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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】付加製造のための廃棄物処理
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/30 20170101AFI20231020BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20231020BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20231020BHJP
   B29C 64/35 20170101ALI20231020BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231020BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20231020BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20231020BHJP
【FI】
B29C64/30
B29C64/106
B29C64/393
B29C64/35
B33Y30/00
B33Y50/00
B33Y40/20
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021500848
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 IL2019050761
(87)【国際公開番号】W WO2020012468
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】62/695,211
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513131464
【氏名又は名称】ストラタシス リミテッド
【住所又は居所原語表記】1 Holtzman Street, Science Park, P.O. Box 2496, 7612401 Rehovot, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】シトリト, ヤニヴ
(72)【発明者】
【氏名】ベロコン, ボリス
(72)【発明者】
【氏名】ビガン, ガル
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/009833(WO,A1)
【文献】米国特許第07118206(US,B1)
【文献】特開2004-155047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造システムによって生成された廃棄物を硬化するための廃棄物硬化装置であって、
前記廃棄物硬化装置が、前記廃棄物を受けるための容器;前記容器の上に位置された可動カバー;前記容器の上に位置された静止カバー;廃棄物を前記容器中に送出するように構成された一つ以上の廃棄物ノズル;及び前記容器中の前記廃棄物を硬化するために硬化放射線を与えるように構成された一つ以上の硬化源を含み、
前記可動カバーが、前記廃棄物ノズルが廃棄物を前記容器中に送出するための開放位置、及び続いて前記廃棄物ノズルを前記硬化放射線から遮蔽するための閉鎖位置を与えるように前記静止カバーに対して移動するように構成される、廃棄物硬化装置。
【請求項2】
前記静止カバーが、前記可動カバーの下に位置され、前記一つ以上の廃棄物ノズルが、前記可動カバーの上に装着され、前記一つ以上の硬化源が、前記静止カバーの上に装着される、請求項1に記載の廃棄物硬化装置。
【請求項3】
前記可動カバーが、前記静止カバーの下に位置され、前記一つ以上の廃棄物ノズルが、前記静止カバーの上に装着され、前記一つ以上の硬化源が、前記可動カバーの上に装着される、請求項1に記載の廃棄物硬化装置。
【請求項4】
前記可動カバーの相対移動を制御し、かつ前記容器中への前記廃棄物ノズルによる予め決められた量の廃棄物の送出を制御するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の廃棄物硬化装置。
【請求項5】
前記コントローラが、前記硬化放射線を与えるために一つ以上の硬化源を制御するように構成される、請求項4に記載の廃棄物硬化装置。
【請求項6】
前記コントローラが、前記一つ以上の硬化源によって硬化放射線を与えるために、予め決められた量の廃棄物が前記容器に送出された後に前記容器による廃棄物の受けとりと、前記一つ以上の硬化源の作動との間に遅れを導入するように構成される、請求項4又は5に記載の廃棄物硬化装置。
【請求項7】
前記廃棄物の予め決められた量が、前記廃棄物の重量の変化及び/又は前記容器中の前記廃棄物の高さの変化によって測定される、請求項4~6のいずれかに記載の廃棄物硬化装置。
【請求項8】
前記一つ以上の硬化源が、各送出サイクルに送出される廃棄物材料の予め決められた量を硬化するために必要とされる時間量の間、少なくとも作動するように構成される、請求項4~7のいずれかに記載の廃棄物硬化装置。
【請求項9】
付加製造システムによって生成された廃棄物を硬化する方法であって、
一つ以上の廃棄物ノズルによって前記廃棄物を容器に送出すること;前記廃棄物ノズルによる前記廃棄物の送出のための開放位置と、放射線から前記廃棄物ノズルを遮蔽するための閉鎖位置との間の一つ以上の容器カバーの相対移動を与えること;及び前記廃棄物を硬化するために一つ以上の硬化源によって硬化放射線を与えることを含む方法。
【請求項10】
予め決められた量の前記廃棄物が送出された後に前記廃棄物を硬化するために硬化放射線を与えることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記廃棄物の前記予め決められた量が、前記廃棄物の重量と前記容器中の前記廃棄物の高さのうちの少なくとも一つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記容器中への前記予め決められた量の廃棄物の送出と、前記硬化放射線を与えることとの間に時間遅れを導入することを含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
各送出サイクルに送出された廃棄物材料の予め決められた量を硬化するために必要とされる時間量の間、少なくとも前記硬化源を作動させることを含む、請求項10~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
液体構築材料配合物を吐出するための複数の吐出ヘッドを含む吐出ユニット;一つ以上の構築材料配合物リザーバ;前記構築材料が層で吐出される作用表面;前記層の厚さを矯正、平坦化及び/又は確立するためのレベリング装置;過剰の構築材料配合物を回収するための廃棄物回収装置;及び請求項1~8のいずれかに記載の廃棄物硬化装置を含む、付加製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2018年7月9日出願の米国仮特許出願第62/695211号の優先権の利益を、米国特許法第119条(e)項の下で主張するものであり、この仮出願の内容全体を参照によって本書に援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、その一部の実施形態において、付加製造における廃棄物処理のための方法及び装置に関し、特に限定されないが、環境的に安全な廃棄のための構築材料の廃棄物を硬化する効率的な方法に関する。
【背景技術】
【0003】
付加製造は、最近20年にわたって開発されかつ改良された技術であり、工業用途のために実用的でありかつ有用である。付加製造は、構築材料を層ごとに吐出することによってボトムアップ式で物体を構築し、かくして複雑な幾何学的形状を持つ物体を含む三次元(3D)物体を形成する。
【0004】
一部の付加製造技術は、構築される3D構造の層を形成するために各印刷ヘッドのオリフィス板の上に印刷ヘッドノズル、例えばノズルアレイ、即ちオリフィスによって液体形態で噴射される構築材料を使用して実施される。層は、続く層のために平坦で一貫した層表面を与えかつ/又は各層のために一貫した層厚さを確実にするためにローラで矯正され、ローラでの矯正の後に、層が硬化されて構築材料の層を凝固する。
【0005】
一貫した層表面を与えかつ一貫した層厚さを確実にすることは、各吐出層から必要量の構築材料を除去することを伴なう。従って、ローラは、有意な量の廃棄物材料、例えば吐出構築材料の容積の約5~50%を生成する。追加の構築材料廃棄物は、構築材料残留物を印刷ヘッドノズルから取り除くために印刷ヘッドを洗い清めること、例えば全ての印刷ヘッドによる構築材料の噴射のような印刷ヘッドメンテナンス手順によって生成される。
【0006】
上記方法によって生成された廃棄物は、液体形態及び/又は少なくとも部分的に凝固された形態の廃棄物を含む。未凝固、即ち不完全に凝固された構築材料廃棄物は、危険物質と考えられ、環境的に安全な方法で貯蔵及び廃棄されることが要求される。それゆえ、かかる構築材料廃棄物は、特別な廃棄物処理技術を使用して廃棄されなければならない。
【0007】
各印刷ジョブ中又は後の有意な量の廃棄物材料の生成は、かなりの作業費用をもたらし、環境的に安全な廃棄は、コストがかかり、戦略的に複雑である。一部の現在の慣習では、かかる廃棄物は、容器中に回収され、かつポンプ輸送され、容器は、満たされると、専用の廃棄設備に送られ、その設備は、廃棄物を処理し、それを適切で環境的に優しい方法で廃棄する。
【0008】
液体形態(又は部分的にのみ凝固された形態)の廃棄物構築材料は、危険と考えられている一方、完全に硬化された構築材料は、一般には危険と考えられておらず、あまり厳しくない廃棄条件下で廃棄されることができる。参考としてここに組み入れられる、同じ出願人の国際特許出願No.WO2017009833A1は、印刷プロセス、又は印刷ヘッドクリーニング及び他の付随的な操作によって生成される廃棄物構築材料を硬化及び除去のために回収する廃棄物インク回収装置を開示する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第一の態様によれば、付加製造システムによって生成された廃棄物を硬化するための廃棄物硬化装置であって、前記廃棄物硬化装置が、前記廃棄物を受けるための容器;前記容器の上に位置された可動カバー;前記可動カバーの上に装着され、かつ廃棄物を前記容器中に送出するように構成された一つ以上の廃棄物ノズル;前記容器の上でかつ可動カバーの下に位置された静止カバー;及び前記静止カバーの上に装着され、かつ前記容器中の前記廃棄物を硬化するために硬化放射線を与えるように構成された一つ以上の硬化源を含み、前記可動カバーが、前記廃棄物ノズルが廃棄物を前記容器中に送出するための開放位置、及び続いて前記廃棄物ノズルを前記硬化放射線から遮蔽するための閉鎖位置を与えるように前記静止カバーに対して移動するように構成される、廃棄物硬化装置が提供される。
【0010】
前記実施形態は、前記可動カバーの相対移動を制御し、かつ前記容器中への前記廃棄物ノズルによる予め決められた量の廃棄物の送出を制御するように構成されたコントローラを含むことができる。
【0011】
本発明の第二の態様によれば、付加製造システムによって生成された廃棄物を硬化するための廃棄物硬化装置であって、前記廃棄物を受けるための容器;前記容器中の廃棄物を硬化するために硬化放射線を与えるように構成された一つ以上の硬化源;及び硬化源を制御して、硬化放射線を与え、予め決められた量の廃棄物が容器に送出された後に容器による廃棄物の受けとりと、一つ以上の硬化源によって硬化放射線を与えるための硬化源の作動との間に遅れを導入するように構成されたコントローラを含む、廃棄物硬化装置が提供される。
【0012】
実施形態では、廃棄物の予め決められた量が、廃棄物の重量の変化及び/又は容器中の廃棄物の高さの変化によって測定される。
【0013】
実施形態では、コントローラは、各送出サイクルに送出される廃棄物材料の予め決められた量を硬化するために必要とされる時間量の間、少なくとも一つ以上の硬化源を作動することができる。
【0014】
本発明の第三態様によれば、付加製造システムによって生成された廃棄物を硬化する方法であって、一つ以上の廃棄物ノズルによって廃棄物を容器に送出すること;廃棄物ノズルによる廃棄物の送出のための開放位置と、放射線から廃棄物ノズルを遮蔽するための閉鎖位置との間の一つ以上の容器カバーの相対移動を与えること;及び廃棄物を硬化するために一つ以上の硬化源によって硬化放射線を与えることを含む方法が提供される。
【0015】
前記方法は、予め決められた量の廃棄物が送出された後に廃棄物を硬化するために硬化放射線を与えることができる。
【0016】
実施形態では、廃棄物の予め決められた量が、廃棄物の重量と容器中の廃棄物の高さのうちの少なくとも一つを含む。
【0017】
前記方法は、容器中への予め決められた量の廃棄物の送出と、硬化放射線を与えることとの間に時間遅れを導入することを含むことができる。
【0018】
前記方法は、各送出サイクルに送出された廃棄物材料の予め決められた量を硬化するために必要とされる時間量の間、少なくとも硬化源を作動させることを含むことができる。
【0019】
本発明の第四態様によれば、付加製造システムによって生成されかつ廃棄物硬化装置によって硬化された硬化廃棄物材料の板状物であって、廃棄物材料が、重合可能な構築材料であり、板状物が、少なくとも95%重合されている、硬化廃棄物材料の板状物が提供される。
【0020】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が以下に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書では本発明の一部の実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0022】
図1A図1Aは、例示的な付加製造システムの概略図であり、そこから本実施形態は、処理のための廃棄物を得ることができる。
図1B-1C】図1B-1Cは、例示的な付加製造システムの概略図であり、そこから本実施形態は、処理のための廃棄物を得ることができる。
図1D図1Dは、例示的な付加製造システムの概略図であり、そこから本実施形態は、処理のための廃棄物を得ることができる。
図1E-1G】図1E-1Gは、例示的な付加製造システムの概略図であり、そこから本実施形態は、処理のための廃棄物を得ることができる。
図1H-1I】図1H-1Iは、例示的な付加製造システムの概略図であり、そこから本実施形態は、処理のための廃棄物を得ることができる。
【0023】
図2図2は、本発明の一部の実施形態による廃棄物処理システムの概略図である。
【0024】
図3A-3B】図3A-3Bは、図2の廃棄物処理システムのための静止カバーの実施形態の下面を示す概略図である。
【0025】
図4図4は、図3A及び3Bの静止カバーの代替実施形態の下面を示す概略図である。
【0026】
図5図5は、開放位置での可動カバー及び静止カバーの配置の側面を示す概略図であり、そこでは(図2に示される)可動カバーのノズルは、静止カバーの開口を通って突出する。
【0027】
図6図6は、開放位置での可動カバー及び静止カバーの配置の側面を示す概略図であり、そこでは(図2に示される)可動カバーのノズルは、静止カバーの開口の上に位置される。
【0028】
図7図7は、閉鎖位置での可動カバー及び静止カバーの配置の側面を示す概略図であり、そこでは(図2に示される)可動カバーのノズルは、静止カバーによって硬化放射線から遮蔽される。
【0029】
図8A-8B】図8A-8Bは、ノズル開口のまわりの硬化ランプの異なる配列を示す、静止カバーの二つの実施形態の下面を示す比較概略図である。
【0030】
図9図9は、本発明の実施形態による硬化システムの例示的な作動を示すフロー図である。
【0031】
図10A-10B】図10A-10Bは、本発明の実施形態による内部硬化装置の二つの異なる透視図である。
【0032】
図11A-11B】図11A-11Bは、3D印刷装置への接続のために意図された外部硬化装置の二つの異なる透視図である。
【0033】
図12A-12D】図12A-12Dは、本発明の実施形態を使用して製造された、硬化された廃棄物材料の板状物を示す一連の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、その一部の実施形態において、付加製造における廃棄物処理のための方法及び装置に関し、特に限定されないが、環境的に安全な処理のための構築材料の廃棄物を硬化する効率的な方法に関する。
【0035】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0036】
本実施形態の方法及びシステムは、三次元物体の付加製造中に生成された廃棄物を扱う。
【0037】
付加製造は、一般的に、しかし必須ではないが、物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を形成することによって、1層ずつのコンピュータ物体データに基づく。コンピュータ物体データは、標準テッセレーション言語(STL)またはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実モデリング言語(VRML)、付加製造ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴン・ファイル・フォーマット(PLY)、またはコンピュータ支援設計(CAD)に適したいずれかの他のフォーマットを含め、それらに限らず、任意の公知のフォーマットにすることができる。
【0038】
本明細書において使用される用語「物体」は、物体の全体又はその一部を示す。
【0039】
各層は、任意選択的に、二次元表面を走査してそれをパターン化する付加製造装置によって形成される。走査中に、付加製造装置は、二次元の層または表面上の複数の目標位置を訪れ、各目標位置または1群の目標位置について、目標位置または目標位置群が構築材料配合物によって占有されるべきか否か、かつどのタイプの構築材料配合物をそこに送出すべきかを決定する。決定は、表面のコンピュータ画像に従って行われる。
【0040】
AMは、三次元印刷を、例えば三次元インクジェット印刷を含む。三次元インクジェット印刷では、構築材料配合物は、1組のノズルを有する吐出ヘッドから吐出され、構築材料配合物を支持体構造上に層状に堆積する。AM装置はこうして、占有すべき目標位置に構築材料配合物を吐出し、かつ他の目標位置を空所のままにする。AM装置は通常、複数の吐出ヘッドを含み、各吐出ヘッドは、異なる構築材料配合物を吐出するように構成されることができる。従って、異なる目標位置を異なる構築材料配合物が占有することができる。構築材料配合物の種類は主に、造形用材料配合物および支持体材料配合物の2つのカテゴリに分類されることができる。支持体材料配合物は、製作プロセス中に物体もしくは物体の一部分を支持するため、かつ/または他の目的で、例えば中空物体もしくは多孔質物体を提供するために、支持マトリックスまたは支持構造として働く。支持体構造は、例えば支持強度を高めるために、さらに造形用材料配合物要素を含んでもよい。
【0041】
造形用材料配合物は、一般的に、付加製造用に配合された組成物であり、それ自体で、すなわち他の物質と混合されたりまたは組み合わされたりする必要なく、三次元物体を形成することができる。
【0042】
最終的な三次元物体は、造形用材料配合物、または造形用材料配合物と支持体材料配合物の組合せもしくはそれらの変性物(例えば硬化後)から作られる。これらの作業は全て、立体自由造形の当業者には良く知られている。
【0043】
AMシステムは、2つ以上の異なる造形用材料配合物を吐出することによって物体を製造し、各材料配合物は、AMシステムの異なる吐出ヘッドから又は吐出ヘッドの異なる通路から吐出される。材料配合物は、印刷ヘッドの同一パス中に層状に堆積されることができる。層内の材料配合物および材料配合物の組合せは、物体の所望の特性に従って選択されることができる。
【0044】
物体112のAMに適したシステム110の代表的かつ非限定的実施例を図1Aに示す。システム110は、複数の吐出ヘッドを含む吐出ユニット16を有する付加製造装置114を備える。各ヘッドは、下述する図1E図1Gに示すように、1つ以上のノズル122のアレイを含み、それらは、1つ以上の通路(図示せず)と流体連通し、それらを通して液状構築材料配合物124が吐出されることが好ましい。
【0045】
AM装置114は、三次元印刷装置であることができるが、その場合、吐出ヘッドは、印刷ヘッドであり、構築材料配合物は、インクジェット技術によって吐出される。一部の用途によっては、付加製造装置は、三次元印刷技術を採用する必要がない場合があるので、これは必ずしも当てはまる必要はない。本発明の様々な例示的実施形態に従って構想される付加製造装置の代表的例は、熱溶解積層造形装置および熱溶解材料配合物堆積装置を含むが、それらに限定されない。
【0046】
各吐出ヘッドは、一つ以上の構築材料配合物リザーバによって供給されることができ、リザーバは、任意選択的に、温度制御ユニット(例えば温度センサおよび/または加熱装置)および材料配合物レベルセンサを含んでもよい。構築材料配合物を吐出するために、例えば圧電式インクジェット印刷技術の場合のように、吐出ヘッドノズルを介して材料配合物の液滴が選択的に堆積されるように、電圧信号が吐出ヘッドに印加されることができる。各ヘッドの吐出率は、ノズルの個数、ノズルの種類、および印加電圧の信号レート(周波数)に依存する。そのような吐出ヘッドは、立体自由造形の当業者には知られている。
【0047】
吐出ノズルまたはノズルアレイの総数は、吐出ノズルの半数が支持体材料配合物を吐出するように設計され、かつ吐出ノズルの半数が造形用材料配合物を吐出するように設計され、すなわち造形用材料配合物を噴出するノズルの個数が支持体材料配合物を噴出するノズルの個数と同数になるように、選択されることができることが好ましいが、必須ではない。図1Aの限定されない代表的例には4つの吐出ヘッド16a、16b、16c、および16dが示される。ヘッド16a、16b、16c、および16dの各々がノズルアレイを有する。この例では、ヘッド16aおよび16bは造形用材料配合物用に設計することができ、ヘッド16cおよび16dは支持体材料配合物用に設計することができる。従って、ヘッド16aは一つの造形用材料配合物を吐出することができ、ヘッド16bは別の造形用材料配合物を吐出することができ、ヘッド16cおよび16dは両方とも支持体材料配合物を吐出することができる。代替的実施形態では、例えばヘッド16cおよび16dは、支持体材料配合物を吐出するための2つのノズルアレイを有する単一のヘッドに組み合わされてよい。一部の他の実施形態では、ヘッド16aおよび16bは、二つの異なる造形用材料配合物を吐出する単一の2つのチャネルの印刷ヘッドに組み合わされ、ヘッド16cおよび16dは、一つ以上の支持体材料配合物を吐出する単一の2つのチャネルの印刷ヘッドに組み合わされる。
【0048】
しかし、それは本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、造形用材料配合物吐出ヘッド(造形用ヘッド)の個数および支持体材料配合物吐出ヘッド(支持体用ヘッド)の個数は異なってもよいことを理解されたい。一般的に、造形用ヘッドの個数、支持体用ヘッドの個数、およびそれぞれのヘッドまたはヘッドアレイの各々におけるノズルの個数は、支持体材料配合物の最大吐出率と造形用材料配合物の最大吐出率との間に所定の比率αがもたらされるように選択される。所定の比率aの値は、形成される各層における造形用材料配合物の高さが支持体材料配合物の高さに等しいことを確実にするように選択されることが好ましい。aの典型値は約0.6~約1.5である。さらに、AM装置は、複数の材料のAM装置である必要はなく、複数の材料のAM装置は、支持体材料配合物を吐出するための吐出ノズルの半分、及び造形用材料配合物を吐出するための吐出ノズルの半分を持つ必要はないことを理解されたい。
【0049】
上記のようなAMシステムで使用される印刷ヘッドのタイプ(例えば単一通路又は複数通路)及び印刷ヘッドの個数は、(1)AMシステムに使用される構築材料配合物の数及び性質;(2)配合物の各々一つに対する印刷解像度条件;及び(3)達成される全体の印刷スピードのような幾つかの考慮事項に従って適応されてもよいことは、当業者に知られている。
【0050】
吐出ヘッドおよび放射源は、作業面として働くトレイ360上を往復運動するように動作することが好ましいフレームまたはブロック128に取り付けられることが好ましい。本発明の一部の実施形態では、放射源は、吐出ヘッドによって吐出されたばかりの材料配合物を少なくとも部分的に硬化または凝固するために、放射源が吐出ヘッドの後に追従するようにブロックに取り付けられる。トレイ360は水平に配置される。一般的な取決めに従って、X‐Y‐Zデカルト座標系は、X‐Y面がトレイ360と平行になるように選択される。トレイ360は、垂直方向に(Z方向(構築方向とも称される)に沿って)、通常は下方に移動するように構成されることが好ましい。本発明の様々な例示的実施形態では、AM装置114は、1つ以上のレベリング装置132、例えばローラ326をさらに備える。レベリング装置326は、新たに形成された層の厚さを、その上に次の層が形成される前に矯正し、平準化し、かつ/または確立するように働く。AM装置114は、任意選択的に又は好ましくは矯正中に発生した余分な材料配合物を回収するために、廃棄物回収装置136を含む。本実施形態のために好適な廃棄物回収装置136は、以下に記載される。
【0051】
使用中に、ユニット16の吐出ヘッドは、本書ではX方向と呼ぶ走査方向に移動し、それらがトレイ360上を通過する過程で所定の構成に構築材料配合物を選択的に吐出する。構築材料は通常、1種類以上の支持体材料配合物および1種類以上の造形用材料配合物を含む。ユニット16の吐出ヘッドの通過に続いて、放射源126による造形用材料配合物の硬化が行われる。堆積されたばかりの層のためのヘッドの出発点に戻るヘッドの逆方向の通過中に、所定の構成に従って構築材料配合物の追加吐出が実行されてもよい。吐出ヘッドの順方向または逆方向の通過中に、こうして形成された層は、レベリング装置の順方向および/または逆方向の移動中に好ましくは吐出ヘッドの経路に従うレベリング装置326によって矯正されることができる。吐出ヘッドがX方向に沿ってそれらの出発点に戻ると、吐出ヘッドは、本書ではY方向と呼ぶ割出し方向に沿って別の位置に移動し、X方向に沿った往復運動によって同じ層を構築し続けてもよい。代替的に、吐出ヘッドは、順方向および逆方向の移動の間に、または2回以上の順方向‐逆方向移動の後に、Y方向に移動してもよい。単一の層を完成させるために吐出ヘッドによって実行される一連の走査は、本書で単一走査サイクルと呼ばれる。
【0052】
層が完成すると、次に印刷される層の所望の厚さに応じて、トレイ360は、Z方向に所定のZレベルまで下降する。この手順は、三次元物体112が層毎に形成されるように繰り返される。
【0053】
別の実施形態では、トレイ360は、層内で、ユニット16の吐出ヘッドの順方向および逆方向の通過の間に、Z方向に変位されてもよい。そのようなZ変位は、レベリング装置を1方向に表面と接触させ、かつ他の方向の接触を防止するために実行される。
【0054】
システム110は、任意選択的にかつ好ましくは、構築材料配合物容器またはカートリッジを含みかつ複数の構築材料配合物をAM装置114に供給する構築材料配合物供給システム330を備える。
【0055】
本実施形態が処分のための廃棄物を得ることができるシステム10の別の代表的かつ非限定的実施例を図1B図1Dに示す。図1B図1Dは、システム10の上面図(図1B)、側面図(図1C)、および等角図(図1D)を示す。
【0056】
システム10は、トレイ12と、各々が複数の分離したノズルを有する複数のインクジェット印刷ヘッド16とを備える。トレイ12は、円板の形状を有することができ、あるいは環状とすることができる。非円形の形状もシステム10のために考えられる。
【0057】
システム10のトレイ12およびヘッド16は、任意選択的に、トレイ12とヘッド16との間の相対的回転運動ができるように取り付けられる。これは、(i)トレイ12がヘッド16に対して垂直軸線14を中心に回転するようにトレイ12を構成することによって、(ii)ヘッド16がトレイ12に対して垂直軸線14を中心に回転するようにヘッド16を構成することによって、または(iii)トレイ12およびヘッド16の両方が垂直軸線14を中心に、しかし異なる回転速度で回転(例えば逆方向に回転)するように構成することによって、達成されることができる。以下の実施形態は、トレイが、ヘッド16に対して垂直軸線14を中心に回転するように構成された回転トレイである構成(i)を特に重点的に記載するが、本願は構成(ii)および(iii)をも企図していることを理解されたい。本書に記載する実施形態はいずれも、構成(ii)および(iii)のいずれかに適用できるように調整されることができ、本書に記載する詳細を前提として、そのような調整をどのように行うかが当業者には分かるであろう。
【0058】
以下の説明では、トレイ12と平行で軸線14から外向きの方向を半径方向rと呼び、トレイ12と平行で半径方向rに垂直な方向をここでは方位角方向jと呼び、トレイ12に直角な方向をここでは垂直方向zと呼ぶ。
【0059】
本書で使用する用語「半径方向位置」とは、軸線14から特定の距離にあるトレイ12上またはトレイ12より上の位置を指す。この用語が印刷ヘッドに関連して使用される場合、この用語は、軸線14から特定の距離にあるヘッドの位置を指す。この用語がトレイ12上の点に関連して使用される場合、この用語は、半径が軸線14から特定の距離にあってその中心が軸線14にある円を描く点の軌跡に属する任意の点に対応する。
【0060】
本書で使用する用語「方位角位置」は、所定の基準点に対して特定の方位角にあるトレイ12上またはトレイ12より上の位置を指す。したがって、半径方向位置は、基準点に対して特定の方位角を形成する直線を描く点の軌跡に属する任意の点を指す。
【0061】
本書で使用する用語「垂直位置」は、特定の点で垂直軸線14と交差する面全体の位置を指す。
【0062】
トレイ12は、三次元印刷のための支持体構造として働く。1つ以上の物体が印刷される作業領域は通常、トレイ12の総面積より小さいが、必ずしもそうである必要はない。本発明の一部の実施形態では、作業領域は、環状である。作業領域は、符号26で示される。本発明の一部の実施形態では、トレイ12は、物体の形成中ずっと、同一方向に連続的に回転し、本発明の一部の実施形態では、トレイは、物体の形成中に少なくとも1回(例えば振動するように)回転方向を逆転する。トレイ12は、任意選択的にかつ好ましくは取外し可能である。トレイ12の取外しは、システム10の保守のために、あるいは希望する場合には、新しい物体を印刷する前にトレイを交換するために、行うことができる。本発明の一部の実施形態では、システム10には1つ以上の異なる交換トレイ(例えば交換トレイのキット)が提供され、2つ以上のトレイが異なる種類の物体(例えば異なる重量)、異なる動作モード(例えば異なる回転速度)等のために設計される。トレイ12の交換は、希望通り手動または自動にすることができる。自動交換が採用された場合、システム10は、トレイ12をヘッド16の下にあるその位置から取り外して、それを交換トレイ(図示せず)と交換するように構成されたトレイ交換装置36を含む。図1Bの代表図では、トレイ交換装置36は、トレイ12を引っ張るように構成された可動アーム40を持つドライブ38として示されるが、他の種類のトレイ交換装置も考えられる。
【0063】
印刷ヘッド16の例を図1E-1Gに示す。これらのヘッドは、システム110およびシステム10を含め、それらに限らず、上述したAMシステムのいずれかに採用することができる。
【0064】
図1E及び1Fは、1つ(図1E)および2つ(図1F)のノズルアレイ22を持つ印刷ヘッド16を示す。アレイにおけるノズルは、直線に沿って線状に整列されることが好ましい。特定の印刷ヘッドが2つ以上のリニア・ノズル・アレイを有するとき、ノズルアレイは、任意選択的に相互に平行にすることができる。
【0065】
システム110と同様のシステムが使用される場合、全ての印刷ヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、走査方向に沿ったそれらの位置が互いにずらされ、割出し方向に沿って向き付けられる。
【0066】
システム10と同様のシステムが使用される場合、全ての印刷ヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、それらの方位角位置が互いにずらされ、放射状に(放射方向と平行に)向き付けられる。したがって、これらのシステムでは、異なる印刷ヘッドのノズルアレイは互いに平行ではなく、むしろ互いに角度を成しており、その角度はそれぞれのヘッド間の方位角のずれに略等しい。例えば1つのヘッドは放射状に向き付け、かつ方位角位置jに配置することができ、別のヘッドは放射状に向き付け、かつ方位角位置jに配置することができる。この例では、2つのヘッド間の方位角のずれはj-jであり、2つのヘッドのリニア・ノズル・アレイ間の角度もまたj-jである。
【0067】
任意選択的に、2つ以上の印刷ヘッドを組み立てて、1ブロックの印刷ヘッドにすることができる。その場合、そのブロックの印刷ヘッドは一般的に、互いに平行である。幾つかのインクジェット印刷ヘッド16a、16b、16cを含むブロックが図1Gに示される。
【0068】
任意選択的に、システム10は、トレイ12が安定化構造30とヘッド16との間にくるように、ヘッド16の下に位置する安定化構造30を含む。安定化構造30は、インクジェット印刷ヘッド16が作動している間に発生することのあるトレイ12の振動を防止または低減するように働くことができる。印刷ヘッド16が軸線14を中心に回転する構成では、安定化構造30が常にヘッド16の真下にくるように(トレイ12と共にヘッド16とトレイ12の間で)安定化構造30も回転することが好ましい。
【0069】
トレイ12および/または印刷ヘッド16は、任意選択的に、トレイ12と印刷ヘッド16との間の垂直距離が変動するように垂直方向zに沿って垂直軸線14と平行に移動するように構成される。トレイ12を垂直方向に沿って移動させることによって垂直距離が変動する構成では、安定化構造30もトレイ12と共に垂直方向に移動することが好ましい。トレイ12の垂直位置は固定されたままで、垂直距離がヘッド16によって垂直方向に沿って変動する構成では、安定化構造30もまた固定垂直位置に維持される。
【0070】
垂直移動は、垂直駆動28によって確立することができる。一つの層が完成すると、次に印刷される層の所望の厚さに応じて所定の垂直間隔だけ、トレイ12とヘッド16との間の垂直距離を増大させることができる(例えばヘッド16に対してトレイ12を下降させる)。この手順は、三次元物体が層毎に形成されるように繰り返される。
【0071】
システム10は、ローラまたはブレードとして製造することのできる1つ以上のレベリング装置32をさらに備える。レベリング装置32は、新たに形成された層を、次の層がその上に形成される前に矯正するのに役立つ。レベリング装置32は、システム10の側面図(図1C)に示されるように、円錐ローラの形状を有し、その対称軸線34がトレイ12の表面に対して傾斜され、かつその表面がトレイの表面と平行になるように配置される。
【0072】
円錐ローラは、円錐または円錐台の形状を有することができる。
【0073】
円錐ローラの開き角は、その軸線34に沿った任意の位置における円錐の半径と、その位置と軸線14との間の距離との比率が一定になるように選択されることが好ましい。ローラが回転する間、ローラの表面上の点pはどれも、点pの鉛直下方に位置する点のトレイの線速度に比例する(例えば同一の)線速度を有するので、この実施形態は、ローラ32が層を効率的に矯正することを可能にする。一部の実施形態では、ローラは高さh、軸線14から最も近い距離位置における半径R、および軸線14から最も遠い距離位置における半径Rを有する円錐台の形状を有する。ここでパラメータh、R、およびRは、R/R=(R-h)/hの関係を満たし、ここでRは軸線14からのローラの最も遠い距離である(例えばRはトレイ12の半径とすることができる)。
【0074】
システム10は、任意選択的にかつ好ましくは、矯正中に発生した過剰の材料配合物を回収するために、廃棄物回収装置136を含む。本実施形態のために好適な廃棄物回収装置136は、以下に記載される。
【0075】
システム10では、印刷ヘッド16は、半径方向rに沿ってトレイに対して往復運動するように構成されることができる。これらの実施形態は、ヘッド16のノズルアレイ22の長さがトレイ12上の作業領域26の半径方向に沿った幅より短いときに、有用である。半径方向に沿ったヘッド16の運動は、任意選択的にかつ好ましくはコントローラ20によって制御される。
【0076】
システム10及び110のいずれかは、任意選択的に凝固装置18を備え、それは、堆積された材料配合物を硬化させることができる、光、熱などを放出するように構成されたいずれかの装置を含むことができる。例えば、凝固装置18は、使用する造形用材料配合物に応じて、例えば紫外線もしくは可視光もしくは赤外線ランプ、または他の電磁放射源、または電子ビーム源とすることができる1つ以上の放射線源を備えることができる。放射線源は、発光ダイオード(LED)、デジタル・ライト・プロセシング(DLP)システム、抵抗ランプ等をはじめ、それらに限らず、任意の種類の放射線放出装置を含むことができる。本発明の一部の実施形態では、凝固装置18は、造形用材料配合物を硬化または凝固させるように働く。
【0077】
システム10及び110のいずれかでは、インクジェット印刷ヘッド16の向き、任意選択的にかつ好ましくはシステムの1つ以上の他の構成部品の向き、例えばトレイの移動、供給システムの動作、廃棄物回収装置の動作、起動、休止、印加電圧、及びレベリング装置及び/又は凝固装置などの垂直及び/又は水平方向に沿った位置などが、コントローラ(20で示される)によって制御される。コントローラは、電子回路、および回路によって読出し可能な不揮発性記憶媒体を有することができ、記憶媒体は、回路によって読み出されたときに、以下でさらに詳述するように制御動作を回路に実行させるプログラム命令を格納する。
【0078】
コントローラ20は、コンピュータ物体データ、例えば標準テッセレーション言語(STL)またはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実モデリング言語(VRML)、付加製造ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴン・ファイル・フォーマット(PLY)、またはコンピュータ支援設計(CAD)に適したいずれかの他のフォーマットの形のコンピュータ可読媒体で表わされるコンピュータ支援設計(CAD)に基づいて、製作命令に関するデジタルデータを送信するデータプロセッサ又はホストコンピュータ(24で示される)と通信することが好ましい。典型的には、コントローラは、それぞれの印刷ヘッドにおける構築材料配合物の温度及び各吐出ヘッド又はノズルに印加される電圧を制御する。一般に、コントローラ20は、三次元物体を印刷するように、構築材料配合物の液滴を層状に吐出するように印刷ヘッドを制御する。システム10では、コントローラ20は、任意選択的にかつ好ましくは、トレイが回転している間、液滴を吐出するように印刷ヘッドを制御する。
【0079】
一部の実施形態では、コントローラは、例えばデータプロセッサ24を使用して又はコントローラと通信するユーザーインターフェース116を使用して、オペレータからの追加の入力を受ける。ユーザーインターフェース116は、キーボード、タッチスクリーンなど従来公知のいずれのタイプであることもでき、これらに限定されない。例えば、コントローラ20は、追加入力として、一つ以上の構築材料配合物のタイプ及び/又は属性(例えば色、歪特性及び/又は転移温度、粘度、電気特性、磁気特性など、これらに限定されない)を受けることができる。他の属性及び属性群も考えられる。
【0080】
物体データフォーマットは一般的に、デカルト座標系に従って構成される。このような場合、システム10が使用されるとき、コンピュータ24は、コンピュータ物体データにおける各スライスの座標をデカルト座標系から極座標系に変換するための手順を実行することが好ましい。コンピュータ24は、任意選択的にかつ好ましくは、変換された座標系で製作命令を送信する。代替的に、コンピュータ24は、コンピュータ物体データによって提供された元の座標系で、製作命令を送信することができ、その場合、座標の変換は、コントローラ20の回路によって実行される。
【0081】
座標の変換は、回転トレイ上の三次元印刷を可能にする。システム10では、ヘッド点の全てのノズルが同時にトレイ12全体で同一距離をカバーするわけではない。座標の変換は、異なる半径方向位置における過剰な材料配合物の均等な量が確実になるように実行されることができる。座標変換の代表的な例が、物体の3つのスライスを示す図1H及び1Iに提示される(各スライスは物体の異なる層の製作命令に対応する)。図1Hは、スライスをデカルト座標系で示し、図1Iは、座標変換手順がそれぞれのスライスに適用された後の同じスライスを示す。
【0082】
AMシステムは、異なる吐出ヘッドから異なる材料配合物を吐出することによって物体を製作することができる。これらの実施形態は、とりわけ、所与の数の材料配合物から材料配合物を選択し、かつ選択された材料配合物およびそれらの性質の所望の組合せを画定する能力を提供する。本実施形態によれば、異なる材料配合物による異なる三次元空間位置の占有を達成するか、あるいは2つ以上の異なる材料配合物による略同一の三次元位置または隣接する三次元位置の占有を達成するように、層における各材料配合物の堆積の空間位置が画定され、層内の材料配合物の堆積後の空間的組合せが可能になり、それによってそれぞれの位置(単数または複数)で複合材料配合物を形成することが可能になる。
【0083】
造形用材料配合物の任意の堆積後の組合せまたは混合が企図される。例えば特定の材料配合物が吐出された後、それはその元の性質を維持することができる。しかし、別の造形用材料配合物または他の吐出材料配合物と同時に、同じ位置あるいは近傍位置で吐出された場合、吐出された材料配合物とは異なる性質を有する複合材料配合物が形成される。
【0084】
異なる材料配合物を吐出することによって物体を製作できるAMシステムは、広範囲の材料配合物の組合せの堆積を可能にし、かつ物体の各部分を特徴付けるために望ましい特性に応じて、物体の異なる部分を複数の異なる材料配合物の組合せから構成することのできる物体の製作を可能にする。
【0085】
本実施形態が処分のための廃棄物を得ることができるAMシステムの原理および動作のさらなる詳細は、米国公開出願第20100191360号及び第20170173886号に見られ、その内容を参照によって本書に援用する。
【0086】
説明したように、造形用材料及び/又は支持体材料であることができ、一般には未硬化及び/又は部分的に硬化されたポリマーからなる構築材料廃棄物は、危険な材料であり、環境的に安全な廃棄物処理技術を使用して廃棄されなければならない。3D印刷プロセスは、有意な量の廃棄物、一般的にはヘッドによって噴射される容量の約5~50%を生成する。追加の廃棄物もまた、浄化のようなヘッドメンテナンス手順によって生成される。
【0087】
液体及び/又は部分的に硬化された形態の廃棄物は危険と考えられるが、完全に硬化された廃棄物は、一般に危険と考えられず、あまり厳格でない処理条件下で廃棄されることができる。国際特許出願No.WO2017009833は、廃棄物が貯蔵されかつ硬化される廃棄物回収技術を開示する。廃棄物は、廃棄物専用のノズルを通して廃棄物容器中に滴下され、次いでUV放射線が使用されて廃棄物を硬化する。本発明者は、UV光が廃棄物ノズルの上で反射し、ノズルの近くの廃棄物材料の重合を起こし、ノズルを通る廃棄物材料の流れを妨げやすいことを見出した。例えば、構築材料は、UV光が作動されるときのノズルを通る滴下プロセスにおいて、(UV反射のため)硬化した材料の「鍾乳石」を形成し、ノズルの詰まりを起こすことに加えて、容器のある領域においてUV露光を妨げる影部を形成することによって硬化効率に影響を起こしうる。さらに、硬化後の廃棄物容器の廃棄は、廃棄物が完全に硬化されていることを前提とする。しかし、もし処理のある時点での未硬化の廃棄物の蓄積速度が廃棄物硬化の速度より速いなら、そのとき少なくとも部分的に廃棄物は、完全に硬化されないだろう。
【0088】
本実施形態は、生成される構築材料廃棄物の量に従って硬化エネルギー(例えばUV光)の作動を時間調整することによって、そしてUV光源の作動中に廃棄物ノズルを遮蔽することによって上記問題を解決することを目的とする。鍾乳石の形成は、一般に、UV露光からノズルを遮蔽しながら、容器中への廃棄物の滴下とUV作動の開始の工程間に小さい遅れを導入することに防止されることができることを見出した。
【0089】
一部の実施形態では、UV光ベースの硬化プロセスは、与えられた予め決められた量の廃棄物が廃棄物容器中にポンプ輸送されるごとに、又は予め設定された回数のポンプ輸送動作が起こるごとに実施されることができる。
【0090】
本実施形態によれば、硬化後、廃棄物構築材料は、固形部を形成し、従って一般にもはや危険でないと考えられ、あまり厳格でない廃棄条件下で廃棄されることができる。
【0091】
従って、本実施形態は、廃棄物容器中に供給される廃棄物の量が予め決められかつ計量される手順を実施することができる。いったん予め決められた量の未硬化廃棄物材料が廃棄物容器中にポンプ輸送されたら、次いで廃棄物供給は停止される。滴下の停止を可能にするために遅れが導入される。廃棄物ノズルは、水平方向に遮蔽位置に移動され、廃棄物材料が容器内で分散し、平衡に達することを可能にするようにさらなる遅れが導入される。硬化エネルギーが、次いで開始され、現在のサイクル中に堆積された廃棄物材料の予め決められた量を硬化するために必要とされる時間量に対して少なくとも与えられる。硬化は、次いで停止され、廃棄物ノズルは、それらの元の位置に戻るように水平方向に移動され、次の予め決められた量の廃棄物の供給が開始される。
【0092】
廃棄物硬化手順の目的のため、供給装置は、廃棄物構築材料を廃棄物容器に与える。供給装置は、ポンプ、廃棄物を廃棄物ノズルに分配するための分配システム、及び可動カバーの上に装着された廃棄物ノズルを含むことができる。廃棄物材料が廃棄物容器中に噴射されるとき、廃棄物ノズルは、可動カバーの真下の静止カバーに位置される開口の上又は開口内に位置される。硬化工程中、廃棄物ノズルは、開口から水平方向に離れて静止カバーによって遮蔽される。一部の実施形態では、ノズルが装着されるカバーは、開口を有する静止カバーに対して可動であるが、他の実施形態では、ノズルは、静止カバーに装着され、開口を有するカバーは、それに対して可動である。
【0093】
一部の実施形態では、廃棄物ノズルは、開口中に挿入(即ち突出)されるが、他の実施形態では、廃棄物ノズルは、開口の上に位置される。硬化エネルギーは、静止カバーの上に装着されたLEDランプによって与えられることができる。LEDランプは、例えばノズルを出る廃棄物によって汚染されることを防止するために各開口から離れて位置される。
【0094】
図2を参照すると、それは、本発明の実施形態による付加製造装置のための廃棄物処理システムを示す概略図である。図1Aに対して上で述べたように、付加製造装置114は、ローラ326のような一つ以上のレベリング装置132を含む。レベリング装置326は、続く層が上に形成される前にそれぞれの新しく形成された層の厚さを矯正、平坦化及び/又は確立するのに役立つ。レベリング装置(即ちローラ326)は、平坦化時に過剰の構築材料を回収するための廃棄物回収装置136と関連づけられる。廃棄物回収装置136は、矯正時にローラによって除去される過剰の構築材料を回収し、次いで回収された廃棄物材料を廃棄物硬化装置600に移すいずれかの機構を含んでもよい。一部の実施形態では、廃棄物硬化装置600は、廃棄物材料404が硬化される廃棄物容器400、及び廃棄物分配システム413、供給ノズル420を上に装着した可動カバー424、開口(図示せず)を有しかつその上に発光ダイオード410のようなエネルギー源を装着された静止カバー426を含む廃棄物供給及び硬化装置402を含む。
【0095】
廃棄物硬化装置600は、3Dプリンターの一体化部分であってもよく、又はプリンターによって発生される廃棄物を取り扱うために、例えば管によって3Dプリンターに接続された外部装置であってもよい。3Dプリンターの一部であるとき、廃棄物硬化装置600は、3Dプリンターとコントローラを共有してもよく、一方外部装置のとき、3Dプリンターとは別個に廃棄物硬化装置600を制御するために独立したコントローラを使用してもよい。
【0096】
廃棄物硬化装置600は、3Dプリンターの廃棄物生成要素412と流体連通しており、3Dプリンターは、限定されないが、図1Aのローラ326、及び印刷ヘッドの浄化のための浄化システム(図示せず)を含むことができる。廃棄物生成要素412から回収された廃棄物材料は、廃棄物硬化装置600に直接移されてもよく、又は中間廃棄物材料回収装置(図示せず)に一時的に貯蔵されることができる。次いで、廃棄物材料は、廃棄物ポンプ414、逆止弁システム416、管類418、及び廃棄物ノズル420を含む分配システム413によって供給及び硬化システム402に移される。容器400は、取りはずし可能なカートリッジの形であることができる。一部の実施形態では、分配システム413は、シャワーヘッド構造を持つことができ、廃棄物を入口から管類418を介して廃棄物容器400の表面領域にわたって均一に分布された廃棄物ノズル420に分配することができる。この考えは、以下にさらに詳細に説明されるように、容器の表面にわたって均一に廃棄物を分配することである。
【0097】
述べられた廃棄物硬化装置600は、回収すると廃棄物を硬化する。一部の実施形態では、廃棄物容器400中の廃棄物材料404の硬化は、廃棄物容器400中への廃棄物材料404の送出と同時に実施されず、むしろ廃棄物の回収は、図1Aのコントローラ152のようなコントローラによって制御される方法を使用する。コントローラは、特定の予め決められた量の廃棄物材料404が廃棄物容器400に送出された後に硬化装置600の分配システム413を作動することができる。従って、廃棄物材料404を送出又は堆積している間、エネルギー源410は、切られ、予め決められた量の廃棄物材料404が容器400中に送出される。予め決められた量の廃棄物材料404が送出された後、廃棄物材料の送出又はポンプ輸送が中断される。予め決められた遅れの後、硬化源410は、送出された量の廃棄物を硬化するために必要とされる特定の時間量の間、オンにされる。硬化は再び中断され、容器が満たされるか又は容器が特定量の廃棄物を含むまで、送出が再開される。従って、各予め決められた量の廃棄物は、一定の予め決められた量の硬化エネルギーを受け、廃棄物回収及び完全な凝固は、異なるスピードの作動及び廃棄物生成の割合に対して計測可能になる。実施形態では、時間を決めた遅れが、以下により詳細に説明されるように、方法中に導入されることができる。
【0098】
一部の実施形態では、廃棄物ポンプ414は、廃棄物材料を3Dプリンターの廃棄物生成要素412から直接、又は中間廃棄物材料回収装置からポンプ輸送することができる。逆止弁416は、任意選択的に、可動カバー424上に均一に分布された廃棄物ノズル420を与える一連の分配管からなる管システム418のヘッドに与えられることができる。図2では、四つの廃棄物ノズル420A、‐‐‐、420Dは、例として示されているが、実際には、容器にわたる廃棄物の均一な分配を確実にするのに十分な数の廃棄物挿入ノズルが選択される。一部の実施形態では、廃棄物ノズルは、簡単なドリップノズルであり、他の実施形態では、インクジェット印刷ヘッドで見出され、かつ廃棄物をタンク中に噴射する種類の噴射形成ノズルであることが注意される。
【0099】
一部の実施形態では、各硬化動作の間に送出される廃棄物材料の特定量は、ポンプ414のポンプ輸送動作の数に従って決定されることができる。代替的には、廃棄物噴射動作の数がカウントされることができる。さらなる代替策として、廃棄物容器400は、連続的に重量測定されることができ、特定の重量変化が測定されることができる。さらなる可能性として、容器400中の廃棄物404の高さが使用されることができ、予め決められた高さ変化が、廃棄物の送出が中断されるときを示すため、及び硬化開始のために使用されることができる。当業者は、回収された廃棄物の量を測定する追加の方法を見つけ出すことができるだろう。
【0100】
従って、廃棄物は、廃棄物ノズルが開放位置にあるとき(即ち、容器の上で露出されているとき)、廃棄物ノズル420によって廃棄物容器400に送出される。廃棄物ノズルは、次いで硬化プロセス時に廃棄物のさらなる送出を中止するために閉じられることができる。コントローラは、ノズル420の位置を変化させ、それらを開放位置から閉鎖位置に(又はその逆に)好適な時に動かすためにアクチュエータ又はモータ422を作動することができる。(例えば静止カバー426で)硬化時にエネルギー源410から廃棄物ノズル420を遮蔽することにより、廃棄物ノズル420をエネルギー線から保護する。エネルギー線は、そうでなければ廃棄物ノズル中にまだ存在する廃棄物材料を硬化し、ノズルを詰まらす。
【0101】
図2に示された実施形態に示されるように、廃棄物ノズル420は、モータ422によって出力されるスライド移動で水平方向に移動されることができる可動カバー424の上に装着される。可動カバーの真下に位置される静止カバー420は、開口を持ち、その開口と廃棄物ノズル420は、廃棄物材料を滴下するときに整列されることができる。可動カバーは、廃棄物ノズルが開口と整列して廃棄物ノズル開放位置を与える第一位置と、廃棄物ノズルが開口と整列せず、即ち開口から離れ、廃棄物ノズル閉鎖位置を与える(硬化源から遮蔽される)第二位置との間でスライドする。一実施形態では、可動カバーはまた、廃棄物ノズルが開口を通して挿入され、従って開口を通って突出されるように静止カバーの方に鉛直方向に移動することができる。
【0102】
代替策として、可動カバーに開口を与え、静止カバーの上に廃棄物挿入ノズルを装着することが可能である。効果はなお同じであり、ノズルは、開放位置のときに開口と整列され、閉鎖位置のときに迷放射線から遮蔽される。
【0103】
廃棄物硬化装置402は、エネルギー/硬化源410を含み、それは、廃棄物容器400にわたって均一に分布されることが好ましい。硬化源410は、一般にはUV光によってエネルギーを発生するLEDであることができる。LEDは、バンク又はストリップとして与えられることができる。LEDは、以下にさらに詳細に述べられるように、廃棄物ノズル又はノズル開口からオフセットされることができる。
【0104】
図3A及び3Bを参照すると、それらは、三つのLEDストリップ430が使用される本発明の実施形態による廃棄物硬化装置の静止カバーの下側の二つの概略図である。三つのストリップを収容するためには、廃棄物ノズルの挿入のための開口432がストリップ間の間隙中に二列で与えられる。従って、LEDを有するストリップは、幅方向で廃棄物挿入ノズルのための開口と整列されない。図3Bは、ストリップ及び開口を概略的に示し、図3Aは、ストリップに沿った個々のLEDランプ434の位置を示す。
【0105】
図4は、図3A及び3Bの変形例であり、そこではノズル開口432の単一のラインが示されている。LED434は、ボードの上に嵌合された個々のLEDランプであり、各開口のまわりに位置される。
【0106】
一部の実施形態では、好ましくはかつ一般的には、開口432のサイズは、廃棄物ノズルの先端より大きく、廃棄物ノズルから滴下又は噴射される材料が開口を通って落下し、カバー表面の上にスプレーされないことを確実にするように十分に大きい。
【0107】
一部の実施形態では、ノズル開口は、2mmの最大直径を有する。かかる最大直径は、各サイクルで噴射される廃棄物の量を制御することを容易にし、それは、もし回収される廃棄物の量を測定するために噴射動作の数が使用されるなら特に有用である。さらに、かかるサイズは、パルス形成を助け、廃棄物のバーストを形成する。
【0108】
図5~7を参照すると、それらは、本発明の実施形態によるサイクル中にわたる静止カバー426及び可動カバー424の連続的な位置の側面図を示す。図5は、本発明の一部の実施形態に使用される噴射位置を示し、そこでは可動カバー424における廃棄物ノズル420は、静止カバーにおける各開口432と整列され、可動カバーは、次いで静止カバーの近くに移動されて廃棄物ノズル420が開口432を通して挿入される。この利点は、材料の噴射物がLEDランプ410とは無縁の位置から送出され、従って廃棄物材料の噴射によるLEDランプの混入を最小に保つことである。
【0109】
図6では、可動カバー424は、廃棄物ノズルが開口に挿入されないように持ち上げられ、従って可動カバーを側方に移動することが可能である。一部の実施形態では、可動カバーが水平方向にのみ移動可能である場合、図6に示された位置は、廃棄物材料を容器400中に噴射又はポンプ輸送するために使用される開放位置であり、図5の位置と等価な位置は存在しない。従って、実施形態に依存して、図5又は図6は、開放位置を表わす。当業者は、廃棄物挿入ノズルを有するカバーが静止し、開口を有するカバーが可動カバーである追加の実施形態が考えられることに注意すべきだろう。
【0110】
図7は、閉鎖位置を示す。可動カバー424は、廃棄物ノズル420が静止カバーにおける開口432ともはや整列しないように水平方向に移動されている。静止カバーは、硬化放射線の反射から廃棄物ノズルを保護するための遮蔽として役立つ。点線440は、容器400中の廃棄物の上への硬化放射線の光の経路を示し、それは、少なくとも部分的に開口432の方に戻って反射することが可能である。廃棄物ノズルの先端は、静止カバー426の上部面に対して閉鎖されて位置され、従って迷放射線から遮蔽されている。
【0111】
図8A及び8Bを参照すると、それらは、静止カバー426の下側の開口まわりのLEDランプのための二つのわずかに異なるレイアウトを示す。図8Aでは、LED434の一部が開口432に近接し、図8Bでは、LEDは、開口から均等に離れている。後者の実施形態の利点は、LEDランプがノズルからの廃棄物の飛びはねにあまりさらされないことである。
【0112】
図9を参照すると、それは、廃棄物回収及び硬化システムの動作を示す簡略フローチャートである。使用時には、上述のように、コントローラは、特定量の廃棄物が3Dプリンターの廃棄物生成要素412によって発生されるたびに廃棄物硬化装置600を作動することができる。かくして、システムは、開始され500、可動カバーは、開放位置502に移動される。開放位置への切り換えと、廃棄物容器中への廃棄物材料の送出の始めとの間に遅れが導入され、遅れは、例として0.5秒で示されている。廃棄物容器中への廃棄物材料の送出が実施され504、送出している間、エネルギー源がオフにされ、特定量の廃棄物材料が廃棄物容器に蓄積される。複数の廃棄物ノズルによる廃棄物材料の送出は、同時に又は連続的になされることができる。一部の実施形態では、各ノズルによって供給される廃棄物材料の均等量を可能にし、容器中の廃棄物材料のより速い均一な分散を可能にするように連続的な送出が選択される。送出は、次いで中断され、カバーは、互いに対して移動して閉鎖位置506に移動し、それによって開口を閉鎖し、廃棄物ノズルを遮蔽する。一部の実施形態では、遅れがこの時点で導入され、容器中に新しく蓄積された未硬化の廃棄物が容器508に均一に分布するために、廃棄物容器中への廃棄物の送出の終わりと硬化の始めとの間に時間を与える。ここで、例として、滴下を中断し、カバーを閉鎖するために0.5秒の遅れが示され、その後、材料が分散するために15秒の第二の遅れがある。滴下を完了させることは、鍾乳石の形成を防止することを可能にし、廃棄物を分散させることは、部分的にのみ硬化したかたまりを防止することを可能にする。なぜなら放射線は、かたまりの内側に到達できないからである。さらに、滑らかな表面が次の工程のために残され、影を除去し、次の回のインクの均一分散を助ける。
【0113】
前記遅れの後、エネルギー源(例えばLED)は、蓄積された廃棄物の新しい層を十分に硬化するために適切な特定の時間量(ここでは60秒として例示される)の間、オンにされる510。硬化時間は、硬化される廃棄物材料のタイプ、及び各サイクルで容器中に送出された材料の量に従って調整されることができる。次いでエネルギー源は、オフにされ512、容器中に蓄積された材料の全量がサンプリングされるか、又は測定される514。もし容器が満たされているなら516、そのとき方法は、終了する518。もしそうでないなら、送出及び硬化サイクルが502から繰り返される。一部の実施形態では、送出及び硬化サイクルは、約1.5分かかり、一サイクルで送出及び硬化された廃棄物材料の量は、約3~10gである。廃棄物送出及び硬化の例示的な速度は、1時間あたり120~400g、例えば155g/hourである。
【0114】
従って、廃棄物送出が速いか又は遅いかにかかわらず、同じ量の廃棄物が同じ量の硬化エネルギーを受け、廃棄物送出は、一般に異なるスピードの動作及び廃棄物生成の異なる割合に対して対応可能である。
【0115】
図10A及び10Bを参照すると、それらは、側方及び前方のそれぞれから見た内部廃棄物硬化装置600の実施形態を示す概略図である。装置600は、3Dプリンターの内部に嵌合され、廃棄物の流れのための廃棄物入口532を含む。モータハウジング534は、可動カバー424を移動させるモータ422(図2参照)を収容し、エネルギー源(例えばLED)410は、廃棄物ノズルのための開口432とともに静止カバー426の下側にストリップ430で見られる。廃棄物回収容器は、容器区画546中に挿入され、満たされると交換される。
【0116】
図11A及び11Bは、本発明の別の実施形態による外部廃棄物硬化装置の二つの異なる透視図を示す。外部装置は、実在する3Dプリンターの付属品であり、プリンターの内部廃棄物材料回収装置に導く管に接続されることができる。あるいは、3Dプリンターの廃棄物材料回収装置は、プリンターから取りはずされ、外部廃棄物硬化装置に接続され、一方新しい廃棄物材料回収装置は、3Dプリンター中に挿入される。
【0117】
図12A-12Dは、本発明の方法の最終結果物の一連の写真であり、そこでは硬化された廃棄物材料の板状物が示されている。特に、図12Aは、使い捨て容器中の硬化された廃棄物材料の板状物を示し、図12Bは、その容器から除去された後の硬化された廃棄物材料の板状物を示し、図12Cは、硬化された廃棄物材料の板状物を示し、硬化の程度を決定するために、そこから円柱形試料が取り出されており、図12Dは、硬化された廃棄物材料の多数の板状物を示し、それらの各々は、構築材料の異なる組み合わせによって生成されている。塊又は板状物の各々は、少なくとも95%硬化されていることができる。
【0118】
本出願から成熟する特許の存続期間の期間中には、多くの関連する付加製造及び硬化技術が開発されることが予想され、用語「付加装置」及び「硬化」の範囲は、すべてのそのような新しい技術を先験的に包含することが意図される。
【0119】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0120】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0121】
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。
【0122】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0123】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0124】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。
【0125】
さらに、この出願のいかなる先行文献も参考としてその全体をここに組み入れられる。
図1A
図1B-1C】
図1D
図1E-1G】
図1H-1I】
図2
図3A-3B】
図4
図5
図6
図7
図8A-8B】
図9
図10A-10B】
図11A-11B】
図12A-12D】