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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】非破壊検査装置、及び非破壊検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
G01N29/265
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021037755
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137997
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2021-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】小川 健三
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-074713(JP,A)
【文献】実開平04-126158(JP,U)
【文献】特開昭60-228958(JP,A)
【文献】特開昭64-075960(JP,A)
【文献】特開昭55-075647(JP,A)
【文献】特開平08-201352(JP,A)
【文献】特開平03-077056(JP,A)
【文献】特開平02-067958(JP,A)
【文献】特開昭63-241461(JP,A)
【文献】特開昭60-242364(JP,A)
【文献】特開平05-281213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定フレームに回転軸を介して回転自在に固定され、配管の長手方向に直交する方向に進行可能なタイヤと、
前記タイヤ内部に内蔵され、前記配管の長手方向に非破壊検査用の超音波を発振するとともに反射波を受信可能な探触子と、
前記探触子の前記超音波の出射側と反対の面に配置され、前記探触子の出射面に直交する第1鉛直線に沿って離れるに従い前記第1鉛直線に直交する方向の幅が低減するように構成され、前記探触子を透過した超音波を減衰しかつ前記探触子の超音波受信時の振動を吸収する第1ダンパと、
生ゴム製で表面が山形加工されており、前記探触子からの超音波の出射経路以外を囲んで配置され、超音波の反射波が再反射して前記探触子に入射するのを抑制する第2ダンパと、
重金属で構成され、前記第2ダンパの外表面の前記タイヤが前記配管に接触する面に沿って前記探触子からの超音波の出射経路以外を囲んで配置され、超音波の反射波が前記出射経路以外から前記探触子に入射するのを抑制する遮蔽板と、
前記タイヤを前記進行方向に駆動する駆動部と、
予め設定された距離間隔または時間間隔で、前記駆動部の駆動および前記探触子の超音波送受信動作を同期させる制御部と、
を備える、非破壊検査装置。
【請求項2】
前記タイヤ内部に液体が充満される、請求項1に記載の非破壊検査装置。
【請求項3】
前記第1ダンパは、タングステンで構成される、請求項1又は2に記載の非破壊検査装置。
【請求項4】
前記タイヤはウレタンゴム系の材料からなる、請求項1乃至3の何れか一項に記載の非破壊検査装置。
【請求項5】
前記回転軸に固定され、前記配管の長手方向に対して所定の方向に前記探触子を維持する固定部を、更に備える、請求項1乃至4の何れか一項に記載の非破壊検査装置。
【請求項6】
前記第1ダンパ、前記第2ダンパ及び前記遮蔽板は、前記固定部に配置される、請求項5に記載の非破壊検査装置。
【請求項7】
前記探触子が発振する前記超音波の出射角を前記配管の長手方向に対する鉛直方向に対し、29度から39度の範囲とする、請求項1乃至6の何れか一項に記載の非破壊検査装置。
【請求項8】
前記探触子が発振する前記超音波の出射角を前記配管の長手方向に対する鉛直方向に対し、34度とする、請求項7に記載の非破壊検査装置。
【請求項9】
前記配管の長手方向に直交する方向に前記タイヤを進行させるガイドレールを有する回転ガイド部を、更に備える、請求項1乃至8の何れか一項に記載の非破壊検査装置。
【請求項10】
前記探触子により出射された前記超音波の反射波に基づく信号の大きさを前記配管の長手方向の長さに対応させて時系列に画像化する信号処理部を、更に備える、請求項1乃至9の何れか一項に記載の非破壊検査装置。
【請求項11】
前記信号処理部は、前記画像化された時系列信号を、前記配管の長手方向に直交する方向における複数の測定点の位置に対応させて並べて画像化する、請求項10に記載の非破壊検査装置。
【請求項12】
前記超音波の周波数を500~700kHzとする、請求項1乃至11の何れか一項に記載の非破壊検査装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の非破壊検査装置を用い、配管の長手方向に非破壊検査用の超音波を発振する工程と、
前記探触子により出射された超音波の反射波に基づく信号の大きさを前記配管の長手方向の長さに対応させて時系列に画像化する工程と、
を備える、非破壊検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、非破壊検査装置、及び非破壊検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラント設備においては、多数の配管が存在し、その建設、加増工事において多くの配管溶接が実施されている。これらの配管溶接を行った溶接部の非破壊検査としてVT(外観検査)、PT(浸透探傷試験)、MT(磁粉探傷試験)、UT(超音波探傷試験)、RT(放射線透過試験)等がある。このうちUT(超音波探傷試験)には、3つの超音波探傷検査(パルス反射法、透過法、共振法)と4つの反射法(垂直探傷法、斜角探傷法、表面探傷法、板波探傷法)とがあることが一般に知られている。
【0003】
ところが、これらの探傷法では、ほとんどの場合において、探触子を配管に接触させて探傷を行っている。このため、溶接部に対する非破壊検査は、配管と探触子を断続的に接触させる処理が必要となってしまう。このため、250A程度の配管溶接部を1周検査するためには、半日程度の時間がかかってしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-184583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたものであり、配管溶接部の非破壊検査をより高速に可能な非破壊検査装置、及び非破壊検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る非破壊検査装置は、タイヤと、探触子と、第1ダンパと、
第2ダンパと、遮蔽板と、駆動部と、制御部と、を備える。タイヤは、固定フレームに回転軸を介して回転自在に固定され、配管の長手方向に直交する方向に進行可能である。探触子は、タイヤ内部に内蔵され、配管の長手方向に非破壊検査用の超音波を発振するとともに反射波を受信可能である。第1ダンパは、探触子の超音波の出射側と反対の面に配置され、探触子の出射面に直交する第1鉛直線に沿って離れるに従い第1鉛直線に直交する方向の幅が低減するように構成され、探触子を透過した超音波を減衰しかつ探触子の超音波受信時の振動を吸収する。第2ダンパは、触子からの超音波の出射経路以外を囲んで配置され、超音波の反射波が再反射して探触子に入射するのを抑制する。遮蔽板は、タイヤが配管に接触する面に沿って探触子からの超音波の出射経路以外を囲んで配置され、超音波の反射波が出射経路以外から探触子に入射するのを抑制する。駆動部は、タイヤを進行方向に駆動する。制御部は、予め設定された距離間隔および時間間隔で、駆動部の駆動および探触子の超音波送受信動作を同期させる。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、より高速に配管溶接部の非破壊検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る非破壊検査装置の構成例を示す図。
図2】配管に配置された検査部の上面図。
図3】検査部の詳細な構成例を示す図。
図4】制御部の構成例を示すブロック図。
図5】信号処理部の構成例を示すブロック図。
図6】画像処理部の画像生成例を示す図。
図7】画像の拡大図。
図8図3の構成において、第2ダンパと遮蔽板とを配置しない場合の溶接欠陥部の測定結果を示す図。
図9】第2ダンパと遮蔽板とを配置した場合の溶接欠陥部の測定結果を示す図。
図10】本実施形態に係る非破壊検査装置の処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る非破壊検査装置、及び非破壊検査方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
(一実施形態)
【0010】
図1及び図2に基づき、本実施形態に係る非破壊検査装置1の構成例を説明する。図1は、本実施形態に係る非破壊検査装置1の構成例を示す図である。図1の左図は、配管P100に配置された検査部10の配置例図であり、右図は、検査部10が配管P100の中心軸線pmに対して左図から90度回転した状態での配置例を示す図である。なお、図1では、説明を簡単にするため、駆動部40を省略し、配管P100は断面を示している。図2は、配管P100に配置された検査部10の上面図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、非破壊検査装置1は、円筒管である配管P100の溶接部P102を超音波により非破壊検査が可能な装置である。すなわち、この非破壊検査装置1は、検査部10と、回転ガイド部20と、固定フレーム30と、駆動部40(図1では不図示)と、制御部50と、信号処理部60と、表示部70とを備える。なお、本実施形態に係る非破壊検査装置1では、制御部50と、信号処理部60と、表示部70とを別体で構成しているが、これに限定されない。例えば、制御部50と、信号処理部60と、表示部70とを一体構成してもよい。
【0012】
検査部10は、探触子100と、タイヤ101と、を有する。タイヤ101は、固定フレーム30に回転軸102を介して回転自在に固定され、配管P100の長手方向に直交する方向に進行可能である。探触子100は、タイヤ101内部に内蔵され、配管P100の長手方向に非破壊検査用の超音波を発振可能である。なお、本実施形態に係る配管P100では、配管P100の長手方向は配管P100の中心軸線pm方向であり、配管P100の長手方向に直交する方向は、配管P100の円周方向である。また、検査部10の詳細な構成は、図3を参照して後述する。
【0013】
回転ガイド部20は、検査部10が配管P100の長手方向に直交する進行方向に進行するように配置される。この回転ガイド部20は、配管P100に対して着脱可能であり、ガイドレール200を有する。
【0014】
固定フレーム30は、複数の回転部300を有する。この固定フレーム30は、検査部10の回転軸102を固定支持する。複数の回転部300は、固定フレーム30に取り付けられ、配管P100に対して固定フレーム30を進行可能に支持する。これにより、検査部10のタイヤ101は、固定フレーム30の進行に従い、配管P100の進行方向に沿って回転する。
【0015】
図2に示すように、駆動部40は、複数のカムフォロワ400と、パルスモータ402と、を有する。駆動部40は、固定フレーム30に連結されている。複数のカムフォロワ400は、回転ガイド部20のガイドレール200に規制される。これにより、駆動部40の進行方向は、ガイドレール200に規制される。ガイドレール200には、パルスモータ402の回転ギヤの凸部が噛み合う軌道孔が所定間隔で設けられている。このため、パルスモータ402が回転することにより、駆動部40及び固定フレーム30が進行方向に進行し、検査部10のタイヤ101が進行方向に沿って回転する。
【0016】
制御部50は、駆動部40のパルスモータ402の駆動と、検査部10の探触子100の超音波発振とを同期させて制御する。また、制御部50は、探触子100により出射された超音波の反射波に基づく信号を生成する。なお、制御部50の詳細は図4を用いて後述する。
【0017】
信号処理部60は、制御部50が生成した信号の大きさを配管P100の長手方向の長さに対応させて時系列に画像化する。なお、信号処理部60の詳細は図5を用いて後述する。
【0018】
表示部70は、例えばモニタである。表示部70は、例えば信号処理部60の処理した画像を表示する。
【0019】
図3は、検査部10の詳細な構成例を示す図である。左図が正面断面図であり、右図が側面図である。図3に示すように、検査部10は、探触子100と、タイヤ101と、回転軸102と、第1ホイール104と、第2ホイール106と、固定部108と、第1ダンパ110と、第2ダンパ112と、遮蔽板114と、を有する。
【0020】
探触子100は、送受信素子であり、背面に接続されるケーブルを介して制御部50に接続される。探触子100は、後述する固定部108に第1ダンパ110を介して所定の向きに支持されている。探触子100は、例えばピエゾ素子等の圧電素子を備えている。
【0021】
これにより、探触子100は、制御部50からの駆動信号に基づいて、例えば500~700kHz、より好ましくは600kHzの超音波を第1鉛直線L100の方向に発振し、配管P100の長手方向に出射する。そして、配管P100の長手方向から得られる超音波信号の反射信号を受信する。なお、第1鉛直線L100は、例えば探触子100の出射面に直交する方向である。
【0022】
回転軸102の両端部は、固定フレーム30に固定される。第1ホイール104と、第2ホイール106とのそれぞれが、複数の軸受を介して外嵌される。これら第1ホイール104、及び第2ホイール106には例えばウレタンゴム系の材料からなるタイヤ101が取り付けられている。また、回転軸102内の挿通孔K102に探触子100と制御部50とを接続するケーブルが挿通される。
【0023】
タイヤ101、第1ホイール104、及び第2ホイール106よって構成される中空部9内には、液体が充満されている。この液体は、例えば、水、不凍液(ロングライフクラ-トン、エチレングリコール)などである。なお、本実施形態では、タイヤ101と、第1ホイール104と、第2ホイール106と、で囲まれた密閉空間である中空部9をタイヤ内部と称する。すなわち、タイヤ内部に液体が充満される。
【0024】
また、内部圧力が例えば101~152kPaに高められた状態で密封されている。これにより、検査部10が配管P100に対してどのような向きに配置されても、探触子100は常に水侵状態を維持可能となる。これらから分かるように、探触子100が発振する超音波及び受信する反射波は、液体を介するので、空気を介する場合よりもより感度が高くなる。
【0025】
固定部108は、例えばゴニオステージを含んで構成され、回転軸102に取り付けられている。この固定部108は、探触子100の角度調整が可能となっている。より具体的には、第1ダンパ110が固定部108に固定され、探触子100が第1ダンパ110の先端部に固定される。
【0026】
これにより、探触子100が発振する超音波の出射角Φ、すなわち第1鉛直線L100の方向を配管P100の長手方向に対して、34度を中心にプラス、マイナス5度程度の範囲での調整を可能としている。これにより、配管P100の長手方向に対して斜め方向である34度に入射する超音波信号が探触子100から送信される
【0027】
第1ダンパ110は、探触子100の出射側と反対の面に配置されている。この第1ダンパ110は、例えばタングステンなどの重金属で構成される。これにより、第1ダンパ110は、探触子100を透過した超音波の反射波を急峻に減衰させる。また、第1ダンパ110は、探触子100の出射側と反対の面において、第1鉛直線L100に沿って離れるに従い第1鉛直線L100に直交する方向の幅が低減するように構成される。すなわち、第1ダンパ110がこのような形状をしているのは、送受信兼用の探触子100による1探触子法で受信時の振動を吸収し、不要な反射信号が出ていかないようにするためである。これにより、探触子100を透過した超音波の反射波が再反射して探触子100に入射することも抑制される。
【0028】
固定部108には、第2ダンパ112と遮蔽板114とも支持されている。第2ダンパ112は、例えば生ゴム製であり、探触子100の超音波の出射経路以外を囲むように構成される。生ゴム製の表面は山形加工されている。これにより、超音波の反射波が再反射して探触子100に入射することが抑制される。
【0029】
遮蔽板114は、探触子100の超音波の出射経路以外を囲むようにタイヤ101に沿って配置される。遮蔽板114は、例えば鉛などの重金属で構成される。これにより、超音波の反射波が超音波の出射経路以外から探触子100に入射することが抑制される。なお、遮蔽板114により、第1ダンパ110及び第2ダンパ112の周りを囲ってもよい。或いは、遮蔽板114で構成された方形状の容器体内に探触子100、第1ダンパ110、及び第2ダンパ112を配置してもよい。
【0030】
図4は、制御部50の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、制御部50は、記憶部500と、モータ制御部502と、送受信処理部504と、を有する。制御部50は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、記憶部500に記憶されるプログラムに従いモータ制御部502と、送受信処理部504と、を構成する。
【0031】
モータ制御部502は、例えば配管P100の1周を所定時間で回転するようにパルスモータ402の駆動を制御する。例えば、モータ制御部502は、例えば配管P100の1周を680秒で回転するようにパルスモータ402の駆動を制御する。また、モータ制御部502は、送受信処理部504との同期制御も行う。なお、測定開始点、測定点の点数、測定の時間間隔及び距離間隔は、不図示の入力手段から記憶部500に設定可能である。そして、モータ制御部502は、記憶部500に設定される設定値に従い検査部10に対する制御を行うことが可能である。
【0032】
駆動部40は、複数のカムフォロワ400と、パルスモータ402と、を有する。駆動部40は、固定フレーム30に連結されている。複数のカムフォロワ400は、回転ガイド部20のガイドレール200に規制される。これにより、駆動部40の進行方向は、ガイドレール200に規制される。ガイドレール200には、パルスモータ402の回転ギヤの凸部が噛み合う軌道孔が所定間隔で設けられている。
【0033】
送受信処理部504は、モータ制御部502の制御の下で、配管P100に送信すべき超音波信号をパルスモータ402の駆動に同期して探触子100に発生させる。送受信処理部504は、例えば、1秒間隔で超音波信号を探触子100に発生させる。すなわち、配管P100の1周を680秒で回転する場合には、680点の測定が行われる。
【0034】
また、モータ制御部502は、パルスモータ402の駆動を制御することにより、ガイドレール200に沿って、所定のピッチで駆動部40を進行させ、超音波信号を探触子100に発生させる。例えば、モータ制御部502は、パルスモータ402の駆動を制御することにより、ガイドレール200に沿って0.1mmピッチで駆動部40を進行させ、その都度、超音波信号を探触子100に発生させる。
【0035】
送受信処理部504は、例えばアンプ及びA/D変換器(何れも不図示)を備えており、モータ制御部502の制御の下で、探触子100から出力される受信信号を所定の増幅率で増幅してデジタル信号に変換し、超音波信号の発振タイミングからの経過時間と関連付けて信号処理部24に出力する。なお、送受信処理部504は、記憶部500にデジタル信号を記憶させ、その後に記憶部500から信号処理部24に出力させてもよい。
【0036】
図5は、信号処理部60の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、信号処理部60は、例えばCPUを含んで構成され、記憶部600に記憶されるプログラムに従い、画像処理部602と、表示制御部604とを構成する。
【0037】
記憶部600は、送受信処理部504から送信された受信信号のデジタル信号を記憶する。
【0038】
図6は、画像処理部602の画像生成例を示す図である。g1~gnは、検査部10の測定点1~nに対応する測定結果画像例を示す。横軸は配管P100の長手方向の探触子100からの距離を示し、縦軸は反射波の大きさを示す。
【0039】
図7は、画像g4の拡大図を示す。丸印は溶接部の欠陥を示す。横軸は配管P100の長手方向の探触子100からの距離を示し、縦軸は反射波の大きさを示す。
【0040】
図6に示すように、画像処理部602は、受信信号のデジタル信号の経過時間に応じて、横軸が配管P100の長手方向の探触子100からの距離を示し、縦軸が反射波の大きさを示す画像を生成する。また、画像処理部602は、検査部10の測定点1~nに対応する測定結果画像を並べて生成することが可能である。これにより、各測定点との比較が容易となり、溶接部の欠陥などをより観察しやすくすることが可能となる。
【0041】
図7に示すように、画像処理部602は、検査部10の測定点1~nに対応する測定結果画像を拡大して生成することも可能である。これにより、より詳細に溶接部の欠陥などを観察可能となる。また、画像処理部602は、図6に示す画像と図7に示す画像を並べて生成することも可能である。これにより、これにより、各測定点との比較が容易となるとともに、溶接部の欠陥などを拡大してより観察しやすくすることが可能となる。
表示制御部604は、画像処理部602が生成した画像を表示部70に表示させる。
【0042】
図8は、図3の構成において、第2ダンパ112と遮蔽板114とを配置しない場合の溶接欠陥部の測定結果を示す図である。横軸は配管P100の長手方向の探触子100の距離を示し、縦軸は反射波の大きさを示す。
【0043】
図9は、図3に示すように第2ダンパ112と遮蔽板114とを配置した場合の溶接欠陥部の測定結果を示す図である。横軸は配管P100の長手方向の探触子100の距離を示し、縦軸は反射波の大きさを示す。図8では、溶接欠陥部の信号が周辺の信号に埋もれているのに対し、図9では、溶接欠陥部の周辺信号の大きさが抑制されている。このように、第2ダンパ112と遮蔽板114とにより、反射波のS/Nを改善することができる。これにより、配管P100などを構成する厚板に対して、探触子100による非破壊検査がより高精度に可能となっている。
【0044】
図10は、本実施形態に係る非破壊検査装置1の処理例を示すフローチャートである。ここでは、検査部10を配管P100に対して周回させながら非破壊検査をする例を説明する。
【0045】
先ず、制御部50のモータ制御部502は、検査部10を駆動させる制御をパルスモータ402に対して行う。続けて、所定の測定点nに到達すると、送受信処理部504は、超音波信号を探触子100に発生させ、配管P100の長手方向に発振する(ステップS100)。
【0046】
次に、送受信処理部504は、送受信処理部504の制御の下で、探触子100から出力される受信信号を所定の増幅率で増幅し、デジタル信号に変換して、超音波信号の発振から経過時間と関連付けて信号処理部24に出力する(ステップS102)。
【0047】
次に、信号処理部60の記憶部600は、時系列に送受信処理部504が送信するデジタル信号を記憶する。そして、画像処理部602は、検査部10の測定点nに対応する測定結果画像を生成する(ステップS104)。続けて、表示部70は、測定結果画像を表示する(ステップS106)。
【0048】
次に、モータ制御部502は、測定が終了点か否かを判定し(ステップS106)、終了でない場合(ステップS106のNO)、測定点nを次の測定点n+1として、ステップS100からの制御を繰り返す。一方で、終了する場合(ステップS106のYES)、全体の測定処理を終了する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る非破壊検査装置1によれば、タイヤ101が固定フレーム30に回転自在に固定され、タイヤ101は配管P100の長手方向に直交する方向に進行可能である。また、探触子100がタイヤ101内部に内蔵され、配管P100の長手方向に非破壊検査用の超音波を発振する。これにより、探触子100を、配管P100の長手方向に直交する方向に移動させながら、配管P100の長手方向に対する非破壊検査を連続的に行うことが可能となる。このため、配管P100の全周にわたる非破壊検査をより短時間に行うことができる。
【0050】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な部、方法及びプログラムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した部、方法及びプログラムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0051】
1:非破壊検査装置、20:回転ガイド部、30:固定フレーム、40:駆動部、60:信号処理部、100:探触子、101:タイヤ、102:回転軸、108:固定フレーム、110:第1ダンパ、112:第2ダンパ、114:遮蔽板、200:ガイドレール、P100:配管。
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