(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】エポキシフリーのプラスチック光ファイバースプライスの設計及び製造プロセス
(51)【国際特許分類】
G02B 6/24 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
G02B6/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019135757
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2022-07-21
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コーシンツ, デニス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン, エリック ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】トルオン, テュオン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】グエン, キム クアン アン
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-113746(JP,A)
【文献】特開平07-209540(JP,A)
【文献】米国特許第05469522(US,A)
【文献】特開2007-065569(JP,A)
【文献】特開平10-039167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255
G02B 6/36 - 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝播する光波を案内するための装置であって、
第1のプラスチック光ファイバーと、
前記第1のプラスチック光ファイバーの第1の端面で終端す
る端部以外の前記第1のプラスチック光ファイバーを囲む第1のジャケットと、を含む第1のプラスチック光ファイバーケーブルと、
第2のプラスチック光ファイバーと、
前記第2のプラスチック光ファイバーの第2の端面で終端す
る端部以外の前記第2のプラスチック光ファイバーを囲む第2のジャケットと、を含む第2のプラスチック光ファイバーケーブルと、
前記第1及び第2
の端面を互いに光学的に接続するように構成されたプラスチック光ファイバースプライスアセンブリと
を備え、前記プラスチック光ファイバースプライスアセンブリが、
前記第1のプラスチック光ファイバーの前記端部を囲む第1の長手方向部分と、前記第1のジャケットの一部を囲む第2の長手方向部分とを有し、熱可塑性材料で作られている第1の端子と、
前記第2のプラスチック光ファイバーの前記端部を囲む第1の長手方向部分と、前記第2のジャケットの一部を囲む第2の長手方向部分とを有し、熱可塑性材料で作られている第2の端子と、
前記第1及び第2の端子の前記第1の長手方向部分、並びに前記第1及び第2の端子の前記第2の長手方向部
分の一部分を囲み、熱可塑性材料で作られているスプライス位置合わせスリーブと、
前記第1の端子の前記第2の長手方向部分の一部を囲み、その上に圧着された第1の長手方向部分と、前記スプライス位置合わせスリーブの一方の端部を囲み、その上に圧着された第2の長手方向部分を有し、金属材料で作られている第1の圧着リングと、
前記第2の端子の前記第2の長手方向部分の一部を囲み、その上に圧着された第1の長手方向部分と、前記スプライス位置合わせスリーブのもう一方の端部を囲み、その上に圧着された第2の長手方向部分を有し、金属材料で作られている第2の圧着リングと
を備える装置。
【請求項2】
前記第1の圧着リングに囲まれた前記第1の端子の前記第2の長手方向部分の一部とは異なる前記第1の端子の前記第2の長手方向部
分の別の一部と、前記第1のプラスチック光ファイバーケーブルの前記第1のジャケットの一
部との両方を囲む長手方向部分を有する第1のブーツと、
前記第2の圧着リングに囲まれた前記第2の端子の前記第2の長手方向部分の一部とは異なる前記第2の端子の前記第2の長手方向部
分の別の一部と、前記第2のプラスチック光ファイバーケーブルの前記第2のジャケットの一
部との両方を囲む長手方向部分を有する第2のブーツと
を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のブーツの前記長手方向部分を囲み、その上に圧着された、金属材料で作られている第3の圧着リングと、
前記第2のブーツの前記長手方向部分を囲み、その上に圧着された、金属材料で作られている第4の圧着リングと
を更に備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の端子が、それぞれの圧着状態の前記第1及び第3の圧着リングによって、前記第1のプラスチック光ファイバーケーブルの前記第1のジャケット上に押圧され、前記第2の端子が、それぞれの圧着状態の前記第2及び第4の圧着リングによって前記第2のプラスチック光ファイバーケーブルの前記第2のジャケット上に押圧される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記スプライス位置合わせスリーブが外径を有し、前記第1の端子の前記第2の長手方向部分が、前記スプライス位置合わせスリーブの内径よりも小さい外径を有し、前記第1の圧着リングの前記第2の長手方向部分が、前記スプライス位置合わせスリーブの前記外径以上の内径を有し、前記第1の圧着リングの前記第1の長手方向部分が、前記第1の端子の前記第2の長手方向部分の前記外径以上の内径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の端子の前記第
2の長手方向部分が、間に環状溝を形成する、径方向外側に突出する第1及び第2の環状突起を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
第1及び第2のプラスチック光ファイバーをまとめてスプライシングするための方法であって、
(a)第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のジャケットの一部を、前記第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のプラスチック光ファイバーの端部から剥がすことと、
(b)第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のジャケットの一部を、前記第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のプラスチック光ファイバーの端部から剥がすことと、
(c)熱可塑性材料で作られた第1の端子を、前記第1のプラスチック光ファイバーケーブル上へ、前記第1の端子の第1の長手方向部分が前記第1のプラスチック光ファイバーの前記端部を囲み且つ前記第1の端子の第2の長手方向部分が前記第1のジャケットの一部を囲む位置まで、スライドさせることと、
(d)熱可塑性材料で作られた第2の端子を、前記第2のプラスチック光ファイバーケーブル上へ、前記第2の端子の第1の長手方向部分が前記第2のプラスチック光ファイバーの前記端部を囲み且つ前記第2の端子の第2の長手方向部分が前記第2のジャケットの一部を囲む位置まで、スライドさせることと、
(e)金属材料で作られた第1の圧着リングを、前記第1の端子上へ
スライドさせることであって、前記第1の圧着リングの第1の長手方向部分が
、前記第1の端子の前記第2の長手方向部分の第1の部分を囲む位置まで、
前記第1のプラスチック光ファイバーの前記端部に近づく方向に前記第1の圧着リングをスライドさせることと、
(f)金属材料で作られた第2の圧着リングを、前記第2の端子上へ
スライドさせることであって、前記第2の圧着リングの第1の長手方向部分が
、前記第2の端子の前記第2の長手方向部分の第1の部分を囲む位置まで、
前記第2のプラスチック光ファイバーの前記端部に近づく方向に前記第2の圧着リングをスライドさせることと、
(g)前記第1の圧着リングの前記第1の長手方向部分を前記第1の端子の前記第2の長手方向部分に圧着することと、
(h)前記第2の圧着リングの前記第1の長手方向部分を前記第2の端子の前記第2の長手方向部分に圧着することと、
(i)ステップ(g)の後に、前記第1の圧着リングの第2の長手方向部分がスプライス位置合わせスリーブの一方の端部を囲むまで、前記第1の端子の前記第1の長手方向部分を前記スプライス位置合わせスリーブの一端の開口部に挿入することと、
(j)ステップ(h)の後に、前記第2の圧着リングの第2の長手方向部分が前記スプライス位置合わせスリーブのもう一方の端部を囲むまで、前記第2の端子の前記第1の長手方向部分を前記スプライス位置合わせスリーブのもう一方の端の開口部に挿入することと、
(k)ステップ(i)の後に、前記第1の圧着リングの前記第2の長手方向部分を前記スプライス位置合わせスリーブの前記一方の端部に圧着することと、
(l)ステップ(j)の後に、前記第2の圧着リングの前記第2の長手方向部分を前記スプライス位置合わせスリーブの前記
もう一方の端部に圧着することと
を含む方法。
【請求項8】
第1のゴムブーツを、前記第1の端子上へ
スライドさせることであって、前記第1のゴムブーツの長手方向部分が
、前記第1の端子の前記第2の長手方向部分の第2の部分を囲む位置まで、
前記第1のプラスチック光ファイバーの前記端部に近づく方向に前記第1のゴムブーツをスライドさせることと、
金属材料で作られた第3の圧着リングを、前記第1のゴムブーツ上へ
スライドさせることであって、前記第3の圧着リングが
、前記第1の端子の前記第2の長手方向部分の前記第2の部分を囲む前記第1のゴムブーツの前記長手方向部分の一部を囲む位置まで、
前記第1のプラスチック光ファイバーの前記端部に近づく方向に前記第3の圧着リングをスライドさせることと、
前記第3の圧着リングを前記第1のゴムブーツに圧着することと
を更に含み、
前記第1の端子の前記第2の長手方向部分の前記第1及び第2の部分が、それぞれの圧着状態の前記第1及び第3の圧着リングによって、前記第1のプラスチック光ファイバーケーブルの前記第1のジャケットに押圧される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第2のゴムブーツを、前記第2の端子上へ
スライドさせることであって、前記第2のゴムブーツの長手方向部分が
、前記第2の端子の前記第2の長手方向部分の第2の部分を囲む位置まで、
前記第2のプラスチック光ファイバーの前記端部に近づく方向に前記第2のゴムブーツをスライドさせることと、
金属材料で作られた第4の圧着リングを、前記第2のゴムブーツ上へ
スライドさせることであって、前記第4の圧着リングが
、前記第2の端子の前記第2の長手方向部分の前記第2の部分を囲む前記第2のゴムブーツの前記長手方向部分の一部を囲む位置まで、
前記第2のプラスチック光ファイバーの前記端部に近づく方向に前記第4の圧着リングをスライドさせることと、
前記第4の圧着リングを前記第2のゴムブーツに圧着することと
を更に含み、
前記第2の端子の前記第2の長手方向部分の前記第1及び第2の部分が、それぞれの圧着状態の前記第2と第4の圧着リングによって、前記第2のプラスチック光ファイバーケーブルの前記第2のジャケットに押圧される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)から(l
)の前に実行される以下のステップ、
プラスチック光ファイバーケーブルの損傷部分の両側の第1及び第2の位置で前記プラスチック光ファイバーケーブルを切断することによって、前記プラスチック光ファイバーケーブルの第1と第2の損傷していない部分を、前記プラスチック光ファイバーケーブルの前記損傷部分から切り離
し、前記第1及び第2のプラスチック光ファイバーケーブルを形成すること
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、一般に、2つの光ファイバーをまとめてスプライシングする方法に関し、より詳細には、2つのプラスチック光ファイバーをスプライシングすることに関する。本明細書で使用される「スプライシング(splicing)」という用語は、2つの光ファイバーの端面を光学的に接続し、一方のファイバーにより放射された光が他方のファイバーにより受け取られることを意味する。
【0002】
光ファイバーは、その軸に沿って光を伝送する円筒形の誘電体導波管である。ファイバーは、透明なクラッド層(以下「クラッド」)により囲まれた透明なコアで構成されており、どちらも誘電材料でつくられる。全内部反射の現象により、光はコア内に保持される。光信号をコアに閉じ込めるために、コアの屈折率はクラッドの屈折率よりも大きくなる。コアとクラッドとの境界は、ステップインデックスファイバーでのように険しい場合もあれば、グレーデッドインデックスファイバーのように緩やかな場合もある。
【0003】
光ファイバー通信の重要な態様は、光損失が最小限になるように2つの光ファイバーケーブルを接続することである。一時的又は半永久的な接続は、専用の光ファイバーコネクタを使用して行われる。多くの場合、光ファイバーを別の光ファイバーと位置合わせする必要がある。これには、ファイバーを慎重に位置合わせしデバイスに接触して配置すること、又はレンズを使用して光学的結合を可能にすることが含まれる。場合によっては、ファイバーの端が、レンズとして機能する湾曲した形状に研磨される。
【0004】
プラスチック光ファイバー(POF)は、ポリマー材料で作られた光ファイバーである。ガラス光ファイバーと同様に、POFはファイバーのコアを介して光(照明又はデータ用)を伝送する。他の態様が同じであるガラス製品に対する主な利点は、曲げ及び伸張下での堅牢性である。通常、コアはポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)又はポリスチレンで作られ、クラッドはフッ素化ポリマーで作られる。
【0005】
飛行機のデータバスネットワークでは、重量があり、かさばる銅導体の代わりに、プラスチック光ファイバーを使用することができる。ただし、複雑な飛行機の配線プロセス中にプラスチック光ファイバーが破損することは珍しくない。スプライスは、飛行機の配線プロセスで破損したプラスチック光ファイバーの迅速な修理を提供する。
【0006】
現在、堅牢なアビオニクス環境向けに設計された市販のアビオニクスグレードのPOFスプライスは存在しない。市販のPOFスプライス技術では、2つのPOF端面を結合するためにエポキシを使用する。バルクエポキシは高温で軟化するため、2つの端面をエポキシで接合することはあまり耐久性がなく、よって、スプライス内のPOFの光学損失が増加する。スプライスの引張強度は、既存の市販のPOFスプライシング技術を使用して高温で低下することになる。市販のPOFスプライスは、高振動環境に起因する端面損傷の問題に対処していない。更に、エポキシの使用には、硬化に紫外線又は熱が必要である。これは、民間航空機での配線設置中に使用する推奨プロセスではない。
【0007】
ファイバー端面での高温アーク放電を使用した、確立されたガラス光ファイバー融着スプライシング技術は、材料とファイバーの直径が異なるため、POFには適用できない。POFは、POF端面にアーク熱が加えられるとすぐに溶けることになる。
【発明の概要】
【0008】
以下に詳細に開示する技術は、民間航空機の環境要件を満たすエポキシフリーの(エポキシを含まない(epoxy-free))、高耐久性、低コストのPOFスプライス設計及び製造プロセスを採用することにより、プラスチック光ファイバーのスプライシング問題を解決する。より具体的には、以下に開示するPOFスプライスの設計は、高い振動(10Gなど)、高い引張力(16lbsを超える)、及び極端な温度サイクリング(-40~+100℃)に耐えることがすることができる。提案されるスプライス設計は、(1)2つのプラスチック光ファイバーの端面をまとめて接合するために、エポキシを使用する必要がなく、(2)まとめて接合されたプラスチック光ファイバーに耐久性の高い引張力を提供するために、二重圧着リングを組み込み、(3)スプライス位置合わせスリーブ内の小型の止め具(miniature stop)を使用して、POF端面の任意の振動問題を解決し、(4)精密成形又は3次元印刷プロセスを使用して大量生産することができるスプライス位置合わせスリーブを組み込む。
【0009】
エポキシを使用していないため、本明細書に開示されるスプライス製造プロセスは、迅速かつ容易である。プラスチック光ファイバーは、スプライス位置合わせスリーブの両端で金属圧着リングを圧着することにより、スプライス位置合わせスリーブ内で光学的に接続される。本明細書で開示されるPOFスプライスは、POFスプライスの挿入損失を低減する最大光学的接続位置でPOF端面を保持するための二重圧着リングを有する。圧着リングの機械的な力は、POFスプライスが受ける極端な温度と振動の条件下で、この最適な位置にプラスチック光ファイバーを保持する。また、本明細書で開示されるPOFスプライスは、高振動環境によるPOF端面の損傷(例えば、欠け傷やかすり傷)を排除するために、2つのPOF端面界面に小型の止め具を組み込んでいる。
【0010】
プラスチック光ファイバーをスプライシングするための装置及び方法の様々な実施形態を以下でいくらか詳細に説明するが、これらの実施形態の1つ又は複数は、以下の態様の1つ又は複数によって特徴付けられうる。
【0011】
下記で詳細に開示される主題の1つの態様は、伝播する光波を案内するための装置であって、第1のプラスチック光ファイバーと、第1の端面で終端する第1のプラスチック光ファイバーの端部以外の第1のプラスチック光ファイバーを囲む第1のジャケットとを含む第1のプラスチック光ファイバーケーブルと、第2のプラスチック光ファイバーと、第2の端面で終端する第2のプラスチック光ファイバーの端部以外の第2のプラスチック光ファイバーを囲む第2のジャケットとを含む第2のプラスチック光ファイバーケーブルと、第1及び第2端面を互いに光学的に接続するように構成されたプラスチック光ファイバースプライスアセンブリとを備え、プラスチック光ファイバースプライスアセンブリが、第1のプラスチック光ファイバーの端部を囲む第1の長手方向部分と、第1のジャケットの一部を囲む第2の長手方向部分とを有し、熱可塑性材料で作られている第1の端子と、第2のプラスチック光ファイバーの端部を囲む第1の長手方向部分と、第2のジャケットの一部を囲む第2の長手方向部分とを有し、熱可塑性材料で作られている第2の端子と、第1及び第2の端子の第1の長手方向部分、並びに第1及び第2の端子の第2の長手方向部分の複数の部分を囲み、熱可塑性材料で作られているスプライス位置合わせスリーブと、第1の端子の第2の長手方向部分の一部を囲み、その上に圧着された第1の長手方向部分と、スプライス位置合わせスリーブの一方の端部を囲み、その上に圧着された第2の長手方向部分を有し、金属材料で作られている第1の圧着リングと、第2の端子の第2の長手方向部分の一部を囲み、その上に圧着された第1の長手方向部分と、スプライス位置合わせスリーブのもう一方の端部を囲み、その上に圧着された第2の長手方向部分を有し、金属材料で作られている第2の圧着リングとを含む装置である。好ましくは、第1及び第2の端面は互いに接触しない。端面の接触を防止するために、スプライス位置合わせスリーブは、第1の端面と第2の端面との間の間隙を維持する開口止め具を含みうる。スプライス位置合わせスリーブの内部空間は、エポキシフリーである。
【0012】
前段落に記載した装置の1つの実施形態によれば、装置は、第1の端子の第2の長手方向部分の別の部分と、第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のジャケットの一部分との両方を囲む長手方向部分を有する第1のブーツと、第2の端子の第2の長手方向部分の別の部分と、第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のジャケットの一部分との両方を囲む長手方向部分を有する第2のブーツと、第1のブーツの長手方向部分を囲み、その上に圧着された、金属材料で作られている第3の圧着リングと、第2のブーツの長手方向部分を囲み、その上に圧着された、金属材料で作られている第4の圧着リングとを更に含む。第1の端子は、それぞれの圧着状態の第1及び第3の圧着リングによって、第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のジャケット上に押圧され、第2の端子は、それぞれの圧着状態の第2及び第4の圧着リングによって第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のジャケット上に押圧される。
【0013】
下記で詳細に開示される主題の別の態様は、第1及び第2のプラスチック光ファイバーをまとめてスプライシングするための方法であって、(a)第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のジャケットの一部を、第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のプラスチック光ファイバーの端部から剥がすことと、(b)第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のジャケットの一部を、第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のプラスチック光ファイバーの端部から剥がすことと、(c)熱可塑性材料で作られた第1の端子を、第1のプラスチック光ファイバーケーブルへ、第1の端子の第1の長手方向部分が第1のプラスチック光ファイバーの端部を囲み、且つ第1の端子の第2の長手方向部分が第1のジャケットの一部を囲む位置まで、スライドさせることと、(d)熱可塑性材料で作られた第2の端子を、第2のプラスチック光ファイバーケーブルへ、第2の端子の第1の長手方向部分が第2のプラスチック光ファイバーの端部を囲み、且つ第2の端子の第2の長手方向部分が第2のジャケットの一部を囲む位置まで、スライドさせることと、(e)金属材料で作られた第1の圧着リングを、第1の端子へ、第1の圧着リングの第1の長手方向部分が第1の端子の前記第2の長手方向部分の第1の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、(f)金属材料で作られた第2の圧着リングを、第2の端子へ、第2の圧着リングの第1の長手方向部分が第2の端子の第2の長手方向部分の第1の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、(g)第1の圧着リングの第1の長手方向部分を第1の端子の第2の長手方向部分に圧着することと、(h)第2の圧着リングの第1の長手方向部分を第2の端子の第2の長手方向部分に圧着することと、(i)ステップ(g)の後に、第1の圧着リングの第2の長手方向部分がスプライス位置合わせスリーブの一方の端部を囲むまで、第1の端子の第1の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの一端の開口部に挿入することと、(j)ステップ(h)の後に、第2の圧着リングの第2の長手方向部分がスプライス位置合わせスリーブのもう一方の端部を囲むまで、第2の端子の第1の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブのもう一方の端の開口部に挿入することと、(k)ステップ(i)の後に、第1の圧着リングの第2の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの一方の端部に圧着することと、(l)ステップ(j)の後に、第2の圧着リングの第2の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの他方の端部に圧着することとを含む方法である。ステップ(k)及び(l)が完了すると、POFの第1及び第2の端面は、スプライス位置合わせスリーブの内部で互いに接触せず、スプライス位置合わせスリーブの内側空間はエポキシフリーである。
【0014】
前段落に記載したスプライシング方法の1つの実施形態によれば、方法は、第1のゴムブーツを、第1の端子へ、第1のゴムブーツの長手方向部分が第1の端子の第2の長手方向部分の第2の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、金属材料で作られた第3の圧着リングを、第1のゴムブーツへ、第3の圧着リングが第1の端子の第2の長手方向部分の第2の部分を囲む第1のゴムブーツの長手方向部分の一部を囲む位置まで、スライドさせることと、第3の圧着リングを第1のゴムブーツに圧着することとを更に含み、第1の端子の第2の長手方向部分の第1及び第2の部分が、それぞれの圧着状態の第1及び第3の圧着リングによって、第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のジャケットに押圧される。同一の方法は、第2のゴムブーツを、第2の端子へ、第2のゴムブーツの長手方向部分が第2の端子の第2の長手方向部分の第2の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、金属材料で作られた第4の圧着リングを、第2のゴムブーツへ、第4の圧着リングが第2の端子の第2の長手方向部分の第2の部分を囲む第2のゴムブーツの長手方向部分の一部を囲む位置まで、スライドさせることと、第4の圧着リングを第2のゴムブーツに圧着することとを更に含んでもよく、第2の端子の第2の長手方向部分の第1及び第2の部分が、それぞれの圧着状態の第2と第4の圧着リングによって、第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のジャケットに押圧される。
【0015】
下記で詳細に開示される主題の更なる態様は、伝播する光波を案内するための装置であって、プラスチック光ファイバーと、端面で終端するプラスチック光ファイバーの端部以外のプラスチック光ファイバーを囲むジャケットとを含むプラスチック光ファイバーケーブルと、プラスチック光ファイバーの端部を囲む第1の長手方向部分と、ジャケットの一部を囲む第2の長手方向部分とを有し、熱可塑性材料で作られている端子と、端子の第2の長手方向部分の一部を囲み、その上に圧着された長手方向部分を有し、金属材料で作られている第1の圧着リングとを備える装置である。
【0016】
前段落に記載した装置の1つの実施形態によれば、装置は、端子の第2の長手方向部分の別の部分と、プラスチック光ファイバーケーブルのジャケットの一部分との両方を囲む長手方向部分を有するブーツと、ブーツの第1の長手方向部分を囲み、その上に圧着された、金属材料で作られている第2の圧着リングとを更に含み、端子の第2の長手方向部分の第1及び第2の部分が、それぞれの圧着状態の第1及び第2の圧着リングによって、プラスチック光ファイバーケーブルのジャケットに押圧される。
【0017】
下記で詳細に開示される主題の更なる別の態様は、飛行機に搭載された破損したプラスチック光ファイバーケーブルを修理する方法であって、(a)第1及び第2のプラスチック光ファイバーケーブルを形成するために、プラスチック光ファイバーケーブルの損傷部分の両側の第1及び第2の位置でプラスチック光ファイバーケーブルを切断することによって、損傷したプラスチック光ファイバーケーブルの第1と第2の損傷していない部分を、損傷したプラスチック光ファイバーケーブルの損傷部分から切り離すことと、(b)第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のジャケットの一部を、第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のプラスチック光ファイバーの端部から剥がすことと、(c)第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のジャケットの一部を、第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のプラスチック光ファイバーの端部から剥がすことと、(d)熱可塑性材料で作られた第1の端子を、第1のプラスチック光ファイバーケーブルへ、第1の端子の第1の長手方向部分が第1のプラスチック光ファイバーの端部を囲み、且つ第1の端子の第2の長手方向部分が第1のジャケットの一部を囲む位置まで、スライドさせることと、(e)熱可塑性材料で作られた第2の端子を、第2のプラスチック光ファイバーケーブルへ、第2の端子の第1の長手方向部分が第2のプラスチック光ファイバーの端部を囲み、且つ第2の端子の第2の長手方向部分が第2のジャケットの一部を囲む位置まで、スライドさせることと、(f)金属材料で作られた第1の圧着リングを、第1の端子へ、第1の圧着リングの第1の長手方向部分が第1の端子の前記第2の長手方向部分の第1の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、(g)金属材料で作られた第2の圧着リングを、第2の端子へ、第2の圧着リングの第1の長手方向部分が第2の端子の第2の長手方向部分の第1の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、(h)第1の圧着リングの第1の長手方向部分を第1の端子の第2の長手方向部分に圧着することと、(i)第2の圧着リングの第1の長手方向部分を第2の端子の第2の長手方向部分に圧着することと、(j)第1のプラスチック光ファイバーの端面を研磨することと、(k)第2のプラスチック光ファイバーの端面を研磨することと、(l)ステップ(j)の後に、第1の圧着リングの第2の長手方向部分がスプライス位置合わせスリーブの一方の端部を囲むまで、第1の端子の第1の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの一端の開口部に挿入することと、(m)ステップ(k)の後に、第2の圧着リングの第2の長手方向部分がスプライス位置合わせスリーブのもう一方の端部を囲むまで、第2の端子の第1の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブのもう一方の端の開口部に挿入することと、(n)ステップ(l)の後に、第1の圧着リングの第2の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの一方の端部に圧着することと、(o)ステップ(m)の後に、第2の圧着リングの第2の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの他方の端部に圧着することと
を含む方法。
【0018】
プラスチック光ファイバーをスプライシングするための装置及び方法の他の態様が、以下に開示される。
【0019】
前の部分で説明した特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態で独立して達成することができ、又は更に他の実施形態で組み合わせることができる。上記及び他の態様を例示する目的で、図面を参照して様々な実施形態が以下で説明される。この部分で簡単に説明される図は、縮尺どおりに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】1つの実施形態による完全に組み立てられたエポキシフリーのPOFスプライスアセンブリの側面図を表す図である。
【
図2】
図1に示されるエポキシフリーのPOFスプライスアセンブリの構成要素の部分分解図を表す図である。
【
図3】1つの実施形態による端子の断面図を表す図である。
【
図4】1つの実施形態によるスプライス位置合わせスリーブの断面図を表す図である。
【
図4A】
図4に示されたスプライス位置合わせスリーブの半分が切り取られて、スプライス位置合わせスリーブ内の一対の端子のそれぞれの部分を示す断面図を表す図である。
【
図5】別の実施形態によるスプライス位置合わせスリーブの断面図を表す図である。
【
図5A】
図5に示されたスプライス位置合わせスリーブの半分を切り取って、スプライス位置合わせスリーブ内の一対の端子のそれぞれの部分を示す断面図を表す図である。
【
図6】1つの実施形態による、スプライス位置合わせスリーブと1つの端子との両方に圧着された圧着リングの断面図を表す図である。
【
図6A】
図5に示すスプライス位置合わせスリーブの半分と
図6に示す圧着リングの半分を切り取って、スプライス位置合わせスリーブ内の一対の端子のそれぞれの部分を表す断面図を示す図である。
【
図7】1つの実施形態によるゴムブーツの断面図を表す図である。
【
図8】
図1に描かれたPOFスプライスアセンブリの断面図を表す図である。
【
図9A】1つの実施形態による、スプライシングプロセスの様々な段階でのPOFスプライスアセンブリの構成要素の側面図を表す図である。
【
図9B】1つの実施形態による、スプライシングプロセスの様々な段階でのPOFスプライスアセンブリの構成要素の側面図を表す図である。
【
図9C】1つの実施形態による、スプライシングプロセスの様々な段階でのPOFスプライスアセンブリの構成要素の側面図を表す図である。
【
図9D】1つの実施形態による、スプライシングプロセスの様々な段階でのPOFスプライスアセンブリの構成要素の側面図を表す図である。
【
図9E】1つの実施形態による、スプライシングプロセスの様々な段階でのPOFスプライスアセンブリの構成要素の側面図を表す図である。
【
図9F】1つの実施形態による、スプライシングプロセスの様々な段階でのPOFスプライスアセンブリの構成要素の側面図を表す図である。
【
図9G】1つの実施形態による、スプライシングプロセスの様々な段階でのPOFスプライスアセンブリの構成要素の側面図を表す図である。
【
図9H】1つの実施形態による、スプライシングプロセスの様々な段階でのPOFスプライスアセンブリの構成要素の側面図を表す図である。
【
図10】1つの実施形態による、2つのプラスチック光ファイバーをまとめてスプライシングする方法のステップを識別するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照するが、異なる図面の類似の要素には同じ参照番号が付されている。
【0022】
光ファイバーデバイスの例示的な実施形態が、以下でいくらか詳細に説明される。ただし、しかしながら、本明細書中には、実際の実施態様のすべての特徴が記載されているわけではない。いかなるこうした実際の実施形態の開発においても、実装によって異なるシステム関連の制約及び事業関連の制約の順守といった、開発者の特定の目的を達成するためには、多数の実施態様ごとに固有の判断を行う必要があることが、当業者に理解されるであろう。更に、こうした開発に伴う努力は、込み入った時間のかかるものであるかもしれないが、本開示から恩恵を受ける当業者にとって、取り組むべき所定の事柄であることが理解されるだろう。
【0023】
図1は、1つの実施形態による完全に組み立てられたエポキシフリーのプラスチック光ファイバースプライスアセンブリ10(以下、「POFスプライスアセンブリ10」)の側面図を表す図である。POFスプライスアセンブリ10は、1つのプラスチック光ファイバーケーブル2a(以下「POFケーブル2a」)の一端を別のプラスチック光ファイバーケーブル2b(以下「POFケーブル2b」)の一端に光学的に接続するために使用されうる。
【0024】
図2は、
図1に示されるPOFスプライスアセンブリ10の構成要素の部分分解図を表す図である。POFケーブル2aは、端面5aを有するプラスチック光ファイバー4aと、電気絶縁性かつ難燃性の熱可塑性材料で作られたジャケット6aとからなる。プラスチック光ファイバー4aは、ジャケット4aが剥がされた端部(
図2に見られる)を除いて、ジャケット6aに囲まれる。同様に、POFケーブル2bは、端面5bを有するプラスチック光ファイバー4bと、電気絶縁性かつ難燃性の熱可塑性材料で作られたジャケット6bとからなる。プラスチック光ファイバー4bは、ジャケット6bが剥がされた端部(
図2に見られる)を除いて、ジャケット6bに囲まれる。
【0025】
図2に最もよく見られるように、POFスプライスアセンブリ10は、以下の構成要素、即ち、熱可塑性材料で作られたスプライス位置合わせスリーブ12と、熱可塑性材料で作られた一対の端子14a及び14bと、金属材料で作られた一対の圧着リング16a及び16bと、一対のゴムブーツ18a及び18bと、金属材料で作られた一対の圧着リング20a及び20bとを含む。組み立て中、圧着リング20a、ゴムブーツ18a及び圧着リング16aは、順にPOFケーブル2aにスライドされる。また、圧着リング20b、ゴムブーツ18b及び圧着リング16bは、POFケーブル2b上に順にスライドされる。これは、
図2に示すアセンブリの状態である。以下により詳細に説明されるように、圧着リング16aがPOFケーブル2aにスライドされた後、端子14aがPOFケーブル2aにスライドされ、次いで圧着リング16aが端子14aにスライドされる。同様に、圧着リング16bがPOFケーブル2bにスライドされた後、端子14bがPOFケーブル2bにスライドされ、次いで圧着リング16bが端子14bにスライドされる。様々な動作(以下で詳細に説明される)に続いて、端子14a及び14bは、スプライス位置合わせスリーブ12の反対の端に挿入され、次いで、圧着によってスプライス位置合わせスリーブ12にしっかりと取り付けられる。最終的なアセンブリが
図1に示される。
【0026】
図1に示される最終アセンブリは、伝播する光波を案内するための装置22を形成する。装置22は、POFケーブル2bにスプライスされた(spliced)POFケーブル2aを含む。スプライスは、POFケーブル2aと2bとを互いに光学的に接続し、光波が一方のケーブルから他方のケーブルにいずれかの方向に伝播できるようにする。装置22は、プラスチック光ファイバー4a及び4bの端面5a及び5b(
図2を参照)を互いに光学的に接続するように構成されたPOFスプライスアセンブリ10を更に含む。
【0027】
図1に示されるPOFスプライスアセンブリ10は、プラスチック光ファイバー4aの端部を囲む第1の長手方向部分とジャケット6aの一部を囲む第2の長手方向部分を有する端子14a、及びプラスチック光ファイバー4bの端部を囲む第1の長手方向部分とジャケット6bの一部を囲む第2の長手方向部分とを有する端子14bを含む。端子14a及び14bは両方とも、熱可塑性材料で作られる。
【0028】
図3は、1つの実施形態による端子14の断面図を表す図である。
図2に示される各端子14a及び14bは、
図3に示される端子14の形状と同じ形状を有しうる。
図3に見られるように、各端子14は、第1の外径を有する第1の長手方向部分24と、第1の外径よりも大きい第2の外径を有する第2の長手方向部分26とを有する。更に、第1の長手方向部分24は、第1の内径を有する第1の円筒形チャネル28を有し、第2の長手方向部分26は、第1の内径より大きい第2の内径を有する第2の円筒形チャネル30を有する。各端子14の第2の長手方向部分26は、熱可塑性端子14の熱可塑性スプライス位置合わせスリーブ12への挿入を容易にする環状溝17を形成する、径方向外側に突出する第1及び第2の環状突起15を有する。
【0029】
第1及び第2の円筒形チャネル28及び30は、POFケーブルの剥がされた端部を受けるように軸方向に位置合わせされて構成される。より具体的には、端子14の第1の長手方向部分24内の第1の円筒形チャネル28の第1の内径は、POFケーブルの被覆されないプラスチック光ファイバーを受けるようにサイズ決定される(例えば、第1の内径は、プラスチック光ファイバーの外径よりわずかに大きい);端子14の第2の長手方向部分26内の第2の円筒形チャネル30の第2の内径は、POFケーブルを受けるようにサイズ決定される(例えば、第2の内径は、POFケーブルの外径よりわずかに大きい)。
【0030】
再び
図1に注目すると、POFスプライスアセンブリ10は、熱可塑性材料で作られたスプライス位置合わせスリーブ12を更に含む。例えば、1つの提案された実施態様によれば、スプライス位置合わせスリーブ12は、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性材料で作られる。好ましくは、スプライス位置合わせスリーブ12を製造するために使用される熱可塑性材料は、端子14a及び14bを製造するために使用される材料の熱膨張係数と一致する熱膨張係数を有する。端子14a及び14bがスプライス位置合わせスリーブ12の両端に完全に挿入されると、プラスチック光ファイバー4a及び4bの端面5a及び5bが互いに向き合い、それによりプラスチック光ファイバー4a及び4bを互いに光学的に接続する。好ましくは、第1及び第2の端面5a及び5b(
図2を参照)は、互いに接触しない。
【0031】
図4は、1つの実施形態によるスプライス位置合わせスリーブ12の断面図を表す図である。
図4に見られるように、スプライス位置合わせスリーブ12は、第1の端部34、第2の端部36、及び端部34を端部36に結合する中央部分38を含む。スプライス位置合わせスリーブ12の第1及び第2の端部34及び36並びに中央部分38は、すべて同じ外径を有しうる。第1の端部34は第1の円筒形チャネル40を有し、一方、第2の端部36は第2の円筒形チャネル42を有する。第1及び第2の円筒形チャネル40及び42の両方は、同じ内径(以下、端子14の第1及び第2の内径と区別するために「第3の内径」)を有する。中央部分38は、第1及び第2の円筒形チャネル40と42との間に配置され、第3の内径よりも小さい第4の内径を有する第3の円筒形チャネル44を有する。第1、第2及び第3の円筒形チャネル40、42及び44は、軸方向に互いに正確に位置合わせされて、スプライス位置合わせスリーブ12の一端からスプライス位置合わせスリーブ12の他端まで延びる単一の貫通チャネルを形成する。
【0032】
端面接触を防ぐために、
図4に示すスプライス位置合わせスリーブ12は、プラスチック光ファイバー4aと4bの対向する端面5aと5bとの間に間隙を維持するように構成された第3の円筒形チャネル44に配置された開口止め具(aperture stop)32を有する。例えば、開口止め具32は、光学的に接続されているプラスチック光ファイバーの外径よりも小さい直径を有する開口部を有する径方向内向きの環状フランジの形態であってもよい。この収縮部は、端面5a及び5b(
図2を参照)が互いに接触するのを阻止する。
【0033】
図4Aは、スプライス位置合わせスリーブ12の半分が切り取られて、スプライス位置合わせスリーブ12の内側の一対の端子14a及び14bのそれぞれの部分を示す断面図を表す図である。スプライス位置合わせスリーブ12は、端子14a及び14bの第1の長手方向部分24を全体的に囲み、端子14a及び14bの第2の長手方向部分26のそれぞれの部分を囲む。
図4Aに見られるように、スプライス位置合わせスリーブ12の中央部分38内の第3の円筒形チャネル44が、端子14a及び14bの第1の長手方向部分24を受けるように構成される一方、端部34及び36の内側の第1及び第2の円筒形チャネル40及び42は、端子14a及び14bのそれぞれの第2の長手方向部分26を受けるように構成される。
【0034】
より具体的には、スプライス位置合わせスリーブ12の内側の第1及び第2の円筒形チャネル40及び42の第3の内径は、端子14a及び14bの第2の長手方向部分26を受けるようにサイズ決定され(例えば、第3の内径は、第2の長手方向部分26の外径よりわずかに大きい)、スプライス位置合わせスリーブ12内部の第3の円筒形チャネル44の第4の内径は、端子14a及び14bの第1の長手方向部分24を受けるようにサイズ決定される(例えば、第4内径は、第1長手方向部分24の外径よりわずかに大きい)。
【0035】
図5は、開口止め具が省略された別の実施形態によるスプライス位置合わせスリーブ12’の断面図を表す図である。
図5Aは、
図5に示すスプライス位置合わせスリーブ12’の半分を切り取って、スプライス位置合わせスリーブ12内部の一対の端子14a及び14bのそれぞれの部分を示す断面図を表す図である。スプライス位置合わせスリーブ12’は開口止め具を有していないが、プラスチック光ファイバー4a及び4bの端面5a及び5b(
図2を参照)が接触するのを防止するために他の手段が使用されてもよい。例えば、端面5a及び5b(
図2を参照)が、スプライス位置合わせスリーブ12’のいくらかの許容可能な軸方向の押圧にもかかわらず、飛行機の通常の動作状態の間、少なくとも最小距離だけ常に離れるように、端子14a及び14bは、スプライス位置合わせスリーブ12’にそれぞれ固定されうる。
【0036】
再び
図1に注目すると、POFスプライスアセンブリ10は、金属材料で作られた圧着リング16a及び16bを更に含む。圧着リング16aは、端子14aとスプライス位置合わせスリーブ12の一端の両方に圧着され、それにより端子14aをスプライス位置合わせスリーブ12に固定する。同様に、圧着リング16bは、端子14bとスプライス位置合わせスリーブ12の他端の両方に圧着され、それにより端子14bをスプライス位置合わせスリーブ12に固定する。
【0037】
図6は、1つの実施形態による、端子14をスプライス位置合わせスリーブ12に取り付けるための圧着リング16の断面図を表す図である。
図1に示された各圧着リング16a及び16bは、
図6に示された圧着リング16の形状と同じ形状を有してもよい。各圧着リング16は、第5の内径(端子14の第1及び第2の内径と、スプライス位置合わせスリーブ12の第3及び第4の内径とを区別するため)を有する第1の円筒形チャネル52を有する第1の長手方向部分48、及び第5の内径よりも大きい第6の内径を有する第2の円筒形チャネル50を有する第2の長手方向部分46を有する。各圧着リング16内の第1及び第2の円筒形チャネル52及び50は、端子14及びスプライス位置合わせスリーブ12のそれぞれの部分を受けるように軸方向に位置合わせされ構成される。
【0038】
より具体的には、各圧着リング16の内側の第1の円筒形チャネル50の第5の内径は、スプライス位置合わせスリーブ12の端部を受けるようにサイズ決定され(例えば、第5の内径は、スプライス位置合わせスリーブ12の外径よりわずかに大きい)、各圧着リング16の内側の第2の円筒形チャネル52の第6の内径は、端子14の第2の長手方向部分26の一部を受けるようにサイズ決定される(例えば、第6の内径は、端子14の第2の長手方向部分26の外径よりわずかに大きい)。
【0039】
図6Aは、
図5に示されたスプライス位置合わせスリーブ12の半分と、圧着リング16a及び16bのそれぞれの半分が切り取られて、スプライス位置合わせスリーブ12内部の一対の端子14a及び14bのそれぞれの部分を示す断面図を表す図である。
図6Aに見られるように、圧着リング16aは、端子14aの第2の長手方向部分26の一部を囲み圧着する第1の長手方向部分48と、スプライス位置合わせスリーブ12の1つの端部34を囲み圧着する第2の長手方向部分46とを有する。同様に、圧着リング16bは、端子14bの第2の長手方向部分26の一部を囲み圧着する第1の長手方向部分48と、スプライス位置合わせスリーブ12の他の端部36を囲み圧着する第2の長手方向部分46とを有する。要するに、端子14a及び14bは、スプライス位置合わせスリーブ12の反対側の端に挿入され、次いで、圧着リング16a及び16bを二重に圧着することによりスプライス位置合わせスリーブ12に固定される。接着剤による接着の代わりに機械的な圧着を使用した結果、スプライス位置合わせスリーブの内部空間にはエポキシやその他種類の接着剤が含まれない。
【0040】
再び
図1及び
図2に戻ると、装置22は、端子14aにスライドして圧着リング16aに当接するゴムブーツ18a、端子14bにスライドして圧着リング16bに当接するゴムブーツ18b、ゴムブーツ18aにスライドする圧着リング20a、及びゴムブーツ18aにスライドする圧着リング20bを更に含む。圧着リング20a及び20bは、金属材料で作られる。圧着リング16a及び16bが、圧着リング20a及び20bと形状が異なると理解すべきである。提案された1つの実施態様によれば、圧着リング20a及び20bのそれぞれは、一定の壁厚を有する円筒形リングである。各圧着リング20a及び20bの内側の円筒形チャネルは、それぞれのゴムブーツ18a及び18bを受けるようにサイズ決定された内径を有する。
【0041】
図7は、1つの実施形態によるゴムブーツ18の断面図を表す図である。
図1に示される各ゴムブーツ18a及び18bは、
図7に示されるゴムブーツ18の形状と同じ形状を有してもよい。
図7に見られるように、各ゴムブーツ18は、長手方向部分54と、長手方向部分54から径方向外側に突出する環状フランジ56とを有する。各ゴムブーツ18の長手方向部分54は、軸方向に位置合わせされるが、異なる内径を有する第1の円筒形チャネル58及び第2の円筒形チャネル60を含む。第1の円筒形チャネル58は、POFケーブル(
図3に示す)のジャケット部分の外径よりわずかに大きい内径を有し、第2の円筒形チャネル60は、端子14の第2の長手方向部分26の外径よりもわずかに大きい内径を有する。
【0042】
図1に見られるように、POFスプライスアセンブリ10が完全に組み立てられると、ゴムブーツ18aのフランジ56の一方の端面が圧着リング16aの端面に当接し、他方で、ゴムブーツ18aのフランジ56の他の端面は、圧着リング20aの端面に当接する。同様に、ゴムブーツ18bのフランジ56の一方の端面は圧着リング16bの端面に当接し、他方で、ゴムブーツ18bのフランジ56の他方の端面は圧着リング20bの端面に当接する。
【0043】
図8は、
図1に示されたPOFスプライスアセンブリ10の断面図を表す図である。
図8に見られるように、ゴムブーツ18aは、端子14aの第2の長手方向部分26の一部とPOFケーブル2aのジャケットの一部の両方を囲む一方で、ゴムブーツ18bは、端子14bの第2の長手方向部分26の一部とPOFケーブル2bのジャケットの一部の両方を囲む。加えて、圧着リング20aはゴムブーツ18aの長手方向部分を囲み圧着され、一方、圧着リング20bはゴムブーツ18bの長手方向部分を囲み圧着される。したがって、端子14aは、それぞれの圧着状態の圧着リング16a及び20aによってPOFケーブル2aのジャケット上に押圧され、一方、端子14bは、それぞれの圧着状態の圧着リング16b及び20bによってPOFケーブル2bのジャケット上に押圧される。
【0044】
図1及び
図8に示される実施形態によれば、圧着リング20a及び20bは、それぞれゴムブーツ18a及び18bに圧着され、次に端子14a及び14bのゴムブーツ18a及び18bをそれぞれ押圧し、次にPOFケーブル2a及び2bのジャケット部分の端子14a及び14bをそれぞれ押圧する。従って、各端子は、二重圧着により各POFケーブルに固定される。各端子の二重圧着の第1の圧着は、前述のように圧着リング16a及び16bをそれぞれ端子14a及び14bに圧着することによって提供され、この圧着により、POFケーブル2a及び2bのジャケット部分で端子14a及び14bがそれぞれ押圧される。各端子の二重圧着の第2の圧着は、圧着リング20a及び20bをゴムブーツ18a及び18bにそれぞれ圧着することによって提供され、次に、POFケーブル2a及び2bのジャケット部分の端子14a及び14bをそれぞれ押圧する。
【0045】
図9A~9Hは、1つの実施形態による、スプライシングプロセスの様々な段階での
図2に示されたPOFスプライスアセンブリの構成要素のそれぞれの側面図を表す図である。このスプライシングプロセスは、航空機に搭載されたアビオニクスシステムのPOFケーブルが破損した場合に特に役立つ。
【0046】
図9Aは、損傷部分を除去するために切断され、それにより2つの別個のPOFケーブル2a及び2bを形成するPOFケーブルを示す。
図9Bに示すように、POFケーブル2a及び2bのそれぞれの端部のジャケット6は、露出したプラスチック光ファイバー4a及び4bのそれぞれの長さ(例えば、約1インチ)を残して剥がされる。
【0047】
製造プロセスの次の段階では、最初に圧着リング20aがPOFケーブル2aにスライドした。次に、ゴムブーツ18aがPOFケーブル2aにスライドされる。次に、圧着リング16aがPOFケーブル2aにスライドされる。同様の順序で、圧着リング20b、ゴムブーツ18b、及び圧着リング16bがPOFケーブル2bにスライドされる。これらのステップの結果が
図9Cに見られる。
【0048】
図9Dに示された製造プロセスの次の段階では、端子14aがPOFケーブル2aにスライドされ、短い長さ(例えば、約0.3インチ)のプラスチック光ファイバー4aが端子14aの端面から突出した状態である。加えて、端子14bはPOFケーブル2bにスライドされ、短い長さ(例えば、約0.3インチ)のプラスチック光ファイバー4bが端子14bの端面から突出した状態である。
【0049】
図9Eに示される次の段階で、圧着リング16aは端子14aにスライドされ、圧着リング16aの直径がより小さい長手方向部分48は、圧着ツールを使用して端子14aの第2の長手方向部分26に圧着される。圧着された圧着リング16aは、端子14aをPOFケーブル2aに押圧し、端子14aがPOFケーブル2aを留めるようにする。更に、圧着リング16bは端子14bにスライドされ、圧着リング16bの直径がより小さい長手方向部分48は、圧着ツールを使用して端子14bの第2の長手方向部分26上に圧着される。圧着された圧着リング16bは、端子14bをPOFケーブル2bに押圧し、端子14bがPOFケーブル2bを留めるようにする。
【0050】
次の段階で、ゴムブーツ16aは、圧着リング16aに当接するまで、端子14aの第2の長手方向部分26にスライドされる。次に、圧着リング20aは、圧着リング20aがゴムブーツ18aのフランジ56に当接するまでゴムブーツ18aにスライドされる。加えて、ゴムブーツ16bは、圧着リング16bに当接するまで、端子14bの第2の長手方向部分26にスライドされる。次に、圧着リング20bは、ゴムブーツ18bのフランジ56に当接するまで、ゴムブーツ18bにスライドされる。次に、圧着リング20aがゴムブーツ18a上に圧着され、圧着リング20bがゴムブーツ18b上に圧着される。これらの動作結果が
図9Fに示される。圧着された圧着リング20aは、ゴムブーツ18a及び端子14aを押圧し、したがってゴムブーツ18aを適所に保持し、端子14aをPOFケーブル2a上に押圧する。同様に、圧着された圧着リング20bは、ゴムブーツ18bと端子14bを押圧し、したがってゴムブーツ18bを所定の位置に保持し、端子14bをPOFケーブル2b上に押圧する。各端子14a及び14bは、それぞれのPOFケーブル2a及び2b上に2回圧着され、これにより、スプライスの最大引張強度が高まる。次に、端子14a及び14bをスプライス位置合わせスリーブ12に挿入する前に、ファイバー端面を研磨又はダイヤモンド仕上げし、検査し、洗浄する。
【0051】
製造プロセスの次のステップでは、
図9Gに示すように、スプライス位置合わせスリーブ12がPOFケーブル2aの端部と2bの端部との間に配置され、位置合わせされる。スプライスを完成させるために、圧着リング16aの直径がより大きい長手方向部分46が、スプライス位置合わせスリーブ12の一端にスライドされ、スプライス位置合わせスリーブ12に対して保持される一方、圧着リング16aの長手方向部分46は、スプライス位置合わせスリーブ12の一端に圧着される。同様に、圧着リング16bの直径がより大きい長手方向部分46は、スプライス位置合わせスリーブ12の他の端にスライドされ、スプライス位置合わせスリーブ12に対して保持される一方、圧着リング16bの長手方向部分46は、スプライス位置合わせスリーブ12の他の端に圧着される。スプライスアセンブリは、圧着リング16aと16bの両方がスプライス位置合わせスリーブ12に圧着された後に完了する。この最終的なアセンブリが、
図9Hに示される。
【0052】
図9A~9Hを参照して説明される製造プロセスのステップのいくつかが、フローチャートに要約されうる。
図10は、1つの実施形態による、2つのプラスチック光ファイバーをまとめてスプライシングする方法100のいくつかのステップを識別するフローチャートである。方法100は、少なくとも以下のステップを含む。最初に、POFケーブルの損傷部分が切り取られて、2つの別個のPOFケーブル2a及び2bが形成される(ステップ102)。次に、ジャケットが各プラスチック光ファイバーのそれぞれの端部から剥がされる(ステップ104)。露出した各プラスチック光ファイバーのそれぞれの端部及び隣接する各ジャケットの一部にスライドされるそれぞれの端子14a及び14bを含む、様々な構成要素がPOFケーブルにスライドされる(ステップ106)。次に、第1の圧着リング16aが一方の端子14aにスライドされ、第2の圧着リング16bが他方の端子14bにスライドされる(ステップ108)。次に、第1及び第2の圧着リングがそれぞれの端子に圧着され(ステップ110)、順にPOFケーブルに押圧される。端子14a及び14bがそれぞれPOFケーブル2a及び2bに取り付けられた後、それぞれのゴムブーツ18a及び18bがそれぞれの端子にスライドされる(ステップ112)。次に、第3の圧着リング20aが一方のゴムブーツ18aにスライドされ、第4の圧着リングが他方のゴムブーツ18bにスライドされる(ステップ114)。次に、第3及び第4の圧着リングがそれぞれのゴムブーツに圧着され(ステップ116)、これにより順次POFケーブル上の端子14a及び14bが押圧される。その後、別個のプラスチック光ファイバー4a及び4bの端面が研磨され、検査され、洗浄される(ステップ118)。次に、端子14a及び14bは、スプライス位置合わせスリーブの反対の端に挿入される(ステップ120)。最後に、第1及び第2の圧着リング16a及び16bは、スプライス位置合わせスリーブ12のそれぞれの端部に圧着される(ステップ122)。
【0053】
ステップ102は、2つのPOFケーブル2a及び2bを形成するためにPOFケーブルの損傷部分の反対の端の第1及び第2の位置でPOFケーブルを切断することによって、損傷したPOFケーブルの損傷した部分から損傷したPOFケーブルの第1及び第2の損傷していない部分を切断するステップを含む。
【0054】
提案される実施態様の1つによれば、ステップ106は、熱可塑性材料で作られた第1の端子14aを、第1のPOFケーブル2aへ、第1の端子14aの第1の長手方向部分24がプラスチック光ファイバー4aの端部を囲み、且つ第1の端子14aの第2の長手方向部分26が第1のジャケット6aの一部を囲む位置まで、スライドさせることと、熱可塑性材料で作られた第2の端子14bを、第2のPOFケーブル2bへ、第2の端子14bの第1の長手方向部分24がプラスチック光ファイバー2bの端部を囲み、且つ第2の端子14bの第2の長手方向部分26が第2のジャケット6bの一部を囲む位置まで、スライドさせることとを含む。
【0055】
前の段落で部分的に説明された提案された実施態様に従って、ステップ108は、金属材料で作られた第1の圧着リング16aを、第1の端子14aへ、第1の圧着リング16aの第1の長手方向部分48が第1の端子14aの第2の長手方向部分26の第1の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、金属材料で作られた第2の圧着リング16bを、第2の端子14bへ、第2の圧着リング16bの第1の長手方向部分48が第2の端子14bの第2の長手方向部分26の第1の部分を囲む位置まで、スライドさせることとを含む。加えて、ステップ110は、第1の圧着リング16aの第1の長手方向部分48を第1の端子14aの第2の長手方向部分26にスライドさせることと、第2の圧着リング16bの第1の長手方向部分48を第2の端子14bの第2の長手方向部分26にスライドさせることとを含む。
【0056】
提案された実施態様によれば、ステップ112及び114は、以下のステップ、即ち、第1のゴムブーツ18aを、第1の端子14aへ、第1のゴムブーツ18aの長手方向部分54が第1の端子14aの第2の長手方向部分26の第2の部分を囲む位置まで、スライドさせるステップと、金属材料で作られた第3の圧着リング20aを、第1のゴムブーツ18aへ、第3の圧着リング20aが第1の端子14aの第2の長手方向部分26の第2の部分を囲む第1のゴムブーツ18aの長手方向部分54の一部を囲む位置まで、スライドさせるステップと、第2のゴムブーツ18bを、第2の端子14bへ、第2のゴムブーツ18bの長手方向部分54が第2の端子14bの第2の長手方向部分26の第2の部分を囲む位置まで、スライドさせるステップと、金属材料で作られた第4の圧着リング20bを、第2のゴムブーツ18bへ、第4の圧着リング20bが第2の端子14bの第2の長手方向部分26の第2の部分を囲む第2のゴムブーツ18bの長手方向部分54の一部を囲む位置まで、スライドさせるステップとを含む。
【0057】
提案された同一の実施態様によれば、ステップ120は、第1の圧着リング16aの第2の長手方向部分46がスプライス位置合わせスリーブ12の一方の端部34を囲むまで、第1の端子14aの第1の長手方向部分24をスプライス位置合わせスリーブ12の一端の開口部に挿入することと、第2の圧着リング16bの第2の長手方向部分46がスプライス位置合わせスリーブ12のもう一方の端部36を囲むまで、第2の端子14bの第1の長手方向部分24をスプライス位置合わせスリーブ12のもう一方の端の開口部に挿入することとを含む。
【0058】
航空機などの輸送体の移動中に、様々な振幅と位相で様々な構成要素に振動が発生する。2つの構成要素が接触している場合、振動によりこれらの構成要素が互いに擦れ合う可能性がある。2つの構成要素がプラスチックで作られた場合、2つの構成要素の摩擦面に傷が付いたり、他の欠陥が発生したりすることがある。そのような損傷を避けるために、プラスチック光ファイバー4a及び4bの対向する端面5aと5b(
図2を参照)との間に空隙が存在する光ファイバーシステムを提供することが望ましい。
【0059】
スプライス位置合わせスリーブ12は、好ましくは、ポリブチレンテレフタレートなどの高い耐久性を有する難燃性熱可塑性材料を使用する成形又は3次元印刷によって製造される。スプライス位置合わせスリーブ12は、プラスチック光ファイバー4a及び4bの端面5a及び5b(
図2参照)が接触しないようにするために、中央に開口止め具32を有することが好ましい。要件に応じて、ファイバーの分離を開口止め具の設計によって決定することができる。反射を低減するために、光屈折率整合ゲルをファイバー端に塗布することができる。
【0060】
更に、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
条項1. 伝播する光波を案内するための装置であって、
第1のプラスチック光ファイバーと、第1の端面で終端する第1のプラスチック光ファイバーの端部以外の第1のプラスチック光ファイバーを囲む第1のジャケットとを含む第1のプラスチック光ファイバーケーブルと、
第2のプラスチック光ファイバーと、第2の端面で終端する第2のプラスチック光ファイバーの端部以外の第2のプラスチック光ファイバーを囲む第2のジャケットとを含む第2のプラスチック光ファイバーケーブルと、
第1及び第2端面を互いに光学的に接続するように構成されたプラスチック光ファイバースプライスアセンブリと
を備え、プラスチック光ファイバースプライスアセンブリが、
第1のプラスチック光ファイバーの端部を囲む第1の長手方向部分と、第1のジャケットの一部を囲む第2の長手方向部分とを有し、熱可塑性材料で作られている第1の端子と、
第2のプラスチック光ファイバーの端部を囲む第1の長手方向部分と、第2のジャケットの一部を囲む第2の長手方向部分とを有し、熱可塑性材料で作られている第2の端子と、
第1及び第2の端子の第1の長手方向部分、並びに第1及び第2の端子の第2の長手方向部分の複数の部分を囲み、熱可塑性材料で作られているスプライス位置合わせスリーブと、
第1の端子の第2の長手方向部分の一部を囲み、その上に圧着された第1の長手方向部分と、スプライス位置合わせスリーブの一方の端部を囲み、その上に圧着された第2の長手方向部分を有し、金属材料で作られている第1の圧着リングと、
第2の端子の第2の長手方向部分の一部を囲み、その上に圧着された第1の長手方向部分と、スプライス位置合わせスリーブのもう一方の端部を囲み、その上に圧着された第2の長手方向部分を有し、金属材料で作られている第2の圧着リングと
を備える装置。
条項2. 第1及び第2の端面が互いに接触しない、条項1に記載の装置。
条項3. スプライス位置合わせスリーブが、第1の端面と第2の端面との間の間隙を維持する開口止め具を含む、条項1に記載の装置。
条項4. スプライス位置合わせスリーブの内部空間はエポキシフリーである、条項1に記載の装置。
条項5. 第1の端子の第2の長手方向部分の別の部分と、第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のジャケットの一部分との両方を囲む長手方向部分を有する第1のブーツと、
第2の端子の第2の長手方向部分の別の部分と、第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のジャケットの一部分との両方を囲む長手方向部分を有する第2のブーツと
を更に含む、条項1に記載の装置。
条項6. 第1のブーツの長手方向部分を囲み、その上に圧着された、金属材料で作られている第3の圧着リングと、
第2のブーツの長手方向部分を囲み、その上に圧着された、金属材料で作られている第4の圧着リングと
を更に含む、条項5に記載の装置。
条項7. 第1の端子が、それぞれの圧着状態の第1及び第6の圧着リングによって、第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のジャケット上に押圧され、第2の端子が、それぞれの圧着状態の第2及び第4の圧着リングによって第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のジャケット上に押圧される、条項6に記載の装置。
条項8. スプライス位置合わせスリーブが外径を有し、第1の端子の第2の長手方向部分が、スプライス位置合わせスリーブの内径よりも小さい外径を有し、第1の圧着リングの第2の長手方向部分が、スプライス位置合わせスリーブの外径以上の内径を有し、第1の圧着リングの第1の長手方向部分が、第1の端子の第2の長手方向部分の外径以上の内径を有する、条項1に記載の装置。
条項9. 第1の端子の第1の長手方向部分が、間に環状溝を形成する、径方向外側に突出する第1及び第2の環状突起を有する、条項8に記載の装置。
条項10. 第1及び第2のプラスチック光ファイバーをまとめてスプライシングするための方法であって、
(a)第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のジャケットの一部を、第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のプラスチック光ファイバーの端部から剥がすことと、
(b)第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のジャケットの一部を、第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のプラスチック光ファイバーの端部から剥がすことと、
(c)熱可塑性材料で作られた第1の端子を、第1のプラスチック光ファイバーケーブルへ、第1の端子の第1の長手方向部分が第1のプラスチック光ファイバーの端部を囲み、且つ第1の端子の第2の長手方向部分が第1のジャケットの一部を囲む位置まで、スライドさせることと、
(d)熱可塑性材料で作られた第2の端子を、第2のプラスチック光ファイバーケーブルへ、第2の端子の第1の長手方向部分が第2のプラスチック光ファイバーの端部を囲み、且つ第2の端子の第2の長手方向部分が第2のジャケットの一部を囲む位置まで、スライドさせることと、
(e)金属材料で作られた第1の圧着リングを、第1の端子へ、第1の圧着リングの第1の長手方向部分が第1の端子の前記第2の長手方向部分の第1の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、
(f)金属材料で作られた第2の圧着リングを、第2の端子へ、第2の圧着リングの第1の長手方向部分が第2の端子の第2の長手方向部分の第1の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、
(g)第1の圧着リングの第1の長手方向部分を第1の端子の第2の長手方向部分に圧着することと、
(h)第2の圧着リングの第1の長手方向部分を第2の端子の第2の長手方向部分に圧着することと、
(i)ステップ(g)の後に、第1の圧着リングの第2の長手方向部分がスプライス位置合わせスリーブの一方の端部を囲むまで、第1の端子の第1の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの一端の開口部に挿入することと、
(j)ステップ(h)の後に、第2の圧着リングの第2の長手方向部分がスプライス位置合わせスリーブの他方の端部を囲むまで、第2の端子の第1の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブのもう一方の端の開口部に挿入することと、
(k)ステップ(i)の後に、第1の圧着リングの第2の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの一方の端部に圧着することと、
(l)ステップ(j)の後に、第2の圧着リングの第2の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの他方の端部に圧着することと
を含む方法。
条項11. ステップ(k)及び(l)が完了すると、第1及び第2の端面が、スプライス位置合わせスリーブ内で互いに接触しない、条項10に記載の方法。
条項12. ステップ(k)及び(l)が完了すると、スプライス位置合わせスリーブの内部空間はエポキシフリーである、条項10に記載の方法。
条項13. ステップ(i)の前に、第1のプラスチック光ファイバーの第1の端面を研磨することと、
ステップ(j)の前に、第2のプラスチック光ファイバーの第2の端面を研磨することと
を更に含む、条項10に記載の方法。
条項14. 第1のゴムブーツを、第1の端子へ、第1のゴムブーツの長手方向部分が第1の端子の第2の長手方向部分の第2の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、
金属材料で作られた第3の圧着リングを、第1のゴムブーツへ、第3の圧着リングが第1の端子の第2の長手方向部分の第2の部分を囲む第1のゴムブーツの長手方向部分の一部を囲む位置まで、スライドさせることと、
第3の圧着リングを第1のゴムブーツに圧着することと
を更に含み、
第1の端子の第2の長手方向部分の第1及び第2の部分が、それぞれの圧着状態の第1及び第3の圧着リングによって、第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のジャケットに押圧される、条項10に記載の方法。
条項15. 第2のゴムブーツを、第2の端子へ、第2のゴムブーツの長手方向部分が第2の端子の第2の長手方向部分の第2の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、
金属材料で作られた第4の圧着リングを、第2のゴムブーツへ、第4の圧着リングが第2の端子の第2の長手方向部分の第2の部分を囲む第2のゴムブーツの長手方向部分の一部を囲む位置まで、スライドさせることと、
第4の圧着リングを第2のゴムブーツに圧着することと
を更に含み、
第2の端子の第2の長手方向部分の第1及び第2の部分が、それぞれの圧着状態の第2と第4の圧着リングによって、第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のジャケットに押圧される、条項14に記載の方法。
条項16. ステップ(a)から(l)のいずれかの前に実行される以下のステップ、
第1及び第2のプラスチック光ファイバーケーブルを形成するために、プラスチック光ファイバーケーブルの損傷部分の両側の第1及び第2の位置でプラスチック光ファイバーケーブルを切断することによって、プラスチック光ファイバーケーブルの第1と第2の損傷していない部分を、プラスチック光ファイバーケーブルの損傷部分から切り離すこと
を更に含む、条項10に記載の方法。
条項17. 伝播する光波を案内するための装置であって、
プラスチック光ファイバーと、端面で終端するプラスチック光ファイバーの端部以外のプラスチック光ファイバーを囲むジャケットとを含むプラスチック光ファイバーケーブルと、
プラスチック光ファイバーの端部を囲む第1の長手方向部分と、ジャケットの一部を囲む第2の長手方向部分とを有し、熱可塑性材料で作られている端子と、
端子の第2の長手方向部分の一部を囲み圧着された長手方向部分を有し、金属材料で作られている第1の圧着リングと
を備える装置。
条項18. 端子の第2の長手方向部分の別の部分と、プラスチック光ファイバーケーブルのジャケットの一部分との両方を囲む長手方向部分を有するブーツと、
ブーツの長手方向部分を囲み、その上に圧着された、金属材料で作られている第2の圧着リングと
を更に含む、条項17に記載の装置。
条項19. 端子の第2の長手方向部分の第1及び第2の部分が、それぞれの圧着状態の第1及び第2の圧着リングによって、プラスチック光ファイバーケーブルのジャケットに押圧される、条項18に記載の装置。
条項20. 飛行機に搭載された破損したプラスチック光ファイバーケーブルを修理する方法であって、
(a)第1及び第2のプラスチック光ファイバーケーブルを形成するために、プラスチック光ファイバーケーブルの損傷部分の両側の第1及び第2の位置でプラスチック光ファイバーケーブルを切断することによって、損傷したプラスチック光ファイバーケーブルの第1と第2の損傷していない部分を、損傷したプラスチック光ファイバーケーブルの損傷部分から切り離すことと、
(b)第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のジャケットの一部を、第1のプラスチック光ファイバーケーブルの第1のプラスチック光ファイバーの端部から剥がすことと、
(c)第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のジャケットの一部を、第2のプラスチック光ファイバーケーブルの第2のプラスチック光ファイバーの端部から剥がすことと、
(d)熱可塑性材料で作られた第1の端子を、第1のプラスチック光ファイバーケーブルへ、第1の端子の第1の長手方向部分が第1のプラスチック光ファイバーの端部を囲み、且つ第1の端子の第2の長手方向部分が第1のジャケットの一部を囲む位置まで、スライドさせることと、
(e)熱可塑性材料で作られた第2の端子を、第2のプラスチック光ファイバーケーブルへ、第2の端子の第1の長手方向部分が第2のプラスチック光ファイバーの端部を囲み、且つ第2の端子の第2の長手方向部分が第2のジャケットの一部を囲む位置まで、スライドさせることと、
(f)金属材料で作られた第1の圧着リングを、第1の端子へ、第1の圧着リングの第1の長手方向部分が第1の端子の前記第2の長手方向部分の第1の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、
(g)金属材料で作られた第2の圧着リングを、第2の端子へ、第2の圧着リングの第1の長手方向部分が第2の端子の第2の長手方向部分の第1の部分を囲む位置まで、スライドさせることと、
(h)第1の圧着リングの第1の長手方向部分を第1の端子の第2の長手方向部分に圧着することと、
(i)第2の圧着リングの第1の長手方向部分を第2の端子の第2の長手方向部分に圧着することと、
(j)第1のプラスチック光ファイバーの端面を研磨することと、
(k)第2のプラスチック光ファイバーの端面を研磨することと、
(l)ステップ(j)の後に、第1の圧着リングの第2の長手方向部分がスプライス位置合わせスリーブの一方の端部を囲むまで、第1の端子の第1の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの一端の開口部に挿入することと、
(m)ステップ(k)の後に、第2の圧着リングの第2の長手方向部分がスプライス位置合わせスリーブのもう一方の端部を囲むまで、第2の端子の第1の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブのもう一方の端の開口部に挿入することと、
(n)ステップ(l)の後に、第1の圧着リングの第2の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの一方の端部に圧着することと、
(o)ステップ(m)の後に、第2の圧着リングの第2の長手方向部分をスプライス位置合わせスリーブの他方の端部に圧着することと
を含む方法。
【0061】
本明細書で提案された技術により、以下の技術的特徴、即ち、(a)精密成形又は3次元印刷によって形成されたPOFスプライス本体と、(b)エポキシフリーの製造プロセスと、(c)POF端面を最大光学結合位置に保持するために二重圧着リングを使用した機械設計と、(d)高振動環境に起因するPOF端面の損傷を排除するための小型POF止め具(miniature POF stop)と、(e)エポキシフリーの設計とパッシブなPOF光学位置合わせプロセスによる低コストのうちの1つ又は複数を含むことができるようになる。スプライス本体は、精密成形又は3次元印刷プロセスによって製造されるため、スプライスアセンブリの部品は、非常に低いコストで大量生産することができる。
【0062】
2つのプラスチック光ファイバーをスプライシングするための方法及び装置を様々な実施形態を参照して説明したが、本明細書の教示の範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ、それらの要素が均等物で置き換えられてもよいことを当業者は理解するだろう。加えて、その範囲から逸脱することなく、多数の修正を行って本明細書の教示を特定の状況に適合させてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に開示される特定の実施形態に限定されないことが意図される。
【0063】
以下に記載される方法の請求項は、請求項に列挙されているステップのうちのいくつかあるいは全てが実施される具体的な順序を示す条件が、請求項の文言によって明示的に特定又は言明されていない限り、これらのステップが、アルファベット順(本明細書中のアルファベットによる順番付けは、既出のステップを参照する目的でのみ使用される)又は記載順に実施されることが必要であると解釈すべきではない。また、方法の請求項は、請求項の文言がそうした解釈を除外する条件を明示的に言明していない限り、2つ以上のステップのいかなる部分も、同時に又は交互に実施されることが排除されていると解釈すべきでない。