(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】基板搬送方法、該基板搬送方法を備える基板搬送装置、及び該基板搬送装置と基板加工装置とからなる基板搬送装置付き基板加工装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/14 20060101AFI20231020BHJP
B23Q 7/00 20060101ALI20231020BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20231020BHJP
B23Q 7/10 20060101ALI20231020BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
B23Q7/14
B23Q7/00 Z
B23Q7/04 K
B23Q7/10
H05K3/00 L
(21)【出願番号】P 2019008889
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】512052904
【氏名又は名称】大船企業日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100767
【氏名又は名称】湯浅 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100141210
【氏名又は名称】藤木 良幸
(72)【発明者】
【氏名】金谷 保彦
(72)【発明者】
【氏名】品田 常夫
(72)【発明者】
【氏名】山内 益夫
(72)【発明者】
【氏名】片桐 勇
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-051613(JP,A)
【文献】特開2002-079339(JP,A)
【文献】特開平04-030937(JP,A)
【文献】特開昭61-244441(JP,A)
【文献】特許第4491650(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0089087(US,A1)
【文献】特開2018-075714(JP,A)
【文献】特開昭61-284353(JP,A)
【文献】特開2004-130317(JP,A)
【文献】特開平04-178288(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1015201(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 35/00-49/06
B23P 9/00-21/00
B23Q 7/00-7/18
B26F 1/00-3/16
G05B 19/418
G05D 3/00-3/20
H05K 3/00
B21D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加工軸を有する基板加工装置に対して平行に展開され、一端に載置された加工前基板を、基板載置台の、基板加工装置の有する加工テーブル上に複数並設された加工部に対応する位置へ順次搬入して各々配置するとともに、該加工前基板を基板加工装置の各加工部へ
一斉に又は順次投入し、基板加工装置によって加工した後には、
該基板加工装置によって加工した後の加工前基板(以下、「加工後基板」という。)を基板加工装置の加工部から、投入前と同位置に排出した上で、該加工後基板を他端方向へ順次搬出して、収納するという工程を反復して行うものであって、
イ)基板載置台の外側一端に載置された加工前基板を、基板載置台の、基板加工装置の 有する加工テーブル上に複数並設された加工部に対応する位置へ、搬入機構により 順次搬入して各々配置する、
ロ)該基板加工装置の各加工部に対応する位置に各々配置された前記加工前基板を、基 板加工装置の各対応する加工部へ
一斉に又は順次投入する、
ハ)基板加工装置による基板加工が終了した加工後基板を、基板加工装置の加工部から 、基板載置台の元の位置に排出する、
ニ)加工後基板を当該位置から、搬出機構により順次移動させて、基板載置台の他端の 外側に搬出する、
ホ)前記ニ)により加工後基板を順次移動させた所から、順次前記イ)の工程により、
同位置に加工前基板を搬入して配置する、
ヘ)以降、上記ロ)~ホ)の工程を反復する、
としてなる基板搬送方法。
【請求項2】
複数の加工軸を有する基板加工装置に対して平行に展開され、一端に加工前基板を載置・収納する加工前収納装置、他端に加工後基板を載置・収納する加工後収納装置、加工前収納装置と加工後収納装置間に基板載置台、加工前収納装置から基板載置台へ加工前基板を移動可能とする搬入リフト、基板載置台から加工後収納装置へ加工後基板を移動可能とする搬出リフト、及び基板加工装置の加工テーブル上に複数並設された各加工部に対応して設けられ、基板載置台と基板加工装置の各加工部との間で加工前後の基板を投入し、排出する投入排出リフトからなるものであって、
イ)加工前収納装置に載置・収納された加工前基板を、基板載置台の、基板加工装置の 有する加工テーブルに複数並設される加工部に対応する位置へ、搬入リフトにより 順次搬入して各々配置する、
ロ)基板加工装置の各加工部に対応する位置に各々配置された該加工前基板を、基板加 工装置の各対応する加工部に投入排出リフトにより
一斉に又は順次投入する
ハ)基板加工装置による基板加工が終了した加工後基板を、基板加工装置の加工部から 基板載置台における元の位置に投入排出リフトにより排出する、
ニ)加工後基板を当該位置から、搬出リフトにより順次加工後収納装置へ搬出して、載 置・収納する、
ホ)前記ニ)により加工後基板を順次移動させた所から、順次前記イ)の工程により、 基板載置台の同位置に、加工前基板を加工前収納装置から搬入リフトにより順次搬 入して配置する、
ヘ)以降、ロ)~ホ)の工程を反復する、
としてなる請求項1記載の基板搬送方法を備える基板搬送装置。
【請求項3】
上記請求項2記載の基板搬送装置と基板加工装置とから構成される基板搬送装置付き基 板加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、基板に穴明け加工等を行う基板加工装置に対して加工前の基板を投入し、又、加工後の基板を排出するという、穴明け加工前後の基板を搬送してなる基板搬送方法、該基板搬送方法を備える基板搬送装置、及び該基板搬送装置と基板加工装置とからなる基板搬送装置付き基板加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に穴明け加工等を行う基板加工装置に対して加工前の基板を投入し、又、加工後の基板を排出するという、加工前後の基板を搬送する基板搬送方法を備える基板搬送装置では、基板加工装置での加工作業も含めて短時間で完了させるため、該基板加工装置へ加工前の基板を投入し、又、加工後の基板を排出するという、加工前後の基板を搬送する時間も短時間とすることを必然的に要求されていた。
【0003】
そのため、
図6において示すように、基板加工装置Kが複数のスピンドル(図示せず。
尚、
図6に示す基板加工装置Kにおいては、6個のスピンドルが設置された6加工軸仕様となっている。)を有することから、その各加工軸に対して、それぞれ加工前の基板Iを投入し、又、加工後の基板Jを排出するという、加工前後の基板I、Jを搬送する基板搬送装置Bが複数(
図6においては、基板加工装置Kの6加工軸に対応して、6個の基板搬送装置)使用されていた。
【0004】
すなわち、各基板搬送装置Bにおいては、加工前収納装置Cから基板加工装置Kを経て加工後収納装置Dへ至る加工前後の基板I、Jの移動方向を一致させるとともに、基板I、Jの移動距離が最短となるように、基板加工装置Kに対してその各加工軸毎に各々独立した基板搬送装置Bが直列に且つ相互に並列に配置されていた。
【0005】
そして、各基板搬送装置Bは、基板加工装置Kの各加工軸に対応してそれぞれ独立するものであって、それぞれ加工前収納装置C、加工後収納装置D、基板エレベーターE、基板載置スペースH、搬入搬出リフトF及び投入排出リフトGとからなるものである。
ここで、加工前収納装置Cと加工後収納装置Dとは、後述するように上下に積層するように配置されるので、該加工前収納装置Cから加工前基板Iを搬出搬入リフトFにより基板載置スペースHへ搬入する際、又は基板加工装置Kから基板載置スペースHへ排出されて載置された加工後基板Jを加工後収納装置Dへ搬入する際には、その加工前・後基板I、Jを円滑に搬出入させるために、基板載置スペースHと加工前収納装置C、あるいは加工後収納装置Dとの高さをそれぞれ合わせる必要がある。そのため、上下に積層されて配置されている加工前収納装置Cと加工後収納装置Dとを、基板エレベーターEによって保持しつつ、該基板エレベーターEを上昇又は下降させて各収納装置C、Dの高さの制御を行うものである。
【0006】
従って、上記基板搬送装置Bは、基板加工装置Kの各加工軸に対応して設置されるとともに、その各基板搬送装置Bにおいて、基板加工装置Kでの基板加工に際しては、基板エレベーターEによって基板載置スペースHとの高さが一致させられている加工前収納装置Cから、加工前基板Iが搬入搬出リフトFにより基板載置スペースHへ搬入されるとともに、投入排出リフトGにより該基板載置スペースHに載置された加工前基板Iが、基板加工装置Kの加工軸に応じて設けられた加工テーブルL上の加工部Mへ各々投入されることになる。
【0007】
一方、基板加工装置Kでの加工後は、投入排出リフトGにより加工後基板Jが基板載置スペースHへ排出されるとともに、該基板載置スペースHに載置された加工後基板Jが基板エレベーターEの作動によって基板載置スペースHとの高さが一致することになる加工後収納装置Dへ、搬入搬出リフトFにより搬出される。
そして、加工後基板Jの加工後収納装置Dへの搬出後は、再び加工前収納装置Cから加工前基板Iを搬入するために、加工前収納装置Cと基板載置スペースHとの高さが一致するように、基板エレベーターEが作動するものである。
【0008】
ところが、上記基板搬送装置Bは、1台の基板加工装置Kに複数(
図6の場合は6加工軸)設けられた各加工軸に各々対応するように並設されており、しかもできるだけ基板搬送装置Bの設置場所をとらないようにするために、基板加工装置Kに設けられた加工軸の幅を基礎として、互いに接近するように配置されている。
ここで、基板加工装置Kの加工軸ピッチは、加工する基板の大きさによって規制されているが、現在一般的に560mmが採用されているので、基板加工装置Kに対して加工前後の基板I、Jを搬送する各基板搬送装置Bの最大幅は、その加工軸ピッチ560mmに合わせて、560mm未満とする制約を受けることになる。また、現在、基板I、J自体の最大幅は一般的に510mmであり、前述のようにできるだけ基板搬送装置Bの設置場所をとらないようにするために、各基板搬送装置Bが並列して設置されることから、基板搬送装置Bを構成する構成部品や制御機構等の幅について、上記基板搬送装置Bの最大幅と基板I、J自体の最大幅との寸法差である50mm未満との制限が発生し、基板搬送装置Bの奥行きが長くなった。
そもそも、基板加工装置Kに対して基板搬送装置Bが直列に配置されていることから、基板搬送装置付き基板加工装置Aの奥行き(
図6における紙面左右方向)が大きくなるものであった。それに加えて、前述のように幅方向の制約が加わることとから、より奥行きが長くなる上、基板搬送装置Bでは加工前収納装置Cへ加工前基板Iを収納し、また加工後収納装置Dから加工後基板Jを取り出すための搬入搬出作業スペースが、基板搬送装置Bの後側に必要となって、更に装置設置に伴う奥行きが長くなった。しかも、基板加工装置Kの前面にはオペレータ作業スペースが、また、その側面には側面メンテナンススペースが併せて必要となるため、単に搬送装置Bのみを設置するだけでもその周囲に大きなスペースが必要になった。
【0009】
一方、基板搬送装置Bの奥行きを少しでも短くするためには、加工前収納装置Cと加工後収納装置Dを上下に積層して配置せざるを得ず、その結果、基板エレベーターEを用いて基板の収納装置の高さを変える必要があることと合わせて、基板搬送装置Bを構成する各構成部品や制御機構についてコクパクト化する必要があることから、複雑で精緻な機構が必要となって、それら構成部品や制御機構の製造コストが増大することとなった。
その結果、基板搬送装置B自体が非常に大きくなって設置場所をとったり、あるいはその製造コストが著しく高くなったりした。
【0010】
ところで、基板に対する加工作業が複雑化するにつれ、基板加工装置Kにおける加工作業に必要となる作業時間が増大してきたため、基板加工装置Kに対する基板搬送装置Bの搬送作業時間の重要性は低下するものとなった。
【0011】
そこで、基板加工装置Kに対する基板搬送装置Bの作業内容も、加工前後の基板I、Jを基板加工装置Kの加工軸に応じて設けられた加工テーブルL上の加工部Mへ搬入し、又、搬出することが中心となって容易であるため、上記コストの高い基板搬送装置Bを省略し、基板加工装置Kに対して加工前後の基板I、Jを投入し、又、排出する作業をオペレータ作業スペース側から人手により行うこともなされた。
【0012】
ところが、近年、基板加工作業に必要とされる加工作業時間が増大するにつれ、基板加工装置Kに対する加工前後の基板I、Jの搬入、搬出工程が、必然的に深夜や早朝になることが頻発するようになった。
【0013】
そのため、作業者を雇用しようとしても昨今の人手不足により作業者を十分に集められず、基板加工作業自体に時間的制約が発生して、さらなる製造コストの上昇につながるものとなった。
【0014】
その結果、単体としての基板加工装置Kに対して加工前後の基板I、Jを人手によって投入・排出する場合には、人手不足という問題から、製造コストの上昇を招来するという欠点があり、また、単体としての基板加工装置Kに対して前記従来例に示すような基板搬送装置Bを追加し、あるいは単体としての基板加工装置に換えて新たに前記従来例に示すような基板搬送装置も含めた基板加工装置Kを設置することは、大幅なレイアウトやスペースの変更を伴うことから、安価に、しかも大幅なレイアウトの変更無しに、基板搬送装置Bの付随した基板加工装置Kを設置することができないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
解決しようとする問題点は、基板加工装置に対して加工前後の基板を加工のための所定位置に搬入して一斉に又は順次投入し、また、排出して搬出する基板搬送装置において、加工前後の基板の搬送方向や構成部材の配置を変更し、また構成部材を省略することで省スペース化し、基板搬送装置の追加設置においても最低限のコストで、大幅なレイアウトやスペースの変更を伴わずに、簡易かつ確実に実現できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、まず基板搬送方法として、
複数の加工軸を有する基板加工装置に対して平行に展開され、一端に載置された加工前基板を、基板載置台の、基板加工装置の有する加工テーブル上に複数並設された加工部に対応する位置へ順次搬入して各々配置するとともに、該加工前基板を基板加工装置の各加工部へ一斉に又は順次投入し、基板加工装置によって加工した後には、該基板加工装置によって加工した後の加工前基板(以下、「加工後基板」という。)を基板加工装置の加工部から、投入前と同位置に排出した上で、該加工後基板を他端方向へ順次搬出して、収納するという工程を反復して行うものであって、
イ)基板載置台の外側一端に載置された加工前基板を、基板載置台の、基板加工装置の 有する加工テーブル上に複数並設された加工部に対応する位置へ、搬入機構により 順次搬入して各々配置する、
ロ)該基板加工装置の各加工部に対応する位置に各々配置された前記加工前基板を、基 板加工装置の各対応する加工部へ一斉に又は順次投入する、
ハ)基板加工装置による基板加工が終了した加工後基板を、基板加工装置の加工部から 、基板載置台の元の位置に排出する、
ニ)加工後基板を当該位置から、搬出機構により順次移動させて、基板載置台の他端の 外側に搬出する、
ホ)前記ニ)により加工後基板を順次移動させた所から、順次前記イ)の工程により、 同位置に加工前基板を搬入して配置する、
ヘ)以降、上記ロ)~ホ)の工程を反復する、
ものである。
【0018】
また、当該基板搬送方法を備える基板搬送装置として、
複数の加工軸を有する基板加工装置に対して平行に展開され、一端に加工前基板を載置・収納する加工前収納装置、他端に加工後基板を載置・収納する加工後収納装置、加工前収納装置と加工後収納装置間に基板載置台、加工前収納装置から基板載置台へ加工前基板を移動可能とする搬入リフト、基板載置台から加工後収納装置へ加工後基板を移動可能とする搬出リフト、及び基板加工装置の加工テーブル上に複数並設された各加工部に対応して設けられ、基板載置台と基板加工装置の各加工部との間で加工前後の基板を投入し、排出する投入排出リフトからなるものであって、
イ)加工前収納装置に載置・収納された加工前基板を、基板載置台の、基板加工装置の 有する加工テーブルに複数並設される加工部に対応する位置へ、搬入リフトにより 順次搬入して各々配置する、
ロ)基板加工装置の各加工部に対応する位置に各々配置された該加工前基板を、基板加 工装置の各対応する加工部に投入排出リフトにより一斉に又は順次投入する
ハ)基板加工装置による基板加工が終了した加工後基板を、基板加工装置の加工部から 基板載置台における元の位置に投入排出リフトにより排出する、
ニ)加工後基板を当該位置から、搬出リフトにより順次加工後収納装置へ搬出して、載 置・収納する、
ホ)前記ニ)により加工後基板を順次移動させた所から、順次前記イ)の工程により、 基板載置台の同位置に、加工前基板を加工前収納装置から搬入リフトにより順次搬 入して配置する、
ヘ)以降、ロ)~ホ)の工程を反復する、
としてなる基板搬送方法を備えるものである。
【0019】
そのため、上記基板搬送方法及び該基板搬送方法を使用した基板搬送装置においては、基板加工装置の加工軸の数に対応した基板搬送装置を設置する必要がなく、また、基板搬送装置における基板移動のための各機構の設置面積の制約からの制御機構の高コスト化を招来することもなく、しかも該基板搬送装置も含めた基板加工装置に必要とされる設置スペースを最小限にすることができるものである上、より短時間での基板搬送が可能となり、1台の基板加工装置において、同一の基板加工を多数枚に対して行うに際しては、その加工対象たる基板の基板加工装置への搬入・搬出及び投入・排出回数も多数回となることから、全体としての加工時間数を減少させることができる。
【0020】
更に、前記基板搬送装置は既存の基板加工装置に後付けで設置できるものであるが、当初から前記いずれかの基板搬送装置と基板加工装置とから構成される基板搬送装置付き基板加工装置を用いることも有用である。
【発明の効果】
【0021】
本願発明の基板搬送方法によれば、基板搬送装置を構成する各機構あるいは装置の配置の変更及び各機構等の多機能化によって、基板加工作業の精度を維持しつつ最低限のコストで装置全体としての省スペース化が図ることができるので、安価に、しかも大幅なレイアウトやスペースの変更を行うことなく基板搬送装置付き基板加工装置の新たな設置、又は既存の基板加工装置への基板搬送装置の追加設置をも簡易かつ確実に行うことができる優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本願発明の実施例である基板搬送装置付き基板加工装置の配置を示した模式図である。
【
図2】
図2は、本願発明の実施例である基板搬送装置付き基板加工装置おける、加工前収納装置から加工部までの、加工前基板の搬送状態の一部を示した模式図である。
【
図3】
図3は、本願発明の実施例である基板搬送装置付き基板加工装置おける、加工前収納装置から加工部までの、加工前基板の搬送状況の一部を示した模式図である。
【
図4】
図4は、本願発明の実施例である基板搬送装置付き基板加工装置おける、加工部から加工後収納装置までの、加工後基板の搬送状況の一部を示した模式図である。
【
図5】
図5は、本願発明の実施例である基板搬送装置付き基板加工装置おける、加工部から加工後収納装置までの、加工後基板の搬送状況の一部を示した模式図である。
【
図6】
図6は、従来の基板搬送装置付き基板加工装置の配置を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
安価に、しかも大幅なレイアウトの変更やスペースの変更を行うことなく、新たに基板搬送装置を含めた基板加工装置を設置し、又は該基板搬送装置のみの追加設置をできるようにする。
【実施例】
【0024】
図1乃至
図5において示すのは、本願発明における実施例の基板搬送方法を実現した基板搬送装置2’を備える基板搬送装置付き基板加工装置1’であって、上記基板搬送装置付き基板加工装置1’は、基板加工装置11と該基板加工装置11に対して加工前後の基板9、10を投入、排出しつつ搬送してなる基板搬送装置2’とから構成されるものである。
そして、基板加工装置11の背後側に、加工前後の基板9、10を該基板加工装置11へ投入し、又排出させるとともに搬送してなる基板搬送装置2’が平行に展開されている。
また、その作業の仕方は、次のようになる。すなわち、該基板加工装置11には、6個のスピンドル(図示せず。尚、
図1における基板加工装置においては、6個のスピンドルがX方向に並列して設けられており、加工軸となるスピンドルが6個あることから、
図1に示す基板加工装置は6軸の基板加工装置である。)が設けられ、それに対応して、縦軸(Y方向)に移動可能となる加工テーブル12において加工部13a~13fが6個並設されており、前記加工部13a~13f各々の上部にはスピンドルが搭載され、横軸(X方向)に移動可能となる横行機構により併設されており、Y方向、X方向の組み合わせ動作により加工部上に搬入された加工前基板の任意の場所に穴明け加工ができるようになっている。該基板加工装置11の背後側において平行に展開される基板搬送装置2’に対して、加工前後の基板9、10を該基板加工装置11へ投入し、又排出させるとともに搬送するものである。
従って、基板加工装置11の手前側(
図1においては紙面の右側に当たる)にはオペレータ作業スペースを、同側方(
図1においては紙面の上下側に当たる)にはメンテナンススペースを、基板搬送装置2’の側方(
図1においては紙面の上下側に当たる)には加工前後の基板9、10の搬入・搬出作業スペースを確保しているが、基板搬送装置2’の背面(
図1においては紙面の左側に当たる)においてはスペースの確保が不要となり、省スペース化を図ることができる(
図1参照)。
また、該加工前収納装置3と加工後収納装置4とを上下に積層することなく、それぞれ基板搬送装置2‘の両端に各々一つずつ配置するので、加工前基板9の基板載置台14への搬入及び基板載置台14からの加工後基板10の搬出に際しては、加工前収納装置3と加工後収納装置4の各上部を開放状態にして行うことができることで、構造を単純化して安価で、且つ故障を防止することができるようになる。しかも、加工前基板9の搬入作業及び加工後基板10の搬出作業も各々一箇所に集中させることができることから、基板搬送装置付き基板加工装置1全体としての作業工程数を大幅に削減するとともに、加工前収納装置3への加工前基板9の供給作業、及び加工後収納装置4からの加工後基板10の回収作業も側面からアクセスするものとして、省スペース化を図ることができるものである。
【0025】
また、基板搬送装置2’は、加工前基板9を載置・収納する加工前収納装置3、該基板加工装置11の加工テーブル12において複数並設する加工部13a~13fに対応する位置に加工前後の基板9、10を載置してなる基板載置台14、加工後基板10を載置・収納する加工後収納装置4、加工前基板9を加工前収納装置3から基板載置台14へ高精度で移動させてなる、リニアモータ装置15のリニアモータレール15aに吊持され、バキュームの吸着を利用する搬入リニアモータリフト15b、加工後基板10を基板載置台14から加工後収納装置4へ高精度で移動させてなる、前記リニアモータレール15aに吊持され、バキュームの吸着を利用する搬出リニアモータリフト15c、及び実施例1と同じく、基板加工装置11の6個の加工部13a~13fに対応してそれぞれ設けられる、バキュームの吸着を利用する投入排出リフト8とからなる。
その上、これらの内、加工前収納装置3、基板載置台14及び加工後収納装置4は一直線上に設置され、投入排出リフト8の作動方向は、それに対して直交している。
【0026】
以上のとおり、本願発明の実施例である基板搬送装置付き基板加工装置1’は構成されるので、加工前収納装置3に載置・収納された加工前基板9は、以下の工程により加工後基板10へと加工され、加工後収納装置4に回収されるものである(
図2~
図5参照)。
第1の工程として、加工前基板9が載置・収納されている加工前収納装置3から一加工分の加工前基板9を搬入リニアモータリフト15bにより吸着しつつ取り出すとともに、基板加工装置11の加工テーブル12における左端の加工部13aに対応する、基板載置台14上の位置へ該加工前基板9を載置し、同様に、加工前基板9が収納されている加工前収納装置3から一加工分ずつの加工前基板9を、搬入リニアモータリフト15bにより吸着しつつ取り出すとともに、基板加工装置11の隣接する加工部13b~13fに対応する、基板載置台14上の位置へ加工前基板9を各々載置する[
図2(a’)~
図3(g’)参照]。尚、本実施例においては、加工テーブル12上の左端の加工部13aに対応する位置から、順次加工前基板9を基板載置台14上に載置して行ったが、その順序はそれに限定されるものではなく、搬入リニアモータリフト15bと搬出リニアモータリフト15cを同期して作動させることから、そのための制御のし易い順番に加工前基板9を基板載置台14上に載置して良い。
第2の工程として、基板載置台14における、基板加工装置11の6個の加工部13a~13fそれぞれに対応する位置に加工前基板9が全て載置された後、この全ての加工前基板9を各投入排出リフト8により、基板加工装置11の各対応する加工部13a~13fへ投入する[
図3(h’)参照]。尚、本実施例においては、加工前基板9が全て載置された後に、一斉に加工部13a~13fへ投入することとしたが、基板載置台14に載置されたものから順次、加工部13a~13fへ投入することとしてもよい。
第3の工程として、基板加工装置11の加工部13a~13fで加工された各加工後基板10は、前記投入排出リフト8により基板載置台14へと排出され、該基板載置台14上の投入前の位置に載置される[
図4(i‘)~(j’)参照]。
第4の工程として、該基板載置台14上に載置された6個の一加工分の加工後基板10の内、左端の加工後基板10から右端の加工後基板10へと順次加工後収納装置4へ搬出リニアモータリフト15cの吸着により搬出して、加工後収納装置4に載置・収納する[
図4(k’),(l’)、
図5(m’)~(p’)参照]。
第5の工程として、搬出リニアモータリフト15cにより加工後基板10を搬出するのに同期させて、搬入リニアモータリフト15bが加工前収納装置3から一加工分の加工前基板9を取り出して、加工後基板10の搬出により基板載置台14上の開いたスペースに順次加工前基板9を載置する。尚、本実施例においては第4の工程において、搬出リニアモータリフト15cにより、左端の加工後基板10から右端の加工後基板10へと順次搬出することとし、第5の工程において、それに同期して搬入リニアモータリフト15bによって新たな加工前基板9を搬入しているが、前記第1の工程において記載したように、搬出リニアモータリフト15cによる搬出と搬入リニアモータリフト15bによる搬入を同期させることから、そのための制御のし易い順番に搬出リニアモータリフト15cによる搬出と搬入リニアモータリフト15bによる搬入を行えばよい。
このように、上記基板載置台14における、加工後基板10の搬出、及び加工前基板9の搬入作業を、加工前基板が尽き、又は作業終了に至るまで繰り返すものである。
以上の工程により、加工前収納装置3内に収納されている加工前基板9は、基板加工装置11内での加工を経て、加工後基板10として加工後収納装置4内へ載置・収納されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
加工前後の基板を搬送する基板搬送装置を、基板加工装置に対して平行に展開し、該加工前収納装置と加工後収納装置とを上下に積層することなく、それぞれ基板搬送装置の両端に各々一つずつ配置するので、加工前基板の搬入及び加工後基板の搬出に際しては、加工前収納装置と加工後収納装置の各上部を開放状態にして行うことができることで、構造を単純化して安価で、且つ故障を防止することができるようになり、しかも加工前基板の搬入作業及び加工後基板の搬出作業も各々一箇所に集中させることができることから、基板搬送装置付き基板加工装置全体としての作業工程数を大幅に削減するとともに、加工前収納装置への加工前基板の供給作業、及び加工後収納装置からの加工後基板の回収作業も側面からアクセスするものとして、省スペース化を図り、設置スペースを最小限とするので、加工装置全体としての設置スペースの省スペース化を図るとともに、搬送装置自体の追加設置も簡易かつ確実になり、あらゆる加工装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1’ 基板搬送装置付き基板加工装置
2’ 基板搬送装置
3 加工前収納装置
4 加工後収納装置
5 軸移動コンベア
6 搬入リフト
7 搬出リフト
8 投入排出リフト
9 加工前基板
10 加工後基板
11 基板加工装置
12 加工テーブル
13a、13b、13c、13d、13e、13f 加工部
14 基板載置台
15 リニアモータ装置
15a リニアモータレール
15b 搬入リニアモータリフト
15c 搬入リニアモータリフト