(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】車線における自動車両を運転するための支援デバイス
(51)【国際特許分類】
B60W 30/12 20200101AFI20231020BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231020BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
B60W30/12
G08G1/16 C
B62D6/00
(21)【出願番号】P 2019566879
(86)(22)【出願日】2018-06-06
(86)【国際出願番号】 FR2018051311
(87)【国際公開番号】W WO2018224778
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-05-06
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ダリエ, エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ハダッド, アラン
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-036645(JP,A)
【文献】特開2011-025867(JP,A)
【文献】特開2014-080179(JP,A)
【文献】特開平11-091609(JP,A)
【文献】国際公開第2013/190821(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B62D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線(6)における自動車両(4)のための運転支援デバイス(1、33、40)であって、前記
自動車両
(4)に関連した変数および前記車線
(6)に関連した変数の中から選択された少なくとも1つの入力変数を決定するための決定モジュール(14)と、前記入力変数の関数として補正設定(α
ijk、β、γ)を生成するための生成モジュール(20)と、前記補正設定(α
ijk、β、γ)の関数として運転支援処置を実施するのに適切な支援モジュール(22)とを備え、
前記入力変数が前記車線(6)における前記
自動車両(4)の横位置(y
4/6)と、前記
自動車両(4)の横ずれ速度(V
4/6)とを含み、
前記生成モジュール(20)が、前記補正設定(α
ijk)の急激な変動を回避することが意図された制動手段(30)を備え、前記制動手段(30)が、前記補正設定(α
ijk)をフィルタリングする、および/または前記補正設定(α
ijk)の2つの連続値の間のランプを作り出すことができることを特徴とする、運転支援デバイス(1、33、40)。
【請求項2】
前記入力変数が、前記
自動車両
(4)の縦速度(V
long)、前記車線(6)の幅(L
6)および前記
自動車両(4)の幅(L
VEH)の中から選択された少なくとも1つの変数をさらに含む、請求項1に記載のデバイス(1、33、40)。
【請求項3】
前記生成モジュール(20)が、前記車線(6)における前記
自動車両(4)の前記横位置(y
4/6)および前記
自動車両(4)の前記横ずれ速度(V
4/6)の関数として補正設定(α
ijk)の値を含むマッピング(28)を備える、請求項1または2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記決定モジュール(14)が、車線境界の横断までの時間(T
AVF)を計算するための第1の計算手段(36)を備え、前記生成モジュール(20)が、前記横断までの前記計算された時間(T
AVF)の関数として前記補正設定(β、γ)を計算するのに適切な第2の計算手段(38、50)を備える、請求項1または2に記載のデバイス(33、40)。
【請求項5】
前記支援モジュール(22)が、補正部(24)と、前記補正部(24)の少なくとも1つのパラメータ(k
i、k
p、k
d)を調整するための手段(26)とを備え、前記生成モジュール(20)によって生成された設定信号(α
ijk、β)が、前記補正部(24)のパラメータの組である、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(1、33)。
【請求項6】
前記支援モジュール(22)が、少なくとも2つの補正部(42、44、46、47)と、スイッチ(48)とを備え、前記スイッチ(48)が、前記生成された補正設定(γ)の関数として前記補正部(42、44、46、47)のうちの1つを作動させるのに適切である、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(40)。
【請求項7】
前記決定モジュール(14)が、前記車線(6)の境界(8、10)の位置および前記
自動車両
(4)が従う向きの中から選択された少なくとも1つの測定された変数を検出するのに適切なカメラ(16)と、前記測定された変数から、前記車線(6)の幅(L
6)および前記車線(6)の中央の中から選択された少なくとも1つの変数を決定することができるコンピュータ(18)とを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス(1、33、40)。
【請求項8】
前記生成モジュール(20)が、ヒステリシストリガ(32)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
車線(6)における自動車両(4)のための運転支援方法であって、前記車線(6)の境界位置(8、10)および前記
自動車両(4)が従う向きが測定され、前記
自動車両(4)に関連した変数および前記車線(6)に関連した変数の中から選択された少なくとも1つの入力変数が決定され、前記入力変数が、前記車線(6)における前記
自動車両(4)の横位置(y
4/6)と、前記
自動車両(4)の横ずれ速度(V
4/6)とを含み、補正設定(α
ijk、β、γ)が、前記入力変数の関数として決定され、運転支援処置が、前記補正設定(α
ijk、β、γ)の関数として実施され、
前記補正設定(α
ijk)の急激な変動を回避するために、前記補正設定(α
ijk)がフィルタリングされ、および/または前記補正設定(α
ijk)の2つの連続値の間のランプが作り出される、運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線における自動車両のための運転支援デバイスの分野に関し、より詳しくは、車両をその車線に維持する、または車両をその車線の中央に配置するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、車線における自動車両のための運転支援デバイスは、先行技術において知られている。例えば、自動車両を車線に維持するためのデバイスが、「レーンキーピングアシスト(Lane Keeping Assist)」として、または対応する略語「LKA」で一般に知られている。同様に、自動車両をその車線の中央に配置するためのデバイスが、「レーンセンタリングアシスト(Lane Centering Assist)」として、または対応する略語「LCA」で一般に知られている。
【0003】
そのようなシステムは、一般に、車両のコンピュータに統合されており、カメラおよびネットワークコントローラとデータ通信される。ネットワークコントローラは、車両に組み込まれた従来のコンピュータであり、「コントローラエリアネットワーク」として、または対応する略語「CAN」でより一般に知られている。このように統合されて、運転支援デバイスは、車両の横位置をその車線に対して補正することができる。
【0004】
そのようなシステムは一般に有利とみなされるが、しかし、それらは、完全に満足がいくというわけではない。実際には、車両によって実施される向き保持機能に作用するいくつかのパラメータにより、道路の状態の変化の間にこの補正処置の非対称が生じることがある。そのようなパラメータの例には、車両の接地とのすべての結合、これらの結合の幾何形状、ゴム継ぎ手、ショックアブソーバ、タイヤ、タイヤ圧、自動車道の鉛直ひずみ、道路キャンバー、特に接触水分または横風などの気象条件、および表面があり得る。この列挙はもちろん網羅的ではない。次に、先行技術のシステムは、時間の関数として変化することがあるこれらのパラメータに基づいて、その一方でそれらを固定したものとみなして、制御法則を計算する。したがって、得られた制御法則は、システムの内部および外部パラメータの変動は考慮に入れていない。支援デバイスによって生成された補正は、しばしば、無効であるということになる。
【0005】
これらの欠点を克服するために、先行技術の支援デバイスは、すべての破壊的パラメータを、それらを後で補償するために、推定することを提案する。推定は、オブザーバーを用いて実施することができる。しかし、これらの推定は、デバイスの複雑性を大幅に増加させる。
【発明の概要】
【0006】
上記を考慮して、本発明は、デバイスの複雑性を制限する一方で、この車両の動作の状態のほとんどに適切な自動車両の軌道の制御を可能にする、車線における運転を支援するためのデバイスを提供することを目的とする。
【0007】
このために、車両に関連した変数および車線に関連した変数の中から選択された少なくとも1つの入力変数を決定するためのモジュールと、前記入力変数の関数として補正設定を生成するためのモジュールと、補正設定の関数として運転支援処置を実施するのに適切な支援モジュールとを備える、車線における自動車両のための運転支援デバイスが提案される。
【0008】
この支援デバイスの一般的特性によれば、前記入力変数は、車線における車両の横位置と車両の横ずれ速度とを含む。
【0009】
そのような入力変数の使用により、このデバイスによって実施される運転支援は、人間の運転者の知覚および反応に近似する。車両の逸脱を観察するために、運転者は、はっきりしているが低速である運転者の中心視のものよりもかすんでいるが高速である運転者の周辺視を利用する。周辺視野において、運転者は、一方では、運転者の車両のその車線における位置を、他方では、車両の横ずれ速度を知覚する。このようにして、本発明による支援デバイスは、任意の動作状況にある人間のやり方に近いやり方で運転支援を実施し、それによって、最も複雑な状況を最もうまく対処することができる。
【0010】
好ましくは、前記入力変数は、車両の縦速度、車線の幅および車両の幅の中から選択された少なくとも1つの変数をさらに含む。
【0011】
後で説明するように、そのような入力変数は、他の入力変数の推定を精緻化することに備えることができ、および/または補正処置をさらにより正確に適合させることができる。
【0012】
一実施形態によれば、生成モジュールは、車線における車両の横位置の、および車両の横ずれ速度の関数として補正設定の値を含むマッピングを備える。
【0013】
そのようなマッピングの使用により、補正処置は、単純なやり方で適合され、したがって、運転支援は、入力変数を考慮に入れて、本発明によるデバイスによって実施される。
【0014】
別の実施形態によれば、決定モジュールは、車線境界の横断までの時間を計算するための第1の計算手段を備え、生成モジュールは、計算された横断時間までの時間の関数として補正設定を計算するのに適切な第2の計算手段を備える。
【0015】
そのような量の計算は、補正処置を適合させるマッピングの代替である。この代替は、より多くの計算資源を必要とするが、支援デバイスに関連付けられたメモリをより小さくすることができる。さらに、後で説明するように、この中間量の計算は、補正設定の不連続を防止することに備える。
【0016】
有利には、上述の実施形態のうちの任意の1つにおいて、生成モジュールは、車両の縦速度も考慮に入れる。
【0017】
有利な実施形態において、支援モジュールは、補正部と、補正部の少なくとも1つのパラメータを調整するための手段とを備え、生成モジュールによって生成された設定信号は、補正部のパラメータの組である。
【0018】
そのような構成は、補正部に適応制御を提供し、それによって、単一の補正部を用いて補正処置の適合が可能になる。したがって、支援デバイスの複雑性は、さらに制限される。
【0019】
別の実施形態によれば、支援モジュールは、少なくとも2つの補正部とスイッチとを備え、スイッチは、生成された補正設定の関数として前記補正部のうちの1つを作動させるのに適切である。
【0020】
そのような構成の場合、スイッチにより、異なる補正部を選択することが可能になる。この代替は、本発明による支援デバイスの構造をわずかに複雑にするが、それに組み込まれるマッピングの数を制限することに備え、計算時間を制限することに備える。
【0021】
有利には、決定モジュールは、車線境界位置および車両が従う向きの中から選択された少なくとも1つの測定された変数を検出するのに適切なカメラと、前記測定された変数から、車線の幅および車線の中央の中から選択された少なくとも1つの変数を決定することができるコンピュータとを備える。
【0022】
好ましくは、生成モジュールは、補正設定の急激な変動を回避することが意図された制動手段を備え、前記制動手段は、補正設定をフィルタリングする、および/または補正設定の2つの連続値の間のランプを作り出すことができる。
【0023】
そのような制動手段の場合、運転者によって知覚可能であるハンドルの振動の出現が回避される。
【0024】
有利には、生成モジュールは、ヒステリシストリガを備える。
【0025】
そのようなトリガは、制動手段に取って代わるまたは制動手段を完成させることができる。後で説明するように、ヒステリシストリガは、運転者によって知覚可能であるハンドルの振動の出現を回避することにも備える。
【0026】
別の態様によれば、車線における自動車両のための運転支援方法が提案され、その場合、車線の境界の位置および車両が従う向きが測定され、車両に関連した変数および車線に関連した変数の中から選択された少なくとも1つの入力変数が決定され、前記入力変数が、車線における車両の横位置と、車両の横ずれ速度とを含み、補正設定が、前記入力変数の関数として生成され、運転支援処置が、補正設定の関数として実施される。
【0027】
本発明の他の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照して、単に非限定例として与えられる以下の説明を読むことにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施形態による支援デバイスの概略図である。
【
図2】
図1のデバイスに組み込まれたマッピングを示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態による支援デバイスを概略的に表す図である。
【
図5】
図4のデバイスに組み込まれたマッピングを示すグラフである。
【
図6】本発明の第3の実施形態による支援デバイスの概略図である。
【
図7】
図6のデバイスに組み込まれたマッピングを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1および3を参照すると、本発明の第1の実施形態による車線における運転を支援するためのデバイス1が、車線6において移動する自動車両4に組み込まれることが意図されている。支援デバイス1は、車線6における車両4の位置制御を示すブロック
図2で
図1に概略的に表される。
【0030】
車線6は、2つの境界8および10によって横方向に区切られる。例示する例において、境界8および10は、自動車道上に作り出された白い破線である。しかし、車線境界の他の例、例えば、実線、路側またはさらにはボットドットなどの反射マーカの検討は、本発明の範囲から逸脱しないことは明確である。車両4は操舵システム12を備える。代替案として、車両は、四輪操舵が装備された車両の場合のようにいくつかの操舵システムを含む。
【0031】
図1を参照すると、操舵システム12が、ブロック
図2で表される。システム12は、車線6上の車両4の補正された向きCorr_headを最終の向きFin_headに変換することができる。
【0032】
支援デバイス1は決定モジュール14を含む。
図1の実施形態において、決定モジュール14は、カメラ16と、カメラ16にデータ接続されたコンピュータ18とを備える。カメラ16およびコンピュータ18は、車両4のネットワークコントローラ(図示せず)とデータ通信される。
【0033】
カメラ16は、車両4におよび車線6に関連した変数を検出することができる。この特定の場合において、カメラ16は、車両4に対して、境界8および10の位置を検出する。カメラ16は、境界8および10の方向に対して車両4が従う向きを検出する。
【0034】
コンピュータ18は、カメラ16によって検出される、境界8および10の位置から車線6の幅L6を計算することができる。コンピュータ18は、カメラ16によって検出される、境界8および10の位置からおよび幅L6から、車線6の中央の位置(図示せず)を検出することができる。
【0035】
コンピュータ18は、車線6における車両4の横位置y4/6を計算することができる。このために、コンピュータ18は、カメラ16によって検出された境界8および10の位置、幅L6および車線6の中央を考慮に入れる。コンピュータ18によって供給された位置y4/6は、車両4が境界8と車線6の中央との間に配置された場合負であり、車両4が境界10と車線6の中央との間に配置された場合正である。
【0036】
コンピュータ18は、車両4の横ずれ速度V4/6をさらに計算することができる。このために、コンピュータ18は、カメラ16によって測定された向きおよび車両の縦速度Vlongを考慮に入れる。コンピュータ18は、横速度V4/6を得るために車両の横位置y4/6を供給することもできる。位置y4/6の場合とまったく同じように、コンピュータ18によって供給された横速度V4/6は、車両が境界8の方へそれた場合負であり、車両4が境界10の方へそれた場合正である。
【0037】
速度Vlongは、車両4に特有の手段によって決定され、車両のネットワークコントローラを通じてコンピュータ18によって受け取られる。さらに、コンピュータ18は、ネットワークコントローラを通じて車両の幅LVEHを受け取る。
【0038】
支援デバイス1は、生成モジュール20をさらに含む。生成モジュール20は、決定モジュール14とデータ通信される。生成モジュール20の機能は、決定モジュール14によって決定された入力変数を考慮に入れて、補正設定を生成することである。補正設定により、補正処置が、車線6における自動車両4の動作状態に適合することが可能になる。生成モジュール20の構造は、後で、より詳細に説明する。
【0039】
支援デバイス1は、支援モジュール22をさらに含む。支援モジュール22は、生成モジュール20とデータ接続される。支援モジュール22の機能は、補正設定を考慮に入れて運転支援処置を実施することである。
【0040】
図1の実施形態において、支援モジュール22の機能は、ブロック
図2で表されるように、向き設定Head_setに対して差を補正することである。したがって、支援デバイス1は、車両4の操舵システム12に自動的に介入する。しかし、別の種類の運転支援処置、例えば、ダッシュボード上に警告を表示することによって運転者に通知することを提供する支援モジュールの検討は、本発明の範囲から逸脱しない。支援モジュールが、運転者に警告するための手段および車両4が従う方向を補正するための手段の両方を備えるように用意することもまったく同様にできる。
【0041】
支援モジュール22は補正部24を備える。
図1に例示する実施形態例において、補正部24は、比例・積分・微分(PID)補正部である。そのような補正部は、本発明の説明を簡単にするために意図的に選択されている。しかし、もちろん、別のタイプの補正部を、特により進化した補正部を本発明の範囲から逸脱することなく検討することができる。
【0042】
この実施形態において、PID補正部24の3つのパラメータki、kpおよびkdを変更することができる。支援モジュール22は、補正部24とデータ通信される調整手段26を備える。より詳しくは、補正モジュール26は、パラメータki、kpおよびkdの設定を変更することができる。これらのパラメータを変更するために、調整手段26は、生成モジュール20によって供給された補正信号を考慮に入れる。
【0043】
図1および2を参照すると、生成モジュール20が、マッピング28を備える。マッピング28は、
図2に詳細に表される。
【0044】
この実施形態において、マッピング28は、位置y
4/6、速度V
4/6および縦速度V
longの関数として補正設定の値を含む。補正設定値は書式α
ijkで示されており、ここで、
図2を参照して、
- iはy
4/6が配置されなければならない列の左から右への位置を示し、
- jはV
4/6が配置されなければならない行の底部から頂部への位置を示し、
- kは車両4の縦速度V
longが配置されなければならない平面を示す。
【0045】
より具体的には、例示する例において、マッピング28の列における値iは、以下のように割り当てられる。
【0046】
同様に、マッピング28の行における値jは、以下のように割り当てられる。
ここで、V
1、V
2は、所定の閾値を示す。
【0047】
マッピング28の平面における値kは、以下のように割り当てられる。
【0048】
図1および2の実施形態において、補正設定α
ijkは、三つ組(k
i、k
p、k
d)に対応する。マッピング28に含まれる値α
ijkは、
- 指数iが3、4とは異なり、1または6に近く、および/または
- 指数jが3、4とは異なり、1または6に近く、および/または
- 指数kが3または4に等しい場合、補正処置を高速にし、大きくし、安定化されるように確立される。
【0049】
逆に、補正は、
- 指数iが3または4に等しく、および/または
- 指数jが3または4に等しく、および/または
- 指数kが1または2に等しい場合、存在しないか、または小さい。
【0050】
速度V4/6、位置y4/6および速度Vlongによる逸脱を特徴付けることによって、マッピング28は、状況に気を配るときにちょうど人間の運転者がするように補正処置を適合させる。すべてのタイプの逸脱を考慮に入れることに備える向きの補正の大域適合が後に続く。特に、この補正は、接地との結合の、ならびに道路の、様々な運転状態のおよび横風の変動性を考慮に入れる。したがって、このように設計された生成手段は、変数のそれぞれに対するオブザーバーの作成を回避することに備え、したがって、デバイス1の複雑性を増加させることを回避する。
【0051】
図2に示すように、4と6との間のiおよび1と3との間のjの値に対応する四角形、ならびに1と3との間のiおよび4と6との間のjの値に対応する四角形は、故意に空である。具体的には、それらの状態の下で、車両は、車線6の中央の方に再位置付けする過程にある。その結果として、向き設定Head_setは、補正されず、またはわずかに補正される。
【0052】
例示する例において、位置y4/6および速度V4/6は、3つの負の範囲および3つの正の範囲に列挙される。しかし、異なる数の範囲の検討は、本発明の範囲から逸脱しない。同様に、速度Vlongを列挙するための異なる数の範囲の検討は、本発明の範囲から逸脱しない。より詳しくは、範囲の数は、マッピング28に割り当てられた利用可能なメモリの関数として選択することができる。範囲を異なる閾値で区切ることも本発明の範囲から逸脱しない。
【0053】
図1を再度参照すると、生成手段20が制動手段30を含む。制動手段30は、マッピング28とデータ接続される。補正設定が値α
ijkから値α
i’j’k’に変化したとき、ここで、(i,j,k)≠(i’,j’,k’)であるが、制動手段30は、マッピング28によって供給された補正設定が値α
ijkとα
i’j’k’との間のランプに従うことを確実にする。そのような制動手段30によって、運転者によって知覚可能である振動の出現が回避される。代替案として、制動手段30は、値α
ijkからα
i’j’k’の遷移の間、補正設定をフィルタリングするハードウェアおよびソフトウェアを装備することができる。別の代替によれば、マッピング28は、1つの設定値から別の設定値への遷移を駆動することができるように設計することができる。
【0054】
さらに、生成モジュール20は、ヒステリシストリガ32を備える。トリガ32は、値i、jおよびkの状態の変化にヒステリシスを適用する。したがって、位置y4/6、速度V4/6および/または縦速度Vlongがマッピング28の閾値に近いとき、補正設定の複数のおよび連続的な変化が回避される。したがって、車両4のこれらの動作状態の下で運転者によって知覚することができる振動の出現が回避される。
【0055】
この実施形態において、ヒステリシストリガ32は、運転者が車両の操舵の振動をまったく知覚しないように、制動手段30に加えて供給される。しかし、生成手段20は、本発明の範囲から逸脱することなく、構成部品30および32の一方または他方だけを備えることができる。
【0056】
図4を参照すると、第2の実施形態による、車線6における運転を支援するためのデバイスが概略的に表される。支援デバイス33は、
図1におけるブロック
図2と同様に、ブロック
図34に概略的に表される。同一の品目は同じ参照符号を有する。
【0057】
図4を参照すると、決定モジュール14が、第1の実施形態のコンピュータ18に取って代わるコンピュータ36を備える。コンピュータ18と同様に、コンピュータ36は、横位置y
4/6、横ずれ速度V
4/6、幅L
6および車線6の中央を計算することができる。さらに、コンピュータ36は、車線境界が横断されるまでの時間T
AVFを計算することができる。時間T
AVFは、向き補正なしでそのルートに沿って継続する車両4が境界8および10の一方を横断する推定持続時間に対応する。この計算を実施するために、コンピュータ36は、位置y
4/6、速度V
4/6および幅L
VEHを考慮に入れる。
【0058】
この実施形態において、生成手段20は、マッピング38を含む。マッピング38は、補正処置が依存する補正設定を支援モジュール22のアドレスに伝送する。
【0059】
図5を参照すると、マッピング38が、第1の実施形態と同様に、三つ組(k
i、k
p、k
d)に対応する補正設定βの値を含む。マッピング38は、時間T
AVFの関数として補正設定値βを供給する。
【0060】
したがって、第1の実施形態と同様に、マッピング38は、この特定の場合のTAVFにおいて、入力変数の関数として補正設定を供給する。しかし、マッピング38は、マッピング28よりも複雑でない可能性がある。時間TAVFを計算し、およびTAVFの関数として補正設定を生成する別の利点は、補正設定の不連続を防止するのがより容易であることである。この利点の結果として、デバイス33の生成モジュール20は、第1の実施形態の制動手段30も、ヒステリシストリガ32も備えない。第1の実施形態と同様に、マッピング38は、車両の縦速度Vlongを考慮に入れることもできる。
【0061】
図6を参照すると、本発明の第3の実施形態による、車線における運転を支援するためのデバイス40が概略的に表される。支援デバイス40は、
図4のブロック
図34と同様に、ブロック
図41に概略的に表される。同一の品目は同じ参照符号を有する。
【0062】
この実施形態において、支援モジュール22は、第1の補正部42と、第2の補正部44と、第3の補正部46と、第4の補正部47とを含む。補正部42、44、46および47は、比例・積分・微分(PID)補正部または任意の他のタイプの補正部、例えば、より進化した補正部であることができる。補正部42、44、46、47の参照番号が高ければ高いほど、補正部はより高速で、広範で、安定した補正処置をもたらす。したがって、補正部42は、快適な補正処置をもたらし、快適な補正処置は最も低速で、最小で、最も不安定でもある。補正部47は、より高速で、より広範で、より安定した補正処置をもたらす。
【0063】
支援モジュール22は、スイッチ48をさらに含む。スイッチ48の目的は、補正部42、44、46および47のうちの1つを、その他の補正部の動作を停止させると同時に作動させることにある。したがって、スイッチ48が補正部42を選択したとき、補正部42だけがHead_set補正処置を実施する。補正部42、44、46および47のうちのどれを作動させなければならないのかを選択するために、スイッチ48は、生成モジュール20のマッピング50とデータ接続される。
【0064】
図7を参照すると、マッピング50が、時間T
AVFの関数として補正部42、44、46、47の作動設定γの値C42、C44、C46、C47を含む。マッピング50によって供給された値γは、横座標T
AVFの曲線kpの点の縦座標の領域に対応する。したがって、T
AVF=T1であるならば(
図7参照)、横座標T
AVFの曲線kpの点の縦座標は、補正部46の領域に配置され、したがって、γ=C46である。T
AVF=T2であるならば、横座標T
AVFの曲線kpの点の縦座標は、補正部42の領域に配置され、したがって、γ=C42である。マッピングがスイッチ48における設定C42のアドレスを指定したとき、後者は補正部42を作動させる。同じことが設定C44、C46およびC47ならびに、それぞれ、補正部44、46および47にも明確に当てはまる。最初の2つの実施形態と同様に、マッピング38は、車両の縦速度V
longを考慮に入れることもできる。
【0065】
したがって、時間TAVFが低い値であるとき、補正部47が、道路から離れる危険を所与として選択される。逆に、時間TAVFが高い値である場合、補正部47が、車両4の乗員の快適さを優先するために作動するように選択される。
【0066】
したがって、第3の実施形態において、支援デバイス40は、時間TAVFを計算し、次いで、時間TAVFの関数として補正処置を適合させる。したがって、決定モジュール14は、第2の実施形態におけるモジュール14と同一である。しかし、補正設定が位置y4/6、速度V4/6および速度Vlongの関数として直接生成されるように、決定モジュール14および生成モジュール20を変更することは、本発明の範囲から逸脱しない。その場合、生成モジュールのマッピングは、マッピングに含まれる設定の値が三つ組(ki、kp、kd)ではないが、補正部C42、C44、C46およびC47の作動設定であることを除いて、第1の実施形態のマッピング28と同様である。
【0067】
説明してきた実施形態のうちの任意の1つにおいて、補正処置を抑制するための手段(図示せず)をさらに提供することができる。この抑制手段は、支援デバイスの補正処置の作動の状態への信頼の喪失、差し迫った危険性、安定性の欠如、または一貫性の欠如の場合に作動させることができる。
【0068】
上記を考慮して、本発明の3つの実施形態により、システムの複雑性を大幅に増加させることなく、補正処置の適合が可能になる。特に、本発明の実施の費用は、主にマッピングを完全なものにする際に制限されるので、とりわけ低い。
【0069】
3つの実施形態のそれぞれにおいて、マッピングは、車線に対して自動車両の逸脱の臨界のレベルの識別を可能にするように構築され、それによって、この臨界のレベルの関数として補正処置を変更する。したがって、補正処置は、人間の運転者の挙動に相当する挙動に従って適合され、それによって、補正を改善する。