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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】ジグソーパズル
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/10 20060101AFI20231023BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A63F9/10 501A
A63F9/10 Z
A63H33/00 304B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019118915
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021003375
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-04-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】304037223
【氏名又は名称】株式会社ゲートウェイアーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勝久
(72)【発明者】
【氏名】吉田 久美子
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-167680(JP,A)
【文献】特開2013-5902(JP,A)
【文献】特開2012-249851(JP,A)
【文献】特開2000-126444(JP,A)
【文献】実開昭61-136790(JP,U)
【文献】実開平2-1188(JP,U)
【文献】登録実用新案第3120777(JP,U)
【文献】登録実用新案第3052288(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00- 9/20
9/26-11/00
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピースと、
前記複数のピースを配置するための台部と、
を備え、
前記複数のピースのうち少なくとも一部のピースは透明又は半透明であり、
前記台部の、前記少なくとも一部のピースが配置される位置に、前記複数のピースが前記台部に配置された状態で鑑賞に供される絵画、写真、文字、絵柄、図柄、又は模様が描かれ、
前記台部は、前記複数のピースが配置される凹部と、その周囲の枠部とを備え、
前記複数のピースのうちの一部の特殊ピースは、前記特殊ピース以外のピースが前記凹部に配置されたときに生じる前記特殊ピースが配置されるべき領域よりも大きい面積を有し、
前記特殊ピースは前記凹部の端部より中央寄りの領域に配置され
前記特殊ピース以外のピースは、そのピースが前記凹部に配置されるべき領域よりも小さい面積を有する
ジグソーパズル。
【請求項2】
複数のピースと、
前記複数のピースを配置するための台部と、
を備え、
前記複数のピースのうち少なくとも一部のピースは不透明であって表面が無地であり、
前記台部の、前記少なくとも一部のピースが配置される位置に、前記少なくとも一部のピースが前記台部に配置されていない状態で鑑賞に供される画像、文字、絵柄、図柄、又は模様が描かれ、
前記台部は、前記複数のピースが配置される凹部と、その周囲の枠部とを備え、
前記複数のピースのうちの一部の特殊ピースは、前記特殊ピース以外のピースが前記凹部に配置されたときに生じる前記特殊ピースが配置されるべき領域よりも大きい面積を有し、
前記特殊ピースは前記凹部の端部より中央寄りの領域に配置され
前記特殊ピース以外のピースは、そのピースが前記凹部に配置されるべき領域よりも小さい面積を有する
ジグソーパズル。
【請求項3】
複数のピースと、
前記複数のピースを配置するための台部と、
を備え、
前記複数のピースのうち少なくとも一部のピースは透明又は半透明であり、
前記台部の、前記少なくとも一部のピースが配置される位置に、前記複数のピースが前記台部に配置された状態で鑑賞に供される絵画、写真、文字、絵柄、図柄、又は模様が描かれ、
前記台部は、前記複数のピースが配置される凹部と、その周囲の枠部とを備え、
前記複数のピースのうちの一部の特殊ピースは、前記特殊ピース以外のピースが前記凹部に配置されたときに生じる前記特殊ピースが配置されるべき領域よりも大きい面積を有し、
前記特殊ピースは前記凹部の端部より中央寄りの領域に配置され、
前記特殊ピースを取り外すためのツールを備え
グソーパズル。
【請求項4】
複数のピースと、
前記複数のピースを配置するための台部と、
を備え、
前記複数のピースのうち少なくとも一部のピースは不透明であって表面が無地であり、
前記台部の、前記少なくとも一部のピースが配置される位置に、前記少なくとも一部のピースが前記台部に配置されていない状態で鑑賞に供される画像、文字、絵柄、図柄、又は模様が描かれ、
前記台部は、前記複数のピースが配置される凹部と、その周囲の枠部とを備え、
前記複数のピースのうちの一部の特殊ピースは、前記特殊ピース以外のピースが前記凹部に配置されたときに生じる前記特殊ピースが配置されるべき領域よりも大きい面積を有し、
前記特殊ピースは前記凹部の端部より中央寄りの領域に配置され、
前記特殊ピースを取り外すためのツールを備え
グソーパズル。
【請求項5】
前記ツールは、前記特殊ピースの表面を接着させるための吸盤又は粘着材を含む請求項3又は4に記載のジグソーパズル。
【請求項6】
前記特殊ピースが前記凹部に配置されることにより、前記凹部に配置された前記特殊ピース以外のピース同士の間の隙間が狭められる請求項1からのいずれかに記載のジグソーパズル。
【請求項7】
前記特殊ピースは、材質、触感、厚み、透明度、又は色が、前記特殊ピース以外のピースとは異なる請求項1からのいずれかに記載のジグソーパズル。
【請求項8】
前記特殊ピースは、動物、植物、人物、キャラクタ、若しくはロゴの形状、又は前記台部に描かれた絵画、写真、文字、絵柄、図柄、若しくは模様と関連する色若しくは形状を有する請求項1からのいずれかに記載のジグソーパズル。
【請求項9】
前記複数のピースの少なくとも一部の表面に、前記台部に描かれた絵画、写真、文字、絵柄、図柄、又は模様と関連する絵画、写真、文字、絵柄、図柄、又は模様が描かれた請求項1から8のいずれかに記載のジグソーパズル。
【請求項10】
前記凹部の表面が鉛直方向から傾斜した状態で前記台部を載置するための載置部を更に備える請求項1から9のいずれかに記載のジグソーパズル。
【請求項11】
前記台部に配置された前記複数のピースに光を照射する照射部を更に備える請求項1から10のいずれかに記載のジグソーパズル。
【請求項12】
前記複数のピースのうちの少なくとも一部の表面に凹凸又は付加物が設けられた請求項1から11のいずれかに記載のジグソーパズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て・分解が可能なジグソーパズルに関する。
【背景技術】
【0002】
一枚の絵柄を幾つかの小片に分解して、分解した小片を再び組み立てるジグソーパズルが知られている。本出願人は、例えば、特許文献1において、ジグソーパズルとその製造方法を開示している。特許文献1のジグソーパズルは、長方形の平板型の多数のピースからなり、一旦バラバラに分離したピースを、嵌め合わせてその絵柄を復元することにより、遊ぶように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-249851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、発想の転換を図り、斬新で芸術性に優れたジグソーパズルに想到した。
【0005】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、芸術性に優れたジグソーパズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のジグソーパズルは、複数のピースと、複数のピースを配置するための台部と、を備える。複数のピースのうち少なくとも一部のピースは透明又は半透明であり、台部の、少なくとも一部のピースが配置される位置に、複数のピースが台部に配置された状態で鑑賞に供される絵画、写真、文字、絵柄、図柄、又は模様が描かれる。
【0007】
本発明の別の態様もまた、ジグソーパズルである。このジグソーパズルは、複数のピースと、複数のピースを配置するための台部と、を備える。複数のピースのうち少なくとも一部のピースは不透明であって表面が無地であり、台部の、少なくとも一部のピースが配置される位置に、少なくとも一部のピースが台部に配置されていない状態で鑑賞に供される画像、文字、絵柄、図柄、又は模様が描かれる。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、芸術性に優れたジグソーパズルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態に係るジグソーパズルの平面図である。
図2】第1の実施の形態に係るジグソーパズルの台部と複数のピースとを別々に示す図である。
図3】第1の実施の形態に係るジグソーパズルで遊んでいる状態を示す図である。
図4】第2の実施の形態に係るジグソーパズルの平面図である。
図5】第2の実施の形態に係るジグソーパズルの台部と複数のピースとを別々に示す図である。
図6】第2の実施の形態に係るジグソーパズルで遊んでいる状態を示す図である。
図7】第3の実施の形態に係るジグソーパズルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図面を参照して実施の形態に係るジグソーパズル100の構成について説明する。図1は、第1の実施の形態に係るジグソーパズル100の平面図である。説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX軸方向、X軸方向に直交する水平な方向をY軸方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を定める。X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの正の方向は、各図における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。また、図1に示すように、水平面に設置したジグソーパズル100を上側(紙面に垂直な方向)から視る視点を平面視という。このような方向の表記はジグソーパズル100の使用姿勢を制限するものではなく、ジグソーパズル100は任意の姿勢で使用されうる。
【0013】
ジグソーパズル100は、透明又は半透明な材料により形成されたピース10を複数含む。図1の例では、多様な形状を有する複数のピース10が連結されている。以下、このように連結されたものを「組立体」という。ジグソーパズル100は、複数のピース10を連結して組立体80を組立てるパズルである。
【0014】
ジグソーパズル100は、複数のピース10を配置して組立体80を組立てるための台部20を備える。台部20は、複数のピース10を配置するための凹部22と、凹部22の周囲の枠部24とを備える。凹部22は、組立体80の外形と同様の形状を有し、組立体80の厚みと同程度の深さを有する。凹部22に全てのピース10を正しく配置すると、組立体80が完成する。凹部22は、組立体80の厚みよりも深く形成されてもよいし、組立体80の厚みよりも浅く形成されてもよい。図1の例では、正方形の枠部24の内側に、透明な平坦部26が設けられ、平坦部26の内側に凹部22が設けられる。別の例では、平坦部26は設けられなくてもよい。
【0015】
台部20の、ピース10が配置される位置には、絵画、写真、文字、絵柄、図柄、模様など(以下、「作品」と総称することもある)が描かれる。複数のピース10の少なくとも一部は透明又は半透明であるので、複数のピース10が凹部22から取り外されているときや、組立体80を組立てて遊んでいる間はもちろん、全てのピース10が凹部22に配置されて組立体80が完成された状態でも、台部20に描かれた作品を見て楽しむことができる。図1の例では、凹部22の周囲の平坦部26も透明又は半透明であるので、平坦部26の位置にも作品が描かれている。複数のピース10が凹部22に配置されたジグソーパズル100の完成状態において、台部20に描かれた作品は、透明又は半透明な組立体80及び平坦部26越しに鑑賞に供される。
【0016】
図2は、第1の実施の形態に係るジグソーパズル100の台部20と複数のピース10とを別々に示す。図2(a)は、ピース10が配置されていない状態の台部20を示す。台部20の凹部22及び平坦部26の位置に作品が描かれている。作品は、凹部22の表面に描かれてもよいし、透明又は半透明な材料により形成された凹部22の裏面に描かれてもよい。また、作品が描かれた紙又は樹脂のシートが、透明又は半透明な材料により形成された台部20の内部に封入されてもよい。このシートも、透明又は半透明な材料により形成されてもよい。
【0017】
図2(b)は、複数のピース10を示す。複数のピース10は、凹部22に配置されていないときには、通常バラバラに分離しているが、理解を容易にするために、組立てられた状態で図示している。複数のピース10には、特殊な形状を有する特殊ピース12と、表面に絵柄が描かれた絵柄ピース14とが含まれる。特殊ピース12及び絵柄ピース14については後述する。
【0018】
図3は、第1の実施の形態に係るジグソーパズル100で遊んでいる状態を示す。図3(a)は、複数のピース10が凹部22に配置された様子を示す。図3(b)は、未配置のピース10を示す。図3に示した例では、全てのピース10が透明な材料により形成されているので、凹部22にピース10を配置する間も台部20に描かれた作品の全体を鑑賞しながら遊ぶことができる。
【0019】
一般的なジグソーパズルにおいては、全てのピースの表面に絵柄などが描かれており、描かれた絵柄を頼りにしてピースを嵌め合わせる。しかし、ピースの表面に描かれた絵柄などがいったんバラバラに分離されることになるので、肖像画や芸術作品などがピースの表面に描かれたジグソーパズルが製造されることに当事者が抵抗感を持つ場合がありうる。そこで、本発明者は発想の転換を図り、ピースの表面ではなく台部20の方に作品を描くことに想到した。台部20に描かれた肖像画や芸術作品などは、ピースをバラバラにしても本来の姿のままに保たれる上、組立体80が完成した後には、単なる額縁とは全く異なる斬新な装飾が施された状態で鑑賞に供されることになる。すなわち、本実施の形態のジグソーパズル100は、台部20に描かれた肖像画や芸術作品などをベースとし、その上に配置された透明又は半透明なピース10を斬新な装飾とした、新しい形態の芸術作品として成立するので、鑑賞者に感動を与えることができるとともに、肖像画に描かれた人物や芸術作品の著作者などにも抵抗感どころか満足感を与えることができる。
【0020】
本実施の形態のジグソーパズル100によって、台部20に描かれた作品に付与される独特な芸術性は、透明なガラス板などを使用した額縁などとは全く異なるものである。一般的な額縁においては、芸術作品をそのままの姿で鑑賞に供することが重要視されるので、芸術作品を保護するためのカバーとして、切れ目のない無色透明なガラス板やアクリル板などが使用される。それに対して、本実施の形態のジグソーパズル100では、台部20に描かれた作品の上に配置された複数のピース10に当たる光の具合によって微妙に変化する反射光や、ピース10間の隙間に生じる影により形作られる模様などによって、作品の鑑賞に邪魔にならない程度の微妙な変化や面白みが加味されるので、作品が本来有している芸術性、美感、風情などがより一層引き立てられる。また、ジグソーパズル100が載置された場所、照明環境、天候、時間などによって予期できない光の効果が作品に付与されるので、いつまでも斬新で見飽きない芸術作品に昇華させることができる。
【0021】
ジグソーパズル100は、台部20に配置された複数のピース10に光を照射する照射部を更に備えてもよい。これにより、上述した光の効果が更に高められ、単に光を当てるだけでは得られないような美しい輝きを作品に与えることができる。
【0022】
ピース10は、アクリル樹脂などの合成樹脂、ガラス、セラミックスなど、透明又は半透明な任意の材料により形成されてもよい。ピース同士の当接面に安定した圧縮応力を生じさせるために、ピース10は柔軟性を有する素材で形成されることが望ましい。この素材は発泡樹脂であってもよい。この場合、発泡倍率を調整することにより、所望の密度および弾性率を得ることができる。ピース10は、例えば、アクリル樹脂の板材をそれぞれのピースの形状に切断することにより形成されてもよいし、アクリル樹脂の板材を型抜きすることにより形成されてもよいし、それぞれのピースの形状を有する型を用いてアクリル樹脂を成形することにより形成されてもよいし、その他の任意の技術を用いて形成されてもよい。ピース10は、無色透明であってもよいし、任意の色に着色されてもよい。例えば、台部20に描かれた作品に関連する色に着色されてもよい。着色されたピース10を台部20に配置することにより、ピース10が配置されていないときに鑑賞される本来の作品の色彩とは異なる色彩で作品を鑑賞することができる。
【0023】
複数のピース10のうちの少なくとも一部の表面に凹凸又は付加物が設けられてもよい。凹凸又は付加物は、台部20に描かれた作品に関連するものであってもよい。例えば、作品に描かれた人物、生物、風景、物などの形状に合わせた凹凸が設けられてもよい。また、作品に描かれた人物、生物、風景、物などの表面に存在する付加物が設けられてもよい。複数のピース10のうちの少なくとも一部の表面が、そのピース10の配置位置に描かれた物の表面の触感に合った触感を有するように構成されてもよい。
【0024】
このように、本実施の形態の技術によれば、ピース10の透き通った質感や、程良い柔軟性を有する触感と、台部20に描かれた作品の芸術性や美感との相乗効果により、見て、触って、遊べる、斬新なジグソーパズル100を提供することができる。
【0025】
完成したジグソーパズル100を鑑賞に供するためには、ジグソーパズル100を立てた状態で載置できるようにすることが望ましい。しかし、ジグソーパズル100を鉛直に立てて載置すると、ピース10が凹部22からこぼれ落ちる可能性がある。ジグソーパズル100を立てかけてもピース10が凹部22からこぼれ落ちないようにするために、ピース10間の隙間を狭くして組立体80が凹部22に強く嵌まり込むように設計すると、ピース10を凹部22に配置して遊んでいるときにも、配置済みのピース10の移動自由度が小さくなり、未配置の別のピース10を嵌め込みにくくなって遊びづらくなってしまう。
【0026】
このような問題を解決するために、本実施の形態のジグソーパズルにおいては、大部分のピース10を、そのピース10が配置されるべき領域よりもやや小さい面積を有するように構成するとともに、1個から数個の特殊ピース12を、その特殊ピース12以外のピース10が凹部22に配置されたときに生じる特殊ピース12が配置されるべき領域よりもやや大きい面積を有するように構成する。これにより、特殊ピース12が配置されるまでの間は、凹部22に配置されたピース10同士の間に適度な隙間が生じ、この隙間の分は配置済みのピース10をずらすことができるので、別のピース10を配置したり配置済みのピース10を取り外したりすることが容易になる。また、最後に、特殊ピース12が配置されるべき凹部22の領域に、その領域よりもやや大きい特殊ピース12を押し込んで配置することにより、先に凹部22に配置されていた特殊ピース12以外のピース10同士の間の隙間が狭められ、完成した組立体80が凹部22に嵌まり込んで容易にはこぼれ落ちないようにすることができる。
【0027】
特殊ピース12は凹部22の端部より中央寄りの領域に配置されるように構成されてもよい。これにより、特殊ピース12を押し込む際に、周囲のピース10をずらして特殊ピース12を配置するための領域を広げる余地を大きくすることができるので、特殊ピース12を押し込みやすくすることができる。
【0028】
特殊ピース12は、材質、触感、厚み、透明度、又は色が、特殊ピース12以外のピース10とは異なるように構成されてもよい。また、特殊ピース12は、動物、植物、人物、キャラクタ、若しくはロゴの形状、又は台部20の表面に描かれた絵画、写真、文字、絵柄、図柄、若しくは模様と関連する色若しくは形状を有してもよい。これにより、使用者が最後に配置すべき特殊ピース12を識別しやすいようにすることができる。図1~3に示した例では、特殊ピース12は、台部20に描かれた富士山に関連する茄子の形状を有している。特殊ピース12の形状は、何の形状であるのかを使用者により認識可能な形状であってもよく、特殊ピース12以外のピース10の形状は、何の形状であるのかが使用者により認識されないような形状であってもよい。
【0029】
完成された組立体80をバラバラにして凹部22から取り外す際には、まず特殊ピース12を取り外せばよい。ジグソーパズル100は、特殊ピース12を凹部22から取り外すためのツールを備えてもよい。このツールは、特殊ピース12の表面を接着させるための吸盤や粘着材などを備えてもよい。吸盤や粘着材などは、容易に着脱可能な程度の接着力を有しているのが望ましい。
【0030】
実施の形態に係るジグソーパズル100は、凹部22の表面が鉛直方向から傾斜した状態で台部20を載置するための載置部を更に備えてもよい。載置部は、凹部22の表面が鉛直方向から1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、15°、20°、25°、又は30°以上傾斜した状態で台部20を載置してもよい。載置部は、凹部22の表面が鉛直方向から45°、40°、35°、30°、25°、20°、15°、10°、又は5°未満傾斜した状態で台部20を載置してもよい。これにより、凹部22からピース10がこぼれ落ちるのを防ぎつつ、ジグソーパズル100を鑑賞に供することができる。
【0031】
複数のピース10の少なくとも一部の表面に、台部20に描かれた作品と関連する絵画、写真、文字、絵柄、図柄、又は模様が描かれてもよい。例えば、図1~3に示した例では、台部20に描かれた富士山に関連する鷹の絵が表面に描かれた絵柄ピース14が設けられる。これにより、台部20に描かれた作品に、絵柄ピース14の表面に描かれた絵画などを重畳させることができるので、作品に新たな芸術性や魅力を付与することができる。
【0032】
複数の種類の色にそれぞれ着色された複数の半透明なピースを設け、それらのピースを組み立てることによりステンドグラスのような絵柄や模様などが形成されるように構成してもよい。これにより、台部20に描かれた作品に、美しい装飾を施すことができるので、芸術性の優れたジグソーパズル100を実現することができる。
【0033】
[第2の実施の形態]
図4は、第2の実施の形態に係るジグソーパズルの平面図である。第1の実施の形態と異なる点について主に説明する。とくに明示しない点については、第1の実施の形態と同様である。
【0034】
第2の実施の形態のジグソーパズルにおいても、複数のピース10を配置するための台部20に絵画などの作品が描かれるが、第2の実施の形態においては、複数のピース10のうちの少なくとも一部が不透明であって表面が無地であるように構成される。したがって、図4に示すように、台部20に複数のピース10が配置されて組立体80が完成した状態では、少なくとも不透明なピース10が配置された位置に描かれた作品は視認できないように隠される。図4の例では、全てのピース10が不透明であるので、組立体80が完成した状態では、台部20に作品が描かれていることは分からない。
【0035】
図5は、第2の実施の形態に係るジグソーパズル100の台部20と複数のピース10とを別々に示す。図5(a)は、ピース10が配置されていない状態の台部20を示す。台部20の凹部22の位置に、不透明なピース10が台部20に配置されていない状態において鑑賞に供される絵画、写真、文字、絵柄、図柄、又は模様などの作品が描かれている。全てのピース10が台部20に配置された状態のジグソーパズル100を手にした使用者が、遊ぶためにピース10を台部20から取り外すと、ピース10により隠されていた作品が現れるので、驚きと感動を使用者に与えることができる。
【0036】
図5(b)は、複数のピース10を示す。これらのピース10及び特殊ピース12は、不透明な材料により形成され、表面は無地である。ピース10及び特殊ピース12は、任意の色に着色されてもよい。例えば、台部20に描かれた作品に関連する色に着色されてもよい。これにより、ピース10により隠されている台部20に描かれた作品の世界観をピース10の色により示唆することができる。
【0037】
図6は、第2の実施の形態に係るジグソーパズル100で遊んでいる状態を示す。図6(a)は、複数のピース10が凹部22に配置された様子を示す。図6(b)は、未配置のピース10を示す。図6に示した例では、全てのピース10が不透明な材料により形成されているので、凹部22にピース10を配置することによって台部20に描かれた作品を少しずつ隠していくという斬新なジグソーパズル100の遊び方を提供することができる。作品の全体を鑑賞するだけでなく、不透明なピース10を台部20に配置していくことによっていろいろな見え方に変化する作品を鑑賞することができるので、新しい発見を繰り返しながら、何度も見て、触って、遊べるジグソーパズル100を実現することができる。
【0038】
[第3の実施の形態]
図7は、第3の実施の形態に係るジグソーパズル100の平面図である。第3の実施の形態に係るジグソーパズル100は、第1の実施の形態と第2の実施の形態の技術を組み合わせたものである。第1及び第2の実施の形態と異なる点について主に説明する。とくに明示しない点については、第1又は第2の実施の形態と同様である。
【0039】
第3の実施の形態に係るジグソーパズル100のピース10は、不透明なピース10aと、透明又は半透明なピース10bを含む。図7に示すように、台部20に複数のピース10が配置されて組立体80が完成した状態では、透明又は半透明なピース10bが配置された位置に描かれた部分は鑑賞に供され、不透明なピース10aが配置された位置に描かれた部分は視認できないように隠される。これにより、台部20に描かれた作品に手を加えることなく、作品の一部を強調して鑑賞に供することができる。組立体80を凹部22から取り外せば、また作品の全体を鑑賞することができる。
【0040】
以上、本発明の幾つかの実施の形態をもとに説明した。これらの各実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0041】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、各実施の形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。各実施の形態と重複する説明を適宜省略し、各実施の形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0042】
(変形例)
実施の形態の説明では、ピース10が単層の樹脂から形成される例を示したが、本発明はこれに限定されない。ピース10は、硬度の異なる複数の樹脂の層構造を備えてもよい。一例として、ピース10は、2枚の高硬度表面層の間に相対的に低硬度の中間層が挟まれた構造を有してもよい。
【0043】
実施の形態の説明では、ピースが平面上に組み立てられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明に係るジグソーパズルは、曲面上に組み立てられてもよい。
【0044】
実施の形態の説明では、組立体80を複数のピースに分割したジグソーパズルの例を示したが、本発明はこれに限定されない。組立体80を構成する複数のピースは、完全に切断されずに、一部が繋がった状態で形成されてもよい。例えば、複数のピースの境界の部分に、表面側又は裏面側を0.1~1mm程度残して切れ目を入れ、全てのピースが繋がった状態で組立体80を形成してもよい。この場合、ジグソーパズル100として遊ぶことはできないが、上述した光の効果による美しい質感を有する装飾兼カバーとして組立体80を利用することができる。
【0045】
これらの各変形例は、実施の形態のジグソーパズル100と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0046】
10・・ピース、 12・・特殊ピース、 14・・絵柄ピース、 20・・台部、 22・・凹部、 24・・枠部、 26・・平坦部、 80・・組立体、 100・・ジグソーパズル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7