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特許7370458制御装置、制御装置を含む電力システム、電力システムを動作させる方法、および電力システムを含む乗り物
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  • 特許-制御装置、制御装置を含む電力システム、電力システムを動作させる方法、および電力システムを含む乗り物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】制御装置、制御装置を含む電力システム、電力システムを動作させる方法、および電力システムを含む乗り物
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/18 20190101AFI20231020BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20231020BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20231020BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20231020BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231020BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20231020BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20231020BHJP
   H02J 1/10 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
B60L58/18
B60L50/60
B60L53/80
B60L58/12
H02J7/00 P
H02J7/00 302C
H02J7/02 J
H02J1/00 304H
H02J1/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022517880
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 SG2020050385
(87)【国際公開番号】W WO2021054892
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】201910894637.2
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518236797
【氏名又は名称】グラブタクシー ホールディングス プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GRABTAXI HOLDINGS PTE. LTD.
【住所又は居所原語表記】3 Media Close, #01-03/06, Singapore 138498, Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ウ, シフ
(72)【発明者】
【氏名】ザン, ヘ
(72)【発明者】
【氏名】ジアング, レイ
(72)【発明者】
【氏名】ゼン, イ
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-045673(JP,A)
【文献】特開2015-226431(JP,A)
【文献】特開平09-298805(JP,A)
【文献】特開2019-047586(JP,A)
【文献】特開2019-154131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 58/18
B60L 50/60
B60L 53/80
B60L 58/12
H02J 7/00
H02J 7/02
H02J 1/00
H02J 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両(300)用の電力システム(10)であって、
第1のアキュムレーターを備える第1のバッテリーユニット(20)と、
第2のアキュムレーターを備える第2のバッテリーユニット(30)と、
バッテリー制御装置(100)と、
前記バッテリー制御装置(100)を制御する電気制御システム(40)とを含み、
前記バッテリー制御装置(100)は、
前記第1のバッテリーユニット(20)に接続された第1の充電電流経路(101C)および第1の放電電流経路(101D)と、
前記第2のバッテリーユニット(30)に接続された第2の充電電流経路(102C)および第2の放電電流経路(102D)と、
前記電動車両(300)の前記電気制御システム(40)との接続のための第3の充電電流経路(103C)および第3の放電電流経路(103D)と、
前記第1の放電電流経路(101D)と前記第3の放電電流経路(103D)との間の第1の電力スイッチ(111)と、
前記第2の放電電流経路(102D)と前記第3の放電電流経路(103D)との間の第2の電力スイッチ(112)と、
前記第1のバッテリーユニット(20)内の前記第1のアキュムレーターの状態、および/または、前記第2のバッテリーユニット(30)内の前記第2のアキュムレーターの状態に基づいて、前記第1の電力スイッチ(111)および前記第2の電力スイッチ(112)を設定するよう構成された制御ユニット(120)と、を含み、
前記第1のバッテリーユニット(20)および前記第2のバッテリーユニット(30)の少なくとも1つは、交換可能なバッテリーユニットであり、
前記バッテリー制御装置(100)および前記電気制御システム(40)の電力供給は、分離されていることを特徴とする電力システム(10)。
【請求項2】
前記制御ユニット(120)は、前記第1のアキュムレーターおよび前記第2のアキュムレーターの充電挙動を調整するよう構成された論理回路を含む請求項1に記載の電力システム(10)。
【請求項3】
前記論理回路は、充電の際、
前記第1のアキュムレーターおよび前記第2のアキュムレーター間における、より低い充電状態、および、より高い充電状態を判別し、
前記第1のバッテリーユニットおよび前記第2のバッテリーユニットのうち、前記より低い充電状態を有するバッテリーユニットに、充電有効コマンドを送信し、
前記より高い充電状態と前記より低い充電状態との差が、所定の充電しきい値よりも低い場合、前記第1のバッテリーユニットおよび前記第2のバッテリーユニットのうち、前記より高い充電状態を有するバッテリーユニットに、充電有効コマンドを送信する、よう構成されている請求項2に記載の電力システム(10)。
【請求項4】
前記制御ユニット(120)は、放電の際、
前記第1のアキュムレーターおよび前記第2のアキュムレーター間における、より低い充電状態、および、より高い充電状態を判別し、
前記第1のアキュムレーターおよび前記第2のアキュムレーターのうち、前記より高い充電状態を有する1つに対応する前記第1の電力スイッチ(111)および前記第2の電力スイッチ(112)のうちの1つを閉状態にし、
前記より高い充電状態と前記より低い充電状態との差が所定の放電しきい値よりも高い場合、前記第1のアキュムレーターおよび前記第2のアキュムレーターのうち、前記より低い充電状態を有するアキュムレーターの放電を遮断するために、前記第1の電力スイッチ(111)および前記第2の電力スイッチ(112)のうちの対応する1つを開状態にする、よう構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の電力システム(10)。
【請求項5】
前記論理回路は、前記電気制御システム(40)から停止コマンドを受信し、さらに、前記停止コマンドを受信した際に、前記第1の電力スイッチ(111)および前記第2の電力スイッチ(112)のそれぞれを開状態に設定するよう、さらに構成されている請求項2または3に記載の電力システム(10)。
【請求項6】
前記制御ユニットは、第1のダイオードを介した前記第1の放電電流経路(101D)、および/または、第2のダイオードを介した前記第2の放電電流経路(102D)を介して、電力供給される請求項1ないし5のいずれかに記載の電力システム(10)。
【請求項7】
前記第1の電力スイッチおよび/または前記第2の電力スイッチは、ソリッドステートスイッチまたはMOSトランジスタである請求項1ないし6のいずれかに記載の電力システム(10)。
【請求項8】
前記第1のバッテリーユニット(20)および前記第2のバッテリーユニット(30)のそれぞれは、交換可能なバッテリーユニットである請求項1ないし7のいずれかに記載の電力システム(10)。
【請求項9】
前記第1のバッテリーユニット(20)は、前記第1のアキュムレーターと前記第1の充電電流経路(101C)との間に第1の内部充電スイッチ(211)を備えており、さらに、前記第1のアキュムレーターと前記第1の放電電流経路(101D)との間に第1の内部放電スイッチ(212)を備えており、
前記第2のバッテリーユニット(30)は、前記第2のアキュムレーターと前記第2の充電電流経路(102C)との間に第2の内部充電スイッチを備えており、さらに、前記第2のアキュムレーターと前記第2の放電電流経路(102D)との間に第2の内部放電スイッチを備えており、
前記制御ユニット(120)は、前記第1のバッテリーユニット(20)および前記第2のバッテリーユニット(30)の前記第1の内部充電スイッチおよび前記第2の内部充電スイッチ、および/または、前記第1の内部放電スイッチおよび前記第2の内部放電スイッチを設定するよう、構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の電力システム(10)。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の前記電力システムを動作させる方法であって、
前記第1の電力スイッチ(111)および前記第2の電力スイッチ(112)を設定する工程を含み、
前記第1の電力スイッチ(111)および前記第2の電力スイッチ(112)を設定する前記工程は、
前記電制御システム(40)が充電している際、
前記第1のバッテリーユニット(20)の前記第1のアキュムレーターおよび前記第2のバッテリーユニット(30)の前記第2のアキュムレーター間における、より低い充電状態、および、より高い充電状態を判別する工程と、
前記第1のバッテリーユニット(20)および前記第2のバッテリーユニット(30)のうち、前記より低い充電状態を有するバッテリーユニットに、充電有効コマンドを送信する工程と、
前記より高い充電状態と前記より低い充電状態の差が所定の充電しきい値よりも低い場合、前記第1のバッテリーユニット(20)および前記第2のバッテリーユニット(30)のうち、前記より高い充電状態を有するバッテリーユニットに、充電有効コマンドを送信する工程と、を含み、さらに、
前記電制御システム(40)が放電している際、
前記第1のバッテリーユニット(20)の前記第1のアキュムレーターおよび前記第2のバッテリーユニット(30)の前記第2のアキュムレーター間における、より低い充電状態、および、より高い充電状態を判別する工程と、
前記第1のアキュムレーターおよび前記第2のアキュムレーターのうち、前記より高い充電状態を有するアキュムレーターを放電させるために、前記第1の電力スイッチ(111)および前記第2の電力スイッチ(112)のうちの対応する1つを閉状態にする工程と、
前記より高い充電状態と前記より低い充電状態の差が所定の放電しきい値よりも高い場合、前記第1のアキュムレーターおよび前記第2のアキュムレーターのうち、前記より低い充電状態を有するアキュムレーターの放電を遮断するために、前記第1の電力スイッチ(111)および前記第2の電力スイッチ(112)のうちの対応する電力スイッチを開状態にする工程と、を含むことを特徴とする電力システムを動作させる方法。
【請求項11】
電動車両(300)の電力システム(10)用のバッテリー制御装置(100)であって、
前記電力システム(10)は、第1のアキュムレーターを備える第1のバッテリーユニット(20)と、第2のアキュムレーターを備える第2のバッテリーユニット(30)と、前記バッテリー制御装置(100)と、前記バッテリー制御装置(100)を制御する電気制御システム(40)とを含み、
前記バッテリー制御装置(100)は、
前記第1のバッテリーユニット(20)に接続可能な第1の充電電流経路(101C)および第1の放電電流経路(101D)と、
前記第2のバッテリーユニット(30)に接続可能な第2の充電電流経路(102C)および第2の放電電流経路(102D)と、
前記電動車両(300)の前記電気制御システム(40)との接続のための第3の充電電流経路(103C)および第3の放電電流経路(103D)と、
前記第1の放電電流経路(101D)と前記第3の放電電流経路(103D)との間の第1の電力スイッチ(111)と、
前記第2の放電電流経路(102D)と前記第3の放電電流経路(103D)との間の第2の電力スイッチ(112)と、
前記第1のバッテリーユニット(20)内の前記第1のアキュムレーターの状態、および/または、前記第2のバッテリーユニット(30)内の前記第2のアキュムレーターの状態に基づいて、前記第1の電力スイッチ(111)および前記第2の電力スイッチ(112)を設定するよう構成された制御ユニット(120)と、を含み、
前記制御ユニット(120)は、前記第1のバッテリーユニット(20)および前記第2のバッテリーユニット(30)の第1の内部充電スイッチ(311C)および第2の内部充電スイッチ(312C)、並びに、前記第1のバッテリーユニット(20)および前記第2のバッテリーユニット(30)の第1の放電スイッチおよび第2の放電スイッチを設定するよう構成され
前記バッテリー制御装置(100)および前記電気制御システム(40)の電力供給は、分離されていることを特徴とするバッテリー制御装置(100)。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれかに記載の前記電力システム(10)を含むことを特徴とする乗り物(300)。
【請求項13】
前記電制御システム(40)に電気的に結合された電気モーターをさらに含む請求項12に記載の乗り物(300)。
【請求項14】
前記乗り物(300)は、電気スクーターである請求項13に記載の乗り物(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の態様は、乗り物用の電力システム、電力システムを動作させる方法、電力システム用のバッテリー制御装置、および電力システムを含む乗り物に関する。
【背景技術】
【0002】
電気スクーターのような乗り物は、電力を提供するためのバッテリーと、モーターの電力およびバッテリーの個別の放電を制御し、さらに、バッテリーの充電を制御するための電気回路と、を含む。複数のバッテリーが使用される場合、複数のバッテリーは、互いに異なる充電状態を有し得る。全てのバッテリーが放電モードにあるとき、電流は、1つのバッテリーから他のバッテリーに流れ得る。これは、エネルギーを無駄に消費し、バッテリーの使用寿命を減少させることに繋がる。
【0003】
したがって、上述の課題に対するソリューションを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様は、電動車両(electric vehicle)用の電力システムに関する。
【0005】
様々な実施形態によれば、電力システムは、第1のアキュムレーターを備える第1のバッテリーユニットと、第2のアキュムレーターを備える第2のバッテリーユニットと、を含んでいてもよい。電力システムは、第1の充電経路、第2の充電経路、および第3の充電経路を備えるバッテリー制御装置をさらに含んでもよく、さらに、第1の放電経路、第2の放電経路、および第3の放電経路をさらに含んでもよい。第1の充電電流経路および第1の放電電流経路は、第1のバッテリーユニットに接続されていてもよい。第2の充電電流経路および第2の放電電流経路は、第2のバッテリーユニットに接続されていてもよい。第3の充電電流経路および第3の放電電流経路は、乗り物の電気制御システムに接続されてもよい。バッテリー制御装置は、第1の放電電流経路と第3の放電電流経路との間に第1の電力スイッチをさらに含んでいてもよい。バッテリー制御装置は、第2の放電電流経路と第3の放電電流経路との間に第2の電力スイッチを、さらに含んでいてもよい。バッテリー制御装置は、第1のバッテリーユニット内の第1のアキュムレーターの状態、および/または、第2のバッテリーユニット内の第2のアキュムレーターの状態に基づいて、第1の電力スイッチおよび第2の電力スイッチを設定するよう構成された制御ユニットをさらに含んでいてもよい。第1のバッテリーユニットは、交換可能なバッテリーユニットであってもよい。第2のバッテリーユニットは、交換可能なバッテリーユニットであってもよい。
【0006】
様々な実施形態によれば、制御ユニットは、第1のアキュムレーターおよび第2のアキュムレーターの充電挙動(charging behaviour)を調整(regulate)するよう構成された論理回路を備えていてもよい。
【0007】
様々な実施形態によれば、論理回路は、充電の際、第1のアキュムレーターおよび第2のアキュムレーター間における、より低い充電状態、および、より高い充電状態を判別するように構成されてもよい。論理回路は、充電の際、第1のバッテリーユニットおよび第2のバッテリーユニットのうち、より低い充電状態を有するバッテリーユニットに、充電有効コマンドを送信するよう構成されていていてもよい。論理回路は、充電の際、より高い充電状態とより低い充電状態との差が、所定の充電しきい値(例えば、0.5%の充電差、または最大公称充電値の0.5%)よりも低い場合、第1のバッテリーユニットおよび第2のバッテリーユニットのうち、より高い充電状態を有するバッテリーユニットに、充電有効コマンドを送信するよう構成されていてもよい。
【0008】
様々な実施形態によれば、制御ユニットは、放電の際、第1のアキュムレーターおよび第2のアキュムレーター間における、より低い充電状態、および、より高い充電状態を判別するよう構成されていてもよい。論理回路は、放電の際、第1のアキュムレーターおよび第2のアキュムレーターのうち、より高い充電状態を有する1つに対応する第1の電力スイッチおよび第2の電力スイッチのうちの1つを閉状態にするよう構成されていてもよい。論理回路は、放電の際、より高い充電状態とより低い充電状態との差が所定の放電しきい値(例えば、0.5%の充電差、または最大公称充電値の0.5%)よりも高い場合、第1のアキュムレーターおよび第2のアキュムレーターのうち、前記より低い充電状態を有する1つに対応する第1の電力スイッチおよび第2の電力スイッチのうちの1つを開状態にするよう構成されていてもよい。
【0009】
様々な実施形態によれば、論理回路は、電気制御システムから停止コマンドを受信し、さらに、停止コマンドを受信した際に、第1の電力スイッチおよび第2の電力スイッチのそれぞれを開状態に設定するよう、さらに構成されていてもよい。
【0010】
様々な実施形態によれば、制御ユニットは、第1のダイオードを介した第1の放電電流経路、および/または、第2のダイオードを介した第2の放電電流経路を介して、電力供給されてもよい。
【0011】
様々な実施形態によれば、第1の電力スイッチおよび/または第2の電力スイッチは、ソリッドステートスイッチまたはMOSトランジスタである。
【0012】
様々な実施形態によれば、第1のバッテリーおよび第2のバッテリーのそれぞれは、交換可能なバッテリーユニットであってもよい。
【0013】
様々な実施形態によれば、第1のバッテリーユニットは、第1のアキュムレーターと第1の充電電流経路との間に第1の内部充電スイッチを備えていてもよく、さらに、第1のアキュムレーターと第1の放電電流経路との間に第1の内部放電スイッチを備えていてもよい。
【0014】
様々な実施形態によれば、第2のバッテリーユニットは、第2のアキュムレーターと第2の充電電流経路との間に第2の内部充電スイッチを備えていてもよく、さらに、第2のアキュムレーターと第2の放電電流経路との間に第2の内部放電スイッチを備えていてもよい。
【0015】
様々な実施形態によれば、制御ユニットは、第1のバッテリーユニットおよび第2のバッテリーユニットの第1の内部充電スイッチおよび第2の内部充電スイッチ、並びに、第1の放電スイッチおよび第2の放電スイッチを、例えば、閉状態または開状態に設定するよう構成されてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様は、様々な実施形態に係る、電力システムを動作させる方法に関する。
【0017】
様々な実施形態によれば、電力システムを動作させる方法は、充電動作モードまたは放電動作モードに従って、第1の電力スイッチおよび第2の電力スイッチを設定する工程を含んでいてもよい。
【0018】
様々な実施形態によれば、本方法は、電気制御システムが充電している際、第1のバッテリーユニットの第1のアキュムレーターおよび第2のバッテリーユニットの第2のアキュムレーター間における、より低い充電状態、および、より高い充電状態を判別する工程を含んでいてもよい。
【0019】
様々な実施形態によれば、本方法は、電気制御システムが充電している際、第1のバッテリーユニットおよび第2のバッテリーユニットのうち、より低い充電状態を有するバッテリーユニットに、充電有効コマンドを送信する工程を含んでいてもよい。
【0020】
様々な実施形態によれば、本方法は、電気制御システムが充電している際、より高い充電状態とより低い充電状態の差が所定の充電しきい値よりも低い場合、第1のバッテリーユニットおよび第2のバッテリーユニットのうち、より高い充電状態を有するバッテリーユニットに、充電有効コマンドを送信する工程を含んでいてもよい。
【0021】
様々な実施形態によれば、本方法は、電気制御システムが放電している際、第1のバッテリーユニットの第1のアキュムレーターおよび第2のバッテリーユニットの第2のアキュムレーター間における、より低い充電状態、および、より高い充電状態を判別する工程を含んでいてもよい。
【0022】
様々な実施形態によれば、本方法は、電気制御システムが放電している際、第1のアキュムレーターおよび第2のアキュムレーターのうち、より高い充電状態を有する1つに対応する第1の電力スイッチおよび第2の電力スイッチのうちの1つを閉状態にする工程を含んでいてもよい。
【0023】
様々な実施形態によれば、本方法は、電気制御システムが放電している際、より高い充電状態とより低い充電状態の差が所定の放電しきい値よりも高い場合、第1のアキュムレーターおよび第2のアキュムレーターのうち、より低い充電状態を有する1つに対応する第1の電力スイッチおよび第2の電力スイッチのうちの1つを開状態にする工程を含んでいてもよい。
【0024】
本発明の第3の態様は、本明細書に記載されるような電力システム用のバッテリー制御装置に関し、例えば、第1のアキュムレーターを備える第1のバッテリーユニットと、第2のアキュムレーターを備える第2のバッテリーユニットと、を含む電力システム用のバッテリー制御装置に関する。バッテリー制御装置は、第1のバッテリーユニットに接続可能な第1の充電電流経路および第1の放電電流経路を備えていてもよい。バッテリー制御装置は、第2のバッテリーユニットに接続可能な第2の充電電流経路および第2の放電電流経路を備えていてもよい。バッテリー制御装置は、電動車両の電気制御システムとの接続のための第3の充電電流経路および第3の放電電流経路を備えていてもよい。バッテリー制御装置は、第1の放電電流経路と第3の放電電流経路との間に第1の電力スイッチを備えていてもよい。バッテリー制御装置は、第2の放電電流経路と第3の放電電流経路との間に第2の電力スイッチを備えていてもよい。バッテリー制御装置は、第1のバッテリーユニット内の第1のアキュムレーターの状態、および/または、第2のバッテリーユニット内の第2のアキュムレーターの状態に基づいて、第1の電力スイッチおよび第2の電力スイッチを設定するよう構成された制御ユニットを備えていてもよい。
【0025】
様々な実施形態によれば、制御ユニットは、第1のバッテリーユニットおよび第2のバッテリーユニットの第1の内部充電スイッチおよび第2の内部充電スイッチ、並びに、第1の放電スイッチおよび第2の放電スイッチを設定するように構成されていてもよい。
【0026】
本発明の第4の態様は、本明細書において記述されたような電力システムを備える乗り物に関する。
【0027】
様々な実施形態によれば、乗り物は、電気制御システムに電気的に結合された電気モーターをさらに含んでいてもよい。
【0028】
様々な実施形態によれば、乗り物は、電気スクーターであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
非限定的な実施例および以下の添付の図面と共に、詳細な説明を参照することにより、本発明がより良く理解されるであろう。
図1図1は、様々な実施形態に係る、充電モードにおける電力システムの概略図を示す。
図2図2は、様々な実施形態に係る、放電モードにおける電力システムの概略図を示す。
図3図3は、様々な実施形態に係る、充電モードで電力システムを動作させる方法のフローチャートを示す図である。
図4図4は、様々な実施形態に係る、放電モードで電力システムを動作させる方法のフローチャートを示す図である。
図5図5は、様々の実施形態に係る、バッテリー制御装置の概略図を示す。
図6図6は、様々な実施形態に係る、バッテリーユニットの概略図を示す 。
図7図7は、様々な実施形態に係る、電気スクーターの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の詳細な説明は、説明のため、本発明が実施され得る特定の詳細および実施形態を示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、本分野における当業者が本発明を実施することを可能にするよう十分詳細に記述される。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、さらに、構造上および論理上の変更を行うことができる。いくつかの実施形態は、新しい実施形態を形成するために1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせることができるので、様々な実施形態は、必ずしも相互に排他的ではない。
【0031】
電力システム、動作させる方法、バッテリー制御装置、または乗り物のうちの1つに関して説明した実施形態は、他の電力システム、動作させる方法、バッテリー制御装置、または乗り物にも同様に有効である。
【0032】
実施形態に関連して説明される特徴は、他の実施形態における同一または類似の特徴に対応しても適用可能である。実施形態に関連して説明される特徴は、これらの他の実施形態において明示的に記述されていなくても、他の実施形態に対応して適用可能であり得る。さらに、実施形態の記述における特徴について説明したような追加および/または組み合わせおよび/または代替は、他の実施形態における同一または類似の特徴に対応して適用可能である。
【0033】
様々な実施形態の説明では、特徴または要素に関して使用される冠詞「a」、「an」および「the」は、特徴または要素のうちの1つまたは複数への参照を含む。
【0034】
本明細書で使用される用語「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意の組合せおよびすべての組合せを含む
【0035】
本明細書で使用される表現「充電状態」は、電圧を指すことができる。例えば、バッテリーの電圧は、バッテリーの充電状態を示すことができ、および/または、バッテリーの充電状態に比例することができる。電圧を測定すること以外の、充電状態を判別するための他の方法もまた、実施され得る。充電状態の差は、絶対値であってもよい。
【0036】
様々な実施形態によれば、論理回路の詳細は、制御ユニット120が論理回路を備えているので、制御ユニット120にも適用される。論理回路は、例えば、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにおけるデジタル論理、例えば、マイクロコントローラを用いて実装されてもよい。したがって、制御ユニット120は、マイクロコントローラを備えていてもよい。
【0037】
図1は、様々な実施形態に係る、充電モードにおける電力システム10の概略図を示す。図2は、様々な実施形態に係る、放電モードにおける電力システム10の概略図を示す。図1および図2に示す電力システム10は、第1のアキュムレーター(accumulator:蓄電池)220を備える第1のバッテリーユニット20と、第2のアキュムレーター320を備える第2のバッテリーユニット30と、を備えていてもよい。第1および第2のバッテリーユニット20、30の少なくとも1つは、交換可能なバッテリーユニットであってもよい。電力システム10は、さらに、バッテリー制御装置100を備えていてもよい。バッテリー制御装置100は、第1のバッテリーユニット20に接続された第1の充電電流経路101Cおよび第1の放電電流経路101Dを備えていてもよい。バッテリー制御装置100は、さらに、第2のバッテリーユニット30に接続された第2の充電電流経路102Cおよび第2の放電電流経路102Dを備えていてもよい。
【0038】
バッテリー制御装置100は、さらに、電動車両300の電気制御システム40との接続のための第3の充電電流経路103Cおよび第3の放電電流経路103Dを備えていてもよい。第1の電力スイッチ111は、第1の放電電流経路101Dと第3の放電電流経路103Dとの間に設けられてもよい。第2の電力スイッチ112は、第2の放電電流経路102Dと第3の放電電流経路103Dとの間に設けられてもよい。第1の電力スイッチ111および第2の電力スイッチ112は、バッテリー制御部100に含まれていてもよい。
【0039】
様々な実施形態によれば、第3の充電電流経路103Cは、例えば、銅等の金属配線又はワイヤーを介して、第1の充電電流経路101Cおよび第2の充電電流経路102Cに導電結合することができる。いくつかの実施形態において、第1の充電電流経路101Cに結合された第3の充電電流経路103Cを含む経路は、スイッチング素子を含んでいなくてもよい。また、第2の充電電流路102Cに結合された第3充電電流路103Cを含む経路も、スイッチング素子を含んでいなくてもよい。
【0040】
バッテリー制御装置100は、さらに、第1の電力スイッチ111および第2の電力スイッチ112を独立して設定するよう構成された制御ユニット120を備えていてもよい。例えば、第1の電力スイッチ111および第2の電力スイッチ112のそれぞれは、開状態(open)または閉状態(closed)に設定され得る。第1の電力スイッチ111および第2の電力スイッチ112は、第1のバッテリーユニット20内の第1のアキュムレーター220の状態、および/または、第2のバッテリーユニット30内の第2のアキュムレーター320の状態に基づいて、制御ユニット120によって設定され得る。
【0041】
様々な実施形態によれば、制御ユニット120は、第1のアキュムレーター220および第2のアキュムレーター320の充電挙動を調整(regulate)するよう構成された論理回路を含んでいてもよい。
【0042】
様々な実施形態によれば、論理回路は、充電の際、第1のアキュムレーター220および第2のアキュムレーター320間における、より低い充電状態(lower charge state)、および、より高い充電状態(higher charge state)を判別するよう構成されていてもよい。論理回路は、さらに、(i)充電の際、第1および第2のバッテリーユニットのうち、より低い充電状態を有するバッテリーユニットに、充電有効コマンド(charge enable command)を送信するよう構成されていてもよい。論理回路は、さらに、(ii)充電の際、より高い充電状態とより低い充電状態との差が、所定の充電しきい値よりも低い場合に、第1および第2のバッテリーユニットのうち、より高い充電状態を有するバッテリーユニットに、充電有効コマンドを送信するよう構成されていてもよい。充電有効コマンドは、各バッテリーユニットが充電されることを可能とすることができる。例えば、充電有効コマンドは、それぞれのバッテリーユニットが充電されることを可能とすることができる。例えば、充電有効コマンドは、それぞれの内部バッテリーユニットスイッチ(例えば、第1の内部充電スイッチまたは第2の内部充電スイッチ)を閉状態にすることによって、各バッテリーユニットを、充電モードにすることができる。工程(ii)は、工程(i)の後に実行されることが好ましい。工程(i)の後、論理回路は、より高い充電状態とより低い充電状態との差を連続的にモニタリングし、この差を、所定の充電しきい値と比較してもよい。
【0043】
図1および図3を参照し、説明のため、アキュムレーターの充電が必要とされ、そのため、論理回路が、充電モードで構成されることを想定する。この実施例を説明するため、第1のアキュムレーター220が、より低い充電状態(CB1)を有し、第2のアキュムレーター320が、より高い充電状態(CB2)を有していると仮定する(しかしながら、これは、この逆の態様であってもよい)。論理回路は、第1のアキュムレーター220および第2のアキュムレーター230間における、より低い充電状態(CB1)、および、より高い充電状態(CB2)を判別し((CB1>CB2)?)、さらに、より低い充電状態(CB1)のアキュムレーター220を特定することができる。より低い充電状態(CB1)であるか、より高い充電状態(CB2)であるかを判別するために、論理回路は、第1のアキュムレーター220および第2のアキュムレーター320の充電状態(CB1、CB2)を、例えば、連続的にモニタリングしてもよい。次に、論理回路は、充電有効コマンドCE1を、第1のアキュムレーター220(すなわち、より低い充電状態CB1のアキュムレーター)を備えるユニットである第1のバッテリーユニット20に送信することができる。これ以降、第1のアキュムレーター220は、充電中となる。
【0044】
論理回路は、第1のアキュムレーター220および第2のアキュムレーター320ーの充電状態(CB1、CB2)を、例えば、連続的にモニタリングし続けることができる。より高い充電状態(CB2)とより低い充電状態(CB1)との差(|CB1-CB2|)が、所定の充電しきい値(Cth)よりも低い場合、論理回路は、第1および第2のバッテリーユニットのうち、高い充電状態を有するバッテリーユニットに、充電有効コマンドCE2を送信してもよい。この場合、論理回路は、第2のアキュムレーター320を備えるユニットである第2のバッテリーユニット30に、充電有効コマンドCE2送信してもよい。これ以降、第1のアキュムレーター220及び第2のアキュムレーター320は、いずれも充電中となる。このプロセスは、充電が必要とされる限り、繰り返えされてもよい。充電は、充電が完了するまで実行されてもよいし、例えば、電力システム10への充電電力の供給が遮断された場合などに、中断されてもよい。図3に示されるフローチャートは、説明の目的のために提供されるものである。図3に示されるフローチャートは、例えば、論理回路が、CE2を送信する代わりに、冗長であったとしても、CE1およびCE2を送信、すなわち、CE1を再アサートとするよう異なる態様で実装された場合であっても、同一または類似の効果を提供することができる。
【0045】
図2および図4を参照し、説明のため、アキュムレーターの放電が必要とされ、したがって、論理回路が、放電モードで構成されることを想定する。放電モードは、例えば、乗り物を動かすための電気モーターが組み込まれている場合等の、バッテリーユニットを電源として有し、負荷(load)を電気的に駆動する必要がある場合のものであってもよい。実施例を説明するため、第1のアキュムレーター220がより高い充電状態(CB1)を有し、第2のアキュムレーター320がより低い充電状態(CB2)を有すると仮定する(しかしながら、これは逆の態様であってもよい)。いくつかの実施形態では、初期状態において、第1の電力スイッチ111および第2の電力スイッチ112の両方が、閉状態とされていてもよい。種々の実施形態によれば、論理回路は、第1のアキュムレーター220および第2のアキュムレーター230間における、より低いチャージ状態(CB1)、および、より高いチャージ状態(CB2)を判別し(CB1>CB2)?)、さらに、より高いチャージ状態(CB1)の第1のアキュムレーター220を特定することができる。より高い充電状態(CB1)であるか、より低い充電状態(CB2)であるかを判別するため、論理回路は、第1のアキュムレーター220および第2のアキュムレーター320の充電状態(CB1、CB2)を、例えば、連続的にモニタリングしてもよい。その後、第1バッテリーユニット20に含まれるアキュムレーターである第1アキュムレーター220(すなわち、より高い充電状態CB1のアキュムレーター)を放電させるために、論理回路は、第1の電力スイッチ111を閉じてもよい。これ以降、第1のアキュムレーター220は、負荷が提供された際に、放電中となる。
【0046】
論理回路は、第1のアキュムレーター220ーおよび第2のアキュムレーター320の充電状態(CB1、CB2)を、例えば、連続的にモニタリングし続けてもよい。より高い充電状態(CB1)とより低い充電状態(CB2)との差(|CB1-CB2|)が、所定の放電しきい値(DCth)よりも高い場合、論理回路は、第1のアキュムレーター220および第2のアキュムレーター320のより低い充電状態を有する1つに対応する、第1の電力スイッチ111および第2の電力スイッチ112のうちの1つ(この場合、第2の電力スイッチ112)を開状態とすることができる。これ以降、第1のアキュムレーター220は、放電中となり、第2のアキュムレーター320は、放電していない。これにより、放電アンバランス(discharge imbalance)を回避することができる。このプロセスは、放電が必要とされる限り、繰り返されてもよい。図4に示されるフローチャートは、説明のために、提供されるものである。図4に示されるフローチャートは、同一または類似の効果を提供するよう、異なる態様で実装されてもよい。
【0047】
以下の記述において、初期状況が説明される。初期状況では、第1のバッテリーユニット20が、様々な実施形態に係るバッテリー制御100に差し込まれ(plugged in)、それによって、バッテリー制御装置100に接続され、さらに、第2のバッテリーユニット30がバッテリー制御部100に差し込まれ、それによって、バッテリー制御装置100に接続される。
【0048】
第1のバッテリーユニット20が差し込まれると、電気制御システム40および第1のバッテリーユニット20のそれぞれは、バッテリーが、スクーター内に存在することを検出することができる。第1のバッテリーユニット20は、任意の内部放電回路を開き、さらに、バッテリー制御装置100には、例えば、それぞれのダイオード(図5参照)を介して、電力供給がされることになる。このとき、電気制御システム40は、依然として、電源オフであってもよい。第2バッテリーユニット30が挿入された後、バッテリー制御装置100は、第1バッテリーユニット20の充電状態と、第2バッテリーユニット30の充電状態とを比較し、その後、第1バッテリーユニット20内の第1アキュムレーターの状態、および/または、第2バッテリーユニット30内の第2アキュムレーターの状態に基づいて、第1電力スイッチ11および第2電力スイッチ112を設定する。したがって、バッテリー制御装置100は、第1および第2の電力スイッチ111、112の一方または双方を、オンにするかどうかを決定する。
【0049】
第1のバッテリーユニット20が、自身の集積放電回路(例えば、第1の放電スイッチ)をオンにした後、第1のバッテリーユニット20は、バッテリー制御装置100との通信を試みる。通信が正常である場合、第1のバッテリーユニット20は、出力を維持し続ける。通信にエラーが発生した場合、例えば、タイムアウトエラーが発生した場合(例えば、通信が確立されていない場合)、第1のバッテリーユニット20は、出力をオフにする。
【0050】
第2のバッテリーユニット30が差し込まれると、上述した第1のバッテリーユニット20と同様に、第2のバッテリーユニット30は、自身の放電回路(例えば、第2の放電スイッチ)を、例えば、同時にオンにしてもよい。2つのダイオードが設けられている場合(図5参照)、これらダイオードによって、バッテリー制御装置100には、第1および第2のバッテリーユニットによって供給される電圧によって、絶えることなく(constantly)、電力供給されることになる。
【0051】
以下、様々な実施形態に係る、第1のバッテリーユニット20および第2のバッテリーユニット30が新しいバッテリーユニット(例えば、充電されたバッテリーユニット)と交換される状況について説明する。
【0052】
電気制御システム40は、バッテリー制御装置100を制御して、第1および第2の電力スイッチ111、112をオフにし、その後、電気制御システム40の電源がオフにされてもよい。電気制御システム40は、それに応じて適切に構成されてもよい。
【0053】
バッテリー制御装置100は、第1のバッテリーユニット20および第2のバッテリーユニット30を制御して、第1および第2の放電スイッチ211、311(311は図示せず)を、オフ(例えば開状態)にして、出力を停止することができる。これにより、ユーザーは、第1および第2のバッテリーユニット20、30を、それぞれ用のレセプタクルから取り外すことができる。
【0054】
ユーザーは、新しい(例えば、完全に充電された)第1のバッテリーユニットおよび第2のバッテリーユニットを、それぞれ用のレセプタクル内に挿入し、さらに、放電の手順を開始することができ、その後、システムの電源がオンになる。
【0055】
交換操作の前に、システムの電源がオフになり、さらに、第1および第2のバッテリーユニットの出力が遮断されるため、バッテリーの電力を遮断しない他のソリューションよりも、交換操作がより安全になる。
【0056】
システム全体が電源オフになる前に、最初に、交換操作が、オペレータによって実行される場合において、例えば、ユーザーは、システムが電源オンのままである間に、バッテリーユニットのうちの1つを取り外すが、システムの安定性は、依然として、バッテリー制御装置100によって保証され得る。例えば、バッテリー制御装置100の電源がオンにされた際、第1および第2のバッテリーユニット20、30は、共に、通常出力状態にある。ユーザーまたはオペレータが、バッテリーユニットのうちの1つを引き抜くと、バッテリー制御装置100は、バッテリーユニットの取り外しを検出し、第1および第2の電力スイッチ(111または112)のうちの対応する1つをオフにする。様々な実施形態によれば、バッテリー制御装置100は、バッテリーユニットの取り外しを検出し、第1および第2の電力スイッチ(111または112)のうちの対応する1つをオフにするように構成されていてもよい。
【0057】
また、第1および第2のバッテリーユニット20、30のそれぞれは、それらが引き出されたことを検出してもよく、すなわち、放電を停止するためのコマンドを事前に受信することなく、取り外されたことを検出してもよく、その後、例えば、バッテリー制御装置100との通信が再度確立されるまで、放電をオフにしてもよい。様々な実施形態によれば、第1および第2のバッテリーユニット20、30のそれぞれは、これに応じて適切に構成されてもよい。
【0058】
この時点で(バッテリーユニットの一方の不適切な取り外しの後)、バッテリー制御装置100および電気制御システム40には、他方のバッテリーユニットから、依然として、電力供給される。他方のバッテリーユニットも引き出されると、バッテリー制御装置100および電気制御システム40の電源がオフになる。直前に取り外されたバッテリーユニットの電源それ自体も、同様にオフにされる。したがって、前述した操作手順により、電気制御システム40が損傷することはない。また、バッテリー制御部100および電気制御システム40の電力供給は分離されているので、特定の状況または意図的な操作において、バッテリー制御部100は、第1および第2の電力スイッチ111、112の両方をオフ(開状態)にして、電気制御システム40の電源をオフにすることができる。したがって、この状態では、乗り物(例えば、電気スクーター)が停止モードにあるとき、バッテリー制御装置100は、電気制御システム40の電源を自動的にオフにすることができる一方、第1のバッテリーユニット20および第2のバッテリーユニット30は、両方とも、出力を正常に保つことができ、これにより、システム全体は、より多くの電力を節約することができ、安全性が高められる。
【0059】
様々な実施形態によれば、論理回路は、電気制御システム40から停止コマンドを受信し、停止コマンドを受信すると、第1の電力スイッチ111および第2の電力スイッチ112のそれぞれを、開状態に設定するよう、さらに構成されてもよい。
【0060】
この論理によって、バッテリー交換操作の前に、最初に、電気制御システム40の電源をオフにする必要がなくなる。したがって、システムの安定性を向上させると共に、操作がより容易かつ安全となる。
【0061】
以下の記述において、第1および第2のバッテリーユニットのうちの1つ(20または30)のみが、新しいバッテリーユニット(例えば、充電されたバッテリーユニット)と交換される状況が説明される。
【0062】
第1および第2のバッテリーユニット20、30の一方が、それ自身用のレセプタクルから取り外されると(例えば、バッテリー制御部100からとの接続が解除されると)、バッテリー制御部100は、取り外しを検出し、関連付けられた電力スイッチ(111または112)をオフ(開状態)にし、接続解除されたバッテリーは、同様に、自身の出力を遮断することができる。
【0063】
通常の交換操作においては、新しいバッテリーユニットが挿入される前に、バッテリーユニット20、30の双方を取り外す必要がある。第1および第2のバッテリーユニット(20または30)の一方のみが、新しいバッテリーユニット(例えば、完全に充電されたバッテリーユニット)と交換される場合、新しいバッテリーは、取り外されたバッテリーよりも高い充電状態を有し、さらに、残されたバッテリーユニット(取り外されなかったバッテリーユニット)の充電状態よりも高い充電状態を有する。
【0064】
ダイオード(図5参照)によって、バッテリー制御装置100への電力供給は、(より高い電力レベルの)新しいバッテリーに自動的に切り替わることになる。
【0065】
残されたバッテリーユニットは、より低い充電状態を有するので、バッテリー制御装置100は、残されたバッテリーユニットに関連付けられた電力スイッチ(111または112)をオフ(開状態)にする。その後、バッテリー制御装置100は、新たに挿入されたバッテリーユニットに関連付けられた他方の電力スイッチ(112または111)をオン(閉状態)し、残されたバッテリーユニットから、新たなバッテリーユニットへの電力供給の切り替え処理を完了する。
【0066】
様々な実施形態によれば、電気制御システム40および/またはバッテリー制御部100は、第1および第2のバッテリーユニット20、30のうちの1つが(バッテリー制御部100との間で)接続解除および再接続されたことを検出し、さらに、乗り物(例えば電気スクーター)がライドモード(ride mode)にある場合、再接続されたバッテリーユニットの放電を再度有効にしないようにするよう、さらに構成されてもよい。再接続されたバッテリーユニットに対応する電力スイッチを開状態に維持にすることによって、再接続されたバッテリーユニットの放電を再度有効にしないようにするようことができる。いくつかの実施形態では、第1のバッテリーユニット20と第2のバッテリーユニット30との間に電圧差が存在していたとしても、再接続されたバッテリーユニットが、再度有効にされなくともよい。これは、例えば、ライドモードで乗り物を動作させる間における、さらなる安全性を提供する。ライドモードが非アクティブ化されると、電気制御システム40および/またはバッテリー制御装置100は、例えば、図3および図4を参照して説明したように、通常動作モードに戻ってもよい。
【0067】
図5は、様々な実施形態に係る電動車両の電力システム10用のバッテリー制御装置100の概略図を示す。バッテリー制御装置100は、第1のバッテリーユニットに接続可能な第1の充電電流経路101Cおよび第1の放電電流経路101Dを備えていてもよい。バッテリー制御装置100は、さらに、第2のバッテリーユニット30に接続可能な第2の充電電流経路102Cおよび第2の放電電流経路102Dを備えていてもよい。バッテリー制御装置100は、さらに、電動車両300の電気制御システム40との接続のための第3の充電電流経路103および第3の放電電流経路103Dを備えていてもよい。バッテリー制御装置100は、さらに、第1の放電電流経路101Dと第3の放電電流経路103Dとの間に第1の電力スイッチ111を備えていてもよい。バッテリー制御装置100は、さらに、第2の放電電流経路102Dと第3の放電電流経路103Dとの間に第2の電力スイッチ112を備えていてもよい。バッテリー制御装置100は、さらに、第1のバッテリーユニット20内の第1のアキュムレーターの状態、および/または、第2のバッテリーユニット30内の第2のアキュムレーターの状態に基づいて、第1の電力スイッチ111および第2の電力スイッチ112を設定するように構成された制御ユニット120を備えていてもよい。制御ユニット120は、第1のバッテリーユニット20および第2のバッテリーユニット30の第1の内部充電スイッチおよび第2の内部充電スイッチ、並びに、第1のバッテリーユニット20および第2のバッテリーユニット30の第1の放電スイッチ211および第2の放電スイッチ311(311は図示せず)を設定するように構成されていてもよい(図6参照)。
【0068】
種々の実施形態によれば、図6に示されるように、制御ユニット120は、第1の放電電流回路101Dを経由し、さらに、第1のダイオードを介して、第1のバッテリーユニット20によって(例えば、第1のアキュムレーター220によって)電力供給され、および/または、第2の放電電流経路102Dを経由し、さらに、第2のダイオードを介して、第2のバッテリーユニット30によって(例えば、第2のアキュムレーター230によって)電力供給され得る。これら放電電流経路とこれらダイオードとの間の電気的接続は、理解を容易にするために、破線で表されている。
【0069】
様々な実施形態によれば、第1の電力スイッチ111および/または第2の電力スイッチ112は、ソリッドステートスイッチであり、任意選択的に、MOSトランジスタである。
【0070】
図6は、バッテリーユニットの略図を示しており、第1および第2のバッテリーユニット20、30のそれぞれは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。1つの実施例では、バッテリーユニット20、30の双方が、同じ公称容量を有する。様々な実施形態によれば、第1のバッテリーユニット20および第2のバッテリーユニット30のそれぞれは、交換可能なバッテリーユニットであってもよい。例えば、第1のバッテリーユニット20および第2のバッテリーユニット30の双方が、交換可能なバッテリーユニットであってもよい。第1のバッテリーユニット20は、説明の目的のために、端子C+、P+、P-、485A、485B、およびDETを有するものとして表されるコネクタを有している。C+端子は、充電端子である。P+端子およびP-端子は、正および負の電力端子(power terminals)である。DETは、検出ライン(detection line)を表す。485Aおよび485Bは、例えば、RS-485用の通信端子であるが、本発明は、これに限定されず、他の物理層および/または通信プロトコルが使用されてもよい。制御ユニット120は、バッテリーユニット20、30のコネクタと互換性のあるコネクタ(図5参照)を有していてもよい。
【0071】
制御ユニット120は、乗り物の電気制御システム40との接続のために、前述のような類似の端子部を有するコネクタを有していてもよい。しかしながら、コネクタは、図示されたものとは異なっていてもよく、互いに異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、制御ユニット120の3つのコネクタすべてが、同じ種類の端子を有する。これにより、制御ユニット120を、例えば、電気制御システム40が、バッテリーユニット20、30に事前に直接接続されている既存のシステムに、組み込むことができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、第1のバッテリーユニット20は、第1のアキュムレーター220と第1の充電電流経路101Cとの間に第1の内部充電スイッチ211を備えていてもよく、さらに、第1のアキュムレーター220と第1の放電経路101Dとの間に第1の内部放電スイッチ212を備えていてもよい。また、第2のバッテリーユニット30は、第2のアキュムレーターと第2の充電電流経路との間に第2の内部充電スイッチを備えていてもよく、さらに、第2のアキュムレーターと第2の放電経路との間に第2の内部放電スイッチを備えていてもよい。制御ユニット120は、第1および第2のバッテリーユニットの第1および第2の内部充電スイッチ、並びに、第1および第2の放電スイッチを、例えば、閉状態にすることによって放電を可能とし、または、開状態にすることにより各アキュムレーターの放電を無効にするように、設定するよう構成されていてもよい。
【0073】
本発明の1つの態様は、電気制御システム40を含む電力システム10を含む電動車両300、バッテリー制御装置100に関し、第1および/または第2のバッテリーユニット20、30用のレセプタクルをさらに備えていてもよい。電動車両300は、様々な実施形態に係る、第1および/または第2のバッテリーユニット20、30をさらに備えていてもよい。このような乗り物の例を、図7に示す。電動車両300は、電気制御システム40に電気的に結合された電気モーターを備えていてもよい。例えば、電動車両300は、電気スクーターであってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7