(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】紙幣管理システム及び紙幣管理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/40 20190101AFI20231020BHJP
G07D 11/10 20190101ALI20231020BHJP
【FI】
G07D11/40
G07D11/10
(21)【出願番号】P 2022124665
(22)【出願日】2022-08-04
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】523101394
【氏名又は名称】NXキャッシュ・ロジスティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 亮祐
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-12259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の紙幣の正損分類を行う紙幣整理機と、
前記紙幣の再生処理に関する情報を管理する紙幣管理装置と、
前記紙幣に再生処理を行う再生処理装置と、を備える紙幣管理システムであって、
前記紙幣整理機は、複数の紙幣の正損分類と同時に、前記紙幣の記番号、金種及び汚損レベルを読み取り、
前記紙幣管理装置は、
前記正損分類によって損券であると判定された紙幣から、前記汚損レベルに応じて前記紙幣が再生可能であるか否かを判定する再生可能判定部と、
前記紙幣の記番号と前記紙幣の過去の再生処理回数とを対応付けて記憶する記番号管理記憶部と、
前記紙幣が再生可能である場合、前記記番号管理記憶部から前記記番号及び前記記番号と対応付けて記憶された前記過去の再生処理回数を読み出し、前記過去の再生処理回数が設定回数以下であるか否かを判定する再生条件判定部と、
前記再生処理装置によって前記再生処理を行った前記紙幣の前記記番号に対応付けられる前記再生処理回数を更新する回数更新部と、
を備え、
前記再生処理装置は、前記過去の再生処理回数が前記設定回数以下である場合、前記紙幣に再生処理を行い、
前記紙幣整理機は、前記再生処理回数を更新した後に、前記正損分類を行い、正券であると判定された前記紙幣を再流通用の紙幣として取り扱う、
紙幣管理システム。
【請求項2】
前記再生処理装置は、前記過去の再生処理回数が前記設定回数を超える場合、前記紙幣に再生処理を行わない、請求項1に記載の紙幣管理システム。
【請求項3】
前記再生処理は、前記紙幣を洗浄する工程、前記紙幣の皺を伸ばす工程及び前記紙幣を除菌する工程の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の紙幣管理システム。
【請求項4】
前記記番号管理記憶部は、前記紙幣の記番号、前記紙幣の前記過去の再生処理回数
及び前記紙幣の過去の再生処理日
時を対応付けて記憶し、
前記再生条件判定部は、前記紙幣が再生可能である場合、前記過去の再生処理回数に代えて、前記記番号管理記憶部から前記記番号及び前記記番号と対応付けて記憶された前記過去の再生処理日時を読み出し、前記過去の再生処理日時
が設定期間以上又は前記設定期間以内であるか否かを判定する、
請求項1に記載の紙幣管理システム。
【請求項5】
前記再生条件判定部は、
前記過去の再生処理回数が
前記設定回数以下であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たすか否かを判定し、
前記再生処理装置は、前記過去の再生処理回数が前記設定回数以下であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たす場合、前記紙幣に再生処理を行い、
前記紙幣の判定条件は、過去に特定の再生拠点において再生処理が行われたこと、又は過去に特定の再生手法によって再生処理が行われたことを含む、
請求項1に記載の紙幣管理システム。
【請求項6】
前記再生条件判定部は、
前記過去の再生処理日時が
前記設定期間以上又は
前記設定期間以内であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たすか否かを判定し、
前記再生処理装置は、前記過去の再生処理日時が前記設定期間以上又は前記設定期間以内であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たす場合、前記紙幣に再生処理を行い、
前記紙幣の判定条件は、過去に特定の再生拠点において再生処理が行われたこと、又は過去に特定の再生手法によって再生処理が行われたことを含む、
請求項4に記載の紙幣管理システム。
【請求項7】
複数の紙幣の正損分類を行う紙幣整理機と、前記紙幣の再生処理に関する情報を管理する紙幣管理装置と、前記紙幣に再生処理を行う再生処理装置と、を備える紙幣管理システムにおける紙幣管理方法であって、
前記紙幣整理機によって、複数の紙幣の正損分類と同時に、前記紙幣の記番号、金種及び汚損レベルを読み取る工程と、
前記紙幣管理装置によって、前記正損分類によって損券であると判定された紙幣から、前記汚損レベルに応じて前記紙幣が再生可能であるか否かを判定する工程と、
前記紙幣管理装置によって、前記紙幣が再生可能である場合、記番号管理記憶部から前記記番号及び前記記番号と対応付けて記憶された過去の再生処理回数を読み出し、前記過去の再生処理回数が設定回数以下であるか否かを判定する工程と、
前記再生処理装置によって、前記過去の再生処理回数が前記設定回数以下である場合、前記紙幣に再生処理を行う工程と、
前記紙幣管理装置によって、前記再生処理を行った前記紙幣の前記記番号に対応付けられる前記再生処理回数を更新する工程と、
前記紙幣整理機によって、前記再生処理回数を更新した後に、前記正損分類を行い、正券であると判定された前記紙幣を再流通用の紙幣として取り扱う工程と、
を備える紙幣管理方法。
【請求項8】
前記再生処理装置によって、前記過去の再生処理回数が前記設定回数を超える場合、前記紙幣に再生処理を行わない工程を更に備える、請求項7に記載の紙幣管理方法。
【請求項9】
前記再生処理は、前記紙幣を洗浄する工程、前記紙幣の皺を伸ばす工程及び前記紙幣を除菌する工程の少なくとも1つを含む、請求項7に記載の紙幣管理方法。
【請求項10】
前記記番号管理記憶部は、前記紙幣の記番号、前記紙幣の過去の再生処理回数及び前記紙幣の過去の再生処理日時を対応付けて記憶し、
前記再生処理回数を判定する工程は、前記紙幣が再生可能である場合、前記過去の再生処理回数に代えて、前記記番号管理記憶部から前記記番号及び前記記番号と対応付けて記憶された前記過去の再生処理日時を読み出し、前記過去の再生処理日時
が設定期間以上又は前記設定期間以内であるか否かを判定することを含む、請求項7に記載の紙幣管理方法。
【請求項11】
前記再生処理回数を判定する工程は、前記過去の再生処理回数が
前記設定回数以下であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たすか否かを判定し、
前記再生処理装置によって、前記過去の再生処理回数が前記設定回数以下であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たす場合、前記紙幣に再生処理を行う工程を更に備え、
前記紙幣の判定条件は、過去に特定の再生拠点において再生処理が行われたこと、又は過去に特定の再生手法によって再生処理が行われたことを含む、
請求項7に記載の紙幣管理方法。
【請求項12】
前記再生処理回数を判定する工程は、前記過去の再生処理日時が
前記設定期間以上又は
前記設定期間以内であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たすか否かを判定し、
前記再生処理装置によって、前記過去の再生処理日時が前記設定期間以上又は前記設定期間以内であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たす場合、前記紙幣に再生処理を行う工程を更に備え、
前記紙幣の判定条件は、過去に特定の再生拠点において再生処理が行われたこと、又は過去に特定の再生手法によって再生処理が行われたことを含む、
請求項10に記載の紙幣管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣管理システム及び紙幣管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、銀行等の金融機関において、紙幣及び貨幣等の現金を処理及び管理するためのシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、紙幣は、年間約3000トンも裁断及び廃棄されている。このように裁断及び廃棄される紙幣を削減し、紙幣の再発行枚数を抑えることが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、裁断及び廃棄される紙幣を削減し、紙幣の再発行枚数を抑え、偽造抵抗力や紙幣のクリーン度を維持することができる紙幣管理システム及び紙幣管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の紙幣の正損分類を行う紙幣整理機と、前記紙幣の再生処理に関する情報を管理する紙幣管理装置と、前記紙幣に再生処理を行う再生処理装置と、を備える紙幣管理システムであって、前記紙幣整理機は、複数の紙幣の正損分類と同時に、前記紙幣の記番号、金種及び汚損レベルを読み取り、前記紙幣管理装置は、前記正損分類によって損券であると判定された紙幣から、前記汚損レベルに応じて前記紙幣が再生可能であるか否かを判定する再生可能判定部と、前記紙幣の記番号と前記紙幣の過去の再生処理回数とを対応付けて記憶する記番号管理記憶部と、前記紙幣が再生可能である場合、前記記番号管理記憶部から前記記番号及び前記記番号と対応付けて記憶された前記過去の再生処理回数を読み出し、前記過去の再生処理回数が設定回数以下であるか否かを判定する再生条件判定部と、前記再生処理装置によって前記再生処理を行った前記紙幣の前記記番号に対応付けられる前記再生処理回数を更新する回数更新部と、を備え、前記再生処理装置は、前記過去の再生処理回数が前記設定回数以下である場合、前記紙幣に再生処理を行い、前記紙幣整理機は、前記再生処理回数を更新した後に、前記正損分類を行い、正券であると判定された前記紙幣を再流通用の紙幣として取り扱う、紙幣管理システムに関する。
【0007】
また、前記再生処理装置は、前記過去の再生処理回数が前記設定回数を超える場合、前記紙幣に再生処理を行わないことが好ましい。
【0008】
また、前記再生処理は、前記紙幣を洗浄する工程、前記紙幣の皺を伸ばす工程及び前記紙幣を除菌する工程の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0009】
また、前記記番号管理記憶部は、前記紙幣の記番号、前記紙幣の前記過去の再生処理回数と、前記紙幣の過去の再生処理日時と、を対応付けて記憶し、前記再生条件判定部は、前記紙幣が再生可能である場合、前記過去の再生処理回数に代えて、前記記番号管理記憶部から前記記番号及び前記記番号と対応付けて記憶された前記過去の再生処理日時を読み出し、前記過去の再生処理日時に応じて判定することが好ましい。
【0010】
また、前記再生条件判定部は、前記過去の再生処理回数が設定回数以下であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たすか否かを判定し、前記再生処理装置は、前記過去の再生処理回数が前記設定回数以下であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たす場合、前記紙幣に再生処理を行い、前記紙幣の判定条件は、過去に特定の再生拠点において再生処理が行われたこと、又は過去に特定の再生手法によって再生処理が行われたことを含むことが好ましい。
【0011】
また、前記再生処理装置は、前記過去の再生処理日時が前記設定期間以上又は前記設定期間以内であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たす場合、前記紙幣に再生処理を行い、前記紙幣の判定条件は、過去に特定の再生拠点において再生処理が行われたこと、又は過去に特定の再生手法によって再生処理が行われたことを含むことが好ましい。
【0012】
本発明は、複数の紙幣の正損分類と同時に、前記紙幣の記番号、金種及び汚損レベルを読み取る工程と、前記正損分類によって損券であると判定された紙幣から、前記汚損レベルに応じて前記紙幣が再生可能であるか否かを判定する工程と、前記紙幣が再生可能である場合、記番号管理記憶部から前記記番号及び前記記番号と対応付けて記憶された前記過去の再生処理回数を読み出し、前記過去の再生処理回数が設定回数以下であるか否かを判定する工程と、前記過去の再生処理回数が前記設定回数以下である場合、前記紙幣に再生処理を行う工程と、前記再生処理を行った前記紙幣の前記記番号に対応付けられる前記再生処理回数を更新する工程と、前記再生処理回数を更新した後に、前記正損分類を行い、正券であると判定された前記紙幣を再流通用の紙幣として取り扱う工程と、を備える紙幣管理方法に関する。
【0013】
また、前記過去の再生処理回数が前記設定回数を超える場合、前記紙幣に再生処理を行わない工程を更に備えることが好ましい。
【0014】
また、前記再生処理は、前記紙幣を洗浄する工程、前記紙幣の皺を伸ばす工程及び前記紙幣を除菌する工程の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0015】
また、前記再生処理回数を判定する工程は、前記紙幣が再生可能である場合、前記過去の再生処理回数に代えて、前記記番号管理記憶部から前記記番号及び前記記番号と対応付けて記憶された前記過去の再生処理日時を読み出し、前記過去の再生処理日時に応じて判定することを含むことが好ましい。
【0016】
また、前記再生処理回数を判定する工程は、前記過去の再生処理回数が設定回数以下であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たすか否かを判定し、前記過去の再生処理回数が前記設定回数以下であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たす場合、前記紙幣に再生処理を行う工程を更に備え、前記紙幣の判定条件は、過去に特定の再生拠点において再生処理が行われたこと、又は過去に特定の再生手法によって再生処理が行われたことを含むことが好ましい。
【0017】
また、前記再生処理回数を判定する工程は、前記過去の再生処理日時が設定期間以上又は設定期間以内であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たすか否かを判定し、前記過去の再生処理日時が前記設定期間以上又は前記設定期間以内であり、かつ前記紙幣の判定条件を満たす場合、前記紙幣に再生処理を行う工程を更に備え、前記紙幣の判定条件は、過去に特定の再生拠点において再生処理が行われたこと、又は過去に特定の再生手法によって再生処理が行われたことを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、裁断及び廃棄される紙幣を削減し、紙幣の再発行枚数を抑え、偽造抵抗力や紙幣のクリーン度を維持することができる紙幣管理システム及び紙幣管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る紙幣管理システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る紙幣管理装置の概要を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る紙幣管理方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態に係る紙幣管理方法を用いて再生された紙幣のサンプルデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る紙幣管理システム1の概要を示す図である。紙幣管理システム1は、紙幣に関する情報を管理するためのシステムである。紙幣管理システム1は、好ましくは、現金センターにおいて用いられる。
図1に示すように、紙幣管理システム1は、紙幣整理機2と、紙幣管理装置3と、再生処理装置4と、管理サーバ5と、を備える。また、紙幣管理システム1は、有線及び無線通信のためのネットワークと接続され、ネットワークを介して、金融機関等のサーバと接続可能である。
【0021】
紙幣整理機2は、紙幣の真贋判定、計数、選別分類、表裏方向整理、天地方向整理、正損分類、記番号、金種及び汚損レベルの読み取り等の紙幣処理を行うための装置であり、これらの紙幣処理を行うための機構部、制御部等を備える。
【0022】
紙幣管理装置3は、紙幣整理機2によって行われた正損分類、記番号、金種及び汚損レベルに基づいて紙幣の再生処理に関する情報を管理するコンピュータ装置であり、紙幣整理機2、再生処理装置4及び管理サーバ5と接続される。
【0023】
再生処理装置4は、紙幣管理装置3によって再生処理が可能であると判定された紙幣に対して再生処理を行うための装置である。ここで、再生処理は、紙幣を洗浄する工程、紙幣の皺を伸ばす工程及び紙幣を除菌する工程の少なくとも1つを含む。
【0024】
再生処理は、例えば、紙幣を洗浄する工程及び紙幣の皺を伸ばす工程のいずれかを含み、更に、紙幣を除菌する工程を含むことが好ましい。また、再生処理は、紙幣を洗浄する工程、紙幣の皺を伸ばす工程及び紙幣を除菌する工程を全て含んでもよく、紙幣を洗浄する工程、紙幣の皺を伸ばす工程及び紙幣を除菌する工程のいずれか1つであってもよい。
【0025】
再生処理装置4は、このような紙幣の再生処理を行うために、搬送機構部、再生処理機構部、制御部等を備える。
【0026】
管理サーバ5は、紙幣整理機2、紙幣管理装置3及び再生処理装置4と通信可能に接続される。管理サーバ5は、記番号の読み取り順及び読み取り日時、記番号、金種、汚損レベル、ユニークコード等の情報を個別データとして管理する。また、管理サーバ5は、金融機関等のコンピュータ装置とも通信可能に接続される。
【0027】
図2は、本実施形態に係る紙幣管理装置3の概要を示すブロック図である。
図2に示すように、紙幣管理装置3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、表示部34と、操作部35と、を備える。
【0028】
制御部31は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部又は全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部を含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0029】
また、制御部31は、再生可能判定部311と、再生条件判定部312と、再生処理制御部313と、回数更新部314と、を備える。
【0030】
記憶部32は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM等の非一過性の記憶媒体を備える記憶装置、又はRAM等により実現される。例えば、記憶部32は、紙幣整理機2によって読み取った紙幣の記番号と、紙幣の過去の再生処理回数と、紙幣の過去の再生処理日時と、を対応付けて記憶する記番号管理記憶部321を有する。
【0031】
通信部33は、ネットワークを介して管理サーバ5等の外部機器と通信するための通信インターフェースである。
表示部34は、画像を表示する装置である。表示部34は、例えば、LCDや有機EL等である。
【0032】
操作部35は、表示部34を操作するためのボタン等で構成される。また、表示部34及び操作部35は、これらの機能が一体に構成されたタッチパネルであってもよい。この場合、操作部35は、表示部34に表示されるGUIスイッチであってもよい。また、操作部35は、機械式のボタンであってもよい。
【0033】
再生可能判定部311は、紙幣整理機2による正損分類によって損券であると判定された紙幣から、汚損レベルに応じて紙幣が再生可能であるか否かを判定する。具体的には、再生可能判定部311は、汚損レベルが、再生可能な所定の閾値未満である場合、紙幣が再生可能であると判定する。一方、再生可能判定部311は、汚損レベルが、再生可能な所定の閾値以上である場合、紙幣が再生できないと判定する。
【0034】
再生条件判定部312は、紙幣が再生可能である場合、記番号管理記憶部321から記番号及び記番号と対応付けて記憶された過去の再生処理回数を読み出し、過去の再生処理回数が設定回数以下であるか否かを判定する。また、再生条件判定部312は、記番号管理記憶部321から記番号及び記番号と対応付けて記憶された過去の再生処理日時を読み出し、過去の再生処理日時に応じて判定してもよい。
【0035】
具体的には、再生条件判定部312は、記番号管理記憶部321から記番号及び記番号と対応付けて記憶された過去の再生処理日時を読み出し、過去の再生処理日時が設定期間以内であるか否かを判定してもよい。これにより、紙幣管理システム1は、設定期間以内に戻ってきた紙幣を再生することによって、再生処理時に使用する洗浄材や糊の劣化等の影響を低減できる。
【0036】
また、再生条件判定部312は、記番号管理記憶部321から記番号及び記番号と対応付けて記憶された過去の再生処理日時を読み出し、過去の再生処理日時が設定期間以上であるか否かを判定してもよい。これにより、紙幣管理システム1は、設定期間以上で戻ってきた紙幣を再生することによって、短い期間で損券として戻ってきた紙幣を再流通に適さないものとして判別できる。
【0037】
再生処理制御部313は、再生処理を行うための指令を紙幣整理機2や再生処理装置4へ出力する。例えば、再生処理制御部313は、過去の再生処理回数が設定回数以下である場合、当該過去の再生処理回数に対応する紙幣を、搬送機構等によって紙幣整理機2から再生処理装置4へ自動的に搬送する。また、再生処理制御部313は、過去の再生処理日時が設定期間以内又は設定期間以上である場合、当該過去の再生処理日時に対応する紙幣を、搬送機構等によって紙幣整理機2から再生処理装置4へ自動的に搬送する。
【0038】
また、例えば、紙幣整理機2による処理の後、紙幣整理機2は、正券と損券とを紙幣整理機2の別々の排出口からそれぞれ排出する。そして、再生処理制御部313は、読み取り順、金種、記番号、色を含めた再生可能紙幣一覧を表示部34に表示させ、人の手により該当の紙幣を抜き出し、記番号管理記憶部321に記憶される再生回数を更新するために設けられた「回数更新」ボタン押下と同時に、該当の紙幣を再生処理装置4にセットしてもよい。
【0039】
回数更新部314は、再生処理装置4によって再生処理を行った紙幣の記番号に対応付けられる再生処理回数を更新(カウントアップ)し、再生処理を行った紙幣の記番号及び更新した再生処理回数を記番号管理記憶部321に記憶する。
【0040】
図3は、本実施形態に係る紙幣管理方法の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1において、紙幣整理機2は、複数の紙幣の真贋判定及び正損分類と同時に、紙幣の記番号、金種及び汚損レベルを読み取る。
【0041】
ステップS2において、紙幣管理装置3の再生可能判定部311は、紙幣整理機2による正損分類によって損券であると判定された紙幣から、汚損レベルに応じて紙幣が再生可能であるか否かを判定する。再生可能である場合(YES)、処理は、ステップS3へ移る。一方、再生可能でない場合(NO)、処理は、ステップS9へ移る。
【0042】
ステップS3において、再生条件判定部312は、記番号管理記憶部321から記番号及び記番号と対応付けて記憶された過去の再生処理回数を読み出し、過去の再生処理回数が設定回数以下であるか否かを判定する。過去の再生処理回数が設定回数以下である場合(YES)、処理は、ステップS4へ移る。一方、過去の再生処理回数が設定回数を超える場合(NO)、処理は、ステップS9へ移る。
【0043】
ステップS4において、再生処理制御部313は、過去の再生処理回数が設定回数以下である場合、当該過去の再生処理回数に対応する紙幣を、搬送機構等によって紙幣整理機2から再生処理装置4へ自動的に搬送する。再生処理装置4は、再生処理制御部313からの指令に従い、紙幣に再生処理を行う。
【0044】
ステップS5において、回数更新部314は、再生処理装置4によって再生処理を行った紙幣の記番号に対応付けられる再生処理回数を更新し、再生処理を行った紙幣の記番号及び更新した再生処理回数を記番号管理記憶部321に記憶する。
【0045】
ステップS6において、紙幣整理機は、再生処理回数を更新した後に、紙幣の正損分類を再び行う。紙幣が正券である場合(YES)、処理は、ステップS7へ移る。一方、紙幣が損券である場合(NO)、処理は、ステップS9へ移る。また、紙幣が損券である場合(NO)、ステップS9へ移ることに代えて、処理は、ステップS2又はステップS4へ移り、再度紙幣再生処理を行ってもよい。
【0046】
ステップS7において、紙幣整理機は、ステップS3において過去の再生処理回数が設定回数以下である(再生可能と判定された)と判定された紙幣と同一の紙幣が再生処理されたか否かを判定する。同一の紙幣が再生処理された場合(YES)、処理は、ステップS8へ移る。一方、同一の紙幣が再生処理されなかった場合(NO)、処理は、ステップS9へ移る。これにより、紙幣整理機は、再生不可能紙幣が混入していないか、又は再生可能な紙幣が適切に再生処理されたかをチェックすることができる。
【0047】
ステップS8において、紙幣整理機2は、正券であると判定された紙幣を再流通用の紙幣として取り扱う。
ステップS9において、紙幣整理機2は、損券であると判定された紙幣を廃棄用の紙幣として取り扱う。
【0048】
図4は、本実施形態に係る紙幣管理方法を用いて再生された紙幣のサンプルデータを示す図である。
図4では、
図4の上段に示される再生処理前の紙幣と、
図4の下段に示される再生処理後の紙幣との汚損レベルの合計(項目「汚損計」の値)を示している。また、
図4の中断には、紙幣の再生処理中のデータを示す。
【0049】
再生処理前の紙幣では、汚損レベルの合計が、26であったのに対して、再生処理後の紙幣では、汚損レベルの合計が、9となり、汚損レベルが大幅に改善されていることがわかる。また、汚損レベルの合計が、26の場合、紙幣整理機2は、当該紙幣を損券であると判定するが、汚損レベルの合計が、9となった場合、紙幣整理機2は、当該紙幣を正券であると判定する。このように再生処理後の紙幣は、再流通用の紙幣として取り扱うことができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る紙幣管理システム1は、複数の紙幣の正損分類を行う紙幣整理機2と、紙幣の再生処理に関する情報を管理する紙幣管理装置3と、紙幣に再生処理を行う再生処理装置4と、を備え、紙幣整理機2は、複数の紙幣の正損分類と同時に、紙幣の記番号、金種及び汚損レベルを読み取り、紙幣管理装置3は、正損分類によって損券であると判定された紙幣から、汚損レベルに応じて紙幣が再生可能であるか否かを判定する再生可能判定部311と、紙幣の記番号と紙幣の過去の再生処理回数とを対応付けて記憶する記番号管理記憶部321と、紙幣が再生可能である場合、記番号管理記憶部321から記番号及び記番号と対応付けて記憶された過去の再生処理回数を読み出し、過去の再生処理回数が設定回数以下であるか否かを判定する再生条件判定部312と、再生処理装置4によって再生処理を行った紙幣の記番号に対応付けられる再生処理回数を更新する回数更新部314と、を備え、再生処理装置4は、過去の再生処理回数が設定回数以下である場合、紙幣に再生処理を行い、紙幣整理機2は、再生処理回数を更新した後に、正損分類を行い、正券であると判定された紙幣を再流通用の紙幣として取り扱う。
【0051】
これにより、紙幣管理システム1は、裁断及び廃棄される紙幣を削減し、紙幣の再発行枚数を抑えることができる。更に、紙幣管理システム1は、汚損レベルや再生処理回数の設定回数によって紙幣を厳選処理することができるため、偽造抵抗力や紙幣のクリーン度を維持することができる。
【0052】
また、再生処理装置4は、過去の再生処理回数が設定回数を超える場合、紙幣に再生処理を行わない。これにより、紙幣管理システム1は、設定回数よりも多く再生処理が行われている紙幣を、再生せずに、廃棄用の紙幣として取り扱うことができる。
【0053】
また、再生処理は、紙幣を洗浄する工程、紙幣の皺を伸ばす工程及び紙幣を除菌する工程の少なくとも1つを含む。これにより、紙幣管理システム1は、紙幣を損券から正券に再生することができる。
【0054】
また、記番号管理記憶部321は、紙幣の記番号、紙幣の過去の再生処理回数と、紙幣の過去の再生処理日時と、を対応付けて記憶し、再生条件判定部312は、紙幣が再生可能である場合、過去の再生処理回数に代えて、記番号管理記憶部321から記番号及び記番号と対応付けて記憶された過去の再生処理日時を読み出し、過去の再生処理日時に応じて判定する。これにより、紙幣管理システム1は、再生処理日時の設定期間によって紙幣を厳選処理することができるため、偽造抵抗力や紙幣のクリーン度を維持することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0056】
例えば、紙幣管理システム1は、自拠点の再生情報のみを用いて、汚損レベルに応じて紙幣が再生可能であるか否かを判定してもよく、ネットワークを介して他の拠点の再生情報を共有し、共有した再生情報を用いて汚損レベルに応じて紙幣が再生可能であるか否かを判定してもよい。
【0057】
また、再生条件判定部312は、過去の再生処理回数又は過去の再生処理日時と共に、更に別に紙幣の判定条件を用いて判定を行ってもよい。具体的には、再生条件判定部312は、過去の再生処理回数が設定回数以下であり、かつ紙幣の判定条件を満たすか否かを判定し、再生処理装置4は、過去の再生処理回数が設定回数以下であり、かつ紙幣の判定条件を満たす場合、紙幣に再生処理を行ってもよい。
【0058】
または、再生条件判定部312は、過去の再生処理日時が設定期間以上又は設定期間以内であり、かつ紙幣の判定条件を満たすか否かを判定し、再生処理装置4は、過去の再生処理日時が設定期間以上又は設定期間以内であり、かつ紙幣の判定条件を満たす場合、紙幣に再生処理を行ってもよい。
【0059】
ここで、紙幣の判定条件は、過去に特定の再生拠点において再生処理が行われたこと、又は過去に特定の再生手法によって再生処理が行われたことを含んでもよい。例えば、紙幣の判定条件は、特定のC社において1回以上再生処理が行われた場合に、再生処理を不可とすることや、過去の再生処理において、すべて「洗浄」処理が行われている場合に、再生処理を不可とすることを含んでもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 紙幣管理システム
2 紙幣整理機
3 紙幣管理装置
4 再生処理装置
5 管理サーバ
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 表示部
35 操作部
311 再生可能判定部
312 再生条件判定部
313 再生処理制御部
314 回数更新部
【要約】
【課題】裁断及び廃棄される紙幣を削減し、紙幣の再発行枚数を抑え、偽造抵抗力や紙幣のクリーン度を維持することができる紙幣管理システム及び紙幣管理方法を提供すること。
【解決手段】紙幣管理システム1は、紙幣整理機2と、紙幣管理装置3と、再生処理装置4と、を備え、紙幣管理装置3は、汚損レベルに応じて紙幣が再生可能であるか否かを判定する再生可能判定部311と、紙幣の記番号と紙幣の過去の再生処理回数とを対応付けて記憶する記番号管理記憶部321と、紙幣が再生可能である場合、過去の再生処理回数が設定回数以下であるか否かを判定する再生条件判定部312と、再生処理装置4によって再生処理を行った紙幣の記番号に対応付けられる再生処理回数を更新する回数更新部314と、を備え、再生処理装置4は、過去の再生処理回数が設定回数以下である場合、紙幣に再生処理を行う。
【選択図】
図3