(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】電離放射線及び電離粒子の集積センサ
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20231020BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20231020BHJP
G01T 1/24 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L31/10 A
G01T1/24
(21)【出願番号】P 2020523423
(86)(22)【出願日】2018-10-22
(86)【国際出願番号】 IB2018058186
(87)【国際公開番号】W WO2019082045
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】102017000122669
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519408582
【氏名又は名称】エッレファウンドリ エッセ.エッレ.エッレ.
(73)【特許権者】
【識別番号】521035406
【氏名又は名称】イスティトゥート・ナツィオナーレ・ディ・フィージカ・ヌクレアーレ
【氏名又は名称原語表記】ISTITUTO NAZIONALE DI FISICA NUCLEARE
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リベッティ、アンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】パンチェリ、ルチオ
(72)【発明者】
【氏名】ジウビラート、ピエロ
(72)【発明者】
【氏名】ダ ロカ ロ―ロ、マヌエル ディオニシオ
(72)【発明者】
【氏名】マルグッティ、ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】ディ コーラ、オノラート
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06249033(US,B1)
【文献】特開2016-009691(JP,A)
【文献】特開2015-177191(JP,A)
【文献】特開2015-118989(JP,A)
【文献】米国特許第05465002(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0037899(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0173733(US,A1)
【文献】特表昭61-502854(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0260861(US,A1)
【文献】国際公開第2013/129559(WO,A1)
【文献】特開2010-056345(JP,A)
【文献】特表2007-527500(JP,A)
【文献】H. Pernegger,外13名,First tests of a novel radiation hard CMOS sensor process for Depleted Monolithic Active Pixel Sensors,Journal of Instrumentation,英国,IOP Publishing for Sissa Medialab,2017年06月07日,Vol. 12,P06008
【文献】G. Lutz,Silicon radiation detectors,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A,NL,Elsevier Science B.V.,1995年,Vol. 367,p. 21-33
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/10
G01T 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電離放射線及び/又は粒子の半導体センサであって、
第1のドーピングを有する半導体材料の基板(1)と、
前記第1のドーピングの型と反対の型の第2のドーピングを有する、前記基板(1)の裏面上に形成されたバイアス層(2)と、
前記基板(1)に接触した前記バイアス層(2)の表面に対向する前記バイアス層(2)の自由表面上に形成された裏面バイアス電極(7)と、
前記第1のドーピング濃度よりも大きく、前記第1のドーピングと同じ型の第3のドーピングを有する、前記基板(1)の前面上に形成された中間層(3)と、
前記中間層(3)の間隔部分によって互いに分離された、前記中間層(3)中に深さ方向に形成された第1のドープ埋め込み領域(4)であって、前記第1のドーピングの型と反対の型の第4のドーピングを有する、第1のドープ埋め込み領域(4)と、
前記中間層(3)の前記間隔部分の前面中に形成されたキャリア収集領域(6)であって、前記第1のドープ埋め込み領域(4)から離れており、前記第3のドーピング濃度よりも大きく、前記第3のドーピングと同じ型の第5のドーピングを有し、前記中間層(3)中に深さ方向に最大で前記第1のドープ埋め込み領域(4)まで延ばされる、キャリア収集領域(6)と、
前記キャリア収集領域(6)のそれぞれの領域の前面上に各々形成された収集電極と、
前記中間層(3)の前面まで前記第1のドープ埋め込み領域(4)上に形成された第1のドープ表面領域(5p、5n)と、
電離放射線及び/又は粒子によって前記基板(1)中に生成され、前記キャリア収集領域(6)によって収集されたキャリアを検出するために前記収集電極に機能的に接続された電気端子を有する、前記第1のドープ表面領域(5p、5n)の前面中に画成された読出し電子回路と
を備える、半導体センサ。
【請求項2】
前記キャリア収集領域(6)が、前記中間層(3)中に深さ方向に前記第1のドープ埋め込み領域(4)よりも小さく延ばされる、請求項1に記載の半導体センサ。
【請求項3】
前記基板(1)が、50μmから500μmの間に含まれる厚さを有し、
前記第1のドーピングが、10
11cm
-3から10
13cm
-3の間に含まれ、前記第3のドーピングが、5・10
13cm
-3から10
16cm
-3の間に含まれる、請求項2に記載の半導体センサ。
【請求項4】
前記読出し電子回路が、単独可読画素の配列の行及び列に構成される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の半導体センサ。
【請求項5】
前記中間層(3)の前面中に形成された前面ドープ・ガード・リング(10)と、
前記前面ドープ・ガード・リング(10)の外側に前記中間層(3)中に深さ方向に形成された第2のドープ埋め込み領域(8)と、
前記中間層(3)の前面まで前記第2のドープ埋め込み領域(8)上に形成された第2のドープ表面領域(9p、9n)と、
前記単独可読画素の配列の電気的端子に機能的に接続された、前記第2のドープ表面領域(9p、9n)の前面中に画成された周辺電子回路と
を備える、請求項4に記載の半導体センサ。
【請求項6】
前記基板(1)の裏面中に形成された裏面ドープ・ガード・リング(11)
を備える、請求項5に記載の半導体センサ。
【請求項7】
第2のドーピングが、5・10
17cm
-3から10
20cm
-3の間に含まれる、請求項1から6までのいずれか一項に記載の半導体センサ。
【請求項8】
前記中間層(3)が、前記基板(1)上に成長させたドープされたエピタキシャル層又は前記基板(1)上に画成されたドープされたウェルのいずれかである、請求項1から7までのいずれか一項に記載の半導体センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線及び/又は電離粒子を感知するデバイスに関する。特に、本開示は、放射線又は電離粒子の入射ビームによって生成されたキャリアを収集する、逆バイアスされたPINダイオードを有する完全に空乏化された集積半導体センサに関する。
【背景技術】
【0002】
逆バイアスされたPINダイオードは、放射線又は電離粒子の入射ビームによって生成されたキャリアを収集することができ、そのような放射線及び粒子の検出に使用することができる。PINダイオードをチップ上に1次元又は2次元配列で配置して、それらを検出のために読出し回路に接続する様々な手法がある。1つの手法は、読出し回路を別個の集積回路上に搭載し、次いで、そのチップをPINダイオードだけを含むセンサ・チップにバンプボンディングすることである。別の手法は、読出し回路のすべてを、又は少なくとも大部分を、同じチップ上のダイオードに集積することである。
【0003】
典型的には、PINダイオードの接合部は、そのウェーハの前面において拡散によって作り出され、読出し回路は、ウェル中に形成され、ウェルは基板と同じ伝導型であり、ダイオードの接合部に非常に近接している。読出し回路を含むウェルから、キャリアを収集するPINダイオードに接続されたキャリア収集電極に力線をそらすために、高いバイアスが、入射放射線によって生成された電荷の大部分を収集するためにウェルに必要である。このバイアスを妥当な制限内に維持するために、収集電極は、ウェルに対して極めて大きくされる。これは、結果としてチップ上の面積の顕著な損失及び(空間)分解能の相当な損失となる可能性がある。
【0004】
空間分解能を用いて電離放射線を検出するための現行技術は、いわゆるハイブリッド方式(読取り用チップ+センサ付きチップ)に主に基づく。モノリシック方式は、費用と性能(低い寄生容量、したがって、より小さい電子雑音)との両方に、より都合がよいようである。
【0005】
半導体センサ全体にわたる電離放射線又は粒子の通過によって生成されたキャリアの収集を最大化するために、センサは、基板から収集電極までセンサの厚さを部分的に又は完全にのいずれかで覆う空乏領域を有するように設計される。空乏領域全体にわたって、非空乏領域内よりも、放射線によって生成されたキャリアの再結合の確率が低減され、したがって、センサの感度は増加する。
【0006】
感知ダイオードの周りの空乏領域が強調される、部分的に空乏化されたセンサを
図1に示す。電離放射線又は粒子によって生成されたキャリア(図示する実例では電子)が、エピタキシャル層中を空乏領域に到達するまで動き回り、空乏領域において、それらは、収集ダイオードに迅速に運ばれる。読出し回路は、同じ基板中に集積され、トランジスタNMOS及びPMOSとして概略的に表され、収集ダイオードによって収集される電荷の再結合を防止するために反対の型のドープされたウェル中に形成される。
【0007】
部分的に空乏化されたセンサは、小さい寄生容量を有し、したがって、より小さい電子雑音を有する。それにもかかわらず、生成されたキャリアの一部だけが拡散によって収集され、したがって、キャリア収集は、相対的に遅く、非効率的である。さらに、キャリアの収集は、収集ダイオードに対して入射電離放射線又は粒子が当たる位置に依存する。
【0008】
これらの制限を克服するために、完全に空乏化されたセンサが提案されてきた。この型のモノリシック集積センサを
図2に概略的に示す。これらのセンサは、完全に空乏化された、同じ半導体層上の収集ダイオードにモノリシックに集積された他の回路を備える。収集ダイオードが集積された層を空乏化するのに必要な逆電圧は、センサの前面から印加され、したがって、チップの同じ面上の他のフロントエンド集積回路の機能に影響せずに相対的に大きい逆電圧を印加することが可能でないので、空乏領域の厚さは、制限される。
【0009】
相対的に大きい抵抗率も有する厚い基板層を使用する同様の方式が、米国特許第8,901,690号に開示されており、
図3に示される。それは、低濃度にドープされたN--基板102よりも下に形成された、高濃度にドープされたバイアス層104を実質的に備える。高濃度にドープされたバイアス層104は、基板102を完全に空乏化する際に役立つP-N接合部を形成するように基板102の裏面上に画成される。基板102において、キャリア収集電極103に結合された、Pドープ領域103b及び103c、並びに電離放射線及び/又は粒子によって基板102中に生成されたキャリアから他の電子回路106を遮断するためのドープ・ガード・リング105bがある。デバイス(108、109)の前面に逆電圧を印加することによって、空乏ゾーンが基板102中に形成される。電離放射線又は粒子によって形成された空孔が空乏ゾーン110を横断し、キャリア収集電極103に迅速に運ばれる。
【0010】
電離放射線又は粒子の別のセンサが、先行文献の米国特許第5,465,002号に開示されており、
図4A及び
図4Bに概略的に示される。電離放射線又は粒子が入射したとき、それによって生成された電荷の大部分が、前面収集電極18によって収集される。生成された電荷の最大可能量を収集するために、デバイスは、裏面接合部を作り出す、高濃度にドープされたバイアス層に接触した裏面電極(金属層22)を有する。空乏層は、基板の裏面から開始し、バイアスが増加されるにつれてバルク内まで延びる。空乏層の内側のすべての流線30は、読出し回路を含むウェル20の代わりに、収集電極18において終了するはずである。このために、ウェル20は、前面に向かって流れるキャリアを跳ね返すようにバイアスがかけられ、それによって、キャリアが収集電極18にそらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第8,901,690号
【文献】米国特許第5,465,002号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
裏面接合部を有する利点は、あまりにも大きすぎる逆電圧を前面に、より正確にはウェル20と収集電極18との間に印加しなくても完全に空乏化された基板を有することが可能になり、したがって、低電圧電子回路を使用することが可能になることにある。それにもかかわらず、基板を完全に空乏化するために相対的に大きい逆電圧を有する必要性があり、同時に、裏面電極22とフロントエンド電子回路を遮断するウェル20との間の突抜け効果による電流の流れを防止する必要性がある。ディープ・サブミクロン技術を用いて実現された電子回路が相対的に大きい逆電圧に耐えることができないので、この後者の必要性は、前者の必要性と異なる。
【0013】
この欠点は、
図5に示す厚さ及びドーパント濃度を、
図4Bに示す型のセンサに対して出願人によって実行されたシミュレーションによって強調される。n型基板を2.5・10
12cm
-3の濃度でリンを用いてドープした、300μmの厚さを有するシリコン・ウェーハが検討されてきた。表面Pドープ領域PWELLを0Vに維持することによって得られた、このセンサにおける電位分布のシミュレーションを
図6A、
図6B及び
図6Cに示し、その場合、n型収集領域NWELL上に画成された収集電極に正電圧を印加することによって、及び最大で-120Vまで裏面電圧を掃引することによって前面電子回路が形成される。
図6A~
図6Cに示すように、裏面からの空乏領域は、前面に到達し、前面ドープ領域PWELL及びNWELLの空乏領域と融合し、正電圧がキャリア収集領域NWELLに何も印加されないとき、やはり突抜け効果を生じる。
【0014】
突抜け効果を生じさせずに最大でキャリア収集領域NWELLまで基板を完全に空乏化するために、正電圧をキャリア収集領域NWELLに印加することが必要である。
図7のグラフに示すように、領域NWELLにおける電圧が増加したとき(領域PWELLにおける電圧をゼロに維持し)、最大で領域NWELLまでの基板の完全空乏化が、突抜け効果が開始する裏面電圧(突抜け電圧)よりも小さい絶対値の裏面バイアス電圧(空乏電圧)に対して達成される。
図7から推論することができるように、
図5の従来のセンサは、領域NWELLが空乏電圧と突抜け電圧との間の数十ボルトの差を誘導するのに十分なバイアス電圧を有する場合だけ、すなわち、領域NWELLとPWELLとの間のバイアス電圧差が約10Vであるとき、使用することができる。このバイアス電圧差は、Pドープ領域PWELL中に形成された低電圧フロントエンド電子回路とのキャリア収集領域NWELLの直接接続が企図されるデバイスにおいてあまりにも大きすぎる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
基板中のイオン化によって生成されたキャリアのそれぞれの収集電極に各々接続された最大でキャリア収集領域まで半導体基板を完全に空乏化するための裏面バイアス電極及び裏面接合部を有する電離放射線及び/又は電離粒子の半導体センサが見出されている。
【0016】
従来のセンサと異なり、本開示のセンサは、基板のドーピング濃度よりも大きいドーピング濃度及び同じ型のドーピングを有する、基板上に形成された中間半導体層を有する。この中間層において、互いに分離された、反対の型の埋め込みドープ領域が、読出し回路が画成される表面領域を遮断するために形成される。
【0017】
半導体センサは、添付の特許請求の範囲において定義される。
【0018】
出願時の特許請求の範囲は、本明細書の不可欠な部分であり、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】キャリア収集接合部の周りに白色空洞部として表された、部分的に空乏化された基板領域を有する、電離放射線又は粒子の従来のセンサを示す図である。
【
図2】キャリア収集接合部にモノリシックに集積された他の回路を備える、完全に空乏化された基板を有する電離放射線又は粒子の従来のセンサを示す図である。
【
図3】イオン化によって生成されたキャリアをよりよく検出するために完全に空乏化された、高い抵抗率も有する厚い基板層を有する電離放射線又は粒子の従来のセンサを示す図である。
【
図4A】裏面金属電極を有する電離放射線又は粒子の従来のセンサを示す図である。
【
図4B】
図4Aの従来のセンサ中にキャリアのドリフト経路を概略的に示す図である。
【
図5】
図4Bの半導体センサを構成する領域/層の厚さ及びドーピング濃度の例示的な図である。
【
図6A】逆バイアス電圧が-40Vであるときの、
図5のセンサ中の静電位の分布を示す図である。
【
図6B】逆バイアス電圧が-80Vであるときの、
図5のセンサ中の静電位の分布を示す図である。
【
図6C】逆バイアス電圧が-120Vであるときの、
図5のセンサ中の静電位の分布を示す図である。
【
図7】最大で収集接合部までの基板及び中間層の完全空乏化並びに基板と中間層との間の突抜けの開始が達成される、バイアス電圧の組合せのグラフである。
【
図8A】本開示による、電離放射線又は粒子の2つの半導体センサを概略的に示す図である。
【
図8B】本開示による、電離放射線又は粒子の2つの半導体センサを概略的に示す図である。
【
図9】中間層の様々なドーピング濃度における、及び様々な厚さに対する、
図8Aのセンサにおける突抜け電圧及び空乏電圧のグラフである。
【
図10】読出し電子回路が、同じ基板上で周辺電子回路に集積された単独可読画素の配列の行及び列に構成される、
図8Aの半導体センサを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
従来のセンサにおいて、基板の空乏領域がキャリア収集領域に到達する裏面電圧(空乏電圧)と、突抜け効果が読出し電子回路又は他の周辺電子回路を含むドープ表面領域において開始する裏面電圧(突抜け電圧)との間に小さい差がある。この差を増加させるために、従来のセンサにおいては、電子回路を含むドープ表面領域は、キャリアの流れをキャリア収集領域に向かってそらすようにバイアスがかけられる。これは、約1Vのバイアス電圧がある場合だけキャリア収集領域を読出し電子回路に直接接続することができる、相対的に小さいセンサにおいては安全に行うことができない。さらに、基板の抵抗率は、相対的に大きく、したがって、周辺電子回路が形成される、ドープ領域の境界における電位障壁は、相対的に低く、キャリアはそれを通って流れることができる。
【0021】
N型基板1及びP型基板1を有する、本開示による電離放射線又は粒子の2つの半導体センサを
図8A及び
図8Bにそれぞれ示す。図示する構造体は、互いに他方のデュアル・バージョンであり、明確にするために縮尺通りには表されておらず、複数のキャリア収集電極を実現するために半導体ウェーハ上に必要な回数だけ複製することができる。
【0022】
本開示のセンサは、典型的には低ドーピングによる、半導体基板1を有し、その場合、キャリアが、基板1にあたる電離放射線又は粒子によって生成される。基板1の裏面上に、高濃度にドープされたバイアス半導体層2が形成される。裏面バイアス電極は、
図8A及び
図8Bに示していないが、基板1との界面に対向するバイアス層2の表面上に形成される。バイアス層2は、空間を節約するように、及び相対的に小さい逆バイアス電圧を用いて基板1を空乏化するように、基板1よりも薄く、より高濃度にドープされる。
【0023】
本開示の態様によれば、基板1の同じ型の及び基板1よりも大きいドーピングを有する中間半導体ドープ層3が、基板1の前面に画成される。この中間ドープ層3において、その機能は次の説明においてより明確であるが、互いに隔離された反対の型の画成された埋め込み領域4であり、その場合、読出し電子回路(例えば、図に概略的に示すようにCMOS読出し回路)を有する、p型5pの及びn型5nの表面ドープ領域が画成される。2つの埋め込み領域4を分離する中間ドープ層3の表面部分において、ドープされた収集領域6が、p型5pの及びn型5nの表面ドープ領域から少し離れているように形成される。
図8A及び
図8Bに示していないが、収集領域6は、それぞれの収集電極に接続される。
【0024】
適切な逆電圧を裏面バイアス電極と収集電極との間に印加することによって、バイアス層2は、基板1を裏面から空乏化し、キャリア収集領域6は、埋め込み領域4と基板1との間の中間層3の部分を前面から空乏化し、したがって、基板1からキャリア収集領域6まで完全に空乏化された領域が形成される。
【0025】
本開示のデバイスは、キャリア収集領域6と、ドープ領域4及び5p、5nとの間が約1Vの電圧差でも優れた性能を提供する。
【0026】
図8A及び
図8Bに示す好ましい実施例において、キャリア収集領域6は、ドープ埋め込み領域4よりも小さく中間層3中に深さ方向に延び、それにより、デバイスの前面から、より大きい深さが達成される。中間半導体層3は、基板1よりも高濃度にドープされ、埋め込みドープ領域4と反対のドーピング型である。キャリア収集領域6と埋め込みドープ領域4との間に相対的に小さい電圧差があると仮定すると、中間半導体層3との界面におけるドープ領域4及び5p、5nの周りの電位障壁は、完全空乏状態でも、すなわち、キャリア収集領域6と基板1の底部との間の半導体部分が完全に空乏化されたとき、キャリアがそれを通って流れることを防止するのに十分に高いままである。キャリア収集領域6と基板1との間の逆バイアス電圧が、完全空乏状態が達成される値を超えてさらに増加した場合、突抜け効果が開始するが、このさらなる電圧増加は、相対的に大きい。
【0027】
図に示さないがより好ましくない代替実施例として、キャリア収集領域6は、ドープ埋め込み領域4として中間層3中に深さ方向に延びることができる。結果として得られるセンサは、それでも作用するが、それは、より大きい容量を有するはずであり、したがって、それは、電子雑音の増加によって影響を受けるはずである。
【0028】
完全空乏状態が達成される裏面バイアス電圧DEPと、突抜け効果が様々なドーピング濃度に対して開始する裏面バイアス電圧PTと、基板1から最大で自由前面までの中間層3の全厚とのグラフを
図9に示す。グラフは、中間層3を基板2上にエピタキシャル成長させる好ましい実施例を表すが、中間層3が基板1の前面を通って拡散又は埋め込みによって実現された場合、同様のグラフを得ることができる。描かれた矢印は、完全空乏状態が達成される裏面逆電圧値と、突抜け効果が開始する裏面逆電圧値との間の差を表す。エピ層のドーピングが大きければ大きいほど、空乏電圧DEPと突抜け電圧PTとの間の分離が大きくなる。
【0029】
センサは、その動作中、電圧DEPとPTとの間の、すなわち、矢印で示される領域における任意の電圧でバイアスをかけることができる。この動作電圧間隔が十分に大きい場合、基板のドーピング及び厚さの局所変化に耐えることができる。例えば、最大でエピタキシャル層端までの基板の完全空乏化がドーピング不均一性により20Vだけ変動するが、許容動作領域間隔が40Vである場合、デバイス全体に適切なバイアス電圧は、まだ見出すことができる。
【0030】
中間層3の全厚が7μmよりも大きい場合、それは、バイアス層2の逆裏面電圧が、完全空乏状態が達成される値を50V超だけ超える場合だけ突抜け効果を開始させるために中間層3中に1014cm-3のドーパント濃度を有するのに十分である。したがって妥当な値のドーパント濃度でドープされた、相対的に薄い中間層3の場合、開示されたセンサを対象の任意の機能状態に対してバイアスをかけることは可能である。
【0031】
図10は、
図8Aの実施例に対応する本開示のセンサを示し、ドープ表面領域5p、5n中に形成された読出し電子回路が、単独可読画素の配列の行及び列に構成される。周辺電子回路は、同じウェーハ上に集積され、中間半導体層3中に深さ方向に画成された埋め込みドープ領域8上に形成されたp型9p及びn型9nの対応するドープ表面領域中に形成される。裏面金属電極7は、領域9p、9n中の周辺電子回路を妨害しないように画素の配列よりも突出状に下にある。収集領域6に向かうキャリアの流れから周辺電子回路を遮断するために、中間層3中の及び収集領域6の同じドーピング型の表面拡散部10によって構成される少なくとも前面ガード・リング10及び/又は裏面ドープ表面領域11と、対応するガード電極12とを備える裏面ガード・リングがある。
【0032】
裏面層/領域及び電極は、該当する温度を可能な限り制限して、前面電子回路を完成させた後、裏面処理により実現することができる。埋め込まれたドーパントは、レーザによって実行される急速熱アニーリング・プロセスを用いて活性化することができる。
【0033】
図8Aに示すセンサの厚さの及びドーパント濃度の例示的な値を以下の表にまとめる。
【表1】
【0034】
開示されたセンサは、半導体ウェーハの両面上で実行されるステップを含むプロセスを用いて製作することができる。光、UV及びX線感知適用例に対してセンサの裏面の特性を最適化することが可能である。さらに、対象のスペクトル領域の伝達効率を高めるために、例えば、センサの前面部分中に又はセンサの裏面部分中に、又はセンサの前面部分中と裏面部分中との両方に層を追加することによって、フィルタを実現することが可能である。