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特許7370134組み合わされた流体防除氷及び電子冷却システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】組み合わされた流体防除氷及び電子冷却システム
(51)【国際特許分類】
   B64D 15/08 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
B64D15/08
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018183121
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2019081537
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】15/720,938
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マッキン, スティーヴ ジー.
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-92300(JP,A)
【文献】特表2011-516344(JP,A)
【文献】特開平4-212699(JP,A)
【文献】特開2015-91688(JP,A)
【文献】特開2017-105446(JP,A)
【文献】実開平1-149895(JP,U)
【文献】特開昭49-105014(JP,A)
【文献】特開2017-171106(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0311542(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0150955(US,A1)
【文献】特開2017-30728(JP,A)
【文献】“航空機の冬期運航における課題と解決に向けた研究の取り組み”,日本,(公財)航空機国際共同開発促進基金,2015年,p.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 15/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(202)の空気力学的表面(206)のための防除氷システム(200)であって、
容器(208)と、
前記容器(208)に連結され且つ第1の導管(212)を備えた電子冷却システム(210)とを備え、
前記電子冷却システム(210)が、前記容器(208)から電子機器(222)に熱接触(220)した前記第1の導管(212)を通して冷却剤(218)を分配し、
前記電子機器(222)から前記冷却剤(218)へ熱(224)が伝達され、
前記防除氷システム(200)が、更に、
前記容器(208)と動作可能に連結(216)されたポンプ(214)と、
前記ポンプ(214)に連通した第2の導管(232)であって、前記航空機(202)の外側上に位置付けられた前記空気力学的表面(206)に配置されたアウトレット(232a)を含む、第2の導管(232)と、
地上保守装備(316)への連結のためのサービスポート(314)とを備え、
前記ポンプ(214)が、前記空気力学的表面(206)上へ前記冷却剤(218)を押し流し、前記冷却剤(218)が、前記空気力学的表面(206)上での氷の形成(204)を低減させ又は妨げ、
前記容器(208)内の冷却剤(218)が前記サービスポート(314)を通して再び満たされる、防除氷システム(200)。
【請求項2】
前記アウトレット(232a)を含む、前記空気力学的表面(206)上の浸透性パネル(238)を更に備え、前記冷却剤(218)が、前記浸透性パネル(238)から前記空気力学的表面(206)上へ漏れ出す、請求項1に記載の防除氷システム(200)。
【請求項3】
前記浸透性パネル(238)が、スラット、主翼(234)、プロペラ(500)、操縦席の窓(308)、又はエンジンインレット(236)に取り付けられている、請求項2に記載の防除氷システム(200)。
【請求項4】
前記冷却剤(218)が、前記空気力学的表面(206)上で水と混ざり、前記水の氷点を降下させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の防除氷システム(200)。
【請求項5】
前記水が、過冷却された液体の滴を含む、請求項4に記載の防除氷システム(200)。
【請求項6】
前記水が、FAR25付録C又はFAR25付録Oで規定されている凍結エンベロープ内で遭遇した水を含む、請求項4又は5に記載の防除氷システム(200)。
【請求項7】
前記冷却剤(218)が、プロピレングリコールと希釈剤を含む防除氷流体を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の防除氷システム(200)。
【請求項8】
前記第1の導管(212)を前記電子機器(222)の下流(318)の前記第2の導管(232)に連結するコネクタ(310)を更に備え、前記空気力学的表面(206)に押し流された前記冷却剤(218)が、前記電子機器(222)から伝達される前記熱(224)の少なくとも一部分を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の防除氷システム(200)。
【請求項9】
前記第1の導管(212)と前記第2の導管(232)が、フレキシブルホース又はプラスチックチューブを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の防除氷システム(200)。
【請求項10】
前記冷却剤(218)を保存している複数の前記容器(208)を更に備え、前記容器(208)の少なくとも1つが、少なくとも20ガロン(75.7リットル)の冷却剤(218)容量を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の防除氷システム(200)。
【請求項11】
前記容器(208)に連結された流体液面レベルセンサ(312)を更に含み、前記流体液面レベルセンサ(312)が、前記容器(208)内の前記冷却剤(218)の液面レベルを測定し、前記冷却剤(218)の前記液面レベルが閾値液面レベルを下回ったときに警報を送信する、請求項1から10のいずれか一項に記載の防除氷システム(200)。
【請求項12】
前記電子機器(222)が、モータコントローラ(228b)を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の防除氷システム(200)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の防除氷システム(200)を備えた航空機(202)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、新規な防除氷及び/又は電子冷却システムを説明する。
【背景技術】
【0002】
航空機の空気力学的表面上での氷の積み重ねは、問題であり得る。例えば、主翼及び/又はエンジンナセルの前縁上に氷が積み重なり得る。更に、氷は空気力学的表面上の意図された気流を邪魔し、空気力学的表面によって生成される揚力の損失をもたらし得る。現代の翼型と現代の認可要件を考慮した設計の組み合わせはより低い氷耐性をもたらし、それは、現代の航空機が、幾つかの従来の防氷技術が提供できるよりも高い防氷能力を有することを必要とすることを意味する。しかし、既存の防氷技術は、複雑であり且つ/又は高価である。
【0003】
民間航空機は、主翼前縁、フロントガラス、及びプロペラを防氷するために流体防除氷システムを利用する。概して、搭載型の防氷又は除氷能力を有する航空機は、抽気システム、Tecalemit-Kilfrost-Sheepbridge(TKS)システム即ち氷点降下(FPD)システム、空気圧/機械式ブーツ、及び電気式主翼防除氷システム(WIPS)、から選択されたシステムを使用する。
【0004】
図1は、エンジンインレット102上の従来のエンジン抽気除氷システム100を示している。ノズル106は、エンジンインレット102の内部の周りでエンジン抽気108を渦巻くように流し、それによって、エンジン抽気によって供給された熱が、エンジンインレット102上の氷を溶かす。しかし、抽気システムは、幾つかの制限を有する。第1に、インレット構造は、内部に高い温度と圧力を受け入れなければならない。それらは、様々な故障モードと効率の良さを考慮した上での深刻な問題を生ずる。この熱管理は、余剰なワイヤー束、保護するもの、及び空間を必要とする。第2に、抽気の流れの抽出がこの条件でのエンジンの能力を超えないように、エンジン防氷(EAI)システムが動作しているときにエンジンのアイドル設定が高められなければならない。第3に、EAIが起動しているときに出力設定が高められなければならないので、EAIシステムが動作しているときに利用可能な最大推力は低減される。最後に、EAIシステムが動作しているときに、燃料消費率(SFC)も増加する。これは、ほとんどのミッションのためのブロック燃料の使用に対してほんのわずかな影響をもたらすが、双発機延長運航性能基準(ETOPS)との適合性を考慮する上での一環として、エンジンアウト条件への効果が解析されるときに、重要な問題となる。究極的には、EAIによるSFCの増加が、必要とされる燃料の保存量を高め、全てのミッションのための離陸重量に影響を与える。大きなファン直径及びより小さいコアを有する超高バイパス比(UHB)エンジンに対して、これらの問題は拡大される。実際、EAIシステムによる利用可能な最大推力の低減は、究極的にはUHBエンジンのコアサイズに影響を与え、重量及びSFCのペナルティーをもたらし得る。
【0005】
WIPSシステムでは、電動ヒータスラットが主翼前縁上に位置決めされ、それによって、ヒーターマットが前縁上の氷を溶かし得る。しかし、そのようなシステムは、電力を大量消費し、その電力を供給するために高い電流及び電圧のワイヤーを使用する。WIPSシステムは、高価であり、保守に時間がかかり、重く、且つ電磁両立性(EMC)及び電磁干渉(EMI)防止を必要とする。更に、ヒータスラットのための電力はエンジンによって生成されることが必要であり、且つ、航空機の構造に損傷を与えないように熱管理が行われることを必要とする。したがって、燃料消費は、増加した重量及びWIPSの電力要件によって悪影響を受ける。
【0006】
そこで、燃料と動作の効率を高めることを可能にする防除氷システムが必要とされる。本開示は、この必要性を満たす。
【発明の概要】
【0007】
航空機202の空気力学的表面206のための防除氷システム200が、本明細書で説明される。該システムは、容器208、容器208に連結され且つ第1の導管212を備えた電子冷却システム210、及び電子冷却システム210に連通する第2の導管232を備える。電子冷却システム210は、容器208から電子機器222(例えば、モータコントローラ)に熱接触220した第1の導管212を通して冷却剤218を分配する。それによって、電子機器222から冷却剤218へ熱224が伝達される(それによって、電子機器222を冷却する)。更に、容器208及び第2の導管232と動作可能に連結/接続216されたポンプ214が、冷却剤218を空気力学的表面206上へ押し流し、それによって、冷却剤218(例えば、防除氷流体)が、空気力学的表面206上での氷の形成204を低減させ又は妨げる。
【0008】
1以上の実施例では、空気力学的表面206上の浸透性パネル238がアウトレット232aを含み、冷却剤218が浸透性パネル238から空気力学的表面206上へ漏れ出す。浸透性パネル238のための位置は、スラット上、テール上、主翼234上、プロペラ500上、操縦席の窓308上、又はエンジンインレット236上を含むが、それらに限定されるものではない。
【0009】
様々な実施例では、冷却剤218(例えば、希釈剤と組み合わされたプロピレングリコール)が、空気力学的表面206上で水と混ざり、水(例えば、FAR25付録C又はFAR25付録Oで規定されている凍結エンベロープ内で遭遇した過冷却された液体の滴又は水)の氷点を降下させる。
【0010】
コネクタ310が、第1の導管212を第2の導管232に連結する。一実施例では、コネクタ310が、第1の導管212を電子機器222の下流318の第2の導管232に連結する。それによって、空気力学的表面206に押し流された冷却剤218は、電子機器222から伝達される熱224の少なくとも一部分を含む。
【0011】
1以上の実施形態では、第1の導管212と第2の導管232が、フレキシブルホース又はプラスチックチューブを含む。
【0012】
防除氷システム200は、容器208に連結された流体液面レベルセンサ312を更に含み得る。流体液面レベルセンサ312は、容器208内の冷却剤218の液面レベルを測定し、冷却剤218の液面レベルが閾値液面レベルの下に落ちたときに警報を送信する。容器208内の冷却剤218は、地上保守装備316に連結されたサービスポート314を通して再び満たされ得る。
【0013】
容器の容量は、電子冷却システムと防除氷のために冷却剤を提供するように適合されている。例えば、複数の容器208が、冷却剤218を保存するために使用され、且つ/又は、容器208の少なくとも1つが、少なくとも20ガロンの冷却剤218の容量を有し得る。
【0014】
本開示は、航空機202を製造し、修理し、又は保守する方法を更に説明する。該方法は、航空機202上で電子機器222を冷却するための冷却剤218を分配する電子冷却装置210を取り付けること、航空機202上で防除氷装置242を取り付けること、及び防除氷装置を電子冷却装置210に連結することを含む。防除氷装置は、電子冷却装置210から冷却剤218を受け入れ、航空機202の外側の空気力学的表面206上に冷却剤218を分配し、冷却剤218は、空気力学的表面206上での氷の形成204を低減させ除去する。該方法は、第1の導管212を容器208に連結すること、及び、航空機202上で第1の導管212を電子機器222と熱的に接触させることを含み、それによって、冷却剤218が、容器208から電子機器222に熱接触220した第1の導管212を通って流れるときに、熱224が電子機器222から消散する。該方法は、コネクタ310を使用して第1の導管212又は容器208に第2の導管232を連結することを更に含み、それによって、コネクタ310は、冷却剤218の少なくとも一部分を、航空機202上の空気力学的表面206上のアウトレット232aに迂回させる。様々な実施例では、コネクタ310が、電子機器222の下流318の第1の導管212上に位置決めされ、それによって、空気力学的表面206上の冷却剤218が、熱224の少なくとも一部分を含む。
【0015】
様々な実施例では、該方法が、容器208に連結されたサービスポート314を通して容器208内に冷却剤218を再び満たすこと、防除氷システム200を有さないそれ以外は同一の航空機202上の発電機と比較して、より低い電気出力を有する発電機を取り付けること、及び、防除氷システム200を有さないそれ以外は同一の航空機202上のターボファンエンジン400と比較して、より少ない燃料消費を有するターボファンエンジン400を取り付けることを更に含む。
【0016】
本開示は、航空機202を作動させる方法を更に説明する。該方法は、本明細書で説明される防除氷システム200を有する航空機202を提供すること、防除氷システム200を有さないそれ以外は同一の航空機202と比較して、凍結状況下において航空機202のためのより高い推力を可能にする指示命令を提供すること、及び航空機202が駐機している間の防除氷システム200の動作を可能にする指示命令を提供することを含む。
【0017】
次に、類似の参照番号が全体を通じて対応する部分を表す、図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】エンジンインレット102上の従来のエンジン抽気除氷システム100を示す。
図2】1以上の実施形態による防除氷システムを示す。
図3】1以上の実施形態による、操縦席の窓に冷却剤を分配する防除氷システムを示す。
図4】1以上の実施形態による、エンジンインレット上の浸透性パネルを示す。
図5】1以上の実施形態による、プロペラ上の浸透性パネルを示す。
図6】1以上の実施形態による、防除氷システムを製作する方法を示すフローチャートである。
図7】1以上の実施形態による、航空機を製作し、修理し、又は保守する方法を示すフローチャートである。
図8】1以上の実施形態による、航空機を作動させる方法を示すフローチャートである。
図9】本明細書で説明される製造プロセスを制御するための例示的なコンピュータハードウェア環境である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明において、添付図面を参照するが、添付図面は、本明細書の一部を形成するものであり、幾つかの実施形態の例示として示される。他の実施形態も利用可能であり、本開示の範囲を逸脱することなく、構造的な変更を加え得ることが理解される。
【0020】
技術的な説明
システムの実施例
図2は、航空機202の1以上の空気力学的表面/翼型206上での氷の積み重ね204を妨げる又は抑制するための航空機202上の防除氷システム200を示している。防除氷システム200は、1以上の容器208、及び電子冷却システム210と組み合された防除氷分配システムを備える。
【0021】
電子冷却システム210は、1以上の容器208に連結された1以上の第1の導管212(例えば、配管システム)、及び1以上の容器208と動作可能に連結216された1以上のポンプ214を含む。電子冷却システム210は、1以上の容器208から電子機器222に熱接触220した1以上の第1の導管212を通して冷却剤218を分配する。それによって、電子機器222から冷却剤218へ熱224が伝達される。様々な実施例では、電子冷却システム210が、主要な電子冷却システム(PECS)であり、PECSは、2つのポンプ214(例えば、分当たり36ガロンのポンプ)と(航空機の車輪格納部226内に配置された)容器208を備える。
【0022】
図2は、電子機器222が、第1の空調ユニット又は熱交換器228a、航空機の電気システムに電力を供給する直流DCモータ、及び航空機202の後部の第2のバックアップ熱交換器を含むことを示している。1以上の実施例では、熱交換器228aが、4つのコンプレッサ及び4つのモータ、モータを制御するモータコントローラ228b、扇風機、及びラジエータを含む。電子機器222は、熱負荷228c及び228dも含み得る。
【0023】
防除氷システム200は、1以上のポンプ214及び/又は第1の導管212及び/又は1以上の容器208に連通した、1以上の第2の導管232、又は導管若しくは分配管のシステムを更に備える。ポンプ214のうちの1以上は、1以上の第2の導管232を通して、航空機の(1以上の)主翼234及び(1以上の)エンジンインレット236上に位置付けられた1以上の空気力学的表面206上に配置された1以上のアウトレット232aへ、液体冷却剤218を押し流す。様々な実施例では、(1以上の第2の導管232に連結され且つアウトレット232aのうちの1以上を含む)1以上の浸透性パネル238が、1以上の空気力学的表面206上に配置されている。それによって、1以上の浸透性パネル238から1以上の空気力学的表面206上に、冷却剤218が流れ、漏れ出し、又は染み出す。油圧式漏れ隔離デバイス240も、図2で示されている。
【0024】
図3は、(SLD遭遇のための)防除氷窓流体218を提供する航空機202上の操縦席の窓308の空気力学的表面306上の浸透性パネル304に第2の導管302が連結されているシステム300の実施例を示している。
【0025】
容器208内の冷却剤218液面レベルを測定するために、流体液面レベルセンサ312が使用されている。1以上のコネクタ(例えば、ティー)310が、1以上の第1の導管212を1以上の第2の導管232、302に連結する。様々な実施例では、コネクタ310が電子機器222の下流318にあり、それによって、(1以上の)空気力学的表面206、306に押し流された冷却剤218が、電子機器から222から冷却剤218に伝達される熱224の少なくとも一部分を含む。
【0026】
エンジンインレット上の浸透性パネルの更なる実施例
図4は、ガスタービンエンジン400上で様々な態様による防除氷システム200を使用することを示している。ガスタービンエンジンは、パイロン404上に取り付けられたナセル402を含む。例えば、パイロン404は、ナセル402を航空機の主翼又は胴体に連結することができる。ナセル402は、前縁又はリップスキン406を含む。前縁又はリップスキン406は、そこを通って防除氷流体を含む冷却剤が染み出し得るところの、複数のオリフィス又はアウトレット410を含む、浸透性パネル238を含む。オリフィス410から染み出した防除氷流体は、ナセル402の内向きに面した下流表面408に向けて矢印Iの方向へ移動するか、又はナセル402の外向きに面した下流表面411に向けて矢印Jの方向へ移動することができる。ナセル402の内向きに面した下流表面408は、開孔412を含む。開孔412は、連続的な開孔として又は間隔が空けられた一連の開孔として配置され得る。開孔412に向けて移動する防除氷流体は、矢印Kの方向に開孔412の中へ引き込まれ、防除氷流体によって運ばれる水が、矢印Mの方向にエンジン400の中へ連なる可能性が高い。ナセル402の外向きに面した下流表面411は、開孔414を含む。開孔414は、連続的な開孔として又は間隔が空けられた一連の開孔として配置され得る。開孔414に向けて移動する防除氷流体は、矢印Lの方向に開孔414の中へ引き込まれ、防除氷流体によって運ばれる水が、矢印Nの方向へ後ろに連なる可能性が高い。
【0027】
ガスタービンエンジン400のためのスピナー420も、浸透性パネルを含み得る。防除氷流体をスピナー上へ染み出させるための一連のオリフィス426が、スピナー420の第1の領域422(例えば、上流領域)上に配置され得る。開孔428が、スピナー420の第2の領域424(例えば、下流の領域)上に配置され得る。開孔428は、連続的な開孔として又は間隔が空けられた一連の開孔として配置され得る。オリフィス426から開孔428へ向けて(矢印Oの方向に)移動する防除氷流体は、矢印Pの方向に開孔428の中へ引き込まれ、防除氷流体によって運ばれる水が、矢印Qの方向にエンジン400の中へ連なる可能性が高い。
【0028】
1以上の実施例では、防除氷システム200と共に使用されるエンジン400が、より小さくより効率的であり、それによって、より効率的でより軽量の航空機を可能にする。防除氷システム200の1以上の実施例は、防氷抽気の流れが低減され又は消去されるので、非常に高いパイパス比で小さいコアを有するエンジン400の使用を可能にする。
【0029】
プロペラ又はジェットエンジンのファン上の浸透性パネルの実施例
図5は、航空機のプロペラ500に組み合わされる様々な態様による防除氷システム200を示している。プロペラは、スピナー502から延在する4つのプロペラブレード504を含む。一連のオリフィス510は、スピナー502の第1の領域506(例えば、上流領域)上に配置され得る。図4で示されている開孔412又は開孔428に類似する、開孔512が、スピナー502の第2の領域508(例えば、下流領域)上に配置され得る。開孔512は、連続的な開孔として又は間隔が空けられた一連の開孔として配置され得る。オリフィス510から開孔512へ向けて(矢印Rの方向に)移動する防除氷流体は、矢印Sの方向に開孔512の中へ引き込まれ、防除氷流体によって運ばれる水が、矢印Tの方向にブレード504へ向かって連なる可能性が高い。
【0030】
様々な実施例では、ギア式ターボファンエンジン400が、非常に速くは回転しないファンを有する。あるポイントにおいて、ファンは、氷がブレードのハブの近くで形成され且つハブから氷を除去するために防氷システムが使用され得るのに十分なほど遅く回転し得る。
【0031】
工程ステップ
製作
図6は、防除氷装置(例えば、流体防除氷システム(FIPS))を製作する方法を示すフローチャートである。
【0032】
ブロック600は、電子冷却装置210を取得する又は組み立てることを表している。1以上の実施形態では、電子冷却装置210が、冷却剤を保存した容器208又はタンク、及び容器208に連結された第1の導管212を備え、冷却剤が、容器208から電子機器222に熱接触220した第1の導管212を通って流れるときに、熱224が電子機器222から消散する。容器208は、防除氷装置と共に使用されない従来の電子冷却システムの容器/タンクと比較して、増加した容量(例えば、少なくとも20ガロン)を有する。
【0033】
電子冷却システム210によって冷却される例示的な電子機器/電気システムは、航空機202上の空調システム又は液冷式の調理室に電力を供給するモータを含むが、それらに限定されるものではない。
【0034】
ブロック602は、航空機202の外側に位置付けられた1以上の空気力学的表面206上に配置され得る1以上のアウトレット232aを含む1以上の第2の導管232を備えた防除氷分配システム242を取得する又は組み立てることを表している。様々な実施例では、分配システム242が、1以上の第2の導管232に連結され且つアウトレット232aのうちの1以上を含む、1以上の浸透性パネル238を更に備え、それによって、1以上の浸透性パネル238から1以上の空気力学的表面206上に、冷却剤218が流れ、染み出し、又は漏れ出す。空気力学的表面206のための例示的な位置は、航空機202上のスラット、プロペラ500、操縦席の窓、又はエンジンインレット上を含むが、それらに限定されるものではない。
【0035】
様々な実施例では、第1及び第2の導管212、232が、フレキシブルホース、プラスチック若しくはナイロンの配管、又はダクティングを含む。様々な実施例では、液体冷却剤218が、ナイロンの配管の枝分かれシステムを備えた第2の導管232を通して、タンク208から浸透性パネル238へ押し流される。
【0036】
ブロック604は、(例えば、コネクタ310を使用して)防除氷分配システム242を電子冷却装置210に連結することを表しており、それによって、防除氷分配システム242は、電子冷却装置210から冷却剤218を受け入れ、浸透性パネル238を通して航空機202の空気力学的表面206上に冷却剤218を分配する。
【0037】
ブロック606は、容器のうちの1以上内の冷却剤の液面レベルを測定する冷却剤流体モニタリング/液面レベルセンサ312を連結することを表している。
【0038】
ブロック608は、容器208にサービスポート314を連結することを表しており、容器208内の冷却剤218は、サービスポート314が地上保守装備316に対する連結350と連結されたときに、サービスポート314を通して再び満たされる。
【0039】
ブロック610は、最終結果、すなわち、電子機器222を冷却するための冷却剤218を分配する電子冷却装置210を含む防除氷システム200、及び電子冷却装置210に連結された防除氷装置242を示している。ここで、防除氷装置は、電子冷却装置210から冷却剤218を受け入れ、航空機202の空気力学的表面206上に冷却剤218を分配する。冷却剤218は、空気力学的表面206上での氷の形成204を低減させ除去する。
【0040】
1以上の実施形態では、1以上のコネクタ310が、1以上の第2の導管232を電子機器222の下流318の電子冷却装置210に連結し、それによって、空気力学的表面206に分配される防除氷流体218は、熱224の少なくとも一部分を含み、空気力学的表面206上での氷の積み重ね204を低減させ又は妨げる。熱224は、冷却剤218の粘度を低減させ(広がりを増加させ)る助けとなり、それによって、防除氷流体としてのその性能を改良する。
【0041】
例示的なポンプは、直流(DC)モータ駆動ポンプを含むが、それに限定されるものではない。一実施例では、ポンプ214が、加圧されていない容器208から流体を抽出し、少なくとも近似的に100psiaまで圧力を高める。
【0042】
1以上の実施形態では、冷却剤が、非限定的に、プロピレングリコール及び希釈剤などの凍結防止用のグリコール系の流体を含む、氷点降下剤を含む防除氷流体(例えば、水)である。希釈剤は、防除氷装置に連結されていない電子冷却システム210内の冷却剤と比較して、冷却剤の粘度を低減させる。それによって、冷却剤は、少なくとも2つの機能、すなわち、(1)電子機器222に熱接触220した電子冷却装置210の一部分を通って冷却剤218が流れるときに、電子機器222から熱224を消散させること、及び(2)冷却剤218が空気力学的表面206上で水滴と混ざり、水滴が凍結しないように水滴の氷点を下げること、を実行する。グリコール系の流体と水滴との混合物は、その後、航空機202から共に流れ落ちる。
【0043】
防除氷システムは、輸送体の空気力学的表面(例えば、列車の操縦席の窓若しくは翼型の前縁、エンジンのナセル、及び/又はプロペラ若しくはファンのためのスピナー)上での氷の積み重ねを低減させるように、航空機202又は高速列車などの輸送体上に取り付けられ得る。
【0044】
航空機の製作、修理、及び保守
図7は、非限定的に民間及び軍事航空機を含む、航空機202を製造し、修理し、又は保守する方法を示している。防除氷システム200は、100名を超える乗客を運び且つ(例えば、大きな液冷式の調理室システムを含む)沢山の電気システムを有する、大きな航空機上で特に価値が高い。
【0045】
ブロック700は、航空機202上で電子機器222を冷却するための冷却剤を分配する電子冷却装置210を任意選択的に取り付けることを表している。電子冷却装置210は、容器208と第1の導管212を備え、ステップは、第1の導管212を容器208に連結すること、及び、第1の導管212を航空機202上の電子機器222と熱的に接触させることを含み、それによって、冷却剤218が、容器208から電子機器222に熱接触220した第1の導管212を通って流れるときに、熱224が電子機器222から冷却剤の中へ消散する。
【0046】
ブロック702は、航空機202上で防除氷装置242を任意選択的に取り付けること、及び、防除氷装置を電子器冷却装置210に任意選択的に連結することを表しており、それによって、防除氷装置は、電子冷却装置210から冷却剤218を受け入れ、航空機202の外側表面上の空気力学的表面206上に冷却剤218を分配する。冷却剤218は、空気力学的表面206上での氷の形成204を低減させ、除去し/妨げる。防除氷装置242は、第2の導管232を更に備え、ステップは、コネクタ310を使用して第2の導管232を第1の導管212又は容器208に連結することを含み、それによって、コネクタ310が、航空機202上の空気力学的表面206上のアウトレット232a/浸透性パネル又は薄膜238に冷却剤218を分配する1以上の第2の導管232に、冷却剤218の少なくとも一部分を迂回させる。
【0047】
1以上の実施例では、ステップが、コネクタ310を電子機器222の下流318の第1の導管212上に位置決めすることを含み、それによって、冷却剤218が空気力学的表面206上での氷の形成204を妨げる又は抑制するときに、空気力学的表面206上の冷却剤218が、電子機器222から消散する熱224の少なくとも一部分を含む。
【0048】
1以上の実施例では、ステップが、浸透性パネル238を空気力学的表面206上(例えば、チタニウムのシート/パネルの間)に位置決めすることを含む。その場合、第2の導管232に連結された浸透性パネル/薄膜238は、第2の導管232から冷却剤218を受け入れ、冷却剤218は、氷の積み重ね204を妨げ又は抑制するように、浸透性パネル238からテール又は主翼上の空気力学的表面206上へ流れる。
【0049】
防除氷システム242/200は、航空機202上に取り付けられ、製作又は修理の間、例えば、航空機202が新しいエンジンを取り付けられているときに認証される。もし存在するならば、電子主翼防除氷システム(WIPS)が、除去され、防除氷システム200に交換される。WIPSシステム内のWIPSのコントローラ、重くて高電流のワイヤー、移動ワイヤー束、及び加熱されたスラットは、本明細書で説明される第1及び第2の導管232、212(例えば、軽量の~1/2インチまでのプラスチック配管)、(1以上の)容器208、及び浸透性パネル238に交換される。別の一実施例では、(例えば、図1で示されている)空気圧式エンジン防氷システム(EAI)が、除去され、FIPSに交換される。また更なる一実施例では、加熱された窓を備えるバックアップ防氷システムが、SLD遭遇のために航空機202上に含まれる。
【0050】
ブロック704は、電子冷却システム210及び/又は防除氷システム200を任意選択的に保守すること(例えば、冷却剤218の保守)を表している。保守することは、航空機202が凍結状況に遭遇するときにより頻繁に必要とされ得る。ステップは、容器208に連結されたサービスポート314を通して且つ地上保守装備316を使用して、容器208内に冷却剤218を補給する又は満たすことを任意選択的に含む。WIPSの保守は、配管及び浸透性パネル238の保守に取って代わられ得る。
【0051】
ブロック706は、防除氷システム200を有さないそれ以外は同一の航空機202上の(1以上の)発電機と比較して、より低い電気出力を有する(1以上の)発電機を任意選択的に取り付けることを表している。1以上の実施例では、古くてより高い電気出力の(1以上の)発電機が除去される。防除氷システム200を有する航空機上に取り付けられた発電機は、より低い電気出力を有し且つより小さくなり得る。何故ならば、本明細書で説明される防除氷システム200のうちの1以上の電力要求は、WIPS又はEAIシステムを使用する航空機202の電力要求と比較して、実質的により低いからである。
【0052】
ブロック708は、(1以上の)エンジンを航空機202上に任意選択的に取り付けること又は修理することを表している。その場合、エンジン400(例えば、ターボファンエンジン)は、防除氷システム200を有さないそれ以外は同一の航空機202上のエンジン(例えば、ターボファンエンジン)と比較して、より少ない燃料消費を有する。WIPS又はEAIシステムを使用する航空機202の電力要求と比較して、本明細書で説明される防除氷システム200のうちの1以上の実質的に低減された電力要求のために、エンジンはサイズ変更され得る(すなわち、より低い電気出力を伴ってより小さくなる)。WIPSシステムは、沢山の電力を要求し得る。本明細書で説明される例示的な防除氷システム200の電力要求は、大幅に低くなり得る(例えば、WIPSよりも95%以上低い)。
【0053】
ブロック710は、FIPSシステムを有さないそれ以外は同一の航空機202と比較して(例えば、防氷のためにWIPS又はEAIを使用する航空機202と比較して)、(例えば、より多くの複合材料を含有する)より小さいより軽量のエンジンインレットを取り付けることを表している。
【0054】
したがって、ある実施例では、防除氷システム200が、エンジン出力要求を大幅に低減させ、エンジン、インレット、及び発電機が、大幅にサイズ変更され、それによって、航空機のミッション性能を高める。
【0055】
動作
図8は、本明細書で説明される防除氷システム200及び/又は航空機202を作動させる方法を示すフローチャートである。
【0056】
ブロック800は、防除氷システム200を含む航空機202を提供することを表しており、防除氷システム200は、容器208、容器208に連結され且つ第1の導管212を備えた電子冷却システム210、容器208と動作可能に連結216されたポンプ214、及びポンプ214と連通し且つ航空機202の外側表面上に位置付けられた空気力学的表面206に配置されたアウトレット232aを含む第2の導管232を備える。電子冷却システム210は、容器208から電子機器222に熱接触220した第1の導管212を通して冷却剤218を分配する。それによって、電子機器222から冷却剤218へ熱224が伝達される。
【0057】
ブロック802は、通常の及び過冷却された大きな滴(SLD)の凍結状況の間に、主翼の空気力学的表面206を防氷するために冷却剤218流体を使用することを表している。ポンプ214は、空気力学的表面206上へ冷却剤218を押し流し、それによって、冷却剤218は、空気力学的表面206上での氷の形成204を低減させ又は妨げる(例えば、冷却剤218は、空気力学的表面206上で水と混ざり、水の氷点を降下させる)。1以上の実施形態では、冷却剤218流体が、14CFRパート25付録C又は付録O(FAR25付録C又はFAR25付録O)で規定されている凍結状況/エンベロープの下で使用される。
【0058】
ブロック804は、防除氷システム200を有さないそれ以外は同一の航空機202と比較して、(例えば、着陸/降下の間で)凍結状況下において航空機202のためのより高いエンジン推力を可能にする指示命令を任意選択的に提供することを表している。
【0059】
ブロック806は、流体液面レベルセンサ312を使用して冷却剤218の液面レベルをモニタリングすることを表しており、それによって、冷却剤218は、必要に応じて、凍結と遭遇した後で再び満たされ得る。1以上の実施形態では、冷却剤218の液面レベルが閾値液面レベルを下回ったときに、流体液面レベルセンサ312が、飛行乗務員、地上人員、又は保守作業員に警報を送信する。
【0060】
ブロック808は、(例えば、低い冷却剤218の液面レベル又は防除氷システム200の他の不具合による)凍結状況が避けられる必要があるときに、担当作業員に警告することを表している。
【0061】
ブロック810は、(熱い地上天候状況の下であってさえも)航空機202が駐機している間に、防除氷システム200の動作を可能にする指示命令を任意選択的に提供することを表している。一方、WIPSシステムは、航空機が駐機している間に地上で動作することができない。何故ならば、加熱されたスラットが航空機の構造を損傷し得るからである(WIPSシステムは動作中に気流を必要とする)。
【0062】
処理環境
図9は、本明細書で説明される防除氷システム200、エンジン推力、又は他のプロセスを制御するために必要とされる処理要素を実装するために使用される例示的なシステム900を示している。
【0063】
コンピュータ902は、プロセッサ904(汎用プロセッサ904A及び専用プロセッサ904B)、並びにランダムアクセスメモリ(RAM)906などのメモリを備える。概して、コンピュータ902は、メモリ906内に記憶されたオペレーティングシステム908の制御の下で動作し、入力とコマンド(例えば、アナログ又はデジタル信号)を受け付け且つ入力/出力(I/O)モジュール910を介して結果を提示する、ユーザ/他のコンピュータと相互作用する。コンピュータプログラムアプリケーション912は、コンピュータ902のメモリ906内に記憶されたデータにアクセスし、そのデータを操作する。オペレーティングシステム908とコンピュータプログラム912は、コンピュータ902によって読み込まれ実行されたときに、コンピュータ902に本明細書で説明される動作を実行させる、指示命令から成る。一実施形態では、オペレーティングシステム908とコンピュータプログラム912を実施する指示命令が、メモリ906内で明白に具現化され、それによって、1以上のコンピュータプログラム製品又は製造品が、本明細書で説明される方法に従って、防除氷システム200及びエンジンの推力を制御することを可能にする。1以上の実施形態では、冷却剤218の液面レベルが閾値液面レベルを下回ったときに、流体液面レベルセンサ312に接続されたコンピュータが、飛行乗務員、地上人員、又は保守作業員に警報を送信する。
【0064】
そのようにして、本明細書で使用される際に、「製造品」、「プログラム記憶デバイス」、及び「コンピュータプログラム製品」という用語は、任意のコンピュータ可読デバイス又は媒体からアクセス可能なコンピュータプログラムを包含することが意図されている。
【0065】
本開示の範囲から逸脱することなしにこの構成に多くの修正が行われ得ることを、当業者は理解するだろう。例えば、上述の構成要素、又は任意の数の種々の構成要素、周辺機器、及び他のデバイスの任意の組み合わせが使用され得ることを、当業者は理解するだろう。
【0066】
更に、本開示は下記の条項による実施形態を含む。
条項1
航空機202の空気力学的表面206のための防除氷システム200であって、
容器208と、
前記容器208に連結され且つ第1の導管212を備えた電子冷却システム210とを備え、
前記電子冷却システム210が、前記容器208から電子機器222に熱接触220した前記第1の導管212を通して冷却剤218を分配し、
前記電子機器222から前記冷却剤218へ熱224が伝達され、
前記防除氷システム200が、更に、
前記容器208と動作可能に連結216されたポンプ214と、
前記ポンプ214に連通した第2の導管232であって、前記航空機202の外側上に位置付けられた前記空気力学的表面206に配置されたアウトレット232aを含む、第2の導管232とを備え、
前記ポンプ214が、前記空気力学的表面206上へ前記冷却剤218を押し流し、前記冷却剤218が、前記空気力学的表面206上での氷の形成204を低減させ又は妨げる、防除氷システム200。
条項2
前記アウトレット232aを含む、前記空気力学的表面206上の浸透性パネル238を更に備え、前記冷却剤218が、前記浸透性パネル238から前記空気力学的表面206上へ漏れ出す、条項1に記載の防除氷システム200。
条項3
前記浸透性パネル238が、スラット、主翼234、プロペラ500、操縦席の窓308、又はエンジンインレット236に取り付けられている、条項2に記載の防除氷システム200。
条項4
前記冷却剤218が、前記空気力学的表面206上で水と混ざり、前記水の氷点を降下させる、条項1に記載の防除氷システム200。
条項5
前記水が、過冷却された液体の滴を含む、条項4に記載の防除氷システム200。
条項6
前記水が、FAR25付録C又はFAR25付録Oで規定されている凍結エンベロープ内で遭遇した水を含む、条項4に記載の防除氷システム200。
条項7
前記冷却剤218が、プロピレングリコールと希釈剤を含む防除氷流体を含む、条項1に記載の防除氷システム200。
条項8
前記第1の導管212を前記電子機器222の下流318の前記第2の導管232に連結するコネクタ310を更に備え、前記空気力学的表面206に押し流された前記冷却剤218が、前記電子機器222から伝達される前記熱224の少なくとも一部分を含む、条項1に記載の防除氷システム200。
条項9
前記第1の導管212と前記第2の導管232が、フレキシブルホース又はプラスチックチューブを含む、条項1に記載の防除氷システム200。
条項10
前記冷却剤218を保存している複数の前記容器208を更に備え、前記容器208の少なくとも1つが、少なくとも20ガロンの冷却剤218容量を有する、条項1に記載の防除氷システム200。
条項11
前記容器208に連結された流体液面レベルセンサ312を更に含み、前記流体液面レベルセンサ312が、前記容器208内の前記冷却剤218の液面レベルを測定し、前記冷却剤218の前記液面レベルが閾値液面レベルを下回ったときに警報を送信する、条項1に記載の防除氷システム200。
条項12
地上保守装備316への連結のためのサービスポート314を更に備え、前記容器208内の冷却剤218が前記サービスポート314を通して再び満たされる、条項1に記載の防除氷システム200。
条項13
前記電子機器222が、モータコントローラ228bを含む、条項1に記載の防除氷システム200。
条項14
条項1に記載の防除氷システム200を備えた航空機202。
条項15
航空機202を製造し、修理し、又は保守する方法であって、
前記航空機202上で電子機器222を冷却するための冷却剤218を分配する電子冷却装置210を取り付けること、並びに
前記航空機202上で防除氷装置242を取り付けること、及び、前記防除氷装置を前記電子冷却装置210に連結することを含み、
前記防除氷装置242が、前記電子冷却装置210から前記冷却剤218を受け入れ、前記冷却剤218を前記航空機202の外側の空気力学的表面206上に分配し、前記冷却剤が、前記航空機202の空気力学的表面206上での氷の形成204を低減させ除去する、方法。
条項16
前記電子冷却装置210が、容器208と第1の導管212を備え、前記防除氷装置242が、第2の導管232を更に備え、前記方法が、更に、
前記航空機202上で前記第1の導管212を前記容器208に連結すること及び前記第1の導管212を電子機器222と熱的に接触220させることであって、前記冷却剤218が、前記容器208から前記電子機器222に熱接触220した前記第1の導管212を通して流れるときに、熱224が前記電子機器222から消散する、連結すること及び熱的に接触220させること、並びに
コネクタ310であって、前記空気力学的表面上のアウトレット232aに前記冷却剤218の少なくとも一部分を分配する前記第2の導管232に前記冷却剤218の前記少なくとも一部分を迂回させる、コネクタ310を使用して前記第2の導管232を前記第1の導管212又は前記容器208に連結させることを含む、条項15に記載の方法。
条項17
前記空気力学的表面206上の前記冷却剤218が前記熱224の少なくとも一部分を含むように、前記電子機器222の下流318の前記第1の導管212上に前記コネクタ310を位置決めすることを更に含む、条項16に記載の方法。
条項18
前記防除氷装置242が浸透性パネル238を含み、前記冷却剤218が、前記浸透性パネル238から前記航空機のテール又は主翼上の前記空気力学的表面206上へ流れる、条項15に記載の方法。
条項19
前記容器208に連結されたサービスポート314を通して前記容器208内に前記冷却剤218を再び満たすこと、
防除氷システム200を有さないそれ以外は同一の航空機202上の発電機と比較して、より低い電気出力を有する発電機を取り付けること、及び
前記防除氷装置242を有さないそれ以外は同一の航空機202上のターボファンエンジン400と比較して、より少ない燃料消費を有する前記ターボファンエンジン400を取り付けることを更に含む、条項15に記載の方法。
条項20
航空機202を作動させる方法であって、
防除氷システム200を備えた前記航空機202を提供することを含み、前記防除氷システム200が、
容器208と、
前記容器208に連結され且つ第1の導管212を備えた電子冷却システム210とを備え、
前記電子冷却システム210が、前記容器208から電子機器222に熱接触220した前記第1の導管212を通して冷却剤218を分配し、
前記電子機器222から前記冷却剤218へ熱224が伝達され、
前記防除氷システム200が、更に、
前記容器208と動作可能に連結216されたポンプ214と、
前記ポンプ214に連通した第2の導管232であって、前記航空機202の外側上に位置付けられた空気力学的表面206に配置されたアウトレット232aを含む、第2の導管232とを備え、
前記ポンプ214が、前記空気力学的表面206上へ前記冷却剤218を押し流し、前記冷却剤218が、前記空気力学的表面206上での氷の形成204を低減させ又は妨げ、
前記方法が、更に、
前記防除氷システム200を有さないそれ以外は同一の航空機202と比較して、凍結状況下において前記航空機202のためのより高い推力を可能にする指示命令を提供すること、及び
前記航空機202が駐機している間の前記防除氷システム200の動作を可能にする指示命令を提供することを含む、方法。
【0067】
結論
これで、本開示の好適な実施形態の説明を終了する。好適な実施形態の前述の説明は、例示及び説明を目的として提示されてきた。網羅的であること、又は開示された精密な形態に本開示を限定することは意図されていない。多くの修正例及び変形例が、上述の教示に照らして可能である。権利範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9