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特許7370137迅速なツール交換のための改良型リングアセンブリを有するジンバル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】迅速なツール交換のための改良型リングアセンブリを有するジンバル
(51)【国際特許分類】
   B25H 3/00 20060101AFI20231020BHJP
   B66F 19/00 20060101ALN20231020BHJP
【FI】
B25H3/00 A
B66F19/00 D
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019005898
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2019166629
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】15/876,703
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クック, レベッカ リー
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0301179(US,A1)
【文献】特開昭57-127684(JP,A)
【文献】特開2009-192002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H1/00-5/00
B25J9/04
B23Q9/00
B66F19/00
F16B7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
アームに取り付けられた外側リングであって、前記外側リングを開閉するための第1ヒンジ、及び、前記外側リングを閉位置に締結するための第1ラッチを含む、外側リングと、
前記外側リングの内側に回転可能に支持される内側リングであって、前記内側リングを開閉するための第2ヒンジ、及び、前記内側リングを閉位置に締結するための第2ラッチを含む、内側リングとを備える、ジンバルを備え、前記内側リングが、前記内側リングの内周から突出している止めネジであって、前記止めネジの端部に変形可能バンパを含む止めネジを有
前記内側リングの高さは前記外側リングの高さよりも大きく、前記第2ヒンジと前記第2ラッチは、前記内側リングの高さ方向において、前記外側リングの外側に配置される、装置。
【請求項2】
前記第2ラッチが前記内側リングの前面に装着されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記前面が前記内側リングの外周と内周との間の平坦面である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記内側リングが、前記内側リングの背面に装着された第3ラッチを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2ヒンジが上部ヒンジ、底部ヒンジ、及び、前記上部ヒンジと前記底部ヒンジとの間のスペースを含み、
前記スペースが前記外側リングの高さに適応するようサイズ設定され、かつ、
前記上部ヒンジ及び前記底部ヒンジが径方向において前記外側リングと重複している、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記外側リングが、前記内側リングを回転可能に支持するために、前記外側リングの周縁に沿って配置された複数のホイールを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記内側リングの外周が溝状軌道を含み、
前記溝状軌道が、前記内側リング及び前記外側リングが閉位置にある時に前記外側リングの内側で前記内側リングを回転可能に支持するための前記ホイールに適応するよう、サイズ設定されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1ラッチが前記外側リングの外周の平坦面部分に装着されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記内側リングがツールの周囲をクランプするよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は機械的支持の分野に関し、より詳細には、ジンバルの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機整備工などの専門技術者は、電動ツールの枢動支持を提供するジンバルを使用することが多い。ジンバルには、ツールの重量の大部分又は全てを支持することが可能なバネ又は空圧装置を有するアームが付いている。ジンバルは、アームの端部に、ツール本体の周囲に適応してこのツールを固定するリングを含む。したがって、ジンバルは、特に、重いツールの反復上昇が実施される工場環境において、安全かつ正確なツールの位置付けを提供する。
【0003】
しかし、既存のジンバルに特有の欠点の1つは、専門技術者がリング内のツールを交換するのに長い時間がかかることである。例えば、専門技術者が3つか4つの穴を開けるごとにドリルを交換することは、航空機の組み立てにおいて珍しいことではない。新たなドリルに交換するために、専門技術者は、スクリュードライバーを用いて一連のねじを緩めることによってリングを分解し、第1のドリルを取り除き、第2のドリルの周囲でリングを再び組み立てる。リングの再組み立ては手間がかかるものである。なぜならば、これには、バラバラになったリングを、ひとつになるように手で第2のドリルの周囲に位置調整し(coordinating)つつ、スクリュードライバーを用いてネジを再び取り付けて、ジンバル内に第2のドリルを固定することが、含まれるからである。ゆえに、ジンバル内のツールを交換する能力が改良された、ジンバルが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本書に記載の実施形態は、ツール交換のために改良されたリングアセンブリを有するジンバルを提供する。このジンバルは、ツールの本体の周囲を取り囲む同心のリングを含む。外側リングはジンバルアームの端部に取り付けられ、内側リングは、ツール(例えば電動ツール)を回転するように位置付けするために、外側リングの内側で回転することが可能である。各リングはヒンジ・ラッチ構成を含み、このヒンジ・ラッチ構成は、リングが、ツール交換のために開かれても一体のままであることを可能にする。ヒンジとラッチは、リングが新たなツールの周囲で再び閉じられた時に、外側リングの内側での内側リングの回転を妨げないにように、位置付けられる。
【0005】
一実施形態は、ジンバルを備える装置である。このジンバルは、アームに取り付けられた外側リングを含み、外側リングは、外側リングを開閉するための第1ヒンジと、外側リングを閉位置に締結するための第1ラッチを含む。ジンバルは、外側リングの内側に回転可能に支持される内側リングを更に含み、内側リングは、内側リングを開閉するための第2ヒンジと、内側リングを閉位置に締結するための第2ラッチを含む。
【0006】
更なる実施形態は、ジンバル内のツールを交換するための方法である。この方法は、外側リング内に回転可能に支持されている内側リングを解放するために、第1ラッチ及び第1ヒンジによって外側リングを開くことと、第2ラッチ及び第2ヒンジによって内側リングを開くこととを、含む。方法は、第1のツールを内側リングから取り除くことと、第2のツールを内側リング内に位置付けることも、含む。方法は、第2ラッチ及び第2ヒンジによって内側リングを閉じることと、第1ラッチ及び第1ヒンジによって、内側リングの周囲に外側リングを閉じることとを、更に含む。
【0007】
更に別の実施形態は、ジンバルのリングアセンブリである。このリングアセンブリは、外側リングであって、外側リングの内周に沿って配置されたホイールを有する外側リングと、外側リングに装着された第1ヒンジと、外側リングに装着された第1ラッチとを含む。リングアセンブリは、内側リングであって、内側リングの外周に沿って軌道を有し、この軌道が、ホイールを受容して外側リングの内側で内側リングを回転させるようサイズ設定されている、内側リングと、内側リングに装着された第2ヒンジと、内側リングに装着された第2ラッチとを含む。
【0008】
他の例示的な実施形態(例えば上述の実施形態に関連する方法及びコンピュータ可読媒体)について、後述するかもしれない。前述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態において単独で実現可能でありうるか、又は、更に別の実施形態において組み合わされうるが、これらの更なる詳細は、以下の説明及び図面を参照することによって理解されうる。
【0009】
これより、本開示の一部の実施形態について、ただ例示のためだけに、添付図面を参照して説明を行う。全ての図面において、同じ参照番号は、同じ要素又は同種の要素を表わしている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的な一実施形態におけるジンバルを示す。
図2】例示的な一実施形態における、リングアセンブリの上面斜視図である。
図3】例示的な一実施形態における、リングアセンブリの側面斜視図である。
図4】別の例示的な実施形態における、リングアセンブリの斜視図である。
図5】例示的な一実施形態における、ジンバル内のツールを交換するための方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
これらの図面及び以下の説明は、本開示の具体的かつ例示的な実施形態を示すものである。ゆえに、当業者は、本開示の原理を具現化し、かつ本開示の範囲内に含まれる様々な構成を(たとえ本書に明示的に記載または図示されていなくとも)考案可能であることが、理解されよう。更に、本書に記載のいかなる例も、本開示の原理の理解を支援するためのものであり、具体的に記述されているかかる例や条件への限定を行うものではないと解釈すべきである。その結果として、本開示は、後述する具体的な実施形態又は例に限定されることはなく、特許請求の範囲及びその等価物によって限定される。
【0012】
図1は、例示的な一実施形態におけるジンバル100を示している。ジンバル100は、アームアセンブリ110に取り付けられたリングアセンブリ150を含み、これらは一体となって、ツール190の枢動支持を提供する。ツール190は、ドリルやカッターといった電動ツールを含みうる。通常、アームアセンブリ110は、少なくとも1つの軸102を中心として枢動するよう動作可能であり、かつ、対象物(ツール190など)の重量を支えると共に様々な動きにおいて連接運動する(articulating)よう、一又は複数のレバー112、バネ114(及び/又は空圧装置)、及びヒンジ116(及び/又はベアリング)を含みうる。アームアセンブリ110は、一又は複数の接合部122においてリングアセンブリ150と接続している一又は複数の突起を有する、支持部材120も含む。リングアセンブリ150は、接合部(複数可)122に取り付けられている時にツール190を正確に位置付けるよう旋回又は枢動する能力を伴って、アームアセンブリ110の一端に取り外し可能に取り付けられうる。したがって、ジンバル100は、ツール190の人間工学的(ergonomic)支持を提供すると共に、専門技術者が実質的にいかなる位置にもツール190を配置することができるようにする。本書に記載のジンバル100の構造は論考のための一例であり、それ以外の構造も可能である。
【0013】
ジンバル100内のツール交換の効率を高めるために、リングアセンブリ150は、以下で詳述するように改良されうる。図2は、例示的な一実施形態における、リングアセンブリ150の上面斜視図である。リングアセンブリ150は、ジンバル100の支持部材120(又はアーム)に取り付けられた外側リング202を含み、様々なツール(例えばツール190、及び本体寸法が様々な他のツール)を保持するための内側リング204を更に含む。内側リング204は、外側リング202の内側で回転可能である。外側リング202は、内側リング204の周囲で内側リング204を解放可能に閉じるよう、ヒンジ212とラッチ214とを含み、内側リング204は、ツール190の周囲でツール190を解放可能に閉じるよう、ヒンジ222とラッチ224とを含む。
【0014】
ヒンジ212/222及びラッチ214/224により、ツール190は固定されつつも、外側リング202と内側リング204とがツール190の周囲で閉じられている時には自由に回転可能であり、かつ、外側リング202と内側リング204が開かれると、リングアセンブリ150をバラバラにすることなくツール190が解放されうるという、技術的な利点がもたらされる。そのため、リングアセンブリ150内に異なるツールを固定することが求められる場合に、分離したリングの各部分を新たなツールの周囲に手で位置調整すること、及び/又は、新たなツールの周囲にリングアセンブリ150を再設置するために別個のツール及び部品(例えばスクリュードライバーとねじ)を使用することが、必要なくなる。ヒンジ212/222及びラッチ214/224により、専門技術者がより迅速にツールを交換することも可能になる。これにより、工場フロー時間が改善され、たとえツールが短時間しか使用されないかもしれない場合でも、専門技術者によるジンバル100の使用が促進される(ジンバル100により、ツールの手動支持と比較して、安全面及び経済面で多くの利点が提供される)。更に、ツール190を解放/固定するためにネジ及び/又はスクリュードライバーを別途使用することがなくなるか、または最小限になることによって、リングアセンブリ150は、作業現場に異物のデブリが残留するリスクを有利に低減することになる。このことは、ある種の工場環境(航空機の組み立てなど)では、特に有利でありうる。
【0015】
加えて、図2に示しているように、内側リング204のラッチ224は、内側リング204の前側面(front side face)230に装着されうる。前側面230は、内側リング204の一側部の平坦な又は実質的に平坦な表面であり、内側リング204の内周232と外周234との間の厚さを画定しうる。同様に、外側リング202も、前側面240を含み、外側リング202の内周242と外周244との間の厚さを画定しうる。外側リング202の外周244は、支持部材120を中心とする外側リング202の旋回246を可能にするよう、接合部122において支持部材120に枢動可能に取り付けられうる。外側リング202は、内側リング204を回転可能に支持するために、外側リング202の周縁に沿って、ホイール250及びスピンドル252も含む。そのため、外側リング202の内周242と内側リング204の外周234との間の間隙254により、外側リング202の内側での内側リング204の回転256が可能になる。この構成により、有利には、ラッチ224は、内側リング204の回転256を阻害することなく、内側リング204がツール190を容易に解放/固定することを可能し、したがって、リングアセンブリ150内で、かつジンバル100を用いて、ツール190があらゆる種類の運動を行うことが可能になる。
【0016】
更に、内側リング204の内周232は、内周232から内側リング204の中心に向かって突出している、設置済みネジ260を支持する。設置済みネジ260の端部は変形可能バンパ262を伴うよう改良されてよく、変形可能バンパ262は、内側リング204がツール190の周囲に位置付けられ、閉じられると、ツール190(及び本体寸法が様々な他のツール)の本体と接触する。変形可能バンパ262は、ゴム、又は接触中に変形する別の材料を含みうる。そのため、変形可能バンパ262は、有利には、広範なツール本体寸法のための固定保持力を提供し、かつ、ツール本体の傷付けを防止する。
【0017】
図3は、例示的な一実施形態における、リングアセンブリ150の側面斜視図である。図3に示しているように、内側リング204は、外側リング202の高さ302よりも高い、高さ304を有しうる。内側リング204の高さ304は、内側リング204の前側面230と後側面(back side face)330との間の距離によって画定される。同様に、外側リング202の高さ302は、外側リング202の前側面240と後側面340との間の距離によって画定される。この構成により、内側リング204のヒンジ機構は、2つの部分(外側リング202の前側面240の上方に配置された上部ヒンジ322と、外側リング202の後側面340の下方に配置された底部ヒンジ324)を含みうる。換言すると、上部ヒンジ322と底部ヒンジ324とは、外側リング202の高さ302に適応するようサイズ設定されているスペース326によって分離されており、かつ、径方向において外側リング202と重複していることがある。上部ヒンジ322と底部ヒンジ324がかかる様態で構成されていることで、内側リング204が、ヒンジ/ラッチ機構に干渉されることなく外側リング202の内側で回転することが可能になるという、技術的な利点がもたらされる。
【0018】
図3は、外側リング202が、その周縁に沿ったいくつかの場所に、ホイール250を収容するようサイズ設定されている中空スペース350を含みうることも、示している。スピンドル252が、中空スペース350内のホイール250の各々に回転軸を提供するよう、前側面240(及び/又は後側面340)内に垂直に挿入されうる。ホイール250がかかる様態で中空スペース350内に回転可能に固定されることで、ホイール250の各々の少なくとも一部分が外側リング202の内周242から突出して、図2に関連して上述した外側リング202と内側リング204との間の間隙254が形成されうる。この構成により、内側リング204のヒンジ/ラッチ機構が、間隙254におけるスペースのサイズにかかわらず比較的重い電動ツールを適切に支持するよう、適宜サイズ設定されうるという、技術的な利点がもたらされる。換言すると、ラッチ224、上部ヒンジ322、及び/又は底部ヒンジ324の寸法は、内側リング204が外側リング202に封入されている時に内側リング204の回転に干渉しなければ、間隙254の寸法を超えてよい。
【0019】
図4は、別の例示的な実施形態における、リングアセンブリ150の斜視図である。この例では、外側リング202が開き、内側リング204を解放することを可能にするよう、ラッチ214のロックが外されている。ここで図示しているように、内側リング204の外周234は、内側リング204の周縁に沿って延在する軌道410を含み、軌道410は、外側リング202のホイール250を受容するようサイズ設定される。軌道410は、ホイール250の回転方向以外の方向のホイール250を制限する、凹状の溝(溝状軌道など)又は表面を含みうる。ゆえに、外側リング202が適切に位置合わせされ、内側リング204の周囲で閉じられると、軌道410及びホイール250は、外側リング202の内側で、内側リング204を回転可能に支持する。
【0020】
図4に更に図示しているように、外側リング202の外周244は、ラッチ214を装着するための、平坦な又は実質的に平坦な部分を含みうる。詳細には、ハンドル412及びバー414を含むラッチ214の構成要素が、第1プレート416を介して第1平坦面430に装着され、フック418が、第2プレート420を介して第2平坦面432に装着される。バー414がフック418と適切に係合している状態で、(例えば図2に示しているように)外側リング202の外周244の一部分として連続した又は実質的に連続した平坦面が形成されるように、ラッチ214をロックし、第1平坦面430と第2平坦面432とをひとつに接合するために、ハンドル412が押されうる。同様に、ハンドル412を反対方向に押すことによって、バー414がフック418から離れて、ラッチ214のロックが外れ、かつ、外側リング202が、内側リング204を解放するために開いてもヒンジ212により一体のままであることが、可能になりうる。しかし、代替的な装着構成、表面、及びラッチ機構も可能であることが、認識されよう。
【0021】
図4は、ラッチ224が前側面230に装着されていることに加えて、内側リング204が、後側面330に装着された別のラッチ424を更に含みうることも、示している。上述の前側面230/240と同様に、後側面330/340も、平坦な又は実質的に平坦な表面でありうる。したがって、内側リング204のラッチ224/424は、各ラッチ224/424が内側リング204の継ぎ目434を橋渡しするように、内側リング204の平坦側面に装着されうる。ゆえに、ラッチ224/424がロック位置にある状態では、継ぎ目434は閉じており、内側リング204は、ツール190の周囲に閉鎖リングを形成している。また、ラッチ224/424がロックされていない状態では、リングアセンブリ150内で使用されるツールが容易に解放され、変更されるよう、継ぎ目434は開かれうるが、内側リング204は、そのヒンジ(複数可)(例えばヒンジ222、又はヒンジ322/324)において一体のままでありうる。ラッチ及びヒンジの特定の構成要素及び機構についての、多数の変形例が可能である。
【0022】
加えて、図4は、内側リング204が、図2に関連して前述した設置済みネジ260を支持するためのネジ穴460を含みうること、及び、外側リング202が、前側面240及び後側面340の表面に、ネジ穴460に対応する/位置合わせされたくぼみ462を含みうることを、示している。くぼみ462により、有利には、外側リング202と内側リング204のいずれにもロック外し又は再ロックを行わずに、設置済みネジ260に調整のためにアクセスすることが可能になる。したがって、リングアセンブリ150は、最短の中断時間しか伴わずに、様々にサイズ設定されたツールをジンバル100内に確実に保持しうる。更に、本書に記載のリングアセンブリ150の可換性(interchangeability)により、外側リング202と共にモジュールの様態で色々な型式の内側リング204を使用する機会が提供される。例えば、異なるサイズを有し、かつ/又は、設置済みネジ260の長さが別様に事前調整されている、複数の型式の内側リング204が利用可能になり、これにより、外側リング202内で使用される内側リング204の種類の交換が、ジンバル100内で使用されるツールの変更に迅速に適応しうる。リングアセンブリ150の動作の更なる例示的な詳細について、図5に関連して記述する。
【0023】
図5は、例示的な一実施形態における、ジンバル内のツールを交換するための方法500を示すフロー図である。方法500のステップについて、図1のジンバル100を参照して説明するが、当業者は、他のジンバルに対しても方法500が実施されうることを認識しよう。本書に記載のフロー図のステップは、全網羅的なものではなく、図示していない他のステップも含みうる。本書に記載のステップは、代替的な順序においても実施されうる。
【0024】
ステップ502において、外側リング202が、外側リング202内に回転可能に支持されている内側リング204を解放するよう、第1ラッチ(例えばラッチ214)及び第1ヒンジ(例えばヒンジ212)によって開く。ステップ504において、内側リング204が、第2ラッチ(例えばラッチ224)及び第2ヒンジ(例えばヒンジ222)によって開く。代替的又は追加的には、内側リング204は、2つのラッチ(例えばラッチ224及びラッチ424)、及び第2ヒンジ(例えばヒンジ222)によって開きうる。ステップ506において、第1のツール(例えばツール190)が、内側リング204から取り除かれる。ステップ508において、第2のツール(例えば、ツール190とは異なる本体寸法を有するツール)が、内側リング204内に位置付けられる。ステップ510において、内側リング204が、第2ラッチ(又は2つのラッチ)及び第2ヒンジによって閉じられる。ステップ512において、外側リング202が、第1ラッチ及び第1ヒンジによって、内側リング204の周囲に閉じられる。
【0025】
方法500は、ジンバル向けの従来のツール交換技法を凌駕する、いくつかの利点を提供する。外側リング202及び内側リング204のラッチにより、専門技術者が、最小限の労力及び別個のツールの使用しか伴わずに、リングアセンブリ150を開閉することが可能になる。外側リング202及び内側リング204のヒンジにより、外側リング202及び内側リング204が、除去時にも一体のままであることが可能になる。更に、ヒンジは、組み立ての手間を低減するために、外側リング202を内側リング204の周囲に位置合わせし、かつ、内側リング204をツールの周囲に位置合わせするよう機能する。また更に、上述の技法において、方法500は、ジンバル100が様々な寸法のツールと迅速に係合されることを可能にする。
【0026】
本書には具体的な実施形態が記載されているが、本開示の範囲は、これらの具体的な実施形態に限定されるわけではない。本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲、及びその全ての均等物によって規定される。
【0027】
本開示の一態様により装置が提供され、この装置は、アームに取り付けられた外側リングであって、外側リングを開閉するための第1ヒンジ、及び、外側リングを閉位置に締結するための第1ラッチを含む、外側リングと、外側リングの内側に回転可能に支持される内側リングであって、内側リングを開閉するための第2ヒンジ、及び、内側リングを閉位置に締結するための第2ラッチを含む、内側リングとを備える、ジンバルを備える。
【0028】
第2ラッチが内側リングの前面に装着されている、装置が更に開示される。
【0029】
前面が内側リングの外周と内周との間の平坦面である、装置が更に開示される。
【0030】
内側リングが内側リングの背面に装着された第3ラッチを含む、装置が更に開示される。
【0031】
第2ヒンジが上部ヒンジ、底部ヒンジ、及び、上部ヒンジと底部ヒンジとの間のスペースを含み、スペースが外側リングの高さに適応するようサイズ設定され、かつ、上部ヒンジ及び底部ヒンジが径方向において外側リングと重複している、装置が更に開示される。
【0032】
外側リングが、内側リングを回転可能に支持するために、外側リングの周縁に沿って配置された複数のホイールを含む、装置が更に開示される。
【0033】
内側リングの外周が溝状軌道を含み、溝状軌道が、内側リング及び外側リングが閉位置にある時に外側リングの内側で内側リングを回転可能に支持するためのホイールに適応するよう、サイズ設定されている、装置が更に開示される。
【0034】
第1ラッチが外側リングの外周の平坦面部分に装着されている、装置が更に開示される。
【0035】
内側リングがツールの周囲をクランプするよう構成されている、装置が更に開示される。
【0036】
内側リングが、内側リングの内周から突出している設置済みネジであって、設置済みネジの端部に変形可能バンパを含む設置済みネジを含む、装置が更に開示される。
【0037】
外側リングが、設置済みネジを支持する内側リングの穴と位置が合っている、前側面及び後側面のくぼみを含む、装置が更に開示される。
【0038】
外側リングがアームに枢動可能に取り付けられる、装置が更に開示される。
【0039】
本開示の更なる態様により、ジンバル内のツールを変更するための方法が提供され、この方法は、外側リング内に回転可能に支持されている内側リングを解放するために、第1ラッチ及び第1ヒンジによって外側リングを開くことと、第2ラッチ及び第2ヒンジによって内側リングを開くことと、第1のツールを内側リングから取り除くことと、第2のツールを内側リング内に位置付けることと、第2ラッチ及び第2ヒンジによって内側リングを閉じることと、第1ラッチ及び第1ヒンジによって、内側リングの周囲に外側リングを閉じることとを、含む。
【0040】
第2ラッチが内側リングの前面に装着されている、方法が更に開示される。
【0041】
第2ヒンジが上部ヒンジ、底部ヒンジ、及び、上部ヒンジと底部ヒンジとの間のスペースを含み、スペースが外側リングの高さに適応するようサイズ設定され、かつ、上部ヒンジ及び底部ヒンジが径方向において外側リングと重複している、方法が更に開示される。
【0042】
外側リングが、内側リングを回転可能に支持するために、外側リングの周縁に沿って配置された複数のホイールを含む、方法が更に開示される。
【0043】
内側リングの外周が溝状軌道を含み、溝状軌道が、内側リング及び外側リングが閉位置にある時に外側リングの内側で内側リングを回転可能に支持するためのホイールに適応するよう、サイズ設定されている、方法が更に開示される。
【0044】
第1ラッチが外側リングの外周の平坦面部分に装着されている、方法が更に開示される。
【0045】
本開示の更なる態様により、ジンバルのリングアセンブリが提供され、リングアセンブリは、外側リングであって、外側リングの内周に沿って配置されたホイールと、外側リングに装着された第1ヒンジと、外側リングに装着された第1ラッチとを備える、外側リング、及び、内側リングであって、内側リングの外周に沿った軌道であって、ホイールを受容して外側リングの内側で内側リングを回転させるようサイズ設定された軌道と、内側リングに装着された第2ヒンジと、内側リングに装着された第2ラッチとを備える、内側リングを、備える。
【0046】
第2ラッチが内側リングの前面に装着されている、リングアセンブリが更に開示される。
図1
図2
図3
図4
図5