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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】燻製の香りを有する氷体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23B 4/044 20060101AFI20231020BHJP
   F25C 1/00 20060101ALI20231020BHJP
   C12G 3/06 20060101ALN20231020BHJP
【FI】
A23B4/044 503B
F25C1/00 B
C12G3/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023004712
(22)【出願日】2023-01-16
【審査請求日】2023-01-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523017936
【氏名又は名称】井能 隆祥
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】井能隆祥
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-110886(JP,A)
【文献】特開2016-220644(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0216117(US,A1)
【文献】How to Smoke Ice Cubes in 3 Minutes [online],2016年03月09日,https://www.thrillist.com/how-to/how-to-make-smoked-ice,[検索日:2023.03.01]
【文献】10分漬けるだけで燻製が作れる!? 魔法の液体「燻製の素」がスゴかった [online],2022年06月21日,https://kakakumag.com/food/?id=18490,[検索日:2023.03.01]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B 4/00- 5/22
A23L 3/00- 3/3598
A23L 27/00-27/30
A23L 27/60
C12G 1/00- 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被燻製部材を設置する被燻製部材設置工程と、
燻製材を加熱して煙を発生させる煙生成工程と、
前記煙で前記被燻製部材を燻煙して燻製部材とする燻製工程と、
前記燻製部材に付着した燻製成分を水に移行して燻製水を得る香づけ工程と、
前記燻製水を冷して氷体にする冷却工程と、を有し、
前記被燻製部材は、金属製であることを特徴とする、燻製の香りを有する氷体の製造方法。
【請求項2】
前記被燻製部材は、メッシュ部材、積層体又は格子体であることを特徴とする、請求項1に記載の燻製の香りを有する氷体の製造方法。
【請求項3】
前記煙が前記水又は前記燻製水に送りこまれる曝気工程を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の燻製の香りを有する氷体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燻製の香りを有する氷体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ウイスキーに独特の香りをつけることが試みされている。
特許文献1には、ウイスキーに独特の香りをつける方法として、でんぷん源として非粉砕又は粉砕度の低い穀物を使用することにより、その穀物に由来した好ましい香味を有するウイスキーを製造することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-045164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウイスキーの製造では、製麦において発芽を停止するために、ピートや石炭を焚いて乾燥している。この乾燥手段により、ウイスキーに独特のピート香やスモーキーな香りが付与されている。ウイスキーの愛好家には、強いスモーキーな香りを好まれることが多く、ウイスキーにスモーク臭を増強することが求められている。
そこで、本発明者は、ウイスキーに強いスモーク臭を付与するために、スモーク臭のする氷体をウイスキーに添加するという発想に至った。しかし、氷体に強いスモーク臭を付与する方法は知られていない。
【0005】
よって、本発明の課題は、強いスモーク臭を有する氷体の製造方法を提供し、ウイスキーなどの飲料にスモーク臭を付与することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、被燻製部材を燻煙して燻製部材とし、この燻製部材に付着した燻製成分を水に移行させて燻製水とし、この燻製水を氷体とすることにより、強い燻製の香り(スモーク臭)のする氷体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
また、本発明者は、水に燻製の煙を曝気することで、燻製成分を水に移行させて燻製水とし、この燻製水を氷体とすることにより、強い燻製の香り(スモーク臭)のする氷体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
さらに、本発明者は、水を容器に入れた状態で燻製の煙と水とを接触させることにより、燻製成分を水に移行させて燻製水とし、この燻製水を氷体とすることにより、強い燻製の香り(スモーク臭)のする氷体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
加えて本発明者は、水に香料を添加して燻製水とし、この燻製水を氷体とすることにより、強い燻製の香り(スモーク臭)のする氷体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の燻製の香りを有する氷体の製造方法は、被燻製部材を設置する被燻製部材設置工程と、燻製材を加熱して煙を発生させる煙生成工程と、煙で被燻製部材を燻煙して燻製部材とする燻製工程と、燻製部材に付着した燻製成分を水に移行して燻製水を得る香づけ工程と、燻製水を冷して氷体にする冷却工程と、を有することを特徴とする。
本発明の燻製の香りを有する氷体の製造方法によれば、被燻製部材に付着した燻製成分を水に移行することから、燻製成分を水に効率よく含有させることができ、燻製の香りの強い氷体とすることができる。
【0008】
さらに、本発明の燻製水の製造方法の一実施態様としては、被燻製部材は、金属製のメッシュ部材、積層体若しくは格子体、又は、布製のメッシュ部材であることを特徴とする。
この燻製水の製造方法によれば、表面積が大きく、煙との接触面積を大きくできることから、効率よく燻製成分を被燻製部材に付着させることができる効果がある。
さらに金属製のメッシュ部材、積層体若しくは格子体の場合、燻製材に加温して煙を発生させる際の温度が高くても被燻製部材が焦げたりすることなく、煙の温度管理が容易となる。
また、布製のメッシュ部材の場合、水を浸み込ませて絞ることで水に燻製の成分を含有させることができることから、加工がしやすい効果がある。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の燻製の香りを有する氷体の製造方法は、燻製材を加熱して煙を発生させる煙生成工程と、煙が水に送りこまれる曝気工程と、曝気工程で製造された燻製の香りを有する燻製水を冷却設備で冷して氷体にする冷却工程と、を有することを特徴とする。
本発明の燻製の香りを有する氷体の製造方法によれば、煙が水に送り込まれることから、燻製成分を水に効率よく含有させることができ、燻製の香りの強い氷体とすることができる。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の燻製の香りを有する氷体の製造方法は、水が入れられた液体容器を設置する水設置工程と、燻製材を加熱して煙を発生させる煙生成工程と、煙で水が入れられた液体容器を燻煙して燻製水とする液体燻製工程と、燻製水を冷して氷体にする冷却工程と、を有することを特徴とする。
本発明の燻製の香りを有する氷体の製造方法によれば、液体容器に入れられた水が煙と接触する燻製の香りが付けられることから、容易に水に燻製成分を含有させることができ、燻製の香りの強い氷体とすることができる。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の燻製の香りを有する氷体の製造方法は、水が入れられた液体容器と香料を準備する香料準備工程と、香料を水に添加する添加工程と、添加工程で製造された燻製の香りを有する燻製水を冷却設備で冷して氷体にする冷却工程と、を有することを特徴とする。
本発明の燻製の香りを有する氷体の製造方法によれば、液体容器に入れられた水に燻製の香りのする香料を添加することで、燻製の香りが付けられることから、容易に水に燻製成分を含有させることができ、燻製の香りの強い氷体とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、強いスモーク臭を有する氷体の製造方法を提供し、ウイスキーなどの飲料にスモーク臭を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法を表す概略図。
図2】本発明の第1の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法に使用する装置及び製造方法の工程を表す概略図。
図3】本発明の第1の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法に使用する装置及び製造方法の工程を表す概略図。
図4】本発明の第2の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法を表す概略図。
図5】本発明の第2の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法に使用する装置及び製造方法の工程を表す概略図。
図6】本発明の第3の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法を表す概略図。
図7】本発明の第3の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法に使用する装置及び製造方法の工程を表す概略図。
図8】本発明の第3の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法に使用する装置及び製造方法の工程を表す概略図。
図9】本発明の第4の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法を表す概略図。
図10】本発明の第4の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法に使用する装置及び製造方法の工程を表す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図10を参照しつつ、燻製の香りを有する氷体の製造方法の実施態様を詳細に説明する。なお、実施態様に記載する燻製の香りを有する氷体の製造方法については、本発明に係る燻製の香りを有する氷体の製造方法を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0015】
[第1の実施態様]
図2及び図3は、本発明の第1の実施態様における燻製の香りを有する氷体の製造方法1に使用する装置及び製造方法の工程を示す概略図である。第1の実施態様における燻製装置10では、被燻製部材21を燻製して燻製部材24とし、燻製容器22から取り出した後、水25で洗い流すことで、燻製水27を製造する。そして、製造された燻製水27を冷却設備28で冷却することで、燻製の香りを有する氷体29を製造することができるものである。
以下、本発明の製造方法で使用される装置について説明する。
<燻製装置>
燻製装置10は、被燻製部材21を燻製するための装置である。燻製装置10は、燻製材23の煙を閉じ込めることができる燻製容器22を備え、図示はしないが、燻製装置10は、燻製材23に熱を加えるための熱源を備えていてよく、例えば、熱源として電熱線コンロなどが設置される場合がある。
燻製装置10は、燻製容器22の内部に被燻製部材21が上部に設置できるように構成される。
【0016】
≪被燻製部材≫
被燻製部材21は、燻製材23から発生した煙の成分を付着させるためのものである。被燻製部材21は、燻製材23を加熱した際にその温度に耐えることができ、煙の成分を付着させることができる材質であり、かつ、水に溶解しない材質であれば、特に限定されず、例えば、金属製、樹脂製、布製などの材質が挙げられる。耐熱性や防錆性の観点から、ステンレス材が好ましい。
【0017】
また、被燻製部材21の形状は、煙の成分が付着すれば、特に限定されず、例えば、板状、メッシュ状などの構造のものが好適に使用できる。メッシュ状の構造の被燻製部材21であれば、煙との接触面積を大きくし、効率よく煙と接触して燻製成分を付着させることができる。また、複数の板状の部材が間隔を空けて積層された積層体や、複数の部材が格子状に配置された格子体でもよい。複数の板状部材の間隙に煙を通過させることにより、多くの燻製成分を付着させることができる。
【0018】
例えば、金属製のメッシュ部材、積層体又は格子体の場合、燻製材23に加温して煙を発生させる際の温度が高くても被燻製部材21が焦げたりすることないことから、煙(燻製材23の加熱温度)の温度管理が容易となる。
また、布製のメッシュ部材の場合、水25を浸み込ませて絞ることで水25に燻製の成分を含有させることができることから、加工がしやすい効果がある。
なお、被燻製部材21は、燻製されることで、その表面に燻製成分が付着し、燻製部材24になる。
【0019】
≪燻製容器≫
燻製容器22は燻製材23が加熱され煙が発生する温度に耐えることができる構造及び材質であればよく、市販の燻製容器等が使用可能である。
【0020】
≪燻製材≫
燻製材23は、被燻製部材21に燻製の香りをつけるため煙を発生させるための材料である。燻製材23としては、燻製チップ(スモークチップ)と呼ばれる一定の大きさ(例えば、約7mm~3mm)の木材や、スモークウッドと呼ばれる木材を粉状に粉砕し、押し固められた棒状の部材が例示できる。なお、燻製チップの場合、熱源で加熱されることで煙が生じ、スモークウッドの場合は火をつけることで、線香のように一定の時間、煙を生じさせるものである。
燻製材23の材質は、燻製に使用することができるものであれば特に限定されず、具体的には、オーク、ブナ、ナラ、サクラ、リンゴ、ヒッコリー等の種類のものを使用することができる。ウイスキーの熟成に利用した樽を燻製材として利用してもよい。
【0021】
≪水≫
水25は、燻製部材24に付着した燻製成分を移行して燻製水27を得るものである。また、別の実施態様としては、水25は、香料を添加して燻製の香りを有する燻製水27としてもよい。
【0022】
≪容器≫
容器26は、燻製水27を溜めることができる容器であれば特に限定されないが、冷却を早く行うことができる観点から金属製の容器であることが好ましい。
【0023】
≪冷却設備≫
冷却設備28は、燻製水27を冷却し氷体(固体)にできるものであれば、特に限定されない。具体的には、-18℃前後に冷却できる市販の冷凍庫が例示できる。
【0024】
(燻製の香りを有する氷体の製造方法について)
図1を参照し、燻製の香りを有する氷体の製造方法について説明する。
まず、ステップS101において、燻製容器22に被燻製部材21を設置する。この工程を被燻製部材設置工程とする。
次に、ステップ102において、被燻製部材21の下部に燻製材23を設置する。そして燻製材23を加熱して煙を発生させる。この工程を煙生成工程とする。
なお、発生した煙は、濾材を通過させることにより灰を除去してもよい。
【0025】
次に、ステップS103において、一定時間、煙で被燻製部材を燻煙して燻製部材とする。この工程を燻製工程とする。
【0026】
次に、ステップS104において、燻製部材を燻製容器から取り出す。そして、燻製部材を水で洗い流すことにより、燻製成分を水に含有させて燻製水27を得る。この工程を香づけ工程とする。得られた燻製水27は、容器に集められる。
【0027】
ここで、得られた燻製水27を濾過する濾過工程を設けてもよい。濾過工程における濾材は、除去対象物の大きさに応じて適宜設定すればよい。燻製水27の濾過工程を設けることにより、燻製水27に混入した灰や、生産工程中に混入した異物などを除去することができる。
【0028】
次に、ステップS105において、容器26に集められた燻製の香りを有する燻製水27を冷却設備28で冷して固体にする。この工程を冷却工程とする。これにより、燻製の香りを有する氷体29を製造することができる。
【0029】
以上の工程により、燻製の香りを有する氷体の製造がおこなわれる。なお、S101~S104の工程を行うことで、燻製の香りを有する燻製水27の製造方法とすることができ、氷状に加工されることなく、燻製水27として流通、消費されてもよい。
【0030】
[第2の実施態様]
図5を参照し、本発明の第2の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法2について説明する。
なお、本発明の第1の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法1と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の態様は、燻製材23から生じた煙を、配管31を通して水25中に送り込んで燻製の香りをつけることで燻製水27とし、氷体29を製造するものである。
【0031】
配管31は、燻製装置10で発生させた燻製材23の煙を誘導し、水25の中に曝気するための管である。
配管31は、煙を誘導でき、水25の中に煙を曝気できるものであれば、材質や構造は特に限定されない。
配管31には、図示しない加圧装置を備えており、圧力が加えられて煙が水25の中に曝気される。水25に煙が曝気されることにより燻製水27が製造される。
【0032】
配管31の先端には、水25の中に煙を微細な気泡として供給するための散気部材を設けてもよい(非図示)。散気部材は、例えば、複数の孔が形成された管部材や板部材等である。散気部材を設けることにより、燻煙成分を水25の中に広く分散させることができる。
【0033】
(燻製の香りを有する氷体の製造方法について)
次に図4を参照し、燻製の香りを有する氷体の製造方法について説明する。
まず、ステップS201において、燻製材23を加熱して煙を発生させる。この工程を煙生成工程とする。
【0034】
次に、ステップS202において、一定時間、燻製材23から生じた煙が配管31を経由して水25に送りこまれる。この工程を曝気工程とする。
【0035】
次に、ステップS203において、製造された燻製の香りを有する燻製水27を冷却設備28で冷して固体にする。この工程を冷却工程とする。これにより、燻製の香りを有する氷体を製造することができる。
【0036】
なお、第2の実施態様と同様に、S201~S202の工程を行うことで、燻製の香りを有する燻製水27の製造方法とすることができ、氷状に加工されることなく、燻製水27として流通、消費されてもよい。
【0037】
[第3の実施態様]
図6~8を参照し、本発明の第3の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法3について説明する。
なお、本発明の第1の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法1と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の態様は、燻製材23から生じた煙を、液体容器32に入れられた水25と接触させ、燻製の香りをつけることで燻製水27とし、氷体29を製造するものである。
【0038】
≪液体容器≫
液体容器32は、燻製水27となる水25を入れることができ、煙と水25とを接触させるための容器である。
液体容器32は、水を入れることができ、煙との接触面積を大きく確保できるものが適用可能である。具体的には、上方が開口した皿や調理用のバット等が好適に使用可能である。
また、液体容器32の材質は、水25を入れることができ、燻製時の温度に耐えることができ、また、冷却時の温度低下に耐えうる材質であれば特に限定されない。
【0039】
なお、液体容器32、液体容器32を設置する燻製棚33は、第1の実施態様の被燻製部材として利用することができる。液体容器32及び/又は燻製棚33を被燻製部材とすることにより、水25に燻製の香りを十分につけることができる。
【0040】
(燻製の香りを有する氷体の製造方法について)
図6を参照し、燻製の香りを有する氷体の製造方法について説明する。
まず、ステップS301において、水25が入れられた液体容器32を燻製容器22に設けられた燻製棚33に設置する。この工程を水設置工程とする。
次に、ステップS302において、被燻製部材21の下部に燻製材23を設置し、燻製材23を加熱して煙を発生させる。この工程を煙生成工程とする。
【0041】
次に、ステップS303において、一定時間、煙で水25が入れられた液体容器32を燻煙して燻製水27を製造する。この工程を液体燻製工程とする。
【0042】
次に、ステップS304において、液体容器32の燻製の香りを有する燻製水27を冷却設備28で冷して固体にする。この工程を冷却工程とする。これにより、燻製の香りを有する氷体29を製造することができる。
【0043】
以上の工程により、燻製の香りを有する氷体の製造がおこなわれる。なお、S301~S303の工程を行うことで、燻製の香りを有する燻製水27の製造方法とすることができ、氷状に加工されることなく、燻製水27として流通、消費されてもよい。
また、第1の実施態様と同様、煙や燻製水を濾過することにより、灰や異物などを除去してもよい。
【0044】
[第4の実施態様]
図9~10を参照し、本発明の第4の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法4について説明する。
なお、本発明の第1の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法1と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
本発明の第4の実施態様の燻製の香りを有する氷体の製造方法4は、水25に燻製の香りを有する香料を添加して燻製水27とし、冷却設備28で冷却することで氷体29を製造するものである。
【0045】
≪香料≫
香料34は、市販されている燻製の香りを有する香料を使用してもよいし、燻製材などから燻製成分を抽出して得られたものでもよいし、合成して得られた香料成分でもよい。
【0046】
(燻製の香りを有する氷体の製造方法について)
図9を参照し、燻製の香りを有する氷体の製造方法について説明する。
まず、ステップS401において、水25が入れられた液体容器32と香料34を準備する。この工程を香料準備工程とする。
【0047】
次に、ステップS402において、水25に香料34を添加し、撹拌することで、燻製の香りを有する燻製水27を製造する。この工程を添加工程とする。
【0048】
次に、ステップS403において、液体容器32の燻製の香りを有する燻製水27を冷却設備28で冷して固体にする。この工程を冷却工程とする。これにより、燻製の香りを有する氷体29を製造することができる。
【0049】
以上の工程により、燻製の香りを有する氷体の製造がおこなわれる。なお、S401及びS402の工程を行うことで、燻製の香りを有する燻製水27の製造方法とすることができ、氷状に加工されることなく、燻製水27として流通、消費されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の燻製の香りを有する氷体の製造方法は、水に燻製成分を含有させて燻製の香りを有する燻製水を製造する方法とすることもでき、液体の食品全般に適用可能である。
【0051】
本発明では、ウイスキーのような飲料にスモーク臭をつける際に、氷の量を調整することで、ウイスキーなどの飲料を飲む人の好みの強さにスモーク臭を調整することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 燻製装置
21 被燻製部材
22 燻製容器
23 燻製材
24 燻製部材
25 水
26 容器
27 燻製水
28 冷却設備
29 氷体
31 配管
32 液体容器
33 燻製棚
34 香料(燻製の香り)
【要約】
【課題】本発明の課題は、強いスモーク臭を有する氷体の製造方法を提供し、ウイスキーなどの飲料にスモーク臭を増強することである。
【解決手段】上記課題を解決するための燻製の香りを有する氷体の製造方法は、被燻製部材を設置する被燻製部材設置工程と、燻製材を加熱して煙を発生させる煙生成工程と、煙で被燻製対象物を燻煙して燻製対象物とする燻製工程と、燻製対象物に付着した燻製成分を水に移行して燻製水を得る香づけ工程と、燻製水を冷して氷体にする冷却工程とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10