(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】試験体システム
(51)【国際特許分類】
G01G 23/01 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
G01G23/01 K
(21)【出願番号】P 2022537237
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 DE2020101079
(87)【国際公開番号】W WO2021121486
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】102019135601.6
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506186673
【氏名又は名称】ヴィポテック ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】ADAM-HOFFMANN STRASSE 26, 67657 KAISERSLAUTERN,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ゴットフリードセン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス シュテルヴァーゲン
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202008012406(DE,U1)
【文献】特開平10-078347(JP,A)
【文献】米国特許第03396573(US,A)
【文献】独国特許出願公開第19631709(DE,A1)
【文献】独国実用新案第202005010429(DE,U1)
【文献】特許第6385542(JP,B1)
【文献】特開2001-289727(JP,A)
【文献】特開平07-139992(JP,A)
【文献】中国実用新案第202974415(CN,U)
【文献】中国実用新案第205843804(CN,U)
【文献】中国実用新案第2574024(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定可能な全体試験荷重および/または設定可能なX方向長さおよび/または設定可能なY方向幅を有する、少なくとも2つの部材を含むトレイン(T)を構成して、測定システムの表面(W)を通るように案内するために、長手方向(X)で相前後して、および/または長手方向(X)に対して直角
の横方向(Y)で相並んで配置可能である、互いに連結可能な少なくとも2つの部材を含む、試験体システムにおいて、
a)少なくとも2つの前記部材のうち少なくとも1つの第1の部材は、長手方向(X)の長さ(LA)、横方向(Y)の幅(BA)、および長手方向(X)および横方向(Y)に対して直交するように延びる高さ方向(Z)の高さ(HA)をもって延びる、前記表面(W)の上に載置するための底面(F)を有する収容部材(A)として構成され、
b)少なくとも2つの前記部材のうち少なくとも1つの別の部材(A,D)は、
b1)別の収容部材(A)として構成され、その寸法設定は前記第1の収容部材(A)
のものと一致するか、または少なくとも1つの寸法に関してこれと相違し、または、
b2)長手方向(X)の長さ(LD)、横方向(Y)の幅(BD)、および高さ方向(Z
)の高さ(HD)をもって延びるスペーサ部材(D)として構成され、
c)前記収容部材(A)または前記スペーサ部材(D)として構成される各々の前記部材(A,D)は、X方向またはY方向で直接的に相前後ないし相並んで配置される前記部材(A,D)を互いに取外し可能に連結できるようにするために連結手段(K)を有し、 d)各々の前記収容部材(A)は1つまたは複数のポケット(U)を備える本体(R)を有し、少なくとも1つの前記ポケット(U)は試験ウェイト(G)を一時的に収容するために構成される、試験体システム。
【請求項2】
相前後および/または相並んで配置されて互いに連結された複数の前記部材(A,D)からなるトレイン(Z)を設定可能な全体長さおよび/または全体幅で編成できるようにするために少なくとも1つのスペーサ部材(D)をさらに含み、前記試験体システムの前記スペーサ部材(D)は試験ウェイトを収容するために意図されるのではない、請求項1に記載の試験体システム。
【請求項3】
前記トレイン(T)の2つの前記スペーサ部材(D)を、または2つの前記収容部材(A)を、または前記収容部材(A)と前記スペーサ部材(D)を、選択的に互いに直接的に連結するために、前記収容部材(A)の前記連結手段(K)は前記スペーサ部材(D)の前記連結手段(K)と同じ構成であることを特徴とする、請求項1または2に記載の試験体システム。
【請求項4】
前記収容部材(A)の前記本体(R)は前記底面(F)と反対を向く上面(O)を有し、前記ポケット(U)は前記上面(O)に対して垂直に、および/または高さ方向(Z)に、前記本体(R)の中に入るように延びることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の試験体システム。
【請求項5】
前記収容部材(A)および/または前記スペーサ部材(D)の高さ(HA,HD)は長さ(LA,LD)および/または幅(BA,BD)と比べて小さくなっており、それにより前記部材(A,D)
は平坦な物体を形成
し、
a)(LA,LD)>(HA,HD)および/または(BA,BD)>(HA,HD)
、
および/または
b)HA=HD
および/または
c)BA=BD
が成り立つことを特徴とする、請求項1から4のうちいずれか1項に記載の試験体システム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記スペーサ部材(D)は、重量削減のためにハニカムまたはロッド構造として構成される、および/またはスペーサ部材体をZ方向で部分的または全面的に貫通する少なくとも1つの切欠きを有する、スペーサ部材体を有することを特徴とする、請求項1から5のうちいずれか1項に記載の試験体システム。
【請求項7】
X方向で互いに直接的に連結される、前記トレイン(T)の2つの前記部材(A,D)が互いにY方向で部分的に重なり合うことを特徴とする、請求項1から6のうちいずれか1項に記載の試験体システム。
【請求項8】
前記部材(A,D)が、
a)幅(BA,BD)と長さ(LA,LD)とを有する規則的または不規則的な多角形の形状を有する、および/または、
b)幅(BA,BD)にわたって延び、
皿形または円弧の形状を有す
る、
X-Y外側断面を有することを特徴とする、請求項1から7のうちいずれか1項に記載の試験体システム。
【請求項9】
それぞれ2つの前記部材を互いに連結する前記連結手段(K)は、これら2つの前記部材の間の引張力および/またはせん断力および/または圧縮力を伝達するために構成され、前記連結手段は弾性的であり、それは、連結を維持したうえで、
a
)長手方向(X)または横方向(Y)または高さ方向(Z)に延びる傾動軸を中心とする、互いに連結された前記部材(A,D)の相互に相対的な柔軟な傾動を、設定可能な許容差の範囲内で許容するためであり、
および/または
b)2つの前記部材の互いに相対的な並進運動を許容するためであり、
および/または
c)2つの前記部材の間の衝撃の伝達を緩衝および/または弾性減衰するためである
ことを特徴とする、請求項1から8のうちいずれか1項に記載の試験体システム。
【請求項10】
互いに直接的に連結された2つの前記部材(A,D)が、これらが互いに相対運動したときにも2つの前記部材(A,D)の直接の接触をほぼ、または完全に回避するために、それぞれの間で間隔
を形成することを特徴とする、請求項1から9のうちいずれか1項に記載の試験体システム。
【請求項11】
前記部材(A,D)はそれぞれ異なる長さ(LA,LD)ないし幅(BA,BD)で設けられ、長さないし幅はベース長さないしベース幅
の整数倍によって前記部材(A,D)の長さ(LA,LD)ないし幅(BA,BD)が形成されるグリッド寸法に基づいて構成され、もっとも短い、ないしはもっとも細い前記部材(A,D)がベース長さないしベース幅を有することができ、またはベース長さないしベース幅の倍数を有することができることを特徴とする、請求項1から10のうちいずれか1項に記載の試験体システム。
【請求項12】
前記トレイン(T)の内部で少なくとも1つの前記部材(A,D)について、
a)前記部材(A,D)に設けられる部材識別表示、および/または
b)少なくとも1つの他の部材(A,D)に対して相対的な前記トレイン(T)の内部におけるその位置、および/または
c)長手方向(X)および/または横方向(Y)および/または高さ方向におけるその寸法および/またはその空重量、および/または
d)前記収容部材(A)の内部における試験ウェイトの種類と位置ごとの試験ウェイトの装填、および/または
e)長手方向(X)および/または横方向(Y)におけるその全体重量および/または重量分布
を手動式または自動式に検出できるようにするために機械可読の識別手段をさらに含む、請求項1から11のうちいずれか1項に記載の試験体システム。
【請求項13】
X方向および/またはY方向で直接的に接する他の部材(A,D)と連結される少なくとも1つの収容部材(A)を有する、請求項1から12のうちいずれか1項に記載の試験体システムの少なくとも2つの部材(A,D)の配置によって構成された、トレイン(T)。
【請求項14】
請求項1から12のうちいずれか1項に記載の試験体システムを利用したうえで測定システムの試験をする方法において、次の各ステップ、
a)X方向で相前後して位置する、および/またはY方向で相並んで位置する、互いに連結された少なくとも2つの部材(A,D)を有し、そのうち少なくとも1つの部材が収容部材(A)であるトレイン(T)が形成されること、
b)前記トレイン(T)の全体試験荷重を構成するために前記収容部材(A)の個数nのポケット(U)に試験ウェイト(G)が装填され、このときn≧0が成り立つこと、
c)測定システムを通って、ないしはこれに沿って、X方向に前記トレインが動かされること、
d)前記測定システムが前記トレインの少なくとも1つの物理量との関連で
、検出する測定値が検出されて評価されること、
を含んでいる方法。
【請求項15】
前記ポケット(U)への装填により前記トレイン(T)の全体長さ(LT)および/または全体幅(BT)に沿って設定可能な重量分布が模倣されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定システムの点検をするための試験体システム、並びにこのような点検のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用の測定システムや検査システムは、特に秤は、たとえば型式認証、校正試験、キャリブレーション、またはその他の点検の際に、その適正な機能に関して、特に測定の正しさや測定の安定性に関して、点検されなければならない。このことは、測定システムによって決定されるべき特定の物理的特性を有する、適切な試験体を用いて行われるのが好ましい。このことは、たとえば秤の場合には特定の重量であってよく、または、物体の特定の長さまたは幅に沿っての特定の重量分布であってよい。
【0003】
動的に作動する測定システムは、(たとえばコンベヤベルトなどの搬送装置によって)製品を動かし、運動中に製品の特定の物理的特性を検出するために設計されている。したがって、このようなシステムをテストできるようにするには、事前に既知の特性を有する適切な試験体を、測定システムを通過するように動かさなくてはならない。
【0004】
このとき測定システムの測定領域に応じて、ないしは、検出されるべき物理的単位(特に重量または重量分布)のオーダーに応じて、検出されるべき特性(特に特定の試験荷重)を正確に有する試験体を事前に提供することが必要である。動的な秤を適正に点検するためには、たとえば(好ましくは特定の長さおよび/または幅をもって)特定の重量または特定の重量分布を長さまたは幅に沿って有する試験体が必要となる。
【0005】
これに加えて大型の試験体は、可能な限り平坦で摩耗の少ない下面を備えていなければならず、このことは高いコストと結びついている。最後に試験体は、再現可能な試験結果を供給できるようにするために、可能な限り変更不能でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、試験体を作成するためのシステムを提供することにあり、および、このような試験体を用いて測定システムを点検する方法を提供することにある。この課題は、請求項1に記載の試験体システムないし請求項14に記載の方法によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が前提とする知見は、個々の部材から構成される試験体システムを用いて、測定システムを点検するための適切な試験体を作成できるようにするというものである。このような本発明による試験体システムは、互いに直接的に連結可能な少なくとも2つの部材を含む。各部材は長手方向Xで相前後して、および/または長手方向Xに対して直角の、好ましくは水平の横方向Yで相並んで、配置可能かつ互いに連結可能であり、それにより、測定システムの点検のために利用されるべき試験体をなす、少なくとも2つの部材を含むトレインを形成する。そして少なくとも2つの部材で形成されるトレインが、測定システムによって正確に検出されるべきである、設定可能な全体試験荷重、設定可能なX方向長さ、設定可能なY方向幅、またはその他の物理量を形成することができる。そのためにトレインが、たとえば定置の計量プラットフォームまたは計量ベルトであってよい、測定システムの表面を通るように案内される。
【0008】
本発明に基づいて個別に設けられる試験体システムの各部材をフレキシブルにモジュール形式で組み合せることができ、ないしは互いに連結することができる。各々の所望の試験荷重について独自の試験体を提供することに代えて、本発明によるシステムは、さまざまな部材から共同で編成可能な全体試験体荷重の提供を簡易化する。それにより、在庫保管コストと輸送コストを有意に削減することができる。
【0009】
測定システムの表面に載置するための、個々の部材の耐摩耗性で平坦な底面の構成も、(実際には長さが1mを超えることがあり得る)連続する固定的な試験体に比べて、同じく低コストかつ簡易に具体化することができる。
【0010】
試験体システムの各部材のうちの少なくとも1つは、個々の試験ウェイトを収容するために構成される収容部材である。収容部材に設けられるポケットに個々の試験重量を挿入することで、設定可能な目標重量および設定可能な重量分布を(さしあたり個々の収容部材の内部で)作成することができる。
【0011】
本発明による収容部材は、長手方向Xの長さLAと、横方向Yの幅BAと、長手方向Xおよび横方向Yに対して直交するように延びる高さ方向Zの高さHAとをもって延びている。さらに、これは測定システムの表面に載置するための底面Fを有する。
【0012】
本発明による試験体システムの少なくとも2つの部材のうちの別の1つは、上述した種類の他の収容部材であってよい。ただし、その寸法設定は他方の収容部材とは部分的または全面的に相違することができ、それにより、たとえば幅は一致しているが長さは異なっている。しかしながらその代替として第2の部材は、試験重量を収容するために意図されるのではなく、有意な自身の重量割合を有することなく、主として各部材で構成されるトレインの長さまたは幅の一部を形成するべきスペーサ部材であってもよい。スペーサ部材は、長手方向Xの長さLDと、横方向Yの幅BDと、高さ方向Zの高さHDとをもって延びている。
【0013】
試験体システムの収容部材とスペーサ部材(合わせて各部材と呼ぶ)は、トレインを構成するために長手方向および/または横方向で互いに連結可能であり収容部材をこれに直接隣接する別の収容部材と、またはスペーサ部材と、連結可能である。同様に、スペーサ部材を他のスペーサ部材と、または収容部材と、連結可能である。試験体システムが横方向での連結も意図している場合、長手方向での連結は、本発明に基づいて横方向での連結に左右されることがなく、それにより、1つの部材を長手方向と横方向で別種または同種の他の部材と連結可能である。本発明によると、試験体システムの収容部材および/またはスペーサ部材を任意の順序、個数、長さ、および幅でトレインをなすようにモジュール形式で組み合わせることができ、トレインの収容部材に試験ウェイトが適切に装備されることで、これが設定可能な全体試験荷重および/または長さと幅に沿った重量分布を有することになる。当然ながら、トレインのそれぞれ個々の部材について、特定の試験荷重と重量分布を調整することもできる。
【0014】
試験体システムの各部材は、長手方向または横方向で互いに隣接して配置されるべき各部材を相互に連結するために、適切な連結手段を有する。互いに連結される各部材のさまざまな配置を構成できるようにするために、連結が取外し可能であるのがよい。連結は、ツールレス式ないしは手動式に取外し可能であるのが好ましい。
【0015】
試験体システムの各々の収容部材は、測定システムの上に載置するために構成される好ましくは平坦な底面と、1つまたは複数のポケットとを有する本体を含む。底面は連続して形成されていてよく、または、たとえばポケットによって生じる切欠きを有することができる。ポケットは個々の試験ウェイトを一時的に収容するために構成され、種々の形状を有することができる。ポケットは、類似する寸法を有する円筒状の試験ウェイトを収容するために、円筒状に構成されるのが好ましい。ポケットの寸法は、測定システムを通ってトレインが動いている間に試験ウェイトを確実にほぼクリアランスなく保持するために、場合により存在する試験ウェイトの規格化されたサイズに合わせて、可能な限り正しい嵌め合いになるように適合化されるのが好ましい。
【0016】
ポケットは、底面に向かい合う上面Oを起点として高さ方向Hで本体に入り込むように延びるのが好ましく、上面は底面に対して平行に、本体の下面の上に構成されるのが好ましい。これらは、さまざまに異なる高さでの試験ウェイトの配置を可能にするために、さまざまに異なる深さで構成されていてよい。そのためにポケットは、ポケットに挿入される試験ウェイトを保持するために、設定可能な深さに適切なストッパ手段を有する。これは閉じられた底部であってよく、それにより、ポケットが止まり穴のような形式で構成される。その代替としてポケットが本体を完全に貫通することもでき、その場合には、挿入された試験ウェイトの高さ位置を規定するために、段部またはウェブを有することができる。止まり穴とは異なり、本体の連続する開口部はいっそう簡易に洗浄することができ、さらには、ポケット底部での汚れの蓄積が回避される。
【0017】
ポケットは、ポケットからの試験ウェイトの不慮の脱落を回避するために、挿入される試験ウェイトと協同作用する(好ましくは手動式かつツールレス式に操作可能な)係止手段を有することができる。ポケットはさまざまな幾何学的な断面形状を有することができ、好ましくは円筒状のポケットのほか、相応に構成されたウェイトを良好に収容できるようにするために、長方形や正方形のポケットも考慮の対象となる。
【0018】
試験体システムの各部材は、金属材料またはプラスチックから製作されるのが好ましい。重量の低い複合材料も考慮の対象となる。各部材はたとえばフライス加工することができ、射出成形または3D印刷法で製作されていてもよい。
【0019】
本発明によるスペーサ部材は、測定システムの表面に載置するための底面を備えたスペーサ部材体を有する。スペーサ部材はこの点に関しては収容部材に比肩可能である。これは重量削減のために、ハニカムまたはロッド構造のような形式で構成されるのが好ましい。このときスペーサ部材体は、高さ方向Zで本体を部分的または全面的に貫通する少なくとも1つの切欠きを備えていてよい。本発明によると収容部材は、同じ分銅または異なる分銅を特定の位置で収容部材の内部に収容する機能を担うのに対して、スペーサ部材は、個々の部材の間で、特に2つの収容部材の間で、設定可能な間隔を生起してほぼ維持するための役目を果たす。
【0020】
試験体システムの個々の部材を互いに連結できるようにするために、連結手段が設けられる。ここでの「連結手段」という概念は、2つの部材を連結するために必要なあらゆるコンポーネント、または個々の部材における接合領域を含む。連結手段は弾性区域を含むのが好ましく、これに両側で結合手段が後続し、さらにこれらの結合手段を1つの部材の接合領域とそれぞれ結合可能である。結合手段として考慮の対象となるのは、たとえば1つの部材の一方の側にある開口部に差込可能な、それにより開口部の他方の側でナットによりそれぞれの部材に対してねじ止めされる、ねじ山の1つの区域である。その代替として、(たとえばキノコ形の)アンダーカットを備えたウェブ状の結合手段も考えられる。好ましくは一直線上に並ぶように相前後して配置されるウェブ(これらの間に位置する弾性区域を有する)を、両方の部材の縁部にある上方に向かって開いた溝の中にそれぞれ上から「クリップ嵌め」し、または懸架することができ、溝を形成する壁部にアンダーカットが係合する。それに伴って行われる連結は特別に簡易に成立させたり、解消したりすることができる。弾性区域は、連結される各部材の間に配置される好ましくはフランジ状の拡張部として構成されていてもよく、これが各々の部材のそれぞれの外面を付勢し、そのようにして両方の部材の間隔を保つ。さらに、弾性部材をウェブそのものによって構成することもでき、および/またはエラストマーによって構成されていてよく、もしくはこれを含むことができる。
【0021】
収容部材を相互に連結するための連結手段は、スペーサ部材が相互に結合される連結手段またはそれぞれ別の部材と結合される連結手段と、同じ構成であるのが好都合である。さらに、個々の部材に形成される連結手段のコンポーネント(たとえば溝や穴)が、収容部材とスペーサ部材とにおいてそれぞれ同一の位置に設けられていてよく、たとえば長手方向面または横方向面に対して中央に、或いはこれに対して間隔をおいて両側で対称に、設けられていてよい。
【0022】
試験体システムの個々の部材は、高さの低い長尺状または平面状の構造体をなすように組み合わされるように構成される。したがって個々の部材の高さ方向への延在は、本発明の好ましい実施形態では、長手方向Xまたは横方向Yへのその延在より大きくない。1つの部材の長さはその高さの少なくとも3倍の大きさであるのが好ましく、5倍よりも大きいのがきわめて好ましい。個々の部材およびこれらから形成されるべきトレインは、特に浮揚効果を回避して重心を低く保つために、比較的平坦であるのが好ましい。
【0023】
収容部材の高さは、スペーサ部材の高さと同一であるのが好ましい。さらに、収容部材の幅はスペーサ部材の幅と同一であるのが好ましい。その場合、長手方向に相前後して位置する各部材が一定の幅と一定の高さのトレインを形成し、このことは、測定システムの試験のための取扱を簡易化する。しかしながら、そのつどの測定システムや測定方法に関わる特別な要求事項に対応するために、収容部材の長さおよび/または幅をスペーサ部材よりも小さく、もしくは大きく選択することも考えられる。
【0024】
本発明による試験体システムの1つの部材は、高さ方向Zに対して垂直の横断面で見て、幅(BA,BD)と長さ(LA,LD)とを有する規則的または不規則的な多角形の形状を有するのが好ましいこのとき、このような多角形の少なくとも1つの辺(端辺)が、他の部材を連結可能である「連結辺」としての役目を果たす。その代替または補足として1つの部材は、それぞれの部材の幅(BA,BD)にわたって延びる丸められた区域を有することもできる。特にトレインの先頭または末尾を形成する部材は、測定システムの搬送経路に沿ってローラや載置面の間を移行するときに生じる可能性のある振動や衝撃を低減するために、このような丸められた前面を有することができるのが好ましい。このとき丸められた区域は、皿形鏡板または円弧の形状、特に四分円または半円の形状を有することができる。さらに、複数の部材が1つの全円をなすように組み合わされることも考えられる。他の部材の直線状の区域または同じく丸められた区域との連結を可能にするために、各部材が丸められた区域に連結手段を有することもできる。
【0025】
結合の1つの態様では、それぞれ2つの部材を互いに連結する連結手段(K)は、これら2つの部材の間の引張力および/またはせん断力および/または圧縮力を伝達するために構成されるのが好ましく、連結手段は弾性的であり、それは、連結を維持したうえで、
a)特に、長手方向Xまたは横方向Yまたは高さ方向Zに延びる傾動軸を中心とする、互いに連結された各部材の相互に相対的な柔軟な傾動を、設定可能な許容差の範囲内で許容するためであり、および/または
b)2つの部材の互いに相対的な並進運動を許容するためであり、および/または
c)2つの部材の間の衝撃の伝達を緩衝および/または弾性減衰するためである。
【0026】
驚くべきことに、連結手段の弾性的な構成により、一方では、個々の部材の相互の確実で安定した引張結合および/またはせん断結合および/または圧縮結合が可能であり、それに対して同時に、測定システムの点検のために必要な個々の部材相互の相対的な運動性を十分な程度に保証できることが明らかになっている。各部材の相互の柔軟な連結により、試験体を形成するトレインは、測定システムを通る搬送経路に沿ってそれぞれ支持をする載置面に合わせて最善に適合化するために、たとえば1つまたは相前後して位置する複数の計量プラットフォームへ現実に即した荷重をかけるために、必要な柔軟性を獲得する。それに対して長さ全体にわたって剛直な、ないしは連続する試験体は、測定システムにおける完全に平坦に構成された表面の上に、その端部または中間領域だけをもって載り、そのために測定結果を狂わせる可能性がある。
【0027】
連結手段の弾性的な構成は、隣接する部材相互の傾動のほか、たとえば1つのコンベヤベルトからこれよりもわずかに高く、または低く後続する別のコンベヤベルトへの移行時に、互いに連結された各部材のある程度の高低差(並進的な変位)も許容するのが好ましい。隣接する各部材が、高さ方向Zに延びる仮想的な傾動軸を中心として互いに傾動する(たとえば温度調節されたテスト研究室での)曲線走行も、弾性的に構成された連結手段によって可能である。
【0028】
1つの部材からこれに隣接する別の部材へと剛直な連結によって伝達され得るはずの衝撃、衝突、または振動が、連結手段の弾性的な特性によって回避され、もしくは完全に緩衝されるという利点がある。
【0029】
各部材の間の相対運動を許容するために、別の好ましい実施形態では、互いに直接的に連結された2つの部材が、これらが互いに相対運動したときでも2つの部材の直接の接触を可能な限り回避するために、それぞれの間で連結手段によってのみ中断される間隔を、特に間隙を、形成することが意図される。隣接する各部材の間隔を調整可能であってよいのが好ましく、それは、たとえば上に説明したねじ山を有する結合手段を通じてであり、このねじ山に沿って、間隔の調整のために止めナットの位置を選択することができる。連結手段は、測定動作時に予期される、互いに連結された2つの部材の相対運動を、これらの部材が直接的に接触することなくちょうど許容するために、間隙ないし間隔がちょうど十分であるように構成されるのが好ましい。連結された各部材の間の不必要に広い中間スペースが、このようにして回避される。この間隙は1から2ミリメートルであり得る。
【0030】
特に曲線走行ための、連結された各部材の特別な相対的な運動性は、連結された各部材の互いに向かい合う面がたとえば円弧または皿形鏡板のような形式で、1つまたは複数の湾曲した区域を有することによっても実現することができる。
【0031】
複数の部材が組み合わされてなる、測定システムを通って運動するトレインは、その最新の位置に関して、たとえば測定システムに配置される光バリアによって、場合により監視されなければならない。特に、トレインが秤の計量プラットフォームに到着したか否か、またはこれを出発したか否か、ないしはそれがいつであるかが関心の対象となり得る。このとき、相前後して位置する2つの部材の間で搬送方向に対して横向きに通過した光線が、誤ってトレインの端部として解釈されてしまうことがあり得る。特に、連結された各部材の間の中間スペースが不必要に広い場合に、そのようなことが考えられる。誤トリガーのリスクを完全に排除するために、本発明の別の好ましい実施形態は、搬送方向で直接的に相前後して位置する2つの部材が、搬送方向に対して横向きに見たとき、たとえばラグ状の突起によって互いに部分的に重なり合うことを意図する。搬送方向が長手方向Xに相当する場合、重なり合いは横方向Yおよび/または高さ方向Zに形成されていてよい。先行する部材の1つの区域が、後続する部材の1つの区域の上方ないし側方に延びることによって、重なり合いを簡易な方式で創出することができる。その際に決定的に重要なのは、測定システムで光バリアまたはこれに匹敵するセンサがトレインまたはトレイン先頭を判定するためにトレインに作用する各部材の方向および高さ位置もしくは幅位置に、重なり合いないしアンダーカットが形成されることである。
【0032】
試験体システムの各部材はそれぞれ異なる長さないし幅で設けられるのが好ましく、長さないし幅は、ベース長さないしベース幅の好ましくは整数倍によって部材の長さないし幅が形成されるグリッド寸法に基づいて構成され、もっとも短い、ないしはもっとも細い部材がベース長さないしベース幅を有することができ、または、ベース長さないしベース幅の倍数を有することができる。それにより複数の個々の部材をそれぞれの長さおよび/または幅に関して組み合わせて、さらに別の個々の部材の長さおよび/または幅を実現することができる。このことはトレインのモジュール形式の構造を促進する。
【0033】
個々の部材の特性を、またはこれらへの試験ウェイトの装填を、手動式または自動式に検出できるようにするために、本発明の別の好ましい実施形態では、機械可読の識別手段が試験体システムの一部として設けられる。このような識別手段は、トレインの内部で少なくとも1つの部材について、好ましくはすべての部材について、さまざまな識別データを検出して評価することを可能にする。このような識別データには次のものが属し得る:
-特定の物理的データ(たとえば型式、長さ、幅、高さ、重量、空重量)をそれぞれの部材に割り当てることを可能にする、部材に設けられる部材識別表示;
-トレイン(T)の内部における少なくとも1つの別の部材に対して相対的な1つの部材の位置;
-収容部材の内部における試験ウェイトの種類と位置ごとの試験ウェイトの装填;
-長手方向(X)および/または横方向(Y)に関する部材内部での重量分布。
【0034】
識別手段は、収容部材の内部でどのような試験ウェイトがどの位置に配置されているかの推定を可能にするように構成されるのが好ましい。このことは、たとえば収容部材のポケットないし特定の位置が試験ウェイトによって占有されているか否か、および、当該試験ウェイトがどのようなサイズまたは種類であるかを、適切なセンサが検出することによって行うことができる。そのようにして、特に、どのようなウェイトがどのポケットに配置されているかを検出することができる。ポケットの特定の特性(たとえばそのサイズ)の知見のもとで、および、そのような特性に割り当てられるべき試験ウェイトがポケットに装填されているという想定のもとで(たとえばポケットの内径と類似する外径を有する試験ウェイト)、ポケットが占有されていることだけから、それぞれの分銅を推定することができる。
【0035】
しかしながら、それぞれ異なる試験ウェイトを選択的に収容するためのポケットを設けることも考えられる。そのために、たとえば円筒状のポケットが、径方向内側に向かって下降していく同心的な段部を備えていてよく、それにより、直径が比較的大きいウェイトは比較的高いほうの段部に載せられるのに対し、これに代えて直径が比較的小さいウェイトを、低いところに位置する段部によって形成される収容部に挿入可能である。
【0036】
したがって、ポケットのどの領域(本例ではどの段部)がウェイトで占有されているかに関してポケットが自動式に点検されることで、それぞれの分銅に関する推定を導き出すことができる
【0037】
ポケットに挿入されるべき試験ウェイトは、特に、勧告OIML R 111に準拠する標準分銅であってよく、これは同勧告の精度等級M1またはF1の要求事項も満たし、または、同勧告もしくはその他のガイドラインに規定されている寸法を遵守する。したがって識別手段は、たとえば挿入されている分銅の特定の寸法を検出することで、このような標準分銅への割当を可能にするために構成されるのが好ましい。
識別手段は、たとえばバーコードやRFIDなど、当業者に周知のテクノロジーに依拠することができる。識別手段は部材の表面または内部に、変更可能または変更不能に配置されていてよい。
【0038】
1つの部材の下面は、測定システムの1つの表面からこれに接する別の表面への部材の衝撃のない移送を簡易化するために、周回する面取りまたは丸みを有するのが好ましい。
【0039】
上記の種類の試験体システムを利用して測定システムの試験をする本発明の方法は、少なくとも次の各ステップを含む:
a)X方向で相前後して位置する、および/またはY方向で相並んで位置する、互いに連結された少なくとも2つの部材を有し、そのうち少なくとも1つの部材が収容部材であるトレインが形成され;
b)トレインの全体試験荷重を構成するために収容部材の個数nのポケットに試験ウェイトが装填され、このときn≧0が成り立ち;
c)測定システムを通って、ないしはこれに沿って、X方向にトレインが動かされ、
d)測定システムがトレインの少なくとも1つの物理量との関連で、特にその重量または重量分布との関連で検出する測定値が検出されて評価される。
【0040】
特定の全体重量または特定の重量分布を有するトレインを構成するために、本発明によると、トレインのいくつかの収容部材またはすべての収容部材のいくつかのポケットまたはすべてのポケットが、同じ試験ウェイトまたは異なる試験ウェイトで装填されることが意図される。しかしながら本方法の1つの実施形態は、個々の収容部材の重量がそれぞれの空重量(Tare重量)によってのみ形成される、測定システムを通る「空走行」のために、未装填の収容部材が利用されることも意図する。装填されるべきポケットの個数nは、そのときにはゼロに等しい。
【0041】
本発明による試験体システムは、原則として、測定システムの正しい機能ないしそのために要求される精度を点検できるようにするために、特定の物理的特性を有する試験体が供給されなければならない多種多様な測定システムに好適である。試験ウェイトの装填によっても創出もしくは変更することができる、試験体に帰属する物理的特性は特に次のものであり得る:
-重量および重量分布
-長さ、幅、高さ、体積、最小包含直方体;
-特にX線ビームに対する透過特性。
【0042】
本発明による試験体システムは、試験体システムの各部材から形成されるトレインが作用を受ける、産業用に利用される自動式ないし動的な秤またはその他の検査システムに適用されるのが好ましい。したがって本発明による方法は、秤の形態の測定システムの点検を主眼におくのが好ましい。
【0043】
次に、実施例を参照しながら本発明による試験体システムについて詳しく説明する。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図2】連結前の2つの収容部材を示す斜視図である。
【
図6】本発明による試験体システムのいくつかの部材から形成されるさまざまなトレインである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、測定システムの表面Wに沿って矢印で示唆する方向に動かされるべき、本発明による試験体システムの複数の部材から構成されるトレインTを斜視図で示している。トレインTは、実質的に長手方向Xに延びている。トレインの一番前の部材は、平面図で見てほぼ半円形の断面を有する収容部材A
1によって構成される。その後に、ほぼ長方形の断面を有する別の収容部材A
2が長手方向Xで後続している。一番前の両方の収容部材A
1,A
2はほぼ同じ長さを有している。その後に、ほぼ正方形の断面を有するスペーサ部材D
1がトレインに挿入されていて、その長さは収容部材A
1またはA
2のほぼ2倍の大きさである。スペーサ部材D1の後に、別の長方形の収容部材A
3が続いていて、その長さは収容部材A
1またはA
2のほぼ半分である。後方に向かって末尾を形成するのは収容部材A
4であり、その長さは収容部材A
3の長さと一致するが、平面図で見て皿状鏡板の断面を示している。トレインのすべての部材が横方向Yに同じ幅を有する。
【0046】
図1には詳しくは図示しない連結手段を介して、個々の部材が相前後して位置するように互いに連結されている。互いに直接的に連結される各部材の間では、互いに連結される2つの部材の相対運動を許容するために、(
図1には寸法が小さいために見ることができない)間隙が遵守されている。
【0047】
収容部材A
1からA
4は、個々の試験ウェイトを収容するために構成されたさまざまなポケットUを備えている。ただし
図1に示すトレインTは試験ウェイトを含んでおらず、測定システムを通って空走行するために準備されている。矢印によって示唆する搬送方向は、ここでは、個々の部材が相前後して位置する長手方向Xにほぼ相当する。
【0048】
図2は、連結前の
図1の両方の収容部材A
1およびA
2を、互いに若干オフセットされた図面で示している。半円形に構成されている一番前の収容部材A1は、(トレインTの他のすべての収容部材と同じく)実質的に本体Rで構成されており、この本体がその下面に好ましくは平坦な底面Fを有していて、これに対して平行に延びる上面Oと間隔H
Aをおいて向かい合う。本体Rは、長手方向Xで測定した長さL
Aと、横方向Yで測定されるべき幅B
A(
図2には符号なし)と、長手方向Xおよび横方向Yに対して垂直の高さ方向Zで測定されるべき高さH
Aとを有している。
【0049】
本体Rの上面から、すでに
図1のところで挙げたポケットUが、高さ方向Zと反対向きに深くまで延びている。上から挿入される試験ウェイトを高さ方向Zで保つために、ポケットUの中には(図面には示さない)ストッパ手段が設けられている。ストッパ手段を除き、ポケットUは本体Rを一定の断面をもって完全に貫通しており、このことはその製作を簡易化する。(すべてのポケットが図面で完全に符号を付されているわけではない)
【0050】
試験ウェイトの収容のために設けられるポケットUに追加して、第1の収容部材A1は(部分的に符号を付した)切欠きVも含んでいて、これはウェイトを収容するための役目を果たすのではなく、その代わりに、収容部材の重量削減のために穿設されたものである。連結手段(上記参照)を取り付けるために、このような切欠きが設けられていてもよい。別の収容部材A2もポケットUを備えていて、その機能と構成は、第1の収容部材およびその他すべての収容部材と同一である。ただし、第2の収容部材A2の断面形状は長方形である。
【0051】
第2の収容部材の端面に、長手方向Xで相前後して位置する各部材(A,D)を連結するための役目を果たす連結手段Kが示されている。ここには詳しくは図示しない連結手段は、部材にある収容部ないし穴を含むことができる。このような収容部に挿入されるべき弾性的な結合手段も、連結手段に属する。連結手段Kと向かい合うほうの収容部材A
2の端面(
図2には見えていない)に、第1の収容部材A
1との連結を可能にするために、同じ種類の連結手段が同じく設けられている。これに適合する相補的な連結手段Kを、第2の収容部材A
2のほうを向いている第1の収容部材A
1の端面に見ることができる。
【0052】
収容部材およびスペーサ部材のうち、他の部材の間に配置するために意図されるもの、ないしは、湾曲した端面をもってトレインの先頭または末尾を形成するのでないものは、それぞれの収容部材を中央で通過する、高さ方向Hに延びる仮想的な対称軸S(
図3参照)に対して点対称に構成されるのが好ましい。それにより、このような収容部材を180°回転させて使用することもできるという利点が得られ、このことはトレインTの組立を簡易化する。
【0053】
図3は収容部材A
2を別の斜視図で示しており、繰り返しになる符号は部分的に省略している。ここで
図3は、収容部材の本体Rからわずかな幅とわずかな長さとをもって少しだけ突出する、他の図面にも見ることができる2つのラグNを示している。これらのラグは、連結される隣接部材の適合する凹部Jに各々のラグが係合することによって、横方向Yに関して側方の覆いないしアンダーカットを形成するための役目を果たす。これに関する例示として
図1は、測定システムの表面Wよりも上方で光線Gを搬送方向に対して横向きに発信し、通過するトレインの先頭または末尾を向かい合う受信器によって検出することができる光バリアを示している。互いに直接的に連結された各部材(ここではA
1とA
2)の間のわずかな間隔を、誤ってそのようなトレイン先頭またはトレイン末尾として解釈しないために、ラグNがこの光線をブロックする(光線の方向に応じて、覆いないしアンダーカットが別の空間方向に関して形成されていてもよい。光バリアが高さ方向Zで検出される場合、相応に配置されたラグが、高さ方向Zでも必要な覆いを代替的に形成することになる)。
【0054】
図4は、スペーサ部材Dの実施形態を示している。これは試験ウェイトを収容するためではなく、特に、トレインの他の2つの部材の間の設定可能な間隔を規定するための役目を果たす。これは幅B
D、長さL
D、および高さH
Dにわたって延びている。
図1の例では、すべての部材の幅と高さはそれぞれ同じ大きさに選択されている。
【0055】
スペーサ部材を可能な限り簡易に構成するために、これは(
図4に示すように)たとえばハニカム構造として製作されていてよい。本例では長方形ないし正方形のこの構造は、スペーサ部材Dの外面をなす、周回する4つの壁部区域によって形成される。さらに別の2つの壁部区域が、向かい合うそれぞれの角の間で対角線上に延びており、必要な剛性をスペーサ部材Dに与えている。
【0056】
試験体システムのスペーサ部材も、他の部材(収容部材または別のスペーサ部材)に連結するために、連結手段(K)を備えている。スペーサ部材Dと協同作用する連結手段Kは、収容部材または他のスペーサ部材を連結できるようにするために、収容部材のものとまったく同様に構成ないし位置決めされるのが好ましい
【0057】
収容部材について説明したラグNないし切欠きHが、所望のアンダーカットを実現するために、スペーサ部材にも設けられる。
【0058】
図5は、平面図で見て四分円断面を有する別の収容部材Aを示している。長手方向Xで収容部材Aを、示唆している連結手段を利用したうえで、他の部材に連結することができる。四分円の円周に沿って別の連結手段が設けられることはない。この収容部材は、トレインの先頭または末尾を形成するべきものだからである。収容部材Aの幅B
Aは、たとえば
図1に示す各部材の幅の半分の大きさでしかない。別の四分円形の収容部材Aを横方向Yで
図5に示す収容部材の横に配置して、これら両方の収容部材が共同で、たとえば
図1に示すトレインの幅に相当する全幅をもって、半円形の前面を形成するようにすることができる。しかしながらその代替として、特に長方形の別の収容部材またはスペーサ部材を横方向で第1の四分円形の収容装置Aに後続させてから、再び四分円形の収容装置Aをもって、横方向への配置を完了させることもできる。
【0059】
各図面に示すスペーサ部材と収容部材は、横方向Yでの連結を可能にする連結手段を示していないが、そのような連結ないしそのために適した連結手段の設置は、代替的または追加的に容易に可能である。それに応じて、横方向および/または長手方向で1つを超えるユニットを有するトレインTを構成することが可能である。このとき個々の部材のサイズは相違していてよく、1つの部材の幅または長さは、別の部材の幅または長さの倍数に相当するグリッドに準拠したうえで選択することができる。
【0060】
図6は、長手方向Xに延び、それぞれ半円形の収容部材をもって開始および終了する、詳しくは符号を付していないいくつかのトレインTを例示として示している。これらの間に、さらに別の収容部材またはスペーサ部材を自由に選択可能な順序と長さで配置することができ、長手方向Xでそれぞれ直接的に相前後して位置する各部材が、
図6には詳しくは示さない連結手段によって互いに連結される。
【0061】
図7(a)は、2つの部材の連結を拡大した簡略図で示している。長手方向Xで互いに連結される2つの収容部材A
1およびA
2の、一点鎖線の円Aによってマーキングされている領域が、下側部分に、高さ方向Zと反対向きの平面図で拡大して示されている。そのために
図7(b)に簡略化して示す連結部材が連結手段Kの一部として、両方の収容部材の間に挿入されている。
【0062】
連結部材は、長軸を中心として実質的に回転対称に構成される。同心的に配置された弾性的なコアMから反対向きの方向に、回転軸に沿って2つの別々の結合手段E1,E2がねじ付きロッドの形態で延びている。ねじ付きロッドは、互いに連結されるべき両方の部材A1,A2にある穴にそれぞれ挿通されて、裏側でナットによりねじ止めされるために意図される。
【0063】
ここで
図7(a)に示す、本例では試験ウェイトを収容するために意図されるのでない切欠きVは、必要に応じて連結を行い、或いは再び外せるようにするために、ナットへのアクセスを可能にする。さらに
図1から7に見て取れるように、好ましくは中央のX-Z平面に対して対称に各部材に位置決めされる二重に設けられた連結手段を介して、2つの部材の連結が行われるのが好ましい。
【0064】
両方の側で弾性的なコアMに後続する両方のねじ付きロッドE1,E2は(およびこれらによってねじ止めされる各部材A1,A2も)、弾性的なコアMに基づいて互いに相対的に可動であり、それにより、互いに連結された各部材の間で並進的および/または回転的な相対運動が弾性に応じて可能である。このことは、特に高さ方向Hへの相対運動を含み、または、特に横方向Yまたは高さ方向Zに延びる仮想的な旋回軸を中心とする傾動を含む。このような相対運動を許容するために、連結手段は、互いに連結される2つの部材A1,A2がわずかな間隔ないし間隙Gをそれぞれの間に有するように構成される。
【0065】
図8、
図8a、
図8bは、連結手段Kの代替的な実施形態を簡略化した図面で示している。ここでは連結手段は、
図7(b)に示す例に類似して同心的な弾性区域Mおよびこれから反対向きの方向に延在する2つのウェブ状またはロッド状の結合手段E
1,E
2を有する、ダンベル状の物体を含んでいる。しかしながら、ここでは結合手段がねじ付きロッドとして製作されるのではない。その代わりに、これらは各端部にそれぞれフランジ状の拡張部Pを担持している。
【0066】
簡略化して示す部材Aの端壁に、高さ方向Zに延びる長尺状の溝が刻設されていて、その直径は結合手段Eの外径にほぼ相当する(
図8a)。ダンベル状の連結手段を、両方の結合手段Eのうちの1つをもって溝Sに差し込むことができ、それにより、付属のフランジPが部材Aの端壁を好ましくはクランプするように係合し、それに対して弾性区域Mは部材の外面に位置することになり(
図8b)、これらの間に位置する壁区域を好ましくはクランプするように包囲する。部材Aに向かい合うように配置された(
図8には示さない)別の部材を、その端面に同等に構成された溝Sにより、別の結合手段Eを介して付属のフランジPと相応に連結することができ、それにより弾性的な領域Mが、好ましくはクリアランスなしに、こうして互いに連結された両方の部材の間に配置される。
【0067】
このような連結は特別に簡易であり、ツールレス式に成立させ、ないしは解消することができ、それは、ダンベル状の連結手段が高さ方向に、ないしはこれと反対方向に、互いに連結されるべき2つの部材Aの間でそれぞれの溝Sへ単に差し込まれることによる。
【0068】
上に説明した個々の収容部材の構成要件は、それぞれ記述されている収容部材だけに限定されるものではなく、機能的または幾何学的に排除されるのでない限りにおいて、本発明による試験体システムのすべての収容部材について考えることができる。それが特に該当するのは、対称軸S、連結手段K、ラグN、ポケットU、切欠きV、および特別な長さまたは幅または高さの配置ないし構成についてである。
【符号の説明】
【0069】
A 収容部材
B 幅
D スペーサ部材
E 結合手段
F 底面
G 間隙
H 高さ
J 凹部
K 連結手段
L 長さ
M 弾性区域
N ラグ
O (部材の)上面
P フランジ
R 本体
S 溝
T トレイン
U ポケット
V 切欠き
W 表面
X 長手方向
Y 横方向
Z 高さ方向