(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】ARディスプレイ装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20231020BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20231020BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20231020BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20231020BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
G02B5/26
G02B5/30
G02B5/32
(21)【出願番号】P 2019077028
(22)【出願日】2019-04-15
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(31)【優先権主張番号】10-2019-0010957
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】マリノーフスカヤ エレーナ ゲナディエーヴナ
(72)【発明者】
【氏名】ヤヌシク イーゴル ヴィタリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】モロゾフ アレクサンダー ヴィクトロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】モロゾヴァ アンスタシーア ヴラディーミロヴナ
(72)【発明者】
【氏名】ナム ドンギュン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジンホ
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/094249(WO,A1)
【文献】特開2009-128658(JP,A)
【文献】特開平07-134265(JP,A)
【文献】特開2018-036501(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0050564(US,A1)
【文献】特開平03-200426(JP,A)
【文献】特開2016-071373(JP,A)
【文献】特開2017-009666(JP,A)
【文献】米国特許第05900976(US,A)
【文献】国際公開第2017/188276(WO,A1)
【文献】米国特許第5486840(US,A)
【文献】国際公開第2015/166872(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
G02B 5/26
G02B 5/30
G02B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決定されたスペクトル内で視覚的情報を含む第1光線を出力する出力部と、
前記第1光線から第1s極性光線を吸収し、第1p極性光線を通過させる偏光板であって、前記第1s極性光線は、前記第1光線に含まれるs極性の光線であり、前記第1p極性光線は、前記第1光線に含まれるp極性の光線である、偏光板と、
前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する光線を反射する光学レイヤであって、当該光学レイヤの第1面に入射する前記第1p極性光線の少なくとも一部を反射させ、前記偏光板を通過する前記第1p極性光線のうち、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記第1p極性光線の少なくとも一部を予め決定された視聴空間に反射させる光学レイヤと、
を含み、外部か
ら前記光学レイヤの第2面に入射され
た第2光線
に含まれる第2p極性光線
のうち、前記予め決定されたスペクトル以外の波長を有する光線部分は、前記光学レイヤ及び前記偏光板を通過して前記出力部によって反射され、
前記偏光板を通過した後、前記光学レイヤを通過して外部へ向かう、ARディスプレイ装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記視覚的情報を含む前記第1p極性光線が前記偏光板を通過して前記光学レイヤに投影されるように、前記視覚的情報を含む前記第1p極性光線を出力する、請求項1に記載のARディスプレイ装置。
【請求項3】
前記出力部は、
前記予め決定されたスペクトルに基づいて前記視覚的情報を表示するディスプレイパネルと、
前記視覚的情報を表示するために光を前記ディスプレイパネルに提供する光源と、
を含む、請求項1に記載のARディスプレイ装置。
【請求項4】
前記視覚的情報を含む前記第1p極性光線は、前記光学レイヤに投影されるとき予め決定されたブルースター角で入射される、請求項1-3のうち何れか一項に記載のARディスプレイ装置。
【請求項5】
前記偏光板は、外部から入射されて前記光学レイヤを通過し、前記光学レイヤの第2面に入射する第2光線のうち第2s極性光線を吸収し、前記第2s極性光線は、前記第2光線に含まれるs極性の光線である、請求項1に記載のARディスプレイ装置。
【請求項6】
前記光学レイヤの前記第2面に入射される前記第2p極性光線のうち、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記第2p極性光線の第1部分は前記光学レイヤによって反射され、
前記光学レイヤの前記第2面に入射される前記第2p極性光線のうち、前記予め決定されたスペクトル以外の波長を有する前記第2p極性光線の第2部分は、前記光学レイヤ及び前記偏光板を通過して前記出力部によって反射され、
前記第2部分は前記光線部分であり、
前記出力部によって反射された前記予め決定されたスペクトル以外の波長を有する前記第2p極性光線の前記第2部分は、前記偏光板を通過して前記光学レイヤに投影され、前記光学レイヤによって反射されずに前記光学レイヤを通過する、請求項1に記載のARディスプレイ装置。
【請求項7】
前記光学レイヤは、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記第1p極性光線を予め決定された反射率に応じて反射させ、前記予め決定された反射率は、前記光学レイヤが、前記予め決定されたスペクトルに対して所定の可視性を有するように決定されている、請求項1又は2に記載のARディスプレイ装置。
【請求項8】
前記予め決定されたスペクトルは複数の波長を含み、
前記光学レイヤは、前記複数の波長ごとに異なる反射率を有する、請求項1-7のうち何れか一項に記載のARディスプレイ装置。
【請求項9】
前記予め決定されたスペクトルは、赤色系統の波長を有する光線、緑色系統の波長を有する光線、及び青色系統の波長を有する光線のうち少なくとも1つを含む、請求項1-8のうち何れか一項に記載のARディスプレイ装置。
【請求項10】
前記光学レイヤは、前記光学レイヤの第2面に入射される第2光線のうち、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記第2光線の少なくとも一部を反射させる、請求項1又は2に記載のARディスプレイ装置。
【請求項11】
前記光学レイヤは、前記光学レイヤの第2面に入射される第2光線のうち、赤外線系統の波長を有する前記第2光線の少なくとも一部を反射させる、請求項1又は2に記載のARディスプレイ装置。
【請求項12】
前記光学レイヤは、車両のウインドシールドと内部ガラスレイヤとの間、前記車両のウインドシールドの外側、又は前記車両の前記内部ガラスレイヤの内側に位置する、請求項1又は2に記載のARディスプレイ装置。
【請求項13】
前記光学レイヤは、回折光学素子(DOE)及びホログラフィック光学素子(HOE)のうち少なくとも1つを含む、請求項1-12のうち何れか一項に記載のARディスプレイ装置。
【請求項14】
出力部を用いて、予め決定されたスペクトル内で視覚的情報を含む光線を出力するステップと、
偏光板を用いて、前記視覚的情報を含む
第1光線のうちs極性の光線を吸収するステップと、
前記偏光板を用いて、前記視覚的情報を含む
第1光線のうちp極性の光線を通過させるステップ
と、
光学レイヤを用いて、前記偏光板を通過した前記p極性の光線の少なくとも一部を、予め決定された視聴空間に反射させるステップと、
を含み、外部から前記光学レイヤに入射された第2光線に含まれるp極性の光線のうち、前記予め決定されたスペクトル以外の波長を有する光線部分は、前記光学レイヤ及び前記偏光板を通過し
て前記出力部によって反射され
、前記偏光板を通過し
た後、前記光学レイヤ
を通過して外部へ向かう、ARディスプレイ方法。
【請求項15】
前記視覚的情報を含む光線を出力するステップは、前記視覚的情報を含む光線が前記偏光板を通過して前記光学レイヤに投影されるように、前記視覚的情報を含む光線がp極性を有するように出力するステップを含む、請求項14に記載のARディスプレイ方法。
【請求項16】
前記予め決定された視聴空間に反射させるステップは、前記偏光板を通過した前記p極性の光線のうち、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記p極性の光線の前記少なくとも一部を前記予め決定された視聴空間に反射させるステップを含む、請求項14に記載のARディスプレイ方法。
【請求項17】
1つ以上の命令を格納するメモリと、
視覚的情報を生成し、
前記視覚的情報を出力するようにディスプレイパネルを制御するために、
前記1つ以上の命令を行うプロセッサと、
予め決定されたスペクトル内で前記視覚的情報を含む
第1光線を出力する前記ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルから出力される前記
第1光線のうち、p極性の光線だけを通過させる偏光板と、
前記p極性の光線の少なくとも一部を視聴空間に反射する光学レイヤと、
を含み、外部から
前記光学レイヤに入射され
た第2光線に含まれるp極性の光線のうち、前記予め決定されたスペクトル以外の波長を有する光線部分は、前記光学レイヤ
及び前記偏光板を通過して出力部によって反射され
、前記偏光板を通過し
た後、前記光学レイヤ
を通過して外部へ向かう、ARディスプレイ装置。
【請求項18】
前記光学レイヤは、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記p極性の光線の少なくとも一部を前記視聴空間に反射する、請求項17に記載のARディスプレイ装置。
【請求項19】
前記光学レイヤは、前記視覚的情報を含む前記p極性の光線が予め決定されたブルースター角で前記光学レイヤに入射するよう、前記p極性の光線の方向は調整されている、請求項17に記載のARディスプレイ装置。
【請求項20】
車両のウインドシールドと、
前記ウインドシールドに形成されるマルチバンドの二色性コーティングレイヤであって、請求項1に記載されている前記光学レイヤにより構成された二色性コーティングレイヤと、
を含み、
前記マルチバンドの二色性コーティングレイヤは、
前記車両の外部から前記マルチバンドの二色性コーティングレイヤに入射する光線の第1スペクトルを反射し、
前記車両の外部から前記マルチバンドの二色性コーティングレイヤに入射する前記光線の第2スペクトルを通過させ、
前記車両の内部で反射される前記光線の前記第2スペクトルのp極性の部分を通過させる、
ARディスプレイ装置。
【請求項21】
前記マルチバンドの二色性コーティングレイヤは、前記車両の内部で生成される視覚的情報を含むp極性の光線の少なくとも一部を視聴空間に反射するようさらに構成されている、請求項20に記載のARディスプレイ装置。
【請求項22】
コーティングレイヤをさらに含み、
前記マルチバンドの二色性コーティングレイヤは、前記ウインドシールドと前記コーティングレイヤとの間に形成されている、請求項20に記載のARディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ARディスプレイ装置及び方法に関し、例えば、偏光板と光学レイヤを用いて車両用HUDを表示する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD:head up display)システムは、運転者の前方に虚像(virtual image)を生成し、虚像内に情報を表示して運転者へ様々な情報を提供する。運転者に提供される情報は、車両の速度、ガソリン残量、エンジンRPM(revolution per minute)などの計器盤情報、及びナビゲーション情報を含む。運転者は、運転中に視線を移動することなく前方に表示された情報を容易に把握できるため、運転の安定性が高くなり得る。HUDシステムは、計器盤情報及びナビゲーション情報の他にも前方視野の良くない場合を助けるため、車線表示、工事表示、交通事故表示、人を示す警告表示などを運転者に拡張現実(AR:Augmented Reality)方式で提供する。
【0003】
光は、電場と磁場の組合せで構成され、電場と磁場は互いに対して垂直方向に振動する。電場の振動方向が入射平面に対して垂直である場合はs極性(s-polarization)に該当し、電場の振動方向が入射平面に対して平行である場合はp極性(p-polarization)に該当する。光がいずれかの媒質から他の媒質に入射するとき、光の反射量と透過量は2つの媒質の屈折率及び光の入射角に応じて決定される。光の反射量と透過量は、フレネルの式(Fresnel equation)により説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、出力部で出力された視覚的情報を含むp極性の光線が視聴空間に伝達されるようにすることで、車両の運転者が視覚的情報(HUD映像)を視聴することにある。
【0005】
実施形態の目的は、車両の外部から入射される太陽光がユーザ(例えば、運転者など)に反射されることを防止することにある。
【0006】
実施形態の目的は、偏光サングラスを着用したユーザにもHUD映像を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る偏光板及び光学レイヤを活用したARディスプレイ装置は、出力部から出力された視覚的情報を含むp極性の光線が視聴空間に伝達されるようにすることで、車両の運転者が視覚的情報(HUD映像)を視聴するようにする。
【0008】
一実施形態に係る偏光板及び光学レイヤを活用したARディスプレイ装置は、外部から入射された光線が予め決定された視聴空間に伝達されないように遮断し得る。外部から入射された光線の波長が光学レイヤで反射させるスペクトルに含まれ、外部から入射された光線がp極性の光線に該当する場合、外部から入射された光線の少なくとも75%を予め決定された視聴空間に伝達されないように遮断し得る。外部から入射された光線の波長が光学レイヤが受信された光線の少なくとも一部を反射させるスペクトルに含まれていないか、外部から入射された光線がs極性の光線に該当する場合、外部から入射された光線の全てを予め決定された視聴空間に伝達されないように遮断し得る。
【0009】
一実施形態に係るARディスプレイ装置は、予め決定されたスペクトル内で視覚的情報を含む第1光線を出力する出力部と、前記第1光線から第1s極性光線を吸収し、第1p極性光線を通過させる偏光板(前記第1s極性光線は、前記第1光線に含まれるs極性の光線であり、前記第1p極性光線は、前記第1光線に含まれるp極性の光線である)と、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有し、光学レイヤの第1面に入射する前記第1p極性光線の少なくとも一部を反射させる前記光学レイヤとを含む。
【0010】
一実施形態に係る前記出力部は、前記視覚的情報を含む前記第1p極性光線が前記偏光板を通過して前記光学レイヤに投影されるように、前記視覚的情報を含む前記第1p極性光線を出力し得る。
【0011】
一実施形態に係る前記光学レイヤは、前記偏光板を通過する前記第1p極性光線のうち、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記第1p極性光線の少なくとも一部を予め決定された視聴空間に反射させ得る。
【0012】
一実施形態に係る前記出力部は、前記予め決定されたスペクトルに基づいて前記視覚的情報を表示するディスプレイパネルと、前記視覚的情報を表示するために光を前記ディスプレイパネルに提供する光源とを含み得る。
【0013】
一実施形態に係る前記視覚的情報を含む前記第1p極性光線は、前記光学レイヤに投影されるとき予め決定された臨界角で入射され得る。
【0014】
一実施形態に係る前記偏光板は、外部から入射されて前記光学レイヤを通過し、前記光学レイヤの第2面に入射する第2光線のうち第2s極性光線を吸収(前記第2s極性光線は、前記第2光線に含まれるs極性の光線である)し得る。
【0015】
一実施形態に係る外部から入射されて前記光学レイヤを通過し、前記光学レイヤの第2面に入射される第2光線のうち第2p極性光線は、前記偏光板を通過して前記出力部によって反射され(前記第2p極性光線は、前記第2光線に含まれるp極性の光線である)、前記出力部によって反射された前記第2p極性光線は、前記偏光板を通過して前記光学レイヤの前記第1面に投影され得る。
【0016】
一実施形態に係る前記光学レイヤの前記第2面に入射される前記第2p極性光線のうち、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記第2p極性光線の第1部分は、前記光学レイヤによって反射され、前記光学レイヤの前記第2面に入射される前記第2p極性光線のうち、前記予め決定されたスペクトル以外の波長を有する前記第2p極性光線の第2部分は、前記光学レイヤ及び前記偏光板を通過して前記出力部によって反射され、前記出力部によって反射された前記予め決定されたスペクトル以外の波長を有する前記第2p極性光線の前記第2部分は、前記偏光板を通過して前記光学レイヤに投影され、前記光学レイヤによって反射されずに前記光学レイヤを通過し得る。
【0017】
一実施形態に係る前記光学レイヤは、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記第1p極性光線を予め決定された反射率に応じて反射させ得る。
【0018】
一実施形態に係る前記予め決定されたスペクトルは複数の波長を含み、前記光学レイヤは、前記複数の波長ごとに異なる反射率を有し得る。
【0019】
一実施形態に係る前記予め決定されたスペクトルは、赤色系統の波長を有する光線、緑色系統の波長を有する光線、及び青色系統の波長を有する光線のうち少なくとも1つを含み得る。
【0020】
一実施形態に係る前記光学レイヤの反射率は、前記光学レイヤによって要求される可視性に基づいて決定され得る。
【0021】
一実施形態に係る前記光学レイヤは、前記光学レイヤの第2面に入射される第2光線のうち、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記第2光線の少なくとも一部を反射させ得る。
【0022】
一実施形態に係る前記光学レイヤは、前記光学レイヤの第2面に入射される第2光線のうち、赤外線系統の波長を有する前記第2光線の少なくとも一部を反射させ得る。
【0023】
一実施形態に係る前記光学レイヤは、車両のウインドシールドと内部ガラスレイヤとの間、前記車両のウインドシールドの外側、又は前記車両の前記内部ガラスレイヤの内側に位置し得る。
【0024】
一実施形態に係る前記光学レイヤは、回折光学素子(DOE)及びホログラフィック光学素子(HOE)のうち少なくとも1つを含み得る。
【0025】
一実施形態に係るARディスプレイ方法は、出力部を用いて、予め決定されたスペクトル内で視覚的情報を含む光線を出力するステップと、偏光板を用いて、前記視覚的情報を含む光線のうちs極性の光線を吸収するステップと、前記偏光板を用いて、前記視覚的情報を含む光線のうちp極性の光線を通過させるステップと、光学レイヤを用いて、前記偏光板で通過した前記p極性の光線の少なくとも一部を予め決定された視聴空間に反射させるステップとを含む。
【0026】
一実施形態に係る前記視覚的情報を含む光線を出力するステップは、前記視覚的情報を含む光線が前記偏光板を通過して前記光学レイヤに投影されるように、前記視覚的情報を含む光線がp極性を有するように出力するステップを含み得る。
【0027】
一実施形態に係る前記予め決定された視聴空間に反射させるステップは、前記偏光板を通過した前記p極性の光線のうち、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記p極性の光線の前記少なくとも一部を前記予め決定された視聴空間に反射させるステップを含み得る。
【0028】
一実施形態に係るARディスプレイ装置は、1つ以上の命令を格納するメモリと、視覚的情報を生成し、前記視覚的情報を出力するようにディスプレイパネルを制御するために、前記1つ以上の命令を行うプロセッサと、予め決定されたスペクトル内で前記視覚的情報を含む光線を出力する前記ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルから出力される前記光線のうち、p極性の光線だけを通過させる偏光板と、前記p極性の光線の少なくとも一部を視聴空間に反射する光学レイヤとを含む。
【0029】
一実施形態に係る前記光学レイヤは、前記予め決定されたスペクトルに対応する波長を有する前記p極性の光線の少なくとも一部を前記視聴空間にさらに反射し得る。
【0030】
一実施形態に係る前記光学レイヤは、前記視覚的情報を含む前記p極性の光線が予め決定された角度で前記光学レイヤに入射するよう、前記p極性の光線の方向を調整し得る。
【0031】
一実施形態に係るARディスプレイ装置は、車両のウインドシールドと、前記ウインドシールドに形成されるマルチバンドの二色性コーティングレイヤとを含み、前記マルチバンドの二色性コーティングは、前記車両の外部から前記マルチバンドの二色性コーティングレイヤに入射する光線の第1スペクトルを反射し、前記車両の外部から前記マルチバンドの二色性コーティングレイヤに入射する前記光線の第2スペクトルを通過させ、前記車両の内部で反射される前記光線の前記第2スペクトルのp極性の部分を通過させる。
【0032】
一実施形態に係る前記マルチバンドの二色性コーティングレイヤは、前記車両の内部で生成される視覚的情報を含むp極性の光線の少なくとも一部を視聴空間に反射するようさらに構成され得る。
【0033】
一実施形態に係るARディスプレイ装置は、コーティングレイヤをさらに含み、前記マルチバンドの二色性コーティングレイヤは、前記ウインドシールドと前記コーティングレイヤとの間に形成され得る。
【発明の効果】
【0034】
実施形態によると、出力部で出力された視覚的情報を含むp極性の光線が視聴空間に伝達されるようにすることで、車両の運転者が視覚的情報(HUD映像)を視聴することができる。
【0035】
実施形態によると、車両の外部から入射される太陽光がユーザ(例えば、運転者など)に反射されることを防止できる。
【0036】
実施形態によると、偏光サングラスを着用したユーザにもHUD映像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】一実施形態に係るHUD表示装置の動作と一実施形態に係る視覚的情報を含むp極性の光線の進みを説明するための図である。
【
図2】一実施形態に係る外部から入射された光線の進みを説明するための図である。
【
図3】一実施形態に係る屈折率が他の媒質に入射する光線の極性及び入射角による反射率を説明するための図である。
【
図4】一実施形態に係る光学レイヤが反射させる光線の波長のスペクトルの例示図である。
【
図5】一実施形態に係る光学レイヤの動作を説明するための図である。
【
図6】一実施形態に係る偏光メガネを着用した時のHUD映像の可視性を説明するための図である。
【
図7】一実施形態に係る視覚的情報を含むp極性の光線の進みを説明するための動作フローチャートである。
【
図8】一実施形態に係る外部から入射された光線の進みを説明するための動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
実施形態に対する特定な構造的又は機能的な説明は単なる例示のための目的として開示されたものとして、様々な形態に変更される。したがって、実施形態は特定な開示形態に限定されるものではなく、本明細書の範囲は技術的な思想に含まれる変更、均等物ないし代替物を含む。
【0039】
第1又は第2などの用語を複数の構成要素を説明するために用いることがあるが、このような用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ解釈されなければならない。例えば、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に第2構成要素は第1構成要素にも命名することができる。
【0040】
いずれかの構成要素が他の構成要素に「連結」されているか「接続」されていると言及されたときには、その他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されているが、中間に他の構成要素が存在し得るものと理解されなければならない。
【0041】
本明細書で用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0042】
異なるように定義さがれない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0043】
以下、実施形態を添付の図面を参照して詳説する。添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関わらず同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに関する重複説明は省略することにする。
【0044】
図1は、一実施形態に係るHUD表示装置の動作と一実施形態に係る視覚的情報を含むp極性の光線の進みを説明するための図である。
図1を参照すると、一実施形態に係るHUD表示装置は、出力部110、偏光板120、及び光学レイヤ140を含む。出力部110は、予め決定されたスペクトルに基づいて視覚的情報を含むp極性(p-polarized)の映像を出力する。偏光板120はs極性の光線を吸収し、p極性の光線を通過させる。光学レイヤ140は、予め決定されたスペクトルの光線のうち少なくとも一部を反射させる。
【0045】
例えば、光学レイヤ140は、予め決定されたスペクトル内の波長を有するp極性の光線を反射させ得る。この場合、出力部110によって出力されたp極性の映像は、偏光板120を通過して光学レイヤ140に入射した後、光学レイヤ140から反射してユーザに提供される。
【0046】
下記で詳細に説明するが、p極性の映像を用いて視覚的情報を提供することで、s極性の映像を用いて視覚的情報を提供する場合に発生する問題が解決される。例えば、
図2を参照すると、実施形態は、車両のHUDシステムに適用され、車両の外部から入射される太陽光がユーザ(例えば、運転者など)に反射されることが防止される。また、
図6を参照すると、偏光サングラスを着用したユーザ(例えば、運転者など)にもHUD映像が提供され得る。その他に、実施形態に係る様々な技術的な効果が存在し、より具体的な事項は後述する。
【0047】
再び
図1を参照すると、出力部110は、ディスプレイパネル111及び光源113を含む。ディスプレイパネル111は、第1スペクトルに基づいて視覚的情報を含むp極性のHUD映像を表示し、光源113は、HUD映像を表示するための白色の光をディスプレイパネル111に提供する。一実施形態によれば、第1スペクトルは予め決定されてもよい。
【0048】
一実施形態によれば、出力部110は、視覚情報を生成するためのプロセッサ及びメモリを含む。メモリは命令を格納する。メモリに格納された命令をプロセッサが行う場合、プロセッサは、ディスプレイパネル及び光源113を制御する。例えば、プロセッサは、視覚的情報を出力するためにディスプレイパネルを制御する。
【0049】
第1スペクトルは、光学レイヤ140によって反射されるように第2スペクトルに含まれてもよい。第1スペクトルは、赤色系統の波長を有する光線、緑色系統の波長を有する光線、及び青色系統の波長を有する光線のうち少なくとも1つを含む。例えば、ディスプレイパネル111は、赤色系統の波長を有する光線を用いてHUD映像を表示してもよく、赤色系統の波長を有する光線、緑色系統の波長を有する光線、及び青色系統の波長を有する光線を共に用いてHUD映像を表示してもい。例えば、第2スペクトルは、赤外線系統の波長、緑色系統の波長、及び赤色系統の波長のうち少なくとも1つ又はその組合せを含んでもよい。ディスプレイパネル111及び光源113が共に作動することで、それらを含む出力部110は、第1スペクトル内で視覚的情報を含むp極性の光線を出力する。
【0050】
光源113は、LEDタイプ又はレーザタイプに該当する。ただし、光源113のタイプは必ずLEDタイプ又はレーザタイプに限定されることなく、ディスプレイパネル111に必ず白色の光を提供するように限定されることもない。以下、説明の便宜のために出力部110内のディスプレイパネル111及び光源113が別途のレイヤで具現され、光源113が白色の光を提供する実施形態について説明するが、場合に応じて、出力部110のディスプレイパネル111と光源113は単一レイヤで実現されてもよく、光源113が白色ではない他の色系統の波長を有する光を提供してもよい。
【0051】
出力部110で出力された光線は偏光板120に投射される。偏光板120は、s極性の光線を吸収し、p極性の光線を通過させる特性を有する。出力部110から出力される視覚的情報を含む光線はp極性を有するため、偏光板を通過する。出力部110の誤作動又は設計のエラーなどの原因により、出力部110から出力される光線の全て又は一部がs極性の光線に該当する場合、偏光板120は、s極性の光線を吸収することにより、偏光板120を通過した後の光線がp極性の光線になるようにする。
【0052】
また、一実施形態に係るHUD表示装置は、1つ以上の鏡130をさらに含んでもよく、光学レイヤ140は、車両のウインドシールド150に挿入又は付着されてもよい。
【0053】
視覚的情報を含むp極性の光線は、偏光板120を通過して1つ以上の鏡130に投射される。1つ以上の鏡130は、1つ以上の平面鏡、1つ以上の凸面鏡、又は、その組合せを含む。1つ以上の鏡130は、視覚的情報を含むp極性の光線が反射される方向を調整することで、1つ以上の鏡130から反射した光線が光学レイヤ140に入射されるとき、臨界角(例えば、ブルースター角など)で入射されるようにする。一実施形態によれば、臨界角は予め決定されてもよい。以下で詳細に説明するが、臨界角は、予め決定された角度範囲を含む。例えば、
図3を参照すると、光学レイヤ140に光線が入射される入射角度に応じてs極性の光線のみが反射され、p極性の光線は透過する角度範囲が存在するが、一実施形態に係る臨界角は、該当角度範囲を含む概念として理解される。
【0054】
1つ以上の鏡130が1つ以上の凸面鏡を含む場合、凸面鏡は出力部110が含むディスプレイパネル111が表示するHUD映像の大きさを調整することで、車両の運転者が視聴しているHUD映像の大きさを調整(例えば、拡大)する。ただし、視覚的情報を含むp極性の光線が投射される方向及び車両の運転者が視聴しているHUD映像の大きさを適切に調整することは、出力部110の適切な設計に応じて達成できる。したがって、他の実施形態によれば、車両の運転者が視聴しているHUD映像の大きさ及び視覚的情報を含むp極性の光線が反射される方向は、1つ以上の鏡130を利用することなく調整され得る。以下、説明の便宜のために一つ以上の鏡130が含まれた実施形態について説明するが、場合に応じて、HUD表示装置は1つ以上の鏡130を含まなくてもよい。
【0055】
視覚的情報を含むp極性の光線が光学レイヤ140に入射されるときの入射角に関する詳細な事項について、
図3を参照して後述する。
【0056】
光学レイヤ140は、第2スペクトル内で受信された光線の少なくとも一部を反射させる。一実施形態によれば、第2スペクトルは、予め決定されてもよい。第2スペクトルは、出力部110で用いる第1スペクトルを含む。例えば、第1スペクトルに対応する波長が赤色系統の波長である場合、第2スペクトルに対応する波長は、赤色系統の波長及び赤外線系統の波長に該当する。出力部110から第1スペクトル内で視覚的情報を含むp極性の光線は臨界角で光学レイヤ140に入射され、光学レイヤ140から少なくとも一部が視聴空間に反射される。一実施形態によれば、臨界角は、予め決定されてもよい。視聴空間は、車両の運転者が視覚的情報を視聴できる空間である。一実施形態によれば、視聴空間は予め決定されてもよい。
【0057】
第2スペクトル内で光学レイヤ140に入射された光線のうち、光学レイヤ140から反射される光線の比率が光学レイヤ140の反射率になる。光学レイヤ140の反射率は、要求される可視性に基づいて決定される。例えば、車両の運転者が視聴しているHUD映像が相対的に高い可視性を有するよう要求された場合、光学レイヤ140は、予め決定されたスペクトルに対して80%の反射率を有するように設計されてもよい。一方、車両の運転者が視聴しているHUD映像が相対的に低い可視性を有するように要求された場合、光学レイヤ140は、予め決定されたスペクトルに対して30%の反射率を有するように設計されてもよい。
【0058】
光学レイヤ140は、車両のウインドシールド150と内部ガラスレイヤ(cover layer)との間に位置したり、車両のウインドシールド150外側に位置したり、内部ガラスレイヤ内側に位置してもよい。内部ガラスレイヤは、車両のウインドシールド150の車両内部側の表面に位置するガラスレイヤであり得る。光学レイヤ140が車両のウインドシールド150と内部ガラスレイヤとの間に位置することは、車両のウインドシールド150を構成するガラスと内部ガラスレイヤを構成するガラスとの間に光学レイヤ140が挿入される場合を含む。光学レイヤ140が車両のウインドシールド150の外側に位置することは、車両のウインドシールド150の車両の外部側の表面に光学レイヤ140がフィルム形態に付着されることを含み、光学レイヤ140が内部ガラスレイヤの内側に位置することは、内部ガラスレイヤの車両内部側の表面に光学レイヤ140がフィルム形態に付着されていることを含む。以下、説明の便宜のために、光学レイヤ140が車両のウインドシールド150と内部ガラスレイヤとの間に位置するように実現された実施形態について説明するが、場合に応じて、上述した異なる方式により光学レイヤ140が位置するように実現されてもよい。
【0059】
光学レイヤ140の動作に関するより詳細な事項は、
図4及び
図5を参照して後述する。
【0060】
視覚的情報を含むp極性の光線が光学レイヤ140から視聴空間に反射されることにより、車両の運転者はHUD映像を視聴し得る。車両の運転者は、自分の視野の前方に位置する仮想イメージ平面160にHUD映像が位置するよう映像を視聴する。仮想イメージ平面160は、運転者の可視域内に位置し、運転のための視野を妨害しないようにその位置が決定される。仮想イメージ平面160に適切な場所は、運転者の便宜を図るとともに運転中の危険を防止でき、HUD表示装置の適切な設計に応じて決定される。
【0061】
一実施形態に係る偏光板及び光学レイヤを活用したARディスプレイ装置は、出力部110で出力された視覚的情報を含むp極性の光線が視聴空間に伝達されるようにすることで、車両の運転者が視覚的情報(HUD映像)を視聴するようにする。
【0062】
図2は、一実施形態に係る外部から入射された光線の進みを説明するための図である。出力部220は、
図1に示す出力部110に対応し、偏光板230は
図1に示す偏光板120に対応し、1つ以上の鏡240は
図1に示す1つ以上の鏡130に対応し、光学レイヤ250は
図1に示す光学レイヤ140に対応する。
図2において点線はs極性の光線に該当し、実線はp極性の光線に該当する。
【0063】
図2を参照すると、一実施形態により、p極性の映像を用いて視覚的情報を提供するHUDシステムにおいて、外部から入射される太陽光はユーザに反射されない。例えば、太陽光が光学レイヤ250に入射すると、太陽光内の予め決定されたスペクトル内の波長を有する光線211,212が反射される。残りの波長の光線213,214は、光学レイヤ250を通過して偏光板230に達する。偏光板230でs極性の光線213が吸収され、p極性の光線214のみが通過する。p極性の光線214は、出力部220によって反射されて光学レイヤ250に逆伝播される。一実施形態によれば、光学レイヤ250は、マルチバンドの二色性コーティング(dichroic coating)であってもよい。一実施形態によれば、光学レイヤ250は、予め決定されたスペクトル内の波長を有する光線のみを選択的に反射し、p極性の光線214は、該当スペクトル以外の波長を有することからp極性の光線214は、光学レイヤ250で反射されずに通過する。そのため、外部から入射される太陽光はユーザに反射されない。
【0064】
一方、s極性の映像を用いて視覚的情報を提供するHUDシステムでは、s極性の光線が出力部によって反射されて光学レイヤに逆伝播される。この場合にも、s極性の光線は、光学レイヤから反射されるように設計されたスペクトル内の波長を有しない。しかし、
図3を参照すると、光学レイヤからs極性の光線の少なくとも一部が常に反射されるため、該当する一部のs極性の光線がユーザに反射される。これによって、外部の太陽光による眩しい現象などのHUD映像の視聴を阻害する問題が発生する恐れがある。
【0065】
以下、一実施形態によりp極性の映像を用いて視覚的情報を提供するHUDシステムの動作を具体的に説明する。光学レイヤ250は、第2スペクトル内で受信された光線の少なくとも一部を反射させ得る。第1光線211は、第2スペクトルに含まれる波長を有する光線のうちs極性の光線に該当し、第2光線212は、第2スペクトルに含まれる波長を有する光線のうちp極性の光線に該当し、第3光線213は、第2スペクトルに含まれない波長を有する光線のうちs極性の光線に該当し、第4光線214は、第2スペクトルに含まれない波長を有する光線のうちp極性の光線に該当する。
【0066】
第1光線211及び第2光線212は、第2スペクトルに含まれる波長を有するため、光学レイヤ250の性質に応じて少なくとも一部が光学レイヤで反射される。第2スペクトルに対して光学レイヤ250の反射率が100%である場合、第1光線211及び第2光線212は、光学レイヤ250で完全に反射されるため、運転者の視野に全く達しない場合がある。光学レイヤ250の反射率が100%でない場合、第1光線211及び第2光線212の一部は光学レイヤ250を透過する。第1光線211及び第2光線212の一部が光学レイヤ250を透過した場合、第1光線211の進行は、光学レイヤ250を透過した第3光線213とほぼ同一であってもよく、第2光線212の進行は、光学レイヤ250を透過した第4光線214とほとんど同一であるため、第1光線211及び第2光線212の一部が光学レイヤ250を透過した後の光の進行については図示していない。
【0067】
第3光線213及び第4光線214は、第2スペクトルに含まれる波長を有しないため、光学レイヤ250の性質に応じて反射されないことがある。車両の外部の空気を進行して車両のウインドシールドに達した光線は、屈折率の変化に応じて一部が反射されるが、屈折率の変化に応じて外部に反射された第3光線213及び第4光線214は、ARディスプレイ装置にいかなる影響も及ぼさないため、その後の進行は考慮しない。屈折率の変化に応じて、外部に反射されていない少なくとも一部の第3光線213及び第4光線214は、光学レイヤ250を透過する。
【0068】
屈折率の変化に応じて、外部から入射される光線の一部が反射されることに関するより詳細な事項については
図3を参照して後述する。
【0069】
光学レイヤ250を透過した第3光線213及び第4光線214の一部は、1つ以上の鏡240に投射されてもよい。1つ以上の鏡240で反射された第3光線213及び第4光線214は、偏光板230に投射される。偏光板230は、s極性の光線を吸収し、p極性の光線を通過させる特性を有する。第3光線213はs極性の光線に該当するため、偏光板230で吸収され得る。第4光線214はp極性の光線に該当するため、偏光板230を通過して出力部220に投射される。出力部220に光線が入射される場合、出力部220は鏡の役割を果たす。第4光線214は、出力部220で反射されて1つ以上の鏡240に投射される。第4光線214が出力部220で反射する過程で偏光板230を再び通過することができるが、第4光線214はp極性の光線に該当するため、その進行に影響を受けない。
【0070】
出力部220で反射された第4光線214は、1つ以上の鏡240に投射さ得る。1つ以上の鏡240は、出力部220で反射された光線の方向を調整することで、1つ以上の鏡240で反射された光線が光学レイヤ250に入射されるとき臨界角で入射するようにする。
【0071】
光学レイヤ250に入射される角度を調整することに関するより詳細な事項は、
図3を参照して後述する。
【0072】
1つ以上の鏡240で再び反射された第4光線214は、光学レイヤ250に投射され得る。光学レイヤ250は、第2スペクトル内で受信された光線の少なくとも一部を反射させ得る。
【0073】
第4光線214は、第2スペクトルに含まれる波長を有しないため、光学レイヤ250の性質又は特性に応じて反射されないことがある。第4光線214が光学レイヤ250に入射されるとき臨界角で入射され、第4光線214は、p極性の光線に該当するため、車両内部の空気と内部ガラスレイヤとの間の境界面における反射係数が0になる。したがって、車両内部に進んでガラスレイヤに達した第4光線214の全ては、屈折率の変化にもかかわらず反射されず、光学レイヤ250を透過して外部に進み得るため、視聴空間に反射されない。一実施形態によれば、視聴空間は予め決定されてもよい。
【0074】
一方、第2光線212のうち一部が外部から車両方向に光学レイヤ250を通過する場合、第2光線212は第2スペクトルに含まれる波長を有するため、光学レイヤ250の性質又は特性に応じて、少なくとも一部が光学レイヤで反射される。したがって、第2光線212の一部は、光学レイヤ250で視聴空間に反射される。第2スペクトルに含まれる波長に対する光学レイヤ250の反射率をRとすれば(理解のために反射率をパーセント値ではない0と1との間の指数値に設定している)、外部から入射される第2光線の最大(1-R)だけが光学レイヤ250を透過する。また、1つ以上の鏡240で反射された第2光線のRだけが光学レイヤ250から視聴空間に反射される。したがって、外部から入射される第2光線の最大R×(1-R)だけが光学レイヤ250を透過する。R×(1-R)はR=0.5であるとき、0.25を最大値として有するため、反射率が1ではない場合に、第2光線は最大1/4だけ視聴空間に反射される。
【0075】
一実施形態に係る偏光板及び光学レイヤを活用したARディスプレイ装置は、外部から入射された光線が視聴空間に伝達されないように遮断できる。例えば、外部から入射された光線の波長が、光学レイヤで反射させるスペクトルに含まれ、外部から入射された光線がp極性の光線に該当する場合、外部から入射された光線の少なくとも75%を視聴空間に伝達されないように遮断し得る。又は、外部から入射された光線の波長が光学レイヤが受信された光線の少なくとも一部を反射させるスペクトルに含まれていないか、外部から入射された光線がs極性の光線である場合、外部から入射された光線の全てを視聴空間に伝達されないように遮断し得る。
【0076】
図3は、一実施形態に係る屈折率が他の媒質に入射する光線の極性及び入射角による反射率を説明するための図である。
図3を参照すると、ある媒質から屈折率の異なる媒質に光が入射するとき、2つの物質の屈折指数の差により、表面で光が一部反射する現象が生じる。表面で光が反射する程度は光線の極性と、2つの媒質の境界面に光が入射する角度によって決定され得る。
図3に示されたグラフは、屈折率が小さい媒質である空気(屈折率1.0)から大きい媒質であるガラス(屈折率1.5)に光線が入射されるとき、その入射角による反射率を示すものである。グラフによれば、臨界角(例えば、ブルースター角(=tan
-1(1.5/1)≒56.3°)330でp極性の光線320の反射率は0に近く、s極性の反射率は約20%である。したがって、光学レイヤに入射される光線の入射角が臨界角330になるよう調整すれば、p極性の光線320は反射されずに透過する。以下、
図1及び
図2を参照して説明された実施形態の一部をさらに詳細に説明する。
【0077】
図1において、1つ以上の鏡130は、視覚的情報を含むp極性の光線320が反射する方向を調整することで、1つ以上の鏡130で反射された光線が光学レイヤ140に入射されるとき、臨界角330を入射角として有するようにする。又は、出力部110の適切な設計に応じて、1つ以上の鏡130を使用しなくても、光線が光学レイヤ140に入射されるとき臨界角330を入射角として有するようにする。
【0078】
光学レイヤ140は、第2スペクトル内で受信された光線の少なくとも一部を反射させ、第2スペクトルは、出力部110で用いる第1スペクトルを含む。
【0079】
光学レイヤ140が車両のウインドシールド150と内部ガラスレイヤとの間に位置する場合、車両内部の空気と内部ガラスレイヤの境界面では反射係数が0になって、光線が反射されることなく透過するが、光学レイヤ140の性質に応じて光線の少なくとも一部が反射される。光学レイヤ140が車両のウインドシールド150の外側に位置する場合も、車両内部の空気と内部ガラスレイヤの境界面では反射係数が0になって、光線が反射されることなく透過するが、光学レイヤ140では、光学レイヤ140の性質に応じて光線の少なくとも一部が反射される。光学レイヤ140が内部ガラスレイヤの内側に位置する場合、光線が内部ガラスレイヤに達する前に光学レイヤ140に先に到達し、光学レイヤ140の性質に応じて光線の少なくとも一部が反射される。
【0080】
図1において、視覚的情報を含むp極性の光線320が光学レイヤ140に入射されるとき、臨界角330以外の値を入射角として有すると仮定する場合も、光学レイヤ140で光線の少なくとも一部が反射され得る。ただし、p極性の光線320が光学レイヤ140に入射されるとき、臨界角330を入射角として有するよう調整しない場合、光学レイヤ140だけでなく、車両内部の空気と内部ガラスレイヤの境界面における反射係数が0にならない。この場合、情報を含むp極性の光線320が二重に分かれて視聴空間に反射されるため、車両の運転者が視聴しているHUD映像が曇るように見えたり、2つが重なって見える形態になり、その可視性が低下する。これは運転中の危険を招き、運転者の不便と引き起こすことから、p極性の光線320が光学レイヤ140に入射されるとき臨界角330を入射角として有するように調整される。
【0081】
図2において、外部から入射される光線は、車両のウインドシールド及び光学レイヤ250に入射されるとき様々な入射角を有し得る。第3光線213及び第4光線214は、第2スペクトルに含まれる波長を有しないため、光学レイヤ250の性質に応じて反射されないことがある。
図3を参照すると、第3光線213はs極性310を有し、ウインドシールドに入射されるとき屈折率の変化に応じて反射される。
【0082】
一実施形態によれば、p極性の光線を出力する出力部と、s極性の光線を吸収する偏光板を用いることで、外部から入射されるp極性の光線が運転者の視野を妨害することを防止する。例えば、
図2に示す第4光線214は、第2スペクトルに含まれる波長を有しないため、光学レイヤ250の性質に応じて反射されない。第4光線214が光学レイヤ250に入射されるときに臨界角を入射角として有し、第4光線214はp極性の光線320に該当するため、車両内部の空気と内部ガラスレイヤとの間の境界面における反射係数が0になる。したがって、車両内部を進んでガラスレイヤに達した光線は、屈折率の変化にもかかわらず反射されない。したがって、第4光線214の全ては、光学レイヤ250を透過して外部に進むため、視聴空間に反射されない。
【0083】
図4は、一実施形態に係る光学レイヤが反射させる光線の波長のスペクトルの例示図である。
図4を参照すると、光学レイヤは、第2スペクトル内で受信された光線の少なくとも一部を反射させ、第2スペクトルは出力部で用いられる第1スペクトルを含む。グラフ(a)410、グラフ(b)420、グラフ(c)430、グラフ(d)440、及びグラフ(e)450のそれぞれは、可能な第2スペクトルの範囲及び可能な反射度を示すグラフである。グラフ(a)410~グラフ(e)450において、Bは青色系統(blue)の波長を示し、Gは緑色系統(green)の波長を示し、Rは赤色系統(red)の波長を示す。
【0084】
第2スペクトルは青色系統の波長、緑色系統の波長、及び赤色系統の波長のうち少なくとも一部を含む。説明の便宜のためにグラフ(a)410には、第2スペクトルが青色系統の波長、緑色系統の波長、及び赤色系統の波長の全てを含むものとして示したが、第2スペクトルがそのうちの一部のみを含んでもよい。ただし、出力部で視覚的情報を含む光線を出力する点を勘案すると、視聴空間に反射される光線も可視性を有しなければならない。したがって、予め決定された第2スペクトルは、青色系統の波長、緑色系統の波長、及び赤色系統の波長のうち少なくとも一部は含み得る。
【0085】
第2スペクトルが青色系統の波長、緑色系統の波長、及び赤色系統の波長のうち少なくとも一部を含む場合、それぞれに対して第2スペクトルが含む波長の範囲は様々に決定される。例えば、グラフ(b)420において、青色系統の波長、緑色系統の波長、及び赤色系統の波長に対して第2スペクトルが含む波長の範囲は、グラフ(a)410において、青色系統の波長、緑色系統の波長、及び赤色系統の波長に対して第2スペクトルが含む波長の範囲よりも相対的に広い。
【0086】
第2スペクトルに対する反射率は、様々に決定されてもよい。第2スペクトルに対する反射率は、要求される可視性に基づいて決定される。例えば、グラフ(c)430において、第2スペクトルに対する光学レイヤの反射率は、グラフ(a)410で第2スペクトルに対する光学レイヤの反射率より相対的に小さい値を有する。
【0087】
第2スペクトルは、青色系統の波長、緑色系統の波長、及び赤色系統の波長のみならず他の波長も含んでもよい。一例として、グラフ(d)440において、第2スペクトルは、青色系統の波長、緑色系統の波長、及び赤色系統の波長だけでなく、赤外線系統の波長も含み得る。外部から入射される光線のうち、赤外線系統の波長を有する光線が車両内部に入射されると、赤外線の輻射によって車両内部の温度が上昇するため、第2スペクトルが赤外線系統の波長を含むことによって赤外線の輻射による車両内部の温度上昇を緩和又は防止する。他の例示として、グラフ(e)450において、第2スペクトルは全体波長を含んでもよい。ただし、第2スペクトルが全体の波長を含む場合、反射率が1に近づけば、外部から入射される光線が光学レイヤで実質的に全て反射され、運転者が外部環境に対する視野を確保できなくなるため、反射率は1未満の値(例えば、0.5)に決定される。
【0088】
図5は、一実施形態に係る光学レイヤの動作を説明するための図である。
図5を参照すると、出力部で出力された視覚的情報を含むp極性の光線510が臨界角を入射角として有しながら、内部ガラスレイヤ540に入射される場合、車両内部の空気と内部ガラスレイヤ540の間の境界面における反射係数が0になる。したがって、車両内部を進んでガラスレイヤに達した光線は、屈折率の変化にもかかわらず反射されない。
【0089】
内部ガラスレイヤ540内に透過した光線510が光学レイヤ530に入射される場合、光学レイヤ530の性質又は特性に応じて、第2スペクトルに含まれる波長を有する光線510の少なくとも一部が反射される。第2スペクトルに対して光学レイヤ530の反射率が100%である場合、第2スペクトルに含まれる波長を有する光線510の全てが反射されてもよい。第2スペクトルに対して光学レイヤ530の反射率が100%ではない場合、光線510の一部は、光学レイヤ530を通過して進む。光線510が内部ガラスレイヤ540に入射されるときの入射角は臨界角に該当し、屈折率が小さい車量内部の空気で屈折率が大きい内部ガラスレイヤに入射された場合、屈折角は入射角よりさらに小さくなる。光線510が車両内部の空気から内部ガラスレイヤ540に入射されるときの屈折角は、光線510が車両のウインドシールド520から車両の外部空気に入射されるときの入射角になるため、このときの入射角は臨界角を有し、境界面における反射係数は0になる。したがって、車両のウインドシールド520を進んで車両のウインドシールド520と車両の外部空気の境界面に達した光線は、屈折率の変化にもかかわらず反射されない。すなわち、第2スペクトルに対して光学レイヤ530の反射率が100%でなくても、光学レイヤ530でのみ反射が発生し得る。光学レイヤ530でのみ反射が発生すれば、光線510が二重に分かれて反射されないため、車両の運転者が視聴しているHUD映像が曇るように見えたり、重なって見えないようにする。
【0090】
光学レイヤ530の反射率が100%である場合、第2スペクトルに含まれる波長を有する光線のうち、p極性の光線510の全てが光学レイヤ530で反射されるため、車両のウインドシールド520の外側に存在する水、氷、泥などの様々な異質物550に影響を受けない。一方、光学レイヤ530の反射率が100%ではない場合、光線510の一部が車両のウインドシールド520と異質物550の境界面に達する。この場合、異質物によって光線の反射が生じる。異質物によって光線の反射が発生すれば、光線510が二重に分かれて反射されるため、車両の運転者が視聴しているHUD映像は曇るように見えたり、重なって見える形態になり、その可視性が低下する。ただし、光学レイヤ530の反射率をRとすれば、車両内部の空気から内部ガラスレイヤ540に入射される光線510の最大(1-R)だけが光学レイヤ530を透過し、異質物によって反射が生じた光線の最大(1-R)だけが再び光学レイヤ530を透過できるため、ガラスレイヤ540に入射される光線510の最大(1-R)2だけが異質物によって反射される。したがって、Rが1に近い値であるほど、異質物による二重反射は減少する。
【0091】
以上、説明の便宜のために光学レイヤ530が車両のウインドシールド520と内部ガラスレイヤ540との間に位置するよう実現された実施形態について説明したが、場合に応じて、光学レイヤが車両のウインドシールド520の外側に位置したり、内部ガラスレイヤ540の内側に位置してもよい。ただし、このような場合にも、第2スペクトルに含まれる波長を有する光線のうち、p極性の光線510が臨界角を入射角として有する場合、内部ガラスレイヤ540及び車両のウインドシールド520では反射が発生せず、光学レイヤ530でのみ反射が発生する。また、車両のウインドシールド520の外側に存在する異質物550による二重反射の場合にも、光線510が光学レイヤ530を2回透過するという点は同一である。したがって、上述した説明により、光学レイヤが車両のウインドシールド520の外側に位置したり、内部ガラスレイヤ540の内側に位置する実施形態についても同様に説明可能である。
【0092】
図6は、一実施形態に係る偏光メガネを着用したときのHUD映像の可視性を説明するための図である。HUDシステムの出力部がLCDディスプレイを基盤とする場合、偏光メガネ(例えば、偏光サングラスなど)の偏光方向とLCDディスプレイの偏光方向が直交し、ユーザはHUD映像を視聴できない問題がある。一実施形態によれば、p極性の映像を用いて視覚的情報を提供することで、偏光メガネを着用したユーザにも円満にHUD映像が提供され得る。
【0093】
図6を参照すると、出力部で出力された視覚的情報を含むp極性の光線610が臨界角を入射角として有しながら、内部ガラスレイヤ又は光学レイヤ620に入射される場合、車両内部の空気と内部ガラスレイヤとの間の境界面における反射係数が0になるため、光線610は内部ガラスレイヤで反射されない。出力部で出力された視覚的情報を含むp極性の光線610は、第1スペクトルに含まれる波長を有し、第1スペクトルは第2スペクトルに含まれてもよい。言い換えれば、光線610は第2スペクトルに含まれる波長を有する。内部ガラスレイヤを通過した光線610が光学レイヤ620に入射される場合、光学レイヤ620の性質に応じて、第2スペクトルに含まれる波長を有する光線610の少なくとも一部が反射される。
【0094】
運転者はp偏光メガネ630を着用して運転中の眩しさを防止することでその便宜を図り、運転中の危険を防止する。出力部で出力された視覚的情報を含む光線610はp極性の光線に該当するため、p偏光メガネ630の偏光レンズを通過し得る。したがって、運転者がp偏光メガネ630を着用した場合も、HUD映像の可視性が確保され得る。p偏光メガネ630は、例えば、偏光サングラスを含んでもよい。
【0095】
図7は、一実施形態に係る視覚的情報を含むp極性の光線の進みを説明するための動作フローチャートである。
図7を参照すると、出力部で視覚的情報を含むp極性の光線を出力する(S710)。ステップ710は、
図1に示す出力部110によって実行される。出力された光線は、p極性の光線を通過させてs極性の光線を吸収する偏光板を通過する(S720)。ステップS720は、
図1に示す偏光板120によって実行される。偏光板を通過した光線は、1つ以上の鏡で反射される(S725)。1つ以上の鏡は、光線が投射される方向及び車両の運転者が視聴しているHUD映像の大きさを適切に調整できるが、これは出力部の適切な設計に応じて達成できるため、このような目的を達成するために、1つ以上の鏡が必ず必須なものではない。ステップS725は、
図1に示す1つ以上の鏡130によって実行される。1つ以上の鏡で反射された光線(1つ以上の鏡で反射されない場合、偏光板を通過した光線)は、光学レイヤで少なくとも一部が視聴空間に反射される(S730)。ステップS730は、
図1に示す光学レイヤ140によって実行される。
【0096】
図8は、一実施形態に係る外部から入射された光線の進みを説明するための動作フローチャートである。
図8を参照すると、外部から入射された光線が光学レイヤで受信される(S801)。外部から入射された光線の波長が第2スペクトルに含まれる場合(S802)、光学レイヤの反射率が100%であるか否か(S803)に応じて、光線の進みが変わる。外部から入射された光線の波長が第2スペクトルに含まれる場合、
図2に示す第1光線211及び第2光線212に対応する。光学レイヤの反射率が100%である場合、光線は完全に外部に反射される(S804)。光学レイヤの反射率が100%ではない場合、光線の一部は外部に反射され、残りの一部は光学レイヤを透過する(S805)。
【0097】
外部から入射された光線の波長が第2スペクトルに含まれない場合(S802)、光線は光学レイヤを透過する(S806)。外部から入射された光線の波長が第2スペクトルに含まれない場合、
図2に示す第3光線213及び第4光線214に対応する。光学レイヤで透過(S805,S806)された光線は、1つ以上の鏡で反射される(S807)。1つ以上の鏡で反射された光線は、偏光板に投射される(S808)。s極性の光線である場合(S809)は偏光板で吸収される(S810)。s極性の光線は、
図2に示す第1光線211及び第3光線213に対応する。p極性の光線である場合(S809)は偏光板を通過し、出力部で反射される(S811)。p極性の光線は、
図2に示す第2光線212及び第4光線214に対応する。出力部で反射された光線は1つ以上の鏡で反射される(S812)。ただし、偏光板及び出力部が適切に設計された場合、1つ以上の鏡が必ず必要なものではないため、場合に応じて、ステップS807及びステップS812が省略されてもよい。
【0098】
1つ以上の鏡で反射された光線(1つ以上の鏡で反射されない場合、偏光板を通過した光線)は、光学レイヤに投射される(S813)。光学レイヤに投射された光線の波長が第2スペクトルに含まれる場合(S814)、光線の一部が視聴空間に反射される(S815)。光学レイヤに投射された光線の波長が第2スペクトルに含まれる場合、
図2に示す第2光線212に対応する。光線の波長が第2スペクトルに含まれる場合、ステップS802からステップS803に動作が進んいるため、ステップS815まで動作が進行されるためには、ステップS805からステップS807に動作が進むべきである。すなわち、ステップS805に動作が進むためには、光学レイヤの反射率が100%でないため、ステップS815で「少なくとも一部」ではない、「一部」が視聴空間に反射される。光学レイヤに投射された光線の波長が第2スペクトルに含まれない場合(S814)、光線は光学レイヤを透過する(S816)。光学レイヤに投射された光線の波長が第2スペクトルに含まれていない場合、
図2に示す第4光線214に対応する。
【0099】
以上述した実施形態は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、又はハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組み合せで具現される。例えば、本実施形態で説明した装置及び構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPA(field programmable array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサー、又は命令(instruction)を実行して応答する異なる装置のように、1つ以上の汎用コンピュータ又は特殊目的コンピュータを用いて具現される。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及びオペレーティングシステム上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行する。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータをアクセス、格納、操作、処理、及び生成する。理解の便宜のために、処理装置は1つが使用されるものとして説明する場合もあるが、当技術分野で通常の知識を有する者は、処理装置が複数の処理要素(processing element)及び/又は複数類型の処理要素を含むことが把握する。例えば、処理装置は、複数のプロセッサ又は1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含む。また、並列プロセッサ(parallel processor)のような、他の処理構成も可能である。
【0100】
ソフトウェアはコンピュータプログラム、コード、命令、又はそのうちの一つ以上の組合せを含み、希望の通りに動作するよう処理装置を構成したり、独立的又は結合的に処理装置を命令することができる。ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈されたり処理装置に命令又はデータを提供するために、いずれかの類型の機械、構成要素、物理的装置、仮想装置、コンピュータ格納媒体又は装置、又は送信される信号波に永久的又は一時的に具体化することができる。ソフトウェアはネットワークに連結されたコンピュータシステム上に分散され、分散した方法で格納されたり実行され得る。ソフトウェア及びデータは一つ以上のコンピュータで読出し可能な記録媒体に格納され得る。
【0101】
本実施形態による方法は、様々なコンピュータ手段を介して実施されるプログラム命令の形態で具現され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組み合せて含む。記録媒体及びプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計して構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM、DYIJDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気-光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。ハードウェア装置は、本発明に示す動作を実行するために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成してもよく、その逆も同様である。
【0102】
上述したように実施形態をたとえ限定された図面によって説明したが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、上記の説明に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順で実行されるし、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合又は組み合わせられてもよいし、他の構成要素又は均等物によって置き換え又は置換されたとしても適切な結果を達成することができる。
【0103】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されて定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。