IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 米倉 かおりの特許一覧

<>
  • 特許-釣り用浮き 図1
  • 特許-釣り用浮き 図2
  • 特許-釣り用浮き 図3
  • 特許-釣り用浮き 図4
  • 特許-釣り用浮き 図5
  • 特許-釣り用浮き 図6
  • 特許-釣り用浮き 図7
  • 特許-釣り用浮き 図8
  • 特許-釣り用浮き 図9
  • 特許-釣り用浮き 図10
  • 特許-釣り用浮き 図11
  • 特許-釣り用浮き 図12
  • 特許-釣り用浮き 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】釣り用浮き
(51)【国際特許分類】
   A01K 93/00 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
A01K93/00 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020012016
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021108635
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】520035126
【氏名又は名称】米倉 かおり
(72)【発明者】
【氏名】米倉 かおり
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-215621(JP,A)
【文献】特開平9-28254(JP,A)
【文献】特開2002-209488(JP,A)
【文献】登録実用新案第3017918(JP,U)
【文献】韓国公開特許第2002-0095613(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 93/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
請求項2の釣り用浮きでは、前記釣り糸通し用パイプ(7)に板状、又は棒状の重り(12)巻きつけて浮力調節することを特徴とした釣り用浮き。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
釣り用浮きの浮力を自由に変更ができ、異なる構造の2種類の釣り用浮きを1個の釣り用浮きで併用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来の釣り用浮きは、釣り用浮き本体内部に外界と密閉隔離された空間に収納した重りの変更や、外界と密閉隔離された釣り用浮き本体内部の空気体積量の変更、もしくは外界と密閉隔離された釣り用浮き本体内部に水を注入して浮力調整を可能とした釣り用浮きが公開販売されている。
【0003】
釣り用浮きの種類も多種多様に有り、その中でも釣り糸が浮きの内部を通る中通し浮きと、浮き下部に環が設けられて、その環部分をスナップ等で釣り糸に連結させて使用する環付浮きが主流である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-143765公報
【文献】特開2019-000062公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に公開されている技術は釣り用浮きの内部に防水機能を施し密閉した空間を設け、その空間内の体積変更をすることで釣り用浮き内部の空気の体積を調節し、釣り用浮き本体の浮力調節を可能にしている。この釣り用浮きは釣り用浮きの浮力変更をすることで、様々な状況に合わせて釣り方や仕掛けを変えることが可能であり、多くのユーザーから好評であるが上述した釣り用浮きには以下に述べるような課題がある。
【0006】
上述の釣り用浮きは内部で空気の体積変更を、ユーザーの任意で調節することで釣り用浮き本体の浮力を変更できる構造を有しているが、目に見えない空気量を調節して浮力変更している為に釣り用浮きに与える浮力変化量が把握しにくい問題がある。又、他に釣り用浮きの内部に水の浸入を防ぐ加工をした密閉できる空間を有し、その空間内に重りを収納し、収納した重りの個数変更や大きさや質量を変更して釣り用浮きの浮力変更ができる構造を持った釣り用浮きもある。しかし収納した重りの大きさを変更したり、重りの個数を変更した場合、収納している重りの全体積が変わる為に、重りを収納していた空間の空気体積変化が起こり、正確な浮きの浮力変更量を把握することが難しい。
【0007】
上記の特許文献2に公開されている技術は、釣り用浮き本体に釣り用浮きを水面に浮かべた時に、浮かべた釣り用浮きに設けた浮力調整用の重りを収納するスペース内に水面にかかる大気圧により水を満たす構造を設け、収納した重りの交換や差し引いた重りの質量のみが釣り用浮きの浮力に影響を与えるように提案されてあり、釣り用浮きの正確な浮力変更が把握できるが以下に述べる課題がある。
【0008】
上述の釣り用浮きは、釣り用浮きを水面に浮かべた時に釣り用浮きが垂直に安定して浮かぶ重心の垂直中心線上に浮力調整用の重りを収納するスペースが設けられていない事で、水面に浮かべた釣り用浮きが垂直な姿勢を維持できる範囲内での浮力調整が出来る重りの質量は極僅で、浮力変更の範囲も少なくなってしまう事が考えられる。又、浮力調整用の重りを収納するスペースに水を満たす為に設けた注水孔が浮きの上部に配置されている為に、前記浮力調整用の重りを収納するスペースにスムーズに水が満たされない問題がある。
【0009】
一般に公開されている釣り用浮きは、中通し浮き、又は環付き浮き等、幾種類に及ぶ。これらの釣り用浮きは浮力も一定で安定して作られており、ユーザーからも信頼され好評であるが、以下に述べる課題がある。
【0010】
釣り用浮きの内部に釣り糸が通る前記中通し浮きと、釣り用浮き下部に設けられた環にスナップ等で釣り糸に連結させて使用する環付浮きは、その構造上2種類に分類されており、構造上の違いから1個の釣り用浮きで、前記2種類の釣り用浮きは併用できていない。又、中通し浮きで内部に密閉されたスペースを設け、そのスペースに重りを出し入れできる構造にした浮力変更可能な釣り用浮きは、浮きの中心に釣り糸を通す為のパイプを有してある為に、市販の丸型重り等では浮きの中心に収納できずに一方に偏ってしまい、浮きを水面に浮かべた時には傾いてしまうおそれがある。又、釣り糸を通す為のパイプが浮きの中心に有している為に、重りを収納するスペースを設ける事が出来ない。ゆえに中通し浮きでは、浮き内部に重りを出し入れしての浮力変更可能な釣り用浮きは未だ実用化されていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は釣り用浮きの中心軸に貫通孔(1)を有し、その貫通孔(1)を有した釣り用浮きを水面に浮かべた時に、水面にかかる大気圧により浮かべた釣り用浮きの貫通孔(1)内部に水を満たす構造を設ける。水面に浮かべた釣り用浮きの喫水線(13)と貫通孔(1)内部の貫通孔内水面の高さ(14)は同じになる。前記の水で満たされる貫通孔(1)に浮力調節用の重りを保持させたり、取り出したりして重りの重さを変更することが出来る構造を設ける。
【0012】
釣り用浮きの中心軸に前記貫通孔(1)内部に水を給排水する機構を設け、その機構を利用することで、釣り用浮きの内部に有したパイプに釣り糸を通して使用する中通し浮きと、釣り用浮きの下部に浮きを仕掛けに保持させる為の環(9)を有する環付浮きの構造が違った2種類の浮きを、1個の釣り用浮きで部品を交換するだけで併用できるようになる。
【0013】
中通し浮き用蓋(3a)に設けた釣り糸通し用パイプ(7)に、市販の板状や棒状の柔らかい重り(12)を任意の長さに切って巻きつけることが出来る構造を設けることで、釣り用浮きの中心軸に浮力調整用の重りを配置する事ができ、釣り用浮きを水に浮かべた時に浮きの姿勢は垂直に安定させたままで浮力変更を可能にする。又、浮きの中心軸に釣り糸を通す為のパイプを有してあっても、市販の板状や棒状の柔らかい重り(12)を任意の長さに切って巻きつけることが出来る構造を設ける事により、浮力調整用の重りを収納できるスペースを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の釣り用浮きは、釣り用浮きを水面に浮かべた時に、水面にかかる大気圧の影響によって、釣り用浮きに設けた貫通孔(1)内部に釣り用浮きの喫水線(13)まで水で満たされる。この時に貫通孔(1)内部は釣り用浮きを浮かべた水面下と同じ状況となり、その貫通孔(1)内に収納された浮力調整用の重り(10)を変更可能な構造にすることで、収納した重り(10)の交換や差し引いた重りの質量のみが釣り用浮きの浮力に影響を与えるようになり、より正確な浮力調節が可能となり、任意の重さの重りを使うことで、釣り用浮きの浮力変化量の差が把握できる。又、貫通孔(1)の上部に中心給排気貫通孔(6a)を設けることで、釣り用浮きの内部に釣り糸を通して使用する中通し浮きと、釣り用浮きの下方に設けられた環にスナップ等で釣り糸に連結させて使う環付浮きの異なる2種類の釣り用浮きを、1個の釣り用浮きで併用できることで2種類の違う構造を有した浮きを複数個保有しなくてもよくなる。
【0015】
釣り用浮きの内部に釣り糸を通して使用する中通し浮きでは、重りを出し入れしての浮力変更機能を持たす事ができなかったが、板状や棒状の柔らかい重り(12)を巻きつけて収納する構造を設けて解決した。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】 本発明に係る釣り用浮き側面図である。
図2】 釣り用浮き上面図である。
図3】 釣り用浮き下面図である。
図4図2におけるA-A断面図である。
図5図2に示す釣り用浮きに重りを収納し水面に浮かべた状態を示すA-A断面図である。
図6】 下部環付き用蓋上面図である。
図7】 下部環付き用蓋下面図である。
図8図6におけるB-B断面図である。
図9】 下部中通し用蓋上面図である。
図10】 下部中通し用蓋下面図である。
図11図9におけるC-C断面図である。
図12】 下部中通し用蓋の釣り糸通し用パイプに浮力調整用の板状重りを巻きつけた図である。
図13】 管付浮き構造状態での浮力調整用重り収納図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
木材や、プラスティック樹脂・スチロール樹脂・アルミ等を中空構造にして浮力を持たせた浮力体(15)を形成し釣り用浮きとする。前記釣り用浮きの中心軸にプラスティック樹脂又は金属等のパイプ(16)を垂直方向に通して固定し、貫通孔(1)を設け、その釣り用浮きが十分な余浮力を持ちながらも水面に対して貫通孔(1)が垂直方向になる状態で水面に浮かぶように釣り用浮きの浮力体(15)下部内に重り(8)を密閉内蔵する。
【0018】
前記の貫通孔(1)は釣り用浮きを水に浮かべた時に水面側を上端部、その水面と反対方向の水中側を下部とし、貫通孔(1)の下部に下部蓋(3)を設ける。この下部蓋(3)と貫通孔との結合部はネジ山(2)を設け、ねじ山の緩め方向に沿って回して取り外したり、ネジ山の締め方向に沿って回して取付けたりできる脱着構造にする。下部蓋(3)を脱着出来る構造にすることで浮力調整用の重りを浮き内部の貫通孔(1)に格納でき、格納した重りの量の変更もできる構造を有する。下部蓋(3)には貫通孔(1)内部に水が給排水できる為の給排水貫通孔(4)を複数個設け、下部蓋(3)下部には管付浮きを仕掛けに保持させる為の環(9)を設けて下部環付き用蓋(3)とする。
【0019】
前記の貫通孔(1)の上部に蓋(5)を設けて固定する。前記釣り用浮きを水面に浮かべた時に、下部環付き用蓋(3)に設けた給水貫通孔(4)から水面にかかる大気圧によって給水させる為に、貫通孔(1)の内部に有る空気を排気し貫通孔(1)内部にスムーズに給水できる為に上部蓋(5)の中心に中心給排気貫通孔(6a)を設け、前記の中心給排気貫通孔(6a)の周りに給排気貫通孔(6)を少なくとも1個以上設ける。又、中心給排気貫通孔(6a)と給排
(4)
気貫通孔(6)を設けることで、釣り用浮きを水面や水中から回収した時には浮き内部の貫通孔(1)スペースに満たされていた水はスムーズに給排水貫通孔(4)と給排気貫通孔(6)と中心給排気貫通孔(6a)から排出される。
【0020】
前記の下部環付き用蓋(3)や上部蓋(5)に設ける給排水貫通孔(4)と給排気貫通孔(6)と中心給排気貫通孔(6a)の孔の形状は、本実施例では丸型を採用しているが、丸型に限らず、収納する重り(10)が脱落しない大きさの穴であれば良いし、重り(10)の脱落防止のために穴に網目状のネットを施しても良い。
【0021】
前記の下部環付き用蓋(3)を釣り用浮き本体に装着した場合(図5)の浮きの浮力変更調節は、前記の貫通孔(1)下部とねじ山によって結合されている下部環付き用蓋(3)をねじ山の緩め方向に沿って回して取り外し、前記の貫通孔(1)の内部に重り(10)を格納し、重り(10)の量や種類を変更して釣り用浮きの浮力調整が出来る構造。
【0022】
釣り用浮き本体(15)に前記の貫通孔(1)を設ける場合は釣り用浮き(15)本体に直接、穴を加工し防水処理を施しても良いものとし、貫通孔(1)に浮力調節用の重りを出し入れする為の脱着する構造を有した下部環付き用蓋(3)は金属やプラスティック樹脂等で形成する。又、浮力調節用の重り(10)を出し入れする時の脱着構造は上部の蓋(5)と下部環付き用蓋(3)のどちら側か一方に設けるか、もしくは両方に設けても良いものとし、ネジ構造以外にバネ等を利用した構造や、ピンが出入りしてのワンタッチ式の脱着方法や磁石等を利用しての脱着方法でも可能とする。
【0023】
前記の重り(10)は一般的に売られている物で良く、球状に限らず楕円形状でも貫通孔(1)に収まる大きさならば良い。又、釣り用浮きの形状は実施例の楕円形だけでなく、円筒状・球状・ソロバン型・棒状等でも良い。
【0024】
下部中通し浮き用蓋(3a)は、下部環付き用蓋(3)と同じ物に環(9)を設けずに、下部環付き用蓋(3)の中心に貫通孔を有した釣り糸通し用パイプ(7)を設け、釣り糸通し用パイプ(7)の上端部は、貫通孔(1)下部に下部中通し用蓋(3a)をねじ山の締め方向に沿って回して締め付けて結合された時に、上部蓋(5)に設けた中心給排気貫通孔(6a)の孔内面まで届く長さとする。これにより環付浮きとして使用している時には給排気孔の役割を果たしていた中心給排気貫通孔(6a)は、釣り糸を通すパイプ口として利用することができ、釣り糸を釣り糸通し用パイプ(7)の中にスムーズに通す孔として利用する事ができる。
【0025】
前記の下部環付き用蓋(3)と、前記の下部中通し用蓋(3a)に設けるネジ山(2)は同じねじ山サイズとし、下部環付き用蓋(3)と下部中通し用蓋(3a)の2種類の部品は、釣り用浮き本体に設けた貫通孔(1)の下部に対して共有できるもので、交換することで1個の釣り用浮きが環付浮きと中通し浮きの異なる構造の浮きに変更できる。
【0026】
前記の下部中通し用蓋(3a)を釣り用浮き本体に装着した場合、図13の釣り用浮きの浮力変更は、図12に示すように貫通孔下端部中通し浮き用蓋(3a)の中心に設けた釣り糸通し用パイプ(7)に板状や棒状の柔らかい重り(12)を巻きつけて、釣り用浮きの貫通孔(1)に図13に示すように収納する。この時、釣り糸を通すパイプ(7)に巻きつけた重り(12)によって給水貫通孔(4)が塞がれる事を防ぐ為に、釣り糸通し用パイプに重り受け(11)を設けて給水貫通孔(4)と巻きつけた重り(12)との間にスペースを確保する。又、前記の釣り糸通し用パイプ(7)に巻きつける板状や線状の柔らかい重り(12)は長さや厚さを変えて重りの質量を変更できる構造とする。又、前記の釣り糸通し用パイプ(7)に巻きつける板状や線状の柔らかい重り(12)は、板状や棒状でなくても、釣り糸を通すパイプ(7)の直径よりも大きな貫通孔を中心に有したリング状の重りで、釣り糸を通すパイプ(7)に、リング状の重りの中心孔を通して保持させ、そのリング状の重りの質量を変えたり、リング状の重りの個数を変更する構造であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
従来の釣り用浮きは浮力変更を可能にする為に釣り用浮き本体内部に設けた浮力調整用の重りや空気を収納密閉するスペースに水の浸入による浮力誤差を防ぐ為の外界との密閉加工が必要とされている。又、釣り用浮き本体内に密閉したスペースを設けて、スポイト等で水を注入して浮力を調節する構造の浮きも前記の釣り用浮きと同じく密閉加工や密閉するための部品が必要である。そのために精密な加工に掛かるコストや部品代が掛かっていたが、この発明した釣り用浮きは、浮力調整用の重りを収納するスペースを外界から密閉する必要がなく、その為の精密な加工に掛かるコストや部品代を大きく削減することができる。又、管付浮きと、中通し浮きは、その構造の違いから浮力変更を可能とした釣り用浮きでは、両者の釣り用浮きを一個の釣り用浮きで併用することが不可能であったのを、貫通孔(1)に水や空気の中心給排気貫通孔(6a)を設けることで可能にした。
【符号の説明】
【0028】
1 貫通孔
2 ネジ山
3 下部環付き用蓋
3a 下部中通し用蓋
4 給排水貫通孔
5 上部蓋
6 給排気貫通孔
6a 中心給排気貫通孔
7 釣り糸通し用パイプ
8 釣り用浮き本体浮力調整重り
9 環付浮き用環
10 浮力変更調整用重り
11 重り受け
12 板状・棒上浮力変更調整用重り
13 浮きの喫水線
14 貫通孔内水面位置
15 浮力体
16 貫通孔用パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13