(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】遊星歯車伝動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/28 20060101AFI20231020BHJP
F16H 57/032 20120101ALI20231020BHJP
F16H 57/08 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
F16H1/28
F16H57/032
F16H57/08
(21)【出願番号】P 2020032765
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】513262470
【氏名又は名称】シチズンマイクロ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永易 良太
(72)【発明者】
【氏名】里見 泰章
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-009641(JP,A)
【文献】特開2017-141869(JP,A)
【文献】特開平06-272740(JP,A)
【文献】特開2001-347959(JP,A)
【文献】特開2002-162406(JP,A)
【文献】実開平03-060068(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/28
F16H 57/032
F16H 57/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に内歯車が形成された筒状の内歯車部と、
前記内歯車に噛み合って、自転及び前記内歯車部の軸回りに公転する遊星歯車と、
前記遊星歯車を回転自在に支持するとともに、前記軸回りに回転自在に設けられた遊星キャリアと、
前記内歯車部の前記軸方向の端部に配置された端板と、
前記端板と前記遊星歯車との間に配置されたスラストワッシャと、を備え、
前記遊星歯車と前記スラストワッシャとが互いに磁気的に吸引されて接するように、少なくとも前記遊星歯車及び前記スラストワッシャが磁化されている遊星歯車伝動装置。
【請求項2】
前記スラストワッシャが、ステンレスで形成されている請求項1に記載の遊星歯車伝動装置。
【請求項3】
前記端板と前記スラストワッシャとが互いに磁気的に吸引されるように、前記端板が磁化されている請求項1又は2に記載の遊星歯車伝動装置。
【請求項4】
前記端板が、ステンレスで形成されている請求項3に記載の遊星歯車伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊星歯車伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機(モータ)には、軸の回転が停止しているとき、ある程度の保持トルクによって軸の停止状態を維持する構造を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された電動機は、ロータやステータが組み込まれるケース(フレーム組立体)の内部に圧縮ばねを設けた構造である。そして、この圧縮ばねの弾性力により、ロータを軸受け部に押し付けることで、ロータと軸受け部の間に生じる摩擦力により、停止時の保持トルクを発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、モータに保持トルク付与部を設けると、モータの構造が複雑になる等、モータの構造に影響を与える虞がある。一方、モータに減速装置等の遊星歯車伝動装置を組み合わせる場合、モータではなく、遊星歯車伝動装置に保持トルクを付与することで、モータの構造に影響を与えずに、保持トルクを与えることができる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、組み合わされるモータ等の構造に影響を与えずに、保持トルクを与えることができる遊星歯車伝動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内周面に内歯車が形成された筒状の内歯車部と、前記内歯車に噛み合って、自転及び前記内歯車部の軸回りに公転する遊星歯車と、前記遊星歯車を回転自在に支持するとともに、前記軸回りに回転自在に設けられた遊星キャリアと、前記内歯車部の前記軸方向の端部に配置された端板と、前記端板と前記遊星歯車との間に配置されたスラストワッシャと、を備え、前記遊星歯車と前記スラストワッシャとが互いに磁気的に吸引されて接するように、少なくとも前記遊星歯車及び前記スラストワッシャが磁化されている遊星歯車伝動装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る遊星歯車伝動装置によれば、組み合わされるモータ等の耐久性に影響を与えることなく、保持トルクを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る遊星歯車伝動装置の一実施形態である遊星歯車減速機の分解斜視図である。
【
図2】
図1に示した遊星歯車減速機の出力軸を含む面による縦断面図である。
【
図3】
図2に示した遊星歯車減速機の構成部品ごとの着磁状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る遊星歯車伝動装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
<構成>
図1は本発明に係る遊星歯車伝動装置の一実施形態である遊星歯車減速機100の分解斜視図、
図2は
図1に示した遊星歯車減速機100の出力軸30を含む面による縦断面図、
図3は
図2に示した遊星歯車減速機100の構成部品ごとの着磁状態を示す模式図である。
【0012】
本発明の一実施形態に係る遊星歯車減速機100(以下、減速機100という。)は、2組の遊星歯車機構を組み合わせて、入力された回転を2段階に減速して出力する。
【0013】
減速機100は、
図1に示すように、内歯車部1と、3つの第1の遊星歯車12と、太陽取付板13(遊星キャリア)と、3つの遊星軸14と、太陽歯車15と、3つの第2の遊星歯車22と、出力取付板23(遊星キャリア)と、3つの遊星軸24と、出力軸30と、下板3(端板)と、スラストワッシャ4と、蓋部2と、ラジアルベアリング41,42と、を備えている。
【0014】
内歯車部1と下板3と蓋部2とは、第1の遊星歯車12、太陽取付板13、遊星軸14、太陽歯車15、第2の遊星歯車22、出力取付板23、出力軸30、スラストワッシャ4及びラジアルベアリング41,42を内部に収容する外装を兼ねている。内歯車部1は、円筒状に形成されていて、円筒の内周面に沿って、第1の遊星歯車12及び第2の遊星歯車22と噛み合う内歯車1aが形成されている。
【0015】
下板3は、内歯車部1の円筒の一方の端部に固定されている。下板3は、ボス部3aとフランジ部3bとを有している。ボス部3aは、内歯車部1の円筒の内周面に嵌め合わされている。フランジ部3bは、ボス部3aの外周から半径方向の外方に延びて形成され、内歯車部1の円筒の一方の端面を覆っている。ボス部3aの中心部には、中心軸Cに沿って貫通した開口3cが形成されている。
【0016】
スラストワッシャ4は、内歯車部1の内周面よりも小さい外径の円板状で、中心に、外部のモータの出力ギヤ120を通過させ得る大きさの開口4cが形成されている。スラストワッシャ4は、下板3よりも内歯車部1の内側で、下板3とわずかな隙間を以て配置されている。なお、スラストワッシャ4の外形は、円形ではなく、例えば、三角形や四角形であってもよい。
【0017】
蓋部2は、内歯車部1の円筒の他方の端面側に固定されている。蓋部2も下板3と同様に、ボス部2aとフランジ部2bとを有している。ボス部2aは、内歯車部1の円筒の内周面に嵌め合わされている。フランジ部2bは、ボス部2aの外周から半径方向の外方に延びて形成され、内歯車部1の円筒の他方の端面を覆っている。ボス部3aの中心部には、中心軸Cに沿って貫通した開口2cが形成されている。
【0018】
太陽取付板13は、中心軸C方向において、スラストワッシャ4を挟んで下板3とは反対側に配置されている。太陽取付板13は、遊星歯車12のキャリアであり、内歯車部1の内周面よりも小さい直径の円板状に形成されている。太陽取付板13には、太陽取付板13の中心軸Cに平行に延びて、下板3に向かって突出する3つの遊星軸14が圧入されている。遊星軸14は、太陽取付板13に対して変位しない。なお、遊星軸14は、太陽取付板13と一体的に形成されていてもよい。
【0019】
3つの遊星軸14は、中心軸C回りに等角度間隔(120[度]間隔)に設けられている。各遊星軸14には、第1の遊星歯車12が取り付けられている。遊星軸14は遊星歯車12に対して緩く嵌められていて、遊星歯車12は遊星軸14回りに回転自在で、かつ遊星軸14の軸方向に変位可能である。遊星歯車12が遊星軸14の軸方向に変位したとき、遊星歯車12はスラストワッシャ4に接し得る。
【0020】
太陽取付板13の中心部には、蓋部2に向かって突出した太陽歯車15が固定されていて、太陽歯車15は、太陽取付板13と一体的に、中心軸C回りに回転する。太陽歯車15は、太陽取付板13に対して変位しない。なお、太陽歯車15は、太陽取付板13と一体的に形成されていてもよい。
【0021】
遊星軸14にそれぞれ嵌められた3つの遊星歯車12は、内歯車1aと噛み合う。3つの遊星歯車12によって囲まれた中心部には空間が形成されている。そして、
図2に示すように、減速機100の外部から、下板3に形成された開口3cを通じて、この空間に挿入された、外部のモータの回転軸110の先端に設けられた出力ギヤ120が、3つの遊星歯車12に同時に噛み合う。
【0022】
3つの遊星歯車12、内歯車1a、太陽取付板13、遊星軸14及び太陽歯車15は、第1の遊星歯車機構を構成している。したがって、遊星歯車12に噛み合った出力ギヤ120の回転を減速して太陽歯車15の回転を出力する。
【0023】
出力取付板23は、太陽取付板13よりも蓋部2に近い側に配置されている。出力取付板23は、遊星歯車22のキャリアであり、内歯車部1の内周面よりも小さい直径の円板状に形成されている。出力取付板23には、出力取付板23の中心軸Cに平行に延びて、太陽取付板13に向かって突出する3つの遊星軸24が圧入されている。遊星軸24は、出力取付板23に対して変位しない。なお、遊星軸24は、出力取付板23と一体的に形成されていてもよい。
【0024】
3つの遊星軸24は、中心軸C回りに等角度間隔(120[度]間隔)に設けられている。各遊星軸24には、第2の遊星歯車22が取り付けられている。遊星軸24は遊星歯車22に対して緩く嵌められていて、遊星歯車22は遊星軸24回りに回転自在で、かつ遊星軸24の軸方向に変位可能である。
【0025】
出力軸30は、中心軸Cに沿って、出力取付板23に近い側から順に、一端部31、中間部32、大径部33、出力端部34が形成されている。一端部31は、出力軸30において直径が最も小さく、次いで中間部32の直径が小さい。大径部33は、出力軸30において直径が最も大きい。
【0026】
出力取付板23の中心部には、出力軸30の一端部31が固定されていて、出力軸30は、出力取付板23と一体的に中心軸C回りに回転する。出力軸30は、出力取付板23に対して変位しない。なお、出力軸30は、出力取付板23と一体的に形成されていてもよい。
【0027】
遊星軸24にそれぞれ嵌められた3つの遊星歯車22は、内歯車1aと噛み合う。3つの遊星歯車22によって囲まれた中心部には空間が形成されている。そして、この空間に太陽歯車15が挿入されて、太陽歯車15と3つの遊星歯車22が同時に噛み合っている。
【0028】
出力軸30は、蓋部2に形成された開口2cを通じて、一端部31が出力取付板23に固定されている。蓋部2の開口2cには、2つのラジアルベアリング41,42が同軸に固定されている。出力軸30の中間部32は、ラジアルベアリング41,42の内輪に支持され、これにより、蓋部2に対して中心軸C回りに回転自在とされている。
【0029】
なお、大径部33及び出力端部34は、蓋部2よりも外側に露出した状態であり、大径部33がラジアルベアリング42の内輪に突き当てられて、中心軸C方向の位置決めがされている。
【0030】
3つの遊星歯車22、内歯車1a、出力取付板23、遊星軸24及び出力軸30は、第2の遊星歯車機構を構成している。したがって、回転する太陽歯車15に噛み合った遊星歯車22は、内歯車1aと噛み合った状態で、自転しつつ、中心軸C回りに公転し、この公転が出力取付板23を中心軸C回りに回転させて、出力軸30を中心軸C回りに自転させる。このとき、出力軸30の回転数は、入力された太陽歯車15の回転数に対して遅い回転となり、減速した回転となる。
【0031】
つまり、本実施形態の減速機100は、第1の遊星歯車機構と第2の遊星歯車機構とが直列に連結されているため、この減速機100に、出力ギヤ120から入力されたモータの回転は、第1の遊星歯車機構で減速され、さらに第2の遊星歯車機構でも減速されることで、2段階に減速されて、出力軸30を回転させる。
【0032】
ここで、上述した内歯車部1及び蓋部2は、非磁性材料の一例である真鍮で形成されている。一方、出力軸30、ラジアルベアリング41,42、出力取付板23、遊星軸24、第2の遊星歯車22、太陽歯車15、太陽取付板13、遊星軸14、第1の遊星歯車12、スラストワッシャ4及び下板3は、いずれも硬磁性材料の一例である金属で形成されている。
【0033】
特に、スラストワッシャ4及び下板3は、硬磁性材料の一例であるステンレス(フェライト系ステンレスやマルテンサイト系ステンレス)で形成されている。
【0034】
本実施形態の減速機100は、中心軸C方向に磁界の向きが沿って、全体として、出力軸30の出力端部34側がN極、下板3の、スラストワッシャ4から遠い側がS極となるように、磁化(着磁)される。なお、磁化される方向は、N極とS極とが、上記実施形態とは反対となる方向であってもよい。
【0035】
この結果、減速機100は、
図3に示すように、磁性材料で形成された構成部品(出力軸30、ラジアルベアリング41,42、出力取付板23、遊星軸24、第2の遊星歯車22、太陽歯車15、太陽取付板13、遊星軸14、第1の遊星歯車12、スラストワッシャ4及び下板3)がそれぞれ、各構成部品の、図示左側部分がN極、図示右側部分がS極に磁化される。
【0036】
なお、例えば、出力軸30及び遊星軸14,24は、ラジアルベアリング41,42、出力取付板23、遊星歯車12,22、太陽歯車15、太陽取付板13、スラストワッシャ4及び下板3に比べて大きい磁力で磁化され、例えば、ラジアルベアリング41,42、遊星歯車12,22、太陽歯車15、スラストワッシャ4及び下板3は、太陽取付板13及び出力取付板23に比べて大きい磁力で磁化されている。
【0037】
つまり、出力軸30及び遊星軸14,24は、相対的に大きい磁力(例えば、20[ガウス]以上)で磁化され、太陽取付板13及び出力取付板23は、相対的に小さい磁力(例えば、1[ガウス]以上10[ガウス]未満)で磁化され、ラジアルベアリング41,42、遊星歯車12,22、太陽歯車15、スラストワッシャ4及び下板3は、相対的に中間の磁力(例えば、10[ガウス]以上20[ガウス]未満)で磁化される。
【0038】
なお、これら構成部品の磁力の相対的な大小は、上述した大小関係に限定するものではない。
【0039】
上述した磁化により、減速機100は、中心軸C方向においてそれぞれ隣接する構成部品間で、吸引される磁界が生じ、隣接する構成部品間での保持力が発生する。
【0040】
具体的には、主に、遊星歯車22と出力軸30の一端部31との間、太陽歯車15と出力軸30の一端部31との間、遊星歯車22と出力取付板23との間、遊星歯車12と太陽歯車15との間、遊星歯車12と太陽取付板13との間、スラストワッシャ4と遊星歯車12との間、スラストワッシャ4と下板3との間、においてそれぞれ磁気的な吸引力が発生し、中心軸C方向に関して、変位し得る遊星歯車12,22等は、中心軸C方向の一方に寄せられる。
【0041】
特に、スラストワッシャ4と遊星歯車12とは、これら両者間で発生する吸引力により、スラストワッシャ4と各遊星歯車12とが接した状態となる。そして、スラストワッシャ4は、遊星歯車12とともに遊星歯車12の公転方向(太陽歯車15を中心とした回転方向)に回転するが、各遊星歯車12は自転するため、各遊星歯車12とスラストワッシャ4との間での相対的な変位による摩擦力が生じる。
【0042】
減速機100は、上述した磁気的な吸引力や摩擦力により、出力軸30の回転を妨げて停止した状態に保持しようとする保持トルクを発生させて、出力軸30の意図しない不測の回転を防止又は抑制することができる。
【0043】
また、減速機100は、少なくともスラストワッシャ4と遊星歯車12とが磁化されていることで、中心軸Cを鉛直方向に沿わせた姿勢(下板3を下端にした姿勢)であっても、中心軸Cを水平方向に沿わせた姿勢であっても、両者が磁気的な吸引力によって接した状態となる。したがって、減速機100の姿勢差によらず、保持トルクを略一定に保つことができる。
【0044】
これに対して、スラストワッシャ4と遊星歯車12とが磁化されていない減速機(本発明の実施形態ではないもの)は、中心軸Cを鉛直方向に沿わせた姿勢(下板3を下端にした姿勢)においては、遊星歯車12が自重により降下してスラストワッシャ4と接した状態となるが、中心軸Cを水平方向に沿わせた姿勢においては、遊星歯車12とスラストワッシャ4との接触状態が安定しない。したがって、姿勢差によって、保持トルクが増加したり、減少したりして、保持が不安定になる。
【0045】
また、減速機100に保持トルクを発生させることにより、減速機100に組み合わされて使用されるモータや、その他の伝動装置に、保持トルクを発生させる構造を備える必要がない。
【0046】
したがって、そのように減速機100に組み合わせて使用される、保持トルクを発生させる構造を備えないモータや伝動装置は、モータ自体や伝動装置自体に保持トルクを発生させる構造を備えたものに比べて、構造を単純にすることができる。
【0047】
本実施形態の減速機100は、スラストワッシャ4に隣接する下板3も磁化されているが、本発明に係る遊星歯車伝動装置は、公転及び自転する遊星歯車と、この遊星歯車と接し得るように配置されているスラストワッシャとが少なくとも磁化されていればよく、下板3は磁化されていなくてもよい。
【0048】
ただし、スラストワッシャ4とともに下板3も磁化されている減速機100は、スラストワッシャ4と下板3との間でも、吸引力が生じ易くなり、より大きな保持トルクを発生することができるため、スラストワッシャ4とともに下板3も磁化されていることがより好ましい。
【0049】
なお、本実施形態の減速機100は、内歯車部1は磁化されない材料(例えば、真鍮)で形成されているため、内歯車部1の外周等に、磁性体の切粉等の不要物が付着するのを防止することができる。
【0050】
本実施形態の減速機100は、遊星歯車12,22がそれぞれ3個であったが、遊星歯車12,22の個数は、それぞれ1個以上であればよく、2個ずつであってもよいし、4個ずつであってもよいし、5個以上ずつであってもよい。また、遊星歯車12と遊星歯車22とは同じ数であってもよいし、異なる数であってもよい。
【0051】
本実施形態の減速機100は、2つの遊星歯車機構を有するものであるが、本発明に係る遊星歯車伝動装置は、1つの遊星歯車機構のみを備えたものであってもよいし、3つ以上の遊星歯車機構を備えたものであってもよい。
【0052】
本実施形態の減速機100は、入力に対して出力を減速する遊星歯車伝動装置であるが、本発明に係る遊星歯車伝動装置は、入力に対して出力を増速させる遊星歯車伝動装置であってもよいし、入力と出力とが同一の速度となる遊星歯車伝動装置であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 内歯車部
1a 内歯車
3 下板
4 スラストワッシャ
12 第1の遊星歯車
13 太陽取付板
14 遊星軸
15 太陽歯車
100 遊星歯車減速機
110 回転軸
120 出力ギヤ
C 中心軸