(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】ヴァーチャルグリッドハブポートユニット、ヴァーチャルグリッド制御装置、ヴァーチャルグリッドシステム、プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20231020BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20231020BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J1/00 304E
G06F1/26 306
(21)【出願番号】P 2019187455
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000000181
【氏名又は名称】岩崎通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】市川 晴久
(72)【発明者】
【氏名】横川 慎二
(72)【発明者】
【氏名】川喜田 佑介
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正晴
(72)【発明者】
【氏名】小池 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】内山 賢
(72)【発明者】
【氏名】須藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】上原 広充
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-061355(JP,A)
【文献】特開2015-208104(JP,A)
【文献】特開2019-106632(JP,A)
【文献】特開2016-189179(JP,A)
【文献】特開2019-122057(JP,A)
【文献】特開2016-077138(JP,A)
【文献】特許第4783453(JP,B2)
【文献】国際公開第2015/037212(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0316184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J1/00-1/16
H02J3/00-5/00
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J13/00
G06F1/26-1/3296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結されてヴァーチャルグリッドを形成するヴァーチャルグリッドハブポートユニットであって、
他の前記ヴァーチャルグリッドハブポートユニットと接続されて電力を伝送する複数の電力バス端子と、
負荷デバイスまたは電源デバイスに接続されて電力を伝送するデバイス接続端子と、
入力された電力を他の装置からの制御命令に従って制御して出力する電力制御部と、
他の装置からの制御命令に従って、前記電力バス端子同士を接続または非接続とし、前記電力バス端子と前記電力制御部を接続または非接続とし、前記デバイス接続端子と前記電力制御部を接続または非接続とするスイッチを含む
ヴァーチャルグリッドハブポートユニット。
【請求項2】
互いに連結されてヴァーチャルグリッドを形成するヴァーチャルグリッドハブポートユニットであって、
他の前記ヴァーチャルグリッドハブポートユニットと接続されて電力を伝送する複数の電力バス端子と、
入力された電力を他の装置からの制御命令に従って制御して出力する電力制御部と、
他の装置からの制御命令に従って、前記電力バス端子同士を接続または非接続とし、前記電力バス端子と前記電力制御部を接続または非接続とするスイッチを含む
ヴァーチャルグリッドハブポートユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の複数のヴァーチャルグリッドハブポートユニットのそれぞれに制御命令を与えるヴァーチャルグリッド制御装置であって、
前記ヴァーチャルグリッドハブポートユニット同士の接続または非接続を制御して、ヴァーチャルグリッドを形成するヴァーチャルグリッド形成部と、
一部の前記ヴァーチャルグリッドハブポートユニット間の電力供給を制限することにより前記ヴァーチャルグリッドを分割して、各分割結果であるヴァーチャルグリッドハブを形成するヴァーチャルグリッドハブ形成部を含む
ヴァーチャルグリッド制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の複数のヴァーチャルグリッドハブポートユニットと、ヴァーチャルグリッド制御装置と、ヴァーチャルグリッドハブ制御装置を含むヴァーチャルグリッドシステムであって、
前記ヴァーチャルグリッド制御装置は
、複数の
前記ヴァーチャルグリッドハブポートユニットのそれぞれに制御命令を与える装置であって、
前記ヴァーチャルグリッドハブポートユニット同士の接続または非接続を制御して、ヴァーチャルグリッドを形成するヴァーチャルグリッド形成部と、
一部の前記ヴァーチャルグリッドハブポートユニット間の電力供給を制限することにより前記ヴァーチャルグリッドを分割して、各分割結果であるヴァーチャルグリッドハブを形成するヴァーチャルグリッドハブ形成部を含み、
前記ヴァーチャルグリッドハブ制御装置は、
対応する前記ヴァーチャルグリッドハブ内の各ヴァーチャルグリッドハブポートユニットに制御命令を与えるユニット制御部を含む
ヴァーチャルグリッドシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のヴァーチャルグリッドシステムであって、
前記ヴァーチャルグリッド制御装置は、
任意の前記ヴァーチャルグリッドハブから他の任意の前記ヴァーチャルグリッドハブへ
の電力供給の可否および供給電力量を判断する判断部を含み、
前記ヴァーチャルグリッドハブ制御装置のユニット制御部は、
前記判断に従って、対応する前記ヴァーチャルグリッドハブの境界に位置する前記ヴァーチャルグリッドハブポートユニットを制御する
ヴァーチャルグリッドシステム。
【請求項6】
コンピュータを請求項1または2に記載のヴァーチャルグリッドハブポートユニットとして機能させるプログラム。
【請求項7】
コンピュータを請求項3に記載のヴァーチャルグリッド制御装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヴァーチャルグリッドハブポートユニット、ヴァーチャルグリッド制御装置、ヴァーチャルグリッドシステム、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、USB(Universal Serial Bus)はパソコン等の情報機器におけるインターフェースに限らず、スマートフォンを始めとするバッテリ駆動機器の電源供給手段として広く普及している。近年になって、USB PD(USB Power Delivery)という、USBインターフェースにおける新たな電源供給のための規格が策定された。
【0003】
USB PDでは最大100Wの電力供給が可能になり、また、ケーブル接続状態を変えずに電源と負荷の関係を逆転させるロールスワップという機能が導入された。この機能によって、電源や負荷(以下、電源デバイス、負荷デバイスとも呼称する、また総称してデバイスと呼ぶ)をハブで接続し、電源と負荷の関係や電力供給量をコンピュータ制御することが可能になった。しかし、単一の電源と複数の負荷との接続が想定されており、複数の電源(電源群)、複数の負荷(負荷群)をハブ接続し、電源群のトータルな電力供給能力を負荷群に配分、提供する機能は設けられていない。
【0004】
一つの負荷が要求する電力あるいは電力量が個別の電源の能力を上回っている場合、電源群として負荷の要求を上回る電力供給能力があっても負荷の要求を満たすことができない。例えば、スマートフォン用の蓄電池の出力電力はパソコンが要求する電力よりも小さいことが多く、このような電池を複数用意してもパソコンに適切な電力を給電することができない。今後ますます増加すると予想される、電池駆動機器のための様々な能力を有する蓄電池を電力網全体の大規模な蓄電能力として活用するためには、電源群と負荷群をインテリジェントに接続する機能が不可欠である。
【0005】
上記の課題を解決するために、電源群と負荷群を相互接続し、電源群のトータルな電力供給能力(出力電力及び電力量)を負荷群に提供する給電制御システム(特許文献1)が開示されている。
【0006】
特許文献1の給電制御システムは、複数の電源デバイスから直流電力の供給を受けて、複数の負荷デバイスに電力を分配するハブと、ハブに複数の電源デバイスと複数の負荷デバイスの接続状態を制御する命令を発行するコントローラとを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の給電制御システムによれば、複数の電源デバイスから直流電力の供給を受けて、複数の負荷デバイスに電力を分配する電力供給網を実現できたが、この電力供給網を電力受給電の権限に対応するように動的にゾーニングすることができなかった。 複数の電源デバイスを集めたとしても負荷に対して電源の出力、容量が十分でないことが多い、もしくは、電源デバイス、負荷デバイスの所有者が異なることもあり、デバイス所有者が自分のデバイス群で閉じて電力授受を管理したいことも想定される。 また、ある電力デバイスの能力に余剰があったとしても、その余剰を特定負荷群のために保存しておくべき場合も想定される。すなわち、電源デバイス群、負荷デバイス群をグループに分け、それぞれのグループ内で電力受給制御を独立させ、各グループの電力分配制御を安定させた上で、そのグループの余剰電力を他のデバイスに供給する制御が望ましい場合が想定される。
【0009】
特許文献1の給電制御システムによるVGハブをネットワーキングして、VGハブの単位にゾーンを形成し、上記グループを割り当てて、上記課題を解決することが考えられるが、この場合VGハブのポート数が固定されてしまいゾーン構成の自由度が低い、また、VGハブとデバイスをスター結線せねばならず、ケーブルが多量に必要になるなどの課題がある。
【0010】
そこで本発明では、電力供給網を電力受給電の権限に対応するように、動的にゾーニングすること、すなわち、電力の需給権限に対応するゾーンを動的に設定し、ゾーン内の受給電とゾーン間の受給電の権限を分けることができるヴァーチャルグリッドハブポートユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のヴァーチャルグリッドハブポートユニットは、互いに連結されてヴァーチャルグリッドを形成するヴァーチャルグリッドハブポートユニットであって、複数の電力バス端子と、デバイス接続端子と、電力制御部と、スイッチを含む。
【0012】
複数の電力バス端子は、他のヴァーチャルグリッドハブポートユニットと接続されて電力を伝送する。デバイス接続端子は、負荷デバイスまたは電源デバイスに接続されて電力を伝送する。電力制御部は、入力された電力を他の装置からの制御命令に従って制御して出力する。スイッチは、他の装置からの制御命令に従って、電力バス端子同士を接続または非接続とし、電力バス端子と電力制御部を接続または非接続とし、デバイス接続端子と電力制御部を接続または非接続とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のヴァーチャルグリッドハブポートユニットによれば、電力供給網を電力受給電の権限に対応するように動的にゾーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ヴァーチャルグリッドシステムの概要を示すブロック図。
【
図2】ヴァーチャルグリッド制御装置の構成を示すブロック図。
【
図3】ヴァーチャルグリッドハブ制御装置の構成を示すブロック図。
【
図4】ヴァーチャルグリッドハブポートユニットの構成を示すブロック図。
【
図5】4つのユニットによるヴァーチャルグリッドハブ形成例1を示す概念図。
【
図6】
図5の状態と等価なヴァーチャルグリッドハブのネットワークを示す概念図。
【
図7】4つのユニットによるヴァーチャルグリッドハブ形成例2を示す概念図。
【
図8】
図7の状態と等価なヴァーチャルグリッドハブのネットワークを示す概念図。
【
図9】スイッチ切替によるユニット内の状態変化の例を示す図。
【
図10】3端子かつ3つの電力制御部を備えるユニットのスイッチを説明する図。
【
図11】度数4の場合のゾーン設定と協調給電の例1を示す図。
【
図12】度数4の場合のゾーン設定と協調給電の例2を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0016】
<ヴァーチャルグリッドシステム1>
以下、
図1を参照して、実施例1のヴァーチャルグリッドシステム1について説明する。実施例1のヴァーチャルグリッドシステム1は、ヴァーチャルグリッド6全体を制御するヴァーチャルグリッド制御装置13と、ヴァーチャルグリッド6の一部を分割してなるヴァーチャルグリッドハブ5を制御する複数のヴァーチャルグリッドハブ制御装置12と、ヴァーチャルグリッド6を構成する装置である複数のヴァーチャルグリッドハブポートユニット11(以下、VG-hubポートユニット11とも呼称する)を含む。
【0017】
<ヴァーチャルグリッド制御装置13>
ヴァーチャルグリッド制御装置13は、負荷デバイスまたは電源デバイスに接続されて電力を伝送可能な複数のVG-hubポートユニット11-1、11-2、…のそれぞれに制御命令を与える装置であり、
図2に示すようにヴァーチャルグリッド形成部131と、ヴァーチャルグリッドハブ形成部132と、判断部133を含む。
【0018】
ヴァーチャルグリッド形成部131は、VG-hubポートユニット同士の接続または非接続を制御して、ヴァーチャルグリッドを形成する。例えば
図1の例では、ヴァーチャルグリッド形成部131は、VG-hubポートユニット11-1とVG-hubポートユニット11-2を接続し、VG-hubポートユニット11-2とVG-hubポートユニット11-3を接続し、VG-hubポートユニット11-3とVG-hubポートユニット11-4、11-6を接続し、VG-hubポートユニット11-4とVG-hubポートユニット11-5を接続し、VG-hubポートユニット11-6とVG-hubポートユニット11-7、11-8を接続することにより形成したツリー状の電力供給網、すなわちヴァーチャルグリッド6を形成する。なお、VG-hubポートユニット11同士をつなぐ電力供給路は、本発明をUSB PDの電力供給能力内で実現する場合は、例えばUSB Type-Cケーブルを利用することが可能である。また、今後、48V系直流給電等でさらなる電力供給能力をもち、かつ、安全に取り扱える規格が出た場合にも、当該規格に準拠したケーブルを利用することで、本発明を適用できることは自明である。
【0019】
ヴァーチャルグリッドハブ形成部132は、一部のVG-hubポートユニット間の電力供給を制限することによりヴァーチャルグリッドを分割して、各分割結果であるヴァーチャルグリッドハブを形成する。例えば
図1の例では、ヴァーチャルグリッドハブ形成部132は、VG-hubポートユニット11-3を境界として、電力供給を制限することによりヴァーチャルグリッド6を分割して、ヴァーチャルグリッドハブ5-1(VG-hubポートユニット11-1、11-2により構成される)、ヴァーチャルグリッドハブ5-2(VG-hubポートユニット11-4、11-5、11-6、11-7、11-8により構成される)を形成する。
【0020】
判断部133は、任意のヴァーチャルグリッドハブから他の任意のヴァーチャルグリッドハブへの電力供給の可否および供給電力量を判断する。例えば
図1の例では、判断部133は、ヴァーチャルグリッドハブ5-1からヴァーチャルグリッドハブ5-2への電力供給の可否および供給電力量を、ヴァーチャルグリッドハブ5-1内の余剰電力の多寡、ヴァーチャルグリッドハブ5-2内の電力の不足状況に応じて判断する。同様に、判断部133は、ヴァーチャルグリッドハブ5-2からヴァーチャルグリッドハブ5-1への電力供給の可否および供給電力量を、ヴァーチャルグリッドハブ5-2内の余剰電力の多寡、ヴァーチャルグリッドハブ5-1内の電力の不足状況に応じて判断する。
【0021】
<ヴァーチャルグリッドハブ制御装置12>
ヴァーチャルグリッドハブ制御装置12は、各ヴァーチャルグリッドハブに対応して設けられる装置である。例えば
図1の例では、ヴァーチャルグリッドハブ5-1に対応してヴァーチャルグリッドハブ制御装置12-1が設けられ、ヴァーチャルグリッドハブ5-2に対応してヴァーチャルグリッドハブ制御装置12-2が設けられる。
図3に示すように、ヴァーチャルグリッドハブ制御装置12は、ユニット制御部121を含む。ユニット制御部121は、対応するヴァーチャルグリッドハブ内の各VG-hubポートユニットに制御命令を与える。
【0022】
ユニット制御部121は、対応するヴァーチャルグリッドハブ内の電源デバイスのトータルな電力供給能力(出力電力及び電力量)をバランス良く、対応するヴァーチャルグリッドハブ内の負荷デバイスに提供する制御を実行する。例えば
図1の例では、ヴァーチャルグリッドハブ制御装置12-1のユニット制御部121は、対応するヴァーチャルグリッドハブ5-1内の電源デバイスのトータルな電力供給能力をバランス良く、ヴァーチャルグリッドハブ5-1内の負荷デバイスに提供する制御を実行する。この動作は特許文献1の給電制御システムの動作と同様である。
【0023】
また、ユニット制御部121は、判断部133の判断を受信し、判断に従って、対応するヴァーチャルグリッドハブの境界に位置するVG-hubポートユニットを制御する。例えば
図1の例では、ヴァーチャルグリッドハブ制御装置12-1のユニット制御部121は、ヴァーチャルグリッドハブ5-1とヴァーチャルグリッドハブ5-2の間の電力供給の可否および供給電力量の判断に従い、2つのハブの境界に位置するVG-hubポートユニット11-3の制御を実行する。
【0024】
<VG-hubポートユニット11>
VG-hubポートユニット11は、互いに連結されてヴァーチャルグリッドを形成する装置である。以下、
図4を参照してVG-hubポートユニット11の構成例を説明する。同図に示すように本実施例のVG-hubポートユニット11は、複数の電力バス端子115と、デバイス接続端子111と、電力制御部113と、スイッチ112、114を含む。電力制御部113は、例えばDC/DCコンバータなどで実現可能である。
【0025】
複数の電力バス端子115は、他のVG-hubポートユニット11と接続されて電力を伝送する。デバイス接続端子111は、負荷デバイスまたは電源デバイスに接続されて電力を伝送する。電力制御部113は、入力された電力を対応する他の装置(ヴァーチャルグリッドハブ制御装置12)からの制御命令に従って制御して出力する。スイッチ112、114は、他の装置(ヴァーチャルグリッドハブ制御装置12、ヴァーチャルグリッド制御装置13)からの制御命令に従って、電力バス端子115同士を接続または非接続とし、電力バス端子115と電力制御部113を接続または非接続とし、デバイス接続端子111と電力制御部113を接続または非接続とする。
【0026】
なお、同図では電力バス端子115を3端子、電力制御部113を3つ備えるVG-hubポートユニット11を開示したが、これに限定されるものではなく、例えば電力バス端子115を2端子としてもよいし、4端子以上としてもよい。また電力制御部113を1つまたは2つとしてもよいし、4つ以上としてもよい。
【0027】
なお、同図ではデバイス接続端子111を1端子備えるVG-hubポートユニット11を開示したが、これに限定されるものではなく、デバイス接続端子111を省略したVG-hubポートユニット11が、ヴァーチャルグリッド内に一定の割合で含まれていてもよい。デバイス接続端子111を省略したVG-hubポートユニット11は、負荷デバイスや電源デバイスの接続には使用できないが、他のVG-hubポートユニット11との接続に用いることができるし、ヴァーチャルグリッドハブの境界として用いることもできる。
【0028】
なお、前述したデバイス接続端子111は、ヴァーチャルグリッドハブ内にあるときは、ヴァーチャルグリッドハブポートとも呼ばれる。これは、ヴァーチャルグリッドハブを一つのハブとしてとらえた場合に、このヴァーチャルグリッドハブ内にあるデバイス接続端子111は全て、当該ヴァーチャルグリッドハブ内のポートとして扱われるからである。
図4に示した装置は、ヴァーチャルグリッドハブのポートを提供するためのユニットであるため、ヴァーチャルグリッドハブポートユニット11(VG-hubポートユニット11)と呼称される。
【0029】
<ヴァーチャルグリッドハブの形成例1>
図4に開示したVG-hubポートユニット11を4つ使ったヴァーチャルグリッドハブの形成例1について
図5を参照して説明する。同図には、VG-hubポートユニット11-9、11-10、11-11、11-12が接続されており、VG-hubポートユニット11-10の右端の電力制御部113を介し、VG-hubポートユニット11-11が接続されている。従って、VG-hubポートユニット11-10の右端の電力制御部113が境界となり、VG-hubポートユニット11-9、11-10、11-12を含むヴァーチャルグリッドハブ5-3と、VG-hubポートユニット11-11を含むヴァーチャルグリッドハブ5-4が形成される。
図6に、
図5の状態と等価なヴァーチャルグリッドハブのネットワークを示す。
【0030】
なおヴァーチャルグリッドハブ5-3内では、VG-hubポートユニット11-9の電力バス端子115とVG-hubポートユニット11-10の電力バス端子115とが接続され、VG-hubポートユニット11-10の電力バス端子115とVG-hubポートユニット11-12の電力バス端子115とが接続されることにより、3つのユニット間の電力伝送路が確保され、負荷デバイスまたは電源デバイスと接続されたデバイス接続端子111が、電力制御部113を介して電力伝送路と接続される。これにより、各電力制御部113は、他の装置(ヴァーチャルグリッドハブ制御装置12)の制御に従って、負荷デバイスへの電力供給量、電源デバイスからの電力供給量を制御することができる。
【0031】
<ヴァーチャルグリッドハブの形成例2>
図4に開示したVG-hubポートユニット11を4つ使ったヴァーチャルグリッドハブの形成例2について
図7を参照して説明する。同図には、VG-hubポートユニット11-9、11-10、11-11、11-12が接続されており、VG-hubポートユニット11-10の各電力制御部113を介し、VG-hubポートユニット11-9、11-11、11-12が接続されている。従って、VG-hubポートユニット11-10の各電力制御部113が境界となり、VG-hubポートユニット11-9を含むヴァーチャルグリッドハブ5-5と、VG-hubポートユニット11-11を含むヴァーチャルグリッドハブ5-6と、VG-hubポートユニット11-12を含むヴァーチャルグリッドハブ5-7が形成される。
図8に、
図7の状態と等価なヴァーチャルグリッドハブのネットワークを示す。なお、本形成例では、各ヴァーチャルグリッドハブにデバイス接続端子が1個のためハブとしての機能を果たさないが、各ヴァーチャルグリッドハブに複数のVG-hubポートユニットを連結することで、複数個のデバイス接続端子を有したハブ機能を提供する拡張が可能である。
【0032】
<スイッチ切替によるユニット内の状態変化の例>
図9にスイッチ切替によるユニット内の状態変化の例を示す。同図は電力制御部113を2つ、電力バス端子115を3端子含む構成例である。例えば同図の[01]~[03]は、電力バス端子115-左の電力制御部113-デバイス接続端子111の接続があり、他の接続はないため、ヴァーチャルグリッドハブ内における終端として機能している。
【0033】
例えば同図の[04]~[06]は、二つの電力バス端子115が接続されてあるヴァーチャルグリッドハブ内の電力伝送路として機能しており、この伝送路に対して電力制御部113を介してデバイス接続端子111が接続される。デバイス接続端子111に接続された負荷デバイスまたは電源デバイスは、上述の電力伝送路から電力の供給を受けるか、あるいは上述の電力伝送路に電力を供給する。
【0034】
例えば同図の[07]~[09]は、電力バス端子115-左の電力制御部113-デバイス接続端子111の接続があり、あるヴァーチャルグリッドハブ内における終端に位置し、かつ残りの二つの電力バス端子115が接続されることにより、別のヴァーチャルグリッドハブ内の電力伝送路としても機能している。
【0035】
例えば同図の[10]~[12]は、二つの電力バス端子115が電力制御部113を介して接続されることにより、あるヴァーチャルグリッドハブと他のヴァーチャルグリッドハブとの境界として機能し、残りの電力バス端子115は、電力バス端子115-電力制御部113-デバイス接続端子111と接続されており、あるヴァーチャルグリッドハブ内における終端としても機能している。
【0036】
例えば同図の[13]~[15]は、一つの電力バス端子115はどこにも接続されず、残りの二つの電力バス端子115が電力制御部113を介して接続されることにより、あるヴァーチャルグリッドハブと他のヴァーチャルグリッドハブとの境界としてのみ機能している。このような働きをするVG-hubポートユニット11には、必ずしもデバイス接続端子111は必要ない。従って[13]~[15]のような使い方に限定することにより、VG-hubポートユニット11の簡易版(廉価版)としてデバイス接続端子111を割愛した構成もあり得る。
【0037】
例えば同図の[16]は、三つの電力バス端子115が接続され、あるヴァーチャルグリッドハブ内の電力伝送路(分岐点)として機能しており、この伝送路に対して電力制御部113を介してデバイス接続端子111が接続され、電力伝送路として機能している。
【0038】
<スイッチ112、114>
図10は3端子かつ3つの電力制御部113を備えるVG-hubポートユニット11のスイッチ112、114を説明する図である。
図10の例では、スイッチ112、114を一体型のスイッチとして実現している。同図の括弧内にn端子かつ
nC
2個の電力制御部113を含むVG-hubポートユニット11の場合の分岐の数を示した。
【0039】
<度数4の場合のパワーゾーンの設定例1>
度数4(電力バス端子115が4端子)の場合のパワーゾーン(ヴァーチャルグリッドハブ)の設定例1について
図11に開示する。
【0040】
<度数4の場合のパワーゾーンの設定例2>
図11の設定例1において、同図の中央の電源デバイス(UPS,無停電電源装置)が不良であった場合、例えば
図12に示すようにパワーゾーン(ヴァーチャルグリッドハブ)を動的に設定しなおすことができる。
【0041】
また、3つの電源デバイス(UPS)の協調給電を行いたい場合には、
図11、
図12に示したヴァーチャルグリッド全体を一つのパワーゾーン(ヴァーチャルグリッドハブ)と設定することもできる(図示略)。
【0042】
<補記>
本発明の装置は、例えば単一のハードウェアエンティティとして、キーボードなどが接続可能な入力部、液晶ディスプレイなどが接続可能な出力部、ハードウェアエンティティの外部に通信可能な通信装置(例えば通信ケーブル)が接続可能な通信部、CPU(Central Processing Unit、キャッシュメモリやレジスタなどを備えていてもよい)、メモリであるRAMやROM、ハードディスクである外部記憶装置並びにこれらの入力部、出力部、通信部、CPU、RAM、ROM、外部記憶装置の間のデータのやり取りが可能なように接続するバスを有している。また必要に応じて、ハードウェアエンティティに、CD-ROMなどの記録媒体を読み書きできる装置(ドライブ)などを設けることとしてもよい。このようなハードウェア資源を備えた物理的実体としては、汎用コンピュータなどがある。
【0043】
ハードウェアエンティティの外部記憶装置には、上述の機能を実現するために必要となるプログラムおよびこのプログラムの処理において必要となるデータなどが記憶されている(外部記憶装置に限らず、例えばプログラムを読み出し専用記憶装置であるROMに記憶させておくこととしてもよい)。また、これらのプログラムの処理によって得られるデータなどは、RAMや外部記憶装置などに適宜に記憶される。
【0044】
ハードウェアエンティティでは、外部記憶装置(あるいはROMなど)に記憶された各プログラムとこの各プログラムの処理に必要なデータが必要に応じてメモリに読み込まれて、適宜にCPUで解釈実行・処理される。その結果、CPUが所定の機能(上記、…部、…手段などと表した各構成要件)を実現する。
【0045】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、上記実施形態において説明した処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されるとしてもよい。
【0046】
既述のように、上記実施形態において説明したハードウェアエンティティ(本発明の装置)における処理機能をコンピュータによって実現する場合、ハードウェアエンティティが有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記ハードウェアエンティティにおける処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0047】
上述の各種の処理は、
図13に示すコンピュータの記録部10020に、上記方法の各ステップを実行させるプログラムを読み込ませ、制御部10010、入力部10030、出力部10040などに動作させることで実施できる。
【0048】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、半導体メモリ等どのようなものでもよい。具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM(Random Access Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、半導体メモリとしてフラッシュメモリ等を用いることができる。
【0049】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0050】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現するために、コンピュータネットワークを経由してコンピュータ資源をサービスの形で提供するクラウドコンピューティングを利用することにより、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0051】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、ハードウェアエンティティを構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。