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特許7370523生体接触検知センサー及びこれを用いた生体接触検知装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】生体接触検知センサー及びこれを用いた生体接触検知装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/05 20210101AFI20231023BHJP
   A61B 5/25 20210101ALI20231023BHJP
【FI】
A61B5/05
A61B5/25
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020118115
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015347
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2022-03-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(73)【特許権者】
【識別番号】300079612
【氏名又は名称】株式会社アイ・メデックス
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】山下 歩
(72)【発明者】
【氏名】菅原 久純
(72)【発明者】
【氏名】市田 誠
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 隆城
(72)【発明者】
【氏名】菅澤 泰久
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-020801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05
A61B 5/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の接触を検知する為の生体接触検知センサーであって、
シート状の基材と、当該基材の片面又は両面に設けられた導電性材料からなる検知部とからなり、
当該検知部は、極性が異なる一対以上の配線又は電極で構成されており、
当該配線又は電極は、生体の接触によって通電し、電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化し、
前記検知部における配線又は電極が露出している箇所を覆う絶縁性材料からなる遮蔽部材を設けており、当該遮蔽部材を除去しない限り剥離できないようにした事を特徴とする、生体接触検知センサー。
【請求項2】
前記検知部は、前記極性が異なる一対以上の配線又は電極を隣接配置または対向配置してなり、当該配線又は電極は、生体の接触によって電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化する間隔で離れており、
当該配線又は電極の幅や配置間隔を調整することによって、生体接触時の感度を調整する請求項1に記載の生体接触検知センサー。
【請求項3】
前記検知部は、生体が接触した時に通電する間隔をあけて、極性が異なる配線又は電極を交互に配置してなり、
当該配線又は電極は、導電性材料が露出しており、生体が直接接触可能である、請求項1又は2に記載の生体接触検知センサー。
【請求項4】
前記基材は柔軟な樹脂シート又は布帛で形成されており、
前記検知部は、導電性ペーストを含む導電性材料を塗布又は印刷して形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載の生体接触検知センサー。
【請求項5】
請求項1~の何れか一項に記載の生体接触検知センサーと、当該生体接触検知センサーにおける検知部が取得した電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかの変化に基づいて生体接触の有無を判断する判断モジュールとからなる生体接触検知装置。
【請求項6】
前記判断モジュールは、検知部が取得した電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかの変化量及び/又は変化時間が予め設定した閾値を超えた場合に、生体の接触が有ったことを示す生体接触信号を出力する、請求項に記載の生体接触検知装置。
【請求項7】
生体の接触を検知する生体接触検知方法であって、
装着者において生体の接触を検知する対象領域に、医療器具や医療材料などを生体に保持する医療用保持具を設けると共に、当該医療用保持具の上に生体の接触を検知する生体接触検知センサーを設置し、
当該生体接触検知センサーが、請求項1~の何れか一項に記載の生体接触検知センサーであることを特徴とする、生体接触検知方法。
【請求項8】
医療用保持具が、包帯又は粘着テープである、請求項に記載の生体接触検知方法。
【請求項9】
医療用装着部材の自己抜去を予防する自己抜去予防方法であって、
当該医療用装着部材の設置領域に、医療器具や医療材料などを生体に保持する医療用保持具を設けると共に、当該医療用保持具の上に生体の接触を検知する生体接触検知センサーを設置し、
当該生体接触検知センサーが、請求項1~の何れか一項に記載の生体接触検知センサーであり、
当該生体接触検知センサーにおける生体の接触の検知によって、医療用装着部材の自己抜去を未然に阻止することを特徴とする自己抜去予防方法。
【請求項10】
医療用装着部材が、医療用カテーテル又は被覆材である、請求項に記載の自己抜去予防方法。
【請求項11】
医療用保持具が、包帯又は粘着テープである、請求項又は10の何れか一項に記載の自己抜去予防方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体が接触したことを検知する為のセンサーに関し、特に装着者が抜去又は剥離する為の接触したことを検知する為の生体接触検知センサー及びこれを用いた生体接触検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療施設では、人工透析における体外循環や、点滴による薬液の供給等に際して、患者に医療用カテーテルを留置して治療が行われている。また外科的手術後の患者等においては傷口を保護する為に包帯、被覆材(「皮膚接合用テープ」を含む。以下同じ。)などを施術している。しかしこれ等の治療を受ける患者は様々であり、重度及び軽度の意識障害者、認知症患者または治療器具や使用方法について理解不足の患者においては、患者本人が医療用カテーテルを抜去したり、包帯や被覆材などを取り外すことがある。
【0003】
そこで従前においては、前記医療用カテーテルの抜けを検出するための技術が幾つか提案されている。例えば特許文献1(実開平5-79468号公報)では、2枚以上の箔状電極を合成樹脂テープと合成樹脂製不織布テープで挟持すると共に、不織布テープの表面に粘着剤層を設けた構成のセンサーを留置針の近傍に貼り付け、漏出した点滴液や血液が不織布テープを経て電極に接触した際の電極間の短絡により、点滴液や血液を検出して、間接的に留置針の抜けを検出する柔軟漏液検知装置が提案されている。
【0004】
また点滴針が抜かれる前に、点滴針の抜去につながる兆候を検知する技術として、特許文献2(特開2015-66071号公報)では、監視対象者を撮影した画像に基づいて、前記監視対象者に点滴針が刺された箇所の状態を検出する第1検出部と、前記画像に基づいて、前記点滴針に接続された管の状態を検出する第2検出部と、検出された前記点滴針が刺された箇所の状態および前記管の状態の少なくとも一方の変化に基づいて前記点滴針の抜去の可能性の有無を判定する判定部と、前記点滴針の抜去の可能性があると判定された場合に、前記点滴針の抜去の可能性を示す警報を出力する出力部とを備える監視装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平5-79468号公報
【文献】特開2015-66071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に係る柔軟漏液検知装置によれば、漏出した点滴液や血液によって留置針の抜針を検出することは可能であるが、抜針事態を阻止することは困難である。また特許文献2では点滴針が刺された箇所の状態および前記管の状態から抜去の可能性を予測することから、抜針自体を阻止できるものの、あくまでも予測であって正確性については未だ改善の余地を有する。
【0007】
そこで本発明では、患者本人が医療用カテーテルを抜去したり、包帯、被覆材、皮膚接合用テープなどを取り外すことを事前に検出する事のできる生体接触検知センサー及びこれを用いた生体接触検知装置を提供することを第1の課題とする。
【0008】
更に本発明では、患者における施術箇所への生体接触を監視するのみならず、各種用途において生体が接触したか否かを監視する為の生体接触検知センサー及びこれを用いた生体接触検知装置を提供することを、前記第1の課題とは異なる第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の少なくとも何れかを解決する為に、本発明では生体の接触の有無を電気信号(電流及び抵抗値を含む)によって取得するように構成した生体接触検知センサーと、これを用いた生体接触検知を提供する。
【0010】
即ち本発明では、生体の接触を検知する為の生体接触検知センサーであって、シート状の基材と、当該基材の片面又は両面に設けられた導電性材料からなる検知部とを含み、当該検知部は、極性が異なる一対以上の配線又は電極で構成されており、当該配線又は電極は、生体の接触によって電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化するように設けた生体接触検知センサーを提供する。
【0011】
また上記本発明の生体接触検知センサーにおいて、前記検知部は、相互に電気的に接続されていない一対以上の配線又は電極からなり、当該配線又は電極は導電性材料が露出しており、生体の接触によって電気的に短絡する間隔で形成することができる。
【0012】
また上記本発明の生体接触検知センサーにおいて、前記検知部は、相互に電気的に接続されている一対以上の配線又は電極からなり、当該配線又は電極は導電性材料が露出しており、生体の接触によって電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化する間隔で形成することができる。
【0013】
上記本発明に係る生体接触検知センサーにおいて、前記検知部は、前記極性が異なる一対以上の配線又は電極を隣接配置または対向配置してなり、当該配線又は電極は、生体の接触によって電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化する間隔で離れて形成することができる。即ち、当該一対以上の配線又は電極を隣接配置した場合には、生体の接触により生体を介して通電することで電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかを変化させることができ、また当該一対以上の配線又は電極を対向配置した場合には、生体の接触により当該配線又は電極同士が接触して通電し、電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかを変化させることができる。特に当該配線又は電極を隣接配置する際には、生体の接触によって通電するように、配線又は電極は導電性材料が露出し得るように構成することが望ましい。
【0014】
前記検知部は、生体の接触を検知する必要性や緊急性などに応じて、その検知感度を調整することができる。かかる検知部における検知感度の調整は、検知部を構成する配線又は電極の材質や太さ、或いは配置間隔(距離)等によって調整することができる。例えば人工呼吸、栄養カテーテル又は動脈ライン等を留置した医療機器に対する生体の接触を検知する場合には、接触検知の緊急性が高いことから、配線又は電極同士の間隔を1~5mmとして検知部の感度を高めることができる。また末梢留置針、創傷、尿道カテーテルやオムツ等に対する生体の接触を検知する場合には、接触検知の緊急性が高くない場合も有り得ることから、配線又は電極同士の間隔を1~10mmとして検知部の感度を低くすることもできる。
【0015】
更に前記検知部は、これに接触することになる部位に応じて感度などを調整することもできる。例えば手全体で接触したのを検知する場合には、配線又は電極同士の間隔を5~30mmとして検知感度を低くし、指などが接触したのを検知する場合には、配線又は電極同士の間隔を1~7mmとして検知感度を高くすることができる。即ち本発明に係る生体接触検知センサーでは、前記配線又は電極の幅や配置間隔を調整することによって、生体接触時の感度を調整することができる。そして上記検知部における検知感度に応じて、後述する判断モジュールにおける閾値を設定又は調整することで、誤報と失報が少ない生体接触検知センサーを実現することができる。
【0016】
上記検知部が設けられるシート状の基材は、樹脂シートや布帛など各種材料で形成することができ、少なくとも前記検知部が設けられる面は検知部を構成する配線又は電極同士の短絡を阻止する為に、電気的絶縁性を有するものを使用することができる。また上記生体接触検知センサーを患者に装着して使用する場合には、前記基材は柔軟性を有するシート材料で形成することもできる。また前記配線や電極が伸縮性を有していない場合には、当該配線や電極の切断を阻止する為に、当該基材は伸縮性を有しないか低いシートで形成することができる。伸縮性を有し、且つ柔軟性を有するシートで基材を構成した場合には、装着した患者における曲げ伸ばしの動作に追従することができ、装着時の違和感を軽減することができる。一方で当該基材は断線を考慮して伸縮しないシートを用いることもでき、また配線又は電極が断線しない程度の柔軟性を有するシートを用いることもできる。特に配線又は電極がカーボンで形成されている場合には、前記基材はカーボンが割れない程度の強度を有するシートであることが望ましい。そして当該基材は、患者の表皮に直接貼付して使用する場合には、当該基材は生体適合性を有する材料、例えばISO規格に基づいた生体適合性試験をパスした材料を用いて形成するのが望ましい。
【0017】
当該基材には、患者への装着容易性を考慮して装着部を設けることが望ましい。様々な部位への装着を可能として汎用性を高める為である。かかる装着部は基材の何れかの面に粘着剤や面ファスナーを設ける他、当該基材が患部を巻回して固定される構造とすることができる。例えば当該生体接触検知センサーを包帯の上へ装着する場合には、包帯の上に装着可能な素材を選定する等、使用する部位に応じた糊や粘着剤を採用するのが望ましい。またかかる装着部は装着容易としながらも、装着した患者自らは簡易には取り外すことのできないものであることが望ましい。また上記装着部を有しない場合には、当該生体接触検知センサーはテープやマグネットなどで固定することができる。
【0018】
上記本発明の生体接触検知センサーは、皮膚に直接貼り付けたり、カニューレ等の医療用機械器具に貼り付けたり、更に点滴針等の医療用機械器具を留置した処置部を包帯等で保護した上に装着することができる。特に処置部を包帯などで保護した上に装着した場合には、患者が本発明の生体接触検知センサーに触れた時に接触を検知・報知し、その後に包帯などを外す必要がある事から、触れてほしくない処置部に到達して点滴針などの医療用機械器具を取り外す(又は抜き始める)までに時間を要する。即ち、患者における接触を感知した後、医療機械器具を取り外すまでに時間を要することから、看護師などの看視者における対処が可能となり、当該取り外し動作を未然に阻止することができる。
【0019】
そして前記基材の片面又は両面には、導電性材料で形成される検知部が設けられる。かかる検知部は極性が異なる一対以上の配線又は電極で構成することができ、当該配線又は電極は、基材に配線・電極の材料 例えば、銀、銅、カーボン、酸化スズ等の導電性材料を塗布又は印刷して形成することができる。かかる導電性材料は、導電性ペーストや導電性塗料などを用いることができる。但し、当該配線又は電極は基材に金属製導線を埋設して形成することも当然に可能である。かかる検知部は極性が異なる一対以上の配線又は電極間において、生体接触による電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化するものであれば、特に制限なく使用することができる。また当該配線又は電極は帯状に形成し、極性の異なる配線又は電極が交互に隣り合う様に形成することができる。
【0020】
前記基材に設けた配線又は電極は、生体以外の導電性部材(金属製のベッドフレームなど)に接触した場合であっても、その電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化することが考えられる。そこで配線又は電極が生体を介して通電する場合においては、導電性部材との接触では電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化することの無い様に、当該配線又は電極の上には、当該配線又は電極をカバーする、絶縁性を有する遮蔽部材を設けることが望ましい。即ち、患者本人が医療用カテーテルを抜去したり、包帯、被覆材、皮膚接合用テープ等を取り外すためには、当該生体接触検知センサーに接触しなければならず、且つ当該生体接触検知センサーに接触するには遮蔽部材を外す必要がある構造とすることができる。
【0021】
上記遮蔽部材は前記検知部を被覆する絶縁性材料からなり、主として検知部が金属部分に接触した時の誤報を阻止する為に機能することができ、その為に少なくとも検知部に接する面は絶縁性を有する材料で形成されることが望ましい。また当該遮蔽部材は剛性であっても柔軟性を有するものであっても良く、望ましくはシート状、フィルム状又は筒状に形成する。更に当該遮蔽部材はストッキネット(チューブ包帯)、サポーター、カフ等であっても良い。
【0022】
そして本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、前記本発明に係る生体接触検知センサーと、当該生体接触検知センサーにおける検知部が取得した電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかの変化に基づいて生体接触の有無を判断する判断モジュールとからなる生体接触検知装置を提供する。
【0023】
当該生体接触検知装置における前記判断モジュールは、検知部が取得した電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかの変化量及び/又は変化時間が予め設定した閾値を超えた場合に、生体の接触が有ったことを示す生体接触信号を出力するように構成することができる。この為、当該判断モジュールは、使用目的又は使用する生体接触検知センサーの構造や特性に応じた閾値を保持しておくことができ、当該閾値を設定することにより、誤報や失報を少なくすることができる。かかる判断モジュールは数値演算装置を用いて構成することができる。
【0024】
また本発明では、前記課題の少なくとも何れかの課題を解決する為に、生体の接触を検知する生体接触検知方法であって、装着者において生体の接触を検知する対象領域に、包帯、粘着テープ等の医療用保持具(即ち、医療器具や医療材料などを生体に保持するもの)を設けると共に、当該医療用保持具の上に生体の接触を検知する生体接触検知センサーを設置する生体接触検知方法を提供する。包帯、粘着テープ等の医療用保持具の設置の状態は任意の状態で良いが、装着者が取り外すのに10秒以上、望ましくは20秒以上の時間を要する状態で設置するのが望ましい。
【0025】
また本発明では、前記課題の少なくとも何れかの課題を解決する為に、医療用カテーテル及び被覆材等の医療用装着部材(即ち、生体に装着される医療用の機械器具であって、医療用カテーテル及び前記医療用保持具を含む)の自己抜去を予防する自己抜去予防方法であって、当該医療用装着部材の設置領域に、包帯、粘着テープ等の医療用保持具を設けると共に、当該医療用保持具の上に生体の接触を検知する生体接触検知センサーを設置し、当該生体接触検知センサーにおける生体の接触の検知によって、医療用装着部材の自己抜去を未然に阻止する自己抜去予防方法を提供する。包帯、粘着テープ等の医療用保持具の設置の状態も任意の状態で良いが、上記の通り装着者が取り外すのに10秒以上、望ましくは20秒以上の時間を要する状態で設置するのが望ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる生体の接触を検知する為の生体接触検知センサーは、シート状の基材と、当該基材の片面又は両面に設けられた導電性材料からなる検知部とからなり、当該検知部は、極性が異なる一対以上の配線又は電極で構成されており、当該配線又は電極は、導電性材料が露出していると共に、生体の接触によって電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化する間隔で形成しており、当該生体接触検知センサーを用いた生体接触検知装置は、この生体接触検知センサーと、検知部が取得した電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかの変化に基づいて生体接触の有無を判断する判断モジュールとで形成している。
【0027】
かかる本発明の生体接触検知センサーは、装着者である患者が、生体の一部(手や腕など)で、極性が異なる一対以上の配線又は電極に接した場合に、配線又は電極を通る電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化することによって生体接触の有無を判断できる。この為、患者本人が医療用カテーテルを抜去したり、包帯、被覆材、皮膚接合用テープ等を取り外す前の段階において検知部への接触を検知することができ、その結果これらの行動を事前に検出する事のできる生体接触検知センサー及びこれを用いた生体接触検知装置を提供することができる。
【0028】
そして当該生体接触検知センサー及びこれを用いた生体接触検知装置は、生体の接触を電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかの変化によって検知できることから、患者における施術箇所への生体接触を監視するのみならず、生体が接触したか否かを検知又は監視する各種用途において使用できる生体接触検知センサー及びこれを用いた生体接触検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1の実施の形態に係る生体接触検知センサーを示す斜視図
図2図1に示す生体接触検知センサーに遮蔽部材を設ける状態を示す分解斜視図
図3】第2の実施の形態に係る生体接触検知センサーを示す分解斜視図
図4】第3の実施の形態に係る生体接触検知センサーを示す分解斜視図
図5】第4の実施の形態に係る生体接触検知センサーを示す分解斜視図
図6】生体接触検知センサーを用いて構成した体接触検知装置の使用状態図
図7】実施例の実験結果を示す表
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかる生体接触検知センサー10及びこれを用いた生体接触検知装置60を具体的に説明する。特に本実施の形態は医療施設等において患者に装着し、患者自らが意図的に医療用カテーテルを抜去したり、包帯、被覆材、皮膚接合用テープ等を取り外す際に、これを事前に検出する事のできるようにした生体接触検知センサー10及びこれを用いた生体接触検知装置60として具体的に示す。
【0031】
図1に示す第1の実施の形態にかかる生体接触検知センサー10は、シート状の基材11と、当該基材11の片面又は両面に設けられた導電性材料からなる検知部15とで構成している。本実施の形態において、当該基材11は厚さ0.075mmのPETシートを用いて形成しており、特に四角形に形成している。但し、当該基材11は他の樹脂材料を用いて形成することもでき、更に布帛を用いて形成することもできる。また当該基材11の形状は、これを設置する部位等に応じて適宜変更することができ、例えば帯状に形成して対象部位を巻くようにして設置する他、円形、楕円形などの各種形状に形成することができる。更に当該基材11は平面形状である他、円錐台形状等の立体形状に形成することもできる。
【0032】
当該基材11は、検知部15を構成する配線又は電極12が断線しない範囲において、伸縮性及び柔軟性を有する樹脂シートを用いて形成してもよい。これを装着した患者等の利用者の動きに追従することができ、装着時における違和感を緩和する為である。
【0033】
そして上記シート状の基材11に設ける検知部15は、各種導電性材料で形成することができ、本実施の形態ではカーボンを使用している。かかる検知部15は、極性が異なる一対以上の配線又は電極12で構成することができる。本実施の形態では陽極12a及び陰極12bからなる一対の電極12によって当該検知部15を形成している。但し、陽極12a及び陰極12bからなる複数の電極12で構成することもでき、何れか一方の極性の電極12を他方の極性の電極12よりも多く形成しても良い。特に本実施の形態において、当該電極12は帯状に形成した陽極12aと陰極12bとが交互に隣り合う様に形成しており、陽極12aと陰極12bの夫々を櫛歯形状に形成している。このような櫛歯状に電極12を設けることにより、生体接触時の感度を、どの領域でも均等に検知することができる。
【0034】
また検知部15を構成する配線又は電極12は、導電性材料を露出させて設けている。導電性材料を露出させることにより、生体の接触によって電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化し、この変化量や変化時間によって生体の接触を検知することができる。よって、異なる極性の配線又は電極12は、生体が接触することによって電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化し得る太さ及び間隔で形成することが望ましい。本実施の形態では、医療用カテーテルの自己抜去動作を検知するものとして形成しており、検知部15は帯状に形成した陽極12aと陰極12bとが交互に隣り合うように形成し、陽極12aと陰極12bの夫々は2~12mmの幅であって、相互に2~12mmの間隔で離して形成している。医療用カテーテルの意図的な自己抜去動作では手指によって行われる為、極性が異なる配線又は電極12は手指の接触を検知できる幅及び間隔で形成することが望ましい。
【0035】
特に本実施の形態に係る生体接触検知センサー10では、当該電極12(陽極12a及び陰極12b)は金、銀、銅などの金属材料の他、導電性を有する材料(例えばカーボン等)を用いて形成することができる。特に印刷できる材料、例えばカーボンを用いた場合には、当該電極12を前記基材11に対する印刷によって形成することができ、その結果、製造工程や設備を簡素化することができると共に、安価に製造することができる。また当該電極12を金属で形成した場合には、金属自体の展延性によって伸びることができることから、柔軟性を有する基材11を用いた場合に、切断されにくい電極12とすることができる。
【0036】
本実施の形態において、前記検知部15は、極性が異なる一対の電極12を電気的に接続することなく配置している。その結果、各電極12に夫々の電力を供給しておけば、生体が接触することによって電極12同士が短絡し、電気が流れることができる。よって電流値を測定しておくことで、生体の接触の有無を監視することができる。
【0037】
以上のように形成した生体接触検知センサー10は、シート状の基材11に対して導電性材料からなる検知部15を設けていることから、生体に直接設置したり、生体に設けた包帯や粘着テープなどの医療用保持具に設けることができる。即ち、適用できる場所を選ばない事から、汎用性の高い生体接触検知センサー10となっている。特に前記導電性材料は配線又は電極12が露出するように形成しており、これに接触することによる電流、電圧及び/又は電気抵抗の変化によって生体の接触を検知することから、接触時の圧力を検知するものに比べ、自己抜去時の動作(生体の接触)を、より的確に検知し防止することができる。
【0038】
図2は前記図1に示した生体接触検知センサー10に、シート状の遮蔽部材20を積層する際の分解斜視図である。前記図1に示した生体接触検知センサー10の様に、検知部15を構成する配線又は電極12が露出しているとすると、金属製のベッドフレームなどのような導電性を有する部材と接触した場合や、水や体液などの流体が付着した場合においても通電してしまい、これを生体が接触したものと誤って検知されてしまうことが危惧される。そこでこの実施の形態に係る生体接触検知センサー10では、少なくとも前記検知部15における配線又は電極12が露出している箇所を覆う様に遮蔽部材20を設けている。
【0039】
かかる遮蔽部材20はシートなどで形成することができ、当該遮蔽部材20を除去しない限り、生体接触検知センサー10を剥がすことができないように設けることができる。具体的には、使用者に生体接触検知センサー10を設置した上にシートやフィルム又は包帯や布帛を被せて、少なくとも検知部15を被覆したり、設置した生体接触検知センサー10の上にストッキネット、サポーター、カフ等を装着したり、若しくは設置した生体接触検知センサー10の上を設置者の被服(例えば袖など)でカバーすることができる。
【0040】
以上の様に遮蔽部材20を設けた場合には、医療用カテーテルを抜去したり、包帯、被覆材、又は皮膚接合用テープ等を取り外すためには、生体接触検知センサー10における検知部15との接触が必要不可欠になり、当該検知部15と接触する為には遮蔽部材20との接触が必要不可欠になる。そして検知部15における配線又は電極12は遮蔽部材20によって覆われていることから、患者自身が意図的に遮蔽部材20を剥がさない限り、検知部15における電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかの変化は生じることが無い。よって、誤報などを回避することのできる生体接触検知センサー10が実現する。
【0041】
図3は第2の実施の形態に係る生体接触検知センサー10を示す(A)分解斜視図、(B)X-X矢視断面図である。この第2の実施の形態に係る生体接触検知センサー10は、極性が異なる一対以上の配線又は電極12を対向配置させて検知部15を構成し、当該検知部15に生体が接触することによって配線又は電極12の電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化するように構成している。即ち、対向配置した基材11における対向面同士に極性が異なる一対以上の配線又は電極12を設けると共に、当該極性が異なる一対以上の配線又は電極12同士を常に離間しておくスペーサを設ける。そして生体が接触することによって、当該スペーサは弾性変形し対向する配線又は電極12が接触することで、その電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかを変化させることができる。
【0042】
前記基材11としては、ITO(酸化インジウムスズ)フィルム14を用いるか、前記基材11にカーボンなどの導電性材料層13を設けたものを用いることができる。ITO(酸化インジウムスズ)フィルム14においては、導電性を有する面を検知部15とすることができ、導電性材料を設けた基材11では、当該導電性材料13を検知部15とすることができる。そして前記対向配置される検知部同士(即ち電極12同士)の間には、人の接触によって弾性変形し、前記配線又は電極12同士を接触させるドットスペーサ30を設けている。
【0043】
本実施の形態にかかる生体接触検知センサー10では、何れか一方の基材11にカーボンを塗布して導電性材料層13を形成すると共に、その上に弾性樹脂からなるドットスペーサ30を所定の間隔で複数設け、そして当該ドットスペーサ30によって前記導電性材料層13と常には離間させた状態でITOフィルム14を対向配置している。
【0044】
このように形成した生体接触検知センサー10では、その厚さ方向に一定以上の圧力が作用することによって、前記検知部15(即ち、配線又は電極12)の電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかを変化させることができる。そしてこの第2の実施の形態に係る生体接触検知センサー10では、前記ドットスペーサ30の弾力性や設置間隔および設置面積によって接触した時の感度を調整することができる。
【0045】
図4は第3の実施の形態に係る生体接触検知センサー10を示す(A)分解斜視図、(B)X-X矢視断面図である。この実施の形態に係る生体接触検知センサー10は、前記第2の実施の形態に示したように対向配置した基材11の対向面に、相互に極性が異なる一対以上の配線又は電極12を設け、両基材11の対向面の間に前記ドットスペーサ30を設けて構成している。特にこの第3の実施の形態に係る生体接触検知センサー10では、対向配置される各基材11には、検知部15として、導電性材料からなる配線又は電極12を印刷などによって形成しており、何れかの基材11に設ける配線又は電極12と、他の記載に設ける配線又は電極12とは、相互に交差する向きとなるように形成している。本実施の形態では矩形の基材11において、図4における下側の基材11には短手方向に延伸するように配線又は電極12aを設け、上側の基材11には長手方向に延伸するように配線又は電極12bを設けている。そして基材11における対向面には、スペーサとして弾性樹脂を用いたドットスペーサ30を設けており、対向配置された配線又は電極12は当該ドットスペーサ30によって常には離間している。そして当該生体接触検知センサー10の厚さ方向に所定の圧力が作用した場合には、常には離間している配線又は電極12は、前記ドットスペーサ30の弾性変形によって接触し、電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化する。これによって当該生体接触検知センサー10は、生体の接触の有無を検知することができる。
【0046】
図5は第4の実施の形態に係る生体接触検知センサー10を示す(A)分解斜視図、(B)X-X矢視断面図である。この実施の形態に係る生体接触検知センサー10は、前記第3の実施の形態に示したように対向配置した配線又は電極12同士の間に導電性ゲル40を設けて、極性が異なる一対以上の配線又は電極12同士を離間させた生体接触検知センサー10としている。対向配置する配線又は電極12は、前記第3の実施の形態に示したように、基材11としてITO(酸化インジウムスズ)フィルム14を用いるか、前記基材11にカーボンなどの導電性材料からなる導電性材料層13又は配線又は電極12を設けたものを用いることで実現可能である。また導電性ゲルはアクリルゲルやウレタンゲルなど既存の導電性ゲルを使用することができる。
【0047】
以上のように構成した生体接触検知センサー10によれば、接触によって厚さ方向に圧力が加わった場合には、対向配置した配線又は電極12同士が接触するか、又は両者間の距離が変化することによって、電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかが変化することから、接触の有無を検知することができる。特に接触した際の感度は、導電性ゲル40の厚さや導電性によって調整することができ、僅かな電流、電圧及び/又は電気抵抗の変化を監視すれば、接触の程度を検知することもできる。特に本実施の形態に係る生体接触検知センサー10では、導電性ゲル40を介して極性が異なる配線又は電極12同士の電気的接続を維持することができ、その電流、電圧及び/又は電気抵抗の変化によって、生体が接触した時の強さや広さも検出可能とすることができる。
【0048】
図6は上記生体接触検知センサー10を用いて構成した体接触検知装置60の使用状態図である。この体接触検知装置60は、前記生体接触検知センサー10と、当該生体接触検知センサー10における検知部15から取得した電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかの変化に基づいて生体接触の有無を判断する判断モジュール50とで構成される。本実施の形態においては、当該判断モジュール50を接続する為の接続端子を設けており、当該接続端子に判断モジュール50を接続することができる。
【0049】
かかる判断モジュール50は、検知部15が取得した電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかの変化量及び/又は変化時間に基づいて、生体接触の有無を判断する為の集積回路などからなる判断回路を伴って構成することができる。特に電流、電圧及び電気抵抗の少なくとも何れかの変化量及び/又は変化時間については、一定の閾値を設定することができ、これにより医療用カテーテルを抜去したり、包帯、被覆材、皮膚接合用テープ等を取り外すことを目的としない、単なる接触時の誤報を回避することができる。
【0050】
即ち、当該閾値は生体接触検知センサー10の抵抗値の変化時間を加味して設定することができる。特に当該閾値の設定に際しては、使用する目的(例えば、点滴自己抜去予防、気管内挿管チューブ、膀胱留置カテーテル、排液ドレーン、動脈ライン、中心静脈カテーテル、経鼻栄養チューブ、創部、おむつなど)に応じて抵抗値の変化時間等に関する閾値を調整することができる。
【0051】
そして判断モジュール50において、検知部15に対する生体の接触(即ち、医療用カテーテルを抜去したり、包帯や被覆材、皮膚接合用テープを取り外すための接触)と判断された場合には、生体の接触が有ったことを示す生体接触信号を出力する。かかる生体接触信号は、ナースコールまたは連動した端末51に対して出力することができ、また当該判断モジュール50に警報や警告灯などを設けることもできる。更に、当該判断モジュール50は、前記生体接触信号を無線出力する無線出力部を伴うことができる。当該無線出力部を伴うことによって、当該生体接触検知装置60は無線でも使用可能となり、看護師や介護士などがベッドサイドにいなくとも生体接触信号を報知することが可能となり、また当該生体接触検知装置60を使用していても患者の行動を制限しないようにすることができる。
【0052】
以上のように構成した生体接触検知装置60を使用する事により、患者自身における意図的な医療用カテーテルの抜去や、包帯、被覆材、皮膚接合用テープ等の取り外しなどを事前に検出する事ができ、医療機関においても適切な対応を図ることができる。
【0053】
また、本実施の形態に係る生体接触検知は、触ったか否かを検出するというシンプルなシステムとしていることから、このような生体センサーの使用に慣れていない臨床現場で働く看護師や介護士などであっても、患者の状況を推測する為の情報として有効に活用することができる。また当該生体接触検知装置60では、自己抜去や自己剥離などを検出する為には、接触の強さよりも接触したか否かが大きく影響していることから、電流値、電圧値や電気抵抗によって触ったか否かを検出するようにすることで、より正確かつ迅速に生体接触の有無を検知することが可能となっている。
【0054】
更に本実施の形態に係る生体接触検知装置60は、患部に対して後付け可能である事から、どのような臨床現場でも特別な工事を要することなく導入が容易であり、更に小型軽量化を実現している。そして1つの生体接触検知装置60毎に、これと対になる受信装置(ポケベル型やタブレット型など)を設定することにより、在宅での使用も可能な生体接触検知装置60とすることができる。
【0055】
また、上記実施の形態に示した生体接触検知センサー10と、これを用いた生体接触検知装置60は、医療用途における患者自身の意図的な医療用カテーテルの抜去や、包帯、被覆材、皮膚接合用テープ等の取り外しのみならず、生体が接触したことを検知する為に各種の分野で使用することができる。
【実施例1】
【0056】
この実験では、生体接触検知センサーを剥がす動作を3パターン実施し、間隔の違いによる電気抵抗値の差(即ち反応の差)を確認した。この実験で使用した生体接触検知センサーは、基材として厚さ0.075mmのシートを使用した。また電極はカーボンを印刷して形成した。そして当該電極の間隔を4mm間隔、6mm間隔とし、それぞれについて電気抵抗値の変化を確認した。その結果を図7に示す。
【0057】
この実験において、電極の間隔を4mm間隔、6mm間隔とした生体接触検知センサーでは同様の結果が得られた。よって電極の間隔を4mm間隔、6mm間隔としたときでは、自己抜去行動の検知に差がないことが予測される。
【0058】
また、本実施例では被験者の施術部に包帯を巻回した上に当該生体接触検知センサーを設置した時における、生体接触検知センサーの接触を検知してから施術部に触れるまでの時間を確認した。その結果、包帯で保護した上に生体接触検知センサーの検知部を装着することで、検知部への接触を検知してから、触れてほしくない施術部に到達するまで、例えば点滴の針を抜き始めるまでに30秒以上かかる事を確認した。そのため、施術部に触れる前あるいは点滴を自己抜去する前に看護師や介護士がかけつけ、それを防ぐことが可能となった。
【0059】
なおこの実験では、最も失報が少なかった太さ2.0mmの配線又は電極を2.0mmの間隔で形成した生体接触検知センサーを使用したが、その他の太さや間隔で配線又は電極を形成した場合であっても、生体の接触を判断する際の閾値を調整することによって、失報を少なくした生体接触検知センサーとすることもできる。また当該閾値は、単位時間当たりの検知回数、検知持続時間、抵抗値・電流値または電圧値の電圧値波形の推移及び変化等によって設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の生体接触検知センサー及びこれを用いた生体接触検知装置は、医療分野において、患者自身が意図的に医療用カテーテルを抜去したり、包帯や被覆材、皮膚接合用テープを取り外するのを事前に検出する為に使用することができ、さらに医療分野に限ることなく、生体が接触したことを検知する為のセンサーとして利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
10:生体接触検知センサー、11:基材、12:電極、13:導電性材料層、14:ITOフィルム、15:検知部、20:遮蔽部材、30:ドットスペーサ、40:導電性ゲル、50:判断モジュール、60:生体接触検知装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7