pとの境界に位置する。折目L2は、部分14pと部分24pとの境界に位置する。折目L3は、部分12pと部分30pとの境界に位置する。折目L4は、部分14pと部分30pとの境界に位置する。折目L5は、爪部23の根元に位置する。このとき、部分22p,24pが巻回部92の内側に挿通されるように、部分12pと部分14pとの間にテープ90を配置する。その後、部分24pの上に部分22pが重なるようにして、部分22pと部分24pとを固定する。この固定は、爪部23を切込25に差し込むことにより行われる。これにより、側板部12、側板部14、連結部20、及び底板部30が形成される。側板部12及び側板部14は、面S1どうしが対向した状態(第1の状態)にある。連結部20は、爪部23を有する板状部22、及び切込25を有する板状部24からなっている。このように、本例において側板部12、側板部14、連結部20、及び底板部30は、1枚のシートから形成されている。
【0029】
また、折目L6に沿ってシート64を直角に谷折りする。折目L6は、部分50pと部分54pとの境界に位置する。これにより、図6に示した貼着部50が形成される。その後、爪部54を切込18に差し込むことにより、貼着部50が側板部12,14に取り付けられる。以上により、図1乃至図5に示したテープホルダー1が得られる。
【0030】
図10乃至図13を参照しつつ、テープホルダー1の使用方法の一例を説明する。まず、図10に示すように、テープ90(引出部94)を指で摘んで、テープ90を貼着部50から剥がした後、底板部30に沿って引っ張る。これにより、底板部30と貼着部50との間からテープ90が繰り出される。次に、図11に示すように、テープ90の表面を切断刃40の先端に押し当てるようにしてテープ90を切断する。その後、図12に示すように、テープ90の裏面を貼着部50に再び貼着する。このとき、テープ90の端90aが先端部52から食み出すようにすることが好ましい。引出部94は、貼着部50にのみ貼着される。すなわち、テープホルダー1は、テープホルダー1における貼着部50以外の部分に引出部94が貼着されないように構成されている。このようにして、テープホルダー1からテープ90を繰り出して、所望の長さの切断片を得ることができる。
【0031】
第1の状態から第2の状態に切り替えるときは、側板部12,14から貼着部50を取り外した後、爪部23を切込25から引き抜くことにより、板状部22及び板状部24が互いに固定された状態を解除する。次に、折目L1~L5に沿ってシート62を反対側に折る。具体的には、シート62を図7の状態に戻した後、図13に示すように、折目L1~L5に沿ってシート62を山折りにする。このとき、部分12pと部分14pとの間にテープ90を配置する。その後、爪部23を切込25に差し込むことにより、部分22pと部分24pとを再び固定する。これにより、側板部12及び側板部14は、面S2どうしが対向した状態(第2の状態)になる。
【0032】
テープホルダー1の効果を説明する。テープホルダー1は、側板部12,14の面S1どうしが対向した状態(第1の状態)と、側板部12,14の面S2どうしが対向した状態(第2の状態)とを切り替えられるように構成されている。第1の状態では面S2が各側板部12,14の外面を構成する一方、第2の状態では面S1が各側板部12,14の外面を構成することになる。このため、面S1及び面S2に相異なるデザインを施しておけば、第1及び第2の状態の切替えにより、各側板部12,14の外面のデザインを変更することができる。したがって、側板部12,14の外面のデザインを変更することが可能なテープホルダー1が実現されている。
【0033】
このようにテープホルダー1をリバーシブルにすることにより、ユーザが組み立て遊びを楽しむこともできる。すなわち、第1及び第2の状態の切替えを遊びとして楽しむことができる。このため、テープホルダー1は、販促品として活用するのにも適している。また、色彩心理学等の知見を用いれば、第1又は第2の状態の何れを選択するかによって、ユーザの心理状態を推知することもできる。このことは、例えば、大人が、子供や自分自身の心理状態(精神状態)を把握するのに役立つ。
【0034】
テープホルダー1には、テープ90の巻回部92の内側に挿通され、側板部12と側板部14とを連結する連結部20が設けられている。これにより、テープ90がテープホルダー1から脱落するのを防ぐことができる。
【0035】
連結部20は、板状部22及び板状部24が互いに重なった状態で解除可能に固定されることにより、側板部12と側板部14とを連結している。これにより、第1及び第2の状態の切替えを可能にしつつ、各状態(第1又は第2の状態)を維持することができる。
【0036】
板状部22及び板状部24は、爪部23が切込25に差し込まれることにより、互いに固定されている。これにより、接着剤や粘着テープ等を用いることなく、板状部22と板状部24とを安定的に固定することができる。
【0037】
側板部12及び側板部14は、テープ90の巻回部92の全体を側方から覆っている。これにより、巻回部92に塵埃が付着するのを抑制することができる。ただし、本実施形態において側板部12及び側板部14は、巻回部92の一部のみを側方から覆ってもよい。
【0038】
テープホルダー1には、側板部12,14の下端12a,14aに接続された底板部30が設けられている。これにより、テープホルダー1の形状(側板部12と側板部14とが一定の間隔で対向した形状)を安定的に維持することができる。
【0039】
テープホルダー1には、テープ90の引出部94を切断する切断刃40が設けられている。これにより、テープホルダー1を用いて、テープ90の繰出しだけでなく切断まで行うことができる。すなわち、テープホルダー1は、テープカッターとしての機能も具備している。
【0040】
切断刃40は、底板部30に取り付けられている。これにより、切断刃40を安定的に固定しやすくなる。
【0041】
切断刃40の上方に貼着部50が設けられている。貼着部50には、テープ90の端90aが切断刃40から浮いた状態で、テープ90の裏面が貼着される。これにより、テープ90の端90aと切断刃40との間に隙間が確保されるため、テープ90を指で摘みやすくなる。
【0042】
このようにテープ90を貼着部50に貼着しておくことにより、テープ90の巻戻り(引出部94が巻回部92に戻ること)を起こりにくくすることができる。また、切断刃40から離れた位置でテープ90を摘めるため、テープ90を繰り出す際に指が切断刃40に触れにくくなる。このため、テープホルダー1の安全性を高めることができる。
【0043】
上下方向についての切断刃40から貼着部50までの距離d1が大きい方が、テープ90の端90aと切断刃40との隙間が広くなるため、テープ90を摘みやすくするのに有利である。かかる観点から、距離d1は、側板部12,14間の間隔d2以上であることが好ましい。同様の観点から、距離d1は、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。他方、距離d1が大きすぎると、貼着部50を配置する場所をテープホルダー1に確保しにくくなりかねない。かかる観点から、距離d1は、50mm以下であることが好ましい。
【0044】
貼着部50は、側板部12及び側板部14に接続されている。この場合、貼着部50は、テープホルダー1の形状を安定的に維持するのにも役立つ。
【0045】
貼着部50は、側板部12,14の側端12b,14bに接続されている。これにより、貼着部50の先端部52を側端12b,14bに揃えやすくなる。実際、テープホルダー1においては、側面視で、先端部52が側端12b,14b上に位置している。この場合、側板部12及び側板部14で挟まれた空間の奥に先端部52が入り込まないため、貼着部50に貼着されたテープ90を指で摘みやすくするのに有利である。
【0046】
先端部52の幅w1は、テープ90の幅よりも小さい。この場合、幅w1を変えることにより、先端部52とテープ90との接触面積、ひいては貼着部50とテープ90との間の粘着力を調整することができる。これにより、貼着部50の材料の選択肢を増やすことができる。
【0047】
テープ90における貼着部50に貼着されていた部分は、貼着部50から剥がした後に粘着力が低下しやすい。それゆえ、幅w1を小さくした方が、テープ90の粘着力を維持するのに有利である。かかる観点から、幅w1は、テープ90の幅の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。他方、幅w1が小さすぎると、貼着部50とテープ90との間の粘着力が不充分になりかねない。かかる観点から、幅w1は、テープ90の幅の5%以上であることが好ましい。
【0048】
貼着部50の幅は、先端部52に近づくにつれて単調に小さくなっている。これにより、各側板部12,14に接続されつつ、先端部52の幅w1がテープ90の幅よりも小さい貼着部50を容易に実現することができる。
【0049】
貼着部50は、側板部12及び側板部14に対して着脱自在である。この場合、貼着部50を側板部12及び側板部14から取り外した状態で、第1及び第2の状態の切替えを行うことが可能となる。これにより、第1及び第2の状態の切替えを円滑に行うことができる。
【0050】
貼着部50が紙類からなる場合、貼着部50ひいてはテープホルダー1の軽量化を図ることができる。テープホルダー1がCNFを材料として含有する場合、テープホルダー1の軽量化及び高強度化を図るのに有利となる。また、CNFを用いることは、環境負荷の低減にも資する。
【0051】
側板部12,14の側端12b,14bどうしは、貼着部50のみによって連結されている。この場合、貼着部50の他には、側端12b,14bどうしを連結する部材が不要である。これにより、テープホルダー1の材料を節約することができる。このことは、テープホルダー1の製造コストの削減に資する。
【0052】
側板部12,14の上端12c,14cどうしは、連結されていない。この場合、上端12c,14cどうしを連結する部材が不要である。これにより、テープホルダー1の材料を一層節約することができる。
(第2実施形態)
【0053】
図14は、本発明によるテープホルダーの第2実施形態を示す斜視図である。図15及び図16は、図14のテープホルダーを示す側面図である。図17及び図18は、それぞれ、図14のテープホルダーを示す正面図及び平面図である。図17は、図14のテープホルダーを右側から見た図に相当する。また、図19は、図14のテープホルダーを示す端面図である。テープホルダー2は、テープ90を回転可能に保持するテープホルダーである。なお、図14乃至図18においては、テープ90の図示を省略している。
【0054】
テープホルダー2は、側板部12、及び側板部14を備えている。側板部12及び側板部14は、テープ90を挟むように設けられており、テープ90を両側方から覆っている。図15及び図16は、それぞれ、側板部12及び側板部14側からテープホルダー2を見た図に相当する。また、図19は、各側板部12,14に平行で、かつ側板部12と側板部14との中間に位置する端面を示している。本実施形態において側板部12及び側板部14は、テープ90の巻回部92の一部のみを側方から覆っている。すなわち、側板部12及び側板部14は、側面視で、巻回部92の一部にのみ重なっている。各側板部12,14は、矩形の板状をしている。各側板部12,14には、後述する爪部78の差込口となる切込18が形成されている。
【0055】
テープホルダー2は、側板部12及び側板部14の面S1どうしが対向した状態(第1の状態)と、側板部12及び側板部14の面S2どうしが対向した状態(第2の状態)とを切り替えられるように構成されている。図14は、第1の状態を示している。テープホルダー2においては、テープホルダー2を損傷することなく、第1の状態と第2の状態との切替えを繰り返し行うことができる。これにより、テープホルダー2は、第1の状態及び第2の状態の何れでも使用することができるリバーシブル構造を有している。
【0056】
さらに、テープホルダー2は、連結部20、底板部30、及び案内部70を備えている。連結部20は、板状部22、及び板状部24を含んでいる。本実施形態において板状部22及び板状部24は、それぞれ、側板部12の上端12c及び側板部14の上端14cに接続されている。これにより、側板部12の上端12cと側板部14の上端14cとは、連結部20によって連結されている。連結部20のその他の構成、及び底板部30の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
【0057】
案内部70は、側板部12の側端12bと側板部14の側端14bとの間の所定の範囲内にテープ90の引出部94を案内する。すなわち、案内部70は、側面視で引出部94が側端12b,14bと所定の範囲内で交わるように、引出部94を案内する。案内部70は、底板部30から離間している。案内部70は、側板部12及び側板部14に接続されている。具体的には、案内部70は、側板部12の側端12b及び側板部14の側端14bに接続されている。これにより、側板部12の側端12bと側板部14の側端14bとは、案内部70によって連結されている。側端12bと側端14bとは、案内部70のみによって連結されている。それゆえ、側端12bと側端14bとは、案内部70の反対側においては連結されていない。案内部70の材料は、側板部12,14の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0058】
図20は、案内部70を示す斜視図である。案内部70は、開口72、貼着部74、切断刃76、及び爪部78を有している。開口72は、テープ90の引出部94が通過する部分である。開口72は、底板部30から離間している。開口72は、側面視で、側板部12,14の側端12b,14bに重なっている。開口72の全体を含む平面の垂線は、各側板部12,14の厚み方向にも底板部30の厚み方向にも垂直である。上述の「所定の範囲」は、開口72の範囲に等しい。開口72は、正面視で、横長の矩形をしている。開口72の左右方向(各側板部12,14の厚み方向に等しい)の長さd3(図17参照)は、側板部12及び側板部14間の間隔d2よりも小さい。長さd3は、テープ90の幅よりも大きい。
【0059】
貼着部74は、開口72に連設されている。具体的には、貼着部74は、開口72の下端に連設されている。貼着部74は、開口72から側板部12,14の外側に向かって張り出している。貼着部74には、図19に示すように、テープ90の引出部94が貼着される。具体的には、貼着部74の貼着面74aに、引出部94の裏面が貼着される。貼着面74aは、貼着部74の上面に等しい。貼着面74aは、平面状をしている。貼着面74aは、底板部30と平行である。貼着部74の幅w2(図18参照)は、テープ90の幅よりも小さい。幅w2は、貼着面74aの左右方向の寸法として定義される。幅w2は、テープ90の幅の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
【0060】
切断刃76は、開口72を通過した引出部94を切断する。上述の開口72及び貼着部74は、引出部94に沿って、巻回部92と切断刃76との間に設けられている。切断刃76の先端は、引出部94を切断しやすいように、外向き(側端12b,14bから遠ざかる向き)になっている。切断刃76の先端は、側面視で、側板部12,14の側端12b,14bから食み出している。また、切断刃76の先端は、側面視で、貼着部74よりも内側に位置している。すなわち、切断刃76の先端から側端12b,14bまでの距離d4(図15参照)は、貼着部74の先端から側端12b,14bまでの距離d5よりも小さい。切断刃76の先端は、貼着部74から離間している。切断刃76の先端は、底板部30からも離間している。すなわち、各側板部12,14の上下方向について、切断刃76の先端は、貼着部74と底板部30との間に位置している。切断刃76は、案内部70の下端に設けられている。切断刃76の幅は、テープ90の幅以上である。
【0061】
切断刃76の材料は、案内部70の他の部分の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。後者の場合、例えば、切断刃76の材料として金属を用いるとともに、他の部分の材料として紙類を用いることが考えられる。また、切断刃76は、案内部70の他の部分と一体に形成されてもよいし、他の部分と別々に形成された後に当該部分に取り付けられてもよい。
【0062】
爪部78は、案内部70を側板部12,14に取り付けるための部分である。爪部78は、案内部70の両側端の各々から側板部12,14の内側に向かって延在している。ただし、図20においては、2つの爪部78のうち片方の爪部78の図示を省略している。爪部78を各側板部12,14の切込18に差し込むことにより、側板部12,14に案内部70を取り付けることができる。本実施形態において爪部78は、各側板部12,14の外面から内面に向かって差し込まれている。爪部78を切込18から引き抜くことにより、側板部12,14から案内部70を取り外すことができる。このように、案内部70は、側板部12及び側板部14に対して着脱自在である。ここで、着脱自在とは、テープホルダー2を損傷することなく、側板部12,14に対する案内部70の取付け及び取外しを繰り返し行えるということである。
【0063】
図21乃至図24を参照しつつ、テープホルダー2の製造方法の一例を説明する。まず、充分な大きさのシートを切断し、図21に示す形のシート66、及び図22に示す形のシート68を準備する。本例において各シート66,68は、紙類(厚紙)からなる。シート66は、側板部12となる部分12p、側板部14となる部分14p、板状部22となる部分22p、板状部24となる部分24p、及び底板部30となる部分30pからなる。各部分12p,14pには、切込18が形成されている。部分22pは、爪部23を有している。部分24pには、爪部23の差込口となる切込25が形成されている。シート68は、開口72となる部分72p、貼着部74となる部分74p、及び爪部78となる部分78pからなる。
【0064】
次に、図23に示すように、折目L7、折目L8、折目L9、折目L10及び折目L11に沿ってシート66を直角に谷折りにする。折目L7は、部分12pと部分22pとの境界に位置する。折目L8は、部分14pと部分24pとの境界に位置する。折目L9は、部分12pと部分30pとの境界に位置する。折目L10は、部分14pと部分30pとの境界に位置する。折目L11は、爪部23の根元に位置する。このとき、部分22p,24pが巻回部92の内側に挿通されるように、部分12pと部分14pとの間にテープ90を配置する。その後、部分24pの上に部分22pが重なるようにして、部分22pと部分24pとを固定する。この固定は、爪部23を切込25に差し込むことにより行われる。これにより、側板部12、側板部14、連結部20、及び底板部30が形成される。側板部12及び側板部14は、面S1どうしが対向した状態(第1の状態)にある。連結部20は、爪部23を有する板状部22、及び切込25を有する板状部24からなっている。このように、本例において側板部12、側板部14、連結部20、及び底板部30は、1枚のシートから形成されている。
【0065】
また、図24に示すように、折目L12に沿ってシート68を直角に谷折りするとともに、折目L13に沿ってシート68を直角に山折りする。折目L12は、部分74pの下端に位置する。折目L13は、部分78pの根元に位置する。これにより、部分74pが抜けた部分が、部分72pと共に開口72となる。さらに、開口72の下方に切断刃76を取り付けることにより、案内部70が形成される。その後、爪部78を切込18に差し込むことにより、案内部70が側板部12,14に取り付けられる。以上により、図14乃至図19に示したテープホルダー2が得られる。
【0066】
図25乃至図27を参照しつつ、テープホルダー2の使用方法の一例を説明する。まず、図25に示すように、テープ90の引出部94を指で摘んで、引出部94を貼着部74から剥がした後、引出部94を側板部12,14の外側に引っ張る。これにより、開口72を通して、側板部12,14の側端12b,14b間の隙間からテープ90が繰り出される。次に、図26に示すように、引出部94の裏面を切断刃76の先端に押し当てるようにして引出部94を切断する。切断後、引出部94は、再び、貼着部74に貼着された状態となる(図19参照)。このとき、テープ90の端90aは、切断刃76の先端上に残ってもよいし、切断刃76の先端から離れてもよい。このようにして、テープホルダー2からテープ90を繰り出して、所望の長さの切断片を得ることができる。
【0067】
第1の状態から第2の状態に切り替えるときは、側板部12,14から案内部70を取り外した後、爪部23を切込25から引き抜くことにより、板状部22及び板状部24が互いに固定された状態を解除する。次に、折目L7~L11に沿ってシート66を反対側に折る。具体的には、シート66を図21の状態に戻した後、図27に示すように、折目L7~L11に沿ってシート66を山折りにする。このとき、部分12pと部分14pとの間にテープ90を配置する。その後、爪部23を切込25に差し込むことにより、部分22pと部分24pとを再び固定する。これにより、側板部12及び側板部14は、面S2どうしが対向した状態(第2の状態)になる。
【0068】
テープホルダー2の効果を説明する。テープホルダー2は、側板部12,14の面S1どうしが対向した状態(第1の状態)と、側板部12,14の面S2どうしが対向した状態(第2の状態)とを切り替えられるように構成されている。第1の状態では面S2が各側板部12,14の外面を構成する一方、第2の状態では面S1が各側板部12,14の外面を構成することになる。このため、面S1及び面S2に相異なるデザインを施しておけば、第1及び第2の状態の切替えにより、各側板部12,14の外面のデザインを変更することができる。したがって、側板部12,14の外面のデザインを変更することが可能なテープホルダー2が実現されている。
【0069】
側板部12及び側板部14は、テープ90の巻回部92の一部のみを側方から覆っている。これにより、側板部12,14の材料を節約することができる。このことは、テープホルダー2の製造コストの削減に資する。ただし、本実施形態において側板部12及び側板部14は、巻回部92の全体を側方から覆ってもよい。
【0070】
テープホルダー2には、側板部12,14の側端12b,14b間の所定の範囲内にテープ90の引出部94を案内する案内部70が設けられている。案内部70は、底板部30から離間した開口72を有している。開口72を通過した引出部94は、切断刃76で切断される。切断後の引出部94は、開口72に連設された貼着部74に貼着される。これにより、引出部94が開口72を通過した状態が維持されるため、底板部30から離間した位置で引出部94を摘むことが可能となる。このため、繰り出す際にテープ90の引出部94を摘みやすくなる。また、このようにテープ90を貼着部74に貼着しておくことにより、テープ90の巻戻りを起こりにくくすることができる。
【0071】
貼着部74は、開口72から側板部12,14の外側に向かって張り出している。これにより、貼着部74が側板部12,14の内側に向かって張り出している場合に比して、貼着部74に貼着された引出部94を摘みやすくなる。ただし、貼着部74は、開口72から側板部12,14の内側に向かって張り出していてもよい。その場合、貼着部74は、側板部12と側板部14との間に挟まれた状態となる。
【0072】
切断刃76の先端は、側面視で、貼着部74よりも内側に位置している。この場合、貼着部74に対して切断刃76が引っ込んだ状態となるため、テープホルダー2の安全性を高めることができる。ただし、切断刃76の先端は、側面視で、貼着部74よりも外側に位置していてもよい。
【0073】
切断刃76の先端は、貼着部74から離間している。この場合、貼着部74に貼着された引出部94を切断刃76から離れた位置で摘めるため、テープ90を繰り出す際に指が切断刃76に触れにくくなる。このため、テープホルダー2の安全性を高めることができる。
【0074】
貼着部74の幅w2は、テープ90の幅よりも小さい。この場合、幅w2を変えることにより、貼着部74とテープ90との接触面積、ひいては貼着部74とテープ90との間の粘着力を調整することができる。これにより、貼着部74の材料の選択肢を増やすことができる。ただし、幅w2は、テープ90の幅に等しくてもよいし、テープ90の幅より大きくてもよい。例えば、幅w2は、開口72の左右方向の長さd3に等しくてもよい。
【0075】
開口72は、側面視で、側板部12,14の側端12b,14bに重なっている。このように開口72の位置を側端12b,14bに揃えることにより、側板部12,14の側端12b,14b間の所定の範囲内にテープ90の引出部94を確実に案内することができる。
【0076】
案内部70は、側板部12及び14に接続されている。この場合、案内部70は、テープホルダー2の形状を安定的に維持するのにも役立つ。しかも、案内部70は、側板部12,14の側端12b,14bに接続されている。これにより、開口72の位置を側端12b,14bに揃えやすくなる。
【0077】
案内部70は、側板部12及び側板部14に対して着脱自在である。この場合、案内部70を側板部12及び側板部14から取り外した状態で、第1及び第2の状態の切替えを行うことが可能となる。これにより、第1及び第2の状態の切替えを円滑に行うことができる。テープホルダー2のその他の効果は、テープホルダー1と同様である。
【0078】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、爪部23が切込25に差し込まれることにより板状部22と板状部24とが互いに固定される場合を例示した。しかし、板状部22と板状部24との固定は、解除可能である限り、他の手段により行われてもよい。他の手段としては、例えば、被着体に跡を残さずに剥がすことのできる両面テープを用いることが考えられる。両面テープを用いる場合、粘着面が露出する部分は、剥離紙で覆っておくことが好ましい。かかる剥離紙にデザインが施されていてもよい。同様に、側板部12,14に対する貼着部50又は案内部70の固定も、両面テープを用いて行われてもよい。
【0079】
上記実施形態において案内部70は、図28又は図29に示す構造をしていてもよい。図28において案内部70は、開口72、貼着部74、切断刃76、及び糊代部79を有している。開口72及び貼着部74は、互いに合同な台形状をしている。貼着部74は、開口72の下端の全体に連設されている。貼着面74aの左右方向の寸法は、貼着部74の先端に近づくにつれて次第に小さくなっている。これにより、貼着部74に貼着された引出部94を一層摘みやすくなる。このように貼着面74aの左右方向の寸法が一定でない場合、貼着部74の幅w2は、当該寸法の最大値として定義される。糊代部79は、案内部70を側板部12,14に取り付けるための部分である。糊代部79は、案内部70の両側端の各々から側板部12,14の内側に向かって延在している。また、糊代部79は、案内部70の両側端の全体に設けられている。例えば上述の両面テープを介して糊代部79の外面を各側板部12,14の内面に貼り合わせることにより、側板部12,14に案内部70を取り付けることができる。
【0080】
図29において案内部70は、開口72、貼着部74、張出部75、切断刃76、及び糊代部79を有している。貼着部74は、三角形状をしている。貼着部74は、開口72の下端の一部にのみ連設されている。貼着面74aの左右方向の寸法は、貼着部74の先端に近づくにつれて次第に小さくなっている。張出部75は、開口72の上端の全体に連設されている。張出部75は、開口72から側板部12,14の外側に向かって張り出している。このように張出部75を設けることにより、テープ90を縒れにくくすることができる。さらに、裏面(粘着面)が張出部75側を向くようにテープ90を配置した場合、張出部75は、引出部94が貼着される貼着部としても機能する。両面に粘着面が露出した両面テープをテープ90として用いた場合も、同様である。
【0081】
上記実施形態においては、テープ90が粘着テープである場合を例示した。しかし、テープ90は、粘着面を有しない非粘着テープであってもよい。非粘着テープとしては、例えば紙テープが挙げられる。
【符号の説明】
【0082】
1 テープホルダー
2 テープホルダー
12 側板部(第1の側板部)
12a 下端
12b 側端
12c 上端
14 側板部(第2の側板部)
14a 下端
14b 側端
14c 上端
16 開口部
18 切込
20 連結部
22 板状部(第1の板状部)
23 爪部
24 板状部(第2の板状部)
25 切込
30 底板部
40 切断刃
50 貼着部
52 先端部
54 爪部
62 シート
64 シート
66 シート
68 シート
70 案内部
72 開口
74 貼着部
74a 貼着面
75 張出部
76 切断刃
78 爪部
79 糊代部
90 テープ
90a 端
92 巻回部
94 引出部
S1 面(第1の面)
S2 面(第2の面)
【要約】
側板部の外面のデザインを変更することが可能なテープホルダーを提供する。テープホルダー1は、巻回されたテープを回転可能に保持するテープホルダーであって、側板部12、及び側板部14を備えている。側板部12及び側板部14は、テープを両側方から覆っている。各側板部12,14は、面S1及び面S2を有している。テープホルダー1は、側板部12及び側板部14の面S1どうしが対向した状態である第1の状態と、側板部12及び側板部14の面S2どうしが対向した状態である第2の状態とを切り替えられるように構成されている。
図1
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図29