(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】吸収体の製造方法及び製造装置並びに吸収体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20231020BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20231020BHJP
A61F 13/535 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
A61F13/15 329
A61F13/534 110
A61F13/535 100
(21)【出願番号】P 2021018708
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2020028841
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020028849
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 祥悟
(72)【発明者】
【氏名】木崎 康泰
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢司
(72)【発明者】
【氏名】横堀 一男
(72)【発明者】
【氏名】中澤 知大
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-221277(JP,A)
【文献】特開2018-089127(JP,A)
【文献】特開2008-284182(JP,A)
【文献】特開2012-011235(JP,A)
【文献】特開昭62-129180(JP,A)
【文献】特開2016-116556(JP,A)
【文献】特開2011-177299(JP,A)
【文献】特開2001-129018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1吸水性ポリマーを含む第1吸収コアの製造工程と、第2吸水性ポリマーを含む第2吸収コアの製造工程とを並行して行
うことによって得られた第1吸収コアと第2吸収コアとを積層して吸収体を製造する方法であって、
第1吸収コアの製造工程は、第1吸水性ポリマーの連続供給工程を含み、
第2吸収コアの製造工程は、第2吸水性ポリマーを連続供給しつつ、連続供給される第2吸水性ポリマーを供給途中で周期的に除去することによって第2吸水性ポリマーを基材シートに間欠供給する工程を含み、
第2吸収コアの製造工程において除去された第2吸水性ポリマーを回収して、第1吸収コアの製造工程における前記連続供給工程に搬送する、吸収体の製造方法。
【請求項2】
第2吸収コアの製造工程は、同方向に連続搬送される2枚の長尺シートの間に、第2吸水性ポリマーを間欠供給する工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
第1吸収コアの製造工程では、第1供給タンクへ、第1貯蔵タンクから第1吸水性ポリマーが供給されるとともに、第2吸収コアの製造工程から回収・搬送されてきた第2吸水性ポリマーが供給され、それによって第1吸水性ポリマー及び第2吸水性ポリマーの混合物が第1供給タンクから連続供給される、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
第1吸収コアの製造工程では、
前記第1供給タンク内において、第1吸水性ポリマーと、第2吸収コアの製造工程で回収された第2吸水性ポリマーとが空気流で攪拌されて混合する、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
第2吸収コアの製造工程は、第2吸水性ポリマーを連続落下させて開口部を通過させる工程を含み、
前記開口部を閉塞手段によって周期的に閉塞することで、連続落下する第2吸水性ポリマーが該開口部を通過することを周期的に阻止して、第2吸水性ポリマーを間欠的に落下させるとともに、該開口部の通過が阻止された第2吸水性ポリマーを除去する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
第2吸収コアの製造工程では、
前記開口部からの落下を前記閉塞手段で阻止された第2吸水性ポリマーが、堆積部へと滑り落ちて堆積する、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
第2吸収コアの製造工程において回収された第2吸水性ポリマーを、気体流に随伴させて第1吸収コアの製造工程における前記連続供給工程に搬送する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
第2吸水性ポリマーを前記連続供給工程に搬送するときに、第2吸水性ポリマーの除去と、第2吸水性ポリマーの回収とを空間的に隔絶する、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨ておむつや生理用ナプキンを始めとする各種の吸収性物品用の吸収体の製造方法及び製造装置に関する。また本発明は吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつや生理用ナプキンを始めとする各種の吸収性物品は一般に、液の吸収保持が可能な吸収体を具備する。吸収体は、一般にパルプ等の親水性繊維及び吸水性ポリマーの粒子を含んでいる。これらの材料からなる吸収体の製造には一般に吸水性ポリマーの粒子の散布工程が伴う。吸水性ポリマーの粒子の散布工程は連続散布と間欠散布に大別される。例えば特許文献1においては、2枚のシート材の間に吸水性ポリマーの粒子を間欠散布してシート状の吸収体を製造する方法が記載されている。同文献においては、連続散布される粒子の一部を、排除手段を用いて外部へ排除することによって、粒子を間欠散布するようにしている。粒子は、高圧空気噴射装置からの高圧空気流によって排出されると同文献には記載されている。そして外部へ排出された粒子は回収されて、再び粒子の散布工程に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/104115号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、排除手段を用いて外部へ排除された粒子を回収して再供給するので歩留りは良好になる。しかし、粒子を外部へ排除するときに該粒子に外力が加わることで粒子が粉砕されて微粒化することがある。微粒化した粒子を再供給すると、再供給された粒子が再び排除され繰り返し外力が加わることで、粒子の微粒化が更に促進されて平均粒径が次第に小さくなってしまう。粒径が小さくなることは、液の保持力や吸収容量などの吸収性能の低下を招くことがある。そのような吸収性能が低下した粒子を再供給することは、所期の吸収性能を有する吸収体の安定製造に支障を来す一因となる。
【0005】
また、特許文献1に記載の技術では粒子を自由落下させながら間欠散布を行っている。したがって、粒子を排除するときに高圧空気流を用いると、該高圧空気流によって自由落下する粒子の落下状態が乱されて、粒子を安定的に供給する妨げになる場合がある。
【0006】
したがって本発明の課題は、吸収体の製造方法において、排除・回収された吸水性ポリマーの粒子を確実に消費して、微粒化の進行を抑制することにある。
【0007】
また、本発明の課題は、粉体を含有する物品の製造過程において、連続落下する粉体を周期的に確実に排除しつつ、該粉体の連続落下を安定的に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1吸水性ポリマーを含む第1吸収コアの製造工程と、第2吸水性ポリマーを含む第2吸収コアの製造工程とを並行して行い、それによって得られた第1吸収コアと第2吸収コアとを積層して吸収体を製造する方法であって、第1吸収コアの製造工程は、第1吸水性ポリマーの連続供給工程を含み、第2吸収コアの製造工程は、第2吸水性ポリマーを連続供給しつつ、連続供給される第2吸水性ポリマーを供給途中で周期的に除去することによって第2吸水性ポリマーを基材シートに間欠供給する工程を含み、第2吸収コアの製造工程において除去された第2吸水性ポリマーを回収して、第1吸収コアの製造工程における前記連続供給工程に搬送する、吸収体の製造方法を提供するものである。
【0009】
また本発明は、第1吸水性ポリマーを含む第1吸収コアと、第2吸水性ポリマーを含む第2吸収コアとを積層してなる吸収体の製造装置であって、
第1吸収コアに第1吸水性ポリマーを供給する第1吸水性ポリマー供給部と、
第2吸収コアに第2吸水性ポリマーを供給する第2吸水性ポリマー供給部と、
周期的に除去された第2吸水性ポリマーを回収する回収手段と、
前記回収手段に回収された第2吸水性ポリマーを、前記第1吸水性ポリマー供給部へ搬送する再供給手段と、
を有する吸収体の製造装置を提供するものである。
【0010】
更に本発明は、第1吸水性ポリマーを含む第1吸収コアと、第2吸水性ポリマーを含む第2吸収コアとが積層された吸収体であって、
第2吸収コアは、縦方向に沿って周囲よりも第2吸水性ポリマーの存在比率が低い部位を有し、
第1吸水性ポリマーの少なくとも一部は、第2吸水性ポリマーと同質の吸水性ポリマーから構成されており、
第1吸水性ポリマーの平均粒径は、第2吸水性ポリマーの平均粒径より小さい、吸収体を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吸収体の製造過程において排除・回収された吸水性ポリマーの粒子が確実に消費されるので、粒子の微粒化の進行が効果的に抑制される。
特に、本発明によれば、吸収体の製造過程において、連続落下する粉体を周期的に確実に排除しつつ、該粉体の連続落下を安定的に行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の製造方法によって製造される吸収体の一例の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のI-I線断面を模式的に示す横断面図である。
【
図3】
図3(a)は、本発明の吸収体におけるコアラップシートと第2コアとの接合部のパターンの一例を示す図であり、
図3(b)は、第2吸収コアの第2吸水性ポリマーの存在領域と第1吸収コアとの位置関係を説明する図である。
【
図4】
図4は、本発明の製造方法の実施に使用可能な製造装置の全体概略図である。
【
図5】
図5は、第2吸水性ポリマーの回収工程及び第1コア製造工程への搬送工程を説明する図である。
【
図6】
図6は、散布手段の一構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、コアラップシートにおける接着剤の塗布パターンの一例を模式的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、第2コア製造部において、散布手段の下方で2枚の基材シートどうしが重ね合わされる直前の様子を模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、第2コア製造部で間欠的に吸水性ポリマーを基材シートに散布した散布パターンの一例を模式的に示す平面図である。
【
図10】
図10は、ポリマー粒径と加圧下保水量の関係を示す図である。
【
図11】
図11は、ポリマー粒径の加圧下保水量を計測する計測装置を示した概略構成断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の製造方法の実施に使用可能な別の製造装置の全体概略図(
図4相当図)である。
【
図13】
図13は、第2吸水性ポリマーの回収工程及び第1コア製造工程への搬送工程を説明する図(
図5相当図)である。
【
図15】
図15(a)は吸引オン時の第2吸水性ポリマーの非散布幅を検査した検査結果を示し、
図15(b)は吸引オフ時の第2吸水性ポリマーの非散布幅を検査した検査結果を示す図である。
【
図16】
図16は、製造装置の制御系の概略構成を説明するブロック図である。
【
図17】
図17は、本発明の製造方法の実施に使用可能な更に別の製造装置の主要部の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0014】
図1及び
図2には、本発明の製造方法の製造目的物である吸収体の一例である吸収体1が示されている。
図4には、本発明の製造方法の一例である吸収体1の製造方法と、製造方法の実施に使用可能な製造装置の一実施形態である製造装置10の概略が示されている。吸収体1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有する吸収性物品(図示せず)において、尿、便、経血、汗等の体液を吸収保持するのに用いられるものである。吸収体1は、吸水性材料を含有する吸収コア2と、該吸収コア2の外面を被覆する液透過性のコアラップシート5とを有する。
【0015】
吸収体1及びこれを構成する吸収コア2は、
図1に示すように、縦方向Xに長い形状をなし、両者の長手方向は縦方向Xに一致し、両者の幅方向(長手方向と直交する方向)は横方向Yに一致している。また縦方向Xは、吸収体1の製造時における搬送方向(以下、「MD」ともいう。Machine Directionの略である。)に一致し、横方向Yは、MDと直交する搬送直交方向(以下、「CD」ともいう。Cross Machine Directionの略である。)に一致する。
【0016】
吸収コア2は、少なくとも吸水性ポリマーと繊維材料を形成材料とする第1吸収コア3と、該第1吸収コア3の肌対向面3a又は非肌対向面3bに接触し、該第1吸収コア3よりも厚みが薄い第2吸収コア4とを有する。本明細書において、「肌対向面」は、吸収体又はその構成部材(例えば第1吸収コア3、第2吸収コア4)における、使用時(吸収体が組み込まれた吸収性物品の着用時)に使用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に使用者の肌から近い側であり、「非肌対向面」は、吸収体又はその構成部材における、使用時に肌側とは反対側に向けられる面、すなわち相対的に使用者の肌から遠い側である。
【0017】
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、第2吸収コア4は、第1吸収コア3の非肌対向面3bに接触している。本実施形態では、第1吸収コア3の方が第2吸収コア4よりも使用者の肌に近い側に配されており、したがって、第1吸収コア3の方が第2吸収コア4よりも先に、吸収体1が吸収すべき体液と接触する。
【0018】
本実施形態では、コアラップシート5は1枚のシートである。コアラップシート5は、吸収コア2の肌対向面(第1吸収コア3の肌対向面3a、第2吸収コア4の肌対向面4a)の全域を被覆し、且つ吸収コア2の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、その延出部が、吸収コア2の非肌対向面側に巻きかけられて、吸収コア2の非肌対向面(第2吸収コア4の非肌対向面4b)の全域を被覆している。
図2に示すように、吸収コア2の非肌対向面の横方向Yの中央部には、コアラップシート5の縦方向Xに沿う両側縁部(前記延出部の先端部)どうしが重なった重複部が形成されている。コアラップシート5としては、液透過性のシートを用いることができ、例えば、紙、不織布等が挙げられる。コアラップシート5と第2吸収コア4とは、第1吸収コア3を介在させずに直接、接合部6によって接合されている。
【0019】
第1吸収コア3は、コアラップシート5と第2吸収コア4との間に介在配置されている。第1吸収コア3は、第2吸収コア4に比べて、縦方向Xの長さ及び横方向Yの長さのうちの少なくとも一方が短く、第2吸収コア4における第1吸収コア3の配置面(図示の形態では肌対向面4a)の周縁部には、第1吸収コア3が配置されずに第2吸収コア4が露出している部分が存在している。
本実施形態では、
図1に示すように、第1吸収コア3は、第2吸収コア4に比べて、縦方向Xの長さ及び横方向Yの長さの双方が短く、第1吸収コア3の周縁(輪郭線)の全体が、第2吸収コア4の周縁(輪郭線)よりも内方に位置している。したがって、第2吸収コア4の肌対向面4a(第1吸収コア3の配置面)の周縁部(第1吸収コア3の非配置部)は、コアラップシート5で被覆され、コアラップシート5と接触し得る状態にある。
【0020】
第1吸収コア3は、
図1に示すように、横方向Yの長さ(幅)が縦方向Xの全長にわたって一定ではなく、縦方向Xの一端側が他端側に比べて横方向Yの長さが長く幅広である。吸収体1は通常、吸収性物品において、第1吸収コア3の縦方向Xの両端部のうち、この相対的に幅広の縦方向端部が、吸収性物品の着用者の腹側(前側)に位置するように配される。
第1吸収コア3は、
図2に示すように、吸水性ポリマーと繊維材料3Fとを含有する。繊維材料3Fとしては吸水性繊維が好ましい。吸水性繊維としては、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ(以上、セルロース系繊維);親水性合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。第1吸収コア3は、典型的には、繊維材料3Fとしてセルロース系繊維を含有する。第1吸収コア3は、吸水性ポリマーとして、第1吸水性ポリマー3Pと以下に説明する、回収された第2吸水性ポリマー4Pとを含有する。
後述する製造方法から明らかなとおり、第1吸収コア3に含まれる第1吸水性ポリマー3Pの少なくとも一部は、第2吸水性ポリマーと同質の吸水性ポリマーから構成されている。
【0021】
本実施形態において、第1吸収コア3が含有する第1吸水性ポリマー3Pとしては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の第1吸水性ポリマー3Pの形状は特に限定されず、例えば、球状、塊状、俵状、不定形状であり得る。第1吸水性ポリマー3Pは、典型的には、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を主体とする。
【0022】
第1吸収コア3は、縦方向Xに沿って、周囲よりも第1吸水性ポリマー3Pの存在比率が低い部位を有する。該部位は、
図1及び
図2に示すように、第1吸収コア3の厚み方向の全域にわたって該第1吸収コア3のコア形成材料が存在しない形態も包含する。したがって、以下の説明では、該部位のことを形成材料非存在部3Nという。図示の形態では、形成材料非存在部3Nは、第1吸収コア3(吸収体1)を横方向Yに二等分して縦方向Xに延びる仮想直線(図示せず)を基準として対称に形成され、該仮想直線の両側に一対形成されている。この一対の形成材料非存在部3Nは、それぞれ、平面視において縦方向Xに長い形状(具体的には長方形形状)をなしている。形成材料非存在部3Nは、吸収体1の吸収対象である体液の流路として機能し、体液の面方向における拡散を促進し、吸収体1の吸収性能の有効活用に寄与し得るものである。
また、形成材料非存在部3Nは、第1吸収コア3が体圧等の外力を受けて屈曲するなどして変形する際の変形誘導部(可撓軸)としても機能し、吸収体1を具備する吸収性物品の着用時の違和感を低減して、着用感及びフィット性を向上し得るものである。
形成材料非存在部3Nはこのような役割を担うものであることから、第1吸収コア3において体液が集中しやすく(最初に体液を受けやすく)且つ体圧等の外力を受けやすい部位に配置されることが好ましい。このよう観点から、形成材料非存在部3Nは、吸収体1が組み込まれる吸収性物品の着用時に着用者の股間部に対応する部位、具体的には、少なくとも第1吸収コア3の縦方向Xの中央部に配置されることが好ましい。
【0023】
形成材料非存在部3Nは、第1吸収コア3の製造時における、繊維材料3F及び第1吸水性ポリマー3Pを含むコア形成材料の積繊工程において、該コア形成材料の積繊を意図的に阻害して形成された部位である。
本実施形態では、
図2に示すように、形成材料非存在部3Nにおいて、コアラップシート5と第2吸収コア4(より具体的には後述する基材シート4S)とが接合されている。斯かる構成により、第1吸収コア3の保形性が向上し、体液の吸収前後で第1吸収コア3の形状が崩れ難いため、吸収体1の吸収性能の一層の向上が図られる。
【0024】
第2吸収コア4は、
図2に示すように、相対向する2枚の基材シート4Sと、該2枚の基材シート4S間に介在配置された第2吸水性ポリマー4Pとを含み、該2枚の基材シート4Sどうしは接着剤によって互いに接合されている。第2吸収コア4に使用される接着剤は、後述するように、2枚の基材シート4Sそれぞれの相対向する面(第2吸水性ポリマー4Pの配置面)に所定のパターンで塗布されている。第2吸収コア4に使用される接着剤としては、吸収性物品における構成部材どうしの接合に使用されているものを特に制限なく用いることができ、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。
【0025】
基材シート4Sとしては、第2吸水性ポリマー4Pを固定可能なシート状物であればよく、液透過性でも液不透過性でもよい。基材シート4Sとしては、例えば、不織布、織布、編物、紙等の繊維構造体の他、樹脂フィルム、発泡体、ネットなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を積層して用いることができる。
基材シート4Sは、典型的には、不織布を含んで構成される。基材シート4Sを構成する不織布としては、各種製法によるものを特に制限なく用いることができ、例えば、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)不織布が挙げられる。これらの不織布は、親水化処理が施された繊維からなる親水性不織布であってもよい。
また、2枚の基材シート4Sどうしは、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。後者の場合、例えば、2枚の基材シート4Sのうち、相対的に吸収性物品の着用者の肌から近い(本実施形態では第1吸収コア3に近い)ものが液透過性を有し、着用者の肌(第1吸収コア3)から遠いものが液不透過性を有するという形態を採用できる。1枚の基材シート4Sの坪量は、吸収体の薄型化と実用上十分な強度とのバランス等の観点から、好ましくは5g/m2以上、より好ましくは7g/m2以上、そして、好ましくは50g/m2以下、より好ましくは40g/m2以下である。
第1吸収コア3及び第2吸収コア4において、第1吸水性ポリマー3P及び第2吸水性ポリマー4Pの分布形態は特に制限されず、当該コアの全体に均一に分布してもよく、当該コアの一部に偏在してもよいが、液吸収性、柔軟性等の諸性能の向上の観点から、前者が好ましい。
【0026】
コアラップシート5と第2吸収コア4とは、
図3(a)に示すように、第1吸収コア3を介在させずに直接、接合部6によって接合されている。本実施形態において、第1吸水性ポリマー3Pは、第2吸水性ポリマー4Pと同種のものであるが、第1吸水性ポリマー3Pとしては、その平均粒径が、第2吸水性ポリマー4Pの平均粒径よりも小径ものが用いられている。本明細書において、吸水性ポリマーの平均粒径とはメジアン径のことである。メジアン径は、例えばレーザー回折式の乾式粒度分布測定装置によって測定される。
本実施形態において、第2吸収コア4に含まれる第2吸水性ポリマー4Pの存在領域の長さL2は、
図3(b)に示すように、第1吸収コア3の縦方向Xの長さL1よりも大きい。このため、小径の第1吸水性ポリマー3Pが第1吸収コア3から離れても、第2吸収コア4によって受け止められるので、吸収コア2から第1吸水性ポリマー3Pの脱落を防止できるので好ましい。
また、第2吸水性ポリマー4Pの存在領域の長さL2が第1吸収コア3の縦方向Xへの長さL1よりも大きいことで、第1吸収コア3から漏れた体液を第2吸収コア4で確実に吸収することができるので好ましい。
【0027】
吸収体1は吸収性物品の吸収体として使用される。ここでいう「吸収性物品」には、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品が広く包含され、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ、失禁パッド等が包含される。
吸収性物品は、典型的には、吸収体と、該吸収体よりも着用者の肌から近い側に配される液透過性の表面シートと、該吸収体よりも着用者の肌から遠い側に配される液難透過性ないし不透過性の裏面シートとを含んで構成されている。
【0028】
次に、本発明の吸収体の製造方法について、前述した吸収体1の製造方法を例にとり図面を参照しながら説明する。
図4は、吸収体1の製造方法の実施に使用可能な製造装置の一実施形態である製造装置10の全体概略図である。製造装置10は、第1吸収コア3を製造する第1吸収コアの製造部(以下「第1コア製造部」と記す)20と、第1コア製造部20で製造された第1吸収コア3を受け取って搬送する第1搬送部30と、第2吸収コア4を製造する第2吸収コアの製造部(以下「第2コア製造部」と記す)40と、第2コア製造部40で製造された第2吸収コア4を受け取って搬送する第2搬送部50とを含んで構成されている。
なお、以下では、コアラップシート5(吸収体1)の搬送方向(流れ方向)をMD1、基材シート4S(4S1,4S2)の搬送方向(流れ方向)をMD2,MD3、第2吸収コア4の搬送方向(流れ方向)をMD4ともいう。
【0029】
製造装置10を用いた製造方法では、第1吸水性ポリマー3Pを含む第1吸収コアの製造工程が第1コア製造部20で行われ、第2吸水性ポリマー4Pを含む第2吸収コアの製造工程が第2コア製造部40で行われる。本実施形態における製造方法では、第1吸収コアの製造工程と第2吸収コアの製造工程は並行して行い、それによって得られた第1吸収コア3と第2吸収コア4とを積層する。
【0030】
第1コア製造部20は、外周面21Sに複数の集積用凹部(図示せず)が所定の間隔で形成された積繊ドラム21と、コア形成材料(本実施形態では繊維材料3F及び第1吸水性ポリマー3P)を、空気流に随伴させて、積繊ドラム21の外周面に連続供給するダクト22とを備えている。
ダクト22は、その内部を流れる空気流の図示しない上流側端が導入装置60に接続され、下流側端が積繊ドラム21の外周面21Sの一部を覆っている。
導入装置60は、繊維材料3Fを主体とする原料シートを解繊し、ダクト22内に繊維材料3Fを供給する繊維供給部61と、ダクト22の内部に第1吸水性ポリマー3Pを連続供給する工程を実施する第1吸水性ポリマー供給部62とを備えている。
【0031】
積繊ドラム21は、金属製の剛体からなる円筒状のドラム本体210と、該ドラム本体210の外周部に重ねて配され、積繊ドラム21の外周面21Sを形成する外周部材211とを含んで構成されている。
外周部材211は、モータ等の原動機からの動力を受けて、水平な回転軸を回転中心として、
図4中の矢印R1方向に回転駆動されるようになされているが、ドラム本体210は、固定されていて回転しない。ドラム本体210の内部は、その周方向に複数の空間A,B,Cに仕切られている。また、ドラム本体210には、その内部を減圧する減圧機構(図示せず)が接続されており、該減圧機構の駆動により、空間AないしCを負圧に維持可能になされている。
【0032】
積繊ドラム21は、外周部がダクト22で覆われている空間Aが、内部側からの吸引によってコア形成材料の積繊が可能な積繊ゾーンとなされている。空間Aを負圧に維持した状態で、外周部材211を矢印R1方向に回転させると、外周部材211に形成された集積用凹部(図示せず)が空間A上を通過している間、該集積用凹部の底部に空間A内の負圧が作用し、該底部に形成された多数の吸引孔を通じた空気の吸引が行われる。この吸引孔を通じた吸引により、ダクト22内を搬送されてきたコア形成材料が、該集積用凹部へと導かれてその底部上に積繊し、その積繊物である第1吸収コア3が形成される。
一方、通常、積繊ドラム21の空間Bは、空間Aよりも弱い負圧又は圧力ゼロ(大気圧)に設定され、また、空間Cは、該集積用凹部内の積繊物の転写位置及びその前後を含む領域であるので、圧力ゼロ又は陽圧に設定される。前記集積用凹部は、製造する第1吸収コア3に付与すべき形状に対応した形状を有している。本実施形態では前述したように、第1コア製造部20の製造目的物である第1吸収コア3が形成材料非存在部3Nを有しているので、前記集積用凹部の底部における形成材料非存在部3Nに対応する部位は、周辺部に比して積繊ドラム21の径方向外方に突出しており、これにより、該部位にコア形成材料が積繊することが阻害される。
【0033】
前記集積用凹部に形成された第1吸収コア3は、外周部材211の回転により積繊ドラム21の下部へ搬送され、エア吐出装置23からのエアの吐出によって、該集積用凹部から離型されて第1搬送部30へと移行する。
【0034】
第1吸水性ポリマー供給部62は、
図5に示すように、ダクト22に第1吸水性ポリマー3Pを連続供給する第1供給タンク63と、第1供給タンク63へ供給する第1吸水性ポリマー3Pが貯蔵された第1貯蔵タンク64とを備えている。第1供給タンク63は密閉された容器であって、ダクト22の一部と連通されており、ダクト22内に第1吸水性ポリマー3Pを供給可能に構成されている。第1供給タンク63は、回収されて第1吸収コアの製造工程に搬送される第2吸水性ポリマー4Pを貯蔵する中継タンクとしても機能する。
第1貯蔵タンク64内に貯蔵されている第1吸水性ポリマー3Pは、スクリューフィーダーなどの第1吸水性ポリマー供給手段65によって第1供給タンク63へと供給される。
【0035】
図4に戻ると、第1搬送部30は、搬送面上の被搬送物を吸引しつつ搬送可能な搬送手段31を備え、該搬送手段31は、
図4中の矢印R2方向に周回する無端状のコンベアベルト32と、該コンベアベルト32の周回軌道内に設置された吸引手段としてのサクションボックス33とを含んで構成されている。
コンベアベルト32は被搬送物の搬送面を形成するもので、通気性を有している。コンベアベルト32は例えば、多数の吸引孔(図示せず)を有するメッシュベルトからなる。
サクションボックス33は、コンベアベルト32を挟んで、エア吐出装置23と対向する位置に設置されており、エア吐出装置23から吹き出された空気を吸引できるようになっている。
コンベアベルト32上には、第1吸収コア3が前記集積用凹部から離型されてコンベアベルト32上に配置される前に予めコアラップシート5が供給されている。前記集積用凹部から離型された第1吸収コア3は、コアラップシート5上に配置された状態で、第2搬送部50へと搬送される。
また第1搬送部30は、コアラップシート5上に配置された第1吸収コア3をコアラップシート5側に押圧する押圧ロール36を備えている。第1吸収コア3は、第2搬送部50に供給される前(第2吸収コア4が重ねられる前)に、押圧ロール36によって厚み方向に圧縮される。
【0036】
製造装置10では、長尺のコアラップシート5がロール状に巻回された原反5Rからコアラップシート5を連続的に巻き出し、第1搬送部30のコンベアベルト32上に供給するところ、そのコンベアベルト32への供給途中で、コアラップシート5におけるコンベアベルト32上にて第1吸収コア3が配置される面(上面)に、塗布手段34,35により接着剤34A,35A(
図7参照)を塗布する(接着剤塗布工程)。
前記接着剤塗布工程は、一方向に搬送されるコアラップシート5上に第1吸収コア3を配置する前(第1コア配置工程の実施前)に、コアラップシート5における第1吸収コア3の配置面(上面)に接着剤34A,35Aを塗布する工程である。具体的には前記接着剤塗布工程では、
図4に示すように、コアラップシート5の一方の面(コンベアベルト32上での上面)におけるCDの両側部5B,5Bに、塗布手段34により接着剤34Aを連続的に塗布し、また、該一方の面におけるCDの中央部5Aに、塗布手段35により接着剤35Aを連続的に塗布する。
本実施形態では、塗布手段34が塗布手段35よりもMD1の上流側に配置されており、したがって、接着剤34Aが接着剤35Aよりも先にコアラップシート5に塗布される。コアラップシート5のCDの中央部5Aは、第1コア製造部20で製造された第1吸収コア3が配置される部分であり、両側部5B,5Bは、それぞれ、第1吸収コア3側に折り返されて第1吸収コア3に重ねられる部分である(
図7参照)。
【0037】
本実施形態の前記接着剤塗布工程では、コアラップシート5の第1吸収コア3の配置面(上面)におけるCDの中央部5Aと両側部5B,5Bとで、接着剤34A,35Aの塗布パターンを異ならせている。具体的には
図7に示すように、接着剤34Aは、両側部5B,5Bにおいて平面視でMD1(コアラップシート5の長手方向)に延びる連続線状に塗布され、接着剤35Aは、中央部5Aにおいて平面視でMD1に延びるスパイラル状に塗布される。
接着剤34A,35Aが塗布された後のコアラップシート5の一方の面において、両側部5B,5Bそれぞれには、平面視連続線状の接着剤34Aの塗布部がCDに複数(
図7では4本)並べて配置され、中央部5Aには、平面視スパイラル状の接着剤35Aの塗布部がCDに複数(
図7では5本)並べて配置される。コアラップシート5における接着剤34Aが連続線状に塗布された部分は、接着剤34Aがいわゆる「べた塗り」された部分であり、該部分の全域に接着剤34Aが付着している。
一方、コアラップシート5における接着剤35Aがスパイラル状に塗布された部分は、接着剤35Aがスパイラルを描くようにMD1に延在しており、接着剤35Aの付着部と非付着部とがCD1に交互に存在している。なお、接着剤34A,35Aの塗布パターンは図示のものに制限されず、任意に設定し得る。
【0038】
第2コア製造部40で実施される第2吸収コアの製造工程は、
図4に示すように、一方向に搬送される長尺シートである基材シート4Sの一方の面に接着剤を付与した後、第2吸水性ポリマー4Pを連続供給しつつ、連続供給される第2吸水性ポリマー4Pを供給途中で周期的に除去し、それによって第2吸水性ポリマー4Pを基材シート4Sに間欠供給して散布して付着させる吸水性ポリマー散布工程と、基材シート4Sの一方の面に別の長尺の基材シートを重ね合わせて長尺の第2吸収コア4を得る工程とを備えている。この「別の長尺の基材シート」にも吸水性ポリマーを散布してもよい。
【0039】
更に説明すると、第2コア製造部40では、第2吸収コア4を構成する2枚の基材シート4Sそれぞれに塗布手段41,42により接着剤41A,42A(
図8参照)を塗布した後、両シートのうちの少なくとも一方の接着剤塗布面に、散布手段43により第2吸水性ポリマー4Pを散布し、しかる後、両シート4Sどうしをそれぞれの接着剤塗布面を内側にして重ね合わせて、長尺の第2吸収コア4を製造する。
なお、
図4では、2枚の基材シート4Sのうちの一方(第1吸収コア3と接触する基材シート)を4S1、他方を4S2としている。つまり、第2吸収コアの製造工程は、同方向に連続搬送される2枚の長尺シートである基材シート4S1,4S2の間に、第2吸水性ポリマー4Pを間欠供給する工程を含んでいる。
【0040】
より具体的には第2コア製造部40では、長尺の基材シート4S1がロール状に巻回された原反4R1から基材シート4S1を連続的に巻き出し、基材シート4S1の一方の面(他方の基材シート4S2との対向面)に塗布手段41により接着剤41Aを塗布する。また、これと並行して、長尺の基材シート4S2がロール状に巻回された原反4R2から基材シート4S2を連続的に巻き出し、基材シート4S2の一方の面(他方の基材シート4S1との対向面)に塗布手段42により接着剤42Aを塗布する。
本実施形態では、
図8に示すように、第1吸収コア3と接触する基材シート4S1に塗布される接着剤41Aは、平面視で基材シート4S1の搬送方向(長手方向)MD2に延びるスパイラル状に塗布され、第2吸水性ポリマー4Pが直接散布される基材シート4S2に塗布される接着剤42Aは、基材シート4S2の一方の面のほぼ全域に塗布(いわゆるべた塗り)される。接着剤41Aが塗布された後の基材シート4S1の一方の面には、平面視スパイラル状の接着剤41Aの塗布部がCDに複数(
図8では8本)並べて配置され、該一方の面の略全域に接着剤41Aがスパイラル状に塗布される。なお、接着剤41A,42Aの塗布パターンは図示のものに制限されず、任意に設定し得る。
【0041】
散布手段43は、
図4及び
図6に示すように、第2吸水性ポリマー4Pの散布対象となる基材シート4Sから上方に離間した位置に配置されている。散布手段43から散布された第2吸水性ポリマー4Pは、自重により落下して、散布手段43の下方を搬送中の基材シート4S(4S2)の一方の面に付着する。なお、本実施形態では、基材シート4S1,4S2のうちの一方に第2吸水性ポリマー4Pを散布しているが、基材シート4S1,4S2に第2吸水性ポリマー4Pを散布してもよい。
散布手段43は、搬送中の基材シート4Sの所定位置に所定量の第2吸水性ポリマー4Pの粒子を精度よく散布し得るものであればよく、その構成は特に制限されない。例えば本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、散布手段43は、内部に粉粒体である第2吸水性ポリマー4Pを貯蔵可能であり且つ第2吸水性ポリマー4Pの排出口431aを有するホッパー431と、ホッパー431の下方に位置し且つ排出口431aから排出された第2吸水性ポリマー4Pを散布位置まで搬送して散布する搬送手段432とを備えている。
搬送手段432は、排出口431aから排出された第2吸水性ポリマー4Pを受け取る受取手段433と、受取手段433を振動させる振動発生手段434とを有し、振動発生手段434により受取手段433を振動させることによって、受取手段433上の第2吸水性ポリマー4Pを散布位置まで搬送可能になされている。
【0042】
本実施形態では、
図5に示すように、ホッパー431に第2吸水性ポリマー4Pを供給する第2吸水性ポリマー供給部162を備えている。第2吸水性ポリマー供給部162は、ホッパー431に第2吸水性ポリマー4Pを連続供給する第2供給タンク163と、第2供給タンク163へ供給する第2吸水性ポリマー4Pが貯蔵された第2貯蔵タンク164と、第2貯蔵タンク164内の第2吸水性ポリマー4Pを第2供給タンク163へ供給する第2吸水性ポリマー供給手段165を備えている。
第2供給タンク163は、密閉された容器であって、その底部とホッパー431とが搬送経路166で連通されている。第2供給タンク163内の第2吸水性ポリマー4Pは、搬送経路166を介してホッパー431へと供給される。
搬送経路166には、経路内の横断面積を調整することでホッパー431への第2吸水性ポリマー4Pの供給量を調整する調整手段として調整弁169が配されている。調整弁169としては、手動操作により弁体を開閉するバタフライ弁や電子制御によって弁体を開閉制御する電磁弁のいずれかを用いてもよいが、本実施形態では電磁弁を用いている。
第2吸水性ポリマー供給手段165は、第2供給タンク163に設けられた真空搬送装置167と、真空搬送装置167と第2貯蔵タンク164とを接続する供給路168とを備えている。供給路168は、その一端が真空搬送装置167の吸引側に接続され、その他端が第2貯蔵タンク164と接続されている。第2貯蔵タンク164内に貯蔵されている第2吸水性ポリマー4Pは未使用の第2吸水性ポリマー4Pである。
このような第2吸水性ポリマー供給手段165によると、真空搬送装置167が作動すると、第2供給タンク163の未使用の第2吸水性ポリマー4Pが気体流と随伴して第2供給タンク163へと搬送経路166を介して供給され、第2供給タンク163内で、既存の第2吸水性ポリマー4Pと攪拌されて混合する。
【0043】
第2コア製造部40では、
図4に示すように、散布手段43による第2吸水性ポリマー4Pの散布工程を経て得られた長尺の第2吸収コア4を、ニップロール44,45間に導入して厚み方向に圧縮した後、該第2吸収コア4の一方の面(第1吸収コア3との対向面)に、塗布手段46により接着剤を塗布する。
本実施形態では、接着剤は、平面視で第2吸収コア4の搬送方向(長手方向)MD4に延びるスパイラル状に塗布される。接着剤が塗布された後の第2吸収コア4の一方の面には、平面視スパイラル状の接着剤の塗布部がCDに複数(例えば5本)並べて配置される。なお、接着剤の塗布パターンは前記のものに制限されず、任意に設定し得る。こうして一方の面に接着剤が塗布された長尺の第2吸収コア4は、第2搬送部50へ搬送され、第1吸収コア3に重ね合わされる。
【0044】
本実施形態では、第2コア製造部40で行われる吸水性ポリマー散布工程において、
図9に示すように、基材シート4S2の一方の面に第2吸水性ポリマー4Pの非付着領域4Nが該基材シート4S2の搬送方向MD3に間欠配置されるように、第2吸水性ポリマー4Pを間欠的に散布する。斯かる第2吸水性ポリマー4Pの間欠散布により、基材シート4S2の一方の面には、第2吸水性ポリマー4Pの付着領域4Mと非付着領域4Nとが搬送方向MD3(基材シート4S2の長手方向)に交互に配置される。
このように、基材シート4S(4S2)に第2吸水性ポリマー4Pを間欠的に散布する理由は、この散布工程後に実施される第2吸収コア4(吸収体1)の切断をスムーズに行うためである。すなわち、長尺の第2吸収コア4を得た後の工程としては、1)長尺の第2吸収コア4をそのまま第2搬送部50へ搬送し、後述する折り返し手段56によるコアラップシート5の折り返し工程を経て長尺の吸収体1を得、該長尺の吸収体1を所定の製品単位長さに切断する工程、又は2)第2コア製造部40において、長尺の第2吸収コア4がニップロール44,45間を通過した後で且つ接着剤を塗布した後に、該長尺の第2吸収コア4を所定の製品単位長さに切断して枚葉の第2吸収コア4を得、該枚葉の第2吸収コア4を第2搬送部50へ搬送する工程があり得るところ、一般に吸水性ポリマーは非常に硬いため、前記1)又は2)における第2吸収コア4(吸収体1)の切断位置に第2吸水性ポリマー4Pが存在すると、切断不良が起こり得る。
【0045】
本実施形態では、第2吸収コア4(吸収体1)の切断不良を未然に防止するために、長尺の第2吸収コア4における切断予定位置には第2吸水性ポリマー4Pを散布しないようにしている。つまり、前記1)又は2)において長尺の第2吸収コア4を切断する際には、第2吸水性ポリマー4Pの非付着領域4Nにて切断する。したがって、長尺の第2吸収コア4を切断して得られた第2吸収コア4は、縦方向に沿って周囲よりも第2吸水性ポリマーの存在比率が低い部位を有することになる。当該部位は、第2吸収コアの縦方向の前後端域に位置する。なお、本実施形態では、
図4に示すように、長尺の第2吸収コア4を切断せずにそのまま第2搬送部50へ搬送しており、前記1)を採用している。
【0046】
基材シート4Sに対して第2吸水性ポリマー4Pを間欠的に散布する方法は、散布手段43からの第2吸水性ポリマー4Pの散布自体は連続的なものとし、散布手段43から基材シート4Sに向かう第2吸水性ポリマー4Pの流れを適宜遮断する方法が採用されている。
【0047】
この間欠的に散布する工程では、本実施形態では第2コア製造部40における第2吸水性ポリマー散布工程において、基材シート4S(4S2)から離間した位置に配置された第2吸水性ポリマー4Pの散布手段43から基材シート4S(4S2)に向けて連続落下する第2吸水性ポリマー4Pを周期的に除去し、第2吸水性ポリマー4Pを間欠的に散布する。
本実施形態において、第2コア製造部40は、
図4及び
図6に示すように、散布手段43とその下方を搬送される基材シート4S(4S2)との間に、第2吸水性ポリマー4Pの回収手段47を備えている。
回収手段47は、第2吸収コアの製造工程において、周期的に除去されて基材シート4S(4S2)間に供給されなかった第2吸水性ポリマー4Pを回収し、第1吸収コアの製造工程における連続供給工程に搬送するものである。第2吸水性ポリマー4Pの回収と、第1吸収コアの製造工程における連続供給工程に搬送する工程については後述する。なお、回収されて第1吸収コアの製造工程に搬送される第2吸水性ポリマーを、以下、「回収第2吸水性ポリマー4P1」と記す。
【0048】
第2搬送部50は、搬送面上の被搬送物を吸引しつつ搬送可能な搬送手段51を備えている。第2搬送部50の搬送手段51は、所定の周回軌道を
図4中の矢印R3方向に移動する通気性のコンベアベルト52と、該周回軌道内に設置された吸引手段としてのサクションボックス53,54とを含んで構成されている。コンベアベルト52は被搬送物の搬送面を形成し、コンベアベルト52の上面に被搬送物(コアラップシート5、第1吸収コア3及び第2吸収コア4の積層物)が載置される。コンベアベルト52は例えば、多数の吸引孔(図示せず)を有するメッシュベルトからなる。サクションボックス53,54を作動させると、コンベアベルト52(搬送面)上の被搬送物が吸引孔(図示せず)を介して吸引されるようになされている。
【0049】
また第2搬送部50は、
図4に示すように、第2コア製造部40で製造された第2吸収コア4が第1吸収コア3上に供給された後に、第1吸収コア3と第2吸収コア4の積層物を第2吸収コア4側(上面側)から押圧する押圧ロール55を備えている。押圧ロール55は、コアラップシート5の搬送路における第2吸収コア4の合流地点又はその近傍において、搬送中のコアラップシート5(第1吸収コア3)を挟んでサクションボックス53とは反対側に配置されている。
【0050】
また第2搬送部50は、
図4に示すように、押圧ロール55よりもMDの下流側に、コアラップシート5の折り返し手段56を備えている。折り返し手段56は、コンベアベルト52の周回軌道の一部に設置され、サクションボックス54の設置箇所に対応して配置されている。折り返し手段56は、搬送中のコアラップシート5の両側部5B,5B、すなわちコアラップシート5上に載置された吸収コア2(第1吸収コア3と第2吸収コア4との積層物)のMDに沿う両側縁からの延出部を、該吸収コア2側に折り返すための公知の折り返し機構を備えている。
【0051】
第1コア製造部20で製造された複数の第1吸収コア3は、第1搬送部30によって一方向(符号MD1で示す方向)に搬送中の長尺のコアラップシート5の上面の中央部5Aに、MD1に間欠的に配置される。コアラップシート5の上面の略全域には、塗布手段34,35によって接着剤34A,35Aが予め塗布されており、配置された第1吸収コア3は、コアラップシート5の上面に接着される。
第1吸収コア3を接着されたコアラップシート5は、第1搬送部30が備える押圧ロール36によってコアラップシート5側に押圧されることで、第1吸収コア3を厚み方向に圧縮されて第2搬送部50へ搬送される。
第2搬送部50へ搬送された第1吸収コア3を備えたコアラップシート5は、塗布手段46によって接着剤が予め塗布された第2吸収コア4と、合流位置P1において重ね合わされ、コアラップシート5と第2吸収コア4とが接合されて一体化される。
【0052】
第2搬送部50では、こうして長尺のコアラップシート5のCDの中央部5Aに配置された第1吸収コア3上に長尺の第2吸収コア4を接合した後、折り返し手段56によってコアラップシート5のCDの両側部5B,5Bを、第2吸収コア4に巻きかける(巻き上げる)ように、中央部5A側(第2吸収コア4側)に折り返すことで、長尺の吸収体1を得る。
以上のようにして得られた長尺の吸収体1は、その後、図示しない切断手段により所定の製品単位長さに切断され、
図1に示す如き吸収体1が製造される。前述したように、長尺の吸収体1における切断予定位置には、第2吸収コア4を構成する第2吸水性ポリマー4Pの間欠散布により、第2吸水性ポリマー4Pの非付着領域4Nが存在しており、該非付着領域4Nにて長尺の吸収体1を切断することで、切断不良が生じ難く、製品単位長さに切断する作業をスムーズに行うことができる。
【0053】
第2吸水性ポリマー4Pの回収工程と、第1吸収コアの製造工程における連続供給工程に搬送する工程について説明する。
回収手段47は、
図5及び
図6に示すように、散布手段43から連続落下する粉体である第2吸水性ポリマー4Pが通過する開口部471を備えた回収箱472と、開口部471を周期的に閉塞する閉塞手段となるシャッター473とを備えている。
また、製造装置10は、回収手段に加えて、回収箱472内に堆積している第2吸水性ポリマー4Pを第1吸収コアの製造工程の第1供給タンク63へと搬送して供給する再供給手段474を備えている。
回収箱472は中空形状であって、散布手段43から連続落下する第2吸水性ポリマー4Pの落下位置を含む範囲に配置されている。回収箱472の底部472aには、連続落下する第2吸水性ポリマー4Pの落下位置に開口部471が形成されている。開口部471の上方には、散布手段43から連続落下する第2吸水性ポリマー4Pを回収箱472内へと案内する案内路となるダクト477が配されている。連続落下する第2吸水性ポリマー4Pは、ダクト477を介して回収箱472へと導入され、開口部471を通過し、開口部471の下方に位置する長尺シートとなる基材シート4S1と基材シート4S2の間に連続して供給される。
【0054】
シャッター473は、回収箱472の内部に配されている。シャッター473は、開口部471を開放状態する位置と開口部471を閉塞状態する位置とにスライド移動可能に構成されている。シャッター473は、平時、開口部471を開放状態とする位置を占めていて、開口部471を遮るタイミングとなると、図示しない駆動手段によって移動されることで開口部471を閉塞する。開口部471を遮るタイミングとは、基材シート4S2の一方の面に第2吸水性ポリマー4Pの非付着領域4N(
図9参照)を形成するタイミングである。シャッター473は、開口部471を遮るタイミングが過ぎると、駆動手段によって開口部471を開放状態とする位置へと戻され、次の遮るタイミングとなるまで、その位置が保持されるようになっている。
回収箱472は、第2吸水性ポリマー4Pの落下方向に対して傾斜するように配されている。本実施形態では、
図6において、一方の端部となる右方の端部472bが他方の端部となる左側の端部472cよりも下方に位置するように配されている。端部472bは堆積部を構成している。このため、開口部471がシャッター473で閉塞されると、開口部471からの落下をシャッター473で阻止された第2吸水性ポリマー4Pは、シャッター473の上やその周辺で受け止められ、端部472b側へと滑り落ちて堆積する。端部472bは、傾斜方向に向かって先細りとなるように形成されていて、底部472aを滑り落ちて端部472bに堆積する第2吸水性ポリマー4Pを先細り部に集めやすくなっている。
【0055】
ところで、回収箱472で回収して堆積している第2吸水性ポリマー4Pを第2供給タンク163へ再供給すれば、ホッパー431から落下して第2吸水性ポリマー4Pの製造に使用されることから第2吸水性ポリマー4Pの歩留りは良好になる。しかし、粒子である第2吸水性ポリマー4Pを外部へ排除するときに該粒子に外力が加わることで粒子が粉砕されて微粒化することがある。例えば本実施形態のようにシャッター473を用いて基材シート間への第2吸水性ポリマー4Pの供給を遮断する場合、連続落下している第2吸水性ポリマー4Pと開閉移動するシャッター473とが衝突することで、第2吸水性ポリマー4Pが粉砕されて微粒化する傾向となる。例えば第2吸水性ポリマー4Pが球形である場合には、球形の該第2吸水性ポリマー4Pが粉砕されて、非球形の形状となる。
微粒化した第2吸水性ポリマー4Pをホッパー431へ再供給すると、シャッター473と衝突する機会が増加し、微粒化が促進されて平均粒径が次第に小さくなってしまう。第2吸水性ポリマー4Pの粒径が小さくなることは、体液の保持力などの吸収性能の低下を招くことがある。そのような吸収性能が低下した粒子を再供給することは、所期の吸収性能を有する吸収体の安定製造に支障を来す一因となる。
【0056】
図10は、ポリマー粒子の粒径と加圧下における保水量(以下「加圧下保水量」と記す)の関係を計測した計測結果を示す図である。
図10において、横軸は粒径の大小を示し、縦軸は加圧下保水量の高低を示す。計測は、平均粒径が100μm,300μm,500μmの吸水性ポリマー22Pを製作し、加圧下保水量を
図11に示す計測装置で計測した。
図11を参照して加圧下保水量の計測法を実施する計測装置を説明する。
図11(1)に示すように、垂直に立てた円筒211A(内径30mm)の下端開口部212にメッシュ213(250メッシュ)を貼ったカラム210Aを用意する。その中に吸水性ポリマー22P(粒子)0.500gを均一な厚みになるように入れる。次いで、外径30mmよりやや小さいおもり221(2.0kPaの圧力を加えられるおもり)を吸水性ポリマー22Pの上に載せる。
100mLのビーカー230に、室温(20±5℃)の生理食塩水231(0.9質量%塩化ナトリウム水)100mLを注ぐ。そしてメッシュ213をビーカー230の底に着けないようにして、生理食塩水231中にカラム210Aを浸漬させ、この状態で1間放置する。
その後、ビーカー230からカラム210Aを取り出し、
図11(2)に示すように、吸水性ポリマー22P上におもり221を載せた状態で15分間水切りする。この試験雰囲気の温度は室温(20±5℃)である。
そして、次式(1)に従って、加圧下保水量を算出する。
【0057】
【0058】
図10によると、計測結果の傾向としては、吸水性ポリマーの粒径が小さくなる(細かくなる)程、加圧下保水量は低下することから吸収体の吸収性能低下を引き起こすおそれがある。
【0059】
そこで本実施形態では、回収箱472に回収して堆積している第2吸水性ポリマー4Pを、第2吸収コアの製造工程(第2供給タンク163)ではなく、第1吸水性ポリマーの製造工程(第1供給タンク63)へ再供給手段474で回収・搬送するようにしている。
再供給手段474は
図5に示すように、第1供給タンク63に設けられた真空搬送装置475と、真空搬送装置475と回収箱472とを接続する回収路476とを備えている。回収路476は、その一端476aが真空搬送装置475の吸引側に接続され、その他端476bが回収箱472の端部472bと接続されている。
このような再供給手段474では、真空搬送装置475が作動すると、回収箱472に堆積している第2吸水性ポリマー4Pが気体流と随伴して回収第2吸水性ポリマー4P1として第1供給タンク63へと供給される。この結果、第1供給タンク63内において、第1吸水性ポリマー3Pと回収第2吸水性ポリマー4P1とが空気流で攪拌されて混合する。
すなわち、第1吸収コアの製造工程では、第1供給タンク63へ、第1貯蔵タンク64から第1吸水性ポリマー3Pが供給されるとともに、第2吸収コアの製造工程から回収・搬送されてきた回収第2吸水性ポリマー4P1が供給され、それによって第1吸水性ポリマー3P及び回収第2吸水性ポリマー4P1の混合物が第1供給タンク63からダクト22へ連続供給される。
【0060】
このように、本実施形態の製造方法によれば、一度、第2の製造工程で使用されて回収された微粒化のおそれのある第2吸水性ポリマー4Pは、第2の製造工程には戻さず、第1の製造工程へと回収第2吸水性ポリマー4P1として戻され、第1吸水性ポリマー3Pと混合されて第1吸水性ポリマー3Pの製造に使用される。
このため、吸収体1の製造工程(第2吸収コア4の製造工程)において排除・回収された第2吸水性ポリマー4Pの粒子が確実に消費されるので、吸水性ポリマーの粒子の微粒化の進行が効果的に抑制されるとともに、第2吸水性ポリマー4Pの歩留りも低減することができる。また、吸水性ポリマーの粒子の微粒化の進行を抑制できることから、所期の吸収性能を有する吸収体を安定して製造することができる。
【0061】
本実施形態の製造方法によれば、第2吸収コアの製造工程が連続搬送される2枚の長尺シートである基材シート4S1,4S2の間に、第2吸水性ポリマー4Pを間欠供給する工程を含むので、第2吸水性ポリマー4Pの非付着領域4Nが基材シートの搬送方向CDにおいて形成される。このため、非付着領域4Nで第2吸収コア4(吸収体1)を切断することができるので、切断不良を未然に防止することができる。
【0062】
本実施形態の製造方法によれば、第2吸収コアの製造工程から回収・搬送されてきた回収第2吸水性ポリマー4P1は、第1貯蔵タンク64から第1吸水性ポリマー3Pが供給される第1供給タンク63へ供給され、第1吸水性ポリマー3Pと混合されて第1供給タンク63から第1吸収コアの製造工程に連続供給される。このため、第1吸収コア3において第1吸水性ポリマー3Pと回収第2吸水性ポリマー4P1とが良好に混合されるため、第1吸収コア3の性能低下を抑制することができる。このため、所期の吸収性能を有する吸収体を安定して製造することができる。
第2吸水性ポリマー4Pが球形である場合、第1供給タンク63が供給される吸水性ポリマーは、第1吸水性ポリマー3Pと、粉砕された非球形の第2吸水性ポリマー4Pとの混合物からなる。したがって、第1吸収コア3は、第1吸水性ポリマー3Pと、粉砕された非球形の第2吸水性ポリマー4Pとを含む。換言すれば、第1吸収コア3内の第1吸水性ポリマー3Pが、粉砕された非球形の吸水性ポリマーを含有する。
【0063】
第1貯蔵タンク64から第1供給タンク63へ供給される第1吸水性ポリマー3Pの量に対して、第2吸収コアの製造工程から搬送されて第1供給タンク63へ供給される回収第2吸水性ポリマー4P1の比率が大き過ぎると、回収第2吸水性ポリマー4P1に含まれる微粉の影響により、第1吸収コア3での吸水性能が第1吸水性ポリマー3P単体の場合よりも低下する可能性がある。
このため、第1供給タンク63へ供給される、第1吸水性ポリマー3Pの量に対する回収第2吸水性ポリマー4P1の量は、回収第2吸水性ポリマー4P1の吸収性能、粒径などを考慮すると、1/3以下、好ましくは1/5以下、更に好ましくは1/6以下である。
このように、第1供給タンク63へ供給する回収第2吸水性ポリマー4P1の量を少なくとも1/3以下と規定することで、回収第2吸水性ポリマー4P1に含まれる微粉の影響を抑制し、第1吸収コア3の吸水性能の低下を抑制することができる。
【0064】
第1供給タンク63へ供給する回収第2吸水性ポリマー4P1と第1供給タンク63内の第1吸水性ポリマー3Pとの割合の調整は、第1貯蔵タンク64から第1供給タンク63へ供給される第1吸水性ポリマー3Pの供給量と、回収箱472から再供給手段474によって搬送される回収第2吸水性ポリマー4P1との供給量とを調整することで実現可能である。例えば、第1貯蔵タンク64から第1供給タンク63へ供給される第1吸水性ポリマー3Pの供給量を定量供給とした場合、真空搬送装置475の駆動時間を増減制御することで、再供給手段474による回収第2吸水性ポリマー4P1の搬送量の値を調整することができる。
【0065】
本実施形態においては、第1吸水性ポリマー3Pと第2吸水性ポリマー4Pとが第1供給タンク63内で混合されて第1吸収コア3の製造に使用される観点から、第1吸水性ポリマー3Pと第2吸水性ポリマー4Pとは同種の物質からなるようにしている。具体的には、第2吸水性ポリマー4Pとして、第1吸水性ポリマー3Pと同種の物質の吸水性ポリマーを用いている。
このように同種の物質からなる第1吸水性ポリマー3Pと第2吸水性ポリマー4Pとを用いることで、第1吸収コア3の性能低下を抑制することができる。このため、所期の吸収性能を有する吸収体をより安定して製造することができる。
【0066】
本実施形態の製造方法によれば、第2吸水性ポリマーを連続落下させて開口部471から間欠的に落下させる際に、シャッター473を用いて落下途中で周期的に開口部471を閉塞するので、第2吸水性ポリマー4Pの間欠落下を確実に行い得る。このため、第2吸水性ポリマー4Pの非付着領域4Nが基材シートの搬送方向CDにおいて、より確実に形成可能となり、切断不良をより確実に防止することができる。
【0067】
本実施形態の製造方法によれば、第2吸収コアの製造工程において回収された回収第2吸水性ポリマー4P1を、気体流に随伴させて第1吸収コアの製造工程における連続供給工程に搬送するため、スクリューコンベア等の機械力が加わる搬送方法に比して吸水性ポリマーに加わる外力が小さく、搬送中に回収第2吸水性ポリマー4P1が微粒化することを防ぎ、第1吸収コア3の性能低下を抑制することができる。このため、所期の吸収性能を有する吸収体をより安定して製造することができる。
【0068】
本実施形態においては、第1吸収コアの製造工程において、第1吸水性ポリマー3P及び第2吸水性ポリマー(回収第2吸水性ポリマー4P1)は、いずれも繊維材料3Fと混合されて第1吸収コア3の製造に用いられる。このため、第1吸収コアの製造工程では、第1吸水性ポリマー3P及び第2吸水性ポリマー(回収第2吸水性ポリマー4P1)の除去は行わない。この結果、第2吸水性ポリマーに含まれる微粉が除去・回収されることなく確実に消費されため、更なる微粒化が抑制され、所期の吸収性能を有する吸収体をより安定して製造することができる。
【0069】
次に、本発明の別の実施形態を
図12ないし
図14を参照しながら説明する。
図12ないし
図14に示すとおり、製造装置10は、第2吸水性ポリマー4Pの回収手段47が、蓄積部48を備えている。
【0070】
蓄積部48は、回収箱472に堆積された第2吸水性ポリマー4Pを回収し蓄積するためのものである。
図13及び
図14に示すとおり、蓄積部48は、蓄積タンク481と、蓄積タンク481と回収箱472とを接続する配管で構成された回収路482とを備えている。蓄積タンク481は、回収箱472に貯蔵された第2吸水性ポリマー4Pを十分に貯蔵可能な容積を備えている。
蓄積タンク481の上端部481aには、回収路482の一端482aがシール部材を介して蓄積タンク481内と連通するように接続されている。回収路482の他端482bは、回収箱472内で第2吸水性ポリマー4Pが堆積する端部472bにシール部材を介して回収箱472内と連通するように接続されている。
【0071】
蓄積タンク481の底部481bには、蓄積タンク481内に貯蔵された第2吸水性ポリマー4Pの搬送経路を択一的に選択し得る弁として切替弁483が設置されている。切替弁483としては、手動操作により弁体を開閉するバタフライ弁や、電子制御によって弁体を開閉制御する電磁弁を用いることができる。本実施形態では電磁弁を用いている。
切替弁483は、蓄積タンク481内に貯蔵された第2吸水性ポリマー4Pを搬送工程に供するか又は蓄積タンク481外へ排出するか選択する際に作動されるものである。このため、切替弁483には三方弁が用いられている。切替弁483は導入側が1つ口で、排出側が2つ口とされている。切替弁483の一方の排出側の口には、図示しない排出容器に接続された排出経路484が接続され、他方の排出側の口には回収路476が接続されている。切替弁483は平時、蓄積タンク481の第2吸水性ポリマー4Pを再供給路491へ案内するように弁の位置が設定されている。
【0072】
蓄積タンク481は、タンク内の第2吸水性ポリマー4Pの貯蔵状態を検知するセンサを備えている。センサは、蓄積タンク481の上部481cに設置されたセンサ(上部センサ)111と、蓄積タンク481の最上部付近に設置されたセンサ113と、回収タンクの下部481dに設置されたセンサ(下部センサ)112である。ここでいう最上部付近とは、蓄積タンク481の上端部481aから回収箱472までの範囲である。より詳細には、上端部481aから回収箱472までの間であり、回収路482を含んでいる。本実施形態において、センサ113は、蓄積タンク481の上端部481aに設置されている。
センサ111は、蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pが予定貯蔵量に達したか否かを検知するものである。センサ113は、蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pが貯蔵限界量に達したか否かを検知するものである。センサ112は、蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pの貯蔵量が貯蔵最低量に達したか否かを検知するためのものである。
また、回収箱472から蓄積部48までの搬送経路中に、センサ115が設置されている。具体的には、本実施形態では、回収箱472の端部472bから開閉弁496までの間に位置する回収路482上に配置されている。センサ115は、回収路482での中の第2吸水性ポリマー4Pの詰まりの有無を検出するものである。センサ115には、静電容量センサや回収路482内に検知用のパドルを設けて当該パドルの回転量からか第2吸水性ポリマー4Pの通過具合を検知するパドル式のセンサを用いることができる。
【0073】
センサ111~113には、光透過型の光学センサが用いられている。このため、各センサは発光部と受光部とを備えていて、少なくとも発光面と受光面が蓄積タンク481内に配されている。各センサは、発光部から照射された検知光を受光部で受光することで出力するように構成されていて、第2吸水性ポリマー4Pの検知時と非検知時において出力が変化するタイプのものである。センサ111~113には、光学センサではなく、静電容量センサや回収路482内に検知用のパドルを設けて当該パドルの回転量から第2吸水性ポリマー4Pの通過具合を検知するパドル式のセンサを用いることができる。
【0074】
図14に示すとおり、回収手段47の開口部471の近傍にセンサ114が設置されている。センサ114は、第2吸水性ポリマー4Pが開口部471を適正に通過しているか否かを検知するものである。開口部471の近傍とは、開口部471を通過する第2吸水性ポリマー4Pの通過量を検知可能な範囲であり、本実施形態では底部472aの外側面に、検知面が開口部471の下方に向くように取り付けられている。
【0075】
本実施形態では、蓄積部48によって第2吸水性ポリマー4Pを回収するので、回収箱472に堆積された第2吸水性ポリマー4Pが、回収路482内を通って蓄積タンク481内へと導入されて貯蔵される。このため、除去された第2吸水性ポリマー4Pが回収箱472から溢れることがない。その結果、回収箱472内に堆積した第2吸水性ポリマー4Pが開口部471から漏れて落下することが防止される。その結果、第2吸水性ポリマー4Pの散布ムラを未然に防止することができる。
【0076】
本実施形態においては、
図12及び
図13に示すように、蓄積タンク481に貯蔵された第2吸水性ポリマー4Pが再供給手段474によって第1供給タンク63へと搬送される。再供給手段474は
図13に示すように、第1供給タンク63に設けられた真空搬送装置475と、真空搬送装置475と蓄積タンク481とを接続する回収路476とを備えている。回収路476は、その一端476aが真空搬送装置475の吸引側に接続され、その他端476bが切替弁483を介して蓄積タンク481の底部481b(
図14参照)と連通可能に接続されている。より詳細に説明すると、回収路476の他端476bは、切替弁483の他方の排出側の口に接続されていて、空気流と陽圧を利用して第2吸水性ポリマー4Pを搬送するように構成されている。
【0077】
ところで、蓄積タンク481内に回収されて貯蔵された第2吸水性ポリマー4Pを、再供給手段474を用いて気体流と随伴して搬送すると、散布手段43より自由落下する第2吸水性ポリマー4Pの落下状態が乱される現象を発生することがある。このような現象は、散布対象領域へ第2吸水性ポリマー4Pを安定的に供給する妨げになる場合がある。そのような現象は、基材シート4Sに散布される第2吸水性ポリマー4Pのバラツキの一要因となって、非付着領域4Nの形成にも影響を与えることにもなり兼ねない。
【0078】
そこで、本実施形態では、第2吸水性ポリマー4Pの除去と、第2吸水性ポリマー4Pの回収とを空間的に隔絶するようにした。いつ遮断するかという点については、第2吸水性ポリマー4Pを、上述した連続供給工程に搬送するときとした。これは連続供給工程時に発生する空気流の吸引やそれに伴う脈動の影響が、蓄積タンク481を介して回収箱472内に作用し、開口部471に向かって自由落下する第2吸水性ポリマー4Pに影響を与えていると推察されるからである。
このため、本実施形態における製造装置10は、第2吸水性ポリマー4Pの除去と、第2吸水性ポリマー4Pの回収とを空間的に隔絶する隔絶手段として開閉弁496を備えている。開閉弁496は、第2吸水性ポリマー4Pの除去を行うシャッター473と、除去された第2吸水性ポリマー4Pの回収を行う蓄積部48との間に配されている。具体的には、回収箱472と蓄積部48との間に配されて両者に接続されている回収路482に開閉弁496を設置し、該回収路482を開閉可能とした。開閉弁496は、平時、回収路482を開放しており、回収箱472から排出された第2吸水性ポリマー4Pの回収路482への導入を可能としている。一方、再供給手段474の真空搬送装置475を作動させて第2吸水性ポリマー4Pの搬送を行う際には、開閉弁496は閉鎖している。
【0079】
本実施形態によれば、真空搬送装置475を作動させて再供給手段474で回収第2吸水性ポリマー4P1を搬送した場合でも、回収路482は開閉弁496によって閉塞されている。このため、回収箱472と蓄積部48の蓄積タンク481とが空間的に隔絶されるので、再供給手段474側で発生する空気流の吸引作用や脈動などの影響を受け難くなる。この結果、第2吸水性ポリマー4Pを含有する吸収体1の製造過程において、連続落下する第2吸水性ポリマー4Pを周期的に且つ確実に除去しつつ、第2吸水性ポリマー4Pの連続落下を安定的に行い得る。このことは、非付着領域4Nの形成を良好に行い得ることにつながる。
【0080】
図15は、真空搬送装置475を作動させて吸引力が発生している場合(吸引常時オン)と、作動させないで吸引力が発生しない場合(吸引常時オフ)における、落下する第2吸水性ポリマー4Pの非散布幅を検査した検査結果を示す図である。
図9(a)は吸引常時オン時の計測結果を示し、
図9(b)は吸引常時オフ時の検査結果を示す。両図において縦軸は非散布幅を示し、横軸は検査回数を示す。
検査方法については、画像検査機により第2吸収コア4を撮像し、撮像した画像から第2吸収コア4の非散布幅を測定する方法を採用した。なお、画像検査機ではなく、静電容量センサを用いて第2吸収コア4の非散布幅を検査してもよい。
【0081】
図15(a)及び
図15(b)の検査結果から非散布幅の最高値(MAX)、最低値(MIN)、平均値(Ave.)及び標準偏差を算出して比較したところ、最高値(MAX)、最低値(MIN)、平均値(Ave.)の両者の差よりも、標準偏差(3σ)の差が顕著であった。具体的には、吸引常時オンの場合、標準偏差(3σ)は20.2mmであったが、吸引常時オフの場合、標準偏差(3σ)は9.6mmであり、吸引常時オフの場合の方が非散布幅のバラツキが小さくなる結果となった。
この結果から、再供給手段474(真空搬送装置475)のオン/オフを、吸収体1の製造工程において、第2吸水性ポリマー4Pの除去と、第2吸水性ポリマー4Pの回収とを空間的に隔絶することで、第2吸水性ポリマー4Pの連続落下を安定的に行、非付着領域4Nの形成を良好に行い得ることにつながることが確認できる。
【0082】
次に、本実施形態における製造装置10の制御系の構成と制御内容について説明する。
図16は、製造装置10の制御系の概略構成を説明するブロック図である。
図16に示すように、製造装置10は、制御手段100を備えている。制御手段100は、中央演算ユニットであるCPU101、記憶部であるRAM102とROM103、計測手段であるタイマ104を備えている。図示を省略しているが、制御手段100は、各制御対象となる手段や装置、検知手段となるセンサ類が信号線を介して接続可能な入力側と出力側のインターフェイスをそれぞれ備えている。入力側のインターフェイスには、蓄積タンク481に設置されたセンサ111,112,113と、回収箱472の開口部471の近傍に設置されたセンサ114と、回収箱472と蓄積部48との間の搬送経路である回収路482に設置されたセンサ115が信号線を介して接続されていて、各センサでの検知結果(出力)を制御手段100へ送信するようになっている。
出力側のインターフェイスには、散布手段43、警告表示部、調整弁169、真空搬送装置167と真空搬送装置475、シャッター473を開閉動作する駆動モータ、切替弁483及び開閉弁496とが信号線を介して接続されている。図示を省略したが、出力側のインターフェイスには、上述した以外の第1コア製造部20、第1搬送部30、第2コア製造部40、第2搬送部50等の各駆動部が接続されていて、制御手段100からの指令により運転の開始と停止の制御が可能とされている。運転の開始とは、製造装置10の駆動系を作動して製造装置10により吸収体1を製造する状態であり、運転停止とは吸収体1の製造を停止するためにすべての駆動系の作動を停止することを指す。
【0083】
以下に制御形態ごとの説明をするが、各制御形態においては既に製造装置10は運転状態にあることを前提にしている(制御形態1)。
制御形態1は、センサ類を使わずにタイマ104の計測時間に基づいて制御するものである。制御形態1では、タイマ104で計測される計測時間tが予め例えばROM102に設定した設定時間t1になる毎に搬送工程を開始するとともに、第2吸水性ポリマー4Pの除去と、第2吸水性ポリマー4Pの回収とを空間的に隔絶する。具体的には、計測時間t≧設定時間t1となると、開閉弁496に制御手段100から信号を送信して閉弁制御するとともに真空搬送装置475を作動させる。
【0084】
このように、設定時間t1になると、真空搬送装置475を作動させるとともに、開閉弁496を閉弁制御することで、回収箱472と蓄積部48の蓄積タンク481とが、設定時間t1毎に空間的に隔絶されるため、再供給手段474側で発生する空気流の吸引作用や脈動などの影響を受け難くなる。この結果、第2吸水性ポリマー4Pを含有する吸収体1の製造過程において、連続落下する第2吸水性ポリマー4Pを周期的に確実に排除しつつ、第2吸水性ポリマー4Pの連続落下を安定的に行る。このことは、非付着領域4Nの形成を良好に行い得ることにつながる。また、制御手段100によって開閉弁496が自動閉弁するので、空間の隔絶がなく、第2吸水性ポリマー4Pの連続落下をより安定的に行い得る。
【0085】
(制御形態2)
制御形態2では、センサを備えた蓄積タンク481内に貯蔵された第2吸水性ポリマー4Pの貯蔵量をセンサで検知する。センサで蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pの貯蔵量を検知することで、蓄積タンク481内の貯蔵量を正確に知ることができるとともに、貯蔵量に見合った制御を実施することができる。
【0086】
(制御形態3)
制御形態3では、蓄積タンク481の上部481cに設置されたセンサ111によって蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pが予定貯蔵量に達したか否かを検知するようにする。本制御形態では、蓄積タンク481の上部481cに設置したセンサ111が第2吸水性ポリマー4Pを検知すると、予定貯蔵量まで貯蔵されていると制御手段100が判定する。センサ111は、第2吸水性ポリマー4Pを検知すると出力が変化するため、制御手段100(CPU101)は、センサ111からの出力変化があった場合に予定貯蔵量に達したと判定する。
制御形態3では、蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pが予定貯蔵量に達したことが検知されると、第2吸水性ポリマー4Pの第1供給タンク63への搬送を開始すべく真空搬送装置475を作動させるとともに、回収箱472と蓄積部48の蓄積タンク481とを空間的に隔絶すべく、開閉弁496を閉弁制御する。
このため、蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pが予定貯蔵量に達すると、蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pが第1供給タンク63へと回収第2吸水性ポリマー4P1として搬送されて再利用されながらも、第2吸水性ポリマー4Pの連続落下を安定的に行い得る。
本制御形態では、蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pが予定貯蔵量に達したことが検知されると、その時点で真空搬送装置475を作動させるとともに、開閉弁496を閉弁制御しているが、検知後、すぐに制御することを要せず、一定時間経過後に制御する(遅延制御)ようにしてもよい。この場合には、予め一定時間をROM103に記憶させておき、センサ111により予定貯蔵量に達したことが検知された時点からタイマ104で計測を開始し、一定時間が経過したら真空搬送装置475を作動させるとともに開閉弁496を閉弁制御すればよい。このように、遅延制御を入れることで、センサ111の過渡的な出力やセンサの出力のバラツキを排除することができるので制御精度を高めることができる。
【0087】
(制御形態4)
制御形態4では、蓄積タンク481の最上部付近に設置されたセンサ113によって、蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pが貯蔵限界量に達したか否かを検知する。本制御形態では、最上部付近に設置したセンサ113が第2吸水性ポリマー4Pを検知すると、貯蔵限界量まで貯蔵されていると制御手段100が判定する。制御手段100(CPU101)は、センサ113が第2吸水性ポリマー4Pを検知した際の出力が変化から貯蔵限界量に達したと判定する。
本制御形態では、蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pが貯蔵限界量に達した場合、制御手段100は、その時点で製造装置10の運転を停止すべく、すべての駆動系の作動を停止する。
このため、蓄積タンク481から回収した第2吸水性ポリマー4Pが、タンク外である回収路482側に溢れることを防止できる。
本制御形態においては、製造装置10の駆動系の作動を停止する前後のタイミングで、警告表示部を作動させて蓄積タンク481が貯蔵限界量であることを表示して警告するようにしてもよい。
【0088】
(制御形態5)
制御形態5では、蓄積タンク481の下部481dに設置されたセンサ112によって蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pの貯蔵量が貯蔵最低量に達したか否かを検知する。制御手段100は、第2吸水性ポリマー4Pの貯蔵量が貯蔵最低量になるまでは、回収箱472から搬送される第2吸水性ポリマー4Pを蓄積タンク481で回収すべく通常の運転状態を継続する。そして、センサ112から貯蔵量が貯蔵最低量に達したことが検知されたら、制御手段100は、その時点で、第2吸水性ポリマー4Pの第1供給タンク63への搬送を停止すべく真空搬送装置475の作動を停止するとともに、開閉弁496を閉弁制御して、回収箱472と蓄積部48の蓄積タンク481とを空間的に隔絶する。
このように、真空搬送装置475の空作動を回避すべく真空搬送装置475の作動を停止するので、真空搬送装置475の破損を防止することができる。
【0089】
(制御形態6)
制御形態6では、蓄積タンク481の底部481bに設けた切替弁483を用いて、蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pの搬送先を択一的に選択し得るようにしている。先に説明したように、三方弁で構成された切替弁483は、通常、第1供給タンク63へ第2吸水性ポリマー4Pを搬送するように弁体の位置が設定されている。
例えば、蓄積タンク481の貯蔵量が貯蔵限界量に達したことがセンサ113で検知された場合、制御手段100から切替弁483に信号を送信して、弁体の位置を排出容器に接続された排出経路484側に切り替えることで、蓄積タンク481の第2吸水性ポリマー4Pをタンク外へ排出することができるので、製造装置10の運転を停止しなくてもよくなり、生産性の低下を抑えられる。
あるいは、蓄積タンク481内の清掃を想定した場合、制御手段100に清掃モードと当該モードを作動するためのスイッチを設け、スイッチが操作されて清掃モードが設定されると弁体の位置を排出容器に接続された排出経路484側に切り替えるように制御することで、蓄積タンク481内を空にすることができる。
【0090】
(制御形態7)
制御形態7は、回収箱472に形成された開口部471の近傍に設置したセンサ114によって第2吸水性ポリマー4Pの通過の適正具合を検知する。制御手段100は、第2吸水性ポリマー4Pが開口部471を適正に通過している場合には、上述した蓄積タンク481内の第2吸水性ポリマー4Pを第1供給タンク63に搬送する制御を行い、第2吸水性ポリマー4Pが開口部471を適正に通過していないと検知した場合、第2吸水性ポリマー4Pの落下をその時点で停止するように制御する。具体的には第2吸水性ポリマー4Pを間欠供給するために開閉動作するシャッター473を閉塞位置へ移動するように駆動モータ(図示せず)の作動を制御する。
第2吸水性ポリマー4Pが開口部471を適正に通過しているか否かは、適正通過時のセンサ114からの出力をROM103に予め設定して起き、センサ114からの出力と設定値とを比較することで検知することができる。適正通過時のセンサ114からの出力は、1つの値ではなく、許容範囲を設定しておき、センサ114からの出力が許容範囲を超えた場合に適正に通過していないと判定することが、過敏な制御を回避できるので好ましい。
【0091】
(制御形態8)
制御形態8は、回収箱472と蓄積部48とを連通する回収路482中に設置されたセンサ115によって回収路482中の第2吸水性ポリマー4Pの詰まりの有無を検出可能としたものである。
第2吸水性ポリマー4Pが回収路482に詰まったか否かは、詰まっていない正常時のセンサ115からの出力をROM103に予め設定しておき、センサ115からの出力と設定値とを比較することで検知することができる。このセンサ115によって回収路482内の詰まりが検知された場合、センサ115よりも搬送方向下流側に設置された開閉弁496の不良、又はセンサ111~113のいずれかの不良によって回収路482内に第2吸水性ポリマー4Pが詰まったことが想定される。したがって、センサ115によって回収路482内の詰まりを検知した場合には、制御手段100によって製造装置10の運転を停止するように制御することが好ましい。
【0092】
制御形態3-5においては、制御形態2で説明した遅延制御を行うことで、各の過渡的な出力やセンサの出力のバラツキを排除することができるので制御精度を高めることができる。
【0093】
上述した各実施形態で説明した製造装置10は、新設を前提としたものであるが、本発明の概念は既存の製造装置にも適用することができる。その一例を
図17に示す。
図17に示す製造装置10Aは、第1供給タンク63と第2供給タンク163に供給する吸水性ポリマーを同種類のものとし、製造装置10で説明した第2貯蔵タンク164を共有の貯蔵タンク164Aとして用いている。そして、真空搬送装置475と真空搬送装置167には、貯蔵タンク164Aから経路切替弁201を介して吸水性ポリマーが搬送される搬送経路203,204を接続している。
また、製造装置10で説明した蓄積タンク481には、搬送経路204と蓄積タンク481とを連通する回収路476Aの他端476Abを接続して再供給手段474Aが構成されている。搬送経路204と回収路476Aの一端476Aaの連結部には、搬送経路を切り替える切替弁207を設けている。切替弁207は、蓄積タンク481内に回収されている第2吸水性ポリマー4Pを、回収路476Aから真空搬送装置475へ搬送する第1搬送経路204Aへ案内する経路と、第2吸水性ポリマー4Pを、回収路476Aから貯蔵タンク164Aへと搬送する第2搬送経路204Bへと搬送する経路との切り替えが可能とされている。
【0094】
このような構成の製造装置10Aにおいても、切替弁207を第1搬送経路204A側に切り替えることで、回収した第2吸水性ポリマー4Pを回収第2吸水性ポリマー4P1として第1供給タンク63へと搬送することができるので、回収第2吸水性ポリマー4P1をリサイクルできる。また、経路切替弁201を搬送経路204と真空搬送装置167とが連通するように切り替えた状態で、切替弁207を第2搬送経路204Bへと切り替えることで、回収した第2吸水性ポリマー4Pを、回収第2吸水性ポリマー4P1として、真空搬送装置167に搬送することができるので、回収第2吸水性ポリマー4P1をリサイクルできる。この場合、回収第2吸水性ポリマー4P1を搬送する際に、開閉弁496を閉弁することで、回収路482は開閉弁496によって閉塞されるので、回収箱472と蓄積部48の蓄積タンク481とを空間的に隔絶することができる。その結果、上述した実施形態で説明した効果と同様の効果が奏される。
【0095】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、第1吸収コア3は形成材料非存在部3Nを有していなくてもよく、また、第1吸収コア3が形成材料非存在部3Nを有している場合でも、その数は実施形態の数に限定されるものではない。
前記実施形態において、第1吸収コア3は、繊維材料3Fと第1吸水性ポリマー3Pと第2吸水性ポリマー(回収第2吸水性ポリマー4P1)と含む積繊物であったが、第2吸収コア4と同様に吸水性ポリマーからなる構成であってもよい。この場合でも、シャッター473の開閉動作によって間欠供給される側、すなわち、第2吸収コアの製造工程において、シャッター473によって落下を阻止されて粉砕されて微粒化された第2吸水性ポリマー4Pを、回収第2吸水性ポリマー4P1として第1吸収コアの製造工程に再供給することで、前記実施形態と同様の効果を奏する。
第1吸収コア3で用いる第1吸水性ポリマー3Pの粒径が、第2吸水性ポリマー4Pの粒径よりも小径な場合、回収第2吸水性ポリマー4P1の粒径と第1吸水性ポリマー3Pの粒径を近い径とすることで、両者の粒径の違いによる性能落差を抑制できる。その結果、第1吸収コア3の性能低下を抑制することが期待でき、所期の吸収性能を有する吸収体をより安定して製造することができることにつながるので好ましい。
【0096】
また、前記実施形態では、蓄積部48から回収第2吸水性ポリマー4P1として第2吸水性ポリマー4Pを第1供給タンク63へと搬送する再供給手段474の駆動源として陽圧を利用する真空搬送装置475を用いたが、再供給手段474の駆動源としては、負圧を用いて蓄積タンク481から第2吸水性ポリマー4Pを吸引して搬送するタイプのものであってもよい。
【0097】
更に前記実施形態では、蓄積タンク481内に貯蔵されている第2吸水性ポリマー4Pを、回収第2吸水性ポリマー4P1として、第1吸収コアの製造工程(第1供給タンク63)へ搬送してリサイクルしているが、第2吸水性ポリマー4Pのリサイクル方法は、このような手法に限定するものでない。例えば、第2吸水性ポリマー4Pの粉砕による微粒化の程度によっては、第2吸水性ポリマー4Pを、第1吸収コアの製造工程(第1供給タンク63)へ戻すのではなく、第2供給タンク163へと戻し、第2吸収コアの製造工程で再利用してもよい。この場合でも、シャッター473によって除去された第2吸水性ポリマー4Pをリサイクルできるので好ましい。
【0098】
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の吸収体の製造方法を開示する。
【0099】
<1>
第1吸水性ポリマーを含む第1吸収コアの製造工程と、第2吸水性ポリマーを含む第2吸収コアの製造工程とを並行して行い、それによって得られた第1吸収コアと第2吸収コアとを積層して吸収体を製造する方法であって、
第1吸収コアの製造工程は、第1吸水性ポリマーの連続供給工程を含み、
第2吸収コアの製造工程は、第2吸水性ポリマーを連続供給しつつ、連続供給される第2吸水性ポリマーを供給途中で周期的に除去することによって第2吸水性ポリマーを基材シートに間欠供給する工程を含み、
第2吸収コアの製造工程において除去された第2吸水性ポリマーを回収して、第1吸収コアの製造工程における前記連続供給工程に搬送する、吸収体の製造方法。
【0100】
<2>
第2吸収コアの製造工程は、同方向に連続搬送される2枚の長尺シートの間に、第2吸水性ポリマーを間欠供給する工程を含む、前記<1>に記載の製造方法。
<3>
第1吸収コアの製造工程では、第1供給タンクへ、第1貯蔵タンクから第1吸水性ポリマーが供給されるとともに、第2吸収コアの製造工程から回収・搬送されてきた第2吸水性ポリマーが供給され、それによって第1吸水性ポリマー及び第2吸水性ポリマーの混合物が第1供給タンクから連続供給される、前記<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4>
第1吸収コアの製造工程では、
前記第1供給タンク内において、第1吸水性ポリマーと、第2吸収コアの製造工程で回収された第2吸水性ポリマーとが空気流で攪拌されて混合する、前記<3>に記載の製造方法。
<5>
第1供給タンクへ供給される、第1吸水性ポリマーの量に対する、第2吸収コアの製造工程で回収されて、第1供給タンクへ供給される第2吸水性ポリマーの量は、1/3以下である、前記<4>に記載の製造方法。
<6>
第1吸収コアの製造工程では、
繊維材料を主体とする原料シートを解繊し、ダクト内に該繊維材料を供給する、前記<1>ないし<5>のいずれか一に記載の製造方法。
【0101】
<7>
第2吸収コアの製造工程は、第2吸水性ポリマーを連続落下させて開口部を通過させる工程を含み、
前記開口部を閉塞手段によって周期的に閉塞することで、連続落下する第2吸水性ポリマーが該開口部を通過することを周期的に阻止して、第2吸水性ポリマーを間欠的に落下させるとともに、該開口部の通過が阻止された第2吸水性ポリマーを除去する、前記<1>ないし<6>のいずれか一に記載の製造方法。
<8>
第2吸収コアの製造工程では、
前記開口部からの落下を前記閉塞手段で阻止された第2吸水性ポリマーが、堆積部へと滑り落ちて堆積する、前記<7>に記載の製造方法。
<9>
第2吸収コアの製造工程において回収された第2吸水性ポリマーを、気体流に随伴させて第1吸収コアの製造工程における前記連続供給工程に搬送する、前記<1>ないし<8>のいずれか一に記載の製造方法。
<10>
第2吸水性ポリマーを貯蔵可能なホッパーの下方に位置し且つホッパーの排出口から排出された第2吸水性ポリマーを散布位置まで搬送して散布する搬送手段を備え、
前記搬送手段は、前記排出口から排出された第2吸水性ポリマーを受け取る受取手段と、該受取手段を振動させる振動発生手段とを有し、
第2吸収コアの製造工程において、
前記振動発生手段により前記受取手段を振動させることによって、該受取手段上の第2吸水性ポリマーを散布位置まで搬送する、前記<1>ないし<9>のいずれか一に記載の製造方法。
<11>
第1吸水性ポリマーと第2吸水性ポリマーとが同種の物質からなる、前記<1>ないし<10>のいずれか一に記載の製造方法。
【0102】
<12>
第1吸収コアの製造工程においては、第1及び第2吸水性ポリマーのいずれも除去を行わない、前記<1>ないし<11>のいずれか一に記載の製造方法。
<13>
第2吸水性ポリマーを前記連続供給工程に搬送するときに、第2吸水性ポリマーの除去と、第2吸水性ポリマーの回収とを空間的に隔絶する、前記<1>ないし<12>のいずれか一に記載の製造方法。
<14>
第2吸水性ポリマーの回収においては、除去された第2吸水性ポリマーを蓄積タンク内に貯蔵する、前記<13>に記載の製造方法。
<15>
計測手段で計測される計測時間が予め設定した設定時間になる毎に、第2吸水性ポリマーの前記連続供給工程への搬送を開始するとともに、第2吸水性ポリマーの除去と、第2吸水性ポリマーの回収とを空間的に隔絶する、前記<13>又は<14>に記載の製造方法。
<16>
第2吸水性ポリマーの回収においては、除去された第2吸水性ポリマーを、センサを備えた蓄積タンク内に貯蔵し、
前記センサによって前記蓄積タンク内の第2吸水性ポリマーの貯蔵量を検知する、前記<13>ないし<15>のいずれか一に記載の製造方法。
【0103】
<17>
前記センサが前記蓄積タンクの上部に設置されており、
前記センサによって前記蓄積タンク内の第2吸水性ポリマーが予定貯蔵量に達したか否かを検知し、
第2吸水性ポリマーの貯蔵量が予定貯蔵量に達したことが検知されたら、その時点で第2吸水性ポリマーの前記連続供給工程への搬送を開始するか又は一定時間経過後に開始するとともに、第2吸水性ポリマーの除去と、第2吸水性ポリマーの回収とを空間的に隔絶する、前記<16>に記載の製造方法。
<18>
前記センサが前記蓄積タンクの最上部付近に設置されており、
前記センサによって前記蓄積タンク内の第2吸水性ポリマーが貯蔵限界量に達したか否かを検知し、
第2吸水性ポリマーの貯蔵量が貯蔵限界量に達したことが検知されたら、その時点で運転を停止するか又は一定時間経過後に停止する、前記<16>又は<17>に記載の製造方法。
<19>
前記センサが前記蓄積タンクの下部に設置されており、
前記蓄積タンク内の第2吸水性ポリマーを搬送させつつ、前記センサによって前記蓄積タンク内の第2吸水性ポリマーの貯蔵量が貯蔵最低量に達したか否かを検知し、
第2吸水性ポリマーの貯蔵量が貯蔵最低量に達したことが検知されたら、その時点で第2吸水性ポリマーの前記連続供給工程への搬送を停止するか又は一定時間経過後に停止するとともに、第2吸水性ポリマーの除去と、第2吸水性ポリマーの回収とを空間的に連通させる、前記<16>ないし<18>のいずれか一に記載の製造方法。
<20>
前記蓄積タンクの底部に、前記蓄積タンク内に貯蔵された第2吸水性ポリマーの搬送経路を択一的に選択し得る弁が設けられており、
前記弁の切り替えによって、前記蓄積タンク内に貯蔵された第2吸水性ポリマーを、前記連続供給工程に供するか又は該蓄積タンク外への排出工程に供する、前記<16>ないし<19>のいずれか一に記載の製造方法。
<21>
第2吸水性ポリマーの除去においては、前記開口部の近傍にセンサを設置しておき、
センサによって、第2吸水性ポリマーが前記開口部を適正に通過しているか否かを検知し、
第2吸水性ポリマーが前記開口部を適正に通過していないと検知されたら、第2吸水性ポリマーの落下をその時点で停止するか、又は一定時間経過後に停止する、前記<1>ないし<20>のいずれか一に記載の製造方法。
【0104】
<22>
第2吸水性ポリマーの除去から第2吸水性ポリマーの回収の搬送経路中に設置されたセンサにより搬送経路中の第2吸水性ポリマーの詰まりの有無を検出する、前記<13>ないし<21>のいずれか一に記載の製造方法。
<23>
第1吸水性ポリマーを含む第1吸収コアと、第2吸水性ポリマーを含む第2吸収コアとを積層してなる吸収体の製造装置であって、
第1吸収コアに第1吸水性ポリマーを供給する第1吸水性ポリマー供給部と、
第2吸収コアに第2吸水性ポリマーを供給する第2吸水性ポリマー供給部と、
周期的に除去された第2吸水性ポリマーを回収する回収手段と、
前記回収手段に回収された第2吸水性ポリマーを、前記第1吸水性ポリマー供給部へ搬送する再供給手段と、
を有する吸収体の製造装置。
<24>
前記再供給手段は、第1吸水性ポリマー供給部に備えられた第1供給タンクと、前記回収手段に備えられた回収箱とを接続する回収路、及び該第1供給タンクに設けられた真空搬送装置を備えている、前記<23>に記載の製造装置。
<25>
前記回収路にセンサが設置されている、前記<24>に記載の製造装置。
<26>
前記再供給手段は、第2吸水性ポリマーを気体流に随伴させて前記第1吸水性ポリマー供給部へ搬送するように構成されている、前記<23>ないし<25>のいずれか一に記載の製造装置。
【0105】
<27>
第2吸収コアが、第2吸水性ポリマー及び基材シートを含み、
第2吸水性ポリマーの散布手段とその下方を搬送される前記基材シートとの間に、前記回収手段を備えている、前記<23>ないし<26>のいずれか一に記載の製造装置。
<28>
前記回収手段が、第2吸水性ポリマーが堆積する回収箱と、該回収箱に堆積した第2吸水性ポリマーを回収し蓄積する蓄積部と、該回収箱と該蓄積部とを空間的に隔絶する開閉弁とを備える、前記<23>ないし<27>のいずれか一に記載の製造装置。
<29>
前記回収箱が、連続落下する第2吸水性ポリマーが通過する開口部と、該開口部を周期的に閉塞する閉塞手段とを備えている、前記<28>に記載の製造装置。
<30>
前記開口部の近傍にセンサが設置されている、前記<29>に記載の製造装置。
<31>
前記回収箱が中空形状であり、連続落下する第2吸水性ポリマーの落下位置を含む範囲に配置されている、前記<28>ないし<30>のいずれか一に記載の製造装置。
【0106】
<32>
前記回収箱が、第2吸水性ポリマーの落下方向に対して傾斜するように配されている、前記<28>ないし<31>のいずれか一に記載の製造装置。
<33>
前記回収箱における下方に位置する端部が、傾斜方向に向かって先細りになっている、前記<32>に記載の製造装置。
<34>
前記蓄積部が蓄積タンクを備え、該蓄積タンクと前記回収箱とが回収路によって接続されている、前記<28>ないし<33>のいずれか一に記載の製造装置。
<35>
前記回収箱と、前記開閉弁との間に前記センサが設置されている、前記<28>ないし<34>のいずれか一に記載の製造装置。
<36>
前記蓄積タンクの底部に、該蓄積タンクに貯蔵された第2吸水性ポリマーの搬送経路を択一的に選択し得る切替弁が設置されている、前記<28>ないし<35>のいずれか一に記載の製造装置。
【0107】
<37>
前記蓄積タンクは、該蓄積タンク内の第2吸水性ポリマーの貯蔵状態を検知するセンサを備えている、前記<28>ないし<36>のいずれか一に記載の製造装置。
<38>
前記蓄積タンクは、該蓄積タンクの上部に前記センサを有する、前記<37>に記載の製造装置。
<39>
前記蓄積タンクは、該蓄積タンクの最上部に前記センサを有する、前記<37>に記載の製造装置。
<40>
前記蓄積タンクは、該蓄積タンクの下部に前記センサを有する、前記<37>に記載の製造装置。
<41>
前記蓄積タンクに貯蔵された第2吸水性ポリマーが前記再供給手段によって第1吸水性ポリマー供給部へ搬送されるように構成されている、前記<28>ないし<40>のいずれか一に記載の製造装置。
<42>
中央演算ユニット、記憶部、計測手段を備えた制御手段を更に有する、前記<23>ないし<41>のいずれか一に記載の製造装置。
【0108】
<43>
第1吸水性ポリマーを含む第1吸収コアと、第2吸水性ポリマーを含む第2吸収コアとが積層された吸収体であって、
第2吸収コアは、縦方向に沿って周囲よりも第2吸水性ポリマーの存在比率が低い部位を有し、
第1吸水性ポリマーの少なくとも一部は、第2吸水性ポリマーと同質の吸水性ポリマーから構成されており、
第1吸水性ポリマーの平均粒径は、第2吸水性ポリマーの平均粒径より小さい、吸収体。
<44>
第2吸収コアは、相対向する2枚の基材シートと、該2枚の基材シート間に介在配置された第2吸水性ポリマーとを含む、前記<43>に記載の吸収体。
<45>
第2吸収コアは、その縦方向の前後端域に、周囲よりも第2吸水性ポリマーの存在比率が低い前記部位を有する、前記<43>又は<44>に記載の吸収体。
<46>
第2吸水性ポリマーが球形であり、
第1吸収コア内の第1吸水性ポリマーが、粉砕された非球形の吸水性ポリマーを含有する、前記<43>ないし<45>のいずれか一に記載の吸収体。
<47>
第2吸収コアは第1吸収コア3よりも厚みが薄い、前記<42>ないし<46>のいずれか一に記載の吸収体。
【0109】
<48>
第2吸収コアは、第1吸収コアの非肌対向面に接触している、前記<43>ないし<47>のいずれか一に記載の吸収体。
<49>
第1吸収コアは、第2吸収コアに比べて、縦方向の長さ及び横方向の長さのうちの少なくとも一方が短く、
第2吸収コアにおける第1吸収コアの配置面の周縁部には、第1吸収コアが配置されずに第2吸収コア4が露出している部分が存在している、前記<43>ないし<47>のいずれか一に記載の吸収体。
<50>
第1吸収コアは、第2吸収コアに比べて、縦方向の長さ及び横方向の長さの双方が短く、
第1吸収コアの周縁の全体が、第2吸収コアの周縁よりも内方に位置している、前記<43>ないし<49>のいずれか一に記載の吸収体。
<51>
第1吸収コアは、縦方向の一端側が他端側に比べて横方向の長さが長い、前記<43>ないし<50>のいずれか一に記載の吸収体。
<52>
第1吸収コアは、縦方向に沿って、該第1吸収コアの厚み方向の全域にわたって該第1吸収コアのコア形成材料が存在しない部位を有する、前記<43>ないし<51>のいずれか一に記載の吸収体。
<53>
第2吸収コアに含まれる第2吸水性ポリマーの存在領域の長さは、第1吸収コアの縦方向の長さよりも大きい、前記<43>ないし<52>のいずれか一に記載の吸収体。
【符号の説明】
【0110】
1 吸収体
2 吸収コア
3 第1吸収コア
3F 繊維材料
3N 形成材料非存在部
3P 第1吸水性ポリマー
4S (4S1,4S2) 2枚の基材シート
4P 第2吸水性ポリマー
4P1 回収第2吸水性ポリマー
10 吸収体の製造装置
20 第1吸収コアの製造部
22 ダクト
40 第2吸収コアの製造部
43 散布手段
47 回収手段
63 第1供給タンク
431 ホッパー
431a 排出口
432 搬送手段
433 受取手段
471 開口部
472 回収箱
473 シャッター