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特許7370239タイヤ空気圧センサーのRFマッチング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】タイヤ空気圧センサーのRFマッチング装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 17/00 20060101AFI20231020BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20231020BHJP
   H01P 1/212 20060101ALI20231020BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20231020BHJP
   H01Q 1/50 20060101ALI20231020BHJP
   H01Q 5/335 20150101ALI20231020BHJP
   B60C 23/04 20060101ALN20231020BHJP
【FI】
G01L17/00 301P
G08C17/00 B
H01P1/212
H01Q1/32 Z
H01Q1/50
H01Q5/335
B60C23/04 150K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019227918
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2020101544
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2019-12-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】107145832
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】507059369
【氏名又は名称】系統電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SYSGRATION LTD.
【住所又は居所原語表記】5F.-1,No.1,Sec.1,Tiding Blvd.,Neihu Dist.,Taipei City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鄭 佳▲ウェン▼
【合議体】
【審判長】中塚 直樹
【審判官】田邉 英治
【審判官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10071605(US,B1)
【文献】特開2016-19032(JP,A)
【文献】特開2016-152621(JP,A)
【文献】特開2007-243282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0306815(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0013419(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 17/00
G08C 13/00-25/04
B60C 23/00
H01Q 3/00-3/46
H01Q 21/00-25/04
H01H 1/00-3/00
H01H 5/00-7/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFコントロールユニットと、
多周波アンテナと、
前記RFコントロールユニットに接続され、前記RFコントロールユニットによって送出される、複数の異なる周波数の信号の中の一つを決定するシステムコントロールユニットと、
前記RFコントロールユニットに接続され、複数の所望の周波数帯に対応する低域遮断周波数と高域遮断周波数とに調整されるバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタに接続され、ノイズと周波数逓倍信号とを抑制するためのろ過部と、前記ろ過部に接続され、前記ろ過部から伝送されたRF信号を最大のパワーで前記多周波アンテナから伝送させるマッチング部とを有し、前記多周波アンテナと前記RFコントロールユニットとの間に接続される切り替え回路を用いないRFマッチングユニットと、
を含み、
前記マッチング部は、第3のキャパシタンスと、第3のインダクタンスと、
第4のインダクタンスと、第4のキャパシタンスとを含み、前記ろ過部のフィルタは、前記第3のキャパシタンスに接続され、前記第3のキャパシタンスの他の一端が前記第3のインダクタンスの一端に接続され、前記第3のインダクタンスの他の一端が前記第4のインダクタンスの一端に接続されており、前記第4のキャパシタンスの一端及び第4のインダクタンスの他の一端はいずれも接地され、前記第3のインダクタンスの他の一端と前記第4のインダクタンスの一端との間が前記第4のキャパシタンスの他の一端とともに前記多周波アンテナに接続され、前記ろ過部はローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、又は、バンドストップフィルタである、タイヤ空気圧センサーのRFマッチング装置。
【請求項2】
前記バンドパスフィルタは、第1のキャパシタンスと、第1のインダクタンスと、第2のインダクタンスと、第2のキャパシタンスとを含み、前記第1のキャパシタンスの一端が接地され、前記第1のインダクタンスの一端が前記RFコントロールユニットに接続され、前記第1のキャパシタンスの他の一端が前記第1のインダクタンスと前記RFコントロールユニットとの間に接続され、前記第1のインダクタンスの他の一端が前記第2のキャパシタンスの一端に接続され、前記第2のインダクタンスの一端が電源に接続され、他の一端が前記第1のインダクタンスと前記第2のキャパシタンスとの間に接続され、前記第2のキャパシタンスの他の一端が前記ろ過部のフィルタの一端に接続され、マッチングに使用される複数の所望の周波数帯に対応する前記低域遮断周波数と前記高域遮断周波数とに調整する請求項1に記載のタイヤ空気圧センサーのRFマッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFマッチング装置に関し、特にタイヤ空気圧センサーに設置され、切り替え回路を設置せずに多周波RFアンテナに対応するマッチング回路とマッチングできるRFマッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般には、タイヤ空気圧測定システムは、主に二つの部分に分けられ、一つは車内に取り付けられるモニターであり、もう一つはタイヤに取り付けられるタイヤ空気圧センサーである。モニターとタイヤ空気圧センサーの間に無線信号を伝送する通用的な無線RFの周波数は、おおよそ315MHz或いは433.92MHz等の二種類がある。したがって、タイヤ空気圧センサーを周波数が異なるモニターに適用するために、また、モニターが周波数が異なるタイヤ空気圧センサーの信号を受けられるようにするために、販売対象とする国或いは領域が開放する周波帯によって、単一周波数のタイヤ空気圧センサーを選択して該周波数のモニターと相俟って販売することは、通常の手法である。しかし、このような手法は販売の見積もり及び在庫管理が困難になるという問題がある。
【0003】
上記の事情に鑑み、一部の業者はこの問題に対して異なる改良の技術を提案して出願した。例えば、イギリスのSchrader Electronics株式会社は、切り替え回路を使って周波数が異なる二つのマッチング回路の間に切り替え、共通なアンテナから信号を発送する多周波タイヤ空気圧測定器を開示している(米国特許第9333815号)。しかし、上記の二つのマッチング回路という設計は改善される余地があると考えられ、更に改良した案も提出されている。例えば、CUB ELECPARTS株式会社は、マッチングユニットにダイオードが接続され、マイクロコントローラを介してダイオードの稼働状態を制御してマッチング回路の抵抗を切り替える双周波数タイヤ空気圧センサーのマッチング部を開示している(台湾特許第1625043号)。
【0004】
しかし、上記の台湾の特許或いは米国の特許は、いずれも切り替えの手段によってマッチング回路の抵抗を調整してアンテナから信号を発送する。このような回路の設計において、マッチング回路を異なる周波数に対応する抵抗の間に切り替え、この切り替える操作は、タイヤ空気圧センサーの電力消費が増加されるようになり、回路の運転効率を低くすると共に、コストも高くなるなどの欠点があるので、これらの問題を改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9333815号
【文献】台湾特許第1625043号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術の問題に鑑み、本発明の目的は、切り替え回路を設置せずに多周波帯の信号とマッチングできると共に、電力消費の低減及びコストダウンを達成できるタイヤ空気圧センサーのRFマッチング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの目的によれば、
RFコントロールユニットと、
多周波アンテナと、
前記RFコントロールユニットに接続され、前記RFコントロールユニットが複数の周波数が異なる信号から一つの信号を発送することを決めるシステムコントロールユニットと、
RFコントロールユニットに接続され、複数の周波帯に対応する初期周波数と遮断周波数に調整する共振部と、前記共振部に接続され、ノイズと周波数逓倍信号を抑制するためのろ過部と、前記ろ過部に接続され、ろ過部から伝送した各RF信号を最大のパワーで多周波アンテナから発送させるマッチング部とを含有し、前記多周波アンテナとRFコントロールユニットとの間に接続されるRFマッチングユニットと、
を含むタイヤ空気圧センサーのRFマッチング装置を提供することである。
【0008】
このうち、共振部は複数の受動素子を含み、前記受動素子のそれぞれの間に、直列又は並列、或いは両方で接続され、マッチングに使用される複数の周波帯に対応する初期周波数と遮断周波数に調整する。
【0009】
このうち、ろ過部はフィルタであって、特にローパスフィルタやバンドパスフィルタ、バンドストップフィルタであり、必要とされないノイズ及び周波数逓倍信号を抑えられるように使用される。
【0010】
このうち、RFマッチングユニットは、複数の受動素子を含み、前記受動素子の間に直列又は並列、或いは両方で接続され、前記RFコントロールユニットとマッチングして各周波数の信号を発送する。
【発明の効果】
【0011】
上記の説明によれば、本発明は以下の一つ或いはそれ以上の特徴を有する。
【0012】
切り替えスイッチ素子を設置せずに回路の稼働効率を全体に向上できると共に、回路の設計スペースを低下できる。
【0013】
多周波アンテナは、共振部で必要な周波帯の共振点に調整すれば、周波数が異なるRF信号とマッチングできる。
【0014】
切り替えスイッチ素子を有さないため、パーツのコストを低下させると共に、パワーの消費も低減するので、タイヤ空気圧センサーの電池の使用時間を延長できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る構造の模式図である。
図2】本発明に係るRFマッチングユニットの実施例の模式図である。
図3図2の実施例において共振部30の透過プロファイルである
図4図2の実施例においてRFコントロールユニットから送出された第1の周波数(315MHz)の信号が共振部30を通過した後の周波数プロファイルである
図5図2の実施例においてはRFコントロールユニットから送出された第2の周波数(433.92MHz)の信号が共振部30を通過した後の周波数プロファイルである
図6図2の実施例においてろ過部31の透過プロファイルである。
図7図2の実施例において第1の周波数(315MHz)の信号が共振部30およびろ過部31を通過した後の周波数プロファイルである
図8図2の実施例において第1の周波数(433.92MHz)の信号が共振部30およびろ過部31を通過した後の周波数プロファイルである。
図9図2の実施例において第1の周波数(315MHz)の信号が共振部30、ろ過部31、およびマッチング部32を通過した後の周波数プロファイルである。
図10図2の実施例において第1の周波数(433.92MHz)の信号が共振部30、ろ過部31、およびマッチング部32を通過した後の周波数プロファイルである。
【発明の実施の形態】
【0016】
図1を参照しながら説明する。本発明のタイヤ空気圧センサーのRFマッチング装置は、システムコントロールユニット1と、RFコントロールユニット2と、RFマッチングユニット3と、多周波アンテナ4とを含み、このうち、システムコントロールユニット1は、RFコントロールユニット2に接続され、RFコントロールユニット2が複数の周波数が異なる信号から一つの信号を発送することを決め、また、RFマッチングユニット3はRFコントロールユニット2及び多周波アンテナ4の間に接続されている。
【0017】
本発明において、RFマッチングユニット3は、共振部30と、ろ過部31と、マッチング部32をこの順で含む。このうち、共振部30は、RFコントロールユニット2に接続され、必要な複数の周波帯に対応する初期周波数と遮断周波数に調整しており、ろ過部31は、共振部30とマッチング部32の間に接続され、ノイズを抑制し、又は複数の周波数が異なる信号の周波数逓倍信号を削除する。また、マッチング部32は、最大のパワーでRF信号のエネルギー(信号出力)を多周波アンテナ4に伝送し、多周波アンテナ4が複数の周波数が異なるRF信号を発送できるようになる。
【0018】
図2を参照する。本発明において、共振部30は、複数の受動素子(第1~第4)を含み、それぞれの受動素子の間には、直列又は並列、或いは両方で接続され、RF信号を必要な複数の周波帯に対応する初期周波数と遮断周波数に調整する。ろ過部31はフィルタであって、特にローパスフィルタやバンドパスフィルタ、バンドストップフィルタであり、必要な複数の周波数の周波数逓倍信号を遮断する。RFマッチングユニット32は、複数の受動素子(A~D)を含み、それぞれの受動素子の間に、直列又は並列、或いは両方で接続され、RFコントロールユニットとマッチングしてそれぞれの周波数信号を発送する。
【0019】
本願を更に理解するために、以下は図2で示される実施例によって説明を行う。
【0020】
本実施例において、共振部30は、第1のキャパシタンス301と、第1のインダクタンス302と、第2のインダクタンス303と、第2のキャパシタンス304とを含み、一方、マッチング部32は、第3のキャパシタンス321と、第3のインダクタンス323と、第4のインダクタンス322と、第4のキャパシタンス324とを含む。このうち、第1のキャパシタンス301の一端が接地され、第1のインダクタンス302の一端がRFコントロールユニット2に接続され、第1のキャパシタンス301の他の位一端が第1のインダクタンス302とRFコントロールユニットの間に接続され、第1のインダクタンス302の他の一端が第2のキャパシタンス304の一端に接続され、第2のインダクタンス303の一端が電源に接続され、他の一端が第1のインダクタンス302と第2のキャパシタンス304の間に接続され、第2のキャパシタンス304の他の一端がフィルタ310の一端に接続され、フィルタ310の他の一端が第3のキャパシタンス321の一端に接続され、第3のキャパシタンス321の他の一端が第3のインダクタンス323の一端に接続され、第3のインダクタンス323の他の一端が第4のインダクタンス322の一端に接続されており、また、第4のキャパシタンス324の一端と、第4のインダクタンス322の他の一端はいずれも接地され、且つ第3のインダクタンス323と他の一端と第4のインダクタンス322の一端の間は、第4のキャパシタンス324の他の一端とともにアンテナユニットに接続されている。
【0021】
このうち、第3のキャパシタンス321と、第3のインダクタンス323と、第4のインダクタンス322と、第4のキャパシタンス324は、マッチング部32が同時に第1の周波数(315MHz)と第2の周波数(433.92MHz)とマッチングすると共に、フィルタ310の後に直列で接続されるように、ハウジングの設計とPCB板、配線、抵抗、パーツの配置などの実際状況によって適切な位置とパーツの条件とを調整する。更に、直列又は並列で上記種類が違う抵抗やキャパシタンス、インダクタンスを設置してパーツの条件を調整する方法によって、一つ或いはそれ以上の必要な周波帯の共振点に調整し、前記共振点は、ネットワークアナライザのS11パラメータから読める。これにより、多周波アンテナが複数の周波数のRF信号を発送するようになる。
【0022】
システムコントロールユニット1は、RFコントロールユニット2が第1の周波数と第2の周波数の一つを発送することを決める。ただし、図3から、ろ過部31を経由する前に、0~-20dBmの間の帯域幅が300MHz~1GHzであることが分かる。次は図4を参照する。第1の周波数は順調に発送できるが、第1の周波数の二倍及び三倍の周波数逓倍信号の強度が強すぎる。
【0023】
図5を参照する。第2の周波数は順調に発送できるが、第2の周波数の二倍の周波数逓倍信号の強度が強すぎる。通常に稼働して他の装置の稼働を干渉しないように、図6で示す通り、フィルタ310を介してろ過して抑制した後に、0~-20dBmの間の帯域幅が300MHz~550MHzになり、さらに第1の周波数の二倍及び三倍の周波数逓倍信号は有効に抑制される(図7の通り)。さらに、第2の周波数の二倍の周波数逓倍信号も有効に抑制される(図8の通り)。最後に図9図10を参照する。マッチング部32を経由すると、第1の周波数及第2の周波数はいずれもノイズと周波数逓倍の干渉が極少ないまま有効に発送できる。
【0024】
上記により、本発明は、切り替えスイッチ素子を設置せずに回路の稼働効率が全体的に向上されると共に、回路の設計スペースも低減できる。多周波アンテナは、共振部30で必要な周波帯の共振点に調整すれば、周波数が異なるRF信号とマッチングできる。更に、本発明は切り替えスイッチ素子が必要ないので、パーツのコストが低減すると共に、パワーの消費も有効に低下できるので、タイヤ空気圧センサーの電池の使用時間が延長できる。
【符号の説明】
【0025】
1:システムコントロールユニット
2:RFコントロールユニット
3:RFマッチングユニット
4:多周波アンテナ
30:共振部
301:第1のキャパシタンス
302:第1のインダクタンス
303:第2のインダクタンス
304:第2のキャパシタンス
31:ろ過部
310:フィルタ
32:マッチング部
321:第3のキャパシタンス
322:第4のインダクタンス
323:第3のインダクタンス
324:第4のキャパシタンス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10