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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】作業機械及び作業機械の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
B66F9/24 L
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019147844
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028266
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 洋平
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 将崇
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 友紀
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-170284(JP,A)
【文献】特開2019-105995(JP,A)
【文献】特開平11-043299(JP,A)
【文献】特開平09-026826(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0114526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の周辺の物体を検出する物体検出部と、
前記作業機械の車速を検出する車速検出部と、
前記作業機械の周辺において前記物体を検出する第1検出範囲と第2検出範囲とを設定する設定部と、
前記車速検出部が検出した車速に応じて、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲とを切り替える切替部と、
前記切替部が切り替えた前記第1検出範囲又は前記第2検出範囲において、前記物体が検出されたか否かを判定する判定部と、
を備え
前記設定部は、前記車速検出部が検出した車速が車速第一閾値以下である場合、前記第2検出範囲を固定とする
作業機械。
【請求項2】
前記作業機械の操舵角を検出する操舵角検出部、
を備え、
前記設定部は、前記作業機械に対して所定距離の範囲を前記第1検出範囲として設定し、前記車速検出部が検出した車速と前記操舵角検出部が検出した操舵角とに基づいて、前記第2検出範囲を設定する、
請求項に記載の作業機械。
【請求項3】
前記切替部は、前記車速検出部が検出した車速が車速第二閾値以下である場合、前記第1検出範囲に切り替え、前記車速検出部が検出した車速が車速第二閾値より高い場合、前記第2検出範囲に切り替える、
請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記設定部は、警報レベルが第1レベルの第1部分と、作業機械の走行方向において前記第1部分より作業機械から遠く、前記第1レベルより低い警報レベルの第2レベルの第2部分とを含む、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲とを設定し、
前記判定部は、前記第1部分と前記第2部分とのどちらにおいて、前記物体が検出されたかに応じて、前記警報レベルを判定する、
請求項1からのいずれか一項に記載の作業機械。
【請求項5】
前記判定部によって前記物体が検出されたと判定する場合、警報を出力する警報部、
を備え、
前記警報部は、前記判定部が判定した前記警報レベルに応じた警報を出力する、
請求項に記載の作業機械。
【請求項6】
前記警報部は、前記作業機械の運転席の周辺に、複数が設置され、前記判定部によって前記物体が検出されたと判定する場合、前記物体の検出方向に対応した前記警報部から警報を出力する、
請求項に記載の作業機械。
【請求項7】
前記判定部は、前記車速検出部が検出した車速が車速第三閾値以上である場合、警報を出力しないと判定する、
請求項に記載の作業機械。
【請求項8】
前記判定部は、前記操舵角検出部が検出した前記作業機械の操舵角が操舵角閾値以上である場合、警報を出力しないと判定する、
請求項に記載の作業機械。
【請求項9】
作業機械の周辺の物体を物体検出部によって検出することと、
前記作業機械の車速を車速検出部によって検出することと、
前記作業機械の周辺において前記物体を検出する第1検出範囲と第2検出範囲とを設定することと、
前記車速検出部によって検出された車速に応じて、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲とを切り替えることと、
切り替えられた前記第1検出範囲又は前記第2検出範囲において、前記物体が検出されたか否かを判定することと、
を含み、
検出した車速が車速第一閾値以下である場合、前記第2検出範囲を固定とする
作業機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械及び作業機械の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、フォークリフトを含む作業機械において、周辺に人を含む物体が存在するか否かを検出する検出装置を備えることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-194481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械は、倉庫又は工場のように、周辺に様々な物体が存在する場所を走行する。作業機械に設置された検出装置が検出可能な範囲に侵入した物体をすべて検出して、警報を出力する場合、警報が頻繁に発せられることになる。
【0005】
本開示の態様は、周辺の物体を適切に検出可能な作業機械及び作業機械の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様に従えば、作業機械の周辺の物体を検出する物体検出部と、前記作業機械の車速を検出する車速検出部と、前記作業機械の周辺において前記物体を検出する第1検出範囲と第2検出範囲とを設定する設定部と、前記車速検出部が検出した車速に応じて、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲とを切り替える切替部と、前記切替部が切り替えた前記第1検出範囲又は前記第2検出範囲において、前記物体が検出されたか否かを判定する判定部とを備える作業機械が提供される。
【0007】
本開示の態様に従えば、作業機械の周辺の物体を物体検出部によって検出することと、前記作業機械の車速を車速検出部によって検出することと、前記作業機械の周辺において前記物体を検出する第1検出範囲と第2検出範囲とを設定することと、前記車速検出部によって検出された車速に応じて、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲とを切り替えることと、切り替えられた前記第1検出範囲又は前記第2検出範囲において、前記物体が検出されたか否かを判定することとを含む作業機械の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様によれば、周辺の物体を適切に検出することができる作業機械及び作業機械の制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係るフォークリフトを左後方斜め上側から見た状態を示した斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るフォークリフトの制御システムの一例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、第1範囲の一例を示す模式図である。
図4図4は、第2範囲の一例を示す模式図である。
図5図5は、第2範囲の他の例を示す模式図である。
図6図6は、第2範囲の他の例を示す模式図である。
図7図7は、第2範囲の他の例を示す模式図である。
図8図8は、警報レベルの一例を説明する図である。
図9図9は、物体検出システムの処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、物体検出システムの第1範囲における物体検出処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、物体検出システムの第2範囲における物体検出処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、本実施形態に係るコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
本実施形態においては、作業機械として、バッテリからの電力又はエンジン等によって駆動される発電機から得られた電力で駆動されるフォークリフト1を例として説明するが、作業機械はこれに限定されない。例えば、作業機械は、バッテリからの電力又はエンジン等によって駆動される発電機から得られた電力で駆動されるホイールローダ等であってもよい。また、作業機械は、電力によって駆動されるものに限定されず、油圧によって駆動されるフォークリフト等であってもよい。
【0012】
図1は、本実施形態に係るフォークリフト1を左後方斜め上側から見た状態を示した斜視図である。以下において、フォークリフト1は、フォーク13が設けられている側が前方であり、カウンタウエイト20が設けられている側が後方である。作業機械がフォークリフトでない場合、運転席34から操作装置としてのハンドル36に向かう側が前方であり、ハンドル36から運転席34に向かう側が後方である。操作装置としては、作業機械の操舵に用いるハンドル36の他、油圧ショベル又はホイールローダ等においては作業機を操作するための操作レバーも含まれる。
【0013】
本実施形態においては、左右とは前方に対する左右をいうものとする。左右方向は、作業機械の本体としての車体10の幅方向である。上方は、前輪11及び後輪12のうち少なくとも3個と接触する平面(接地平面)に直交し、かつ接地平面から前輪11又は後輪12の回転中心軸に向かう側である。下方は、前輪11又は後輪12の回転中心軸から接地平面に向かう側である。車体10の前後方向に向かい、かつ車体10の幅方向中心を通る軸を前後軸といい、前後軸に直交し、設置平面と平行かつ車体10の左右方向に向かう軸を左右軸という。車体10の上下方向に向かう軸を上下軸という。上下軸は、前後軸と左右軸との両方に直交する。以下において、平面視とは、上方から見た状態をいうものとする。
【0014】
<フォークリフトの全体構成>
フォークリフト1は、車体10の前方の左右の端部にそれぞれ前輪11が設置され、車体10の後方の左右の端部にそれぞれ後輪12が設置されている。車体10の前方には、荷物の積み降ろし又は移動を行うためのフォーク13が設置されている。フォーク13は、上下方向に沿って設置されたマスト14に支持されている。フォーク13は、マスト14との間に設置されたマストシリンダ15が駆動することによって、マスト14に沿って昇降する。マスト14は、下端部が、左右軸回りに回転可能に車体10に取り付けられている。マスト14は、車体10との間に設置された、図示しないチルトシリンダが駆動することによって、車体10に対して前傾姿勢又は後傾姿勢をとることが可能である。
【0015】
車体10の後端部には、カウンタウエイト20が設けられている。フォークリフト1は、カウンタバランス型のフォークリフトであるが、これに限定されない。カウンタウエイト20は、フォーク13が荷物を支持した場合に釣り合いをとるためのウエイトである。
【0016】
フォークリフト1は、アクセルペダル37、ブレーキペダル38及び進行方向切替レバー39を備える。アクセルペダル37は、図示しない走行用電動機の出力及び回転方向を制御する操作用の部材である。ブレーキペダル38は、フォークリフト1を停止させるための操作用の部材である。進行方向切替レバー39は、フォークリフト1の進行方向を前方又は後方のいずれか一方に切り替えるための操作用の部材である。
【0017】
フォークリフト1は、ハンドル36の前方に、表示装置としての表示パネル52が設置されている。表示パネル52は、フォークリフト1に対して様々な設定をするための入力部と、フォークリフト1の状態等に関する情報を表示する表示部とを有している。フォークリフト1のオペレータは、表示パネル52を介して、フォークリフト1に対して様々な設定をする。フォークリフト1の状態等に関する情報は、例えば、フォークリフト1の周辺に物体が検出されたことを示す警報等である。物体とは、例えば、フォークリフト1の周辺の作業者、他の作業機械、又は、障害物等を含む。
【0018】
<フォークリフトの全体の制御系>
次に、本実施形態に係るフォークリフト1の制御系の一例について説明する。図2に示すように、フォークリフト1の制御系は、フォークリフト1を制御する車両制御装置69を含む。図2は、本実施形態に係るフォークリフト1の制御システムの一例を示す機能ブロック図である。
【0019】
車両制御装置69は、CPU(Central Processing Unit)のような数値演算装置(プロセッサ)を含む。車両制御装置69は、フォークリフト1の走行状態を制御可能である。車両制御装置69は、フォークリフト1の走行状態を示す各種データを取得する。より詳しくは、車両制御装置69は、例えば、フォークリフト1のタイヤ切れ角を示すデータ、車速を示すデータ、進行方向を示すデータ、図示しないパーキングブレーキの状態を示すデータを取得する。
【0020】
このような車両制御装置69は、フォークリフト1の車体10の状態量を示すデータを検出する車体データ取得装置60の一部として機能する。車体データ取得装置60については、後述する。
【0021】
<物体検出システム>
次に、本実施形態に係る物体検出システム300について説明する。フォークリフト1は、フォークリフト1の周辺の物体を検出可能な物体検出システム300を備える。本実施形態において、フォークリフト1は、一例としてフォークリフト1の後方の物体を検出可能な物体検出システム300を備えるものとして説明する。フォークリフト1は、フォークリフト1の前方の物体を検出可能な物体検出システム300を備えてもよい。
【0022】
本実施形態においては、物体検出システム300は、フォークリフト1の前後方向の後方の物体を検出し、前方の物体を検出しない場合について説明する。フォークリフト1の前方にはフォーク13が設置されている。このため、物体検出装置70が、フォーク13に載置された積荷を検出する可能性が高く、誤警報を出力するおそれがある。また、前方は、運転席に座ったオペレータが、目視で確認することが可能である。これらにより、物体検出システム300は、フォークリフト1の後方の物体を検出するものとして説明する。なお、物体検出システム300は、前方の物体を検出する場合、例えば、フォーク13に載置された積荷が検出されにくい位置に、物体検出装置70を設置する等してもよい。
【0023】
物体検出システム300は、フォークリフト1の車体データを取得する車体データ取得装置60と、フォークリフト1の後方の物体を検出する物体検出装置(物体検出部)70と、警報を出力する警報装置(警報部)80と、フォークリフト1を制御する制御装置90とを備える。車体データ取得装置60の検出結果及び物体検出装置70の検出結果は、制御装置90に出力される。制御装置90は、それらの検出結果に基づいて、警報装置80から警報を出力する。
【0024】
<車体データ取得装置>
車体データ取得装置60は、フォークリフト1の車両制御装置69と、フォークリフト1のタイヤ切れ角(操舵角)を検出する切れ角センサ(操舵角検出部)61と、フォークリフト1の車速を検出する車速センサ(車速検出部)62とを含む。
【0025】
切れ角センサ61は、フォークリフト1のタイヤ切れ角を算出可能なセンサデータを検出する。切れ角センサ61は、例えば、フォークリフト1の図示しない操舵装置の操舵角を検出するステアリングセンサを含む。例えば、ステアリングセンサとしてロータリーエンコーダを用いることができる。切れ角センサ61は、フォークリフト1の図示しない走行方向操作部の回転量又は操舵角を検出する回転量センサを含んでもよい。切れ角センサ61は、検出したセンサデータを検出結果として車両制御装置69に出力する。車両制御装置69では、切れ角センサ61の検出結果から、切れ角を算出する。
【0026】
車速センサ62は、フォークリフト1の車速を検出する。より詳しくは、車速センサ62は、フォークリフト1の車速を算出可能なセンサデータを検出する。車速センサ62は、前輪11又は後輪12の回転速度を検出する回転速度センサを含む。車速センサ62は、検出したセンサデータを検出結果として車両制御装置69に出力する。車両制御装置69では、車速センサ62の検出結果から、車速を算出する。
【0027】
進行方向センサ63は、フォークリフト1の進行方向を検出する。より詳しくは、進行方向センサ63は、フォークリフト1の前進又は後進と、中立とを切り替える前後進レバーの操作状態を示すデータを検出する。進行方向センサ63は、進行方向を示す、前後進レバーの位置を検出する。進行方向センサ63は、前後進レバーの操作位置が前進である場合、進行方向が前進であることを示すデータを検出する。進行方向センサ63は、前後進レバーの操作位置が後進である場合、進行方向が後進であることを示すデータを検出する。進行方向センサ63は、前後進レバーの操作位置が中立である場合、進行方向が中立であることを示すデータを検出する。進行方向センサ63は、検出結果を車両制御装置69に出力する。
【0028】
パーキングブレーキセンサ64は、フォークリフト1のパーキングブレーキの踏込状態を検出する。パーキングブレーキセンサ64は、パーキングブレーキの踏込量に基づいて、パーキングブレーキがかけられているか、パーキングブレーキが解除されているかを検出する。パーキングブレーキセンサ64は、検出結果を車両制御装置69に出力する。
【0029】
<物体検出装置>
物体検出装置70は、フォークリフト1の周辺の物体を検出する。本実施形態では、物体検出装置70は、フォークリフト1の後方に存在する物体を非接触で検出する。物体検出装置70は、例えば、ミリ波レーダ装置のようなレーダ装置を含む。レーダ装置は、例えば、電波又は超音波を発信して、物体で反射した電波又は超音波を受信することによって、レーダ装置の前方に存在する物体の有無を検出可能である。また、レーダ装置は、物体の有無のみならず、物体との相対位置として相対距離及び方位、及び、物体との相対速度を検出可能である。なお、物体検出装置70は、レーザスキャナ及び3次元距離センサの少なくとも一つで構成されてもよい。また、物体検出装置70は、複数設置されていてもよい。
【0030】
物体検出装置70は、フォークリフト1の後部に設置される。本実施形態において、物体検出装置70は、図1に示すように、リヤピラー16に設置される。なお、物体検出装置70は、フォークリフト1の後方の物体を検出できれば、他の位置に設置されていてもよい。
【0031】
本実施形態では、物体検出装置70は、フォークリフト1の後方に検出領域を有する。より詳しくは、物体検出装置70は、フォークリフト1の後方において上下方向及び左右方向のそれぞれに放射状に広がる検出領域を有する。物体検出装置70は、検出領域に存在する物体を検出可能である。物体検出装置70は、フォークリフト1と検出領域に存在する物体との相対位置を示す相対距離と方位、及び、物体との相対速度を検出可能である。
【0032】
物体検出装置70の検出領域のフォークリフト1の前後方向の長さはXa[m]である。長さXa[m]は、物体検出装置70の図示しない射出部と検出領域の先端部との距離である。長さXa[m]は、例えば、5m程度である。
【0033】
本実施形態では、物体検出装置70は、一対として設置された、左レーダ(物体検出部)70L及び右レーダ(物体検出部)70Rを含む。左レーダ70Lは、フォークリフト1の後方左側に設置される。左レーダ70Lは、フォークリフト1の後方左側の物体を検出可能である。右レーダ70Rは、フォークリフト1の後方右側に設置される。右レーダ70Rは、フォークリフト1の後方右側の物体を検出可能である。左レーダ70Lの検出領域及び右レーダ70Rの検出領域の一部が重複するように左レーダ70L、及び右レーダ70Rをフォークリフト1の後方に設置してもよいし、左レーダ70Lの検出領域及び右レーダ70Rの検出領域が重複しないように設置してもよい。左レーダ70L及び右レーダ70Rによって、フォークリフト1の後方に存在する物体が検出される。
【0034】
<警報装置>
警報装置80は、後述する制御装置90の判定部95が、警報レベルが0より大きく、フォークリフト1が後退可能であると判定する場合、警報を出力する。警報装置80は、判定部95が判定した警報レベルに応じた警報を出力してもよい。警報装置80は、オペレータに対する注意喚起のための警報発生処理を実行する。警報装置80は、例えばスピーカーやランプを用い、後方に物体が存在することを知らせる旨の音声又は光を発してオペレータに注意喚起する。警報装置80は、表示パネル52に表示してもよい。警報装置80は、複数設置されていてもよい。
【0035】
警報装置80は、例えば、フォークリフト1の運転席の周辺に設置される。本実施形態において、警報装置80は、図2に示すように、リヤピラー16に物体検出装置70とともに設置される。なお、警報装置80は、運転席のオペレータ又はフォークリフト1の周辺に警報を報知することできれば、他の位置に設置されていてもよい。
【0036】
警報装置80は、フォークリフト1の運転席の周辺に複数が設置されていてもよい。本実施形態では、警報装置80は、一対として設置された、左警報装置(警報部)80L及び右警報装置(警報部)80Rを含む。左警報装置80Lは、フォークリフト1の後方左側に設置される。左警報装置80Lは、左レーダ70Lの前側に設置される。右警報装置80Rは、フォークリフト1の後方右側に設置される。右警報装置80Rは、右レーダ70Rの前側に設置される。左警報装置80Lと右警報装置80Rとは、同時に警報音を出力したり、点灯したりしてもよい。または、物体の検出方向に対応した左警報装置80L又は右警報装置80Rから警報を出力してもよい。より詳しくは、左レーダ70Lによって物体が検出された場合、又は、フォークリフト1の前後軸より左側に物体が検出された場合に限って、左警報装置80Lから警報を出力してもよい。右レーダ70Rによって物体が検出された場合、又は、フォークリフト1の前後軸より右側に物体が検出された場合に限って、右警報装置80Rから警報を出力してもよい。
【0037】
<物体検出システムの制御系>
制御装置90に、物体検出装置70及び警報装置80が接続される。制御装置90は、CPUのような数値演算装置(プロセッサ)を含む。制御装置90は、物体検出装置70の検出結果に基づいて、フォークリフト1の周辺の物体を検出して、警報の出力を制御する。制御装置90は、車体データ取得部91と、切替部92と、設定部93と、物体データ取得部94と、判定部95と、警報制御部96と、記憶部99とを備える。
【0038】
車体データ取得部91は、車両制御装置69からフォークリフト1の車体データを取得する。車体データ取得部91は、切れ角取得部911と車速取得部912とを含む。車体データ取得部91は、取得した車体データを切替部92と設定部93と判定部95とへ出力する。
【0039】
切れ角取得部911は、車両制御装置69からフォークリフト1の後輪12のタイヤ切れ角を取得する。取得したフォークリフト1のタイヤ切れ角は、車体データに含んで切替部92と設定部93と判定部95とへ出力される。
【0040】
車速取得部912は、車両制御装置69からフォークリフト1の車速を取得する。取得したフォークリフト1の車速は、車体データに含んで切替部92と設定部93と判定部95とへ出力される。
【0041】
切替部92は、フォークリフト1の車速に応じて、フォークリフト1の周辺で物体を検出する範囲である、第1検出範囲(以下、「第1範囲」という。)A1と第2検出範囲(以下、「第2範囲」という。)A2とを切り替える。本実施形態では、切替部92は、フォークリフト1が停止している場合、物体を検出する範囲を、第1範囲A1に切り替える。切替部92は、フォークリフト1が停止していない場合、物体を検出する範囲を、第2範囲A2に切り替える。切替部92による、第1範囲A1と第2範囲A2との切り替えは、上記の条件に限定されない。
【0042】
切替部92は、フォークリフト1の車速が車速第二閾値以下である場合、物体を検出する範囲を、第1範囲A1に切り替えてもよい。より詳しくは、フォークリフト1の前後進レバーが「後進」位置であり、パーキングブレーキが解除され、フォークリフト1の車速が車速第二閾値以下である場合において、物体を検出範囲を、第1範囲A1に切り替えてもよい。また、切替部92は、フォークリフト1の車速が車速第二閾値より高い場合、物体を検出する範囲を、第2範囲A2に切り替えてもよい。より詳しくは、切替部92は、フォークリフト1が後進している場合、言い換えると、フォークリフト1の前後進レバーが「後進」位置であり、パーキングブレーキが解除され、フォークリフト1の車速が車速第二閾値より高い場合において、物体を検出する範囲を、第2範囲A2に切り替えてもよい。
【0043】
設定部93は、フォークリフト1の周辺において物体を検出する第1範囲A1及び第2範囲A2を設定する。第1範囲A1及び第2範囲A2は、物体検出装置70の検出領域に含まれる範囲である。設定部93は、第1範囲A1及び第2範囲A2について、フォークリフト1の幅方向の幅と、フォークリフト1の走行方向の長さとを設定する。より詳しくは、設定部93は、第1範囲A1を、フォークリフト1から固定距離(所定距離)の範囲を含む、固定形状の範囲として設定とする。設定部93は、第2範囲A2を、フォークリフト1の車速に応じて形状が変化する範囲として設定する。設定部93は、第2範囲A2を、フォークリフト1の車速及びタイヤ切れ角に応じて形状が変化する範囲として設定してもよい。設定部93は、設定した第1範囲A1及び第2範囲A2を記憶部99に記憶する。
【0044】
設定部93は、第1範囲A1及び第2範囲A2を、警報レベルが分類可能な、複数の範囲にわけて設定してもよい。設定部93は、警報レベルに応じて、第1範囲A1を複数の部分にわけて設定する。例えば、設定部93は、第1範囲A1を、第1部分A11及び第2部分A12の2つの部分にわけて設定する。設定部93は、警報レベルに応じて、第2範囲A2を複数の部分にわけて設定する。例えば、設定部93は、第2範囲A2を、第1部分A21及び第2部分A22の2つの部分にわけて設定する。
【0045】
<第1範囲A1>
図3は、第1範囲A1の一例を示す模式図である。第1範囲A1の外形は、矩形状である。第1範囲A1は、フォークリフト1の幅方向に幅W、フォークリフト1の走行方向である後進方向に長さLの範囲を含む。幅Wは、フォークリフト1の車幅Wrを含む。
【0046】
第1範囲A1は、第1部分A11と、走行方向である後進方向において第1部分A11よりフォークリフト1から遠い第2部分A12とを含む。
【0047】
第1部分A11は、フォークリフト1の後端部から後進方向に長さL1を有する。第2部分A12は、第1部分A11の後端部から後進方向に長さL2を有する。第1部分A11及び第2部分A12は、いずれも幅Wを有する。長さL1、長さL2、及び、幅Wは、固定値である。
【0048】
本実施形態では、第1部分A11を、警報レベルがレベル2(第1レベル)の危険域と規定する。第2部分A12を、警報レベルがレベル2より低いレベル1(第2レベル)の警告域と規定する。第1部分A11及び第2部分A12以外の部分を、警報レベルがレベル1より低いレベル0(第3レベル)と規定する。
【0049】
このように、設定部93は、記憶部99に記憶された、長さL1、長さL2、及び、幅Wに基づいて、固定形状の第1範囲A1を設定する。設定部93は、警報レベルがレベル2の第1部分A11と、フォークリフト1の走行方向である前方方向において第1部分A11よりフォークリフト1から遠く、レベル2より低い警報レベルであるレベル1の第2部分A12とを含む、第1検出範囲A1を設定してもよい。
【0050】
<第2範囲A2>
図4は、第2範囲A2の一例を示す模式図である。第2範囲A2の外形は、フォークリフト1のタイヤ切れ角に応じて予測される進路に沿うように、矩形状又は円弧形状に変化する。図4においては、一例として、第2範囲A2が円弧形状である状態を示す。図4に示す第2範囲A2は、フォークリフト1のタイヤ切れ角に対応する、回転中心をCとした半径Rの円弧形状である。第2範囲A2は、フォークリフト1の幅方向に幅W、フォークリフト1の走行方向に長さLの範囲を含む。幅Wは、フォークリフト1の車幅Wrを含む。長さLは、フォークリフト1の車速に応じて変化する。
【0051】
第2範囲A2は、第1部分A21と、走行方向である後進方向において第1部分A21よりフォークリフト1から遠い第2部分A22とを含む。
【0052】
第1部分A21及び第2部分A22は、いずれも幅Wを有する。第1部分A21は、フォークリフト1の後端部から走行方向に長さL1を有する。言い換えると、フォークリフト1の後端部の、前後軸上に位置する基準点P0から、第1部分A21の先端部の点P1までの長さがL1である。第2部分A22は、第1部分A21の後端部から走行方向に長さL2を有する。言い換えると、点P1から、第2部分A22の先端部の点P2までの長さがL2である。基準点P0、点P1、点P2は、フォークリフト1のタイヤ切れ角の回転中心Cから半径Rの円弧状に位置する。長さL1及び長さL2は、フォークリフト1の車速に応じて変化する。
【0053】
設定部93は、車速取得部912が取得した、フォークリフト1の車速に基づいて、第2範囲A2の長さLを変更する。より詳しくは、設定部93は、フォークリフト1の車速が低い場合、第2範囲A2の長さLを短くする。設定部93は、フォークリフト1の車速が高い場合、第2範囲A2の長さLを長くする。図5は、第2範囲A2の他の例を示す模式図である。図5においては、図4に比べてフォークリフト1の車速が低くなって、第2範囲A2の長さLが短くなった例を示す。
【0054】
設定部93は、第2範囲A2の長さLを変更する場合、フォークリフト1の走行方向において第2範囲A2の先端部の位置を変化させる。例えば、設定部93は、第2範囲A2の長さLを短くする場合、第2範囲A2の先端部がフォークリフト1に近付くように、第2範囲A2の先端部とフォークリフト1との相対位置を、予測される進路に沿って変化させる。設定部93は、第2範囲A2の長さLを長くする場合、第2範囲A2の先端部がフォークリフト1から離れるように、第2範囲A2の先端部とフォークリフト1との相対位置を、予測される進路に沿って変化させる。
【0055】
設定部93は、切れ角取得部911が取得した、フォークリフト1のタイヤ切れ角に基づいて、第2範囲A2の形状を変形させる。例えば、図4に示すように、フォークリフト1のタイヤ切れ角が、フォークリフト1の走行方向が右に変化して右旋回することを示す場合、設定部93は、フォークリフト1の走行方向に沿うように、第2範囲A2の形状を右へ曲げて設定する。設定部93は、第2範囲A2の先端部がフォークリフト1の前後方向に対して右に移動するように、第2範囲A2の形状を設定する。図6は、第2範囲A2の他の例を示す模式図である。例えば、図6に示すように、フォークリフト1のタイヤ切れ角が、フォークリフト1の走行方向が左に変化して左旋回することを示す場合、設定部93は、フォークリフト1の走行方向に沿うように、第2範囲A2の形状を左へ曲げて設定する。設定部93は、第2範囲A2の先端部がフォークリフト1の前後方向に対して左に移動するように、第2範囲A2の形状を設定する。
【0056】
設定部93は、切れ角取得部911が取得した、フォークリフト1のタイヤ切れ角に基づいて、第2範囲A2の形状を変更する。より詳しくは、設定部93は、フォークリフト1のタイヤ切れ角が大きい場合、第2範囲A2のカーブを急にする。設定部93は、フォークリフト1のタイヤ切れ角が小さい場合、第2範囲A2のカーブを緩やかにする。
【0057】
ここで、設定部93は、各車速において、レベル2の危険域を、第2範囲A2の第1部分A21として設定する。設定部93は、各車速において、レベル1の警告域を、第2範囲A2の第2部分A22として設定する。設定部93は、各車速において、第1部分A21及び第2部分A22以外の部分を、レベル0の領域として設定する。第2範囲A2の長さLを、所定の割合で分割して、第1部分A21及び第2部分A22を設定してもよい。また、車速に応じて、分割する割合を変更するようにしてもよい。
【0058】
第2範囲A2は、相対速度が小さくなるにつれて、言い換えると、フォークリフト1の車速がゼロに近くなるにつれて、長さLがゼロに近くなる。そこで、設定部93は、フォークリフト1の車速が車速第一閾値以下である場合、第2範囲A2のうち、第1部分A21を固定範囲として設定してもよい。車速第一閾値は、フォークリフト1が後進を開始した直後のように、ゼロに近い値を設定してもよい。本実施形態では、設定部93は、車速が車速第一閾値以下である場合、第1部分A21の長さL1を固定の長さXbとして第2範囲A2を設定する。車速が車速第一閾値を超えた場合、固定の長さXbは、車速に応じて、長くしてもよい。図7は、第2範囲A2の他の例を示す模式図である。この場合、図7に示すように、第2範囲A2は、第1部分A21のみを有する。また、固定範囲は、第1部分A21と第2部分A22のそれぞれに設定してもよい。なお、車速第一閾値は、車速第二閾値と同じ値でもよい。
【0059】
このように、設定部93は、フォークリフト1のタイヤ切れ角に応じて予測される進路に沿うように、矩形状又は円弧形状に変化させた第2範囲A2を設定する。そして、設定部93は、フォークリフト1の車速に応じて、第2範囲A2の長さLを変化させる。設定部93は、警報レベルがレベル2の第1部分A21と、フォークリフト1の走行方向である前方方向において第1部分A21よりフォークリフト1から遠く、レベル2より低い警報レベルであるレベル1の第2部分A22とを含む、第2検出範囲A2を設定してもよい。
【0060】
物体データ取得部94は、物体検出装置70から、物体の検出結果を物体データとして取得する。物体データ取得部94が取得した物体データには、物体検出装置70の検出範囲のすべての検出結果が含まれる。
【0061】
判定部95は、物体データ取得部94が取得した物体データに基づいて、フォークリフト1の周辺において物体が検出されたか否かを判定する。判定部95は、切替部92が切り替えた、フォークリフト1の周辺で物体を検出する範囲である、第1範囲A1又は第2範囲A2において、物体が検出されたか否かを判定する。
【0062】
より詳しくは、判定部95は、フォークリフト1の車体データがフォークリフト1が停止していることを示す場合、物体データの相対位置と相対速度とに基づいて、第1範囲A1に物体が存在するか否かを判定する。判定部95は、物体データの相対位置と相対速度とが第1範囲A1に物体が存在することを示す場合、フォークリフト1の周辺において物体が検出されたと判定する。
【0063】
判定部95は、例えば、フォークリフト1の車体データがフォークリフト1が停止していないことを示す場合、物体データの相対位置と相対速度とに基づいて、第2範囲A2に物体が存在するか否かを判定する。判定部95は、物体データの相対位置と相対速度とが第2範囲A2に物体が存在することを示す場合、フォークリフト1の周辺において物体が検出されたと判定する。なお、判定部95は、車体データに含まれる車速が車速第二閾値以上であることを示す場合に、第2範囲A2に物体が存在するか否か判定するようにしてもよい。
【0064】
判定部95は、フォークリフト1の周辺において物体が検出されたと判定する場合、さらに、警報レベルを判定してもよい。判定部95は、物体が検出された位置に応じて、最も高いレベル2と、レベル1に次いで高いレベル1と、低いレベル0とにわけて判定する。判定部95は、第1部分A11又は第1部分A21と、第2部分A12又は第2部分A22とのいずれにおいて、物体が検出されたかに応じて、警報レベルを判定する。より詳しくは、判定部95は、物体検出装置70の検出結果に基づいて、物体が第1部分A11又は第1部分A21に存在すると判定する場合、警報レベルがレベル2であると判定する。判定部95は、物体検出装置70の検出結果に基づいて、物体が第2部分A12又は第2部分A22に存在すると判定する場合、警報レベルがレベル1であると判定する。判定部95は、物体検出装置70の検出結果に基づいて、物体が第1部分A11、第1部分A21、第2部分A12又は第2部分A22に存在すると判定しない場合、警報レベルがレベル0であると判定する。
【0065】
判定部95は、フォークリフト1の車速が車速第三閾値以上である場合、物体の検出処理をキャンセルする、言い換えると、警報を出力しないと判定してもよい。車速第三閾値は、車速第一閾値及び車速第二閾値より大きい値である。車速が車速第三閾値以上である場合、物体を検出してから警報が出力されるまでにフォークリフト1が移動する距離が長くなるので、適切なタイミングで警報が出力されないおそれがあるためである。判定部95は、フォークリフト1の車速が車速第三閾値以上であっても、物体検出装置70の検出領域内では、物体の検出処理を行ってもよい。
【0066】
判定部95は、フォークリフト1のタイヤ切れ角が切れ角閾値以上である場合、物体の検出処理をキャンセルする、言い換えると、警報を出力しないと判定してもよい。切れ角閾値は、例えば、フォークリフト1をUターンさせたり、急激に方向転換をするような場合の値である。タイヤ切れ角が切れ角閾値以上である場合、物体検出装置70の検出範囲から第2範囲A2が外れるためである。判定部95は、フォークリフト1のタイヤ切れ角が切れ角閾値以上であっても、フォークリフト1の予測される進路が物体検出装置70の検出領域内であれば、物体の検出処理を行ってもよい。
【0067】
警報制御部96は、判定部95が警報レベルが0より大きく、フォークリフト1が後退可能であると判定する場合、警報装置80に対して警報を出力する制御を行う。より詳しくは、警報制御部96は、オペレータに注意喚起するために、スピーカを介して音声を出力したり、警報ランプを介して光を発するよう制御信号を出力する。警報制御部96は、オペレータに注意喚起するために、表示パネル52を介して警報画像を出力してもよい。本実施形態では、警報制御部96は、判定部95によって判定された警報レベルに応じて警報を出力するように制御してもよい。
【0068】
図8を用いて、警報レベルごとに出力する警報パターンについて説明する。図8は、警報レベルの一例を説明する図である。警報レベルがレベル2の場合は、警報装置80のスピーカから、例えば「ピー」と連続的なブザー音声が出力され、警報装置80の警報ランプが4[Hz]で点滅される。警報レベルがレベル1の場合は、警報装置80のスピーカから、例えば「ピッピッピッ」と断続的なブザー音声が出力され、警報装置80の警報ランプが2[Hz]で点滅される。警報レベルがレベル0の場合は、ブザー音声は停止され、警報ランプが消灯される。言い換えると、警報レベルがレベル0では、警報が出力されない。
【0069】
警報制御部96は、判定部95が警報レベルが0より大きく、フォークリフト1が後退可能であると判定する場合、物体の検出方向に対応した左警報装置80L又は右警報装置80Rから警報を出力するように制御してもよい。より詳しくは、警報制御部96は、左レーダ70Lによって物体が検出された場合、又は、フォークリフト1の前後軸より左側に物体が検出された場合に限って、左警報装置80Lから警報を出力するように制御してもよい。警報制御部96は、右レーダ70Rによって物体が検出された場合、又は、フォークリフト1の前後軸より右側に物体が検出された場合に限って、右警報装置80Rから警報を出力するように制御してもよい。
【0070】
記憶部99は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、及びハードディスクドライブの少なくとも一つを含む。
【0071】
<物体検出システムの処理>
フォークリフト1の動作時、言い換えると、フォークリフト1のキースイッチON時、物体検出システム300が起動するものとする。物体検出システム300が起動している間、車体データ取得装置60がフォークリフト1の走行状態を検出し、物体検出装置70がフォークリフト1の周辺の物体を検出する。車体データ取得装置60及び物体検出装置70の検出結果は、制御装置90に出力される。制御装置90は、車体データ取得装置60から、フォークリフト1の車体データを取得する。制御装置90は、物体検出装置70から、検出結果を取得する。
【0072】
図9ないし図11を用いて、フォークリフト1の制御方法、より詳しくは、物体検出システム300の制御装置90における処理について説明する。図9は、物体検出システム300の処理の一例を示すフローチャートである。図10は、物体検出システム300の第1範囲A1における物体検出処理の一例を示すフローチャートである。図11は、物体検出システム300の第2範囲A2における物体検出処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
まず、図9を用いて、物体検出システム300の制御装置90が、フォークリフト1の走行状態に応じて、第1範囲A1及び第2範囲A2を切り替える方法について説明する。
【0074】
制御装置90は、切れ角取得部911によって、車体データ取得部91が取得したフォークリフト1の車体データから、フォークリフト1のタイヤ切れ角を取得する(ステップS11)。制御装置90は、ステップS12へ進む。
【0075】
制御装置90は、車速取得部912によって、車体データ取得部91が取得したフォークリフト1の車体データから、フォークリフト1の車速を取得する(ステップS12)。制御装置90は、ステップS13へ進む。
【0076】
制御装置90は、切替部92によって、フォークリフト1が停止しているか否かを判定する(ステップS13)。切替部92によって、車体データ取得部91が取得した車体データが、車速が車速第二閾値以下であり、例えば、フォークリフト1が停止していることを示すと判定する場合(ステップS13でYes)、物体の検出処理における、物体の検出範囲を第1範囲A1に切り替える。フォークリフト1が停止していると判定する場合(ステップS13でYes)、ステップS14へ進む。切替部92によって、車体データ取得部91が取得した車体データが、車速が車速第二閾値より大きく、例えば、フォークリフト1が停止していないことを示すと判定する場合(ステップS13でNo)、ステップS16へ進む。
【0077】
フォークリフト1が停止していると判定する場合(ステップS13でYes)、制御装置90は、設定部93によって、記憶部99に記憶された固定形状の第1範囲A1を、物体の検出範囲として設定する(ステップS14)。より詳しくは、設定部93によって、記憶部99に記憶された、長さL1、長さL2、及び、幅Wに基づいて、固定形状の第1範囲A1を、物体の検出範囲として設定する。また、設定部93によって、警報レベルがレベル2の第1部分A11と、警報レベルがレベル1の第2部分A12とを含んで、第1検出範囲A1を設定する。なお、第1部分A11と第2部分A12に分けずに、第1検出範囲A1を設定してもよい。制御装置90は、ステップS15へ進む。
【0078】
制御装置90は、判定部95によって、設定した第1範囲A1における物体の検出処理を実行する(ステップS15)。第1範囲A1における物体の検出処理については、後述する。制御装置90は、ステップS18へ進む。
【0079】
フォークリフト1が停止していないと判定する場合(ステップS13でNo)、制御装置90は、設定部93によって、フォークリフト1の車速及びタイヤ切れ角に応じた第2範囲A2を、物体の検出範囲として設定する(ステップS16)。より詳しくは、設定部93によって、フォークリフト1のタイヤ切れ角に応じて予測される進路に沿うように、矩形状又は円弧形状に変化させた第2範囲A2を設定する。また、設定部93によって、フォークリフト1の車速に応じて、第2範囲A2の長さLを変化させる。さらに、設定部93によって、警報レベルがレベル2の第1部分A21と、警報レベルがレベル1の第2部分A22とを含んで、第2検出範囲A2を設定する。なお、第1部分A21と第2部分A22に分けずに、第2検出範囲A2を設定してもよい。制御装置90は、ステップS17へ進む。
【0080】
制御装置90は、判定部95によって、設定した第2範囲A2における物体の検出処理を実行する(ステップS17)。第2範囲A2における物体の検出処理については、後述する。制御装置90は、ステップS18へ進む。
【0081】
制御装置90は、判定部95によって、警報レベルが0より大きく、かつ、フォークリフト1が後進可能であるか否かを判定する(ステップS18)。判定部95によって、警報レベルが0より大きいか否か、及び、車体データ取得部91が取得した車体データが、フォークリフト1が後進可能であることを示すか否かを判定する。より詳しくは、判定部95によって、警報レベルが0より大きく、かつ、車体データが、フォークリフト1の前後進レバーが「後進」位置であることを示す場合、警報レベルが0より大きく、かつ、フォークリフト1が後進可能であると判定する(ステップS18でYes)。なお、フォークリフト1の前後進レバーが「後進」位置であり、かつパーキングブレーキが解除されている場合に、フォークリフト1が後進可能であると判定してもよい。判定部95によって、警報レベルが0より大きく、かつ、フォークリフト1が後進可能であると判定する場合(ステップS18でYes)、ステップS19へ進む。判定部95によって、車体データが、警報レベルが0である、または、フォークリフト1の前後進レバーが「後進」位置ではないことを示す場合(ステップS18でNo)、ステップS20へ進む。
【0082】
警報レベルが0より大きく、かつ、フォークリフト1が後進可能であると判定する場合(ステップS18でYes)、制御装置90は、警報を出力する(ステップS19)。
【0083】
例えば、制御装置90は、警報レベルがレベル2の場合、警報制御部96によって、レベル2の警報を出力する。警報制御部96によって、警報装置80のスピーカを介して「ピー」と連続的なブザー音声を出力させる制御信号を出力する。警報制御部96によって、警報装置80の警報ランプが4[Hz]で点滅するよう制御信号を出力する。
【0084】
例えば、制御装置90は、警報レベルがレベル1の場合、警報制御部96によって、レベル1の警報を出力する。警報制御部96によって、警報装置80のスピーカを介して「ピッピッピッ」と断続的なブザー音声を出力させる制御信号を出力する。警報制御部96によって、警報装置80の警報ランプが2[Hz]で点滅するよう制御信号を出力する。
【0085】
警報レベルが0である場合、または、フォークリフト1が後進可能であると判定されない場合(ステップS18でNo)、制御装置90は、警報を停止する(ステップS20)。
【0086】
つぎに、図10を用いて、物体検出システム300の制御装置90による、第1範囲A1における物体検出方法について説明する。制御装置90は、判定部95によって、物体データ取得部94が取得した物体データの相対位置が、第1範囲A1の第1部分A11において物体が検出されたことを示すか否かを判定する(ステップS21)。制御装置90は、第1範囲A1の第1部分A11において物体が検出されたことを示す場合(ステップS21でYes)、ステップS22へ進む。制御装置90は、第1範囲A1の第1部分A11において物体が検出されたことを示さない場合(ステップS21でNo)、ステップS23へ進む。
【0087】
第1範囲A1の第1部分A11において物体が検出されたことを示す場合(ステップS21でYes)、制御装置90は、判定部95によって、警報レベルをレベル2に設定する(ステップS22)。制御装置90は、処理を終了する。
【0088】
第1範囲A1の第1部分A11において物体が検出されたことを示さない場合(ステップS21でNo)、判定部95によって、物体データ取得部94が取得した物体データの相対位置が、第1範囲A1の第2部分A12において物体が検出されたことを示すか否かを判定する(ステップS23)。制御装置90は、第1範囲A1の第2部分A12において物体が検出されたことを示す場合(ステップS23でYes)、ステップS24へ進む。制御装置90は、第1範囲A1の第2部分A12において物体が検出されたことを示さない場合(ステップS23でNo)、処理を終了する。
【0089】
第1範囲A1の第2部分A22において物体が検出されたことを示す場合(ステップS23でYes)、制御装置90は、判定部95によって、警報レベルをレベル1に設定する(ステップS24)。制御装置90は、処理を終了する。
【0090】
つぎに、図11を用いて、物体検出システム300の制御装置90による、第2範囲A2における物体検出方法について説明する。ステップS32、ステップS34の処理は、図10に示すフローチャートのステップS22、ステップS24の処理と同様である。制御装置90は、判定部95によって、物体データ取得部94が取得した物体データの相対位置が、第2範囲A2の第1部分A21において物体が検出されたことを示すか否かを判定する(ステップS31)。制御装置90は、第2範囲A2の第1部分A21において物体が検出されたことを示す場合(ステップS31でYes)、ステップS32へ進む。制御装置90は、第2範囲A2の第1部分A21において物体が検出されたことを示さない場合(ステップS31でNo)、ステップS33へ進む。
【0091】
第2範囲A2の第1部分A21において物体が検出されたことを示さない場合(ステップS31でNo)、判定部95によって、物体データ取得部94が取得した物体データの相対位置が、第2範囲A2の第2部分A22において物体が検出されたことを示すか否かを判定する(ステップS33)。制御装置90は、第2範囲A2の第2部分A22において物体が検出されたことを示す場合(ステップS33でYes)、ステップS34へ進む。制御装置90は、第2範囲A2の第2部分A22において物体が検出されたことを示さない場合(ステップS33でNo)、処理を終了する。
【0092】
オペレータは、警報装置80から発せられた音声又は光によって、フォークリフト1の周辺に物体が検出されたことと、警報レベルとを確認する。そして、オペレータにより、物体との衝突を回避するための操作が行われる。オペレータは、例えば、ブレーキ操作を行ったり、アクセルの踏込を解除する操作を行ったり、ハンドル操作を行ったりする。
【0093】
<物体の検出処理のキャンセル>
ここで、フォークリフト1の車速が車速第三閾値以上である場合、又は、フォークリフト1のタイヤ切れ角が切れ角閾値以上である場合、物体の検出処理をキャンセルする場合について説明する。この場合、図9に示すフローチャートのステップS13でNoと判定された後、ステップS16の処理を実行する前に、言い換えると、物体の検出処理を実行する前に、判定部95によって、フォークリフト1の車速が車速第三閾値以上であるか、又は、フォークリフト1のタイヤ切れ角が切れ角閾値以上であるかを判定するステップを設ける(ステップS13-2)。そして、判定部95によって、フォークリフト1の車速が車速第三閾値以上である、又は、フォークリフト1のタイヤ切れ角が切れ角閾値以上であると判定される場合(ステップS13-2でYes)、物体の検出処理であるステップS16、ステップS17を実行せずに、処理を終了する。ステップS16、ステップS17を実行しない場合、警報装置80のスピーカを介したブザー音声または警報ランプによって、物体の検出処理がキャンセルされていることを、オペレータに通知してもよい。また、ステップS16、ステップS17を実行しない場合、警報装置80のスピーカを介したブザー音声または警報ランプによって、物体の検出処理がキャンセルされていることを、表示パネル52に表示してもよい。判定部95によって、フォークリフト1の車速が車速第三閾値以上ではなく、フォークリフト1のタイヤ切れ角が切れ角閾値以上ではないと判定される場合(ステップS13-2でNo)、ステップS16へ進んで、物体の検出処理を実行する。
【0094】
なお、図9に示すフローチャートのステップS18でYesと判定された後に、フォークリフト1の車速が車速第三閾値以上であるか、又は、フォークリフト1のタイヤ切れ角が切れ角閾値以上であるかを判定するステップを設け、判定部95によって、フォークリフト1の車速が車速第三閾値以上である、又は、フォークリフト1のタイヤ切れ角が切れ角閾値以上であると判定される場合、警報を出力するステップS19を実行せずに、処理を終了してもよい。
【0095】
<コンピュータシステム>
図12は、本実施形態に係るコンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述の制御装置90は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の制御装置90の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0096】
<効果>
以上説明したように、本実施形態では、切替部92によって、フォークリフト1の車速に応じて、物体を検出する範囲が、第1範囲A1と第2範囲A2とで切り替えられる。本実施形態では、判定部95によって、切替部92が切り替えた第1範囲A1又は第2範囲A2において、物体が検出されたか否かが判定される。本実施形態によれば、フォークリフト1の車速に応じて第1範囲A1と第2範囲A2とを切り替えて、フォークリフト1の周辺に物体が存在するか否かを適切に判定することができる。
【0097】
本実施形態では、第1範囲A1及び第2範囲A2は、物体検出装置70の検出領域に含まれる。本実施形態では、第1範囲A1又は第2範囲A2に物体が存在すると判定された場合、警報装置80から警報が出力される。本実施形態によれば、フォークリフト1の周辺に物体が存在する場合に、警報を適切に出力することができる。このようにして、本実施形態によれば、警報が不用意に頻繁に発せられることを抑制することができる。
【0098】
本実施形態では、第1範囲A1及び第2範囲A2の幅Wは、フォークリフト1の車幅Wrを含む。本実施形態では、フォークリフト1の走行に必要最小限の幅を有する第1範囲A1及び第2範囲A2が設定される。本実施形態によれば、フォークリフト1の周辺に物体が存在するか否かを適切に判定することができる。
【0099】
本実施形態では、例えば、フォークリフト1が停止している場合、物体を検出する範囲を、第1範囲A1に切り替える。本実施形態では、フォークリフト1が後進している場合、物体を検出する範囲を、第2範囲A2に切り替える。本実施形態によれば、フォークリフト1の停止時のように車速が低い場合でも、フォークリフト1の周辺に物体が存在するか否かを適切に判定することができる。
【0100】
本実施形態では、物体を検出する範囲が第2範囲A2に切り替えられている場合において、フォークリフト1が後進を開始した直後のように、フォークリフト1の車速が車速第一閾値以下である場合、第2範囲A2のうち、例えば、第1部分A21を固定範囲として設定する。本実施形態によれば、フォークリフト1が後進を開始した直後など、車速が低い場合でも、第2範囲A2の長さLがゼロにならないようにすることができる。また、固定範囲を第1範囲よりも短くすることで、第1範囲で物体を検出している際は、広い範囲で物体を検出することで、フォークリフトの周囲の安全を確認しながらフォークリフトを作動することができ、第2範囲に切り替わった後は、不要な警報を抑制することができる。
【0101】
本実施形態では、フォークリフト1が後進している場合、フォークリフト1の車速及びタイヤ切れ角に応じて、第2範囲A2の形状を変更する。本実施形態によれば、フォークリフト1の予測される進路に沿って、必要最小限の大きさ及び最適な形状を有する第2範囲A2を設定することができる。
【0102】
本実施形態では、第1範囲A1及び第2範囲A2が、異なる警報レベルに関連付けられた、複数の部分にわけられている。本実施形態では、物体が、第1部分A11、第2部分A12、第1部分A21、及び第2部分A22のいずれかに存在する場合、警報レベルに基づいて、適切な警報を出力させることができる。本実施形態によれば、オペレータが警報レベルを確認することができる。
【0103】
本実施形態では、車速が車速第三閾値以上である場合、警報を出力しないようにすることができる。車速が車速第三閾値以上である場合、物体を検出してから警報が出力されるまでにフォークリフト1が移動する距離が長くなる。これにより、物体が検出されて警報が出力されるまでの時間で、フォークリフト1と物体との相対位置が大きく変化しているおそれがある。本実施形態によれば、不適切なタイミングでの警報の出力を抑制することができる。
【0104】
本実施形態では、フォークリフト1のタイヤ切れ角が切れ角閾値以上である場合、警報を出力しないようにすることができる。タイヤ切れ角が切れ角閾値以上である場合、物体検出装置70の検出範囲から第2範囲A2が外れることがある。本実施形態によれば、第2範囲A2を適切に設定することができる。
【0105】
本実施形態では、左レーダ70Lによって物体が検出された場合、又は、フォークリフト1の前後軸より左側に物体が検出された場合に限って、左警報装置80Lから警報を出力してもよい。本実施形態では、右レーダ70Rによって物体が検出された場合、又は、フォークリフト1の前後軸より右側に物体が検出された場合に限って、右警報装置80Rから警報を出力してもよい。本実施形態によれば、オペレータが物体が存在する方向を直感的に確認することができる。
【0106】
<変形例>
上記において、判定部95によって警報レベルが0より大きく、フォークリフト1が後退可能であると判定する場合、制御装置90が、車両制御装置69へ対して、フォークリフト1の走行状態を制御させるための制御信号を出力してもよい。例えば、車両制御装置69では、出力低減処理が実行されるように、動力発生装置に制御信号を出力してもよい。これにより、フォークリフト1の車速が低減され、フォークリフト1が停止される。例えば、車両制御装置69では、ブレーキ処理が実行されるように、制御信号を出力してもよい。これにより、フォークリフト1の車速が低減又はフォークリフト1の走行が停止される。例えば、車両制御装置69では、走行方向変更処理が実行されるように、操舵装置に制御信号を出力してもよい。これにより、フォークリフト1の進路上に物体が存在しないようにフォークリフト1の走行方向が変更される。
【0107】
上記では、物体検出装置70は、左レーダ70L及び右レーダ70Rを含むものとして説明したが、これに限定されない。物体検出装置70は、1つでも、3つ以上でもよい。
【0108】
上記では、警報レベルを3段階として説明したが、これに限定されない。警報レベルは、4段階以上でも、2段階でもよい。
【0109】
上記では、切れ角取得部911は、車両制御装置69からタイヤ切れ角を取得するものとして説明したが、これに限定されない。切れ角取得部911は、車両制御装置69から取得したフォークリフト1の車体データに基づいて、フォークリフト1の操舵装置の操作量を検出して、フォークリフト1の後輪12のタイヤ切れ角を算出してもよい。
【0110】
上記では、車速取得部912は、車両制御装置69から車速を取得するものとして説明したが、これに限定されない。車速取得部912は、車両制御装置69から取得したフォークリフト1の車体データに含まれる、回転速度センサの検出値としての回転速度値に基づいて、フォークリフト1の車速を算出してもよい。また、車速取得部912は、取得したフォークリフト1の車体データに含まれる、回転速度センサの検出値に基づいて、フォークリフト1の車速を検出してもよい。
【0111】
上記では、幅Wは、フォークリフト1の車幅Wrを含むものとして説明したが、これに限定されない。幅Wは、フォークリフト1の車幅Wrよりも短い幅としてもよい。
【0112】
上記では、作業機械がフォークリフト1であるものとして説明したが、これに限定されない。作業機械は、バッテリからの電力又はエンジン等によって駆動される発電機から得られた電力で駆動されるホイールローダ又は油圧ショベル等であってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…フォークリフト(作業機械)、10…車体、13…フォーク、16…リヤピラー、60…車体データ取得装置、61…切れ角センサ(操舵角検出部)、62…車速センサ(車速検出部)、69…車両制御装置、70…物体検出装置(物体検出部)、70L…左レーダ(物体検出部)、70R…右レーダ(物体検出部)、80…警報装置(警報部)、80L…左警報装置、80R…右警報装置、90…制御装置、91…車体データ取得部、92…切替部、93…設定部、94…物体データ取得部、95…判定部、96…警報制御部、99…記憶部、300…物体検出システム、A1…第1範囲(第1検出範囲)、A11…第1部分、A12…第2部分、A2…第2範囲(第2検出範囲)、A21…第1部分、A22…第2部分
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
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図10
図11
図12