(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20231020BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20231020BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
A61G12/00 E
A61G12/00 Z
A61B5/00 102B
H04M9/00 Z
(21)【出願番号】P 2020064399
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【氏名又は名称】扇谷 一
(74)【代理人】
【識別番号】100211487
【氏名又は名称】生澤 里沙
(72)【発明者】
【氏名】水城 元宏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 健太郎
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-036733(JP,A)
【文献】特開2019-140428(JP,A)
【文献】特開2017-202059(JP,A)
【文献】特開2015-126362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
A61B 5/00
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が看護師を呼び出すためにベッドごとに設置されるナースコール子機と、患者からの呼び出しに応答するためにナースステーションに設置されるナースコール親機と、患者の呼び出しに応答するために看護師が携帯する携帯端末と、前記ナースコール子機と前記ナースコール親機と前記携帯端末との間の通信を制御するナースコール制御機と、
を含むナースコールシステムであって、
患者に装着された生体情報センサによって測定される患者の生体情報に異常が検知されたときにアラート情報を前記ナースコール制御機に送信する機能を有する生体情報監視装置と、
前記生体情報センサによって測定される患者の生体情報を蓄積する機能と、前記携帯端末からの要求に応じて指定された患者の生体情報のリアルタイム値を含む蓄積された生体情報を提供する機能とを有する生体情報サーバとを備え、
前記ナースコール制御機は、前記生体情報監視装置からアラート情報を受信したときに、前記アラート情報に対応する患者情報を取得し、担当する看護師の携帯端末に対して前記患者情報と前記アラート情報とを含むナースコールを発信するように構成され、
前記携帯端末は、前記ナースコール制御機から前記患者情報と前記アラート情報とを含むナースコールを着信したときに、前記患者情報と前記アラート情報とを含むナースコールをナースコール応答画面に表示するナースコール応答アプリと、前記生体情報サーバに対して患者の生体情報の提供を要求し、取得された患者の生体情報をリアルタイムで表示することができる生体情報表示画面を表示する生体情報表示アプリとを独立に備え、
前記ナースコール子機と前記ナースコール親機と前記携帯端末との間の通信接続を管理する構内交換機を備え、前記ナースコール子機からの呼び出しや前記生体情報監視装置からのアラート情報に対して応答することを選択した前記ナースコール親機および前記携帯端末の間でグループ通話が形成され、
前記グループ通話が形成された携帯端末のいずれかにおいて前記ナースコール応答画面
に備えられた子機通話ボタンを押すことによって、当該患者のナースコール子機と通話できるように構成され、
前記応答することを選択した携帯端末の前記ナースコール応答画面に生体情報表示アプリ起動ボタンを有し、前記応答することを選択したそれぞれの携帯端末から前記生体情報表示アプリ起動ボタンが押されたときに、前記ナースコール制御機から受信した患者情報を前記生体情報表示アプリに引き渡して前記生体情報表示アプリを起動するように構成された、ナースコールシステム。
【請求項2】
前記生体情報表示アプリは、前記生体情報表示画面に新たなナースコールが着信したことを通知するためのナースコール通知領域を有し、前記生体情報が表示されているときに新たなナースコールに対して応答することができるように構成された、請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
前記生体情報監視装置が前記ナースコール制御機に送信するアラート情報には、前記生体情報監視装置に異常が発生したことを示すアラート情報が含まれることを特徴とする、請求項1~2のいずれかに記載のナースコールシステム。
【請求項4】
患者を撮像するために病室内に設置され、前記携帯端末からネットワークを介してアクセス可能な看護用カメラを備え、
前記ナースコール制御機は、前記携帯端末に前記患者情報を発信するときに、前記患者情報に看護用カメラによって撮像される患者の画像を閲覧するためのURL情報を付加し、
前記携帯端末は、前記患者情報とともに前記URL情報を受信したときに、前記ナースコール応答アプリのナースコール応答画面に前記看護
用カメラによって撮像された患者の画像を表示することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のナースコールシステム。
【請求項5】
医師が携帯する医師用携帯端末をさらに備え、
前記ナースコール制御機は、前記生体情報監視装置からアラート情報を受信したときに、前記アラート情報に対応する患者情報を取得し、担当する看護師の携帯端末に対して前記患者情報と前記アラート情報とを含むナースコールを発信するとともに、担当する医師の医師用携帯端末に対しても前記患者情報と前記アラート情報とを含むナースコールを発信し、前記生体情報監視装置からのアラート情報に応答することを選択した前記ナースコール親機、前記看護師の携帯端末および前記医師用携帯端末の間でグループ通話が形成されるように構成され、
前記医師用携帯端末は、前記ナースコール応答アプリおよび前記生体情報表示アプリを備え、前記ナースコール応答アプリの前記ナースコール応答画面に前記生体情報表示アプリ起動ボタンを有し、前記生体情報表示アプリ起動ボタンが押されたときに、前記ナースコール制御機から受信した患者情報を前記生体情報表示アプリに引き渡して前記生体情報表示アプリを起動するように構成された、請求項
1~4のいずれかに記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病室の患者が看護師を呼び出すことができるようにしたナースコールシステムに関するものであり、特に患者の生体情報を監視する生体情報監視装置において患者の生体情報に異常が検知された場合に、看護師が携帯する携帯端末に通知するように構成されたナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院等においては、重症患者に対して血圧、体温、脈拍、呼吸、酸素飽和度、心電図波形などの生体情報を測定するための生体情報センサを装着し、患者の生体情報を常時監視する生体情報監視装置が備えられている。各ベッドに設置された生体情報監視装置は、無線通信または有線通信を介してナースステーションに備えられた集合表示装置に接続され、集約された生体情報が表示されるとともに、患者の生体情報に異常が検知された場合にアラーム音を発して看護師や医師に通報するようにしている。
【0003】
近年、病院等においては、患者のベッドに備えられたナースコール子機から、ナースステーションに備えられたナースコール親機や、看護師が携帯する携帯端末を呼び出すことができるナースコールシステムが普及しており、生体情報監視装置により監視している患者の生体情報に異常が検知された場合に、ナースコールシステムを介して看護師の携帯端末に通報することができるナースコールシステムが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2)。
【0004】
特許文献1に記載されたナースコールシステムは、病室内の病床毎に設置される生体情報測定装置がナースコール子機を介して接続され、生体情報測定装置で測定された生体情報結果や異常値警報情報を、廊下灯、生体情報集合表示装置、看護師が携帯する携帯端末(ハンディナース)に対してそれぞれデータ送信し、廊下灯のランプ等の表示部にて異常値警報情報を知らせ、生体情報集合表示装置の表示部、ハンディナースの表示部をそれぞれ使用して、生体情報結果であるデータ、波形を表示するとともに、異常値警報情報を音、文字にて知らせることにより、ナースコールシステムの幹線を使用したデータ伝送をもとに看護師に対して通報するものである。
【0005】
また、特許文献2に記載されたナースコール装置は、患者の生体情報を測定および監視する生体情報監視装置と、生体情報の異常および生体情報を測定する測定器の異常を検出した生体情報監視装置が異常を知らせる警報信号を送出するナースコール子機と、ナースコール子機が廊下灯を介して警報信号を送信するナースコール親機と、ナースコール親機と無線通信設備を介して接続した携帯端末とを備え、ナースコール親機が警報信号を受け取ると鳴動音と表示により看護師に報知すると共に、警報を発した生体情報監視装置に対して警報が発生した時点から前後の指定した時間分の警報に該当する生体情報を要求し、生体情報監視装置からナースコール親機が要求した生体情報を受け取ると、ナースコール親機の記憶部に保存し、看護師から警報に該当する生体情報の表示を要求された場合にナースコール親機の表示部または表示要求がある携帯端末に生体情報の時間的変化値を表示することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-281167号公報
【文献】特開2007-228982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたナースコールシステムでは、ナースコールシステムの無線通信網に予め融合されているデジタル通信網をなす有線伝送を介して、病院内にて測定された各病床の患者の生体情報結果や、測定された生体情報結果が異常値の場合における異常値警報情報をデータ伝送させることにより病院内の看護師等に通報できるようにしたものであるが、ここで伝送される生体情報結果は過去に取得されたものであり現在の患者の生体情報をリアルタイムに確認することはできない。このため、通報を受けた看護師は現在の患者の生体情報を確認するために生体情報測定装置が設置されている病室や生体情報集合表示装置が設置されているナースステーションに向かわなければならず、迅速に対応することが困難な場合が生ずるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載されたナースコールシステムでは、ナースコール親機が生体情報監視装置から警報信号を受信すると、看護師に報知すると共に、警報を発した生体情報監視装置に対して警報が発生した時点から前後の指定した時間分の警報に該当する生体情報を要求し、生体情報監視装置から取得された生体情報を受け取ると、ナースコール親機の記憶部に保存し、表示要求があった看護師の携帯端末に生体情報の時間的変化値を表示するものであり、看護師は警報が発生した時点から前後の生体情報しか表示することができず、患者の現在の生体情報をリアルタイムに確認することができない。従って、この場合においても、同様に看護師は患者の現在の状態を確認するために生体情報監視装置が設置されているナースステーションや患者のベッドに向かわなくてはならず、迅速に対応することが困難な場合が生ずるという問題があった。
【0009】
それゆえに、本発明の主たる目的は、測定された患者の生体情報に異常が検知された場合に、看護師が携帯する携帯端末にナースコールによって患者の異常を通知するとともに、患者の生体情報をリアルタイムに確認することができるナースコールシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るナースコールシステムは、患者が看護師を呼び出すためにベッドごとに設置されるナースコール子機と、患者からの呼び出しに応答するためにナースステーションに設置されるナースコール親機と、患者の呼び出しに応答するために看護師が携帯する携帯端末と、ナースコール子機とナースコール親機と携帯端末との間の通信を制御するナースコール制御機と、を含むナースコールシステムであって、患者に装着された生体情報センサによって測定される患者の生体情報に異常が検知されたときにアラート情報をナースコール制御機に送信する機能を有する生体情報監視装置と、生体情報センサによって測定される患者の生体情報を蓄積する機能と、携帯端末からの要求に応じて指定された患者の生体情報のリアルタイム値を含む蓄積された生体情報を提供する機能とを有する生体情報サーバとを備え、ナースコール制御機は、生体情報監視装置からアラート情報を受信したときに、アラート情報に対応する患者情報を取得し、担当する看護師の携帯端末に対して患者情報とアラート情報とを含むナースコールを発信するように構成され、携帯端末は、ナースコール制御機から患者情報とアラート情報とを含むナースコールを着信したときに、患者情報とアラート情報とを含むナースコールをナースコール応答画面に表示するナースコール応答アプリと、生体情報サーバに対して患者の生体情報の提供を要求し、取得された患者の生体情報をリアルタイムで表示することができる生体情報表示画面を表示する生体情報表示アプリとを独立に備え、ナースコール応答アプリは、ナースコール応答画面に生体情報表示アプリ起動ボタンを有し、生体情報表示アプリ起動ボタンが押されたときに、ナースコール制御機から受信した患者情報を生体情報表示アプリに引き渡して生体情報表示アプリを起動するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、外部連携機器である生体情報監視装置からアラート情報を受けてナースコール制御機から携帯端末へナースコールを発信する。ナースコール応答画面には生体情報表示アプリ起動ボタンが設けられており、アラート情報を受けて表示されたナースコール応答画面の生体情報表示アプリ起動ボタンを押し、生体情報表示アプリを起動することで当該患者の生体情報をリアルタイムに確認することができる。このため、通報を受けた看護師は現在の患者の生体情報を確認するために生体情報監視装置が設置されている病室や生体情報集合表示装置が設置されているナースステーションに向かう必要がなく、ナースコールを受けた患者に対して迅速に対応することができる。
また、ナースコール応答アプリから生体情報表示アプリに遷移する際に、ナースコール応答アプリで取得した患者情報を生体情報表示アプリに引き渡して生体情報表示アプリを起動するので、生体情報表示アプリにおいてナースコールの対象となった患者の生体情報が正しく表示されていることが保証され、人為的な操作ミスによって患者の状態を誤認して医療事故が発生することを防止することができる。
【0012】
本発明に係るナースコールシステムの生体情報表示アプリは、生体情報表示画面に新たなナースコールが着信したことを通知するためのナースコール通知領域を有し、生体情報が表示されているときに新たなナースコールに対して応答することができるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、携帯端末においてアラート情報を受信し、生体情報表示アプリを使用してアラート情報が送信された患者の生体情報を閲覧していた場合であっても、新たなナースコールを着信することができ、新たなナースコールに対して迅速に対応することができる。
【0014】
本発明に係るナースコールシステムの生体情報監視装置がナースコール制御機に送信するアラート情報には、生体情報監視装置に異常が発生したことを示すアラート情報が含まれることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、生体情報監視装置に異常が発生した場合にもアラート情報が送信されるので、生体情報監視装置に異常が発生したことによる医療事故を防止することができる。
【0016】
本発明に係るナースコールシステムは、患者を撮像するために病室内に設置され、携帯端末からネットワークを介してアクセス可能な看護用カメラを備え、ナースコール制御機は、携帯端末に患者情報を発信するときに、患者情報に看護用カメラによって撮像される患者の画像を閲覧するためのURL情報を付加し、携帯端末は、患者情報とともにURL情報を受信したときに、ナースコール応答アプリのナースコール応答画面に看護カメラによって撮像された患者の画像を表示することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、患者の生体情報だけでなく、病室内に設置された看護用カメラによっても患者の状態を確認できるため、患者の状態を的確に把握することができ、より適切な対応を行うことができる。
【0018】
本発明に係るナースコールシステムは、ナースコール子機とナースコール親機と携帯端末との間の通信接続を管理する構内交換機を備え、ナースコール子機からの呼び出しや生体情報監視装置からのアラート情報に対して応答することを選択したナースコール親機および携帯端末の間でグループ通話が形成され、グループ通話が形成された携帯端末のいずれかにおいてナースコール応答画面に備えられた子機通話ボタンを押すことによって、当該患者のナースコール子機と通話できるように構成され、応答することを選択した携帯端末のナースコール応答画面に生体情報表示アプリ起動ボタンを有し、応答することを選択したそれぞれの携帯端末から生体情報表示アプリ起動ボタンが押されたときに、ナースコール制御機から受信した患者情報を生体情報表示アプリに引き渡して生体情報表示アプリを起動するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、ナースコール子機からの呼び出しや生体情報監視装置からのアラート情報に対してナースコール親機および携帯端末の間でグループ通話を形成することができるので、当該患者を担当する複数の看護師が連携して対応することができる。また、応答することを選択した看護師の端末には、生体情報表示アプリ起動ボタンを備えるので、複数の看護師が同時に患者の生体情報をリアルタイムに確認することができ、患者の異変に対して担当する複数の看護師が連携して的確に対応することができる。
【0020】
本発明に係るナースコールシステムは、医師が携帯する医師用携帯端末をさらに備え、ナースコール制御機は、生体情報監視装置からアラート情報を受信したときに、アラート情報に対応する患者情報を取得し、担当する看護師の携帯端末に対して患者情報とアラート情報とを含むナースコールを発信するとともに、担当する医師の医師用携帯端末に対しても患者情報とアラート情報とを含むナースコールを発信し、生体情報監視装置からのアラート情報に応答することを選択したナースコール親機、看護師の携帯端末および医師用携帯端末の間でグループ通話が形成されるように構成され、医師用携帯端末は、ナースコール応答アプリおよび生体情報表示アプリを備え、ナースコール応答アプリのナースコール応答画面に生体情報表示アプリ起動ボタンを有し、生体情報表示アプリ起動ボタンが押されたときに、ナースコール制御機から受信した患者情報を生体情報表示アプリに引き渡して生体情報表示アプリを起動するように構成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、医師が携帯する医師用携帯端末に対しても生体情報監視装置からのアラート情報が送信され、ナースコール親機、看護師の携帯端末および医師用携帯端末の間でグループ通話が形成され、医師用携帯端末においても当該患者の生体情報をリアルタイムに確認することができるので、重症患者に対しても必要に応じて医師から看護師に適切な指示を与えることができ、医師と看護師が連携して迅速な対応を行うことができる。また、ナースコールに対して医師用携帯端末が最先に応答したとしても、ナースコール親機や看護師の携帯端末の呼び出しは継続されるため、医師は看護師の対応を遮ることなく患者の状況確認を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、測定された患者の生体情報に異常が検知された場合に、看護師が携帯する携帯端末にナースコールによって患者の異常を通知するとともに、患者の生体情報をリアルタイムに確認することができるナースコールシステムを提供することができる。
【0023】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係るナースコールシステムの構成図である。
【
図2】本発明に係るナースコール制御機のブロック図である。
【
図4】本発明に係る携帯端末においてアラート情報を受信して生体情報表示アプリを起動したときの画面遷移図である。
【
図5】本発明に係る携帯端末において生体情報表示アプリを起動中にナースコールが着信したときの画面遷移図である。
【
図6】本発明に係る携帯端末においてアラート情報を受信して生体情報表示アプリを起動したときのデータフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0026】
1.ナースコールシステムの構成
本発明に係るナースコールシステム10について、
図1を参照して説明する。
図1は本発明に係るナースコールシステムの構成図である。
【0027】
本発明に係るナースコールシステム10は、ナースコール子機20と、廊下灯22と、ナースコール親機30と、ナースコール制御機40と、構内交換機50と、構内基地局60と、携帯端末70と、生体情報センサ100と、生体情報監視装置110と、生体情報サーバ120とを備える。
【0028】
ナースコール子機20は、患者が看護師を呼び出すためにベッド毎に設置されるものである。ナースコール子機20は、例えば、ハンド型子機、握りボタン、呼出ボタンなどを備える。例えば、ナースコール子機20が握りボタンを備える場合は、ナースコール子機20は、握り子機20aと、通話するためのマイク及びスピーカを備えたプレート子機20bとで構成される。
【0029】
廊下灯22は、病室ごとに設置され、複数のナースコール子機20が接続されている。廊下灯22は、接続されているナースコール子機20から呼出信号が送信されたときに点灯する通知灯22aと、病室の患者情報を表示する患者情報表示部22bとを備える。廊下灯22は、ナースコール子機20からの呼出信号を受信し、構内LANを介してナースコール制御機40へ呼出信号を送信する。
【0030】
ナースコール親機30は、患者からの呼び出しに応答するためにナースステーションに設置される。ナースコール親機30は、呼び出しに応答するためのハンドセット(図示省略)と患者情報等を表示する表示部(図示省略)とを備える。
【0031】
ナースコール制御機40は、ナースコール子機20とナースコール親機30と携帯端末70との間の通信を制御する。ナースコール制御機40は、ナースコール子機20から送信された呼出信号を、廊下灯22を経由して受信し、ナースコール親機30および携帯端末70に呼出信号を送信する。また、ナースコール制御機40は、後述する生体情報監視装置110と接続されており、生体情報監視装置110において異常が検出されたときに、ナースコール制御機40は生体情報監視装置110からアラート情報を受信し、ナースコール親機30および携帯端末70に患者情報およびアラート情報を送信する。
【0032】
また、この実施形態においては、ナースコール制御機40は患者情報を格納している。ナースコール制御機40は病院内に設けられた電子カルテサーバ等の患者情報サーバから患者情報の新規登録情報、更新情報等を受信し、ナースコール制御機40に格納された患者情報を常に最新の状態にするように構成される。
【0033】
ここで、患者情報とは、特定の個人を識別できるものであり、例えば、患者の氏名、部屋番号、ベッド番号、生年月日、住所、電話番号、家族構成、病歴が含まれる。
【0034】
構内交換機50は、ナースコール子機20とナースコール親機30と携帯端末70との間の通信接続を管理するものである。構内交換機50は、通信接続の保留・転送・グループ通話を行う機能を提供するように構成される。構内交換機50は、例えば、インターネットプロトコルに基づいて動作するIP交換機を用いることができる。構内交換機50は、例えば、ナースコール子機20からの呼出信号を携帯端末70に通知して応答するときに使用される。また、構内交換機50は、例えば、ナースコール親機30または他の携帯端末70を介して看護師と内線通話するときに相互接続を行うために使用される。
【0035】
構内基地局60は、携帯端末70と病院内の構内LANとの間で無線通信するためのアンテナであり、病院内に所定間隔で設置される。
【0036】
携帯端末70は、患者の呼び出しに応答するために看護師が携帯して使用される。携帯端末70は、例えばスマートフォンを用いることができ、操作部としてのタッチパネルを有する表示部72と、患者情報等を保存する記憶部(図示省略)と、通話部(図示省略)とを有する。携帯端末70は、ナースコール子機20を介して患者と通話したり、ナースコール親機30または他の携帯端末70を介して他の看護師と内線通話をしたりすることができる。
【0037】
看護用カメラ80は、病室内に設置され、患者を撮像するために使用される。看護用カメラ80は、構内LANに接続され、携帯端末70から看護用カメラ80によって撮像される画像にアクセスすることができる。ナースコール制御機40は、携帯端末70に患者情報を発信するときに、患者情報と看護用カメラ80の撮像データのURL情報とを紐づけし、患者情報に看護用カメラ80によって撮像される患者の画像を閲覧するためのURL情報を付加して、携帯端末70に送信する。携帯端末70は患者情報とともにURL情報を受信したときに、ナースコール応答アプリ200のナースコール応答画面200aに看護カメラ80によって撮像された患者の画像を表示することができる。このように構成することで、患者の生体情報だけでなく、病室内に設置された看護用カメラによっても患者の状態を確認できるため、患者の状態を的確に把握することができ、より適切な対応を行うことができる。さらに、携帯端末70の表示部72にカメラ操作ボタンを備え、看護用カメラ80の向きを操作することができるようにしてもよい。
【0038】
生体情報センサ100は、患者の生体情報を常時測定するために患者に装着される。生体情報センサ100は、血圧、体温、脈拍、呼吸、酸素飽和度、心電図波形などを測定可能なセンサである。
【0039】
生体情報監視装置110は、ナースステーションに設置されており、生体情報センサ100が測定した生体情報を無線通信または有線通信によって受信する。生体情報監視装置110は、受信した生体情報の波形を生体情報監視装置110の表示画面に表示するとともに、受信した生体情報の数値を表示する。また、測定した生体情報に異常がないか監視する。さらに、生体情報監視装置110とナースコール制御機40は、レガシー通信によって接続されており、生体情報監視装置110は、患者に装着された生体情報センサ100によって測定される患者の生体情報に異常が検知されたときにアラート情報をナースコール制御機40に送信する機能を有する。アラート情報は、例えば、異常が検知された生体情報センサ100のID(チャンネル)、項目名、異常が検知された時刻を含む。また、アラート情報に、例えば、生体情報監視装置110の機械的な異常や、生体情報センサ100が外れたことによる異常を示すアラート情報が含まれていてもよい。このように構成することで、生体情報監視装置110に異常が発生した場合にもアラート情報が送信されるので、生体情報監視装置110に異常が発生したことによる医療事故を防止することができる。
【0040】
生体情報サーバ120は、生体情報監視装置110に接続され、生体情報センサ100によって測定される患者の生体情報を蓄積する機能と、携帯端末70からの要求に応じて指定された患者のリアルタイム情報を含む蓄積された生体情報を提供する機能とを備える。生体情報サーバ120は構内LANに接続されている。
【0041】
次に、ナースコール制御機40について、
図2を参照してより詳細に説明する。
図2は本発明に係るナースコール制御機のブロック図である。
【0042】
ナースコール制御機40は、ナースコール子機20からの呼出信号等を送受信するナースコール制御機インターフェース(以下、ナースコール制御機I/Fと記載する)42と、ナースコール制御機CPU44と、記憶部46とを備える。
【0043】
ナースコール制御機I/F42は、例えば、ナースコール子機20からの呼出信号を送受信する通信部である。また、ナースコール制御機I/F42は、生体情報監視装置110から送信されたアラート情報を受信する。
【0044】
ナースコール制御機CPU44は、例えば、記憶部46に記憶される情報の送受信等の管理、ナースコール子機20の呼び出しに対するナースコール親機30および所定の携帯端末70への接続処理等を行う。
【0045】
記憶部46は、ナースコール子機20に紐付けられた患者情報、生体情報センサ100に紐付けられた患者情報、患者に紐付けられた看護師情報および看護師が携帯する携帯端末情報が記憶された接続情報テーブル46aを備える。ナースコール制御機40は、ナースコール子機20からの呼出信号を受信したときに、ナースコール親機30を呼び出すとともに、記憶部46の接続情報テーブル46aを参照して、ナースコール子機20を操作している患者に対応する看護師が携帯する携帯端末70に対して、呼出信号を送信する。また、ナースコール制御機40は、生体情報監視装置110からのアラート情報を受信したときに、ナースコール親機30を呼び出すとともに、記憶部46の接続情報テーブル46aを参照して、アラート情報を受信した患者に対応する看護師が携帯する携帯端末70に対して、患者情報およびアラート情報を送信する。
【0046】
次に、携帯端末70について、
図3および
図4を参照して説明する。
図3は本発明に係る携帯端末のブロック図である。
図4は本発明に係る携帯端末においてアラート情報を受信して生体情報表示アプリを起動したときの画面遷移図である。
【0047】
携帯端末70は、
図3に示すように、ナースコール応答アプリ200と生体情報表示アプリ300とを独立に備えている。携帯端末70には、ナースコール応答アプリ200と生体情報表示アプリ300とが事前にインストールされている。
【0048】
ナースコール応答アプリ200は、例えば、
図4に示すように、ナースコール制御機40から患者情報を含むナースコールを着信したときに、患者情報を含むナースコール応答画面200aを表示する。より詳しくは、ナースコール制御機40から患者情報を含むナースコールを着信したときに、受信した患者情報からナースコール応答画面200aを生成し、携帯端末70の表示部72に表示する。また、ナースコール制御機40から患者情報とアラート情報とを含むナースコールを着信したときに、受信した患者情報とアラート情報からナースコール応答画面200aを生成し、携帯端末70の表示部72に表示する。ナースコール応答画面200aには、患者名、通話および終話の応答ボタン、生体情報表示アプリ起動ボタン200bが表示される。また、ナースコール応答画面200aには、例えば、部屋番号、ベッド番号、異常を検知した生体情報センサ100の種別、異常を検知した時刻、看護用カメラ80の撮像データを表示するようにしてもよい。
【0049】
生体情報表示アプリ300は、生体情報サーバ120に対して患者の生体情報の提供を要求し、取得された患者の生体情報をリアルタイムに表示することができる生体情報表示画面300aを表示する。より詳しくは、生体情報表示アプリ300は、表示したい患者の患者情報(部屋番号、ベッド番号等)と指定された患者の生体情報を携帯端末70へ送信する要求を生体情報サーバ120に対して送信する。生体情報サーバ120は、携帯端末70の要求に応じて指定された患者のリアルタイム値を含む蓄積された生体情報を携帯端末70へ送信する。携帯端末70は、生体情報サーバ120から送信された指定された患者の生体情報を受信し、生体情報表示画面300aに表示する。このようにして、生体情報表示アプリ300において指定された患者の生体情報をリアルタイムに表示することができる。生体情報表示画面300aには、例えば、患者の生体情報の測定値や波形が表示される。
【0050】
生体情報表示アプリ300は、ナースコール応答アプリ200がナースコール制御機40から受信した患者情報とアラート情報とを、ナースコール応答アプリ200から引き渡される。これにより、生体情報表示アプリ300は、アラート情報を受信した患者の患者情報に基づいてアラート情報を受信した患者の生体情報を携帯端末70へ送信する要求を生体情報サーバ120に対して送信し、生体情報サーバ120から携帯端末70の要求に応じて指定された患者のリアルタイム値を含む蓄積された生体情報を携帯端末70に受信して表示することができるので、患者の表示を間違えることが無く当該患者の生体情報を閲覧することができる。
【0051】
また、
図5に示すように、生体情報表示アプリ300は、生体情報表示画面300aに新たなナースコールが着信したことを通知するためのナースコール通知領域を有し、生体情報が表示されているときに新たなナースコールに対して応答することができるように構成されている。
図5は本発明に係る携帯端末において生体情報表示アプリを起動中にナースコールが着信したときの画面遷移図である。例えば、生体情報表示画面300aを表示した状態で新たなナースコールが着信した場合、生体情報表示画面300aの上部に着信を示す通知領域が表示される。通知領域は、呼び出し対象の複数の携帯端末(担当チームの携帯端末)のいずれも応答しない場合に別の複数の携帯端末(別のチームの携帯端末)を呼び出すまでの予め設定された時間(スライド時間)を経過するまで表示がされる。スライド時間は例えば60秒に設定されている。通知領域を画面の下方に引き下げることで、ナースコールが通知された患者情報をより詳細に表示することができる。このように構成することで、生体情報表示アプリ300を使用してアラート情報が送信された患者の生体情報を閲覧していた場合であっても、新たなナースコールを着信することができ、新たなナースコールに迅速に対応することができる。
【0052】
2.ナースコールシステムの動作
ナースコールシステム10の動作の一例を、
図6を使用して説明する。
図6は本発明に係る携帯端末においてアラート情報を受信して生体情報表示アプリを起動したときのデータフロー図である。
【0053】
<生体情報監視装置において異常が検知された場合>
生体情報監視装置110において異常が検知された場合のデータフローについて、
図6を使用して説明する。
【0054】
(1)生体情報センサ100において測定された生体情報が、生体情報監視装置110において設定された閾値を超えたまたは閾値よりも低下した場合に、生体情報監視装置110が異常と判断する。
(2)生体情報監視装置110が異常を検知したときに、異常を検知した生体情報センサ100のID(チャンネル)と生体情報の項目名とを含むアラート情報をナースコール制御機40へ送信する(矢印A)。
(3)ナースコール制御機40は、異常を検出した生体情報センサ100のIDに基づいて異常を検出した生体情報センサ100が装着されている患者情報(患者ID、患者名、部屋番号、ベッド番号等)を特定する。
(4)ナースコール制御機40は、特定された患者情報に紐づけされた担当の看護師を特定し、通知すべき携帯端末70を特定する。
(5)ナースコール制御機40は、ナースコール親機30に患者情報とアラート情報とを送信する(矢印B)。
(6)ナースコール制御機40は、ナースコール親機30に患者情報とアラート情報と送信すると同時に、担当する看護師の携帯端末70に対して患者情報とアラート情報とを送信するために、構内交換機50へ通知する携帯端末70の端末情報と患者情報とアラート情報とを送信する(矢印C)。
(7)構内交換機50は、ナースコール制御機40から端末情報と患者情報とアラート情報とを受信すると、通知する携帯端末70に患者情報とアラート情報とを送信する(矢印D)。
(8)携帯端末70は、患者情報とアラート情報とを受信すると、ナースコール応答アプリ200を起動する。ナースコール応答アプリ200は、ナースコール応答画面200aに患者名、部屋番号、ベッド番号、異常を検出したセンサ名、撮像データ、生体情報表示アプリ起動ボタン200bを表示する。
(9)看護師は携帯端末70を操作して、ナースコール応答アプリ200のナースコール応答画面200aに表示された生体情報表示アプリ起動ボタン200bを押す。
(10)看護師がナースコール応答アプリ200のナースコール応答画面200aに表示された生体情報表示アプリ起動ボタン200bを押すことによって、ナースコール制御機40から受信した患者情報(病棟、部屋番号、ベッド番号等)を生体情報表示アプリ300に引き渡して生体情報表示アプリ300を起動する(矢印E)。
(11)生体情報表示アプリ300は、引き渡された患者情報に基づいて生体情報サーバ120に患者の生体情報を提供する要求を送信する(矢印F)。
(12)生体情報サーバ120は、携帯端末70の要求に応じて、患者のリアルタイム値を含む生体情報を携帯端末70に送信する(矢印G)。
(13)携帯端末70は、受信した患者のリアルタイム値を含む生体情報を生体情報表示アプリ300の生体情報表示画面300aに表示する。
【0055】
以上のように、本発明に係るナースコールシステム10は、外部連携機器である生体情報監視装置110からアラート情報を受けてナースコール制御機40から携帯端末70へナースコールを発信する。そして、ナースコール応答アプリ200のナースコール応答画面200aには生体情報表示アプリ起動ボタン200bが設けられており、アラート情報を受けて表示されたナースコール応答画面200aの生体情報表示アプリ起動ボタン200bを押し、生体情報表示アプリ300を起動することで当該患者の生体情報をリアルタイムに確認することができる。このため、通報を受けた看護師は現在の患者の生体情報を確認するために生体情報監視装置110が設置されている病室や生体情報集合表示装置が設置されているナースステーションに向かう必要がなく、ナースコールを受けた患者に対して迅速に対応することができる。
また、ナースコール応答アプリ200から生体情報表示アプリ300に遷移する際に、ナースコール応答アプリ200で取得した患者情報を生体情報表示アプリ300に引き渡して生体情報表示アプリ300を起動するので、生体情報表示アプリ300においてナースコールの対象となった患者の生体情報が正しく表示されていることが保証され、人為的な操作ミスによって患者の状態を誤認して医療事故が発生することを防止することができる。
【0056】
3.変形例
本発明に係るナースコールシステム10は、構内交換機50を備え、ナースコール子機20からの呼び出しや生体情報監視装置110からのアラート情報に対して応答することを選択したナースコール親機30および携帯端末70との間でグループ通話が形成され、グループ通話が形成された携帯端末70のいずれかにおいてナースコール応答画面200aに備えられた子機通話ボタンを押すことによって、当該患者のナースコール子機20と通話できるように構成してもよい。そして、応答することを選択した携帯端末70のナースコール応答画面200aに生体情報表示アプリ起動ボタン200bを有し、応答することを選択したそれぞれの携帯端末70から生体情報表示アプリ起動ボタン200bが押されたときに、ナースコール制御機40から受信した患者情報を生体情報表示アプリ300に引き渡して生体情報表示アプリ300を起動するようにしてもよい。
【0057】
例えば、ナースコール応答アプリ200のナースコール応答画面200aには、応答ボタン、子機通話ボタン、子機終話ボタン、終了ボタンを備え、ナースコールに応答する場合は、応答ボタンを押すことでナースコールに参加することができるように構成し、ナースコールに参加しているナースコール親機30および看護師の携帯端末70のいずれかとナースコール子機20の間で通話する場合は、子機通話ボタンを押すことでナースコール子機20との通話を開始し、子機終話ボタンを押すことでナースコール子機20との通話を終了することができるように構成し、ナースコールを終了する場合は、終了ボタンを押すことでナースコールを終了することができるように構成する。
【0058】
このように構成することで、ナースコール子機20からの呼び出しや生体情報監視装置110からのアラート情報に対してナースコール親機30および携帯端末70の間でグループ通話が形成され、当該患者を担当する複数の看護師が連携して対応することができる。また、応答することを選択した看護師の端末には、生体情報表示アプリ起動ボタン200bを備え、複数の看護師が同時に患者の生体情報をリアルタイムに確認することができるので、患者の異変に対して担当する複数の看護師が連携して的確に対応することができる。
【0059】
また、本発明に係るナースコールシステム10は、医師が携帯する医師用携帯端末をさらに備え、ナースコール制御機40は、生体情報監視装置110からアラート情報を受信したときに、アラート情報に対応する患者情報を取得し、担当する看護師の携帯端末に対して患者情報とアラート情報とを含むナースコールを発信するとともに、担当する医師の医師用携帯端末に対しても患者情報とアラート情報とを含むナースコールを発信し、生体情報監視装置110からのアラート情報に応答することを選択したナースコール親機30、看護師の携帯端末および医師用携帯端末の間でグループ通話が形成されるように構成され、医師用携帯端末には、ナースコール応答アプリ200および生体情報表示アプリ300を備え、ナースコール応答アプリ200のナースコール応答画面200aに生体情報表示アプリ起動ボタン200bを有し、生体情報表示アプリ起動ボタン200bが押されたときに、ナースコール制御機40から受信した患者情報を生体情報表示アプリ300に引き渡して生体情報表示アプリ300を起動するようにしてもよい。
【0060】
このように構成することで、医師が携帯する医師用携帯端末に対しても生体情報監視装置110からのアラート情報が送信され、ナースコール親機30、看護師の携帯端末および医師用携帯端末の間でグループ通話が形成され、医師用携帯端末においても当該患者の生体情報をリアルタイムに確認することができるので、重症患者に対しても必要に応じて医師から看護師に適切な指示を与えることができ、医師と看護師が連携して迅速な対応を行うことができる。また、ナースコールに対して医師用携帯端末が最先に応答したとしても、ナースコール親機30や看護師の携帯端末の呼び出しは継続されるため、医師は看護師の対応を遮ることなく患者の状況確認を適切に行うことができる。
【0061】
この場合に、ナースコール応答アプリ200のナースコール応答画面200aに、同一のナースコールを一斉呼び出しした携帯端末70の看護師名が表示され、応答を選択した看護師名が判別できるように構成することが好ましい。例えば、看護師名の表示色を変更や点滅により応答を選択した看護師が判別できるようにしてもよい。このように構成することにより、誰にナースコールが通知され、誰が応答しているかが明確となる。
【0062】
また、ナースコール応答アプリ200のナースコール応答画面200aに、同一のナースコールを一斉呼び出しした携帯端末70の看護師名が表示され、表示された看護師名を押すことで、当該看護師と通話できるように構成されていてもよい。このように構成することで、患者への対応方針の決定を迅速に行うことができる。
【0063】
上記実施形態では、構内交換機50と携帯端末70との間に構内LANを使用して通信するようにしているが、公衆回線網を使用して通信するようにしてもよい。より詳細には、構内交換機50と携帯端末70との間に公衆回線網接続装置を設けて、公衆回線網の基地局を経由して携帯端末70に接続してもよい。このように構成することで、公衆回線網の基地局のほうが構内回線網の基地局よりも広い範囲をカバーしているので、構内回線網の基地局を複数台設ける場合よりも安定して接続することができる。
【0064】
上記実施形態では、看護用カメラ80を病室内に設置して患者を撮像して状況確認できるようにしているが、患者のプライバシー保護の観点から看護用カメラ80を設置せずにナースコール子機20からの呼び出しや生体情報監視装置110からのアラート情報のみを携帯端末70に送信するようにしてもよい。
【0065】
上記実施形態では、生体情報監視装置110はナースステーションに設置され、患者に装着された生体情報センサ100によって測定された生体情報を無線通信または有線通信によって受信するものとして説明したが、生体情報監視装置110を各患者のベッドサイドに設置し、各生体情報監視装置110から受信された生体情報を集合表示する集合表示装置をナースステーションに備え、集合表示装置を介してナースコール制御機40と接続するようにしてもよい。
【0066】
上記実施形態では、生体情報サーバ120は、生体情報監視装置110とは個別に備えるものとして説明したが、生体情報監視装置110に内蔵されたものであってもよい。
【0067】
上記実施形態では、生体情報監視装置110とナースコール制御機40との間はレガシー通信によって接続するようにしているが、生体情報監視装置110を構内LANに接続し、生体情報監視装置110とナースコール制御機40との間の通信をIP通信によって接続するようにしてもよい。
【0068】
以上のように、本発明の実施形態は、上述した記載によって開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
10 ナースコールシステム
20 ナースコール子機
20a 握り子機
20b プレート子機
22 廊下灯
22a 通知灯
22b 患者情報表示部
30 ナースコール親機
40 ナースコール制御機
42 ナースコール制御機I/F
44 ナースコール制御機CPU
46 記憶部
46a 接続情報テーブル
50 構内交換機
60 構内基地局
70 携帯端末
72 表示部
100 生体情報センサ
110 生体情報監視装置
120 生体情報サーバ
200 ナースコール応答アプリ
200a ナースコール応答画面
200b 生体情報表示アプリ起動ボタン
300 生体情報表示アプリ
300a 生体情報表示画面
L 構内LAN