(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20231020BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
H04Q9/00 301C
G08B25/04 A
(21)【出願番号】P 2022169235
(22)【出願日】2022-10-21
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】392016650
【氏名又は名称】アイテック阪急阪神株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】秋月 良介
(72)【発明者】
【氏名】辻田 智
(72)【発明者】
【氏名】川西 秀一
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-050096(JP,A)
【文献】特開2018-113557(JP,A)
【文献】特開2021-140331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建物を遠隔で監視する遠隔監視システムであって、
遠隔監視拠点と、
インターネット回線と、
群管理サーバと、
複数の前記建物のそれぞれに対応して設けられると共に、対応する前記建物に設置された機器を監視する監視装置と、
前記機器の状態を報知する報知装置と、を備え、
前記遠隔監視拠点は、表示モニタと操作部とを備え、
前記監視装置は、前記機器の状態が表示される監視モニタを備え、
前記インターネット回線及び前記群管理サーバを介して前記遠隔監視拠点と前記報知装置とが接続され、
複数の前記監視装置のそれぞれに、遠隔操作装置が接続され、
前記遠隔操作装置は、前記監視装置を操作するための操作信号を遠隔入力可能に前記監視装置に接続されると共に、前記監視モニタに入力される表示信号を取得可能に構成され、
前記遠隔操作装置は、前記インターネット回線を介して前記遠隔監視拠点と接続されており、前記遠隔監視拠点からの前記操作信号を前記監視装置に送信すると共に、取得した前記表示信号を前記遠隔監視拠点に送信し、
前記報知装置による報知内容が前記群管理サーバを介して前記遠隔監視拠点に送信されることにより、前記遠隔監視拠点の前記表示モニタに前記報知内容が表示され、
前記報知内容が報知された場合に、前記表示モニタにおいて、当該報知内容に係る前記建物が他の前記建物と区別される態様で示され、
前記表示モニタに表示された前記報知内容に基づいて前記操作部が操作され
て報知元の前記建物が選択されることにより、報知元の前記建物に対応する前記監視装置と前記遠隔監視拠点とが、
前記群管理サーバを介さず、前記遠隔操作装置を介して、前記操作信号及び前記表示信号を伝達可能な状態となるように接続される、遠隔監視システム。
【請求項2】
前記報知装置は、前記建物内の前記機器の異常を報知するように構成されている、請求項1に記載の遠隔監視システム。
【請求項3】
前記報知装置による前記報知内容は、文字、図形、記号、又はそれらの組み合わせによる態様で、前記遠隔監視拠点の前記表示モニタに表示される、請求項1に記載の遠隔監視システム。
【請求項4】
作業者が携帯する外部端末が、前記インターネット回線に接続され、
前記報知装置による前記報知内容が、前記遠隔監視拠点に加えて前記外部端末にも送信される、請求項1に記載の遠隔監視システム。
【請求項5】
前記表示モニタには、前記報知内容と共に、複数の前記建物を示すマップ情報が表示され、
前記報知内容が報知された場合に、前記マップ情報において、当該報知内容に係る前記建物が他の前記建物と区別される態様で示される、請求項1から4のいずれか一項に記載の遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の建物を遠隔で監視する遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の建物から成る建物群を監視する建物群監視システムが知られている。例えば、特開2002-328990号公報(特許文献1)には、複数の管理会社のそれぞれが独自に構築したビル群管理システムを利用して、各社のビル群管理システムの管理エリアが重複するエリア内において、複数のビルを管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、監視対象(管理対象)のエリアでは、1つの監視システムを構築することが、エリア内の複数の建物を迅速かつ適切に監視する上で好ましい。しかしながら、独自仕様である各社の異なるシステムを統合して1つにすることは、一般的に困難である。また、それらを統合できたとしても、異常等が報知されている対象建物の特定やそれを管理するためのシステム構築も容易ではない。
【0005】
上記実状に鑑みて、複数の建物を一括して監視するシステムを柔軟に構築できると共に、対象建物の特定及び管理を容易に行うことが可能な技術の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
複数の建物を遠隔で監視する遠隔監視システムであって、
遠隔監視拠点と、
インターネット回線と、
群管理サーバと、
複数の前記建物のそれぞれに対応して設けられると共に、対応する前記建物に設置された機器を監視する監視装置と、
前記機器の状態を報知する報知装置と、を備え、
前記遠隔監視拠点は、表示モニタと操作部とを備え、
前記監視装置は、前記機器の状態が表示される監視モニタを備え、
前記インターネット回線及び前記群管理サーバを介して前記遠隔監視拠点と前記報知装置とが接続され、
複数の前記監視装置のそれぞれに、遠隔操作装置が接続され、
前記遠隔操作装置は、前記監視装置を操作するための操作信号を遠隔入力可能に前記監視装置に接続されると共に、前記監視モニタに入力される表示信号を取得可能に構成され、
前記遠隔操作装置は、前記インターネット回線を介して前記遠隔監視拠点と接続されており、前記遠隔監視拠点からの前記操作信号を前記監視装置に送信すると共に、取得した前記表示信号を前記遠隔監視拠点に送信し、
前記報知装置による報知内容が前記群管理サーバを介して前記遠隔監視拠点に送信されることにより、前記遠隔監視拠点の前記表示モニタに前記報知内容が表示され、
前記報知内容が報知された場合に、前記表示モニタにおいて、当該報知内容に係る前記建物が他の前記建物と区別される態様で示され、
前記表示モニタに表示された前記報知内容に基づいて前記操作部が操作されて報知元の前記建物が選択されることにより、報知元の前記建物に対応する前記監視装置と前記遠隔監視拠点とが、前記群管理サーバを介さず、前記遠隔操作装置を介して、前記操作信号及び前記表示信号を伝達可能な状態となるように接続される。
【0007】
本構成によれば、複数の建物のそれぞれに設けられた監視装置に遠隔操作装置を接続することにより、各監視装置の監視モニタに表示されている画像を遠隔監視拠点の表示モニタに表示できると共に遠隔監視拠点の操作部によって各監視装置を遠隔操作することが可能なシステムを、柔軟に構築することができる。また、遠隔監視拠点は、複数の建物に対応して設けられた報知装置と群管理サーバを介して接続されているため、各建物で報知を行っている報知装置からその報知内容を取得することができる。従って、機器の状態を報知している対象建物を容易に特定でき、かつ、対象建物の監視装置を上述のように遠隔で操作することができる。以上のように、本構成によれば、複数の建物を一括して監視するシステムを柔軟に構築できると共に、対象建物の特定及び管理を容易に行うことが可能となる。
【0008】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
遠隔監視システムは、複数の建物を遠隔で監視するシステムである。遠隔監視システムを用いることにより、複数の建物を遠隔で一元的に監視及び管理することが可能となる。以下、遠隔監視システムの実施形態について、図面を参照して例示的に説明する。
【0011】
図1は、複数の建物A~Dの監視及び管理に、遠隔監視システム100を用いる例を示している。但し、本開示に係る遠隔監視システム100が監視及び管理可能な建物の数に限りはなく、当該システムに求められる能力や範囲によって任意に定めることができる。
【0012】
図1に示すように、遠隔監視システム100は、遠隔監視拠点Xと、インターネット回線Nと、群管理サーバZと、複数の建物A~Dのそれぞれに対応して設けられると共に、対応する建物A~Dに設置された機器4を監視する監視装置1と、機器4の状態を報知する報知装置2と、を備えている。
【0013】
遠隔監視拠点Xは、複数の建物A~Dを遠隔で監視及び管理するための拠点である。遠隔監視拠点Xには、複数の建物A~Dの情報が集約される。遠隔監視拠点Xとしては、例えば、集中管理センターなどが挙げられる。
【0014】
遠隔監視システムは、遠隔監視拠点Xを複数備えていてもよい。この場合、複数の遠隔監視拠点Xは、自らが監視及び管理するエリアを互いに分担するように構成される。また、複数の遠隔監視拠点Xは、相補的に構成される。例えば、複数の遠隔監視拠点Xのうち何れかに不具合などが生じた場合には、当該遠隔監視拠点Xが監視及び管理するエリアを、当該遠隔監視拠点Xに代わって他の遠隔監視拠点Xが監視及び管理することができる。
【0015】
インターネット回線Nは、遠隔監視拠点Xと複数の建物A~Dのそれぞれとを、群管理サーバZを介して接続している。これにより、遠隔監視拠点Xにおいて、複数の建物A~Dの情報を取得可能となっている。遠隔監視拠点Xは、拠点側ルータRxを用いてインターネット回線Nと接続されている。複数の建物A~Dのそれぞれは、建物側ルータRa~Rd(図では建物AのルータRaのみを示している。)を用いてインターネット回線Nに接続されている。
【0016】
本実施形態では、VPN(Virtual Private Network)で構築した閉域網により、遠隔監視拠点Xと、群管理サーバZと、複数の建物A~Dと、が接続されている。この場合、遠隔監視拠点Xに設置された拠点側ルータRx、及び、複数の建物A~Dに設置された建物側ルータRa~Rdは、それぞれVPNルータとされる。但し、このような構成に限定されることなく、遠隔監視拠点Xと群管理サーバZと複数の建物A~Dとは、ファイアウォール等のセキュリティ機器を介してオープンな回線に接続されていてもよい。
【0017】
群管理サーバZは、各建物A~Dに設置された報知装置2から報知信号Shを受信するように構成されている。群管理サーバZは、報知信号Shを受信することによって各建物A~Dにおける機器4の機器情報(例えば異常情報)を蓄積すると共に、当該機器情報を遠隔監視拠点Xに送信するように構成されている。また、群管理サーバZは、後述する外部端末6に対しても、機器4の機器情報を送信する。なお、本実施形態では、群管理サーバZは、クラウドサーバにより構成されている。
【0018】
本実施形態では、遠隔監視システム100は、外部端末6を備えている。外部端末6は、持ち運び可能な通信端末であり、遠隔監視拠点Xの外部にいる作業者によって携帯されることがある。外部端末6として、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のコンピュータ等が用いられる。
【0019】
本実施形態では、作業者が携帯する外部端末6が、インターネット回線Nに接続されている。外部端末6は、携帯電話通信網などの無線通信網を介してインターネット回線Nに接続されている。例えば、外部端末6は、LTE(Long Term Evolution)回線に接続されているとよい。外部端末6は、群管理サーバZに蓄積された機器4の情報を受信するように構成されている。
【0020】
遠隔監視拠点Xは、拠点端末5を備えている。拠点端末5は、拠点内の回線(例えばLAN:Local Area Network)によって拠点側ルータRxに接続されている。
【0021】
遠隔監視拠点Xは、表示モニタ50と操作部53とを備えている。本実施形態では、表示モニタ50には、第1モニタ51と第2モニタ52とが含まれる。操作部53には、キーボード53kとマウス53mとが含まれる。但し、このような構成に限定されることなく、遠隔監視拠点Xは、表示モニタ50と操作部53とが一体となったタッチパネルを備えていてもよい。
【0022】
上述のように、複数の建物A~Dのそれぞれは、監視装置1と報知装置2とを備えており、各建物A~Dには各種の機器4が設置されている。
【0023】
機器4としては、例えば、電力設備、空気調和設備、給排水衛生設備が挙げられる。防災設備である自動火災報設備、地震感知器などの代表警報も機器4に含まれてよい。
【0024】
報知装置2は、これら複数種類の機器4から機器情報を取得し、当該機器情報を報知するように構成されている。報知装置2は、各種機器4の設定状態、稼働状態、又は異常状態などを機器情報として取得する。機器情報の一例を挙げると、例えば対象機器4が、電力設備の受変電機器である場合には商用電源断による停電情報が機器情報となり、空気調和設備の冷熱源機器である場合には故障による冷水温度の異常警報が機器情報となり、給排水衛生設備の受水槽である場合には減水警報が機器情報となる。その他にも、代表信号を受けている自動火災報知設備からの信号等の情報が機器情報とされる。本実施形態では、報知装置2は、建物内の機器4の異常を報知するように構成されている。報知装置2は、例えば、上述したような、商用電源断による停電情報、冷熱源機器の故障による冷水温度の異常警報、受水槽の減水警報などを報知する。
【0025】
監視装置1は、機器4を監視及び管理(操作)するための端末である。監視装置1は、機器4の状態が表示される監視モニタ10を備えている。監視モニタ10は、監視画像Gを表示するように構成されており、この監視画像Gに機器4の状態が表示される。また、監視装置1は、操作部13を備えている。作業者は、操作部13を操作することにより、機器4の状態を確認したり、機器4を制御したりするなどして、問題に対処することができる。本実施形態では、操作部13には、キーボード13kとマウス13mとが含まれる。但し、このような構成に限定されることなく、監視装置1は、監視モニタ10と操作部13とが一体となったタッチパネルを備えていてもよい。監視装置1は、機器4の異常警報を受信することで監視機能を果たす。また、監視装置1は、作業者の操作により、各建物A~D内の機器4に属する空調機器の運転スケジュール登録等や、停電信号受信後の非常用発電機の稼働確認等を行うように構成されている。
【0026】
図1に示すように、インターネット回線N及び群管理サーバZを介して、遠隔監視拠点Xと報知装置2とが接続されている。そして、報知装置2による報知信号Shが群管理サーバZを経由して遠隔監視拠点Xに送信されることにより、遠隔監視拠点Xの表示モニタ50に報知内容が表示される。すなわち、報知装置2による報知内容が、群管理サーバZを経由して遠隔監視拠点Xに送信されて、遠隔監視拠点Xにおいて受信される。これにより、対象の建物(例えば「建物A」。以下同じ。)で報知装置2が報知している場合に、遠隔監視拠点Xにおいてその報知内容を把握することができる。例えば、報知装置2が機器4の異常を報知している場合には、その異常を遠隔監視拠点Xにおいて把握することができる。報知装置2は、無線又は有線によって監視装置1に接続されている。報知装置2は、各機器4にも接続されていてよい。本実施形態では、報知装置2は、建物Aの内部回線(LAN)を用いて建物側ルータRaに接続されると共に、当該建物側ルータRaを介してインターネット回線Nに接続されている。
【0027】
本実施形態では、報知装置2による報知信号Shが、遠隔監視拠点Xに加えて、群管理サーバZを経由して外部端末6にも送信される。これにより、対象の建物Aで報知装置2が報知している場合に、外部端末6によってもその報知内容を取得することができる。すなわち作業者は、外部端末6を用いて、建物Aに設置されている機器4の状態を把握可能となっている。
【0028】
上述のように、複数の建物A~Dのそれぞれには、監視装置1が設けられている。そして、複数の監視装置1のそれぞれに、遠隔操作装置3が接続されている。遠隔操作装置3は、監視装置1を操作するための操作信号Sоを遠隔入力可能に監視装置1に接続されると共に、監視モニタ10に入力される表示信号Siを取得可能に構成されている。また、遠隔操作装置3は、インターネット回線Nを介して遠隔監視拠点Xと接続されており、遠隔監視拠点Xからの操作信号Sоを監視装置1に送信すると共に、取得した表示信号Siを遠隔監視拠点Xに送信するように構成されている。操作信号Sо及び表示信号Siは、遠隔操作装置3によって、群管理サーバZを介することなく監視装置1と遠隔監視拠点Xとの間で送受信される。すなわち、操作信号Sо及び表示信号Siの伝達ルートは、群管理サーバZを介した報知信号Shの伝達ルートとは異なる。遠隔操作装置3は、監視装置1(又は監視モニタ10)に対して、映像ケーブルや音声ケーブル等によって接続されている。本実施形態では、遠隔操作装置3は、建物Aの内部回線(LAN)を用いて建物側ルータRaに接続されると共に、当該建物側ルータRaを介してインターネット回線Nに接続されている。例えば遠隔操作装置3として、KVM装置(Keyboard、Video、Mouse)にネットワークへのアクセス機能を付加した、いわゆるリモートKVMを用いることができる。
【0029】
報知装置2による報知内容が群管理サーバZ経由で遠隔監視拠点Xに送信されることにより、遠隔監視拠点Xの表示モニタ50に報知内容が表示される。本実施形態では、第1モニタ51に、報知装置2による報知内容が表示される。
図1においては、報知装置2による報知内容を模式的に「△」で示している。報知内容についての詳細は後述する。
【0030】
表示モニタ50に表示された報知内容に基づいて遠隔監視拠点Xの操作部53が操作されることにより、報知元の建物Aに対応する監視装置1と遠隔監視拠点Xとが、遠隔操作装置3を介して、操作信号Sо及び表示信号Siを伝達可能な状態となるように接続される。これにより、建物Aの監視モニタ10に表示されている監視画像Gを遠隔監視拠点Xの表示モニタ50に表示できると共に、遠隔監視拠点Xの操作部53によって監視装置1を遠隔操作することが可能となる。
図1においては、監視モニタ10に表示されている監視画像Gを模式的に「☆」で示している。本実施形態では、第2モニタ52に、監視モニタ10に表示されている監視画像Gが表示される。すなわち図示の例では、建物Aの監視モニタ10に表示されている監視画像Gと同様の監視画像G(「☆」で示されている。)が、遠隔監視拠点Xの第2モニタ52に表示されている。監視画像Gについての詳細は後述する。
【0031】
このように、本開示に係る遠隔監視システム100では、複数の建物A~Dのうちいずれかの建物において報知装置2が報知を行っている場合に、当該報知内容が群管理サーバZ経由で遠隔監視拠点X及び外部端末6に送信される。そして、遠隔監視拠点Xでは、報知装置2による報知内容と共に当該報知装置2が設置されている対象建物(例えば建物A)の情報が取得される。第1モニタ51には報知内容が表示され、第2モニタ52には対象建物Aの監視モニタ10の監視画像Gが表示される。遠隔監視拠点Xでは、操作部53を用いて、対象建物Aの監視装置1を遠隔で操作することができる。
【0032】
上記では
図1を参照して、第1モニタ51に、報知装置2による報知内容として模式的に「△」が表示され、第2モニタ52に、監視モニタ10の監視画像Gとして模式的に「☆」が表示される旨を説明した。一方、
図2は、第1モニタ51及び第2モニタ52が表示する内容の具体例を示している。
【0033】
図2に示すように、表示モニタ50には、報知装置2による報知内容と共に、複数の建物A~Dを示すマップ情報Mが表示される。本実施形態では、第1モニタ51にマップ情報Mが表示される。すなわち第1モニタ51には、報知装置2による報知内容とマップ情報Mとの双方が表示される。なお、第2モニタ52には、対象建物Aの監視モニタ10の監視画像Gが表示される。第2モニタ52に表示された監視画像Gは、対象建物Aにおいて報知の対象となった機器4の具体的事情を把握するために用いられ、或いは、操作部53によって機器4を制御するために用いられる。
【0034】
本実施形態では、第1モニタ51は、第1表示領域F1と第2表示領域F2とを備えている。図示の例では、第1表示領域F1に、報知装置2による報知内容が表示されている。第2表示領域F2に、マップ情報Mが表示されている。なお、第1モニタ51における第1表示領域F1及び第2表示領域F2以外の領域には、操作アイコンなどが表示されているとよい。
【0035】
報知装置2による報知内容は、機器4の状態を示す内容である。報知装置2による報知内容は、文字、図形、記号、又はそれらの組み合わせによる態様で、遠隔監視拠点Xの表示モニタ50(本例では第1モニタ51の第1表示領域F1)に表示される。
【0036】
報知内容には、少なくとも、当該報知内容を報知した報知装置2が設置されている建物の名称(例えば建物A)が含まれる(
図2参照)。この他にも、報知内容には、報知時刻、対象機器の種類及び識別情報、対象機器の状態などが含まれていてよい。例えば、対象機器の種類及び識別情報としては、「冷温水熱源機器」、「型番α」などが挙げられ、これらが報知内容として第1表示領域F1に表示される。例えば、対象機器の状態としては、「重故障」、「軽故障」、「異常停止」などが挙げられ、これらが報知内容として第1表示領域F1に表示される。なお、本実施形態では、報知装置2が報知した報知内容は、履歴情報として群管理サーバZに蓄積される。これにより、遠隔監視拠点Xの作業者は、過去の報知内容も容易に検索することができ、検索結果を表示モニタ50(本例では第1モニタ51の第1表示領域F1)に表示させることができる。
【0037】
本実施形態では、マップ情報Mには、遠隔監視システム100が監視及び管理するエリア、及び、当該エリアに配置された複数の建物A~Dが表示される。これにより、複数の建物A~Dのマップ上での位置を視覚的に把握し易い。本実施形態では、遠隔監視システム100の監視下にある複数の建物A~Dが、鉄道やバスの路線図と紐づけられて表示されている。これにより、複数の建物A~Dそれぞれの位置を、駅やバス停と対応させて表示することができ、有事の際に交通機関との連携も図り易い。
【0038】
本実施形態では、報知装置2によって報知内容が報知された場合に、マップ情報Mにおいて、当該報知内容に係る建物Aが他の建物B~Dと区別される態様で示される。例えば、マップ情報Mにおいて各建物A~Dを示すアイコンが表示されており、通常時は、各アイコンは区別される態様とはなっていない。しかし、報知装置2が報知を行った対象建物(ここでは建物A)を示すアイコンのみが、他の建物B~Dを示すアイコンと別の色で示されたり、大きく示されたり、点灯若しくは点滅するなどして、対象建物Aと他の建物B~Dとが区別される態様で示される。これにより、複数の建物A~Dのうち報知が行われている対象建物Aの位置を、容易に把握することが可能となっている。
【0039】
そして、操作部53が操作されることにより、対象建物Aにおける監視モニタ10の監視画像Gが第2モニタ52に表示されると共に、対象建物Aにおける監視装置1を遠隔操作することが可能に構成されている。具体的には、作業者は、マウス53mを操作することにより、マップ情報Mにおいて他と区別される態様で示されている対象建物AのアイコンにポインタPを合わせ、対象建物Aを選択する。すると、第2モニタ52には、選択された対象建物Aにおける監視モニタ10の監視画像Gが表示される。作業者は、必要に応じてさらに操作部53を操作して、対象建物Aにおける監視装置1を遠隔操作する。また、作業者は、必要に応じて、対象建物Aの近くにいる他の作業者(例えば外部端末6を携帯している作業者)を現場に向かわせる。
【0040】
以上説明したシステムの流れは、
図3に示されるフローチャートのようになる。すなわち
図3に示すように、遠隔監視システム100の監視下にある複数の建物のうちいずれかで異常が発生すると(ステップ#1)、異常が発生した対象建物の報知装置2が報知を行う(ステップ#2)。報知装置2が報知した報知内容が、遠隔監視拠点Xの表示モニタ50に表示される(ステップ#3)。遠隔監視拠点Xの作業者は、表示モニタ50のマップ情報Mにおいて、対象建物を選択する(ステップ#4)。これにより、対象建物の監視画像Gが、遠隔監視拠点Xの表示モニタ50に表示される(ステップ#5)。その後は、遠隔監視拠点Xの作業者は、表示モニタ50に表示された監視画像Gに基づいて、対象建物の機器4の具体的事情を把握する。遠隔操作により対処可能であれば操作部53を操作して機器4を制御し、遠隔での対処が不可能であれば、対象建物に他の作業者を向かわせるなどの処置を行う。
【0041】
以上説明した遠隔監視システムを導入し、遠隔監視拠点Xで監視する事により、例えば、夜勤勤務者を監視拠点に集約する等、人的な合理化を図り経済効果の発現が可能となる。
【0042】
〔その他の実施形態〕
次に、遠隔監視システムのその他の実施形態について説明する。
【0043】
(1)上記の実施形態では、報知装置2が建物内の機器の異常を報知する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、報知装置2は、機器4の設定状態や稼働状態などの情報を定期的に報知するようにしてもよい。
【0044】
(2)上記の実施形態では、報知装置2による報知内容が、文字、図形、記号、又はそれらの組み合わせによる態様で、遠隔監視拠点Xの表示モニタ50に表示される例について説明した。しかし、報知装置2による報知内容は、表示モニタ50に表示される態様に代えて、或いはこれに加えて、例えば遠隔監視拠点Xに設けられたスピーカを介して音により報知される態様であってもよい。または、作業者が携帯する振動装置(スマートフォンなどのモバイル端末と一体型の振動装置であってもよい。)を振動させる態様によって報知内容が報知されてもよい。
【0045】
(3)上記の実施形態では、報知装置2による報知内容が、群管理サーバZを経由して、報知装置2から外部端末6に向けて送信される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、外部端末6への報知内容の送信は、報知内容を取得した遠隔監視拠点Xから行われるようにしてもよい。
【0046】
(4)上記の実施形態では、VPNで構築した閉域網により、遠隔監視拠点Xと群管理サーバZと複数の建物A~Dとが接続されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、遠隔監視拠点Xと複数の建物A~Dとは、ファイアウォール等のセキュリティ機器を介してオープンな回線に接続されていてもよい。
【0047】
(5)遠隔監視拠点Xは、移動可能に構成されていてもよい。この場合、例えば、通信機能を有するノートパソコンなどの移動可能端末を用いて、遠隔監視拠点Xが構成される。
【0048】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0049】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した遠隔監視システムについて説明する。
【0050】
複数の建物を遠隔で監視する遠隔監視システムであって、
遠隔監視拠点と、
インターネット回線と、
群管理サーバと、
複数の前記建物のそれぞれに対応して設けられると共に、対応する前記建物に設置された機器を監視する監視装置と、
前記機器の状態を報知する報知装置と、を備え、
前記遠隔監視拠点は、表示モニタと操作部とを備え、
前記監視装置は、前記機器の状態が表示される監視モニタを備え、
前記インターネット回線及び前記群管理サーバを介して前記遠隔監視拠点と前記報知装置とが接続され、
複数の前記監視装置のそれぞれに、遠隔操作装置が接続され、
前記遠隔操作装置は、前記監視装置を操作するための操作信号を遠隔入力可能に前記監視装置に接続されると共に、前記監視モニタに入力される表示信号を取得可能に構成され、
前記遠隔操作装置は、前記インターネット回線を介して前記遠隔監視拠点と接続されており、前記遠隔監視拠点からの前記操作信号を前記監視装置に送信すると共に、取得した前記表示信号を前記遠隔監視拠点に送信し、
前記報知装置による報知内容が前記群管理サーバを介して前記遠隔監視拠点に送信されることにより、前記遠隔監視拠点の前記表示モニタに前記報知内容が表示され、
前記表示モニタに表示された前記報知内容に基づいて前記操作部が操作されることにより、報知元の前記建物に対応する前記監視装置と前記遠隔監視拠点とが、前記遠隔操作装置を介して、前記操作信号及び前記表示信号を伝達可能な状態となるように接続される。
【0051】
本構成によれば、複数の建物のそれぞれに設けられた監視装置に遠隔操作装置を接続することにより、各監視装置の監視モニタに表示されている画像を遠隔監視拠点の表示モニタに表示できると共に遠隔監視拠点の操作部によって各監視装置を遠隔操作することが可能なシステムを、柔軟に構築することができる。また、遠隔監視拠点は、複数の建物に対応して設けられた報知装置と群管理サーバを介して接続されているため、各建物で報知を行っている報知装置からその報知内容を取得することができる。従って、機器の状態を報知している対象建物を容易に特定でき、かつ、対象建物の監視装置を上述のように遠隔で操作することができる。以上のように、本構成によれば、複数の建物を一括して監視するシステムを柔軟に構築できると共に、対象建物の特定及び管理を容易に行うことが可能となる。
【0052】
前記報知装置は、前記建物内の前記機器の異常を報知するように構成されている、と好適である。
【0053】
本構成によれば、建物に設置された各種機器に異常が発生した場合には、当該建物で異常の報知を行っている報知装置からその異常の内容を取得することができる。従って、異常が発生している対象建物を容易に特定できる。
【0054】
前記報知装置による前記報知内容は、文字、図形、記号、又はそれらの組み合わせによる態様で、前記遠隔監視拠点の前記表示モニタに表示される、と好適である。
【0055】
本構成によれば、遠隔監視拠点にいる作業者に対して、視覚的手段によって容易に報知内容を認識させることができる。
【0056】
作業者が携帯する外部端末が、前記インターネット回線に接続され、
前記報知装置による前記報知内容が、前記遠隔監視拠点に加えて前記外部端末にも送信される、と好適である。
【0057】
本構成によれば、遠隔監視拠点以外において外部端末を携帯している作業者に対しても、対象建物の報知装置によって報知されている報知内容を認識させることができる。
【0058】
前記表示モニタには、前記報知内容と共に、複数の前記建物を示すマップ情報が表示され、
前記報知内容が報知された場合に、前記マップ情報において、当該報知内容に係る前記建物が他の前記建物と区別される態様で示される、と好適である。
【0059】
本構成によれば、マップ情報に基づいて、複数の建物のうち報知が行われている対象建物の位置を、容易に把握することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示に係る技術は、複数の建物を遠隔で監視する遠隔監視システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 :遠隔監視システム
1 :監視装置
10 :監視モニタ
13 :操作部
2 :報知装置
3 :遠隔操作装置
4 :機器
5 :遠隔監視装置
6 :外部端末
50 :表示モニタ
53 :操作部
X :遠隔監視拠点
Z :群管理サーバ
N :インターネット回線
A~D :建物
Si :表示信号
Sо :操作信号
Sh :報知信号
M :マップ情報
【要約】
【課題】複数の建物を一括して監視するシステムを柔軟に構築できると共に、対象建物の特定及び管理を容易に行う。
【解決手段】報知装置2による報知内容が群管理サーバZを介して遠隔監視拠点Xに送信されることにより、遠隔監視拠点Xの表示モニタ50に報知内容が表示される。表示モニタ50に表示された報知内容に基づいて操作部53が操作されることにより、報知元の建物A~Dに対応する監視装置1と遠隔監視拠点Xとが、遠隔操作装置3を介して、操作信号Sо及び表示信号Siを伝達可能な状態となるように接続される。
【選択図】
図1