(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20231020BHJP
G01R 33/07 20060101ALI20231020BHJP
H10N 52/00 20230101ALI20231020BHJP
【FI】
G01R33/02 X
G01R33/07
H10N52/00 P
(21)【出願番号】P 2019215697
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2019064068
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】上村 紘崇
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0261565(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10108640(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0212216(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0138372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
G01R 33/07
H10N 52/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対して垂直な表面を含む半導体基板と、
前記第1方向に深さと、前記第1方向に対して垂直な第2方向に幅と、前記第1方向及び前記第2方向の双方向に対して垂直な第3方向に奥行と、を有する感磁部を含み、前記半導体基板に設けられた縦型ホール素子と、
前記第2方向に、第1の端面及び第2の端面を有し、前記第3方向に沿って延びる励磁配線と、を備え、
前記励磁配線は、前記半導体基板の表面側に、前記感磁部から離間した位置であって、前記第1方向からの平面視において、前記感磁部の幅の中心と重なる位置に配置され、
前記励磁配線の幅は、前記感磁部の幅よりも狭く、
前記励磁配線が配置される位置は、前記平面視において、前記感磁部の幅の中心から前記第1の端面までの距離が、前記感磁部の幅の中心から前記第2の端面までの距離
未満となる位置であり、
前記感磁部の幅をWとし、前記平面視において、前記感磁部の幅の中心から前記第1の端面までの距離をWc/2とし、前記感磁部の深さの中心から前記励磁配線
の下面までの距離をhとしたときに、下記(1)式の関係を満たすuが0.6以上であることを特徴とする半導体装置。
【数1】
【請求項2】
前記平面視において、
前記励磁配線は、前記感磁部を覆うことを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、磁気センサとしてホール素子を用いた半導体装置がある。ホール素子は、非接触で位置や角度を検出可能な磁気センサとして様々な用途に用いられている。また、ホール素子には、縦型ホール素子と横型ホール素子とがある。このうち、横型ホール素子は、素子表面に対して垂直な磁場成分を検出する磁気センサである。一方、縦型ホール素子は、素子表面に対して平行な磁場成分を検出する磁気センサである。さらに、横型ホール素子と縦型ホール素子とを組み合わせて、2次元的又は3次元的に磁場を検出する磁気センサも提案されている。
【0003】
ところで、上述した縦型ホール素子は、横型ホール素子に比べて製造ばらつきによる影響を受け易く、感度やオフセット電圧特性について、横型ホール素子よりもばらつきが大きくなり易い。
【0004】
このような特性のばらつきを較正するため、縦型ホール素子の近傍に励磁配線を配置し、この励磁配線に一定の電流を流すことによって、所定の強度を有する磁場(以下、「較正磁場」とする)を縦型ホール素子の感磁部に印加し、この感磁部における感度を推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、特許文献1に記載の発明では、較正磁場の強度を変化させ、縦型ホール素子から出力されるホール電圧の変化を測定することによって、感磁部における実際の感度を推定している。
【0005】
また、特許文献1に記載の発明では、縦型ホール素子における感磁部の中心に対して励磁配線の中心を水平方向にずらすこと、すなわち励磁配線の中心と感磁部の中心との水平方向の距離を離すことが行われている。これにより、半導体装置の製造中におけるプロセス変動による励磁配線の幅等のばらつきによって、励磁配線が発生する較正磁場の強度のばらつきを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の発明では、励磁配線と感磁部とが、水平方向に離隔されて配置されているため、以下のような問題が発生する。励磁配線に流れる電流により発生する較正磁場の強度は、励磁配線からの距離に反比例するため、感磁部と励磁配線との距離が大きくなるほど、感磁部に印加される較正磁場の強度が低くなる。
【0008】
感磁部に印加される較正磁場の強度が低くなると、縦型ホール素子から出力されるホール電圧の変化が小さくなる。したがって、特許文献1に記載の発明では、感磁部に印加される較正磁場の強度のばらつきは抑制できたとしても、較正磁場の強度が低くなるため、感磁部における実際の感度を推定する精度が低下してしまう。
【0009】
この対策として、励磁配線に流す電流を増加し、感磁部に印加される較正磁場の強度を高めることが考えられる。しかしながら、励磁配線に流す電流を増加させると、励磁配線の発熱量が増大する。
【0010】
また、特許文献1に記載の発明では、励磁配線の中心を感磁部の中心から水平方向に大きくずらしているため、感磁部の周辺に配置された周辺回路と励磁配線との距離が近くなる。この場合、周辺回路は、近接する励磁配線から熱の影響を受ける。具体的には、励磁配線の発熱によって、周辺回路に非対称な温度分布が生じ、この周辺回路の特性が変動する。したがって、励磁配線に流す電流を増加させた場合も、感磁部における実際の感度を推定する精度が低下してしまう。
【0011】
なお、励磁配線と周辺回路との距離を大きくすれば、周辺回路の特性が変動することを抑制することは可能であるが、半導体装置の所要面積を増大させ、コストの増加を招くため現実的ではない。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、感磁部に印加される較正磁場の発生効率を高めつつ、その較正磁場の強度のばらつき及び周辺回路の熱による特性変動を抑制する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、第1方向に対して垂直な表面を含む半導体基板と、第1方向に深さと、第1方向に対して垂直な第2方向に幅と、第1方向及び第2方向の双方向に対して垂直な第3方向に奥行と、を有する感磁部を含み、半導体基板に設けられた縦型ホール素子と、第2方向に、第1の端面及び第2の端面を有し、第3方向に沿って延びる励磁配線と、を備え、励磁配線は、半導体基板の表面側に、感磁部から離間した位置であって、第1方向からの平面視において、感磁部の幅の中心と重なる位置に配置され、励磁配線が配置される位置は、平面視において、感磁部の幅の中心から第1の端面までの距離が、感磁部の幅の中心から第2の端面までの距離以下となる位置であり、感磁部の幅をWとし、平面視において、感磁部の幅の中心から第1の端面までの距離をWc/2とし、感磁部の深さの中心から励磁配線までの距離をhとしたときに、下記(1)式の関係を満たすuが0.6以上であることを特徴とする。
【数1】
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る半導体装置によれば、較正磁場を発生させる励磁配線と感磁部とを適切な関係で配設することにより、感磁部に印加される較正磁場の発生効率を高めつつ、強度のばらつき及び周辺回路の熱による特性変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図2】本実施形態に係る半導体装置のII-II線断面図である。
【
図3】本実施形態に係る半導体装置のIII-III線要部断面図である。
【
図4】実施形態に係る半導体装置の原理を説明する説明図である。
【
図5】感磁部に印加される較正磁場の面内方向における強度の分布を示すグラフである。
【
図6】均一性と感磁部に印加される較正磁場の強度のばらつきとの関係を示すグラフである。
【
図7】第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図8】本実施形態に係る半導体装置のVIII-VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明で用いている、左、右、上及び下等の方向は、図示された状態に基づく方向である。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置1Aの構成を示す平面図である。
図2は、半導体装置1Aの
図1中に示す切断線II-II線に沿う断面図(II-II線断面図)である。
図3は、
図1中に示す切断線III-III線に沿う半導体装置1Aの要部の断面図(III-III線要部断面図)である。なお、
図1においては、説明の便宜上、絶縁層6a、6bを省略した状態を示している。
【0018】
半導体装置1Aは、
図1、
図2および
図3に示すように、半導体基板2と、感磁部3aを含み、半導体基板2に設けられた縦型ホール素子3と、感磁部3aの上方に設けられた励磁配線4と、を備えている。
【0019】
半導体基板2は、P型及びN型の一方である第1の導電型(例えばP型)を有している。また、半導体基板2は、第1方向としての深さ方向に対して垂直な表面Sを含んでいる。ここで、深さ方向は、xyz三次元直交座標系のz方向に対して平行な方向である。半導体基板2には、縦型ホール素子3と、拡散層8と、が設けられている。
【0020】
縦型ホール素子3は、素子表面に対して平行な磁場成分を検出する感磁部3aと、感磁部3aの上部に配置される、複数(例えば、本実施形態では5つ)の電極7と、を有している。電極7は、第2方向としての幅方向に所定の長さ(幅)をもち、第3方向としての奥行方向に並んで配置されている。ここで、幅方向は、深さ方向に対して垂直な方向であり、x方向に対して平行な方向である。また、奥行方向は、深さ方向及び幅方向の双方向に対して垂直な方向であり、y方向に対して平行な方向である。
【0021】
感磁部3aは、例えば、第1の導電型を有する半導体基板2に、P型とN型との何れか他方である第2の導電型(例えばN型)の不純物を注入することによって設けられる半導体層(ウェル)である。感磁部3aは、所定の奥行、幅及び深さをもって、立体的に形成されている。感磁部3aは、幅方向において対向する端面3aR及び端面3aLを有している。端面3aRと端面3aLとの距離は、感磁部3aの幅Wに相当する。両方の端面3aR、3aLの幅方向における中点、すなわち幅方向における中心を結んだ線は、感磁部3aの幅方向における中心線である。感磁部3aの幅方向における中心線は、奥行方向に延びている。
【0022】
図1~
図3に例示した感磁部3aは、幅W(W>0)、表面Sからの深さT(T>0)、幅Wよりも長い奥行をもって形成されている。なお、深さTは半導体基板2の深さ方向における長さよりも短く設定されている。
また、感磁部3aは、幅方向の磁場成分を検出する機能を有している。縦型ホール素子3は、幅方向の磁場成分が感磁部3aに印加されたとき、その磁場成分に応じたホール電圧を電極7の間で出力する。
【0023】
縦型ホール素子3は、感磁部3aの周囲を囲むように設けられた拡散層8によって、半導体基板2の他の領域とは電気的に分離されている。なお、半導体基板2の他の領域には、周辺回路として、縦型ホール素子3からの出力信号を処理する回路や、縦型ホール素子3へと電流を供給する回路、縦型ホール素子3の特性を較正磁場によって補償する回路などが設けられている。
【0024】
半導体基板2の表面Sには、絶縁層6a、6bが積層されている。絶縁層6bは、半導体基板2の表面Sを覆うように設けられている。励磁配線4は、この絶縁層6bの上に設けられている。励磁配線4は、絶縁層6bによって、縦型ホール素子3と電気的に分離されている。絶縁層6aは、絶縁層6bの上に励磁配線4を覆うように設けられている。
【0025】
励磁配線4は、半導体基板2の表面S側に、感磁部3aから離間して設けられている。励磁配線4は、幅方向に、第1の端面としての端面4Rと、第2の端面としての端面4Lと、を有し、奥行方向に沿って延びている。端面4Rと端面4Lとの距離は、励磁配線4の幅に相当する。また、端面4Rと端面4Lとの幅方向における中点、すなわち中心を結んだ線は、励磁配線4の幅方向における中心線を成す。励磁配線4の幅方向における中心線は、奥行方向に延びている。また、励磁配線4は、不図示の電源に接続されている。
【0026】
励磁配線4と感磁部3aとの位置関係について詳細に説明する。半導体装置1Aでは、励磁配線4と感磁部3aとが所定の位置関係をもつように、励磁配線4を配置する位置が決められている。励磁配線4は、深さ方向において、半導体基板2の表面S側に位置する下面を有している。励磁配線4は、深さ方向において、感磁部3aの深さ方向における中心、すなわち感磁部3aの深さTに対して1/2倍の深さT/2の位置から励磁配線4の下面まで距離hを隔てた位置に配置されている。感磁部3aの深さT/2の位置は、
図2及び
図3において、二点鎖線Cで示されている。
【0027】
ここで、説明を簡略するため、感磁部3aの幅方向における中心を「感磁部3aの幅方向中心」と呼称する。また、深さ方向からの平面視において、感磁部3aの幅方向中心から励磁配線4の幅方向に対向する両端面までの距離のうち、近い又は等しい端面までの距離を「第1距離」と呼称し、遠い又は等しい端面までの距離を「第2距離」と呼称する。さらに、第1距離を、距離Wc/2と定義する。
【0028】
半導体装置1Aでは、下記(1)式の指標(以下、「均一性」とする)uに基づいて、励磁配線4を配置する位置が決められている。より具体的に説明すれば、励磁配線4は、均一性uが0.6以上となる位置に配置される。均一性uは、第1距離に相当する距離Wc/2、感磁部3aの幅W及び距離hを用いて、下記(1)式で表される。
【0029】
【0030】
さらに、励磁配線4は、深さ方向からの平面視において、第1距離と第2距離とが等しい位置に配置される。この励磁配線4の位置は、励磁配線4の幅方向における中心線と感磁部3aの幅方向における中心線とが一致する位置である。言い換えると、励磁配線4は、深さ方向からの平面視において、感磁部3aの幅方向における中心線に対して対称な位置に配設されている。
【0031】
次に、
図4を参照して、上記(1)式の技術的意味を説明する。
図4(a)は
図2に示した構成のうち、感磁部3a及び励磁配線4を抜き出して感磁部3a及び励磁配線4の位置関係を示す説明図である。
図4(a)に示される二点鎖線Cは、感磁部3aの深さT/2の位置を表している。この二点鎖線Cは、感磁部3aの幅方向における中心線、端面3aR及び端面3aLと、それぞれ、点X
0、点X
R及び点X
Lで交わっている。
【0032】
まず、上記(1)式の技術的意味を説明をするにあたり、座標xsを設定する。座標xsは、二点鎖線Cと感磁部3aの幅方向における中心線との交点である点X
0の位置を基準に設定する。すなわちxs=0のとき、座標xsは、点X
0と一致とする。座標xsは、二点鎖線C上において、点X
0から離れる方向に数値をとる。座標xsの数値は、二点鎖線C上に位置する点の点X
0からの距離を表す。
図4(a)の構成において、励磁配線4に電流密度jの電流を流したときに発生する較正磁場の、座標xsでの磁場強度Bsは、以下の(2)式で表される。ここで、αは係数である。
【0033】
【0034】
感磁部3aに印加される較正磁場の強度の幅方向の均一性は、感磁部3a内の二点鎖線C上において大きさが最大となる点と最小となる点との2点における較正磁場の強度の大きさを比較することによって評価することができる。
図4(a)に例示した位置関係にある感磁部3aでは、点X
Rと点X
Lとが、励磁配線4の幅方向における中心に対して対称な位置にある。励磁配線4によって発生する較正磁場の強度Bsの場合、そのx方向成分の大きさは、幅方向の中心に位置する点X
0で最大となり、点X
R及び点X
Lの2点で共に最小となる。従って、点X
0における較正磁場の強度の大きさと、点X
R又は点X
Lにおける較正磁場の強度の大きさとを比較することによって、感磁部3aにおける較正磁場の強度の幅方向の均一性を評価することができる。
【0035】
続いて、感磁部3a内の二点鎖線C上において、較正磁場の強度のx方向成分の大きさが最小となる点が1つになる場合を説明する。
【0036】
較正磁場の強度のx方向成分の大きさが最小となる点が1つになる場合とは、第1距離が第2距離未満となる場合、すなわち第1距離と第2距離とが等しくない場合である。この構成は、理論的には、励磁配線4に対して、励磁配線4と同等の励磁配線14を幅方向に追設した構成と等価に考えることができる。そこで、励磁配線4に対して励磁配線14を幅方向に追設した構成を例に、較正磁場の強度のx方向成分の大きさが最小となる点が1つになる場合を説明する。
【0037】
図4(b)は、較正磁場の強度のx方向成分の大きさが最小となる点が1つになる場合を模擬した感磁部3a及び励磁配線24(励磁配線4、14)の位置関係を示す説明図である。
【0038】
励磁配線14は、幅方向に対向する右端面及び左端面を有しており、右端面が励磁配線4の左端面に接して配置されている。励磁配線4及び励磁配線14が発生する較正磁場の総和は、1本の励磁配線24が発生する較正磁場と等しい。従って、励磁配線4と同じ電流密度で励磁配線14に電流が流れる場合、励磁配線4及び励磁配線14を、1本の励磁配線24とみなすことができる。
【0039】
励磁配線4及び励磁配線14を、1本の励磁配線24とみなせば、深さ方向からの平面視において、感磁部3aの幅方向における中心から端面4Rまでの距離Wc/2が励磁配線24にとっての第1距離となり、感磁部3aの幅方向における中心から端面14Lまでの距離が励磁配線24にとっての第2距離となる。この場合、第1距離は第2距離未満である。従って、当該平面視において、励磁配線24の幅方向における中心は、感磁部3aの幅方向における中心に一致しない。すなわち、点XR及び点XLは、励磁配線24の幅方向における中心に対して非対称な位置にある。励磁配線24によって発生する較正磁場の強度Basは、励磁配線4によって発生する較正磁場の強度Bsに対して、強度分布が異なる。
【0040】
上述の通り、感磁部3aに印加される較正磁場の強度Basの幅方向の均一性は、二点鎖線C上において大きさが最大となる点と最小となる点との2点における較正磁場の強度の大きさを比較することによって評価することができる。ここで、
図4(b)に例示した位置関係にある感磁部3aでは、励磁配線14によって形成される較正磁場の強度が点X
R、X
Lの較正磁場の強度に影響を及ぼす。点X
R、X
Lにおける較正磁場の強度への影響は、励磁配線14からより距離が近い点X
Lで相対的に大きく、より距離が遠い点X
Rで相対的に小さい。従って、点X
Lにおける磁場強度は、点X
Rにおける磁場強度よりも大きく、点X
0における較正磁場の強度により近い大きさとなる。すなわち、
図4(b)に例示した感磁部3aでは、較正磁場の強度のx方向成分の大きさは、点X
Rにおいて最小となる。
【0041】
なお、端面14Lが端面4Rに接して配置される場合、上述した励磁配線14の右端面が励磁配線4の左端面に接して配置される場合に対して、左右が逆になる。すなわち、この場合、較正磁場の強度のx方向成分の大きさは、点XLにおいて最小となる。
また、上記式(1)で表される均一性uが0.6以上の場合、感磁部3aにおける較正磁場の強度のx方向成分の最大値は、点X0における較正磁場の強度とほぼ一致する。一方、較正磁場の強度のx方向成分の大きさが最小となる点は、励磁配線14が励磁配線4の左端面及び右端面の何れの端面に接して配置される場合においても、点XR及びXLの少なくとも一方に現れる。
【0042】
上述したように、第1距離と第2距離とが等しい場合(
図4(a)の場合)、感磁部3aにおいて較正磁場の強度のx方向成分の大きさが最小となる点は、点X
R及びX
Lの両方である。また、第1距離が第2距離未満の場合(
図4(b)の場合)、感磁部3aにおいて較正磁場の強度のx方向成分の大きさが最小となる点は、点X
R、X
Lのうち、感磁部3aの幅方向中心に対して励磁配線14と非接触な励磁配線4の端面が位置する側の点である。言い換えれば、励磁配線24の幅方向における両端面のうち、感磁部3aの幅方向中心から近い端面が位置する側の点である。
従って、
図4(b)に示すように、励磁配線14の右端面が励磁配線4の左端面に接して配置されている場合、感磁部3aにおける較正磁場の強度のx方向成分の大きさが最小となる点は、点X
Rである。これとは逆に、励磁配線14の左端面が励磁配線4の右端面に接して配置されている場合、感磁部3aにおける較正磁場の強度のx方向成分の大きさが最小となる点は、点X
Lである。
【0043】
上述したこのような考察から、感磁部3aにおける較正磁場の強度の幅方向の均一性は、
図4(a)及び
図4(b)の何れの場合においても、平面視して、感磁部3aの点X
0における較正磁場の強度と、感磁部3aの幅方向中心から幅方向に第1距離を隔てて位置する点X
R又は点X
Lにおける較正磁場の強度とを比較することによって評価することができるといえる。特に、均一性uが0.6以上の場合、励磁配線14が形成する較正磁場が点X
0、点X
L又はX
Rにおける較正磁場の強度に与える影響は小さいため、励磁配線24が形成する較正磁場の強度Basの均一性は、励磁配線4のみを考えた場合の較正磁場の強度Bsの均一性で近似することができる。
【0044】
励磁配線4、24に電流が流れることによって、励磁配線4、24の周囲には較正磁場が発生する。較正磁場は、感磁部3aに印加される。較正磁場の強度は、励磁配線4、24に流れる電流密度の大きさに比例する。また、較正磁場の強度は、励磁配線4、24との距離に反比例する。二点鎖線C上の座標xsでの較正磁場の強度Bs、Basは、上述した(2)式で表される。縦型ホール素子3のセンサ感度は、(2)式に示される較正磁場の強度Bs又はBasの計算結果を基に推定する。
【0045】
励磁配線4、24は、y方向と平行な奥行方向に沿って延びるように配置されることが好ましい。当該構成により励磁配線4、24が感磁部3aに印加する較正磁場の強度Bs,Basが感磁部3aの奥行方向で均等となる。
【0046】
上記(1)式に示す均一性uは、端面3aRにおける較正磁場の強度を感磁部3aの幅方向における中心、すなわち点X0における較正磁場の強度で除した値に相当する。均一性uの値は、0<u≦1をとり、1に近いほど、感磁部3aに印加される較正磁場の強度の均一性が高く、0に近いほど、感磁部3aに印加される較正磁場の強度の均一性が低い。
【0047】
励磁配線4は、上述したように、深さ方向からの平面視において、感磁部3aの幅方向中心と少なくとも一部が重なるように配置されていればよいが、感磁部3aの一部と重なるように配置されるよりも、感磁部3aを覆うように配置される方が好ましい。また、距離Wc/2と感磁部3aの幅Wとの関係は、感磁部3aの幅Wと距離hとの関係によって好適な範囲が異なる。
例えば、h/w=0.3であれば、Wc/Wは1以上とすることが好ましく、1.4以上とすることがより好ましい。また、h/w=0.5であれば、Wc/Wは0.7以上とすることが好ましく、1.4以上とすることがより好ましい。h/w=0.1であれば、Wc/Wは1.05以上であることが好ましく、1.2以上とすることがより好ましい。上記好適な範囲は、均一性uを0.6以上とすることで実現できる。
【0048】
図5は、半導体装置1Aにおいて距離Wc/2を変化させたときの感磁部3aにおける較正磁場の強度の面内方向における分布について、シミュレーションを行った結果を示したグラフである。感磁部3aに印加される較正磁場の強度の座標xsにおける分布は、感磁部3aの深さT/2の位置、すなわち励磁配線4の下面から距離hを隔てた位置における幅方向の磁場の分布に対応する。また、横軸は座標xs、縦軸は較正磁場の強度である。
【0049】
較正磁場の強度は、励磁配線4の下面からの距離hを2.2μmとした場合であって、距離Wcを20μm、30μmとした2つ場合をそれぞれ示した。半導体装置1Aでは、第1距離と第2距離とが等しいので、距離Wcは励磁配線4の幅に相当する。
【0050】
磁場強度分布は、点X
0の近くに現れる勾配が緩やかな領域RAと領域RAに比べて勾配が急峻な領域RBとを有する。
図5のグラフでは、励磁配線4の幅に相当する距離Wcが30μmの場合における、領域RA及び領域RBを示した。
【0051】
図5は、距離Wcがそれぞれ20μm、30μmの場合であって、距離hが2.2μmの場合における磁場強度分布を例示したが、何れの磁場強度分布にも領域RA及び領域RBは存在している。また、例示した条件以外の距離Wc及び距離hを採る場合においても、領域RA及び領域RBは、その大きさや勾配に違いはあるものの、距離Wc及び距離hの如何に関わらず、存在することが確認された。そうすると、感磁部3aの幅Wを領域RA内に収まるように決めることによって、均一性uを高くすることができるといえる。
【0052】
例えば、Wc=30μm、h=2.2μmの場合、
図5に基づくと、感磁部3aの幅Wが20μm(
図5の領域RAの10μmの2倍)より小さいとき、均一性uが高いことが推測される。
このことは、距離Wcと、幅Wと、距離hとを、感磁部3aが領域RA内に収まるように選択することによって、感磁部3aにおける均一性uが高くなることを意味している。
均一性uが0.6以上となるように感磁部3a及び励磁配線4を配置することで、感磁部3aには、主に領域RAの較正磁場が印加され、領域RBの較正磁場の影響を十分小さくすることができる。半導体装置1Aは、このように配置された感磁部3a及び励磁配線4を備えることによって、感磁部3aに印加される較正磁場のばらつきを低減することができる。以下、その理由を説明する。
【0053】
均一性uの値が小さい場合、感磁部3aの幅方向における端面3aR、3aLが領域RBに含まれる。端面3aR、3aLが領域RBに含まれている場合、製造プロセス等で感磁部3aの幅Wがばらつくと、端面3aR、3aLにそれぞれ印加される較正磁場の強度は大きくばらつく。その結果、感磁部3aに印加される較正磁場の総量が急峻に変化する。
【0054】
図6は、半導体装置1Aにおいて、感磁部3aの幅Wがその5%以内でばらついたときの磁場強度Bのばらつき量をΔBとして、較正磁場の強度の均一性uを変化させたときにおける磁場強度Bのばらつき率を示すΔB/B(以下、「磁場強度ばらつき」とする)[%]について、シミュレーションを行った結果を示したグラフである。
横軸は均一性u、縦軸は磁場強度ばらつきΔB/Bである。均一性uは、距離hを、4μm、6μm、8μmと、それぞれ一定に保ったまま、上述した(1)式における(Wc/2)を調整することによって変化させた。磁場強度ばらつきΔB/Bの基準となる磁場強度Bには、感磁部3aの幅Wが20μmの場合における端面3aR及び端面3aLの間における磁場強度の平均値を用いた。磁場強度ばらつきΔB/Bは、上記平均値を基準とし、幅W=20μmに対して±5%以下、すなわち19μm≦W≦21μmでばらついた際のシミュレーション結果である。感磁部3aの幅Wのばらつきは、例えば、不純物インプラント後の拡散工程、拡散層との接合における空乏層幅、テスト温度などによって決定される。
【0055】
図6に示される磁場強度ばらつきΔB/Bは、距離hが8μmの場合、均一性uが0.6未満で急激に増大する。距離hが6μm、4μmの場合も距離hが8μmの場合と同様の傾向が確認される。磁場強度ばらつきΔB/Bは、距離hが6μmの場合、均一性uが0.55未満で急激に増大し、距離hが4μmの場合、均一性uが0.5未満で急激に増大する。
このような磁場強度ばらつきΔB/Bが急激に増大する、均一性uの範囲は、
図5に示すグラフとの関係で説明すれば、感磁部3aの一端が、領域RBに含まれる場合に相当する。従って、磁場強度ばらつきΔB/Bの急増を抑制するためには、感磁部3aに領域RAの較正磁場のみが印加されるように半導体装置1Aを構成すればよい。すなわち、均一性uが0.6以上となるように半導体装置1Aを構成すればよい。
【0056】
以上のように、半導体装置1Aでは、均一性uを0.6以上とすることで感磁部3aに印加される較正磁場は、領域RAの較正磁場のみが印加される構成にすることができる。
【0057】
本実施形態に係る半導体装置によれば、上記構成を含むことによって、感磁部3aに印加される較正磁場の強度のばらつきを抑制することができる。また、本実施形態に係る半導体装置によれば、励磁配線4と感磁部3aとの幅方向における距離を短くできるため、磁場発生効率が高い。さらに、本実施形態に係る半導体装置によれば、励磁配線4を感磁部3aの幅方向中心から近い位置に配置できるので、励磁配線4を周辺回路から離すことができ、励磁配線4の発熱が周辺回路に及ぼす熱的影響を小さくすることができる。従って、本実施形態に係る半導体装置によれば、例えば、周辺回路に非対称な温度分布が発生する等の、周辺回路の熱による特性変動を抑制することができる。故に、本実施形態に係る半導体装置によれば、縦型ホール素子3のセンサ感度を高精度に推定することができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る半導体装置1Bの構成を示す平面図である。
図8は、半導体装置1Bの
図7中に示す切断線VIII-VIIIに沿う断面図(VIII-VIII線断面図)である。なお、
図7においては、説明の便宜上、絶縁層6a、6bを省略した状態を示している。
半導体装置1Bは、半導体装置1Aに対して、励磁配線4の代わりに励磁配線24を備える点で相違するが、その他の点については実質的に相違しない。以下の説明では、半導体装置1Aと同等の部位については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0059】
励磁配線24は、励磁配線4と同様に、幅方向に、第1の端面としての端面24Rと、第2の端面としての端面24Lと、を有し、奥行方向に沿って延びている。励磁配線24は、感磁部3aの幅方向中心から端面24Rまでの距離が距離Wc/2となる位置に配置されている。また、励磁配線24は、感磁部3aの幅方向中心から端面24Rまでの距離が、感磁部3aの幅方向中心から端面24Lまでの距離よりも短い位置に配置されている。すなわち、半導体装置1Bでは、励磁配線24が、感磁部3aの幅方向中心から端面24Rまでの距離Wc/2が第1距離、感磁部3aの幅方向中心から端面24Lまでの距離が第2距離、となるように配置されている。
上記配置では、平面視において、感磁部3aの幅方向における中心に位置する点X0が、励磁配線24の少なくとも一部と重なるが、励磁配線24の幅方向の中心に一致しない。すなわち、半導体装置1Bでは、平面視において、励磁配線24が、感磁部3aの幅方向における中心線に対して非対称に配設されている。
【0060】
半導体装置1Bは、励磁配線24の第1距離に相当する距離Wc/2、感磁部3aの幅W、感磁部3aの深さ方向における中心から励磁配線24の下面までの距離hを用いて、上記(1)式で表される均一性uが0.6以上となるように構成されている。なお、本実施形態において上記(1)式で表される均一性uは、感磁部3aの幅方向における端面3aL、3aR上の点であって二点鎖線Cと交わる点X
L、X
Rのうち、励磁配線24の幅方向における中心から遠い側に位置する点X
Rに印加される較正磁場の強度を点X
0に印加される較正磁場の強度で除した値である。
ここで、説明を簡略化するため、
図4(b)を参照して、上述したように、励磁配線24を、励磁配線4と励磁配線14とで構成されているとみなし、励磁配線4に相当する部分を「対称部」と呼称し、励磁配線14に相当する部分を「非対称部」と呼称する。
【0061】
半導体装置1Bは、均一性uが0.6以上に構成されているため、上述したように、励磁配線24のうち、非対称部分に流れる電流が作る較正磁場が点X0、点XL又はXRにおける較正磁場の強度に与える影響は小さい。従って、対称部の他に非対称部をさらに有する励磁配線24が形成する較正磁場の強度Basの均一性は、励磁配線4のみを考えた場合の較正磁場の強度Bsの均一性で近似することができる。
【0062】
以上のように、半導体装置1Bでは、均一性uを0.6以上とすることで、感磁部3aに印加される較正磁場は、主に領域RAの較正磁場が印加される構成にすることができる。均一性uを0.6以上とする構成を含むことによって、感磁部3aに印加する較正磁場の強度Basの均一性を高くすることができる。
【0063】
本実施形態に係る半導体装置によれば、励磁配線24と感磁部3aとの水平方向の距離を小さくすることができるため、磁場発生効率が高い。さらに、本実施形態に係る半導体装置によれば、励磁配線24を感磁部3aの幅方向中心から近い位置に配置できるので、励磁配線24を周辺回路から離すことができ、励磁配線24の発熱が周辺回路に及ぼす熱的影響を小さくすることができる。従って、本実施形態に係る半導体装置によれば、例えば、周辺回路に非対称な温度分布が発生する等の、周辺回路の熱による特性変動を抑制することができる。故に、本実施形態に係る半導体装置によれば、縦型ホール素子のセンサ感度を高精度に推定することができる。故に、本実施形態に係る半導体装置によれば、縦型ホール素子3のセンサ感度を高精度に推定することができる。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した説明において示される材質、寸法等は、一例であって、それらに限定されるものではない。
【0065】
上述した実施形態において、励磁配線4、24が、幅方向において、感磁部3aの直上のうち一部の領域に配置される半導体装置1A、1Bの構成を図示して説明したが、半導体装置1A、1Bは、この例に限定されない。半導体装置1Aにおいて、励磁配線4は、深さ方向からの平面視において、感磁部3aの幅の少なくとも一部と重なって配置されていればよく、感磁部3aの全部と重なって配置されていてもよい。また、半導体装置1Bにおいて、励磁配線24は、深さ方向からの平面視において、感磁部3aの幅の少なくとも一部と重なって配置されていればよく、感磁部3aの全部と重なって配置されていてもよい。
【0066】
なお、均一性uを高める観点からは、上記平面視において、感磁部3aの幅の一部と重なって励磁配線4、24が配置される半導体装置1A、1Bよりも、感磁部3aの幅の全部と重なって励磁配線4、24が配置される半導体装置1A、1Bの方が好ましい。
【0067】
また、上述した実施形態において、直線状に形成される励磁配線4を説明したが、励磁配線4は、必ずしも奥行方向の全体に亘って直線状に形成されている必要はない。励磁配線4は、表面Sからの平面視において、少なくとも感磁部3aと重なる部分が直線状に形成されていればよく、他の部分は必ずしも直線状に形成されていることを要しない。
【0068】
上述した実施形態において、第1距離と第2距離とが等しい場合(
図4(a))及び第1距離が第2距離未満の場合(
図4(b))、すなわち第1距離が第2距離以下の場合(
図4)を説明している。また、第1距離が第2距離未満の場合の例として、感磁部3aの幅方向中心から端面24Rまでの距離が感磁部3aの幅方向中心から端面24Lまでの距離よりも短い位置に配置された励磁配線24を備える半導体装置1Bを説明している。しかしながら、本発明は、この例に限定されない。半導体装置1Bにおいて、励磁配線24は、感磁部3aの幅方向中心から端面24Lまでの距離が、感磁部3aの幅方向中心から端面24Rまでの距離よりも短くなるように配置されてもよい。
【0069】
感磁部2aの幅方向中心から端面24Lまでの距離が感磁部3aまでの幅方向中心から端面24Rまでの距離よりも短くなるように励磁配線24が配置される場合、深さ方向からの平面視において、感磁部3aの幅方向中心から、端面24Lまでの距離が第1距離であり、端面24Rまでの距離が第2距離である。また、距離Wc/2は、感磁部3aの幅方向中心から端面24Lまでの距離に相当する。
【0070】
上述した実施形態は、様々な形態で実施可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、省略、置換等、種々の変更が可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1A、1B:半導体装置、2:半導体基板、3:縦型ホール素子、3a:感磁部、4、24:励磁配線、6a、6b:絶縁層、7:電極、8:拡散層。