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特許7370416架電対象者決定システム、架電対象者決定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】架電対象者決定システム、架電対象者決定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231020BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20231020BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022070958
(22)【出願日】2022-04-22
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】友田 恭輔
【審査官】藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-281158(JP,A)
【文献】特開2007-094998(JP,A)
【文献】特開2010-050938(JP,A)
【文献】特開2014-165729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の架電候補者の各々が電話に出ずに折り返しの電話をする確率に関する折返確率を予測する折返確率予測部と、
前記折り返しの電話を受ける受電者のキャパシティの制約に関する受電者制約を取得する受電者制約取得部と、
前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率に基づいて、前記受電者制約が満たされるように、前記複数の架電候補者の中から、架電の対象となる複数の架電対象者を決定する架電対象者決定部と、
を含む架電対象者決定システム。
【請求項2】
前記架電対象者決定システムは、前記複数の架電候補者の各々の特徴に関する特徴情報を取得する特徴情報取得部を更に含み、
前記折返確率予測部は、前記複数の架電候補者の各々の前記特徴情報に基づいて、当該架電候補者の前記折返確率を予測する、
請求項1に記載の架電対象者決定システム。
【請求項3】
前記折返確率予測部は、前記折り返しの電話を受ける受電時間帯ごとに、前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率を予測し、
前記架電対象者決定部は、前記受電時間帯ごとに、前記複数の架電候補者の各々の当該受電時間帯の前記折返確率に基づいて、前記複数の架電対象者を決定する、
請求項1又は2に記載の架電対象者決定システム。
【請求項4】
前記受電者制約取得部は、前記折り返しの電話を受ける受電時間帯ごとに、前記受電者制約を取得し、
前記架電対象者決定部は、前記受電時間帯ごとに、当該受電時間帯における前記受電者制約が満たされるように、前記複数の架電対象者を決定する、
請求項1又は2に記載の架電対象者決定システム。
【請求項5】
前記折返確率予測部は、前記架電が行われる架電時間帯ごとに、前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率を予測し、
前記架電対象者決定部は、前記架電時間帯ごとに、前記複数の架電候補者の各々の当該架電時間帯の前記折返確率に基づいて、前記複数の架電対象者を決定する、
請求項1又は2に記載の架電対象者決定システム。
【請求項6】
前記架電対象者決定システムは、前記複数の架電候補者の各々が前記架電に応答する応答確率を予測する応答確率予測部を更に含み、
前記架電対象者決定部は、前記複数の架電候補者の各々の前記応答確率及び前記折返確率に基づいて、前記複数の架電対象者を決定する、
請求項1又は2に記載の架電対象者決定システム。
【請求項7】
前記架電対象者決定部は、前記架電が行われる架電時間帯ごとに、直近の前記架電時間帯で前記架電対象者になった前記架電候補者が当該架電時間帯で前記架電対象者になりにくくなるように、前記複数の架電対象者を決定する、
請求項1又は2に記載の架電対象者決定システム。
【請求項8】
前記架電対象者決定システムは、前記折り返しの電話以外の他の電話に関する受電量を予測する受電量予測部を更に含み、
前記受電者は、前記他の電話も受ける可能性があり、
前記架電対象者決定部は、前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率と、前記他の電話の前記受電量と、に基づいて、前記受電者制約が満たされるように、前記複数の架電対象者を決定する、
請求項1又は2に記載の架電対象者決定システム。
【請求項9】
前記架電対象者決定システムは、前記複数の架電候補者の各々に対する架電回数の制約に関する回数制約を取得する回数制約取得部を更に含み、
前記架電対象者決定部は、前記回数制約が満たされるように、前記複数の架電対象者を決定する、
請求項1又は2に記載の架電対象者決定システム。
【請求項10】
前記折返確率予測部は、前記架電が行われる架電期間に基づいて、前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率を予測し、
前記架電対象者決定部は、前記複数の架電候補者の各々の前記架電期間に応じた前記折返確率に基づいて、前記複数の架電対象者を決定する、
請求項1又は2に記載の架電対象者決定システム。
【請求項11】
前記受電者制約取得部は、前記折り返しの電話を受ける受電期間に基づいて、前記受電者制約を取得し、
前記架電対象者決定部は、前記受電期間に応じた前記受電者制約が満たされるように、前記複数の架電対象者を決定する、
請求項1又は2に記載の架電対象者決定システム。
【請求項12】
前記架電対象者決定システムは、前記架電を行う架電者のキャパシティの制約に関する架電者制約を取得する架電者制約取得部を更に含み、
前記架電対象者決定部は、前記受電者制約及び前記架電者制約が満たされるように、前記複数の架電対象者を決定する、
請求項1又は2に記載の架電対象者決定システム。
【請求項13】
前記複数の架電候補者の各々は、クレジットカードの会員であり、
前記受電者は、前記クレジットカードを発行したカード会社の担当者であり、
前記架電は、前記クレジットカードに関する電話である、
請求項1又は2に記載の架電対象者決定システム。
【請求項14】
複数の架電候補者の中から、架電の対象となる複数の架電対象者を決定する架電対象者決定部と、
前記複数の架電対象者の各々が電話に出ずに折り返しの電話をする折返確率を予測する折返確率予測部と、
前記複数の架電対象者の各々の前記折返確率に基づいて、前記折り返しの電話を受ける受電者に関する計画を行う計画部と、
を含む架電対象者決定システム。
【請求項15】
コンピュータが、
複数の架電候補者の各々が電話に出ずに折り返しの電話をする確率に関する折返確率を予測する折返確率予測ステップと、
前記折り返しの電話を受ける受電者のキャパシティの制約に関する受電者制約を取得する受電者制約取得ステップと、
前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率に基づいて、前記受電者制約が満たされるように、前記複数の架電候補者の中から、架電の対象となる複数の架電対象者を決定する架電対象者決定ステップと、
実行する架電対象者決定方法。
【請求項16】
複数の架電候補者の各々が電話に出ずに折り返しの電話をする確率に関する折返確率を予測する折返確率予測部、
前記折り返しの電話を受ける受電者のキャパシティの制約に関する受電者制約を取得する受電者制約取得部、
前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率に基づいて、前記受電者制約が満たされるように、前記複数の架電候補者の中から、架電の対象となる複数の架電対象者を決定する架電対象者決定部、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、架電対象者決定システム、架電対象者決定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばクレジットカードの支払を滞納した者に対する督促の電話等のように、電話を利用した業務を支援する技術が知られている。例えば、特許文献1には、債務の履行を遅滞した複数の債務者に対し、電話の発呼を依頼する内容を含むメッセージを送信する場合に、時間帯ごとに、当該発呼に対応できる人数に応じて、メッセージを送信するタイミングを割り当てることによって、当該人数を超えた当該発呼が発生しないようにする技術が記載されている。
【0003】
例えば、特許文献2には、ある会員に対する架電の成功率を高めるために、曜日及び時間帯の区分ごとに集計された当該会員のコンタクト履歴に基づいて、当該会員に対して優先的に架電すべき架電優先日時を判定する技術が記載されている。例えば、特許文献3には、税金や返済金等の滞納者に対する架電実績、架電をした期間別の通話成功率、及び当該滞納者による滞納額等の属性に基づいて、通話成功率の高さ順に所定人数分の滞納者リストを生成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-081725号公報
【文献】特開2018-093273号公報
【文献】特開2018-169738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような業務で架電の対象となる架電対象者は、電話に出ずに折り返しの電話をすることがある。この場合、架電対象者からの折り返しの電話が重なると、例えばコールセンター等における受電者のキャパシティを超えてしまい、折り返しの電話が繋がらない可能性がある。このため、受電者の制約を考慮して、実際に架電する架電対象者を決定することは重要である。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、債務者に対する架電ではなく、債務者に対してメッセージを送信することを前提としているので、架電に対する折り返しの電話については何ら考慮されていない。特許文献2-3の技術は、架電の成功率が高まるように業務計画を立てるものにすぎないので、架電に対する折り返しの電話については何ら考慮されていない。このため、従来の技術では、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりにくくなる可能性があった。
【0007】
本開示の目的の1つは、架電対象者からの折り返しの電話を繋がりやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る架電対象者決定システムは、複数の架電候補者の各々が電話に出ずに折り返しの電話をする確率に関する折返確率を予測する折返確率予測部と、前記折り返しの電話を受ける受電者のキャパシティの制約に関する受電者制約を取得する受電者制約取得部と、前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率に基づいて、前記受電者制約が満たされるように、前記複数の架電候補者の中から、架電の対象となる複数の架電対象者を決定する架電対象者決定部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、架電対象者からの折り返しの電話を繋がりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】架電対象者決定システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】担当者と架電対象者の間で通話が行われる様子の一例を示す図である。
図3】カード会社における架電と受電の関係の一例を示す図である。
図4】架電対象者決定システムで実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。
図5】架電候補者データベースの一例を示す図である。
図6】予測モデルの一例を示す図である。
図7】確率予測データの一例を示す図である。
図8】架電対象者リストの一例を示す図である。
図9】架電対象者決定システムで実行される処理の一例を示す図である。
図10】業務支援画面の一例を示す図である。
図11】変形例の機能ブロックの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.架電対象者決定システムの全体構成]
本開示に係る架電対象者決定システムの実施形態の一例を説明する。本実施形態では、クレジットカードを発行するカード会社における業務支援のために架電対象者決定システムが利用される場合を例に挙げる。架電対象者決定システムは、任意の組織における業務支援のために利用可能である。他の利用例は、後述の変形例で説明する。
【0012】
図1は、架電対象者決定システムの全体構成の一例を示す図である。例えば、架電対象者決定システム1は、サーバ10、担当者端末20、及び会員端末30を含む。サーバ10、担当者端末20、及び会員端末30の各々は、インターネット又はLAN等のネットワークNに接続可能である。
【0013】
サーバ10は、カード会社のサーバコンピュータである。制御部11は、少なくとも1つのプロセッサを含む。記憶部12は、RAM等の揮発性メモリと、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリと、を含む。通信部13は、有線通信用の通信インタフェースと、無線通信用の通信インタフェースと、の少なくとも一方を含む。
【0014】
担当者端末20は、カード会社における担当者のコンピュータである。例えば、担当者端末20は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、又はタブレット端末である。制御部21、記憶部22、及び通信部23のハードウェア構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、及び通信部13と同様であってよい。操作部24は、タッチパネル等の入力デバイスである。表示部25は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0015】
会員端末30は、クレジットカードを発行した会員のコンピュータである。例えば、会員端末30は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はウェアラブル端末である。制御部31、記憶部32、通信部33、操作部34、及び表示部35のハードウェア構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、通信部13、操作部24、及び表示部25と同様であってよい。
【0016】
なお、記憶部12,22,32に記憶されるプログラムは、ネットワークNを介して供給されてもよい。また、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に記憶されたプログラムが、当該情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、光ディスクドライブやメモリカードスロット)、又は、外部機器とデータの入出力をするための入出力部(例えば、USBポート)を介して供給されてもよい。
【0017】
また、架電対象者決定システム1は、少なくとも1つのコンピュータを含めばよく、図1の例に限られない。例えば、会員端末30は、架電対象者決定システム1の外部に存在してもよい。例えば、架電対象者決定システム1は、サーバ10又は担当者端末20の何れか一方だけを含んでもよい。例えば、架電対象者決定システム1は、カード会社の3つ以上のコンピュータを含んでもよい。
【0018】
[2.架電対象者決定システムの概要]
本実施形態では、担当者は、クレジットカードの会員に対し、支払の内容を確認するために架電する。以降、架電の対象となる会員を、架電対象者という。架電は、電話をかけることである。本実施形態の架電は、クレジットカードに関する電話である。架電は、特定の目的で行われる。架電は、アウトバウンドコールと呼ばれることもある。このため、架電対象者は、アウトバウンドコールの対象者である。例えば、架電対象者は、クレジットカードの支払を滞納した会員である。本実施形態では、担当者端末20及び会員端末30がスマートフォンであり、担当者端末20と会員端末30の間で通話が行われる場合を例に挙げるが、スマートフォン以外の他の電話機が利用されてもよい。
【0019】
本実施形態では、携帯電話網を利用した電話を例に挙げるが、電話自体は、種々のタイプの電話を利用可能である。例えば、電話は、固定電話網を利用した電話、音声通話サービスのアプリケーションから利用可能な電話、メッセージアプリから利用可能な電話、又はブラウザから利用可能な電話であってもよい。このため、電話は、VoIP(Voice over Internet Protocol)における通話も含む意味である。
【0020】
図2は、担当者と架電対象者の間で通話が行われる様子の一例を示す図である。図2のように、担当者は、架電対象者に対し、架電を行う。架電対象者が担当者からの着信に気付いて応答した場合、担当者と架電対象者の間で通話が行われる。例えば、担当者は、架電対象者に対し、クレジットカードの支払に関する確認を行う。
【0021】
一方、架電対象者が担当者からの着信に気付かずに応答しなかった場合、架電対象者は、担当者に対し、折り返しの電話をすることがある。架電対象者は、不在着信に気付いてすぐに折り返しの電話をすることもあるし、ある程度の時間が経過してから折り返しの電話をすることもある。架電対象者は、不在着信に気付いたとしても、折り返しの電話をしないこともある。
【0022】
図2の例では、架電対象者が、担当者に対し、直接的に折り返しの電話をするものとしているが、架電対象者は、カード会社の何らかの電話番号に対し、折り返しの電話をすればよい。例えば、架電対象者は、担当者が所属する部署、他の部署、又は、カード会社のコールセンターに、折り返しの電話をしてもよい。担当者宛ての折り返しの電話がコールセンターに自動転送されてもよい。
【0023】
例えば、担当者が架電対象者からの折り返しの電話に応答した場合、担当者は、架電対象者に対し、クレジットカードの支払に関する確認を行う。架電対象者は、担当者からの督促を受けて、滞納した支払を済ませる。架電対象者が折り返しの電話をしなかった場合、担当者は、ある程度の時間をおいてから、架電対象者に対し、再び架電を行うこともある。1日に可能な架電回数に上限が定められている場合には、担当者は、この上限の範囲内で架電を行うこともある。
【0024】
以上のように、架電対象者は、担当者からの着信に応答せずに、折り返しの電話をすることがある。架電対象者からの折り返しの電話のタイミングが重なると、担当者は、架電対象者からの折り返しの電話に応答できない可能性がある。折り返しの電話をコールセンターに転送したとしても、コールセンターのキャパシティを超えてしまうと、コールセンターは、折り返しの電話に応答できない可能性がある。このため、カード会社のキャパシティを考慮して、架電の計画を立てることは重要である。
【0025】
図3は、カード会社における架電と受電の関係の一例を示す図である。受電は、電話を受けることである。受電は、応答した電話に限られず、応答できなかった電話も含む。受電は、着信と同じ意味である。受電は、架電対象者からの折り返しの電話に限られない。例えば、架電対象者が、カード会社に対し、自発的に架電することもある。支払を滞納していない会員、又は、会員以外の者が、カード会社に対し、架電することもある。このため、架電の計画を立てる場合には、折り返しの電話以外の受電も考慮する必要がある。
【0026】
以降、架電対象者に架電する担当者を、架電者という。カード会社宛ての電話を受電する者を、受電者という。架電者及び受電者は、同じであってもよいし、異なってもよい。架電者及び受電者は、カード会社の何らかの関係者であればよく、例えば、架電対象者に架電した担当者、当該担当者と同じ部署の他の担当者、又は、コールセンターのオペレータであってもよい。
【0027】
図3の例では、カード会社の営業時間を、9時~19時としている。更に、カード会社の営業時間が2時間ごとに区切られているものとする。以降、9時~11時の時間帯を、第1ゾーンという。11時~13時の時間帯を、第2ゾーンという。13時~15時の時間帯を、第3ゾーンという。15時~17時の時間帯を、第4ゾーンという。17時~19時の時間帯を、第5ゾーンという。以降、第1ゾーン~第5ゾーンを区別しない時は、単にゾーンという。
【0028】
図3の上側の棒グラフは、ゾーンごとの架電数及び応答数の関係を示すグラフである。棒グラフの横軸は、架電時間帯を示す時間軸である。架電時間帯は、架電が行われる時間帯である。棒グラフの縦軸は、架電数及び応答数を示す軸である。架電数は、架電者から架電対象者に対する架電の数である。応答数は、架電者が行った架電に対して架電対象者が応答した数である。
【0029】
図3の下側の線グラフは、ゾーンごとの受電数を示すグラフである。線グラフの横軸は、受電時間帯を示す時間軸である。受電時間帯は、受電が行われる時間帯である。線グラフの縦軸は、受電数を示す軸である。受電数は、カード会社が受電した数である。実際の受電数は、架電対象者からの折り返しの電話の数に限られないが、ここでは、説明の簡略化のために、架電対象者からの折り返しの電話の数だけを受電数とする。
【0030】
例えば、カード会社における1日の業務が始まると、第1ゾーンにおいて、架電者は、ある程度の数の架電対象者に対し、督促をするために架電する。架電者のキャパシティも限られているので、第1ゾーンにおいて、全ての架電対象者には架電できないものとする。例えば、架電候補者が5000人いたとすると、第1ゾーンでは、5000人全員には架電できない、例えば、第1ゾーンでは、500~600人程度の架電対象者だけに架電できる。この点は、第2ゾーン~第5ゾーンも同様である。
【0031】
例えば、第1ゾーンの架電に対し、ある程度の数の架電対象者が応答する。例えば、第1ゾーンの架電に応答しなかった架電対象者が、すぐに折り返しの電話をしたとすると、第1ゾーンにおいて、折り返しの電話が行われる。例えば、第1ゾーンの架電に応答しなかった架電対象者が、ある程度の時間が経過してから折り返しの電話をしたとすると、第2ゾーン~第5ゾーンの何れかにおいて、折り返しの電話が行われる。第2ゾーン~第5ゾーンも同様にして、架電者による架電と、架電対象者による折り返しの電話と、が行われる。
【0032】
例えば、多くの架電対象者が会社員だったとすると、折り返しの電話は、昼休みの時間帯に集中することがある。このため、図3の下側の線グラフのように、第2ゾーンから第3ゾーンにかけて、受電数が増加することがある。先述したように、受電数が、カード会社のキャパシティを超えると、架電対象者からの折り返しの電話に応答できない可能性がある。以降、このキャパシティを、受電者制約という。
【0033】
受電者制約は、受電可能な回数である。受電者制約は、受電者の人数と、個々の受電者の応対能力と、に応じて定まる。例えば、受電者1人につき、1時間に10回の受電が可能だったとする。受電者が100人だったとすると、1時間あたりの受電者制約は、1000回となる。実際には、受電時間帯に応じて受電者制約が変化するが、図3では、説明の簡略化のために、受電者制約は、一定とする。
【0034】
図3の例では、第2ゾーン~第3ゾーンにおいて、受電数が受電者制約を超えている。第1ゾーンで架電しすぎると、多数の架電対象者が昼休みの時間帯に折り返しの電話をして図3の状態になる可能性がある。この場合、受電者が架電対象者からの折り返しの電話に応答できない可能性がある。受電者が折り返しの電話に応答できなければ、架電対象者が滞納した支払を回収する機会が失われる。架電対象者からしても、せっかく折り返しの電話をしたのにカード会社に繋がらないので、利便性が低下する。
【0035】
更に、カード会社からすれば、単に架電対象者と通話できればよいというわけではない。通話によって得られる成果は、架電対象者に応じて異なる。更に、架電対象者によっては、架電者又は受電者と通話したとしても、何の成果も得られないこともある。例えば、架電対象者がクレジットカードの支払を滞納した者だったとすると、架電対象者によっては、架電者又は受電者と通話したとしても、滞納額の一部しか返済しないこともあれば、一切返済しないこともある。このため、より多くの成果が得られるように、効率的な計画をした方がよいと考えられる。
【0036】
そこで、本実施形態の架電対象者決定システム1は、カード会社の受電者制約を超えないように架電を計画する第1の構成と、より多くの滞納額を回収できるように架電を計画する第2の構成と、を含むようになっている。以降、第1の構成及び第2の構成の詳細を説明する。なお、後述の変形例のように、架電対象者決定システム1は、第1の構成又は第2の構成の何れか一方のみを含んでもよい。
【0037】
[3.架電対象者決定システムで実現される機能]
図4は、架電対象者決定システム1で実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。本実施形態では、主な機能がサーバ10により実現される場合を例に挙げるが、各機能は、架電対象者決定システム1に含まれるコンピュータにより実現されるようにすればよい。例えば、各機能は、担当者端末20により実現されてもよい。例えば、各機能は、サーバ10及び担当者端末20で分担されてもよい。例えば、各機能は、サーバ10及び担当者端末20以外の他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0038】
[3-1.第1の構成に関する機能]
まず、第1の構成に関する機能を説明する。例えば、第1の構成に関する機能は、データ記憶部100、特徴情報取得部101、応答確率予測部102A、折返確率予測部102B、受電者制約取得部103B、及び架電対象者決定部105である。データ記憶部100は、記憶部12により実現される。他の各機能は、制御部11により実現される。
【0039】
なお、図4では、通話確率予測部102が応答確率予測部102A及び折返確率予測部102Bを含む場合を示しているが、第1の構成では、応答確率予測部102A及び折返確率予測部102Bを包含する通話確率予測部102といった概念がなくてもよい。同様に、図4では、通話者制約取得部103が受電者制約取得部103Bを含む場合を示しているが、第1の構成では、受電者制約取得部103Bを包含する通話者制約取得部103といった概念がなくてもよい。
【0040】
[データ記憶部]
データ記憶部100は、カード会社における業務を支援するために必要なデータを記憶する。例えば、データ記憶部100は、架電候補者データベースDB、第1ゾーンの予測モデルM1、第2ゾーンの予測モデルM2、第3ゾーンの予測モデルM3、第4ゾーンの予測モデルM4、第5ゾーンの予測モデルM5、確率予測データD、及び架電対象者リストLを記憶する。以降、予測モデルM1~M5を区別しない時は、単に予測モデルMという。
【0041】
図5は、架電候補者データベースDBの一例を示す図である。図5に示すように、架電候補者データベースDBは、複数の架電候補者の各々に関する各種情報が格納されたデータベースである。クレジットカードの会員は、架電候補者の一例である。このため、クレジットカードの会員について説明している箇所は、架電候補者と読み替えることができる。
【0042】
架電候補者は、架電対象者を決定する際の候補となる者である。架電対象者は、架電の対象となる者である。架電対象者は、架電者からの電話を受電する者である。架電対象者は、複数の架電候補者の中から決定される。架電候補者が少なければ、全ての候補者が架電対象者になることもあるが、本実施形態では、複数の架電候補者の一部が架電対象者になる。複数の架電候補者の各々は、クレジットカードの会員であるものとするが、架電候補者は、架電対象者になりうる者であればよい。例えば、督促業務以外の他の業務(例えば、営業電話の業務)に架電対象者決定システム1を利用する場合には、支払を滞納していない会員以外の会員、又は、クレジットカードの会員ではない者が、架電候補者に相当してもよい。
【0043】
本実施形態では、ある母集団の中で所定の架電候補者条件を満たした者が架電候補者として選出される場合を説明するが、架電候補者は、ある母集団の中からランダムに選出されてもよいし、担当者により指定されてもよい。架電候補者条件は、架電候補者を選出するための条件である。本実施形態では、クレジットカードの会員全体が母集団に相当し、クレジットカードの支払を滞納することが架電候補者条件に相当する。ある会員が支払を滞納すると、当該会員が架電候補者として選出される。なお、母集団及び架電候補者条件は、任意の条件であってよい。例えば、クレジットカードの会員ではない者の集まりが母集団に相当し、特定の年齢層であることが架電候補者条件に相当してもよい。
【0044】
例えば、架電候補者データベースDBには、架電候補者のカード番号、氏名、電話番号、職業、支払情報、架電対象者情報、及び応対履歴情報が格納される。架電候補者データベースDBに格納される情報は、架電候補者に関する任意の情報であってよく、図5の例に限られない。例えば、架電候補者データベースDBには、架電候補者の本人確認に必要な情報が格納されてもよい。
【0045】
例えば、架電候補者のカード番号、氏名、電話番号、及び職業は、クレジットカードの会員に関する基本情報が格納された他のデータベースから取得される。ある会員が架電対象者として選出された場合、架電者は、架電候補者データベースDBに格納されたこの架電候補者の電話番号に対し、架電する。支払情報は、会員が滞納した支払に関する情報である。例えば、支払情報は、滞納額を示す。支払情報は、滞納した支払における相手方の名前及び支払日時といった他の情報を含んでもよい。
【0046】
架電対象者情報は、架電候補者が架電対象者として選出されたか否かを示す情報である。本実施形態では、ゾーンごとに架電対象者が選出されるので、架電対象者情報は、架電対象者として選出されたゾーンも示す。図5の例では、ゾーンごとに、架電対象者として選出されたか否かを示す値が示される。架電対象者情報に基づいて、後述の架電対象者リストLが作成される。応対履歴情報は、架電対象者との通話の内容に関する情報である。例えば、応対履歴情報は、架電対象者と通話した日時と、通話の内容と、が示される。図5の例では、まだ架電が行われていないので、応対履歴情報には何も格納されていないものとする。
【0047】
図6は、予測モデルMの一例を示す図である。予測モデルMは、後述の各種確率を予測するモデルである。本実施形態では、ゾーンごとに、予測モデルMが用意されるものとするが、予測モデルMは、ゾーンごとに用意されなくてもよく、1つにまとめられていてもよい。
【0048】
本実施形態では、予測モデルMが機械学習を利用したモデルである場合を例に挙げる。機械学習自体は、種々の手法を利用可能である。例えば、教師あり学習、半教師あり学習、又は教師なし学習の何れの手法が利用されてもよい。例えば、予測モデルMとして、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、又はベイジアンネットワークが利用されてもよい。
【0049】
例えば、予測モデルMは、後述の特徴情報が入力されると、応答確率、ゾーンごとの折返確率、及び不折返確率を出力する。応答確率は、架電者からの電話に応答する確率である。折返確率は、架電者からの電話に出ずに折り返しの電話をする確率である。不折返確率は、架電者からの電話に出ずに、折り返しの電話もしない確率である。予測モデルMを利用した処理の詳細は、後述する。
【0050】
なお、予測モデルMは、機械学習以外の他の手法を利用したモデルであってもよい。例えば、予測モデルMは、ルールベースの手法を利用したモデルであってもよい。この場合、予測モデルMは、複数のルールを含む。例えば、予測モデルMは、応答確率を予測するための第1ルールと、ゾーンごとの折返確率及び不折返確率を予測するための第2ルールと、を含む。第1ルールと第2ルールは、後述の特徴情報に基づいて判定可能な条件分岐を含む。第1ルールの条件分岐には、応答確率が関連付けられている。第2ルールの条件分岐には、ゾーンごとの折返確率及び不折返確率が関連付けられている。
【0051】
例えば、予測モデルMは、機械学習及びルールベースの何れとも異なる計算式であってもよい。この場合、予測モデルMは、後述の特徴情報と、応答確率及びゾーンごとの折返確率と、の関係を示す計算式になる。数値で表現できない特徴情報が利用される場合には、特徴情報を数値に変換する変換ルールが予め定められているものとする。例えば、予測モデルMは、テーブル形式のデータであってもよい。予測モデルMは、その他の種々のモデルを利用可能である。
【0052】
図7は、確率予測データDの一例を示す図である。例えば、確率予測データDは、後述の応答確率予測部102A及び折返確率予測部102Bによる予測結果を示す。確率予測データDの詳細は、後述する。
【0053】
図8は、架電対象者リストLの一例を示す図である。例えば、架電対象者リストLは、後述の架電対象者決定部105により決定された複数の架電対象者を示す。架電対象者リストLの詳細は、後述する。
【0054】
[特徴情報取得部]
特徴情報取得部101は、複数の架電候補者の各々の特徴に関する特徴情報を取得する。特徴は、架電候補者の属性ということもできる。架電候補者は、種々の特徴を有するが、特徴情報として取得される特徴は、後述の応答確率及び折返確率の少なくとも一方との間に相関関係がある特徴である。本実施形態では、架電候補者の特徴の一例として職業を説明するが、架電候補者の特徴は、任意の特徴であってよく、例えば、年齢、住所、趣味、性別、勤務先、年収、滞納額、過去のクレジットカードの利用状況、過去の滞納履歴、過去の返済履歴、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0055】
本実施形態では、架電候補者データベースDBに架電候補者の職業が格納されているので、特徴情報取得部101は、架電候補者データベースDBに格納された架電候補者の職業を、特徴情報として取得する。特徴情報は、架電候補者データベースDB以外の他のデータベースに格納されていてもよい。この場合、特徴情報取得部101は、他のデータベースから特徴情報を取得すればよい。特徴情報がサーバ10以外の他のコンピュータ又は情報記憶媒体に記録されている場合には、特徴情報取得部101は、他のコンピュータ又は情報記憶媒体から特徴情報を取得すればよい。
【0056】
例えば、架電候補者の職業が会社員だった場合、昼休みの時間帯である第2ゾーン~第3ゾーンは、応答確率が高く、折返確率も高いことが多い。第1ゾーンは、出勤時間が遅い業種であれば架電に応答することがあるが、始業前のことが多く折り返しの電話をする時間がないことが多いので、応答確率は一定程度あるが折返確率は低い。第4ゾーン~第5ゾーンは、架電候補者が業務中であり応答確率は低いが、休憩時間に折り返しの電話をすることがあるので、折返確率は一定程度ある。
【0057】
例えば、架電候補者の職業が学生だった場合、第1ゾーンは、授業がなく時間的な余裕があることが多いので、応答確率が高く、折返確率も一定程度ある。第2ゾーン以降は、授業があることが多いので、応答確率及び折返確率は、あまり高くはない。昼休みの時間帯も、社会人に比べると友人と過ごして電話を意識しないことが多いため、第2ゾーン~第3ゾーンにおける応答確率及び折返確率は、社会人ほどには高くならない。
【0058】
以上のように、本実施形態では、応答確率及び折返確率と相関関係がある職業が特徴情報として利用される。先述した他の特徴(例えば、年齢、住所、性別、勤務先、年収、滞納額、過去のクレジットカードの利用状況、過去の滞納履歴)も、応答確率及び折返確率との相関関係があると考えられるので、特徴情報として利用可能である。その他、一般的に応答確率及び折返確率と相関関係がある他の特徴は、特徴情報として利用可能である。特徴情報として何の特徴を利用するかは、カード会社の担当者が適宜指定可能である。
【0059】
[応答確率予測部]
応答確率予測部102Aは、複数の架電候補者の各々が架電に応答する応答確率を予測する。本実施形態では、応答確率予測部102Aが、架電時間帯ごとに、応答確率を予測する場合を例に挙げるが、応答確率予測部102Aは、特に架電時間帯に関係なく、応答確率を予測してもよい。ある1日の中でゾーンを分けない場合には、応答確率予測部102Aは、1日の中で共通の応答確率を予測してもよい。この点は、折返確率も同様である。
【0060】
本実施形態では、架電時間帯ごとに予測モデルMが用意されているので、応答確率予測部102Aは、架電時間帯ごとに、当該架電時間帯の予測モデルMに基づいて、当該架電時間帯の応答確率を予測する。例えば、予測モデルMには、ある架電候補者の特徴情報と、この架電候補者が過去の架電に応答したか否かと、の関係が学習されている。これらの関係は、過去の業務における実績を集計して作成されるようにすればよい。この関係は、訓練データとして予測モデルMに学習される。
【0061】
図6のように、第1ゾーンの予測モデルM1は、ある架電候補者の特徴情報が入力されると、この架電候補者の特徴情報に応じた応答確率X1を出力する。例えば、第1ゾーンの予測モデルM1は、入力された特徴情報を多次元ベクトル化する。第1ゾーンの予測モデルM1は、多次元ベクトルに応じた応答確率X1を出力する。応答確率予測部102Aは、第1ゾーンの予測モデルM1から出力された応答確率X1を取得することによって、第1ゾーンの応答確率X1を予測する。
【0062】
第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5の処理も、第1ゾーンの予測モデルM1の処理と同様である。ただし、第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5には、第1ゾーンの予測モデルM1とは異なる訓練データが学習されている。第1ゾーンの予測モデルM1には、過去における第1ゾーンの実績が集計された訓練データが学習されているのに対し、第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5には、それぞれ過去における第2ゾーン~第5ゾーンの実績が集計された訓練データが学習されている。
【0063】
図6のように、第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5は、ある架電候補者の特徴情報が入力されると、この架電候補者の特徴情報に応じた応答確率X2~X5を出力する。第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5は、内部のパラメータが第1ゾーンの予測モデルM1とは異なるが、処理の流れは第1ゾーンの予測モデルM1と同様である。応答確率予測部102Aは、第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5から出力された応答確率X2~X5を取得することによって、第2ゾーン~第5ゾーンの応答確率X2~X5を予測する。
【0064】
例えば、応答確率予測部102Aは、架電候補者ごとに、5つの予測モデルMを利用して、応答確率X1~X5といった合計5個の応答確率を予測する。架電候補者が5000人いたとすると、応答確率予測部102Aは、25000個の折返確率を予測してもよいし、一部の架電候補者についてだけ折返確率を予測してもよい。応答確率予測部102Aは、確率予測データDに、応答確率を格納する。
【0065】
[折返確率予測部]
折返確率予測部102Bは、複数の架電候補者の各々が電話に出ずに折り返しの電話をする確率に関する折返確率を予測する。折り返しの電話は、架電候補者に対する架電の発信元となる電話番号に対して行われてもよいし、この電話番号とは異なる電話番号に対して行われてもよい。折り返しの電話は、架電候補者に対する架電の発信元と関係のある者に対する電話であればよい。
【0066】
本実施形態では、折返確率予測部102Bが、複数の架電候補者の各々の特徴情報に基づいて、当該架電候補者の折返確率を予測する場合を例に挙げるが、折返確率は、特徴情報に関係なく、固定値であってもよい。即ち、折返確率は、全ての架電候補者で共通の折返確率が1つだけ定められていてもよい。この場合、折返確率予測部102Bは、全ての架電候補者で共通の1つの折返確率を取得することによって、各架電候補者の折返確率を予測する。
【0067】
例えば、折返確率予測部102Bは、架電候補者ごとに、当該架電候補者の特徴情報に基づいて、当該架電候補者の折返確率を予測する。本実施形態では、予測モデルMを利用して折返確率を計算することが折返確率を予測することに相当する場合を例に挙げるが、予め定められた折返確率を取得することが折返確率を予測することに相当してもよい。この場合、特徴情報に関する条件ごとに、折返確率が予め定められているものとする。折返確率予測部102Bは、架電候補者ごとに、当該架電候補者の特徴情報が満たす条件に関連付けられた折返確率を取得することによって、当該架電候補者の折返確率を予測する。
【0068】
本実施形態では、折返確率予測部102Bは、機械学習を利用した予測モデルMを利用して、各架電候補者の折返確率を予測する。例えば、予測モデルMには、ある架電候補者の特徴情報と、この架電候補者が過去に折り返しの電話をしたか否かと、の関係が学習されている。更に、架電候補者が折り返しの電話をした場合には、折り返しの電話が行われたゾーンと、当該折り返しの電話の要因となった架電が行われたゾーンと、も学習されている。これらの関係は、過去の業務における実績を集計して作成されるようにすればよい。この関係は、訓練データとして予測モデルMに学習される。
【0069】
本実施形態では、架電が行われる架電時間帯ごとに予測モデルMが用意されているので、折返確率予測部102Bは、架電時間帯ごとに、複数の架電候補者の各々の折返確率を予測する。架電時間帯は、1日の中で予め区切られた時間帯であればよい。本実施形態では、第1ゾーン~第5ゾーンといった5つのゾーンに分けられているので、個々のゾーンは、架電時間帯に相当する。本実施形態では、個々の架電時間帯が2時間単位で区切られている場合を例に挙げるが、架電時間帯の長さは、互いに異なってもよい。
【0070】
本実施形態では、折り返しの電話を受ける受電時間帯ごとの折返確率が予測モデルMから出力されるので、折返確率予測部102Bは、受電時間帯ごとに、複数の架電候補者の各々の折返確率を予測する。受電時間帯は、架電時間帯以降の時間帯である。受電時間帯は、1日の中で予め区切られた時間帯であればよい。本実施形態では、個々の受電時間帯が2時間単位で区切られている場合を例に挙げるが、受電時間帯の長さは、互いに異なってもよい。
【0071】
図6のように、第1ゾーンの予測モデルM1は、ある架電候補者の特徴情報が入力されると、この架電候補者の特徴情報に応じた折返確率Y11~Y15及び不折返確率Z1を出力する。不折返確率Z1は、第1ゾーンにおける架電に応答しなかった架電候補者が折り返しの電話をしない確率である。例えば、不折返確率Z1は、応答確率X1と、折返確率Y11~Y15と、の合計値を、100%から減算した値となる。このため、本実施形態では、応答確率X1、折返確率Y11~Y15、及び不折返確率Z1を合計すると、100%になるものとする。
【0072】
第1ゾーンの予測モデルM1が応答確率X1を出力するまでの処理は、応答確率予測部102Aの箇所で説明した通りである。第1ゾーンの予測モデルM1は、特徴情報の多次元ベクトルに応じた折返確率Y11~Y15及び不折返確率Z1を出力する。折返確率予測部102Bは、第1ゾーンの予測モデルM1から出力された折返確率Y11~Y15及び不折返確率Z1を取得することによって、第1ゾーンの折返確率Y11~Y15及び不折返確率Z1を予測する。
【0073】
第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5の処理も、第1ゾーンの予測モデルM1の処理と同様である。ただし、第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5には、第1ゾーンの予測モデルM1とは異なる訓練データが学習されている。第1ゾーンの予測モデルM1には、過去における第1ゾーンの実績が集計された訓練データが学習されているのに対し、第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5には、それぞれ過去における第2ゾーン~第5ゾーンの実績が集計された訓練データが学習されている。
【0074】
第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5は、ある架電候補者の特徴情報が入力されると、この架電候補者の特徴情報に応じた折返確率Y22~Y25,Y33~Y35,Y44~Y45,Y55及び不折返確率Z2~Z5を出力する。第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5は、内部のパラメータが第1ゾーンの予測モデルM1とは異なるが、処理の流れは第1ゾーンの予測モデルM1と同様である。応答確率予測部102Aは、第2ゾーン~第5ゾーンの予測モデルM2~M5から出力された折返確率Y22~Y25,Y33~Y35,Y44~Y45,Y55及び不折返確率Z2~Z5を取得することによって、第2ゾーン~第5ゾーンの折返確率Y22~Y25,Y33~Y35,Y44~Y45,Y55及び不折返確率Z2~Z5を予測する。
【0075】
例えば、折返確率予測部102Bは、架電候補者ごとに、5つの予測モデルMを利用して、折返確率Y11~Y15,Y22~Y25,Y33~Y35,Y44~Y45,Y55といった合計15個の折返確率と、不折返確率Z1~Z5といった5つの不折返確率と、を予測する。架電候補者が5000人いたとすると、折返確率予測部102Bは、75000個の折返確率及び不折返確率を予測してもよいし、一部の架電候補者についてだけ折返確率を予測してもよい。折返確率予測部102Bは、確率予測データDに、折返確率及び不折返確率を格納する。
【0076】
[受電者制約取得部]
受電者制約取得部103Bは、折り返しの電話を受ける受電者のキャパシティの制約に関する受電者制約を取得する。受電者制約は、予めデータ記憶部100に記憶されているものとする。図3の例では、ゾーンに関係なく受電者制約が一定である場合を説明したが、受電者制約取得部103Bは、折り返しの電話を受ける受電時間帯ごとに、受電者制約を取得してもよい。この場合、ゾーンごとに、受電者制約が定められている。受電者制約取得部103Bは、ゾーンに応じた受電者制約を取得する。受電者制約は、カード会社の担当者が指定してもよいし、カード会社の出勤予定から自動計算されてもよい。
【0077】
[架電対象者決定部]
架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の各々の折返確率に基づいて、受電者制約が満たされるように、複数の架電候補者の中から、架電の対象となる複数の架電対象者を決定する。受電者制約が満たされるとは、受電数の予測値が受電者制約の範囲内に収まることである。本実施形態では、説明の簡略化のために、受電者制約が折り返しの電話だけを対象としている場合を説明するが、他の電話も考慮する場合には、他の電話の受電数の予測値と、折り返しの電話の受電数の予測値と、の合計が受電者制約の範囲内に収まることが、受電者制約が満たされることに相当する。
【0078】
例えば、架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の中から、ランダムに架電対象者を選出する。架電対象者決定部105は、当該選出された架電対象者の折返確率に基づいて、受電数の予測値を計算する。例えば、この架電対象者の折返確率が60%だったとすると、0.6件の折り返しの電話があるものとみなし、架電対象決定部は、この架電対象者からの折り返しの電話の受電数を、0.6件と予測する。架電対象決定部は、それまでに選出した架電対象者の折返確率から計算した予測値との合計値を計算する。架電対象決定部は、受電者制約に達するまで、架電対象者の選出を繰り返す。
【0079】
本実施形態では、受電時間帯ごとに折返確率が予測されるので、架電対象者決定部105は、受電時間帯ごとに、複数の架電候補者の各々の当該受電時間帯の折返確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。例えば、架電対象者決定部105は、受電時間帯ごとに、当該受電時間帯の折返確率に基づいて、受電数の予測値が受電者制約に達するまで、架電対象者の選出を繰り返す。受電時間帯ごとに架電対象者が選出される点で先述した処理とは異なるが、他の点については同様である。
【0080】
本実施形態では、架電時間帯ごとに折返確率が予測されるので、架電対象者決定部105は、架電時間帯ごとに、複数の架電候補者の各々の当該架電時間帯の折返確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。例えば、架電対象者決定部105は、架電時間帯ごとに、当該架電時間帯の折返確率に基づいて、受電数の予測値が受電者制約に達するまで、架電対象者の選出を繰り返す。架電時間帯ごとに予測された折返確率が利用される点で先述した処理とは異なるが、他の点については同様である。
【0081】
本実施形態では、架電者からの架電に架電候補者が応答することもあるので、架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の各々の応答確率及び折返確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。例えば、架電対象者決定部105は、折返確率だけではなく、応答確率も考慮して、複数の架電対象者を決定する。架電対象者決定部105は、折返確率が相対的に低くても、応答確率が相対的に高い架電候補者であれば、架電対象者として決定するようにしてもよい。
【0082】
以上のような架電対象者決定部105の処理を、図7の確率予測データDが取得された場合を例に挙げて説明する。ここでは、受電者制約だけではなく、第2の構成で説明する架電者制約も考慮する場合を例に挙げる。例えば、第1ゾーン~第5ゾーンの各々の架電者制約を、500件とする。即ち、カード会社は、個々のゾーンで500件まで、架電対象者に架電できるものとする。更に、第1ゾーン~第5ゾーンの各々の受電者制約を、1000件とする。即ち、カード会社は、個々のゾーンで1000件まで、折り返しの電話を受電できるものとする。
【0083】
上記の例の場合、架電対象者決定部105は、ゾーンごとに、当該ゾーンの架電数(架電対象者の数)が500件を超えず、かつ、当該ゾーンの受電数(折返確率から計算された受電数の予測値)が1000件を超えないように、当該ゾーンの架電対象者を決定する。ここでは、架電対象者がランダムに決定される場合を説明するが、架電対象者の決定方法は、他の方法であってよい。例えば、滞納額が高い順に架電対象者が決定されてもよいし、応答確率又は折返確率が高い順に架電対象者が決定されてもよい。
【0084】
なお、ここでは、説明の簡略化のために、架電候補者は、1日に2回以上架電対象者として決定されないものとする。このため、例えば、ある日の第1ゾーンで架電対象者として決定された架電候補者は、その日の第2ゾーン~第5ゾーンでは、架電対象者として決定されないものとする。この架電候補者は、翌日以降であれば、再び架電対象者として決定される可能性がある。
【0085】
まず、架電対象者決定部105は、第1ゾーンの架電数が800件を超えず、かつ、第1ゾーンの受電数が1000件を超えないように、第1ゾーンの架電対象者を決定する。例えば、架電対象者決定部105は、確率予測データDに示された複数の架電候補者の中から、ランダムに架電候補者を選出し、当該架電候補者を架電対象者として決定する。
【0086】
例えば、図7の1人目の架電候補者が第1ゾーンの架電対象者として決定されたとする。1人目の架電候補者の第1ゾーンの折返確率は30%なので、架電対象者決定部105は、第1ゾーンの架電数を1件増加させ、第1ゾーンの受電数を0.3件増加させる。1人目の架電候補者の第2ゾーン~第5ゾーンの折返確率は、それぞれ25%、15%、5%、2%なので、架電対象者決定部105は、第2ゾーン~第5ゾーンの受電数を、それぞれ0.25件、0.15件、0.05件、0.02件増加させる。
【0087】
以上のように、1人目の架電候補者が第1ゾーンの架電対象者として決定されたとすると、第1ゾーン~第5ゾーンの全ての受電数に影響する。第1ゾーン~第5ゾーンの折返確率の合計値は77%なので、1人目の架電候補者が第1ゾーンの架電対象者として決定されることによって、1日のトータルの受電数としては0.77件増加することになる。1人目の架電候補者は、第1ゾーンの架電対象者として決定されたので、第2ゾーン以降の架電対象者からは除外される。架電対象者決定部105は、まだどのゾーンの架電者制約及び受電者制約にも達していないので、第1ゾーンの次の架電対象者を決定する。
【0088】
例えば、図7の2人目の架電候補者は第1ゾーンの架電対象者として決定されなかったが、3人目の架電候補者が第1ゾーンの架電対象者として決定されたとする。3人目の架電候補者の第1ゾーンの折返確率は15%なので、架電対象者決定部105は、第1ゾーンの架電数を1件増加させ、第1ゾーンの受電数を0.15件増加させる。2人目の架電候補者の第2ゾーン~第5ゾーンの折返確率は、それぞれ20%、15%、20%、10%なので、架電対象者決定部105は、第2ゾーン~第5ゾーンの受電数を、それぞれ0.2件、0.15件、0.2件、0.1件増加させる。
【0089】
この時点では、1人目と3人目の架電候補者が選択されたので、架電数と受電数は、1人目と3人目の架電候補者の合計値となる。例えば、第1ゾーンの架電数の合計は、2件になり、第1ゾーンの受電数の合計は、0.45件となる。第2ゾーン~第5ゾーンの受電数の合計は、それぞれ0.45件、0.3件、0.25件、0.12件になる。3人目の架電候補者も、第1ゾーンの架電対象者として決定されたので、第2ゾーン以降の架電対象者からは除外される。
【0090】
以降同様に、架電対象者決定部105は、第1ゾーンの架電対象者の決定を繰り返す。架電対象者決定部105は、第1ゾーンの架電者制約及び受電者制約の少なくとも一方が満たされなくなった場合に、第1ゾーンの架電対象者の決定を終了する。不在着信があってすぐに折り返す架電対象者は少ないので、第1ゾーンは、受電者制約よりも架電者制約の方が先に満たされなくなることが多い。ただし、第1ゾーンの架電対象者が決定されたことにより、第2ゾーン~第5ゾーンの受電数にも影響するので、第2ゾーン~第5ゾーンは、受電者制約の方が架電者制約よりも先に満たされなくなる可能性がある。
【0091】
例えば、架電対象者決定部105は、第1ゾーンの架電対象者の決定を終了すると、第2ゾーンの架電対象者を決定する。ここでは、第1ゾーンで架電対象者として決定された架電候補者は、第2ゾーン~第5ゾーンでは架電対象者として決定されないものとするので、架電対象者決定部105は、第1ゾーンで架電対象者として決定されなかった架電候補者の中から、第2ゾーンの架電対象者をランダムに決定する。
【0092】
例えば、図7の2人目の架電候補者が第2ゾーンの架電対象者として決定されたとする。2人目の架電候補者の第2ゾーンの折返確率は20%なので、架電対象者決定部105は、第2ゾーンの架電数を1件増加させ、第2ゾーンの受電数を0.2件増加させる。2人目の架電候補者の第3ゾーン~第5ゾーンの折返確率は、それぞれ15%、15%、5%なので、架電対象者決定部105は、第3ゾーン~第5ゾーンの受電数を、それぞれ0.15件、0.15件、0.05件増加させる。
【0093】
第1ゾーンの架電対象者の決定が終了した時点で、第2ゾーン~第5ゾーンの受電者の合計が、それぞれ140.2件、100.6件、74件、42.5件だったとする。2人目の架電候補者が第2ゾーンの架電対象者として決定されたので、第2ゾーン~第5ゾーンの受電者は、それぞれ140.4件、100.75件、74.15件、42.55件になる。
【0094】
以降同様に、架電対象者決定部105は、第2ゾーンの架電対象者の決定を繰り返す。架電対象者決定部105は、第2ゾーンの架電者制約及び受電者制約の少なくとも一方が満たされなくなった場合に、第2ゾーンの架電対象者の決定を終了する。第3ゾーン~第5ゾーンの架電対象者の決定も同様である。架電対象者決定部105は、第3ゾーン~第5ゾーンの架電者制約及び受電者制約の少なくとも一方が満たされなくなった場合に、第3ゾーン~第5ゾーンの架電対象者の決定を終了する。
【0095】
以上のようにして、架電対象者決定部105は、全ての架電対象者を決定すると、架電候補者データベースDBの架電対象者情報を更新する。例えば、架電対象者決定部105は、ある架電候補者が架電対象者として決定された場合に、この架電候補者の架電対象者情報が、この架電候補者が架電対象者として決定された日付及びゾーンを示すように、架電対象者情報を更新する。
【0096】
例えば、架電対象者決定部105は、架電対象者リストLを生成してデータ記憶部100に記録する。架電対象者決定部105は、架電時間帯ごとに、当該架電時間帯の架電対象者として決定された架電候補者のカード番号と、当該架電対象者に架電する担当者の担当者IDと、が示されるように、架電対象者リストLを生成する。担当者IDは、データ記憶部100に予め記録されているものとする。担当者は、任意の方法で決定されるようにすればよく、例えば、その日の勤務状況に応じて決定されるようにすればよい。架電対象者決定部105は、架電対象者リストLをデータ記憶部100に記録すると、架電対象者の決定を終了する。
【0097】
なお、図3の例では、ゾーンに関係なく受電者制約が一定である場合を説明したが、受電者時間帯ごとに受電者制約が定められている場合には、架電対象者決定部105は、受電時間帯ごとに、当該受電時間帯における受電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定してもよい。この場合、受電時間帯に応じた受電者制約が利用されるという点で異なるが、他の点については同様である。また、架電候補者は、1日の中で架電対象者として複数回決定されてもよい。
【0098】
[3-2.第2の構成に関する機能]
次に、第2の構成に関する機能を説明する。例えば、第2の構成に関する機能は、データ記憶部100、特徴情報取得部101、通話確率予測部102、通話者制約取得部103、成果予測部104、及び架電対象者決定部105である。データ記憶部100は、記憶部12により実現される。他の各機能は、制御部11により実現される。
【0099】
なお、図4では、通話確率予測部102が応答確率予測部102A及び折返確率予測部102Bを含む場合を示しているが、第2の構成では、応答確率予測部102A及び折返確率予測部102Bといった概念がなくてもよい。同様に、図4では、通話者制約取得部103が架電者制約取得部103A及び受電者制約取得部103Bを含む場合を示しているが、第2の構成では、架電者制約取得部103A及び受電者制約取得部103Bといった概念がなくてもよい。
【0100】
[データ記憶部]
データ記憶部100は、第1の構成と同様であってよい。
【0101】
[特徴情報取得部]
特徴情報取得部101は、第1の構成と同様であってよい。
【0102】
[通話確率予測部]
通話確率予測部102は、複数の架電候補者の各々と通話できる確率に関する通話確率を予測する。架電候補者との通話は、架電者又は受電者が架電候補者と電話で話すことである。通話は、カード会社からの架電により成立することもあれば、架電候補者からの架電により成立することもある。通話確率は、両方の場合で通話が成立することを想定した確率であってもよいし、何れか一方のみを想定した確率であってもよい。通話確率は、第1の構成で説明した応答確率及び折返確率の両方を含む概念である。このため、応答確率について説明している箇所は、通話確率と読み替えることができるし、折返確率について説明している箇所も、通話確率と読み替えることができる。
【0103】
例えば、通話確率予測部102は、複数の架電候補者の各々が架電に応答する応答確率を、通話確率として予測する。例えば、通話確率予測部102は、架電が行われる架電時間帯ごとに、複数の架電候補者の各々の応答確率を予測する。応答確率の予測については、第1の構成の応答確率予測部102Aで説明した通りである。
【0104】
例えば、通話確率予測部102は、複数の架電候補者の各々が電話に出ずに折り返しの電話をする確率に関する折返確率を、通話確率として予測する。例えば、通話確率予測部102は、折り返しの電話を受ける受電時間帯ごとに、複数の架電候補者の各々の折返確率を予測する。折返確率の予測についても、第1の構成の折返確率予測部102Bで説明した通りである。
【0105】
例えば、通話確率予測部102は、複数の架電候補者の各々の特徴情報に基づいて、当該架電候補者の通話確率を予測する。特徴情報を利用して応答確率及び折返確率を予測する方法については、第1の構成の応答確率予測部102A及び折返確率予測部102Bで説明した通りである。
【0106】
なお、通話確率は、応答確率だけを意味してもよいし、折返確率だけを意味してもよい。通話確率は、応答確率及び折返確率以外の確率を意味してもよい。例えば、折り返しの電話ではなく、架電候補者が自発的に架電する確率を予測できる場合には、通話確率は、架電候補者からの自発的な架電により通話できる確率を意味してもよい。この確率は、架電候補者の特徴情報や過去の自発的な架電の傾向から予測されるようにしてもよい。
【0107】
[通話者制約取得部]
通話者制約取得部103は、通話者のキャパシティの制約に関する通話者制約を取得する。通話者は、架電者及び受電者の両方を含む概念である。このため、架電者について説明している箇所は、通話者と読み替えることができるし、受電者について説明している箇所も、通話者と読み替えることができる。通話者は、架電者だけを意味してもよいし、受電者だけを意味してもよい。受電者は、架電候補者からの折り返しの電話だけでなく、架電候補者からの自発的な架電を受電する者も含まれる。
【0108】
通話者制約は、第1の構成で説明した受電者制約だけではなく、架電をする架電者のキャパシティに関する架電者制約も含む意味である。図4では、通話者制約取得部103が架電者制約取得部103Aを含む場合を示している。架電者制約は、予めデータ記憶部100に記憶されているものとする。ゾーンに関係なく架電者制約が一定であってもよいが、通話者制約取得部103は、架電が行われる架電時間帯ごとに、架電者制約を取得してもよい。この場合、ゾーンごとに、架電者制約が定められている。通話者制約取得部103は、ゾーンに応じた架電者制約を取得する。架電者制約は、カード会社の担当者が指定してもよいし、カード会社の出勤予定から自動計算されてもよい。
【0109】
例えば、通話者制約取得部103は、折り返しの電話を受ける受電者のキャパシティの制約に関する受電者制約を、通話者制約として取得する。例えば、通話者制約取得部103は、折り返しの電話を受ける受電時間帯ごとに、受電者制約を取得する。受電者制約の取得については、第1の構成の受電者制約取得部103Bで説明した通りである。
【0110】
[成果予測部]
成果予測部104は、複数の架電候補者の各々と通話できた場合の成果を予測する。成果とは、通話の効果である。成果は、電話を利用した業務の目的ということもできる。成果は、架電対象者決定システム1を利用する業務に応じた内容であればよい。本実施形態では、架電候補者から回収可能な滞納額が成果に相当する。このため、架電候補者から回収可能な滞納額について説明している箇所は、成果と読み替えることができる。
【0111】
成果予測部104は、所定の予測方法に基づいて、成果を予測する。本実施形態では、成果予測部104は、架電候補者データベースDBに格納された支払情報が示す滞納額に対し、所定の返済確率を乗算した数値を、成果として予測する場合を説明するが、成果予測部104は、滞納額を、そのまま成果として予測してもよい。返済確率は、架電候補者が滞納額の支払を済ませる確率である。返済確率は、全ての架電候補者で共通の値であってもよいし、架電候補者の特徴情報に応じた値であってもよい。成果は、滞納額に関係なく、固定値であってもよいし、特徴情報に応じた値であってもよい。
【0112】
本実施形態では、成果予測部104は、複数の架電候補者の各々の特徴情報に基づいて、当該架電候補者の成果を予測する。例えば、特徴情報と、返済確率と、の関係に関するデータがデータ記憶部100に予め記憶されているものとする。このデータは、任意の形式であってよく、例えば、テーブル形式又は数式形式であってもよい。他にも例えば、このデータは、ルールベースのデータであってもよいし、機械学習を利用したモデルであってもよい。成果予測部104は、このデータに基づいて、ある架電候補者の特徴情報に応じた成果を予測する。
【0113】
本実施形態では、架電候補者が架電に応答した場合と、架電候補者が折り返しの電話をした場合と、において通話が成立する可能性がある。このため、成果予測部104は、複数の架電候補者の各々が架電に応答した場合の成果を予測する。成果予測部104は、複数の架電候補者の各々が電話に出ずに折り返しの電話をした場合の成果を予測する。これらの成果は、互いに同じであってもよいし、異なってもよい。例えば、架電候補者が架電に応答した場合の返済確率の計算方法と、架電候補者が折り返しの電話をした場合の返済確率の計算方法と、が異なってもよい。成果予測部104は、折り返しの電話をする架電候補者の方が、架電に応答した架電候補者よりも返済確率が高くなるように、返済確率を予測してもよい。
【0114】
なお、架電候補者が自発的に架電することで通話が成立することもあるので、成果予測部104は、架電候補者が自発的に架電した場合の成果を予測してもよい。この場合の成果は、架電候補者が架電に応答した場合の成果、及び、架電候補者が折り返しの電話をした場合の成果と同じであってもよいし、異なってもよい。例えば、成果予測部104は、自発的に架電した架電候補者の方が、架電に応答した架電候補者、及び、折り返しの電話をした架電候補者よりも返済確率が高くなるように、返済確率を予測してもよい。
【0115】
[架電対象者決定部]
架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の各々の通話確率及び成果に基づいて、通話者制約が満たされ、かつ、架電の対象となる複数の架電対象者全体の成果が高くなるように、複数の架電候補者の中から、複数の架電対象者を決定する。第1の構成とは異なり、第2の構成では、通話者制約(第1の構成では、主に受電者制約)だけではなく、全体としての成果が高くなるように架電対象者が決定される。このため、架電対象者決定部105は、通話者制約及び成果といった複数の要素を考慮して、最適な架電対象者を決定する必要がある。
【0116】
本実施形態では、架電対象者決定部105は、ナップサック問題の解法を利用して、複数の架電候補者の中から、複数の架電対象者を決定する。ナップサック問題は、計算複雑性理論における問題である。例えば、n(nは2以上の整数)種類の品物iの各々に対し、価値vと重量wが与えられる。重量wの合計がナップサックの耐重量Wを超えない範囲で品物iをナップサックに入れた場合に、ナップサックに入れられた品物iの価値vの合計Vを最大化するための品物の組み合わせを解く問題がナップサック問題である。
【0117】
本実施形態の架電対象者決定システム1とナップサック問題との対応関係は、次の通りである。架電候補者は、品物iに相当する。架電対象者は、ナップサックに入れる品物iに相当する。通話者制約は、耐重量Wに相当する。架電候補者の通話確率(例えば、応答確率又は折返確率)は、品物iの重量wに相当する。応答確率が高いほど、折り返しの電話が発生しにくくなるので、重量wとしては軽くなる。折返確率が高いほど、折り返しの電話が発生しやすくなるので、重量wとしては重くなる。ただし、架電候補者が応答するか否かに関係なく、1回の架電には架電者の労力が伴うので、全ての架電候補者には、デフォルトの重量wが設定されているものとする。
【0118】
架電候補者と通話できた時の成果は、品物iの価値vに相当する。ただし、本実施形態では、単純に成果だけではなく、架電候補者の通話確率(例えば、応答確率及び折返確率)も価値vに影響するものとする。例えば、応答確率が高いほど、督促が成功しやすくなるので価値vは高くなる。例えば、折返確率が高いほど、が成功しやすくなるので価値vは高くなる。架電対象者全体の成果は、ナップサックに入れられた品物iの価値vの合計Vに相当する。架電対象者決定部105は、これらの対応関係に基づいて、ナップサック問題の解法を利用して、複数の架電対象者を決定する。
【0119】
ナップサック問題の解法自体は、種々の解法を利用可能である。例えば、架電対象者決定部105は、動的計画法を利用した擬多項式時間アルゴリズム、又は、多項式時間近似スキームを利用して、通話者制約が満たされ、かつ、複数の架電対象者全体の成果が高くなるように、複数の架電対象者を決定してもよい。例えば、架電対象者決定部105は、通話者制約が満たされる範囲内で、架電対象者全体としての成果が最大になるような架電対象者の組み合わせを、ナップサック問題の解法を利用して決定する。
【0120】
本実施形態では、通話確率の一例として応答確率が予測されるので、架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の各々の応答確率及び成果に基づいて、複数の架電対象者を決定する。上記のナップサック問題の例では、応答確率及び折返確率の両方が品物iの重量wに相当するものとしたが、応答確率だけが品物iの重量wに相当してもよい。
【0121】
本実施形態では、架電時間帯ごとに応答確率が予測されるので、架電対象者決定部105は、架電時間帯ごとに、複数の架電候補者の各々の当該架電時間帯における応答確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。例えば、架電対象者決定部105は、架電時間帯ごとに、ナップサック問題の解法を利用して、複数の架電対象者を決定する。個々の架電時間帯の応答確率が品物iの重量wに相当する点で異なるが、他の点については、先述したナップサック問題の解法が利用されるようにすればよい。
【0122】
本実施形態では、通話確率の一例として折返確率が予測されるので、架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の各々の折返確率に基づいて、受電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。上記のナップサック問題の例では、応答確率及び折返確率の両方が品物iの重量wに相当するものとしたが、折返確率だけが品物iの重量wに相当してもよい。
【0123】
本実施形態では、受電時間帯ごとに折返確率が予測されるので、架電対象者決定部105は、受電時間帯ごとに、複数の架電候補者の各々の当該受電時間帯の折返確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。例えば、架電対象者決定部105は、受電時間帯ごとに、ナップサック問題の解法を利用して、複数の架電対象者を決定する。
【0124】
本実施形態では、第1の構成と第2の構成が組み合わされるので、架電対象者決定部105は、受電時間帯ごとに、当該受電時間帯における受電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定することになる。即ち、上記ナップサック問題の例において、受電者制約が耐重量Wに相当する。
【0125】
なお、架電対象者決定部105は、ナップサック問題の解法以外の方法に基づいて、複数の架電対象者を決定してもよい。例えば、ナップサック問題は、整数計画問題の1つなので、架電対象者決定部105は、整数計画問題の解法である整数計画法を利用して、複数の架電対象者を決定してもよい。例えば、架電対象者決定部105は、組み合わせ最適化における手法を利用して、複数の架電対象者を決定してもよい。
【0126】
他にも例えば、架電対象者決定部105は、通話者制約が満たされる範囲内で、成果が高い順に架電対象者を決定してもよい。この場合、架電対象者決定部105は、成果が高い順に架電候補者を架電対象者として次々と決定する。架電対象者決定部105は、通話者制約が満たされなくなった場合に、架電対象者の決定を終了する。架電対象者決定部105が架電対象者リストLを作成する処理については、第1の構成と同様である。
【0127】
[4.架電対象者決定システムで実行される処理]
図9は、架電対象者決定システム1で実行される処理の一例を示す図である。この処理は、制御部11,21がそれぞれ記憶部12,22に記憶されたプログラムに従って動作することによって実行される。図9では、架電対象者決定システム1で実行される処理のうち、主に、架電対象者を決定する処理について示している。本実施形態では、図9の処理は、カード会社における1日の業務が始まる場合に実行される。
【0128】
図9のように、担当者端末20は、サーバ10に対し、架電対象者の決定を依頼する(S1)。サーバ10は、担当者端末20からの依頼を受信すると(S2)、架電候補者データベースDBに基づいて、処理対象の架電候補者を決定する(S3)。処理対象の架電候補者は、S4~S6の処理の対象となる架電候補者である。S3では、サーバ10は、架電候補者データベースDBの中から、まだ処理対象になっていない任意の架電候補者を、処理対象の架電候補者として決定する。
【0129】
サーバ10は、架電候補者データベースDBに基づいて、処理対象の架電候補者の特徴情報を取得する(S4)。サーバ10は、処理対象の架電候補者の滞納額と、特徴情報に応じた返済確率と、に基づいて、処理対象の架電候補者の成果を予測する(S5)。サーバ10は、処理対象の架電候補者の特徴情報と、第1ゾーン~第5ゾーンの各々の予測モデルMと、に基づいて、処理対象の架電候補者の応答確率と、受電時間帯ごとの折返確率と、を予測する(S6)。S6の処理により、確率予測データDが作成される。
【0130】
サーバ10は、全ての架電候補者が処理対象になったか否かを判定する(S7)。まだ処理対象になっていない架電候補者がいる場合(S7:N)、S3の処理に戻り、処理対象の架電候補者が新たに決定される。一方、全ての架電候補者が処理対象になったと判定された場合(S7:Y)、サーバ10は、予め定められた架電者制約及び受電者制約を取得する(S8)。
【0131】
サーバ10は、確率予測データD、S5で予測された成果、及びS8で取得された架電者制約と受電者制約に基づいて、複数の架電対象者を決定する(S9)。S9では、サーバ10は、架電対象者リストLを作成する。サーバ10は、担当者端末20に対し、架電対象者リストLを送信する(S10)。担当者端末20は、架電対象者リストLを受信すると(S11)、架電対象者リストLに基づいて、カード会社の業務を支援するための業務支援画面を表示部25に表示させ(S12)、本処理は終了する。
【0132】
図10は、業務支援画面の一例を示す図である。図10のように、業務支援画面Gには、ある1日の中で架電者が担当する架電対象者に関する情報が表示される。架電者は、業務支援画面Gを確認し、第1ゾーン~第5ゾーンの各々において、自身が担当する架電対象者に対し、架電を行う。架電者が業務支援画面Gに応じた架電をすることによって、受電者制約を満たしつつ、成果が高くなるような効率的な業務を行うことができる。
【0133】
[第1の構成のまとめ]
本実施形態の架電対象者決定システム1は、複数の架電候補者の各々の折返確率に基づいて、受電者制約が満たされるように、複数の架電候補者の中から、架電の対象となる複数の架電対象者を決定する。これにより、受電者制約が満たされなくなる程の多くの折り返しの電話が発生しにくくなるので、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりやすくなる。例えば、カード会社からすれば、折り返しの電話が繋がりやすくなるので、業務効率が高まり滞納した支払を回収しやすくなる。例えば、架電候補者からすれば、カード会社からの不在着信に対して折り返したにもかかわらず電話が繋がらないといったことを防止しやすくなるので、架電候補者の利便性が高まる。架電候補者がせっかく折り返しの電話をしたにもかかわらず電話が繋がらないと、架電候補者がカード会社のサービスに対して不満を抱く可能性があるが、折り返しの電話が繋がりやすくなるので、カード会社のサービス向上を図ることもできる。
【0134】
また、架電対象者決定システム1は、複数の架電候補者の各々の特徴情報に基づいて、当該架電候補者の折返確率を予測する。これにより、例えば、折返確率が架電候補者の職業に応じて変わる場合に、架電候補者の職業に応じた折返確率を予測することによって、折返確率の予測精度が高まるので、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりやすくなる。職業以外にも、折返確率と相関関係のある他の特徴情報が利用される場合も同様に、折返確率の予測精度が高まる。
【0135】
また、架電対象者決定システム1は、受電時間帯ごとに予測された、複数の架電候補者の各々の当該受電時間帯の折返確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。これにより、同じ架電候補者の折返確率が受電時間帯に応じて変わる場合に、受電時間帯に応じた折返確率を予測することによって、折返確率の予測精度が高まるので、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりやすくなる。
【0136】
また、架電対象者決定システム1は、受電時間帯ごとに、当該受電時間帯における受電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、受電時間帯ごとの受電者制約とすることができるので、折り返しの電話がより繋がりやすくなる。例えば、受電者が休憩を取ると予測される受電時間帯の受電者制約を低めに設定した場合、この受電時間帯に折り返しの電話が繋がらないといったことを防止できる。例えば、より多くの受電者が稼働すると予測される受電時間帯の受電者制約を高めに設定した場合、この受電時間帯に、より多くの折り返しの電話に対応できるようになるので、滞納した支払を回収しやすくなる。
【0137】
また、架電対象者決定システム1は、架電時間帯ごとに、複数の架電候補者の各々の当該架電時間帯の折返確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。これにより、折返確率が架電時間帯に応じて変わる場合に、架電時間帯に応じた折返確率を予測することによって、折返確率の予測精度が高まるので、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりやすくなる。
【0138】
また、架電対象者決定システム1は、複数の架電候補者の各々の応答確率及び折返確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。これにより、架電候補者からの折り返しの電話だけではなく、最初の架電で応答しやすい架電候補者を架電対象者とすることができるので、カード会社全体として、架電候補者と通話できる確率を高めることができる。
【0139】
また、架電対象者決定システム1で行われる架電は、架電候補者が滞納した支払に関する督促の電話である。架電対象者決定システム1は、第1の構成により、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりやすくなるので、架電候補者が滞納した支払を回収しやすくなる。架電候補者からしても、うっかり支払を忘れてしまった場合に、支払を完了して無駄な利息が発生することを防止できるので、利便性が高まる。
【0140】
[第2の構成のまとめ]
本実施形態の架電対象者決定システム1は、複数の架電候補者の各々の通話確率及び成果に基づいて、通話者制約が満たされ、かつ、複数の架電対象者全体の成果が高くなるように、複数の架電候補者の中から、複数の架電対象者を決定する。これにより、通話者制約の範囲内で成果が得やすくなるように架電対象者を決定できるので、架電対象者全体から得られる成果が高まる。例えば、成果に関係なくランダムに架電対象者を決定すると、成果を得にくい架電候補者(例えば、通話できたとしても滞納した支払をしない架電候補者)も、架電対象者として決定される可能性がある。この点、通話できた場合の成果を考慮することによって、成果を得やすい架電候補者が優先的に架電対象者になるので、架電対象者全体から得られる効果が高まる。例えば、カード会社からすれば、滞納した支払をしやすい架電候補者に対し、優先的に架電することができるので、業務効率が高まり滞納した支払を回収しやすくなる。更に、成果だけではなく、通話者制約も考慮することによって、カード会社のキャパシティを超えるような大量の架電対象者が決定されるといったことを防止できるので、現実的な業務計画を実現できる。
【0141】
また、架電対象者決定システム1は、複数の架電候補者の各々の応答確率及び成果に基づいて、複数の架電対象者を決定する。これにより、架電候補者から得られる成果だけではなく、架電候補者の応答確率も考慮することによって、電話が繋がりやすい架電候補者を架電対象者として決定し、架電対象者全体から得られる成果がより高まる。なお、複数の架電候補者の各々の応答確率及び成果に基づいて複数の架電対象者を決定する場合、応答確率及び成果の両方が相対的に高い架電候補者だけが架電対象者として決定されてもよいが、例えば、応答確率が相対的に低く、かつ、成果が相対的に高い架電候補者が架電対象者として決定されることがあってもよい。例えば、応答確率が相対的に高く、かつ、成果が相対的に低い架電候補者が架電対象者として決定されることがあってもよい。応答確率及び成果の両方が相対的に高い架電候補者は、優先的に架電対象者として選択されるが、他の架電候補者も架電対象者として選択される場合には、種々のタイプの架電候補者を架電対象者としてバランスよく選択できる。
【0142】
また、架電対象者決定システム1は、架電時間帯ごとに、複数の架電候補者の各々の当該架電時間帯における応答確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。これにより、応答確率が架電時間帯に応じて変わる場合に、架電時間帯に応じた応答確率を予測することによって、応答確率の予測精度が高まるので、架電対象者との電話が繋がりやすくなる。
【0143】
また、架電対象者決定システム1は、複数の架電候補者の各々の折返確率に基づいて、受電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、受電者制約が満たされなくなる程の多くの折り返しの電話が発生しにくくなるので、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりやすくなる。即ち、第1の構成と同様の効果が得られる。
【0144】
また、架電対象者決定システム1は、受電時間帯ごとに、複数の架電候補者の各々の当該受電時間帯の折返確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。これにより、同じ架電候補者の折返確率が受電時間帯に応じて変わる場合に、受電時間帯に応じた折返確率を予測することによって、折返確率の予測精度が高まるので、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりやすくなる。
【0145】
また、架電対象者決定システム1は、受電時間帯ごとに、当該受電時間帯における受電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、受電時間帯ごとの受電者制約とすることができるので、折り返しの電話がより繋がりやすくなる。例えば、受電者が休憩を取ると予測される受電時間帯の受電者制約を低めに設定した場合、この受電時間帯に折り返しの電話が繋がらないといったことを防止できる。例えば、より多くの受電者が稼働すると予測される受電時間帯の受電者制約を高めに設定した場合、この受電時間帯に、より多くの折り返しの電話に対応できるようになるので、滞納した支払を回収しやすくなる。
【0146】
また、架電対象者決定システム1は、複数の架電候補者の各々の特徴情報に基づいて、当該架電候補者の通話確率を予測する。これにより、例えば、通話確率が架電候補者の職業に応じて変わる場合に、架電候補者の職業に応じた通話確率を予測することによって、通話確率の予測精度が高まるので、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりやすくなる。職業以外にも、通話確率と相関関係のある他の特徴情報が利用される場合も同様に、通話確率の予測精度が高まる。
【0147】
また、架電対象者決定システム1は、複数の架電候補者の各々の特徴情報に基づいて、当該架電候補者の成果を予測する。これにより、例えば、成果が架電候補者の職業に応じて変わる場合に、架電候補者の職業に応じた成果を予測することによって、成果の予測精度が高まるので、架電対象者全体から得られる成果がより高まる。職業以外にも、成果と相関関係のある他の特徴情報が利用される場合も同様に、成果の予測精度が高まる。
【0148】
また、架電対象者決定システム1で行われる架電は、架電候補者が滞納した支払に関する督促の電話である。架電対象者決定システム1は、第2の構成により、架電対象者全体から得られる成果が高まるので、架電候補者が滞納した支払を回収しやすくなる。架電候補者からしても、うっかり支払を忘れてしまった場合に、支払を完了して無駄な利息が発生することを防止できるので、利便性が高まる。
【0149】
[5.変形例]
なお、本開示は、以上に説明した実施形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0150】
図11は、変形例の機能ブロックの一例を示す図である。以降説明する変形例では、受電量予測部106、回数制約取得部107、及び計画部108が実現される。これらは、制御部11により実現される。
【0151】
[5-1.第1の構成に関する変形例]
まず、第1の構成に関する変形例を説明する。
【0152】
[変形例1-1]
例えば、ある架電候補者が第1ゾーンの架電対象者になった場合に、この架電候補者を、第1ゾーンの直後の第2ゾーンの架電対象者にしたとしても、第1ゾーンで架電に応答しなければ、時間的に近い第2ゾーンにも架電に応答しない可能性がある。架電候補者からしても、カード会社から連続して着信があると不快に感じることがある。このため、ある架電候補者があるゾーンの架電対象者になった場合に、この架電候補者を、このゾーンの直後のゾーンの架電対象者になりにくいようにしてもよい。
【0153】
変形例1-1の架電対象者決定部105は、架電時間帯ごとに、直近の架電時間帯で架電対象者になった架電候補者が当該架電時間帯で架電対象者になりにくくなるように、複数の架電対象者を決定する。直近の架電時間帯とは、架電対象者を決定する架電時間帯の1つ前の架電時間帯である。例えば、第2ゾーンの架電対象者を決定する場合には、第1ゾーンが直近の架電時間帯に相当する。架電対象者になりにくいとは、架電対象者として決定されないようにすること、又は、架電対象者として決定される確率を下げることである。
【0154】
例えば、架電対象者決定部105は、ある架電候補者を、直近の架電時間帯の架電対象者として決定した場合に、この架電候補者を架電候補者の母集団から除外したうえで、次の架電時間帯の架電対象者を決定してもよい。この場合、この架電候補者は、次の架電時間帯の架電対象者として決定されないようになる。例えば、架電対象者決定部105は、ある架電候補者を、直近の架電時間帯の架電対象者として決定した場合に、次の架電時間帯におけるこの架電候補者の折返確率が低くなるように修正したうえで、次の架電時間帯の架電対象者を決定してもよい。この場合、この架電候補者は、次の架電時間帯の架電対象者として決定されにくくなる。
【0155】
なお、架電対象者決定部105は、他の方法によって、架電対象者を決定してもよい。例えば、第1の構成と第2の構成を組み合わせる場合には、架電対象者決定部105は、ある架電候補者を、直近の架電時間帯の架電対象者として決定した場合に、次の架電時間帯におけるこの架電候補者の成果が低くなるように修正したうえで、次の架電時間帯の架電対象者を決定してもよい。この場合、この架電候補者は、本来の成果よりも低く修正されるので、次の架電時間帯の架電対象者として決定されにくくなる。
【0156】
変形例1-1の架電対象者決定システム1は、架電時間帯ごとに、直近の架電時間帯で架電対象者になった架電候補者が当該架電時間帯で架電対象者になりにくくなるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、特定の架電候補者が連続して架電対象者として決定されてしまい、特定の架電対象者に対して連続して架電が発生するといったことを防止できる。その結果、無駄な架電が発生しにくくなる。架電候補者は、自身が連続して架電対象者として決定されると、連続した不在着信のためにカード会社のサービスに対して不満を抱く可能性があるが、このような不満を抱きにくくなるので、カード会社のサービス向上を図ることもできる。
【0157】
[変形例1-2]
例えば、実施形態では、説明の簡略化のために、折り返しの電話だけを受電者制約の対象とした。この点、実施形態で説明したように、実際には、カード会社は、折り返しの電話以外の他の電話も受電する。受電者は、折り返しの電話以外の他の電話も受ける可能性があるので、他の電話の受電量も考慮したうえで、受電者制約が満たされるように架電対象者が決定されてもよい。
【0158】
変形例1-2の架電対象者決定システム1は、受電量予測部106を含む。受電量予測部106は、折り返しの電話以外の他の電話に関する受電量を予測する。他の電話に関する受電量は、他の電話の数である。受電量予測部106は、所定の予測方法に基づいて、他の電話に関する受電量を予測可能である。変形例1-2では、カード会社における過去の受電を集計する方法を例に挙げる。受電量の予測方法は、他の方法であってもよく、変形例1-2の方法に限られない。例えば、受電量の予測値を担当者が指定してもよいし、機械学習の手法を利用して受電量が予測されてもよい。
【0159】
例えば、データ記憶部100には、カード会社における過去の着信履歴に関する着信履歴データが記憶されているものとする。過去の着信履歴には、折り返しの電話も含まれているので、着信履歴データは、折り返しの電話は除外される。折り返しの電話であるか否かは、架電の実績に基づいて判定されるようにすればよい。過去に架電した電話番号から受電した場合には、折り返しの電話と判定される。
【0160】
例えば、受電量予測部106は、着信履歴データに基づいて、過去の受電量を集計することによって、他の電話に関する受電量を予測する。実施形態のように、受電時間帯が区切られている場合には、受電量予測部106は、受電時間帯ごとに、当該受電時間帯における過去の受電量を集計することによって、他の電話に関する受電量を予測する。特に受電時間帯を区切らない場合には、受電量予測部106は、1日全体の中での過去の受電量を集計することによって、他の電話に関する受電量を予測すればよい。
【0161】
変形例1-2の架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の各々の折返確率と、他の電話の受電量と、に基づいて、受電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。例えば、架電対象者決定部105は、受電者制約から他の電話の受電量を差し引いた差し引き後の受電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。架電対象者決定部105の処理は、差し引き後の受電者制約が利用される点で実施形態とは異なるが、他の点については同様である。受電者制約から他の電話の受電量を差し引くのではなく、折り返しの電話の受電量と、他の電話の受電量と、を加算した受電量が受電者制約を超えないようにしてもよい。
【0162】
変形例1-2の架電対象者決定システム1は、複数の架電候補者の各々の折返確率と、折り返しの電話以外の他の電話の受電量と、に基づいて、受電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、他の電話も考慮に入れたうえで、受電者制約が満たされるように複数の架電対象者を決定できるので、受電者制約が満たされなくなる程の多くの折り返しの電話が発生しにくくなるので、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりやすくなる。他の電話をする者からしても、自身の電話が繋がりやすくなるので、他の電話をする者の利便性が高まる。
【0163】
[変形例1-3]
例えば、特定の架電候補者に対して1日に架電可能な回数に上限回数が定められている場合には、個々の架電候補者に対する架電回数が上限回数の範囲内に収まるように、架電対象者が決定されるようにしてもよい。変形例1-3の架電対象者決定システム1は、回数制約取得部107を含む。回数制約取得部107は、複数の架電候補者の各々に対する架電回数の制約に関する回数制約を取得する。回数制約は、1日に架電可能な回数の上限回数である。変形例1-3では、全ての架電候補者で回数制約が共通の場合を説明するが、回数制約は、架電候補者に応じて異なってもよい。回数制約は、カード会社の担当者により指定される。回数制約のデータは、データ記憶部100に予め記憶されているものとする。
【0164】
変形例1-3の架電対象者決定部105は、回数制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。例えば、架電対象者決定部105は、ある特定の架電候補者が架電対象者として決定される回数が回数制約の範囲内に収まるように、複数の架電対象者を決定する。架電対象者決定部105は、ある特定の架電候補者が架電対象者として決定された回数が回数制約に達した場合には、この架電候補者が架電対象者として決定されないようにする。回数制約は、任意の値であってよく、例えば、3回程度であってもよい。
【0165】
変形例1-3の架電対象者決定システム1は、回数制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、ある特定の架電候補者に対して大量の架電が発生するといったことを防止できる。架電候補者からすれば、対象の架電が発生するとカード会社のサービスに対して不満を抱く可能性があるが、適度な回数の架電に抑えることができるので、カード会社のサービス向上を図ることもできる。
【0166】
[変形例1-4]
例えば、実施形態では、架電時間帯に応じた折返確率が予測される場合を説明した。折返確率は、架電時間帯以外にも、架電が行われる曜日、月、又は季節といった他の要素も影響する可能性がある。例えば、架電候補者は、平日に忙しいことを多く、週末よりも折返確率が低いことが多い。他にも例えば、架電候補者は、月末又は特定の季節に忙しい業種であれば、他の期間よりも折返確率が低いことが多い。
【0167】
変形例1-4の折返確率予測部102Bは、架電が行われる架電期間に基づいて、複数の架電候補者の各々の折返確率を予測する。架電期間は、架電が予定されている期間である。架電時間帯以外にも、先述した曜日、月、又は季節が架電期間に相当する。変形例1-4では、これらの架電期間ごとに、予測モデルMが用意されているものとする。折返確率予測部102Bは、ある架電期間における架電候補者の折返確率を、この架電期間に応じた予測モデルMに基づいて予測する。他にも例えば、架電期間ごとに予測モデルMを用意するのではなく、予測モデルMに入力される特徴情報の1つとして、架電期間が利用されてもよい。この場合、予測モデルMは、入力された架電期間に応じた予測結果を出力する。
【0168】
架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の各々の架電期間に応じた折返確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。架電対象者決定部105の処理は、架電期間に応じた折返確率が利用される点で実施形態とは異なるが、他の点については同様である。
【0169】
変形例1-4の架電対象者決定システム1は、複数の架電候補者の各々の架電期間に応じた折返確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。これにより、折返確率が架電期間に応じて変わる場合に、架電期間に応じた折返確率を予測することによって、折返確率の予測精度が高まるので、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりやすくなる。
【0170】
[変形例1-5]
例えば、受電者制約は、受電時間帯だけではなく、受電が行われる曜日、月、又は季節といった他の要素も影響する可能性がある。例えば、架電候補者は、休日に折り返しの電話をすることがある。例えば、カード会社に対する問い合わせは、クレジットカードの締め日又は特定の季節に集中する可能性もある。このため、受電時間帯だけではなく、曜日、月、又は季節といった他の要素に応じた受電者制約が取得されるようにしてもよい。
【0171】
変形例1-5の受電者制約取得部103Bは、折り返しの電話を受ける受電期間に基づいて、受電者制約を取得してもよい。受電期間は、受電が予測される期間である。受電時間帯以外にも、先述した曜日、月、又は季節が架電期間に相当する。変形例1-5では、これらの受電期間ごとに、受電者制約が用意されているものとする。受電者制約取得部103Bは、現在の受電期間に応じた受電者制約を取得する。
【0172】
架電対象者決定部105は、受電期間に応じた受電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。架電対象者決定部105の処理は、受電期間に応じた受電者制約が利用される点で実施形態とは異なるが、他の点については同様である。
【0173】
変形例1-5の架電対象者決定システム1は、受電期間に応じた受電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、受電者制約が受電期間に応じて変わる場合に、現在の受電期間に応じた受電者制約が満たされるようになるので、架電対象者からの折り返しの電話が繋がりやすくなる。
【0174】
[変形例1-6]
例えば、第1の構成でも、架電対象者決定システム1は、架電者制約取得部103Aを含んでもよい。架電者制約取得部103Aは、架電を行う架電者のキャパシティの制約に関する架電者制約を取得する。架電者制約については、実施形態で説明した通りである。架電対象者決定部105は、受電者制約及び架電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。架電者制約が満たされるとは、架電対象者の数が架電者制約の範囲内に収まることである。架電対象者決定部105は、実施形態で説明した決定方法で決定する架電対象者の数が架電者制約の範囲内となるように、複数の架電対象者を決定する。
【0175】
変形例1-6の架電対象者決定システム1は、受電者制約及び架電者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、架電者制約を大幅に超えるような架電対象者が決定されてしまうといったことを防止できる。カード会社のキャパシティの範囲内で現実的な業務計画を立てることができる。
【0176】
[変形例1-7]
例えば、実施形態では、折り返しの電話が受電者制約を満たすように、架電対象者が決定される場合を説明した。架電対象者の決定方法は、実施形態で説明した方法ではなく、特に受電者制約が考慮されなくてもよい。変形例1-7では、受電者制約の概念がなくてもよい。このため、架電対象者決定システム1に受電者制約取得部103Bが含まれなくてもよい。変形例1-7の架電対象者決定システム1は、折返確率予測部102B、架電対象者決定部105、及び計画部108を含む。折返確率予測部102Bは、実施形態と同様であってよい。
【0177】
変形例1-7の架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の中から、架電の対象となる複数の架電対象者を決定する。例えば、架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の中から、ランダムに複数の架電対象者を決定してもよい。例えば、架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の中から、滞納額が多い順に所定数の複数の架電対象者を決定してもよい。例えば、架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の中から、滞納額が閾値以上の架電候補者の全てを、複数の架電対象者として決定してもよい。
【0178】
計画部108は、複数の架電対象者の各々の折返確率に基づいて、折り返しの電話を受ける受電者に関する計画を行う。この計画は、受電者の数の計画である。例えば、コールセンターで折り返しの電話を受電する場合には、コールセンターの出勤シフトは、計画に相当する。計画部108は、架電対象者の数と、個々の架電対象者の折返確率と、に基づいて、折り返しの電話の受電量を予測する。
【0179】
計画部108は、当該予測された折り返しの電話の受電量を下回らないように、計画を行う。計画部108は、受電時間帯ごとに、計画を行ってもよい。即ち、計画部108は、受電時間帯ごとに、当該受電時間帯における折り返しの電話の受電量を予測し、当該予測された折り返しの電話の受電量を下回らないように、計画を行う。計画部108は、折り返しの電話以外の他の電話の受電量も考慮して、計画を行ってもよい。例えば、計画部108は、折り返しの電話の受電量と、他の電話の受電量と、を合計した受電量を下回らないように、計画を行う。他の電話の受電量の詳細は、変形例1-2で説明した通りである。
【0180】
変形例1-7の架電対象者決定システム1は、複数の架電対象者の各々の折返確率に基づいて、折り返しの電話を受ける受電者に関する計画を行う。これにより、折り返しの電話が繋がりやすくなる。カード会社からしても、折り返しの電話が相対的に少ない受電時間帯に受電者に休憩を取らせたり、折り返しの電話が相対的に多い受電時間帯の出勤シフトを厚くしたりすることができるので、有効な業務支援を実現できる。
【0181】
[5-2.第2の構成に関する変形例]
次に、第2の構成に関する変形例を説明する。
【0182】
[変形例2-1]
例えば、通話者制約取得部103は、架電が行われる架電時間帯ごとに、通話者制約を取得してもよい。実施形態で説明したように、通話者制約は、架電者制約及び受電者制約を包含する概念である。架電時間帯ごとの架電者制約及び受電者制約については、第1の構成で説明した通りである。実施形態で説明した他の制約が通話者制約に相当する場合には、架電時間帯ごとの通話者制約が予めデータ記憶部100に記憶されているものとする。
【0183】
変形例2-1の架電対象者決定部105は、架電時間帯ごとに、当該架電時間帯の通話者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。架電者時間帯ごとの通話者制約が満たされるように架電対象者を決定する方法は、第1の構成で説明した通りである。変形例2-1では、更に成果が考慮される点で第1の構成とは異なるが、他の点については同様である。
【0184】
変形例2-1の架電対象者決定システム1は、架電時間帯ごとに、当該架電時間帯の通話者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、架電時間帯ごとの通話者制約とすることができるので、カード会社のキャパシティをより柔軟に考慮して架電対象者を決定し、架電対象者との電話がより繋がりやすくなる。
【0185】
[変形例2-2]
例えば、第2の構成でも、変形例1-1と同様に、架電対象者決定部105は、架電が行われる架電時間帯ごとに、直近の架電時間帯で架電対象者になった架電候補者が当該架電時間帯で架電対象者になりにくくなるように、複数の架電対象者を決定してもよい。この処理の詳細は、変形例1-1で説明した通りである。
【0186】
変形例2-2の架電対象者決定システム1は、架電が行われる架電時間帯ごとに、直近の架電時間帯で架電対象者になった架電候補者が当該架電時間帯で架電対象者になりにくくなるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、変形例1-1と同様に、特定の架電対象者に対して連続して架電が発生するといったことを防止できる。
【0187】
[変形例2-3]
例えば、第2の構成でも、変形例1-3と同様に、回数制約取得部107は、複数の架電候補者の各々に対する架電回数の制約に関する回数制約を取得してもよい。更に、架電対象者決定部105は、回数制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定してもよい。これらの処理の詳細は、変形例1-3で説明した通りである。
【0188】
変形例2-3の架電対象者決定システム1は、回数制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、変形例1-3と同様に、ある特定の架電候補者に対して大量の架電が発生するといったことを防止できる。
【0189】
[変形例2-4]
例えば、第2の構成でも、変形例1-4と同様に、通話確率予測部102は、通話が行われる通話期間に基づいて、複数の架電候補者の各々の通話確率を予測してもよい。更に、架電対象者決定部105は、複数の架電候補者の各々の通話期間に応じた通話確率に基づいて、複数の架電対象者を決定してもよい。通話確率が折返確率だけではない点で変形例1-4とは異なるが、他の点については、変形例1-4と同様である。
【0190】
変形例2-4の架電対象者決定システム1は、複数の架電候補者の各々の通話期間に応じた通話確率に基づいて、複数の架電対象者を決定する。これにより、通話確率が通話期間に応じて変わる場合に、通話期間に応じた通話確率を予測することによって、通話確率の予測精度が高まるので、架電対象者との電話が繋がりやすくなる。
【0191】
[変形例2-5]
例えば、第2の構成でも、変形例1-5と同様に、通話者制約取得部103は、通話が行われる通話期間に基づいて、通話者制約を取得してもよい。更に、架電対象者決定部105は、通話期間に応じた通話者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定してもよい。通話者制約が受電者制約だけではない点で変形例1-5と異なるが、他の点については、変形例1-5と同様である。
【0192】
変形例2-5の架電対象者決定システム1は、通話期間に応じた通話者制約が満たされるように、複数の架電対象者を決定する。これにより、通話者制約が通話期間に応じて変わる場合に、現在の通話期間に応じた通話者制約が満たされるようになるので、架電対象者との電話が繋がりやすくなる。
【0193】
[5-3.その他の変形例]
例えば、上記説明した変形例を組み合わせてもよい。
【0194】
例えば、架電対象者決定システム1は、第2の構成を含まずに、第1の構成だけを含んでもよい。この場合、架電対象者決定システム1は、架電候補者からの成果を特に予測せずに、受電者制約が満たされるように、架電対象者を決定すればよい。この場合、架電対象者決定システム1は、架電時間帯及び受電時間帯に関係なく、1日全体の受電者制約が満たされるように、架電対象者を決定してもよい。架電対象者決定システム1は、応答確率を特に予測せずに、折返確率だけに基づいて、架電対象者を決定してもよい。
【0195】
例えば、架電対象者決定システム1は、第1の構成を含まずに、第2の構成だけを含んでもよい。この場合、架電対象者決定システム1は、受電者制約に特に関係なく、架電者制約が満たされ、かつ、架電者対象全体の成果が高くなるように、架電対象者を決定すればよい。この場合、架電時間帯及び受電時間帯に関係なく、1日全体の架電者制約が満たされるように、架電対象者を決定してもよい。架電対象者決定システム1は、折返確率を特に予測せずに、応答確率だけに基づいて、架電対象者を決定してもよい。
【0196】
例えば、カード会社が督促の電話をする業務に架電対象者決定システム1が利用される場合を例に挙げたが、架電対象者決定システム1は、他の業務に利用可能である。例えば、カード会社又は銀行といった種々の会社における営業電話の業務に架電対象者決定システム1を利用してもよいし、通信会社におけるサービス内容の確認をする電話の業務に架電対象者決定システム1を利用してもよい。例えば、官公庁における電話の業務に架電対象決定システムを利用してもよい。その他、任意の業種の業務に架電対象者決定システム1が利用されてよい。
【0197】
[6.付記]
例えば、架電対象者決定システム1は、下記のような構成も可能である。
【0198】
(1)
複数の架電候補者の各々が電話に出ずに折り返しの電話をする確率に関する折返確率を予測する折返確率予測部と、
前記折り返しの電話を受ける受電者のキャパシティの制約に関する受電者制約を取得する受電者制約取得部と、
前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率に基づいて、前記受電者制約が満たされるように、前記複数の架電候補者の中から、架電の対象となる複数の架電対象者を決定する架電対象者決定部と、
を含む架電対象者決定システム。
(2)
前記架電対象者決定システムは、前記複数の架電候補者の各々の特徴に関する特徴情報を取得する特徴情報取得部を更に含み、
前記折返確率予測部は、前記複数の架電候補者の各々の前記特徴情報に基づいて、当該架電候補者の前記折返確率を予測する、
(1)に記載の架電対象者決定システム。
(3)
前記折返確率予測部は、前記折り返しの電話を受ける受電時間帯ごとに、前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率を予測し、
前記架電対象者決定部は、前記受電時間帯ごとに、前記複数の架電候補者の各々の当該受電時間帯の前記折返確率に基づいて、前記複数の架電対象者を決定する、
(1)又は(2)に記載の架電対象者決定システム。
(4)
前記受電者制約取得部は、前記折り返しの電話を受ける受電時間帯ごとに、前記受電者制約を取得し、
前記架電対象者決定部は、前記受電時間帯ごとに、当該受電時間帯における前記受電者制約が満たされるように、前記複数の架電対象者を決定する、
(1)~(3)の何れかに記載の架電対象者決定システム。
(5)
前記折返確率予測部は、前記架電が行われる架電時間帯ごとに、前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率を予測し、
前記架電対象者決定部は、前記架電時間帯ごとに、前記複数の架電候補者の各々の当該架電時間帯の前記折返確率に基づいて、前記複数の架電対象者を決定する、
(1)~(4)の何れかに記載の架電対象者決定システム。
(6)
前記架電対象者決定システムは、前記複数の架電候補者の各々が前記架電に応答する応答確率を予測する応答確率予測部を更に含み、
前記架電対象者決定部は、前記複数の架電候補者の各々の前記応答確率及び前記折返確率に基づいて、前記複数の架電対象者を決定する、
(1)~(5)の何れかに記載の架電対象者決定システム。
(7)
前記架電対象者決定部は、前記架電が行われる架電時間帯ごとに、直近の前記架電時間帯で前記架電対象者になった前記架電候補者が当該架電時間帯で前記架電対象者になりにくくなるように、前記複数の架電対象者を決定する、
(1)~(6)の何れかに記載の架電対象者決定システム。
(8)
前記架電対象者決定システムは、前記折り返しの電話以外の他の電話に関する受電量を予測する受電量予測部を更に含み、
前記受電者は、前記他の電話も受ける可能性があり、
前記架電対象者決定部は、前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率と、前記他の電話の前記受電量と、に基づいて、前記受電者制約が満たされるように、前記複数の架電対象者を決定する、
(1)~(7)の何れかに記載の架電対象者決定システム。
(9)
前記架電対象者決定システムは、前記複数の架電候補者の各々に対する架電回数の制約に関する回数制約を取得する回数制約取得部を更に含み、
前記架電対象者決定部は、前記回数制約が満たされるように、前記複数の架電対象者を決定する、
(1)~(8)の何れかに記載の架電対象者決定システム。
(10)
前記折返確率予測部は、前記架電が行われる架電期間に基づいて、前記複数の架電候補者の各々の前記折返確率を予測し、
前記架電対象者決定部は、前記複数の架電候補者の各々の前記架電期間に応じた前記折返確率に基づいて、前記複数の架電対象者を決定する、
(1)~(9)の何れかに記載の架電対象者決定システム。
(11)
前記受電者制約取得部は、前記折り返しの電話を受ける受電期間に基づいて、前記受電者制約を取得し、
前記架電対象者決定部は、前記受電期間に応じた前記受電者制約が満たされるように、前記複数の架電対象者を決定する、
(1)~(10)の何れかに記載の架電対象者決定システム。
(12)
前記架電対象者決定システムは、前記架電を行う架電者のキャパシティの制約に関する架電者制約を取得する架電者制約取得部を更に含み、
前記架電対象者決定部は、前記受電者制約及び前記架電者制約が満たされるように、前記複数の架電対象者を決定する、
(1)~(11)の何れかに記載の架電対象者決定システム。
(13)
前記複数の架電候補者の各々は、クレジットカードの会員であり、
前記受電者は、前記クレジットカードを発行したカード会社の担当者であり、
前記架電は、前記クレジットカードに関する電話である、
(1)~(12)の何れかに記載の架電対象者決定システム。
【符号の説明】
【0199】
1 架電対象者決定システム、N ネットワーク、10 サーバ、11,21,31 制御部、12,22,32 記憶部、13,23,33 通信部、24,34 操作部、25,35 表示部、20 担当者端末、30 会員端末、D 確率予測データ、G 業務支援画面、L 架電対象者リスト、M,M1,M2,M3,M4,M5 予測モデル、V 合計、W 耐重量、i 品物、v 価値、w 重量、DB 架電候補者データベース、100 データ記憶部、101 特徴情報取得部、102 通話確率予測部、102A 応答確率予測部、102B 折返確率予測部、103 通話者制約取得部、103A 架電者制約取得部、103B 受電者制約取得部、104 成果予測部、105 架電対象者決定部、106 受電量予測部、107 回数制約取得部、108 計画部。
【要約】
【課題】架電対象者からの折り返しの電話を繋がりやすくする。
【解決手段】架電対象者決定システム(1)の折返確率予測部(102B)は、複数の架電候補者の各々が電話に出ずに折り返しの電話をする確率に関する折返確率を予測する。受電者制約取得部(103B)は、折り返しの電話を受ける受電者のキャパシティの制約に関する受電者制約を取得する。架電対象者決定部(105)は、複数の架電候補者の各々の折返確率に基づいて、受電者制約が満たされるように、複数の架電候補者の中から、架電の対象となる複数の架電対象者を決定する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11