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特許7370471サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維及びその製造方法
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  • 特許-サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/14 20060101AFI20231020BHJP
   D01F 8/12 20060101ALI20231020BHJP
   D01D 5/32 20060101ALI20231020BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
D01F8/14 B
D01F8/14 C
D01F8/12 Z
D01D5/32
D02G3/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022538787
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2020095554
(87)【国際公開番号】W WO2021128754
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】201911351604.X
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】范 紅衛
(72)【発明者】
【氏名】王 麗麗
(72)【発明者】
【氏名】湯 方明
(72)【発明者】
【氏名】康 愛旗
(72)【発明者】
【氏名】王 山水
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-266220(JP,A)
【文献】特公昭47-038895(JP,B2)
【文献】特開平02-259135(JP,A)
【文献】米国特許第02386173(US,A)
【文献】米国特許第02931091(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 1/00 - 13/02
D01F 8/00 - 8/18
D02G 1/00 - 3/48
D02J 1/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の紡糸プロセスに応じて、第1の繊維形成性重合体溶融物と第2の繊維形成性重合体溶融物を分配した後、同じ紡糸口金における吐出孔mと吐出孔nから押出し、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維を製造し、
前記分配とは、第1の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Aを介して、かつ第2の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Bを介して吐出孔mに分配し、第1の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Cを介して、かつ第2の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Dを介して吐出孔nに分配することを指し、
第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体は、相溶性又は部分的相溶性を有し、
分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dの入口において、第2の繊維形成性重合体溶融物と第1の繊維形成性重合体溶融物との見かけ粘度の差は、第2の繊維形成性重合体溶融物及び第1の繊維形成性重合体溶融物のいずれを基準にしても5%以下であり、
吐出孔mにおける第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比は、3:2~2:1であり、吐出孔nにおける第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比は、2:3~1:2であり、
分配孔Aと分配孔Bは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Aと分配孔Bとの直径の比は、1.10~1.20:1であり、分配孔Cと分配孔Dは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Cと分配孔Dとの直径の比は、1:1.10~1.20であり、
全ての吐出孔は、同心円状に分布し、同じ円における吐出孔は、全てmであるか、又は全てnであり、
前記特定の紡糸プロセスは、POYプロセス、FDYプロセス、又はPOY-DTYプロセスであり、前記POYプロセス、前記FDYプロセスが終了した後、さらに繊維を弛緩熱処理することを特徴とする、
サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法。
【請求項2】
第2の繊維形成性重合体溶融物と第1の繊維形成性重合体溶融物との質量比は、50:50であることを特徴とする、
請求項1に記載のサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法。
【請求項3】
吐出孔m又は吐出孔nは、円形、楕円形、又は「8」字形の吐出孔であることを特徴とする、
請求項1に記載のサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法。
【請求項4】
第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体とは、材質が同じであり、粘度が異なり、或いは、第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体とは、材質が異なり、第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との材質は、ポリエステル単独重合体、ポリエステル共重合体、ポリエステル改質生成物、ポリアミド単独重合体、ポリアミド共重合体、及びポリアミド改質生成物から選択されることを特徴とする、
請求項1に記載のサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法。
【請求項5】
吐出孔mは、順に接続されたガイド孔E、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、吐出孔nは、順に接続されたガイド孔F、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、ガイド孔Eは、分配孔A及び分配孔Bに同時に接続され、ガイド孔Fは、分配孔C及び分配孔Dに同時に接続され、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dは、紡糸ビームIII内の分配板に位置し、第2の繊維形成性重合体溶融物は、紡糸ビームIにより分配孔B及び分配孔Dに搬送され、第1の繊維形成性重合体溶融物は、紡糸ビームIIにより分配孔A及び分配孔Cに搬送されることを特徴とする、
請求項1に記載のサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法。
【請求項6】
前記弛緩熱処理の温度は、90~120℃であり、時間は、20~30minであることを特徴とする、
請求項1に記載のサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル繊維の技術分野に属し、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
捲縮は、繊維の重要な指標であり、紡績の加工過程及び最終製品の特徴及び応用性能に影響を与える。
【0003】
二成分複合繊維の中では、サイドバイサイド型二成分複合繊維は、重要な一種であり、二成分の熱収縮性能の差異を利用して、繊維を繊維の軸方向からずれて湾曲させ、永久的な三次元螺旋状捲縮を呈し、ウール繊維のような捲縮を得る。このような繊維の捲縮は、通常の熱可塑性繊維が捲縮を得るために行われた変形加工を必要とせず、化学繊維の熱損傷を回避するため、一般的に、「自己捲縮繊維」と呼ばれ、三次元立体捲縮繊維とも呼ばれ、このような捲縮は、持続的に安定し、弾性が高いなどの特徴を有し、より優れた弾性、嵩高性及び被覆性を織物に付与することができる。成分の高重合体特性、断面形状、成分の分布、成分の割合、紡糸ドラフト、及びヒートセットプロセスのパラメータを変更することにより、異なる性能のサイドバイサイド型二成分複合繊維を得ることができ、サイドバイサイド型二成分複合繊維は、性能が設計可能な利点を有し、高い応用価値を有するため、繊維製造業に好まれ、重視されている。
【0004】
サイドバイサイド型二成分繊維は、機械織りの織物に広く応用されているが、繊維が編織りの分野でより広く応用されることを促進する場合、サイドバイサイド型二成分繊維が熱収縮するときに、規則的な螺旋状捲縮構造を形成するため、製織された編地の表面にランダムな「縞状のむら」が生じ、特に、平織り編地でより明らかであるという非常に難しい問題がある。この問題により、サイドバイサイド型二成分繊維が模造シルクの編織りの下着生地などのような多くの種類の編織りの製品に応用できないことをもたらし、したがって、サイドバイサイド型二成分繊維の編地は、糸むらの低級品として評価され、サイドバイサイド型二成分繊維の編地の開発と応用を深刻に制限する。
【0005】
したがって、ランダムな「縞状のむら」が生じないサイドバイサイド型二成分繊維の編地及びその製造方法を開発することは、非常に重要な意味を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維及びその製造方法を提供し、従来技術におけるサイドバイサイド型二成分繊維を編地製品に応用するときにランダムな「縞状のむら」が生じるという課題を解決することを目的とする。本発明は、X(第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比が3:2~2:1である、第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合単糸)とY(第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比が2:3~1:2である、第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合単糸)を一本の繊維束に共存させる方式を用い、第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比が異なる2種類の第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合繊維の収縮方式及び形態が異なるため、一本の純粋なX(又はY)の繊維束が整然とした左、右の螺旋形態を形成することを打破し、さらに一本の純粋なX(又はY)繊維束により製造された編地に存在する「縞状のむら」の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明が用いる技術手段は、以下のとおりである。
【0008】
サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、特定の紡糸プロセスに応じて、第1の繊維形成性重合体溶融物と第2の繊維形成性重合体溶融物を分配した後、同じ紡糸口金における吐出孔mと吐出孔nから押出し、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維を製造し、
前記分配とは、第1の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Aを介して、かつ第2の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Bを介して吐出孔mに分配し、第1の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Cを介して、かつ第2の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Dを介して吐出孔nに分配することを指し、
第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体は、相溶性又は部分的相溶性を有し(第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体とを混合した後、両方のガラス転移温度の変化に基づいて、2種類の重合体間の相溶性を判断する)、
分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dの入口において、第2の繊維形成性重合体溶融物と第1の繊維形成性重合体溶融物との見かけ粘度の差は、5%以下であり(見かけ粘度は、シミュレーションにより決定され、具体的には、レオメーターを用いて重合体溶融物の特定の温度での見かけ粘度を測定して得られる)、
分配孔Aと分配孔Bは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Aと分配孔Bとの直径の比は、1.10~1.20:1であり、分配孔Cと分配孔Dは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Cと分配孔Dとの直径の比は、1:1.10~1.20であり、
特定の紡糸プロセスは、POYプロセス、FDYプロセス、POY-DTYプロセス、又はPOY-DTプロセスであり、POYプロセス、FDYプロセス、及びPOY-DTプロセスが終了した後、さらに繊維を弛緩熱処理する。
【0009】
具体的には、本発明は、第1の繊維形成性重合体溶融物を分配孔A及びCを介して、第2の繊維形成性重合体溶融物を分配孔B及びDを介して分配し、かつ分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dの入口に設け、第2の繊維形成性重合体溶融物と第1の繊維形成性重合体溶融物との見かけ粘度の差が5%以下であり、各分配孔が同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Aと分配孔Bとの直径の比が分配孔Cと分配孔Dとの直径の比に等しくないという方式を用いることにより、吐出孔mに分配された第1の繊維形成性重合体溶融物と第2の繊維形成性重合体溶融物との質量比は、吐出孔nに分配された第1の繊維形成性重合体溶融物と第2の繊維形成性重合体溶融物との質量比と異なり、XとYが一本の繊維束における共存を実現し、捲縮形態の違いを保証し、それに応じて、分配孔とガイド孔の数及び位置関係を合理的に設定することにより、分配がスムーズに行われることを保証し、本発明は、吐出孔mと吐出孔nを同心円状に分布し、かつ同じ円における吐出孔が全てmであるか、又は全てnであるように制御し、一部のYが他の一部のXの中間に混入できることを保証し、整然とした左、右の螺旋形態の形成を打破する作用を果たし、本発明は、吐出孔の形状を調整する必要がなく、一般的なサイドバイサイド型複合吐出孔を使用すればよく、本発明は、特定の紡糸プロセスを使用することにより、第1の繊維形成性重合体溶融物の固有粘度と第2の繊維形成性重合体溶融物の固有粘度とが互いに協働することができ、吐出孔から押出された第1の繊維形成性重合体成分と第2の繊維形成性重合体成分との見かけ粘度が近いことを保証し、サイドバイサイド複合単糸の質量比を制御する作用を果たすだけでなく、紡糸をスムーズに行うことを保証し、製造された繊維は、優れた弾性を有し、総合性能が高い。
【0010】
本発明の原理は、以下のとおりである。
【0011】
紡糸過程において、紡糸溶融物は連続的に流動しており、溶融物の流量をよりよく制御するために、溶融物の円管内を流動する溶融物の流量の式
【数1】
に基づいて算出し、ここで、ΔQは、溶融物の流量であり、dは、円管の直径であり、μは、円管の入口における溶融物の見かけ粘度であり、lは、円管の長さであり、ΔPは、溶融物が円管を通過した後の圧力降下であり、式から分かるように、ΔP、μ、lが等しく維持する場合、2つの円管内を流動する流量の比は、円管の直径の4乗の比に近く、
本発明は、特定の紡糸プロセスに応じて、第1の繊維形成性重合体溶融物と第2の繊維形成性重合体溶融物を分配した後、同じ紡糸口金における吐出孔mと吐出孔nから押出し、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維を製造し、分配とは、第1の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Aを介して、かつ第2の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Bを介して吐出孔mに分配し、第1の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Cを介して、かつ第2の繊維形成性重合体溶融物を分配孔Dを介して吐出孔nに分配することを指し、
分配孔A(又はC)を流れる第1の繊維形成性重合体溶融物の流量と分配孔B(又はD)を流れる第2の繊維形成性重合体溶融物の流量との比は、
【数2】
であり、ここで、ΔQ1、d1、μ1、l1、ΔP1は、分配孔A(又はC)に対応し、ΔQ2、d2、μ2、l2、ΔP2は、分配孔B(或D)に対応し、分配孔Aと分配孔Bの入口における第2の繊維形成性重合体溶融物と第1の繊維形成性重合体溶融物との見かけ粘度は、ほぼ同じであり(差が5%未満である)、分配孔Cと分配孔Dの入口における第2の繊維形成性重合体溶融物と第1の繊維形成性重合体溶融物との見かけ粘度は、ほぼ同じである(差が5%未満である)ため、μ1とμ2とは、ほぼ等しく、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dの入口において、第2の繊維形成性重合体溶融物と第1の繊維形成性重合体溶融物との見かけ粘度の差は、5%以下であり、かつ分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dは、いずれも分配板に設けられ、自体のサイズが小さいため、第1の繊維形成性重合体溶融物が分配孔Aを通過した後の圧力下降と第2の繊維形成性重合体溶融物が分配孔Bを通過した後の圧力下降とは、実質的に同じであり、第1の繊維形成性重合体溶融物が分配孔Cを通過した後の圧力下降と第2の繊維形成性重合体溶融物が分配孔Dを通過した後の圧力下降とは、実質的に同じであり、したがって、ΔP1とΔP2とは、ほぼ等しく、分配孔Aと分配孔Bは同じ高さを有し、分配孔Cと分配孔Dは同じ高さを有するため、l1とl2は等しく、
計算から分かるように、ΔQ1/ΔQ2とΔd1/Δd2は、ほぼ等しく、分配孔Aと分配孔Bとの直径の比は、1.10~1.20:1であるため、分配孔Aを流れる第1の繊維形成性重合体溶融物の流量と分配孔Bを流れる第2の繊維形成性重合体溶融物の流量との比は、約3:2~2:1であり、最終的に、吐出孔mから押出された単糸における第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比は、3:2~2:1であり、同様に、分配孔Cと分配孔Dとの直径の比は、1:1.10~1.20であるため、分配孔Cを流れる第1の繊維形成性重合体溶融物と分配孔Dを流れる第2の繊維形成性重合体溶融物との流量の比は、約2:3~1:2であり、最終的に、吐出孔nから押出された単糸における第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比は、2:3~1:2であり、
また、本発明が用いる第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体とは熱収縮率が異なり、さらに、第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体とを混合した後、この2種類の熱収縮率が異なる重合体は、相溶性又は部分的相溶性を有するため、相溶性の存在により、重合体は、同じ吐出孔(即ち、2種類の繊維形成性重合体溶融物が両方ともサイドバイサイド複合紡糸の方式で分配された後に押出される)を通過するときに一体に接着することができ、このような接着作用及び異なる熱収縮率の作用によって、同じ吐出孔から押出された2種類の重合体繊維(即ち、第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合単糸)が熱処理された後に自己捲縮形態を形成することができ、それにより弾性を有し、このような自己捲縮形態は、具体的には、熱収縮率が大きい繊維形成性重合体が螺旋状捲縮の内側にあり、熱収縮率が小さい繊維形成性重合体が螺旋状捲縮の外側にあり、
同じ繊維束において、第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合単糸の一部における第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比は、3:2~2:1であり、第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合単糸の他の部分における第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比は、2:3~1:2であるため、異なる単糸の捲縮形態に一定の差異が存在し、このような差異は、純粋な第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合単糸の整然とした左、右の螺旋形態の形成を打破する作用を果たし、製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維が弛緩熱処理された後に単糸の捲縮方向がランダムに分布するため、当該自己捲縮弾性繊維で製織された編地の表面にランダムな「縞状のむら」が生じない。
【0012】
好ましい技術手段は、以下のとおりである。
【0013】
上述したサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、第2の繊維形成性重合体溶融物と第1の繊維形成性重合体溶融物との質量比は、50:50である。
【0014】
上述したサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、吐出孔m又は吐出孔nは、円形、楕円形、又は「8」字形の吐出孔であり、本発明は、吐出孔m又はnの形状を特別に調整する必要がなく、一般的なサイドバイサイド型複合吐出孔を使用すれば、要件を満たすことができる。
【0015】
上述したサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、全ての吐出孔は、同心円状に分布し、同じ円における吐出孔は、全てmであるか、又は全てnであり、それによりY(又はX)がX(又はY)の中間に混入することを保証し、整然とした左、右の螺旋形態の形成を打破する作用を果たす。
【0016】
上述したサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体とは、材質が同じであり、粘度が異なり、或いは、第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体とは、材質が異なり、この2種類の条件を満たす重合体間にも、必然的に熱収縮率の違いが存在し、熱処理後にのみ、繊維が自己捲縮形態を形成することができ、第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との材質がポリエステル単独重合体、ポリエステル共重合体、ポリエステル改質生成物、ポリアミド単独重合体、ポリアミド共重合体、及びポリアミド改質生成物から選択される。
【0017】
上述したサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、吐出孔mは、順に接続されたガイド孔E、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、吐出孔nは、順に接続されたガイド孔F、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、ガイド孔Eは、分配孔A及び分配孔Bに同時に接続され、ガイド孔Fは、分配孔C及び分配孔Dに同時に接続され、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dは、紡糸ビームIII内の分配板に位置し、第2の繊維形成性重合体溶融物は、紡糸ビームIにより分配孔B及び分配孔Dに搬送され、第1の繊維形成性重合体溶融物は、紡糸ビームIIにより分配孔A及び分配孔Cに搬送される(本発明は、第1の繊維形成性重合体溶融物の固有粘度、第2の繊維形成性重合体溶融物の固有粘度、紡糸ビームIの温度、紡糸ビームIIの温度、紡糸ビームIIIの温度が互いに協働することにより、分配孔A~Dの入口において第2の繊維形成性重合体溶融物と第1の繊維形成性重合体溶融物との見かけ粘度がほぼ同じであることを実現する)。
【0018】
上述したサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、弛緩熱処理の温度は、90~120℃であり、時間は、20~30minである。
【0019】
本発明は、上述したいずれか1つに記載のサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法で製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維をさらに提供し、当該サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、複数本の第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合単糸で構成され、同じ繊維束において、第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合単糸の一部における第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比は、3:2~2:1であり、第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合単糸の他の部分における第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比は、2:3~1:2であり、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維が熱処理された後に単糸の捲縮方向がランダムに分布し、ランダムに分布することは数学的概念であり、即ち、各繊維の捲縮形態は他の繊維と異なり、それにより製造された織物に「縞状のむら」が存在しない。
【発明の効果】
【0020】
(1)本発明のサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法によれば、同じ繊維束において、第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合単糸の一部における第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比が3:2~2:1であり、第2の繊維形成性重合体/第1の繊維形成性重合体のサイドバイサイド複合単糸の他の部分における第1の繊維形成性重合体と第2の繊維形成性重合体との質量比が2:3~1:2であり、弛緩熱処理後に各繊維の螺旋状捲縮状態がランダムであるため、各繊維の捲縮形態を他の繊維と異ならせることができ、
(2)本発明のサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法によれば、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維が螺旋状捲縮の規則的な配列を形成できないことにより、サイドバイサイド型複合繊維が編地に形成された「縞状のむら」の問題を解決し、
(3)本発明のサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法で製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、弾性に優れ、総合性能が高く、応用範囲がより広い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の溶融物の分配概略図であり、A、B、C、Dは、互いに独立した分配孔であり、E、Fは、互いに独立したガイド孔である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、具体的な実施形態を参照しながら、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。また、本発明の教示内容を読んだ後、当業者が本発明に対して様々な変更又は修正を行うことができ、これらの等価形態は、同様に、本願の特許請求の範囲によって限定される範囲に含まれることを理解されたい。
【0023】
本発明の捲縮収縮率及び捲縮安定度は、GB6506-2001《合成繊維加工糸の捲縮性能の試験方法》を用いて糸条束を試験して得られ、
緊縮伸び率(加工糸の弾性及び捲縮程度を反映し、繊維は、まず軽荷重を受け、次に、重荷重を受け、2種類の荷重での長さの差値と捲縮の長さとの比を算出する)及び捲縮弾性回復率の試験方法は、以下のとおりである。
【0024】
まず、長さが約50cmの繊維試料を2本切り出し、100℃の熱水に入れて30min処理し、取り出して自然乾燥させた後、長さが約30cmの試料を切り出し、一端を固定し、一端に0.0018cN/dtexの荷重を30sかけ、20cmにマークをつけて、試料の初期の長さlを得て、次に、0.09cN/dtexの荷重を30sかけ、マークの位置を測定して、重荷重をかけたときの試料の長さlを得て、最後に、重荷重を取り除き、試料を2min荷重なしで収縮した後に0.0018cN/dtexの荷重を30sかけ、マークがスケールでの位置を測定して、回復の長さlを得て、緊縮伸び率(CE)と捲縮弾性回復率(SR)は、以下の式によって算出される。
【0025】
【数3】
【実施例1】
【0026】
サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、FDYプロセスに応じて、質量比が50:50のPET溶融物(固有粘度が0.6dL/gである)及びPA6溶融物(固有粘度が2.2dL/gである)を分配した後、同じ紡糸口金における吐出孔m(円形)及び吐出孔n(円形)から押出してFDY糸に製造した後に弛緩熱処理して、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維を得て、
PA6溶融物とPET溶融物には、それぞれ5wt%のPET-PA6共重合体溶融物が含まれ、PET-PA6共重合体の製造過程において、数平均分子量が2000のPETと数平均分子量が2000のPA6とを1:1の質量比で混合した後、温度が273℃で、真空度が45Paの条件下で、60min重縮合反応させ、
前記分配とは、PA6溶融物を分配孔Aを介して、かつPET溶融物を分配孔Bを介して吐出孔mに分配し、PA6溶融物を分配孔Cを介して、かつPET溶融物を分配孔Dを介して吐出孔nに分配することを指し、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dの入口において、PET溶融物とPA6溶融物との見かけ粘度の差は、5%であり、
分配孔Aと分配孔Bは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Aと分配孔Bとの直径の比は、1.10:1であり、分配孔Cと分配孔Dは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Cと分配孔Dとの直径の比は、1:1.10であり、
全ての吐出孔は、同心円状に分布し、同じ円における吐出孔は、全てmであるか、又は全てnであり、
図1に示すように、吐出孔mは、順に接続されたガイド孔E、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、吐出孔nは、順に接続されたガイド孔F、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、ガイド孔Eは、分配孔A及び分配孔Bに同時に接続され、ガイド孔Fは、分配孔C及び分配孔Dに同時に接続され、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dは、紡糸ビームIII内の分配板に位置し、PET溶融物は、紡糸ビームIにより分配孔B及び分配孔Dに搬送され、PA6溶融物は、紡糸ビームIIにより分配孔A及び分配孔Cに搬送され、
紡糸ビームIの温度は、285℃であり、紡糸ビームIIの温度は、270℃であり、紡糸ビームIIIの温度は、282℃であり、
FDYプロセスのパラメータは、冷却温度が25℃であり、ネットワーク圧力が0.2MPaであり、第1のローラの速度が1600m/minであり、第1のローラの温度が80℃であり、第2のローラの速度が2760m/minであり、第2のローラの温度が140℃であり、巻取速度が2710m/minであり、弛緩熱処理の温度が104℃であり、時間が30minである。
【0027】
最終的に製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、複数本のPA6/PETサイドバイサイド複合単糸で構成され、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維における単糸の捲縮方向はランダムに分布し、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、捲縮収縮率が52%であり、捲縮安定度が80%であり、緊縮伸び率が88%であり、捲縮弾性回復率が93%であり、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、破断強度が≧2.5cN/dtexであり、破断伸び率が50.5%であり、総繊度が100dtexである。
【0028】
上記製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維を編地に製造して縞状のむら状況の試験を行い、試験して得られた結果は、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維により製造された編地のD値が0.57%であり、これにより、本発明で製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維に「縞状のむら」の問題が存在しないことを説明する。
【実施例2】
【0029】
サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、FDYプロセスに応じて、質量比が50:50のPET溶融物(固有粘度が0.63dL/gである)及びPA6溶融物(固有粘度が2dL/gである)を分配した後、同じ紡糸口金における吐出孔m(楕円形)及び吐出孔n(「8」字形)から押出してFDY糸に製造した後に弛緩熱処理して、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維を得て、
PA6溶融物とPET溶融物には、それぞれ5wt%のPET-PA6共重合体溶融物が含まれ、PET-PA6共重合体の製造過程において、数平均分子量が2500のPETと数平均分子量が2500のPA6とを1:1の質量比で混合した後、温度が275℃で、真空度が45Paの条件下で、55min重縮合反応させ、
前記分配とは、PA6溶融物を分配孔Aを介して、かつPET溶融物を分配孔Bを介して吐出孔mに分配し、PA6溶融物を分配孔Cを介して、かつPET溶融物を分配孔Dを介して吐出孔nに分配することを指し、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dの入口において、PET溶融物とPA6溶融物との見かけ粘度の差は、2.8%であり、
分配孔Aと分配孔Bは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Aと分配孔Bとの直径の比は、1.18:1であり、分配孔Cと分配孔Dは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Cと分配孔Dとの直径の比は、1:1.18であり、
全ての吐出孔は、同心円状に分布し、同じ円における吐出孔は、全てmであるか、又は全てnであり、
吐出孔mは、順に接続されたガイド孔E、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、吐出孔nは、順に接続されたガイド孔F、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、ガイド孔Eは、分配孔A及び分配孔Bに同時に接続され、ガイド孔Fは、分配孔C及び分配孔Dに同時に接続され、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dは、紡糸ビームIII内の分配板に位置し、PET溶融物は、紡糸ビームIにより分配孔B及び分配孔Dに搬送され、PA6溶融物は、紡糸ビームIIにより分配孔A及び分配孔Cに搬送され、
紡糸ビームIの温度は、283℃であり、紡糸ビームIIの温度は、265℃であり、紡糸ビームIIIの温度は、282℃であり、
FDYプロセスのパラメータは、冷却温度が23℃であり、ネットワーク圧力が0.24MPaであり、第1のローラの速度が1550m/minであり、第1のローラの温度が80℃であり、第2のローラの速度が2800m/minであり、第2のローラの温度が144℃であり、巻取速度が2670m/minであり、弛緩熱処理の温度が90℃であり、時間が24minである。
【0030】
最終的に製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、複数本のPA6/PETサイドバイサイド複合単糸で構成され、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維における単糸の捲縮方向はランダムに分布し、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、捲縮収縮率が51.5%であり、捲縮安定度が77.3%であり、緊縮伸び率が87.9%であり、捲縮弾性回復率が92.8%であり、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、破断強度が≧2.5cN/dtexであり、破断伸び率が57%であり、総繊度が95dtexである。
【0031】
上記製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維を編地に製造して縞状のむら状況の試験を行い、試験して得られた結果は、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維により製造された編地のD値が0.24%であり、これにより、本発明で製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維に「縞状のむら」の問題が存在しないことを説明する。
【実施例3】
【0032】
サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、POY-DTプロセスに応じて、質量比が50:50のPET溶融物(固有粘度が0.55dL/gである)及びPBT溶融物(固有粘度が1.1dL/gである)を分配した後、同じ紡糸口金における吐出孔m(円形)及び吐出孔n(楕円形)から押出してPOY-DT糸に製造した後に弛緩熱処理して、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維を得て、
前記分配とは、PBT溶融物を分配孔Aを介して、かつPET溶融物を分配孔Bを介して吐出孔mに分配し、PBT溶融物を分配孔Cを介して、かつPET溶融物を分配孔Dを介して吐出孔nに分配することを指し、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dの入口において、PET溶融物とPBT溶融物との見かけ粘度の差は、4.9%であり、
分配孔Aと分配孔Bは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Aと分配孔Bとの直径の比は、1.15:1であり、分配孔Cと分配孔Dは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Cと分配孔Dとの直径の比は、1:1.15であり、
全ての吐出孔は、同心円状に分布し、同じ円における吐出孔は、全てmであるか、又は全てnであり、
吐出孔mは、順に接続されたガイド孔E、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、吐出孔nは、順に接続されたガイド孔F、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、ガイド孔Eは、分配孔A及び分配孔Bに同時に接続され、ガイド孔Fは、分配孔C及び分配孔Dに同時に接続され、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dは、紡糸ビームIII内の分配板に位置し、PET溶融物は、紡糸ビームIにより分配孔B及び分配孔Dに搬送され、PBT溶融物は、紡糸ビームIIにより分配孔A及び分配孔Cに搬送され、
紡糸ビームIの温度は、280℃であり、紡糸ビームIIの温度は、260℃であり、紡糸ビームIIIの温度は、276℃であり、
POY-DTプロセスのパラメータは、冷却温度が23℃であり、巻取速度が2800m/minであり、セット温度が133℃であり、延伸温度が95℃であり、延伸倍率が1.8であり、
弛緩熱処理の温度が90℃であり、時間が30minである。
【0033】
最終的に製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、複数本のPBT/PETサイドバイサイド複合単糸で構成され、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維における単糸の捲縮方向はランダムに分布し、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、捲縮収縮率が66%であり、捲縮安定度が92.3%であり、緊縮伸び率が114%であり、捲縮弾性回復率が80%であり、破断強度が3.07cN/dtexであり、破断伸び率が47%であり、総繊度が80dtexである。
【実施例4】
【0034】
サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法であって、そのプロセスは、以下のとおりである。
【0035】
POYプロセスに応じて、質量比が50:50のPTT溶融物(固有粘度が0.9dL/gである)及びPBT溶融物(固有粘度が1.21dL/gである)を分配した後、同じ紡糸口金における吐出孔m(円形)及び吐出孔n(円形)から押出してサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維を得て、
前記分配とは、PBT溶融物を分配孔Aを介して、かつPTT溶融物を分配孔Bを介して吐出孔mに分配し、PBT溶融物を分配孔Cを介して、かつPTT溶融物を分配孔Dを介して吐出孔nに分配することを指し、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dの入口において、PTT溶融物とPBT溶融物との見かけ粘度の差は、5%であり、
分配孔Aと分配孔Bは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Aと分配孔Bとの直径の比は、1.1:1であり、分配孔Cと分配孔Dは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Cと分配孔Dとの直径の比は、1:1.1であり、
吐出孔mは、順に接続されたガイド孔E、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、吐出孔nは、順に接続されたガイド孔F、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、ガイド孔Eは、分配孔A及び分配孔Bに同時に接続され、ガイド孔Fは、分配孔C及び分配孔Dに同時に接続され、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dは、紡糸ビームIII内の分配板に位置し、PTT溶融物は、紡糸ビームIにより分配孔B及び分配孔Dに搬送され、PBT溶融物は、紡糸ビームIIにより分配孔A及び分配孔Cに搬送され、紡糸ビームIの温度は、255℃であり、紡糸ビームIIの温度は、266℃であり、紡糸ビームIIIの温度は、265℃であり、
全ての吐出孔は、同心円状に分布し、同じ円における吐出孔は、全てmであるか、又は全てnであり、
POYプロセスのパラメータは、冷却温度が24℃であり、巻取速度が2660m/minであり、
製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、複数本のPBT/PTTサイドバイサイド複合単糸で構成され、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維により製造されたDT繊維の単糸捲縮方向がランダムに分布し、捲縮収縮率が70%であり、捲縮安定度が93.3%であり、緊縮伸び率が113%であり、捲縮弾性回復率が85%であり、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、破断強度が2.29cN/dtexであり、破断伸び率が125%であり、単糸の繊度が0.5dtexであり、総繊度が110dtexである。
【実施例5】
【0036】
サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、POY-DTプロセスに応じて、質量比が50:50のPET溶融物(固有粘度が0.52dL/gである)及びPBT溶融物(固有粘度が1.14dL/gである)を分配した後、同じ紡糸口金における吐出孔m(円形)及び吐出孔n(円形)から押出してPOY-DT糸に製造した後に弛緩熱処理して、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維を得て、
前記分配とは、PBT溶融物を分配孔Aを介して、かつPET溶融物を分配孔Bを介して吐出孔mに分配し、PBT溶融物を分配孔Cを介して、かつPET溶融物を分配孔Dを介して吐出孔nに分配することを指し、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dの入口において、PET溶融物とPBT溶融物との見かけ粘度の差は、5%であり、
分配孔Aと分配孔Bは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Aと分配孔Bとの直径の比は、1.17:1であり、分配孔Cと分配孔Dは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Cと分配孔Dとの直径の比は、1:1.17であり、
全ての吐出孔は、同心円状に分布し、同じ円における吐出孔は、全てmであるか、又は全てnであり、
吐出孔mは、順に接続されたガイド孔E、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、吐出孔nは、順に接続されたガイド孔F、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、ガイド孔Eは、分配孔A及び分配孔Bに同時に接続され、ガイド孔Fは、分配孔C及び分配孔Dに同時に接続され、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dは、紡糸ビームIII内の分配板に位置し、PET溶融物は、紡糸ビームIにより分配孔B及び分配孔Dに搬送され、PBT溶融物は、紡糸ビームIIにより分配孔A及び分配孔Cに搬送され、
紡糸ビームIの温度は、279℃であり、紡糸ビームIIの温度は、261℃であり、紡糸ビームIIIの温度は、277℃であり、
POY-DTプロセスのパラメータは、冷却温度が25℃であり、巻取速度が3100m/minであり、セット温度が134℃であり、延伸温度が89℃であり、延伸倍率が1.7であり、
弛緩熱処理の温度が98℃であり、時間が27minである。
【0037】
最終的に製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、複数本のPBT/PETサイドバイサイド複合単糸で構成され、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維における単糸の捲縮方向はランダムに分布し、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、捲縮収縮率が67%であり、捲縮安定度が92.6%であり、緊縮伸び率が114%であり、捲縮弾性回復率が80%であり、破断強度が3.02cN/dtexであり、破断伸び率が51%であり、総繊度が140dtexである。
【実施例6】
【0038】
サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維の製造方法では、POY-DTプロセスに応じて、質量比が50:50のPET溶融物(固有粘度が0.51dL/gである)及びPBT溶融物(固有粘度が1.14dL/gである)を分配した後、同じ紡糸口金における吐出孔m(円形)及び吐出孔n(円形)から押出してPOY-DT糸に製造した後に弛緩熱処理して、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維を得て、
前記分配とは、PBT溶融物を分配孔Aを介して、かつPET溶融物を分配孔Bを介して吐出孔mに分配し、PBT溶融物を分配孔Cを介して、かつPET溶融物を分配孔Dを介して吐出孔nに分配することを指し、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dの入口において、PET溶融物とPBT溶融物との見かけ粘度の差は、4.4%であり、
分配孔Aと分配孔Bは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Aと分配孔Bとの直径の比は、1.18:1であり、分配孔Cと分配孔Dは、同じ高さの円筒形の孔であり、分配孔Cと分配孔Dとの直径の比は、1:1.18であり、
全ての吐出孔は、同心円状に分布し、同じ円における吐出孔は、全てmであるか、又は全てnであり、
吐出孔mは、順に接続されたガイド孔E、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、吐出孔nは、順に接続されたガイド孔F、遷移孔、及び毛細管細孔で構成され、ガイド孔Eは、分配孔A及び分配孔Bに同時に接続され、ガイド孔Fは、分配孔C及び分配孔Dに同時に接続され、分配孔A、分配孔B、分配孔C、及び分配孔Dは、紡糸ビームIII内の分配板に位置し、PET溶融物は、紡糸ビームIにより分配孔B及び分配孔Dに搬送され、PBT溶融物は、紡糸ビームIIにより分配孔A及び分配孔Cに搬送され、
紡糸ビームIの温度は、279℃であり、紡糸ビームIIの温度は、260℃であり、紡糸ビームIIIの温度は、274℃であり、
POY-DTプロセスのパラメータは、冷却温度が25℃であり、巻取速度が2840m/minであり、セット温度が135℃であり、延伸温度が95℃であり、延伸倍率が1.7であり、
弛緩熱処理の温度が101℃であり、時間が26minである。
【0039】
最終的に製造されたサイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、複数本のPBT/PETサイドバイサイド複合単糸で構成され、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維における単糸の捲縮方向はランダムに分布し、サイドバイサイド型自己捲縮弾性繊維は、捲縮収縮率が68%であり、捲縮安定度が92.9%であり、緊縮伸び率が115%であり、捲縮弾性回復率が82%であり、破断強度が3.04cN/dtexであり、破断伸び率が49%であり、総繊度が90dtexである。
図1