(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】環境ネット取付け部材
(51)【国際特許分類】
E04H 17/00 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
E04H17/00
(21)【出願番号】P 2019232796
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】518106892
【氏名又は名称】大日エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100093089
【氏名又は名称】佐久間 滋
(72)【発明者】
【氏名】戸田 信一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 幹也
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-026552(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 ー 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境ネット(4)を取付けられ、支持柱(1)の所定高さにおいて取付けバンド(2)を介して該支持柱(1)に取付けられる環境ネット取付け部材(21)において、
取付け本体部(21a)と、
前記取付け本体部(21a)に設けられた取付けバンド案内部(21d)と、
前記取付け本体部(21a)の外面に対して前記取付けバンド(2)を固着することにより、前記取付け本体部(21a)内面を前記支持柱(1)外面に対して取付け固着する固着手段(9)と、
を備え、
前記取付けバンド案内部(21d)は、
前記取付けバンド(2)の延在方向に沿った、前記取付け本体部(21a)の
外側両側において
、支持柱(1)の半径方向外方へ突出して設けた
、一対の突出部(21c)に夫々設けられたバンド案内孔(21d)を有し、
前記取付けバンド(2)は、一対の前記バンド案内孔(21d)を貫通する、
環境ネット取付け部材。
【請求項2】
請求項1に記載の環境ネット取付け部材(21)において、
前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の横方向ロープ(5)を取付けられる横方向ロープ取付け部(21g、25)を更に備える、
環境ネット取付け部材。
【請求項3】
請求項1に記載の環境ネット取付け部材(21)において、
前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の縦方向ロープ(22)を取付けられる縦方向ロープ取付け部(21e、28)を更に備える、
環境ネット取付け部材。
【請求項4】
請求項1に記載の環境ネット取付け部材(21)において、
前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の横方向ロープ(5)を取付けられる横方向ロープ取付け部(21g、25)と、
前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の縦方向ロープ(22)を取付けられる縦方向ロープ取付け部(21e、28)と
を更に備える、環境ネット取付け部材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の環境ネット取付け部材(21)において、
前記取付けバンド(2)は、円周方向複数に分割された分割バンド部(2a~2d)を一つの円形に組付けたものであり、
前記取付け本体部(21a)において、前記固着手段(9)が、前記複数の分割バンド部(2a~2d)のうちの2つの端部の重なった部分と前記取付け本体部(21a)とを共通に挿通して固着する、
環境ネット取付け部材。
【請求項6】
請求項2又は4に記載の環境ネット取付け部材(21)において、
前記横方向ロープ取付け部(21g、25)は横方向取付け面部(21f)を有し、
前記横方向ロープ(5)は、ロープ押さえ具(25)により前記横方向取付け面部(21f)に対して押さえ付けて取付けられる、
環境ネット取付け部材。
【請求項7】
請求項3又は4に記載の環境ネット取付け部材(21)において、
前記縦方向ロープ取付け部(21e、28)は、前
記一対の突出部(21c)間に渡した横方向止着手段(28)であり、
前記縦方向ロープ(22)は、前記横方向止着手段(28)に対して止着される、
環境ネット取付け部材。
【請求項8】
環境ネット(4)を取付けられ、支持柱(1)の所定高さに取付けバンド(2)を介して該支持柱(1)に取付けられる環境ネット取付け部材(21)において、
取付け本体部(21a)と、
前記取付け本体部(21a)に設けられた取付けバンド案内部(21d)と、
前記取付け本体部(21a)の外面に対して前記取付けバンド(2)を固着することにより、前記取付け本体部(21a)内面を前記支持柱(1)外面に対して取付け固着する固着手段(9)と、
前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の横方向ロープ(5)を取付けられる横方向ロープ取付け部(21g、25)と、
前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の縦方向ロープ(22)を取付けられる縦方向ロープ取付け部(21e、28)と
を備え、
前記取付けバンド案内部(21d)は、
前記取付けバンド(2)の延在方向に沿った、前記取付け本体部(21a)の
外側両側において
、支持柱(1)の半径方向外方へ突出して設けた
、一対の突出部(21c)に夫々設けられたバンド案内孔(21d)を有し、
前記取付けバンド(2)は、一対の前記バンド案内孔(21d)を貫通する、
環境ネット取付け部材。
【請求項9】
請求項8に記載の環境ネット取付け部材(21)において、
前記取付けバンド(2)は、円周方向複数に分割された分割バンド部(2a~2d)を一つの円形に組付けたものであり、
前記取付け本体部(21a)において、前記固着手段(9)が、前記複数の分割バンド部(2a~2d)のうちの2つの端部の重なった部分と前記取付け本体部(21a)とを共通に挿通して固着する、
環境ネット取付け部材。
【請求項10】
請求項8または9に記載の環境ネット取付け部材(21)において、
前記横方向ロープ取付け部(21g、25)は横方向取付け面部(21f)を有し、
前記横方向ロープ(5)は、ロープ押さえ具(25)により前記横方向取付け面部(21f)に対して押さえ付けて取付けられる、
環境ネット取付け部材。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか一項に記載の環境ネット取付け部材(21)において、
前記縦方向ロープ取付け部(21e、28)は、前記一対の突出部(21c)間に渡した横方向止着手段(28)であり、
前記縦方向ロープ(22)は、前記横方向止着手段(28)に対して止着される、
環境ネット取付け部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防塵、防砂又は防風等のための環境ネットを支持柱に取り付けるための環境ネット取付け部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場に山積みにストックされている原料、グラウンドから舞い上がる砂、塗装工場から飛散する塗料又は競艇場等へ吹き付ける風などを防ぐ為に、複数の支持柱を立てて、その間に網状物(以下、環境ネットという)を渡して架けて、塵、砂、塗料、風等を防ぐ装置(以下、環境ネット装置という)ものがある。この場合、環境ネットは所定の環境ネット取付け金具を介して支持柱に取付けられる。
【0003】
図1に、従来の環境ネット取付け金具を適用した環境ネット装置を示す。当該装置は、概略、複数の支持柱1(同図中では一本のみ示す)の各々の所定高さ位置に各1/4円周形の四本の分割バンド2a~2dを組合せて取付けた自在バンド2に対して、取付け金具3を取付け、更にこの取付け金具3に対して環境ネット4を横方向メッセンジャーロープ(以下、横方向メッセンという)5を介して取付けたものである。なお、環境ネット4と横方向メッセン5との取付け方法は後述する。各自在バンド2は、
図1中前後方向に対向する一対の分割バンド2a及び2d、2b及び2cが夫々横方向端部に設けた取付け孔2eに挿通したボルト6、ナット7、ワッシャー8により互いに組付けられる。また、左右に隣り合う一対の分割バンド2a及び2bは、皿状頭部9aを有するボルト9が半径方向内方側から外方側へ分割バンド2a及び2bの複数の長さ調整用孔2fの何れかに共通に貫通され、更に取付け金具3の本体板部3aの孔3bを貫通してナット10により固着される。このとき、ボルト9の皿状頭部9aは内側分割バンド2bの内面側の皿状凹部2f(
図2)に沈み込むため半径方向内方へ突出することはない。また図示しないが、後方の一対の分割バンド2c及び2dどうしも同様の止めボルト及びナットにより固着される。
【0004】
かくして、各ボルト6及びナット7を締め付けることにより、四本の分割バンド2a~2dからなる自在バンド2はあたかも1本の円周バンドの如く支持柱1を締め付け、これにより取付け金具3は強固に支持柱1に固着される。以上の自在バンド2の構成自体は従来技術である。なお、各分割バンド2a~2dが夫々複数の長さ調整用孔2fを有するから、止めボルト9が何れの調整用孔2fを挿通するかに依存して自在バンド2の内径寸法を調整可能であり、これにより自在バンド2は種々の異なる外径寸法の支持柱1にユニバーサル的に適合し得る。また分割バンドは、四分割以外の二分割、三分割、六分割等の任意の複数個に分割したものでもよい。
【0005】
次に、従来の取付け金具3は、一例として略コ字形の板状金具であり、
図1乃至
図3に示す如く、本体板部3a、底板部3c、前板部3dを有し、前記コ字形内部の底板部3c上面に、環境ネット4を取付けた横方向メッセン5を左右方向へ通した後に、L形ボルト11が前板部3dのU形凹部3eに嵌め込まれ且つその先端部が底板部3cの孔3fに挿入され、ナット12により取付け金具3に固着される。(
図3参照)かくして、横方向メッセン5は取付け金具3の底板部3c及びL形ボルト11間で強固に挟持固定され、環境ネット4により、防塵、防砂又は防風等の機能が発揮される。なお、この取付け金具3には図示しないが縦方向メッセンジャーロープ(以下、縦方向メッセンという)も取付けられる。
【0006】
しかしながら、上記従来例によれば、
図2に示す如く、取付け金具3の本体板部3aと支持柱1の外面との間に二本の分割バンド2a及び2bの合計厚さdが存在するため、取付け金具3は支持柱1外面から少なくとも寸法dという距離だけ離れることになる。しかるに、環境ネット4には防塵、防砂、防風の都度吹き付ける風から圧力を受け、取付け金具3は
図2中では横方向メッセン5を介して支持柱1外面の支点Pの周りに横方向に繰り返し曲げモーメントM1を受け、また
図3中では縦方向メッセンを介して縦方向に同様の繰り返し曲げモーメントM2を受ける。しかるに、これら曲げモーメントM1及びM2の値は、上記距離dに起因しており取付け金具3又は取付けボルト9に影響を及ぼし長期的な寿命を短くするおそれがあった。
【0007】
他の従来例としては、上記コ字形の板状金具以外に種々の形状のものがあるが、何れも金具本体と支持柱外面との間に自在バンド2が存在するため同様の問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、取付け部材(一例が取付け金具)本体部の外面に対して取付けバンド(自在バンド)を固着することにより、前記取付け本体部内面を前記支持柱外面に対して直接的に取付け固着することにより取付け部材に作用する曲げモーメントの値を最小とし耐久性を向上し得る環境ネット取付け部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を達成するための第1の本発明の環境ネット取付け部材(21)の構成は、環境ネット(4)を取付けられ、支持柱(1)の所定高さに取付けバンド(2)を介して該支持柱(1)に取付けられる環境ネット取付け部材(21)において、
取付け本体部(21a)と、
前記取付け本体部(21a)に設けられ、前記取付けバンド(2)が案内的に取付けられる取付けバンド案内部(21d)と、
前記取付け本体部(21a)の外面に対して前記取付けバンド(2)を固着することにより、前記取付け本体部(21a)内面を前記支持柱(1)外面に対して取付け固着する固着手段(9)と、を備える。
【0010】
好ましくは、前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の横方向ロープ(5)を取付けられる横方向ロープ取付け部(21g、25)を更に備える。
また好ましくは、前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の縦方向ロープ(22)を取付けられる縦方向ロープ取付け部(21e、28)を更に備える。
【0011】
更に好ましくは、前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の横方向ロープ(5)を取付けられる横方向ロープ取付け部(21g、25)と、前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の縦方向ロープ(22)を取付けられる縦方向ロープ取付け部(21e、28)とを更に備える。
【0012】
更に好ましくは、前記取付けバンド(2)は、円周方向複数に分割された分割バンド部(2a~2d)を一つの円形に組付けたものであり、前記取付け本体部(21a)において、前記固着手段(9)が、前記複数の分割バンド部(2a~2d)のうちの2つの端部の重なった部分と前記取付け本体部(21a)とを共通に挿通して固着する。
【0013】
更に好ましくは、前記取付けバンド案内部(21d)は、前記取付け本体部(21a)の外面両側において半径方向外方へ突出して設けた一対の突出部(21c)に夫々設けられたバンド案内孔(21d)である。
【0014】
更に好ましくは、前記横方向ロープ取付け部(21g、25)は横方向取付け面部(21f)を有し、前記横方向ロープ(5)は、ロープ押さえ具(25)により前記横方向取付け面部(21f)に対して押さえ付けて取付けられる。
【0015】
更に好ましくは、前記縦方向ロープ取付け部(21e、28)は、前記取付け本体部(21a)の外面両側において半径方向外方へ突出して設けた一対の突出部(21c)間に渡した横方向止着手段(28)であり、前記縦方向ロープ(22)は、前記横方向止着手段(28)に対して止着される。
本願の第2の本発明の環境ネット取付け部材(21)の構成は、環境ネット(4)を取付けられ、支持柱(1)の所定高さに取付けバンド(2)を介して該支持柱(1)に取付けられる環境ネット取付け部材(21)において、
取付け本体部(21a)と、
前記取付け本体部(21a)に設けられ、前記取付けバンド(2)が案内的に取付けられる取付けバンド案内部(21d)と、
前記取付け本体部(21a)の外面に対して前記取付けバンド(2)を固着することにより、前記取付け本体部(21a)内面を前記支持柱(1)外面に対して取付け固着する固着手段(9)と、
前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の横方向ロープ(5)を取付けられる横方向ロープ取付け部(21g、25)と、
前記取付け本体部(21a)に設けられ、環境ネット取付け用の縦方向ロープ(22)を取付けられる縦方向ロープ取付け部(21e、28)とを備える。
【0016】
好ましくは、前記取付けバンド(2)は、円周方向複数に分割された分割バンド部(2a~2d)を一つの円形に組付けたものであり、前記取付け本体部(21a)において、前記固着手段(9)が、前記複数の分割バンド部(2a~2d)のうちの2つの端部の重なった部分と前記取付け本体部(21a)とを共通に挿通して固着する。
【0017】
また好ましくは、前記取付けバンド案内部(21d)は、前記取付け本体部(21a)の外面両側において半径方向外方へ突出して設けた一対の突出部(21c)に夫々設けられたバンド案内孔(21d)である。
【0018】
更に好ましくは、前記横方向ロープ取付け部(21g、25)は横方向取付け面部(21f)を有し、前記横方向ロープ(5)は、ロープ押さえ具(25)により前記横方向取付け面部(21f)に対して押さえ付けて取付けられる。
【0019】
更に好ましくは、前記縦方向ロープ取付け部(21e、28)は、前記一対の突出部(21c)間に渡した横方向止着手段(28)であり、前記縦方向ロープ(22)は、前記横方向止着手段(28)に対して止着される。
【本発明の効果】
【0020】
本発明によれば、環境ネットの取付け部材(取付け金具)本体部の外面に対して取付けバンド(自在バンド)を固着して、前記取付け本体部内面を支持柱外面に対して直接的に取付け固着することにより、取付け部材に作用する曲げモーメントの値を小さくし得、取付け部材及びその固着手段に対する負荷を軽減し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来の環境ネット取付け金具を適用した環境ネット取付け装置の一例の分解斜視図である。
【
図2】
図1の従来の環境ネット取付け金具を支持柱に取付けた状態の一部断面の平面図である。
【
図3】
図1の従来の環境ネット取付け金具の側面図である。
【
図4】本発明の環境ネット取付け部材の一例である取付け金具の一実施例を適用した環境ネット取付け装置の一例の平面図である。
【
図8】本発明の環境ネット取付け部材の一例である取付け金具を自在バンド及び縦方向及び横方向メッセンジャーロープに取付けた状態の斜視図である。
【
図11】
図11(a)乃至(c)は夫々、
図10の環境ネット取付け金具の正面図、側面図及び平面図である。
【
図12】
図8の取付け金具の支持柱への取付け状態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、
図4乃至
図8により、本発明の環境ネット取付け部材としての取付け金具の一実施例を適用した環境ネット取付け装置の全体構造について説明するが、各図中、
図1乃至
図3と同一部部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0023】
図4乃至
図8中、各支持柱1の最高高さ位置及び最低高さ位置には夫々、本発明環境ネット取付け部材としての取付け金具21(
図8乃至
図11参照)が、互いに上下逆方向を向いて自在バンド2を介して取付けられており、また上下の両取付け金具21の間の複数の所定高さ位置には夫々自在バンド2が取付けられている。そして、複数の横方向メッセン5が上方取付け金具21どうし、下方取付け金具21どうし、及び途中高さの複数の自在バンド2の金具(その構造は省略)どうしに渡して張設され、また各支持柱1において上下の取付け金具21間に縦方向メッセン22が張設される。環境ネット4はこれら横方向及び縦方向メッセン5及び22に対してポリエチレン、ポリエステル等のかがりロープ23等(通常、環境ネット4と同一材料であるが異なる材料でもよい)により予めかがり止めされている。なお、前記取付け金具は金属製であるが、これに限らず高強度のプラスティック又は他の材料でもよい。
【0024】
なお、24はジョイントビームで、隣り合う支持柱1の上端どうしを接続して支持柱構造の強度を高める。
次に、
図8及び
図9は夫々、前記環境ネット取付け金具21を自在バンド2及び横方向及び縦方向メッセン5及び22に取付けた状態の斜視図及び分解斜視図である。
【0025】
同図中の取付け金具21は、
図10及び
図11(a)乃至(c)に示す如く、平面図で見て円弧形の本体板部21a(皿状貫通穴21bを有する)と、該本体板部21aの前面に半径方向外方へ伸びて設けられた一対の側板部21c(夫々バンド案内孔21d及びボルト通し孔21eを有する)と、該本体板部21aの前面上部に設けられた横板部21g(一対の取付け孔21fを有する)とを溶接又は鋳造等により一体的に構成したものである。以下、その組付け手順について説明する。
【0026】
最初に、
図8中、四本の分割バンド2a~2dを組合せた自在バンド2が支持柱1の例えば上部に仮取付けされるが、この構成は従来例と同様である。
次に前方の一対の隣り合う分割バンド2a及び2bの各中央側端部を取付け金具21の両側板部21cの各バンド案内孔21dを挿通させて、本体板部21aの前面側にて重ね合わせ、この状態で、取付け金具21の内側から外方へ本体板部21aの皿状貫通穴21bを挿通させた止めボルト9の前方突出部を前記分割バンド2a及び2bの重ね合わせた一対の調整孔2f及びワッシャー31を更に挿通させ、ナット10により締め付け固定する。(
図10及び12参照)このとき、止めボルト9の皿状頭部9aは本体板部21aの内面から内方へ突出しないように該本体板部21aの皿状貫通穴21bに沈んでいるから(
図12)、本体板部21aの円弧状内面は支持柱1の円形外面に強固に密着する。なお、上記案内孔21dは、孔以外に、切り欠き凹部でも又は本体板部21aの前面に押え板でボルト締めするものでもよく、要は分割バンド2a及び2bの各中央側端部を互いに固着し得るように案内できるものであれば何でもよい。
【0027】
続いて、横方向メッセン5を、取付け金具21の横板部21g上面に横方向に載置した後、押え板25の凹部25aを横方向メッセン5に嵌合的にかぶせた状態で、横板部21fの下方から一対のボルト26を孔21g及び押え板25の孔25bを共通に貫通させてナット27により締め付け固定する。かくして、横方向メッセン5が取付け金具21の横板部21f上面に固着される。この横方向メッセン5は他の支持柱1においても同様に取付け金具21に固着され、また異なる高さ位置の他の横方向メッセン5も所定の金具により同様にして固着される。
【0028】
続いて、縦方向メッセン22の上端ループ部分22aを両側板部21cの間に保持した状態で、止めボルト28をワッシャー29を介して、両側板部21cの案内孔21e及び前記ループ部分22aを共通に挿通させた後に、ナット30で締め付け固定する。かくして、縦方向メッセン22の上端部が取付け金具21に固着される。縦方向メッセン22の下端部もこの支持柱1の下端部に設けた他の取付け金具21に対して同様に固着され、また異なる他の支持柱1においても同様に縦方向メッセン22が同様にして固着される。なお、横方向及び縦方向メッセン5及び22の張力は、該メッセンの途中に介装されたターンバックル(図示せず)により調整される。
【0029】
かくして、環境ネット4は支持柱1に対して取付け完了される。
上記取付け金具21の取付け構造によれば、
図12に示す如く、取付け金具21の本体板部21aが支持柱1外面に対して密着的に接触し、更にこの本体板部21aの外面側に自在バンド2が位置する。このため、取付け金具21に横方向曲げモーメントM1が作用しても取付け金具21自体が支持柱1外面に対して周方向にずれ移動する力が作用するのみで、止めボルト9自体に対して曲げモーメントM1が作用することは殆ど無い。従って、取付け金具21に対して横方向曲げモーメントが繰り返し作用しても止めボルト9及び取付け金具21への負荷が軽減出来る。
【0030】
また、取付け金具21に対して縦方向メッセン22を介して縦方向曲げモーメントM2(
図8)が作用するときには、この縦方向曲げモーメントM2は、支持柱1外面に対して密着的に接触している取付け金具21の本体板部21aにより受け止められるのみで、止めボルト9には殆ど作用しない。従って、縦方向曲げモーメントM2が繰り返し作用しても止めボルト9及び取付け金具21への負荷が軽減できる。
【0031】
なお、上記実施例では、止めボルト9が、二つの分割バンド2a及び2bの重ね合わせた端部の一対の調整孔2fを挿通していたが、これに限ることなく、一つの分割バンドが取付け金具21の両側板部21cの各バンド案内孔21dを挿通した状態で、止めボルト9がこの一つの分割バンドのみの孔を挿通するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 支持柱
2 自在バンド
2a~2d 分割バンド
2e、2f、3b、3f、21e、21g、25b 孔
3 取付け金具
3a 本体板部
3c 底板部
3d 前板部
3e U形溝
4 環境ネット
5 横方向メッセンジャー(横方向メッセ)
6 ボルト
7、10、12、27 ナット
8、29、31 ワッシャー
9 止めボルト
9a 皿状頭部
11 L形金具
21 取付け金具
21a 本体板部
21b 皿状貫通穴
21c 側板部
21d 四角穴
21f 横板部
22 縦方向メッセンジャー(縦方向メッセン)
22a ループ部
23 かがりロープ
24 ジョイントビーム
25 押さえ金具
25a 押さえ凹部
26 止めボルト
28 ボルト