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特許7370219識別システム、標示具、識別装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】識別システム、標示具、識別装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20231020BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20231020BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
G06K7/10 128
G06K19/07 200
G09F3/00 M
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019197756
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021071886
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】平田 周孝
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-048707(JP,A)
【文献】特開2007-257538(JP,A)
【文献】特開2016-150196(JP,A)
【文献】特開2011-111247(JP,A)
【文献】特表2019-517058(JP,A)
【文献】特開2005-094474(JP,A)
【文献】特開2013-137695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G09F 3/00
G06K 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の標示内容を示す標示具と、前記標示具によって示される標示内容を識別する識別装置と、を備える識別システムであって、
前記標示具は、
固有の識別情報を有するRFIDタグと、
標示内容を示す標示部と、
を備え、
前記識別装置は、
前記RFIDタグから受信した受信電波に基づいて、識別情報を取得する識別情報取得部と、
同時又はほぼ同時に取得された受信電波のうち最も強度の高い受信電波について、前記識別情報と標示内容との対応を判断する判断部と、
判断結果の表示を制御する表示制御部と、
を備える識別システム。
【請求項2】
前記識別装置は、前記標示具に対して放射する放射電波を出力可能であるとともに、前記RFIDタグから受信電波を受信可能なリーダ部をさらに備え、
前記標示具は、前記リーダ部から出力される電波を遮蔽するシールド部をさらに備える請求項1に記載の識別システム。
【請求項3】
前記RFIDタグは、前記シールド部を挟んで一対に配置される請求項2に記載の識別システム。
【請求項4】
前記標示具は、一対の前記RFIDタグに挟まれて配置される基部をさらに備え、
前記RFIDタグのそれぞれは、
ICと、
前記ICに接続される直線偏波用のアンテナ部と、
を備え、
前記識別装置は、対向される前記RFIDタグの前記アンテナ部の長さ方向の向きに応じた直線偏波を放射するリーダ部をさらに備え、
前記アンテナ部は、相手側の前記RFIタグに対して、前記基部を挟んで直線偏波の応答面を交差して配置される請求項1に記載の識別システム。
【請求項5】
前記標示具は、外周に配置される複数の前記RFIDタグによって囲まれる基部をさらに備え、
前記RFIDタグのそれぞれは、
ICと、
前記ICに接続される旋円偏波用のアンテナ部と、
を備え、
前記識別装置は、対向される前記RFIDタグの前記アンテナ部の応答する回転方向に合わせた特性に応じた旋円偏波を放射するリーダ部をさらに備え、
前記アンテナ部は、旋円偏波に対する応答特性を有する請求項1に記載の識別システム。
【請求項6】
前記基部は、一対の前記RFIDタグに挟まれて配置される請求項5に記載の識別システム。
【請求項7】
前記判断部は、所定時間内において最も新しく取得された受信電波について、前記識別情報と識別内容との対応を判断する請求項に記載の識別システム。
【請求項8】
前記判断部は、複数の前記標示具のそれぞれの前記識別情報と前記標示内容との対応を判断する請求項1からのいずれか記載の識別システム。
【請求項9】
前記識別装置は、
前記標示具を保持するユーザに対して所定の質問を実行する質問実行部と、
実行された質問の質問内容の表示を制御する表示制御部と、
をさらに備え、
前記判断部は、前記質問内容に対して、前記識別情報に対応する前記標示内容の正誤を判断し、
表示制御部は、前記質問内容と、判断された前記標示内容の表示と、前記標示内容の正誤の表示と、を制御する請求項又はに記載の識別システム。
【請求項10】
請求項1からのいずれかに記載の標示具。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の識別装置。
【請求項12】
固有の識別情報を有するRFIDタグと所定の標示内容を示す標示部とを備える標示具に対して、前記標示具によって示される標示内容を識別する識別装置としてコンピュータを動作させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記RFIDタグから識別情報を含む電波を取得する識別情報取得部、
同時又はほぼ同時に取得された受信電波のうち最も強度の高い受信電波について、前記識別情報と標示内容との対応を判断する判断部、
判断結果の表示を制御する表示制御部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別システム、標示具、識別装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、RFIDタグを有する標示具を用いて、標示具に標示されている標示内容を識別する装置が知られている。例えば、複数枚の無線ICタグを選択的に金属的に遮蔽可能な投票カードを用いて通信可能な信号を集計する電子投票システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-33576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電子投票システムでは、遮蔽部材の切欠部に位置する文字板と、文字板に対応する情報を有する無線ICタグとを有する投票カードが用いられる。また、特許文献1では、データ集計装置の無線読取部に投票カードが近接される。これにより、切欠部に配置される無線ICタグのデータが読み取られる。
【0005】
一方、特許文献1では、投票カードの識別情報と、表示板の表示内容との対応関係まで識別されていない。すなわち、特許文献1では、いずれの投票カードでどのような表示内容が表示されていたのかまでは識別されていない。そこで、標示具に標示されている標示内容を標示具ごとに容易に識別できれば好適である。
【0006】
本発明は、標示具に標示されている表示内容を標示具ごとに容易に識別可能な識別システム、標示具、標示装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、所定の標示内容を示す標示具と、前記標示具によって示される標示内容を識別する識別装置と、を備える識別システムであって、前記標示具は、固有の識別情報を有するRFIDタグと、標示内容を示す標示部と、を備え、前記識別装置は、前記RFIDタグから受信した受信電波に基づいて、識別情報を取得する識別情報取得部と、前記識別情報と標示内容との対応を判断する判断部と、判断結果の表示を制御する表示制御部と、を備える識別システムに関する。
【0008】
(2) 前記識別装置は、前記標示具に対して放射する放射電波を出力可能であるとともに、前記RFIDタグから受信電波を受信可能なリーダ部をさらに備え、前記標示具は、前記リーダ部から出力される電波を遮蔽するシールド部をさらに備えるのが好ましい。
【0009】
(3) 前記RFIDタグは、前記シールド部を挟んで一対に配置されるのが好ましい。
【0010】
(4) 前記標示具は、一対の前記RFIDタグに挟まれて配置される基部をさらに備え、前記RFIDタグのそれぞれは、ICと、前記ICに接続される直線偏波用のアンテナ部と、を備え、前記識別装置は、対向される前記RFIDタグの前記アンテナ部の長さ方向の向きに応じた直線偏波を放射するリーダ部をさらに備え、前記アンテナ部は、相手側の前記RFIFタグに対して、前記基部を挟んで直線偏波の応答面を交差して配置されるのが好ましい。
【0011】
(5) 前記標示具は、外周に配置される複数の前記RFIDタグによって囲まれる基部をさらに備え、前記RFIDタグのそれぞれは、ICと、前記ICに接続される旋円偏波用のアンテナ部と、を備え、前記識別装置は、対向される前記RFIDタグの前記アンテナ部の応答する回転方向に合わせた特性に応じた旋円偏波を放射するリーダ部をさらに備え、前記アンテナ部は、旋円偏波に対する応答特性を有するのが好ましい。
【0012】
(6) 前記基部は、一対の前記RFIDタグに挟まれて配置されるのが好ましい。
【0013】
(7) 前記判断部は、同時又はほぼ同時に取得された受信電波のうち最も強度の高い受信電波について、前記識別情報と標示内容との対応を判断するのが好ましい。
【0014】
(8) 前記判断部は、所定時間内において最も新しく取得された受信電波について、前記識別情報と識別内容との対応を判断するのが好ましい。
【0015】
(9) 前記判断部は、複数の前記標示具のそれぞれの前記識別情報と前記標示内容との対応を判断するのが好ましい。
【0016】
(10) 前記識別装置は、前記標示具を保持するユーザに対して所定の質問を実行する質問実行部と、実行された質問の質問内容の表示を制御する表示制御部と、をさらに備え、前記判断部は、前記質問内容に対して、前記識別情報に対応する前記標示内容の正誤を判断し、表示制御部は、前記質問内容と、判断された前記標示内容の表示と、前記標示内容の正誤の表示と、を制御するのが好ましい。
【0017】
(12) また、本発明は、上記(1)から(11)のいずれかに記載の標示具に関する。
【0018】
(13) また、本発明は、上記(1)から(11)のいずれかに記載の識別装置に関する。
【0019】
(14) また、本発明は、固有の識別情報を有するRFIDタグと所定の標示内容を示す標示部とを備える標示具に対して、前記標示具によって示される標示内容を識別する識別装置としてコンピュータを動作させるプログラムであって、前記コンピュータを、前記RFIDタグから識別情報を含む電波を取得する識別情報取得部、前記識別情報と標示内容との対応を判断する判断部、判断結果の表示を制御する表示制御部、として機能させるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、標示具に標示されている表示内容を標示具ごとに容易に識別可能な識別システム、標示具、標示装置、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る識別システムを示す概略構成図である。
図2】第1実施形態の標示具を示す分解図である。
図3】第1実施形態の識別装置を示すブロック図である。
図4】第1実施形態の対応情報格納部に格納されている対応情報を示す概略図である。
図5】第1実施形態の取得された識別情報、時刻、及び電波強度を示す概略図である。
図6】第1実施形態の表示システムの表示装置に表示される画面を示す画面図である。
図7】第1実施形態の識別システムの処理の流れを示すフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態の標示具を示す分解図である。
図9】本発明の第3実施形態の標示具を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の各実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムについて、図1から図9を参照して説明する。
まず、各実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムを説明するにあたり、それぞれが各実施形態において用いられる環境について説明する。
【0023】
老人ホーム、リハビリ病院等においては、入所者(ユーザ)に対して運動可能な環境が用意されるのが好ましい。一方、老人ホーム、リハビリ病院等には、面積の広い運動用の場所を用意できない場合がある。また、入所者(ユーザ)は、身体的に激しい運動をすることができない場合がある。そこで、手を動かす等の軽度な運動を楽しくすることができれば、ユーザにとって好適である。以下の各実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムは、例えば、老人ホーム、リハビリ病院等でのゲームに用いられる。具体的には、識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムは、老人ホーム、リハビリ病院等での〇×ゲームに用いられる。
【0024】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムについて、図1から図8を参照して説明する。
本実施形態に係る識別システム1は、例えば、入所者によって選択された標示内容について、RFIDタグの通信を用いて認識することが可能なシステムである。識別システム1は、標示具10と、識別装置20と、表示装置30と、を備える。
【0025】
標示具10は、例えば、図1に示すように、札状に構成される。標示具10は、所定の標示内容を示す。標示具10は、例えば、図2に示すように、シールド部11と、柄部12と、RFIDタグ13と、標示部14と、を備える。標示具10は、複数のユーザのそれぞれに少なくとも1つずつ用意される。本実施形態において、標示具10は、5人のユーザ(A、B、C、D、E)のそれぞれに1つずつ用意される。
【0026】
シールド部11は、例えば、板状に構成される。本実施形態において、シールド部11は、円板状に形成される。シールド部11は、後述するリーダ部21から出力される電波を遮蔽する。シールド部11は、例えば、金属を用いて形成される。
【0027】
柄部12は、例えば、棒状に構成される。柄部12は、ユーザによって把持可能な長さで形成される。本実施形態において、柄部12の一端は、シールド部11の外周端に接続される。
【0028】
RFIDタグ13は、例えば、固有の識別情報を有する。具体的には、RFIDタグ13は、固有の識別情報を無線出力可能に構成される。本実施形態において、RFIDタグ13は、2つ設けられる。具体的には、RFIDタグ13は、シールド部11を挟んで一対に配置される。RDIDタグは、例えば、シールド部11の両面のそれぞれに一対に配置される。RFIDタグ13は、IC131と、アンテナ部132と、を備える。
【0029】
IC131は、例えば、識別情報を出力可能な装置である。本実施形態において、IC131は、共振回路を内包して構成される。IC131は、後述するリーダ部21から放射される電波の受信に応じて、識別情報を出力する。
【0030】
アンテナ部132は、直線偏波用のアンテナである。。アンテナ部132は、IC131に接続される。本実施形態において、アンテナ部132は、直線状に構成される。アンテナ部132は、例えば、IC131を挟んで直線状に一対に配置される。アンテナ部132は、後述するリーダ部21から放射される電波を受信可能に構成される。また、アンテナ部132は、IC131から出力される識別情報を含む応答電波を放射する。
【0031】
標示部14は、例えば、円板状に構成される。標示部14は、シールド部11の径と同じ又は略同じ径で構成される。標示部14は、例えば、シールド部11の両面のそれぞれに配置される。具体的には、標示部14は、RFIDタグ13を被覆するように、シールド部11の両面のそれぞれに配置される。標示部14は、所定の標示内容を示す。標示部14は、例えば、露出する一面に所定の標示内容を示す。本実施形態において、標示部14の一方は、「〇」を標示内容として示す。また、標示部14の他方は、「×」を標示内容として示す。
【0032】
以上の標示部14によれば、柄部12がユーザによって把持されることで用いられる。標示部14の一方の面が後述するリーダ部21に対向されることで、一方の面側に配置されるRFIDタグ13は、後述するリーダ部21から放射される電波を受信する。これに対し、他方の面側に配置されるRFIDタグ13は、シールド部11による電波の遮蔽により、後述するリーダ部21から放射される電波を有効に受信しない(比較的弱い強度の電波を受信する)。したがって、一方の面側に配置されるRFIDタグ13が識別情報を含むより強い(有効な)応答電波を放射する。すなわち、一方の面側の標示部14によって被覆されるRFIDタグ13がより強い(有効な)応答電波を放射する。
【0033】
識別装置20は、標示具10によって示される標示内容を識別する装置である。識別装置20は、図3に示すように、リーダ部21と、計時部22と、強度計測部23と、識別情報取得部24と、対応情報格納部25と、質問情報格納部26と、質問実行部27と、判断部28と、表示制御部29と、を備える。
【0034】
リーダ部21は、箱状に構成される装置である。リーダ部21は、標示具10に対して放射する放射電波を出力可能であるとともに、RFIDタグ13から受信電波を受信可能な装置である。リーダ部21は、例えば、一面から放射電波を出力可能であるとともに、同じ面で受信電波を受信可能に構成される。
【0035】
計時部22は、例えば、CPUが動作することにより実現される。計時部22は、時刻を計時する。また、計時部22は、所定の時刻から経過した時間を計時する。
【0036】
強度計測部23は、例えば、CPUが動作することにより実現される。強度計測部23は、リーダ部21によって受信された受信電波の強度を計測する。
【0037】
識別情報取得部24は、例えば、CPUが動作することにより実現される。識別情報取得部24は、RFIDタグ13から受信した受信電波に基づいて、識別情報を取得する。識別情報取得部24は、例えば、複数の標示部14について、対向する標示部14のRFIDタグ13から受信した受信電波に基づいて、それぞれの識別情報を取得する。また、識別情報取得部24は、識別情報を取得した時刻について、計時部22から取得する。また、識別情報取得部24は、識別情報を含む受信電波の電波強度について、強度計測部23から取得する。
【0038】
対応情報格納部25は、例えば、ハードディスク等の二次記憶媒体である。対応情報格納部25は、識別情報に対応する標示内容を対応情報として格納する。対応情報格納部25は、例えば、ユーザ毎(標示具10ごと)に、RFIDタグ13の識別情報と、標示内容との組み合わせを対応情報として格納する。すなわち、対応情報格納部25は、シールド部11のそれぞれの面に配置されるRFIDタグ13の識別情報と、標示内容との組み合わせを対応情報として格納する。具体的には、対応情報格納部25は、図4に示すように、ユーザ毎(標示具10ごと)に、「〇」を示す識別情報と、「×」を示す識別情報を格納する。
【0039】
質問情報格納部26は、例えば、ハードディスク等の二次記憶媒体である。質問情報格納部26は、質問内容と、質問に対する正答とを質問情報として格納する。質問情報格納部26は、例えば、「〇」と「×」とで回答可能な2択の質問を質問情報として格納する。
【0040】
質問実行部27は、例えば、CPUが動作することにより実現される。質問実行部27は、標示具10を保持するユーザに対して所定の質問を実行する。質問実行部27は、例えば、質問情報格納部26から質問情報を読み出して、後述する表示制御部29に表示制御させることで、ユーザに対して所定の質問を実行する。また、質問実行部27は、質問に対する正答を後述する判断部28に送る。また、質問実行部27は、予め質問内容を設定したプログラムにしたがって、質問情報格納部26から質問情報を読み出す。質問実行部27は、例えば、プログラムの終了に応じて、質問終了を示す信号を判断部28に送る。
【0041】
判断部28は、例えば、CPUが動作することにより実現される。判断部28は、識別情報と標示内容との対応を判断する。判断部28は、例えば、図5に示されているような、識別情報、時刻、及び電波強度を取得する。判断部28は、例えば、対応情報格納部25に格納されている対応情報と、取得された識別情報とに基づいて、標示内容を判断する。また、判断部28は、質問内容に対して、識別情報に対応する標示内容の正誤を判断する。具体的には、判断部28は、判断された標示内容と、送られた正答との一致又は不一致を判断する。また、判断部28は、1つの標示部14に対応付けられる複数の識別情報が取得されている場合には、正誤を判断する識別情報を選択する。本実施形態において、判断部28は、質問の実行から計時開始された所定時間の間に取得された識別情報について、正誤を判断する。また、本実施形態において、判断部28は、同じ標示具10から、識別情報を同時又はほぼ同時に複数取得した場合に、最も電波強度の高い受信電波に基づく識別情報について、正誤を判断する。また、本実施形態において、判断部28は、異なる時刻に異なる識別情報を取得した場合に、最も後に受信した受信電波に基づいて取得された識別情報について、正誤を判断する。すなわち、判断部28は、所定時間に取得された識別情報のうち、最も新しい識別情報について正誤を判断する。
【0042】
表示制御部29は、例えば、CPUが動作することにより実現される。表示制御部29は、判断結果の表示を制御する。表示制御部29は、例えば、後述する表示装置30への表示内容を制御する。表示制御部29は、例えば、図6に示すように、実行された質問の質問内容を表示装置30に表示させる制御を実行する。また、表示制御部29は、例えば図6に示すように、判断結果として、判断部28によって判断された正誤を表示装置30に表示させる制御を実行する。
【0043】
表示装置30は、例えば、ディスプレイ等である。表示装置30は、ユーザに対して表示可能に配置される。表示装置30は、例えば、質問内容を表示する。また、表示装置30は、例えば、ユーザによって選択された標示内容を表示する。本実施形態において、表示装置30は、ユーザによって選択された「〇」又は「×」の標示内容を表示する。また、表示装置30は、例えば、判断結果を表示する。具体的には、表示装置30は、ユーザによって示された表示内容の正誤について、ユーザごとに「正解」又は「不正解」で表示する。
【0044】
次に、本実施形態に係る識別システム1の動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。
まず、図7に示すように、表示装置30に、質問内容が表示される(ステップS1)。ここで、質問実行部27は、質問情報格納部26から質問情報を読み出す。質問実行部27は、読み出した質問情報に含まれる質問を実行する。表示制御部29は、実行された質問内容を表示装置30に表示させる。また、質問実行部27は、質問情報に含まれる正答を判断部28に送る。
【0045】
ユーザは、表示装置30に表示される質問内容に応じて標示具10を挙げる。このとき、例えば、ユーザは、正解と思われる標示部14の面をリーダ部21に向けて標示具10を挙げる。これにより、標示具10は、一方の面に配置されるRFIDタグ13をリーダ部21に向けた状態に位置される。
【0046】
次いで、識別情報取得部24は、識別情報を取得する(ステップS2)。ここで、リーダ部21は、放射した電波に応じて標示具10(RFIDタグ13)から出力される受信電波を受信する。強度計測部23は、受信電波の強度を計測する。識別情報取得部24は、受信電波に含まれる識別情報と、計測された強度と、計時部22によって計時される受信時刻とを判断部28に送る。本実施形態において、識別情報取得部24は、予め定められた時間の間、リーダ部21から電波を放射するとともに、標示具10から放射される電波を受信する。
【0047】
ステップS3において、判断部28は、取得された複数の識別情報のうち、ユーザによって選択された識別情報を選択する。判断部28は、例えば、取得された複数の識別情報のうち、最後に取得された複数の識別情報のうち、最も強度の強い識別情報について、ユーザによって選択された識別情報として選択する。
【0048】
ステップS4において、判断部28は、標示内容を特定する。具体的には、判断部28は、選択された識別情報に対応する標示内容を特定する。換言すると、判断部28は、所定時間終了時に、リーダ部21に向けられていた標示部14の標示内容を特定する。判断部28は、例えば、標示内容として、「〇」又は「×」を特定する。次いで、処理は、ステップS5に進む。
【0049】
ステップS5において、判断部28は、判断された標示内容について、正解か否かを判断する。判断部28は、判断された標示内容と、質問実行部27から送信された正答とが一致するか否かを判断する。判断結果が一致である場合(ステップS5:YES)、処理は、ステップS6に進む。一方、判断結果が不一致である場合(ステップS5:NO)、処理は、ステップS8に進む。
【0050】
ステップS6において、表示制御部29は、表示装置30に「正解」を表示させる。本実施形態において、正解のインジケータを点灯させる。
【0051】
次いで、判断部28は、次の質問があるか否かを判断する(ステップS7)。判断部28は、例えば、質問実行部27によって次の質問が実行される場合、判断部28は、次の質問があると判断する。一方、質問実行部27によって次の質問が実行されない場合、又は質問実行部27から質問終了の信号を受信することによって、判断部28は、次の質問が無いと判断する。次の質問がある場合(ステップS7:YES)、処理は、ステップS1に戻る。一方、次の質問が無い場合(ステップS7:NO)、本フローによる処理は、終了する。
【0052】
ステップS8において、表示制御部29は、表示装置30に「不正解」を表示させる。本実施形態において、表示制御部29は、表示装置30に不正解のインジケータを点灯させる。を表示させる。そして、処理は、ステップS7に進む。
【0053】
次に、プロブラムについて説明する。
識別装置20に含まれる各構成は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0054】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、表示プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0055】
以上、第1実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(1) 所定の標示内容を示す標示具10と、標示具10によって示される標示内容を識別する識別装置20と、を備える識別システム1であって、標示具10は、固有の識別情報を有するRFIDタグ13と、標示内容を示す標示部14と、を備え、識別装置20は、RFIDタグ13から受信した受信電波に基づいて、識別情報を取得する識別情報取得部24と、識別情報と標示内容との対応を判断する判断部28と、判断結果の表示を制御する表示制御部29と、を備える。これにより、標示具10に標示されている表示内容を標示具10ごとに容易に識別することができる。
【0056】
(2) 識別装置20は、標示具10に対して放射する放射電波を出力可能であるとともにRFIDタグ13から受信電波を受信可能なリーダ部21をさらに備え、標示具10は、リーダ部21から出力される電波を遮蔽するシールド部11をさらに備える。これにより、リーダ部21は、標示具10に設けられるRFIDタグ13のうち、対向されるRFIDタグ13の電波を受信する。一方、リーダ部21は、対向されるRFIDタグ13から受信した電波に比べ、シールド部11を介して配置されるRFIDタグ13の電波を十分な強度で受信できない。したがって、標示具10によって示される識別情報を適切に受信することができる。
【0057】
(3) 判断部28は、同時又はほぼ同時に取得された受信電波のうち最も強度の高い受信電波について、識別情報と標示内容との対応を判断する。これにより、標示具10の一方の面がリーダ部21に対向していない場合であっても、より対向する位置にあると思われるRFIDタグ13の受信電波について、判断する識別情報とすることができる。したがって、標示具10の一方の面のリーダ部21に対する向きについて、許容する角度を広げることができる。
【0058】
(4) 判断部28は、所定時間内において最も新しく取得された受信電波について、識別情報と識別内容との対応を判断する。これにより、所定時間の終了間近に標示具の向きが変更されたとしても、変更された標示具の向きに対応するRFIDの識別情報に基づいて正誤を判断することができる。したがって、よりユーザライクなシステムを構築することができる。
【0059】
(5) 判断部28は、複数の標示具10のそれぞれの識別情報と標示内容との対応を判断する。これにより、より汎用性の高い識別システム1及び識別装置20を提供することができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムについて、図8を参照して説明する。第2実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムは、図8に示すように、シールド部11に代えて、一対のRFIDタグ13A、13Bに挟まれて配置される基部15を備える点で第1実施形態と異なる。また、第2実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムは、アンテナ部132が、相手側のRFIFタグに対して、基部15を挟んで交差して配置される点で、第1実施形態と異なる。また、第2実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別情報、及びプログラムは、リーダ部21が、対向されるRFIDタグ13Aのアンテナ部132Aの長さ方向の向きに応じた直線偏波を放射する点で第1実施形態と異なる。
【0061】
基部15は、電波を遮蔽しない材料で構成される。基部15は、例えば、紙を用いて構成される。基部15は、標示部14と同形状の板状体として構成される。
【0062】
RFIDタグ13A、13Bは、図8に示すように、基部15を介してアンテナ部132A、132Aを交差した状態に配置される。これにより一方のRFIDタグ13Aは、リーダ部21に対向する位置かつ(電波の方向が)平行に向けられることで、リーダ部21から放射される直線偏波に対して比較的強い電波で応答可能に配置される。一方、RFIDタグ13Bは、リーダ部21に対向する位置とは反対かつ(電波の方向が)垂直に向けられることで、リーダ部21から放射される直線偏波に対して比較的弱い電波で応答可能に配置される。すなわち、リーダ部21は、標示部14のうち、回答として示されている標示部14の側に配置されているRFIDタグ13Aの応答をより強い電波として受信することができる。
【0063】
以上、第2実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(6) 標示具10は、一対のRFIDタグ13A、13Bに挟まれて配置される基部15をさらに備え、RFIDタグ13A、13Bのそれぞれは、IC131A、131Bと、IC131A、131Bに接続される直線状のアンテナ部132A、132Bと、を備え、識別装置20は、対向されるRFIDタグ13Aのアンテナ部132Aの長さ方向の向きに応じた直線偏波を放射するリーダ部21をさらに備え、アンテナ部132A、132Bは、相手側のRFIDタグ13A、13Bに対して、基部15を挟んで交差して配置される。これにより、基部15が電波を遮蔽する部材でなくとも、RFIDタグ13A、13Bの電波を選択的に取得することができる。したがって、基部15をより軽い材料とすることができるので、標示具10の重量を低減することができる。
【0064】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムについて、図9を参照して説明する。第3実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第3実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムは、図9に示すように、標示具10が、外周に配置される複数のRFIDタグ13C、13Dによって囲まれる基部15をさらに備える点で第2実施形態と異なる。また、第3実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムは、識別装置20が、対向されるRFIDタグ13Cのアンテナ部132Cの応答する回転方向に合わせた特性に応じた旋円偏波を放射するリーダ部21をさらに備える点で第2実施形態と異なる。また、第3実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムは、アンテナ部132C、132Dが、旋円偏波用のアンテナである点で2実施形態と異なる。
【0065】
RFIDタグ13C、13Dは、例えば、基部15の両面のそれぞれに一対に配置される。RFIDタグ13C、13Dは、図9に示すように、右旋円偏波に対応するRFIDタグ13C、13Dとして構成される。すなわち、RFIDタグ13C、13Fは、右旋円偏波に対応するアンテナ部132C、132Dを有する。これによりRFIDタグ13C、13Dは、リーダ部21に対向する位置に向けられることで、リーダ部21から放射される右旋円偏波に対して比較的強い電波で応答可能に配置される。一方、RFIDタグ13C、13Dは、リーダ部21に対向する位置とは反対に向けられることで、リーダ部21から放射される右旋円偏波に対して比較的弱い電波で応答可能に配置される。すなわち、識別装置20は、標示部14のうち、回答として示されている標示部14の側に配置されているRFIDタグ13C、13Dの応答をより強い電波として受信することができる。
【0066】
また、3つ以上のRFIDタグ13C、13Dが基部15の外周に沿って並設され、基部15を囲う場合、リーダ部21は、放射する右円旋偏波に対して、最も正面に配置されるRFIDタグ13C、13Dから最も強度の高い受信電波を得ることが期待できる。すなわち、リーダ部21は、標示部14のうち、回答として示されている標示部14の側に配置されているRFIDタグ13C、13Dの応答をより強い電波として受信することができる。
【0067】
以上、第3実施形態に係る識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(7) 標示具10は、外周に配置される複数のRFIDタグ13C、13Dによって囲まれる基部15をさらに備え、RFIDタグ13C、13Dのそれぞれは、IC131C、131Dと、IC131C、131Dに接続される旋円偏波用のアンテナ部132C、132Dと、を備え、識別装置20は、対向されるRFIDタグ13C、13Dのアンテナ部132C、132Dの応答する回転方向に合わせた特性に応じた旋円偏波を放射するリーダ部21をさらに備え、アンテナ部132C、132Dは、旋円偏波に対する応答特性を有する。これにより、3以上の回答を標示具10に設けることができる。したがって、回答の幅を広げることができる。
【0068】
以上、本開示の識別システム、標示具、識別装置、及びプログラムの好ましい各実施形態につき説明したが、本開示は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上記第1実施形態において、シールド部11は、開口を有する箱体であってもよい。そして、シールド部11の位置には、第2実施形態の基部15が配置されてもよい。そして、RFIDタグ13は、基部15の一面のみに配置されてもよい。複数の標示具10のうち、回答される標示具10のみがシールド部11から把持されて取り出されるような形態であってもよい。
【0069】
また、上記各実施形態において、表示制御部29は、表示装置30に回答までの残り時間を表示させるようにしてもよい。これにより、回答までの残り時間をユーザに報せることができる。
【0070】
また、上記各実施形態における識別システム1、標示具10、識別装置20、及びプログラムは、ゲームに限定されず、収録スタジオでの回答の集計等にも用いることができる。
【0071】
また、上記第2及び第3実施形態において、基部15は、電波を遮蔽しない材料で構成されるとしたが、これに制限されない。基部15は、電波を遮蔽する材料で構成されてもよい。
【0072】
また、上記実施形態において、識別装置20は、複数のリーダ部21を備えてもよい。複数のリーダ部21のそれぞれは、例えば、異なる角度の直線偏波を放射するようにしてもよい。これに合わせて、標示具10は、リーダ部21に対向した状態において、アンテナ部132の配置角度がシールド部11(基部15)の対向面上で異なるRFIDタグ13を複数備えてもよい。判断部28は、同時又はほぼ同時に取得される受信電波のうち、最も強度の高い受信電波に対応する識別情報を有効な識別情報として選択してよい。これにより、標示具10において、複数の回答を標示することができ、識別システム1の汎用性を向上することができる。
【0073】
また、上記実施形態において、判断部28は、リーダ部21による電波の取得とともに、リアルタイムで標示内容を判断するようにしてもよい。判断部28は、例えば、受信中の電波に基づいて、最も強い強度の電波に対応する識別情報について、リアルタイムで標示内容として判断してもよい。このような構成とすることで、識別システム1をより多くのゲーム等に用いることが可能となり、識別システム1の汎用性を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0074】
1 識別システム
10 標示具
11 シールド部
13 RFIDタグ
14 標示部
15 基部
20 識別装置
21 リーダ部
24 識別情報取得部
27 質問実行部
28 判断部
29 表示制御部
131 IC
132 アンテナ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9