(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/10 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
D06F33/10
(21)【出願番号】P 2018245721
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 隆二
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-000998(JP,A)
【文献】特開2008-121145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/10、58/00-58/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容する収容室と、
前記収容室内で衣類を支持する支持部と、
前記支持部よりも上方に配置された吹出口から前記収容室内に空気を送り込む送風部と、
前記収容室内に送り込まれる空気を加熱する加熱部と、
前記送風部および前記加熱部を制御する制御部と、
前記収容室内の温度を検知して前記制御部に入力する温度検知部とを含み、
前記制御部は、前記収容室内の温度が第1設定温度である状態において所定風量よりも多い風量の空気を前記送風部によって前記収容室内に送り込む皺伸ばし処理を実行してから、
前記所定風量の空気を前記送風部によって前記収容室内に送り込みながら前記加熱部によって前記収容室内の温度を前記第1設定温度よりも高い第2設定温度にする本乾燥処理を実行する、衣類乾燥機。
【請求項2】
衣類を収容する収容室と、
前記収容室内で衣類を支持する支持部と、
前記支持部よりも上方に配置された吹出口から前記収容室内に空気を送り込む送風部と、
前記収容室内に送り込まれる空気を加熱する加熱部と、
前記送風部および前記加熱部を制御する制御部と、
前記収容室内の温度を検知して前記制御部に入力する温度検知部と、
前記収容室内の湿度を検知して前記制御部に入力する湿度検知部とを含み、
前記収容室内の湿度が第1設定湿度よりも高い場合には、前記制御部は、前記収容室内の温度が第1設定温度である状態において所定風量よりも多い風量の空気を前記送風部によって前記収容室内に送り込む皺伸ばし処理を実行し、
前記収容室内の湿度が前記第1設定湿度以下になると、前記制御部は、前記皺伸ばし処理を終了して、
前記所定風量の空気を前記送風部によって前記収容室内に送り込みながら前記加熱部によって前記収容室内の温度を前記第1設定温度よりも高い第2設定温度にする本乾燥処理を実行し、
前記収容室内の湿度が前記第1設定湿度よりも低い第2設定湿度以下になると、前記制御部は、前記本乾燥処理を終了する、衣類乾燥機。
【請求項3】
前記制御部は、前記皺伸ばし処理の開始後に第1上限時間が経過すると、前記収容室内の湿度が前記第1設定湿度以下でなくても、前記皺伸ばし処理を終了して前記本乾燥処理を実行し、
前記制御部は、前記本乾燥処理の開始後に第2上限時間が経過すると、前記収容室内の湿度が前記第2設定湿度以下でなくても、前記本乾燥処理を終了する、請求項2に記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、住宅内の洗面脱衣室の天井面に取り付けられる衣類乾燥機が開示される。衣類乾燥機は、洗面脱衣室内に送風する送風手段と、洗面脱衣室内においてハンガーに掛けられた衣類の重量を検知する重量検知手段とを含む。衣類乾燥機の乾燥運転が開始されると、洗面脱衣室内の衣類に向けて送風手段によって送風される。乾燥運転において所定時間の経過前後に重量検知手段が検知した衣類の重量の変化率が所定値を下回ると、衣類が乾燥したものとして乾燥運転が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
皴が存在する衣類を乾燥させる場合があるが、特許文献1に記載の衣類乾燥機のように洗面脱衣室内の衣類に一定風量で送風するような単純な運転条件では、衣類を乾燥させることに加えて皺を伸ばすことは困難である。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、衣類を乾燥させることに加えて皺を伸ばすこともできる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、衣類を収容する収容室と、前記収容室内に空気を送り込む送風部と、前記収容室内に送り込まれる空気を加熱する加熱部と、前記送風部および前記加熱部を制御する制御部と、前記収容室内の温度を検知して前記制御部に入力する温度検知部とを含み、前記制御部が、前記収容室内の温度が第1設定温度である状態において所定風量よりも多い風量の空気を前記送風部によって前記収容室内に送り込む皺伸ばし処理を実行してから、前記加熱部によって前記収容室内の温度を前記第1設定温度よりも高い第2設定温度にする本乾燥処理を実行する、衣類乾燥機である。
【0007】
また、本発明は、衣類を収容する収容室と、前記収容室内に空気を送り込む送風部と、前記収容室内に送り込まれる空気を加熱する加熱部と、前記送風部および前記加熱部を制御する制御部と、前記収容室内の温度を検知して前記制御部に入力する温度検知部と、前記収容室内の湿度を検知して前記制御部に入力する湿度検知部とを含み、前記収容室内の湿度が第1設定湿度よりも高い場合には、前記制御部が、前記収容室内の温度が第1設定温度である状態において所定風量よりも多い風量の空気を前記送風部によって前記収容室内に送り込む皺伸ばし処理を実行し、前記収容室内の湿度が前記第1設定湿度以下になると、前記制御部が、前記皺伸ばし処理を終了して、前記加熱部によって前記収容室内の温度を前記第1設定温度よりも高い第2設定温度にする本乾燥処理を実行し、前記収容室内の湿度が前記第1設定湿度よりも低い第2設定湿度以下になると、前記制御部が、前記本乾燥処理を終了する、衣類乾燥機である。
【0008】
また、本発明は、前記制御部が、前記皺伸ばし処理の開始後に第1上限時間が経過すると、前記収容室内の湿度が前記第1設定湿度以下でなくても、前記皺伸ばし処理を終了して前記本乾燥処理を実行し、前記制御部が、前記本乾燥処理の開始後に第2上限時間が経過すると、前記収容室内の湿度が前記第2設定湿度以下でなくても、前記本乾燥処理を終了することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、衣類乾燥機では、収容室に収容された衣類を乾燥させるために、送風部が収容室に空気を送り込み、加熱部が、この空気を加熱する。衣類乾燥機の乾燥運転では、最初の皺伸ばし処理により、収容室内の温度が第1設定温度である状態において、多量の空気が、比較的湿って皴を伸ばしやすい状態にある衣類に浴びせられるので、衣類に含まれる水分を利用して衣類の皺を伸ばすことができる。そして、皺伸ばし処理後の本乾燥処理では、収容室内の温度が第1設定温度よりも高い第2設定温度になるので、皺がなくなった衣類を早く乾燥させることができる。このような皺伸ばし処理および本乾燥処理の組み合わせによって、衣類を乾燥させることに加えて皺を伸ばすこともできる。
【0010】
また、本発明によれば、衣類乾燥機では、収容室に収容された衣類を乾燥させるために、送風部が収容室に空気を送り込み、加熱部が、この空気を加熱する。衣類乾燥機の乾燥運転では、収容室内の湿度が第1設定湿度よりも高い場合、つまり収容室内の衣類が比較的湿った状態にある場合には、皺伸ばし処理により、収容室内の温度が第1設定温度である状態において、多量の空気が、比較的湿って皴を伸ばしやすい状態にある衣類に浴びせられる。これにより、衣類に含まれる水分を利用して衣類の皺を伸ばすことができる。そして、収容室内の湿度が第1設定湿度以下になると、皺伸ばし処理が終了して本乾燥処理が開始される。本乾燥処理では、収容室内の温度が第1設定温度よりも高い第2設定温度になるので、皺がなくなった衣類を早く乾燥させることができる。衣類の乾燥に応じて収容室内の湿度が第1設定温度よりも低い第2設定湿度以下になると、本乾燥処理が終了する。このような皺伸ばし処理および本乾燥処理の組み合わせによって、衣類を乾燥させることに加えて皺を伸ばすこともできる。
【0011】
また、本発明によれば、皺伸ばし処理の開始後に第1上限時間が経過すると、収容室内の湿度が第1設定湿度以下でなくても、皺伸ばし処理が終了して本乾燥処理が実行される。そして、本乾燥処理の開始後に第2上限時間が経過すると、収容室内の湿度が第2設定湿度以下でなくても、本乾燥処理が終了する。そのため、例えば衣類の脱水が不十分な状態で乾燥運転が開始された場合には、皺伸ばし処理および本乾燥処理を適宜終了させることによって、乾燥運転が無駄に長引くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係る衣類乾燥機の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、衣類乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図3】
図3は、衣類乾燥機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、衣類乾燥機で行われる乾燥運転を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、乾燥運転中における衣類乾燥機の各パラメータの経時変化を示すグラフである。
【
図6A】
図6Aは、変形例に係る乾燥運転を示すフローチャートである。
【
図6B】
図6Bは、変形例に係る乾燥運転を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る衣類乾燥機1の模式的な斜視図である。
図1における左右方向を衣類乾燥機1の左右方向Xといい、
図1の紙面に略直交する方向を衣類乾燥機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を衣類乾燥機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、
図1における左側を左側X1といい、
図1における右側を右側X2という。前後方向Yのうち、
図1の紙面における手前側を前側Y1といい、
図1の紙面における奥側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。
図2は、衣類乾燥機1の模式的な縦断面右側面図である。
【0014】
この実施形態に係る衣類乾燥機1は、洗濯乾燥機とは異なり、衣類の乾燥運転だけを実行するクローゼット型の専用機であり、例えば洗濯機の横に並んで配置される。
図1および
図2を参照して、衣類乾燥機1は、その外郭をなす筐体2と、筐体2内で衣類Lを支持する支持部3と、筐体2内に空気の流れを発生させる送風部4と、筐体2内の空気を加熱する加熱部5とを含む。なお、この実施形態では、乾燥対象の衣類Lとしてシャツを想定するが、もちろんシャツ以外の衣類が乾燥対象であってもよい。
【0015】
筐体2は、例えば縦長のボックス状に形成される。筐体2は、前壁2Aと、左右方向Xにおける前壁2Aの両端から後側Y2へそれぞれ延びる左壁2Bおよび右壁2Cと、左壁2Bおよび右壁2Cの後端間に架設された後壁2Dとを有する。筐体2は、前壁2A、左壁2B、右壁2Cおよび後壁2Dのそれぞれの上端に接続された天壁2Eと、前壁2A、左壁2B、右壁2Cおよび後壁2Dのそれぞれの下端に接続された底壁2Fとを有する。前壁2Aは、この実施形態では上側Z1へ向かうにつれて後退するように傾斜して延びるが、垂直に延びてもよい。左壁2B、右壁2Cおよび後壁2Dのそれぞれは、垂直に延びる。天壁2Eおよび底壁2Fは、水平に延びる。
【0016】
筐体2は、筐体2内において底壁2Fの真上に配置されて底壁2Fと平行に延びる横板2Gと、筐体2内において後壁2Dの前側Y1に配置されて後壁2Dと平行に延びる縦板2Hとをさらに有する。横板2Gの前端は、前壁2Aの下部に接続される。縦板2Hの下端は、横板2Gの後端に接続され、縦板2Hの上端は、天壁2Eの後部に接続される。
【0017】
横板2Gおよび縦板2Hにより、筐体2の内部空間は、衣類Lを収容する収容室2Lと、収容室2L内の空気を取り出して収容室2L内に戻すことによって循環させる循環路2Mとに仕切られる。収容室2Lは、縦長直方体状の空間であり、左壁2Bおよび右壁2Cによって左右方向Xから塞がれ、前壁2Aおよび縦板2Hによって前後方向Yから塞がれ、天壁2Eおよび横板2Gによって上下方向Zから塞がれる。前壁2Aには、そのほぼ全域を占める縦長長方形状の出入口2AAが形成される(
図1参照)。前壁2Aには、出入口2AAを開閉する扉6がヒンジ7を介して連結される。扉6の少なくとも一部は、ガラスなどで構成されることによって透明または半透明であるので、使用者は、閉じた扉6越しに収容室2L内を目視できる。
【0018】
循環路2Mは、右側面視において逆L字状の空間であって、左壁2Bおよび右壁2Cによって左右方向Xから塞がれ、縦板2Hおよび後壁2Dによって前後方向Yから塞がれ、天壁2E、底壁2Fおよび横板2Gによって上下方向Zから塞がれる。循環路2Mにおいて底壁2Fおよび横板2Gによって挟まれて前後方向Yに広がる領域を横領域2MAという。循環路2Mにおいて縦板2Hおよび後壁2Dによって挟まれて上下方向Zに広がる領域を縦領域2MBという。
【0019】
横領域2MAは、収容室2Lの下側Z2に位置し、縦領域2MBは、収容室2Lの後側Y2に位置する。横領域2MAの後端と縦領域2MBの下端とがつながった状態にある。横板2Gの例えば途中部には、収容室2Lと横領域2MAとを連通させる吸込口2GAが形成される。縦板2Hの上端部には、収容室2Lと縦領域2MBとを連通させる吹出口2HAが形成される。吹出口2HAは、複数設けられてもよく、この実施形態では、4つの吹出口2HAが左右方向Xに等間隔で並んで設けられる(
図1参照)。
【0020】
支持部3は、左壁2Bおよび右壁2Cのそれぞれの上部に設けられた中心部3Aと、各中心部3Aから上側Z1へ延びるアーム部3Bと、各アーム部3Bの上端間に架設されて左右方向Xに直線状に延びる円柱状の引っ掛け部3Cとを有する。各中心部3Aは、左壁2Bまたは右壁2Cによって左右方向Xの横軸まわりに回動可能に支持される。これにより、支持部3の全体が、中心部3Aまわりに回動可能である。
図1および
図2に示すようにアーム部3Bが中心部3Aから垂直に上側Z1へ延びたときの支持部3の位置を収容位置という。使用者は、扉6を開いた状態において引っ掛け部3Cを掴んで前側Y1へ引き出すことによって、支持部3を収容位置から引出位置(図示せず)まで回動させることができる。
【0021】
支持部3が引出位置にあるときには、引っ掛け部3Cが使用者に近くなるので、使用者は、衣類Lが掛かったハンガーHのフックFを引っ掛け部3Cに容易に引っ掛けたり、フックFを引っ掛け部3Cから外したりすることができる。使用者は、引っ掛け部3Cを掴んで後側Y2へ押し込むことによって、支持部3を収容位置まで回動させることができる。支持部3が収容位置にあるとき、ハンガーHを介して引っ掛け部3Cに引っ掛かった衣類Lは、
図1および
図2に示すように引っ掛け部3Cから吊り下がって左右方向Xのどちらかを向いた状態で収容室2L内に収容される。収容室2L内に一度に収容できる衣類の数は、任意に設定でき、この実施形態では、最大で5着の衣類Lが左右方向Xに並んだ状態で収容室2L内に収容できる。これにより、衣類乾燥機1では、複数の衣類Lを一度に乾燥させることができる。
【0022】
送風部4として、回転羽根(図示せず)を内蔵した公知の電動ブロアファンを用いることができる。回転羽根の回転数を、送風部4の回転数という。送風部4は、第1送風部4Aと第2送風部4Bとを含む。第1送風部4Aは、第2送風部4Bよりも重いので、循環路2Mにおいて下側Z2の横領域2MAに配置される。第2送風部4Bは、比較的軽いので、循環路2Mの縦領域2MBの上端部において各吹出口2HAに1つずつ設けられる。そのため、この実施形態では、4つの第2送風部4Bが存在する。これらの送風部4が作動すると、
図2の太い破線矢印で示すように、収容室2L内の空気が、吸込口2GAから横領域2MAに取り込まれて後側Y2へ流れた後に、縦領域2MB内で上昇し、各吹出口2HAから前側Y1へ吹き下ろすように収容室2L内に送り込まれる。筐体2内の空気は、このように収容室2Lと循環路2Mとを順に流れることによって循環する。循環する空気の流れ方向において、横領域2MAは、縦領域2MBよりも上流側に位置する。
【0023】
加熱部5として、電熱器などの公知のヒータを用いることができる。加熱部5は、第1送風部4Aと同様に重量物なので、循環路2Mにおいて下側Z2の横領域2MAにおける任意の位置、例えば空気の流れ方向における第1送風部4Aの下流側に配置される。加熱部5が作動すると高温になるので、循環路2M内を流れて収容室2Lに送り込まれる空気は、加熱部5の周囲を通過する際に加熱されて熱風になる。循環路2M内の熱風が吹出口2HAから収容室2L内に送り込まれて収容室2L内の衣類に浴びせられることによって、収容室2L内の衣類が乾燥する。
【0024】
図3は、衣類乾燥機1の電気的構成を示すブロック図である。衣類乾燥機1は、衣類乾燥機1の動作を制御する制御部10と、使用者によって操作されたり使用者向けの情報を報知したりする表示操作部11と、収容室2L内の温度を検知する温度検知部12とをさらに含む。制御部10は、例えば、CPU13と、ROMやRAMなどのメモリ14と、計時用のタイマ15とを含むマイコンとして構成され、筐体2内に内蔵される。表示操作部11は、スイッチや液晶パネルやブザーなどで構成され、筐体2の前壁2Aや扉6に設けられる。温度検知部12として、公知の温度センサを使用できる。温度検知部12は、
図2では筐体2内において天壁2Eに固定されるが、循環路2M内における吹出口2HA寄りの領域に配置されてもよい。
【0025】
送風部4、加熱部5、表示操作部11および温度検知部12のそれぞれは、制御部10に対して電気的に接続される。制御部10は、送風部4を作動させることによって風を発生させ、空気を収容室2Lと循環路2Mとの間で循環させる。制御部10は、加熱部5を作動させることによって、収容室2Lと循環路2Mとの間で循環する空気を加熱して熱風にする。使用者が表示操作部11を操作すると、制御部10は、その操作を受け付ける。制御部10は、表示操作部11の表示やブザーを制御する。温度検知部12が検知した収容室2L内の温度の情報は、リアルタイムで制御部10に入力される。
【0026】
図4Aおよび
図4Bは、衣類乾燥機1で行われる乾燥運転を示すフローチャートである。
図5は、乾燥運転中における衣類乾燥機1の各種パラメータの経時変化を示すグラフである。
図5のグラフでは、横軸が、乾燥運転の開始からの経過時間を示し、左の縦軸が、収容室2L内の温度および湿度を示し、右の縦軸が、各送風部4の回転数を示す。収容室2L内の温度を庫内温度といい、収容室2L内の湿度を庫内湿度という。経過時間の単位は、分であり、送風部4の回転数の単位は、rpmであり、庫内温度の単位は、℃であり、庫内湿度の単位は、%である。なお、この実施形態における湿度は、相対湿度である。以下では、
図4A、
図4Bおよび
図5を参照しながら乾燥運転について説明する。
【0027】
使用者が表示操作部11を操作することによって乾燥運転の実行を指示すると、制御部10は、主に送風部4および加熱部5を制御することによって乾燥運転を開始する。乾燥運転は、衣類Lの皺を伸ばしてなくす前半の皺伸ばし処理と、衣類Lを乾燥させる後半の本乾燥処理とを含む。
【0028】
乾燥運転の開始に伴い、制御部10は、皺伸ばし処理の開始から終了までの時間を示す第1運転時間t1と、皺伸ばし処理中における各送風部4の回転数の目標値である第1回転数R1と、皺伸ばし処理中における庫内温度の目標値である第1設定温度T1とを決定する(ステップS1)。第1運転時間t1、第1回転数R1および第1設定温度T1は、収容室2Lに収容された衣類Lの種類や数に応じて決定される。第1運転時間t1、第1回転数R1および第1設定温度T1は、事前に求められてメモリ14に記憶されてもよく、その場合、制御部10は、ステップS1において、これらの値を、演算によって決定するのでなく、メモリ14から取得する。
【0029】
第1運転時間t1は、例えば20分である。第1回転数R1は、例えば7000rpmと比較的高い。第1設定温度T1には、範囲があり、第1設定温度T1の上限値は、例えば45℃であり、第1設定温度T1の下限値は、例えば40℃である。
【0030】
次に、制御部10は、各送風部4を作動させて、各送風部4の回転数が第1回転数R1になるように制御する(ステップS2)。これにより、筐体2内の空気が収容室2Lと循環路2Mとの間で循環する(
図2の太い破線矢印参照)。前述したように第1回転数R1が比較的高いので、風量が所定風量よりも多くて勢いよく流れる空気が循環路2Mから収容室2L内の衣類Lに浴びせられることによって、衣類Lの皺が伸ばされていく。特に、衣類Lよりも高い位置にある吹出口2HAから吹き出された熱風が衣類Lに上側Z1から浴びせられることにより、熱風が衣類Lの表面において上側Z1の襟首から下側Z2の袖口へ向けて流れるので、衣類Lを良好に伸ばすことができる(
図2参照)。このときの衣類Lは、静止してもよいし、前側Y1へなびいてもよい。
【0031】
このように送風部4が作動した状態で、制御部10は、庫内温度が第1設定温度T1の上限値以下であるか否かを確認する(ステップS3)。庫内温度が第1設定温度T1の上限値以下であれば(ステップS3でYES)、制御部10は、加熱部5を作動させて筐体2内の空気を加熱する(ステップS4)。一方、加熱部5の作動中において庫内温度が第1設定温度T1の上限値より高ければ(ステップS3でNO)、制御部10は、庫内温度を下げるために加熱部5を停止させて(ステップS5)、庫内温度が第1設定温度T1の下限値以下であるか否かを確認する(ステップS6)。庫内温度が第1設定温度T1の下限値以下であれば(ステップS6でYES)、庫内温度が下がりすぎたので、制御部10は、加熱部5を作動させて、筐体2内の空気を加熱する(ステップS4)。
【0032】
加熱部5の作動(ステップS4)の後において、第1運転時間t1が経過するまでの間は(ステップS7でNO)、制御部10は、ステップS3以降の処理を繰り返す。また、加熱部5が停止中であるものの庫内温度が第1設定温度T1の上限値と下限値との間にある場合にも(ステップS6でNO)、第1運転時間t1が経過するまでの間は(ステップS7でNO)、制御部10は、ステップS3以降の処理を繰り返す。これにより、皺伸ばし処理中では、各送風部4が第1回転数R1で高速作動する状態において、庫内温度が第1設定温度T1の上限値と下限値との間で推移し、庫内湿度が徐々に低下する(
図5参照)。
【0033】
第1運転時間t1が経過すると(ステップS7でYES)、制御部10は、皺伸ばし処理を終了して(ステップS8)、本乾燥処理を開始する。制御部10は、皺伸ばし処理の終了に応じて、送風部4および加熱部5を一旦停止させてもよい。
【0034】
本乾燥処理の開始に伴い、制御部10は、乾燥運転の開始から終了までの時間を示す第2運転時間t2と、本乾燥処理中における各送風部4の回転数の目標値である第2回転数R2と、本乾燥処理中における庫内温度の目標値である第2設定温度T2とを決定する(ステップS9)。第2運転時間t2、第2回転数R2および第2設定温度T2は、収容室2Lに収容された衣類Lの種類や数に応じて決定される。第2運転時間t2、第2回転数R2および第2設定温度T2は、事前に求められてメモリ14に記憶されてもよく、その場合、制御部10は、ステップS9において、これらの値を、演算によって決定するのでなく、メモリ14から取得する。
【0035】
第2運転時間t2は、例えば40分である。第2運転時間t2と第1運転時間t1との差は、本乾燥処理の開始から終了までの時間と同じである。この差を第2運転時間t2とみなしてもよい。第2回転数R2は、第1回転数R1よりも低く、例えば5000rpmである。第2設定温度T2は、第1設定温度T1よりも高い。第2設定温度T2には、範囲があり、第2設定温度T2の上限値は、例えば65℃であり、第2設定温度T2の下限値は、例えば60℃である。
【0036】
次に、制御部10は、各送風部4を作動させて、各送風部4の回転数が第2回転数R2になるように制御する(ステップS10)。これにより、筐体2内の空気が収容室2Lと循環路2Mとの間で循環する。なお、各送風部4は、皴伸ばし処理から引き続き作動してもよく、その場合、各送風部4では、ステップS10において回転数が第2回転数R2まで低下し、その後も作動が継続される。第2回転数R2は比較的低いので、各送風部4を作動させるための消費電力を少なく抑えることができる。ちなみに、ある程度乾いた衣類Lの乾燥速度は、主に庫内温度の影響を受けるので、各送風部4の回転数つまり風量が小さくても構わない。
【0037】
このように送風部4が作動した状態で、制御部10は、庫内温度が第2設定温度T2の上限値以下であるか否かを確認する(ステップS11)。庫内温度が第2設定温度T2の上限値以下であれば(ステップS11でYES)、制御部10は、加熱部5を作動させて筐体2内の空気を加熱する(ステップS12)。一方、加熱部5の作動中において庫内温度が第2設定温度T2の上限値より高ければ(ステップS11でNO)、制御部10は、庫内温度を下げるために加熱部5を停止させて(ステップS13)、庫内温度が第2設定温度T2の下限値以下であるか否かを確認する(ステップS14)。庫内温度が第2設定温度T2の下限値以下であれば(ステップS14でYES)、庫内温度が下がりすぎたので、制御部10は、加熱部5を作動させて、筐体2内の空気を加熱する(ステップS12)。
【0038】
加熱部5の作動(ステップS12)の後において、第2運転時間t2が経過するまでの間は(ステップS15でNO)、制御部10は、ステップS11以降の処理を繰り返す。また、加熱部5が停止中であるものの庫内温度が第2設定温度T2の上限値と下限値との間にある場合にも(ステップS14でNO)、第2運転時間t2が経過するまでの間は(ステップS15でNO)、制御部10は、ステップS11以降の処理を繰り返す。これにより、本乾燥処理中では、各送風部4が第2回転数R2で低速作動する状態において、庫内温度が第2設定温度T2の上限値と下限値との間で推移し、庫内湿度がさらに低下していく(
図5参照)。
【0039】
第2運転時間t2が経過すると(ステップS15でYES)、制御部10は、送風部4および加熱部5を停止させることによって本乾燥処理を終了して(ステップS16)、乾燥運転全体を終了する。
【0040】
以上のように、制御部10は、乾燥運転において、皺伸ばし処理(ステップS1~S8)を実行してから、本乾燥処理(ステップS9~S16)を実行する。制御部10は、皺伸ばし処理として、収容室2L内の温度が第1設定温度T1である状態において所定風量よりも多い風量の空気を送風部4によって収容室2L内に送り込む。制御部10は、本乾燥処理として、加熱部5によって収容室2L内の温度を第1設定温度T1よりも高い第2設定温度T2にする。
【0041】
そのため、乾燥運転では、最初の皺伸ばし処理により、収容室2L内の温度が第1設定温度T1である低温状態において、多量の空気が、比較的湿って皴を伸ばしやすい状態にある衣類Lに浴びせられるので、衣類Lに含まれる水分を利用して衣類Lの皺を伸ばすことができる。そして、皺伸ばし処理後の本乾燥処理では、収容室2L内の温度が第1設定温度T1よりも高い第2設定温度T2になるので、皺がなくなった衣類Lを高温環境下で早く乾燥させることができる。このような皺伸ばし処理および本乾燥処理の組み合わせによって、衣類Lを乾燥させることに加えて皺を伸ばすこともできる。
【0042】
ちなみに、衣類Lがほぼ完全に乾燥してしまうと、この衣類Lに残った皴は、一旦湿らせない限り、伸ばすことが難しい。本実施形態では、衣類Lがある程度湿った状態において皴伸ばし処理を行うことにより、衣類L自体に含まれる水分を利用して衣類Lから皺をとって衣類Lを良好に仕上げることができる。そのためには、皴伸ばし処理では、衣類Lの乾燥が急速に進行しない状態で、湿った衣類に強風を大量に浴びせられるようにする必要がある。そこで、皴伸ばし処理における第1設定温度T1は、衣類Lの乾燥速度が本乾燥処理での乾燥速度よりも低くなる程度の低温度に設定され、前述した所定風量よりも多い風量は、湿った衣類Lの皴を伸ばせる程度の値に設定される。また、皴を伸ばすために衣類Lを湿らせるための加湿装置を衣類乾燥機1に備えずに済むので、低コスト化を図れる。
【0043】
次に、
図6Aおよび
図6Bに示すフローチャートを参照して、変形例に係る乾燥運転について説明する。変形例に係る衣類乾燥機1は、収容室2L内の湿度つまり庫内湿度を検知して制御部10に入力する湿度検知部16をさらに含む(
図3参照)。湿度検知部16として、公知の湿度センサを使用できる。
【0044】
変形例に係る乾燥運転の開始に伴い、制御部10は、皺伸ばし処理の開始から終了までの時間の上限値を示す第1上限時間Max1と、皺伸ばし処理中における各送風部4の回転数の目標値である第1回転数R1と、皺伸ばし処理中における庫内温度の目標値である第1設定温度T1と、皺伸ばし処理中における庫内湿度の目標値である第1設定湿度W1とを決定する(ステップS21)。第1上限時間Max1、第1回転数R1、第1設定温度T1および第1設定湿度W1は、収容室2Lに収容された衣類Lの種類や数に応じて決定される。第1上限時間Max1、第1回転数R1、第1設定温度T1および第1設定湿度W1は、事前に求められてメモリ14に記憶されてもよく、その場合、制御部10は、ステップS21において、これらの値を、演算によって決定するのでなく、メモリ14から取得する。
【0045】
第1上限時間Max1は、例えば30分であって、前述した第1運転時間t1よりも長い。第1回転数R1は、例えば7000rpmと比較的高い。第1設定温度T1には、範囲があり、第1設定温度T1の上限値は、例えば45℃であり、第1設定温度T1の下限値は、例えば40℃である。第1設定湿度W1は、例えば50%である。
【0046】
次に、制御部10は、庫内湿度が第1設定湿度W1以下であるか否かを確認する(ステップS22)。乾燥運転の開始時には、衣類Lが湿った状態にあるので、庫内湿度が第1設定湿度W1より高い。この場合には(ステップS22でNO)、制御部10は、各送風部4を作動させて、各送風部4の回転数が第1回転数R1になるように制御する(ステップS23)。これにより、筐体2内の空気が収容室2Lと循環路2Mとの間で循環する。前述したように第1回転数R1が比較的高いので、風量が所定風量よりも多くて勢いよく流れる空気が循環路2Mから収容室2L内の衣類Lに浴びせられることによって、衣類Lの皺が伸ばされていく。
【0047】
このように送風部4が作動した状態で、制御部10は、庫内温度が第1設定温度T1の上限値以下であるか否かを確認する(ステップS24)。庫内温度が第1設定温度T1の上限値以下であれば(ステップS24でYES)、制御部10は、加熱部5を作動させて筐体2内の空気を加熱する(ステップS25)。一方、加熱部5の作動中において庫内温度が第1設定温度T1の上限値より高ければ(ステップS24でNO)、制御部10は、庫内温度を下げるために加熱部5を停止させて(ステップS26)、庫内温度が第1設定温度T1の下限値以下であるか否かを確認する(ステップS27)。庫内温度が第1設定温度T1の下限値以下であれば(ステップS27でYES)、庫内温度が下がりすぎたので、制御部10は、加熱部5を作動させて、筐体2内の空気を加熱する(ステップS25)。
【0048】
制御部10は、加熱部5を作動させた場合(ステップS25)や、加熱部25を停止させた場合(ステップS26)において、庫内湿度が第1設定湿度W1以下であるか否かを確認する(ステップS28)。衣類Lが乾いていくことによって庫内湿度が第1設定湿度W1以下になると(ステップS28でYES)、制御部10は、皺伸ばし処理を終了して(ステップS29)、本乾燥処理を開始する。制御部10は、皺伸ばし処理の終了に応じて、送風部4および加熱部5を一旦停止させてもよい。
【0049】
庫内湿度が第1設定湿度W1よりも高い場合(ステップS28でNO)、第1上限時間Max1が経過するまでの間は(ステップS30でNO)、制御部10は、ステップS24以降の処理を繰り返す。一方、庫内湿度が第1設定湿度W1よりも高いのに(ステップS28でNO)、第1上限時間Max1が経過すると(ステップS30でYES)、制御部10は、皺伸ばし処理を強制終了して(ステップS29)、本乾燥処理を開始する。
【0050】
本乾燥処理の開始に伴い、制御部10は、乾燥運転の開始から終了までの時間の上限値を示す第2上限時間Max2と、本乾燥処理中における各送風部4の回転数の目標値である第2回転数R2と、本乾燥処理中における庫内温度の目標値である第2設定温度T2と、本乾燥処理中における庫内湿度の目標値である第2設定湿度W2とを決定する(ステップS31)。第2上限時間Max2、第2回転数R2、第2設定温度T2および第2設定湿度W2は、収容室2Lに収容された衣類Lの種類や数に応じて決定される。第2上限時間Max2、第2回転数R2、第2設定温度T2および第2設定湿度W2は、事前に求められてメモリ14に記憶されてもよく、その場合、制御部10は、ステップS31において、これらの値を、演算によって決定するのでなく、メモリ14から取得する。
【0051】
第2上限時間Max2は、例えば60分であって、前述した第2運転時間t2よりも長い。第2上限時間Max2と第1上限時間Max1との差は、本乾燥処理の開始から終了までの時間の上限値を示す。この差を第2上限時間Max2とみなしてもよい。第2回転数R2は、第1回転数R1よりも低く、例えば5000rpmである。第2設定温度T2は、第1設定温度T1よりも高い。第2設定温度T2には、範囲があり、第2設定温度T2の上限値は、例えば65℃であり、第2設定温度T2の下限値は、例えば60℃である。第2設定湿度W2は、第1設定湿度W1よりも低く、例えば30%である。
【0052】
次に、制御部10は、庫内湿度が第2設定湿度W2以下であるか否かを確認する(ステップS32)。本乾燥処理の開始時には、衣類Lがまだ湿った状態にあるので、庫内湿度が第2設定湿度W2よりも高い。この場合には(ステップS32でNO)、制御部10は、各送風部4を作動させて、各送風部4の回転数が第2回転数R2になるように制御する(ステップS33)。これにより、筐体2内の空気が収容室2Lと循環路2Mとの間で循環する。なお、各送風部4は、皴伸ばし処理から引き続き作動してもよく、その場合、各送風部4では、ステップS33において回転数が第2回転数R2まで低下し、その後も作動が継続される。第2回転数R2は比較的低いので、各送風部4を作動させるための消費電力を少なく抑えることができる。
【0053】
このように送風部4が作動した状態で、制御部10は、庫内温度が第2設定温度T2の上限値以下であるか否かを確認する(ステップS34)。庫内温度が第2設定温度T2の上限値以下であれば(ステップS34でYES)、制御部10は、加熱部5を作動させて筐体2内の空気を加熱する(ステップS35)。一方、加熱部5の作動中において庫内温度が第2設定温度T2の上限値より高ければ(ステップS34でNO)、制御部10は、庫内温度を下げるために加熱部5を停止させて(ステップS36)、庫内温度が第2設定温度T2の下限値以下であるか否かを確認する(ステップS37)。庫内温度が第2設定温度T2の下限値以下であれば(ステップS37でYES)、庫内温度が下がりすぎたので、制御部10は、加熱部5を作動させて、筐体2内の空気を加熱する(ステップS35)。
【0054】
制御部10は、加熱部5を作動させた場合(ステップS35)や、加熱部5を停止させた場合(ステップS36)において、庫内湿度が第2定湿度以下であるか否かを確認する(ステップS38)。衣類Lが乾いていくことによって庫内湿度が第2設定湿度W2以下になると(ステップS38でYES)、制御部10は、送風部4および加熱部5を停止させて正常に本乾燥処理を終了して(ステップS39)、乾燥運転全体を終了する。
【0055】
庫内湿度が第2設定湿度W2よりも高い場合(ステップS38でNO)、第2上限時間Max2が経過するまでの間は(ステップS40でNO)、制御部10は、ステップS34以降の処理を繰り返す。一方、庫内湿度が第2設定湿度W2よりも高いのに(ステップS38でNO)、第2上限時間Max2が経過すると(ステップS40でYES)、制御部10は、衣類Lを乾燥できなかったこと表示操作部11などによってエラー報知して(ステップS41)、本乾燥処理を強制終了する(ステップS39)。
【0056】
以上のように、変形例に係る乾燥運転では、収容室2L内の湿度が第1設定湿度W1よりも高い場合には、制御部10は、皺伸ばし処理(ステップS21~S30)を実行する。制御部10は、皺伸ばし処理では、収容室2L内の温度が第1設定温度T1である状態において所定風量よりも多い風量の空気を送風部4によって収容室2L内に送り込む。そして、収容室2L内の湿度が第1設定湿度W1以下になると(ステップS28でYES)、制御部10は、皺伸ばし処理を終了して(ステップS29)、本乾燥処理を実行する。制御部10は、本乾燥処理では、加熱部5によって収容室2L内の温度を第1設定温度T1よりも高い第2設定温度T2にする。そして、収容室2L内の湿度が第1設定湿度W1よりも低い第2設定湿度W2以下になると(ステップS38でYES)、制御部10は、本乾燥処理を終了する(ステップS39)。
【0057】
そのため、乾燥運転に係る乾燥運転では、収容室2L内の湿度が第1設定湿度W1よりも高い場合、つまり収容室2L内の衣類Lが比較的湿った状態にある場合には、皺伸ばし処理により、収容室2L内の温度が第1設定温度T1以下である低温状態において、多量の空気が、比較的湿って皴を伸ばしやすい状態にある衣類Lに浴びせられる。これにより、衣類Lに含まれる水分を利用して衣類Lの皺を伸ばすことができる。そして、収容室2L内の湿度がある程度下がった状態で実行される本乾燥処理では、収容室2L内の温度が第1設定温度T1よりも高い第2設定温度T2になるので、皺がなくなった衣類Lを高温環境下で早く乾燥させることができる。このような皺伸ばし処理および本乾燥処理の組み合わせによって、衣類Lを乾燥させることに加えて皺を伸ばすこともできる。
【0058】
前述した実施形態(
図4Aおよび
図4B参照)に係る乾燥運転では、第1運転時間t1や第2運転時間t2に基いて皴伸ばし処理や本乾燥処理の終了タイミングを決定するのに対し、変形例に係る乾燥運転では、これらの設定時間の代わりに、湿度検知部16の検知した庫内湿度に基いて皴伸ばし処理や本乾燥処理の終了タイミングを決定する。そのため、変形例に係る乾燥運転と、前述した実施形態の乾燥運転とでは、終了タイミングを決定するためのパラメータが違うものの、本質は同じである。
【0059】
そのため、正常な乾燥運転であれば、第1運転時間t1が経過したときには(ステップS7でYES)、庫内湿度は第1設定湿度W1以下になる(ステップS28でYES)。また、第2運転時間t2が経過したときには(ステップS15でYES)、庫内湿度は第2設定湿度W2以下になる(ステップS38でYES)。よって、変形例に係る乾燥運転でも、庫内温度、庫内湿度および送風部4の回転数は、実際には、前述した実施形態の乾燥運転と同様に推移する(
図5参照)。
【0060】
そして、制御部10は、皺伸ばし処理の開始後に第1上限時間Max1が経過すると(ステップS30でYES)、収容室2L内の湿度が第1設定湿度W1以下でなくても、皺伸ばし処理を終了して本乾燥処理を実行する。そして、制御部10は、本乾燥処理の開始後に第2上限時間Max2が経過すると(ステップS40でYES)、収容室2L内の湿度が第2設定湿度W2以下でなくても、本乾燥処理を終了する。そのため、例えば衣類Lの脱水が不十分な状態で乾燥運転が開始された場合には、皺伸ばし処理および本乾燥処理を適宜終了させることによって、乾燥運転が無駄に長引くことを防止できる。
【0061】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、送風部4の数は任意に変更できる。また、複数の送風部4が存在する場合において、前述した第1回転数R1や第2回転数R2は、送風部4毎に異なる値であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 衣類乾燥機
2L 収容室
4 送風部
5 加熱部
10 制御部
12 温度検知部
16 湿度検知部
L 衣類
Max1 第1上限時間
Max2 第2上限時間
T1 第1設定時間
T2 第2設定時間
W1 第1設定湿度
W2 第2設定湿度