(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】包装機の紙継ぎ装置
(51)【国際特許分類】
B65B 41/12 20060101AFI20231023BHJP
B65H 19/14 20060101ALI20231023BHJP
B65H 19/16 20060101ALI20231023BHJP
B65B 41/00 20060101ALI20231023BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20231023BHJP
B65B 9/20 20120101ALN20231023BHJP
【FI】
B65B41/12 501
B65H19/14
B65H19/16
B65B41/00 501A
B65B57/00 H
B65B9/20
(21)【出願番号】P 2020007159
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100111659
【氏名又は名称】金山 聡
(72)【発明者】
【氏名】山本 博久
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-112557(JP,A)
【文献】特開2007-254084(JP,A)
【文献】特開平04-191237(JP,A)
【文献】特許第4320248(JP,B2)
【文献】特開2008-127093(JP,A)
【文献】特開2012-240756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 41/12
B65H 19/14
B65H 19/16
B65B 41/00
B65B 57/00
B65B 9/20
B65H 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装品を包装するフィルムを紙管に巻き取った巻取りフィルムを支持する巻取りフィルム支持手段と、
前記巻取りフィルムを回転させる巻取りフィルム回転手段と、
前記巻取りフィルムから繰り出されるフィルムを送るフィルム送り手段と、
前記巻取りフィルムの交換に際し、交換前の巻取りフィルムから繰り出されるフィルムと交換後の巻取りフィルムから繰り出されるフィルムを接合するための接合手段と、
前記巻取りフィルムから繰り出されるフィルムが巻き付けられ、該フィルムに作用する張力の変化に対応して変位するダンサローラと、
前記ダンサローラの変位を検出する変位検出手段と、
前記変位検出手段からの検出信号に基づいて前記フィルム送り手段及び前記巻取りフィルム回転手段の動作を停止させるように制御する動作停止制御手段と、
前記フィルム送り手段及び前記巻取りフィルム回転手段の動作が停止した場合に、前記巻取りフィルムから繰り出されたフィルムを移送させる距離を設定するフィルム移送距離設定手段と、
前記フィルム送り手段及び前記巻取りフィルム回転手段を動作させ、前記フィルム移送距離設定手段が設定した距離だけ前記巻取りフィルムから繰り出されたフィルムを移送させるように制御するフィルム移送制御手段と
を備え
、
前記動作停止制御手段は、前記巻取りフィルムからフィルムがすべて繰り出された後に繰り出されたフィルムを前記紙管に逆巻きして、前記巻取りフィルム回転手段の動作を停止させるように制御することを特徴とする包装機の紙継ぎ装置。
【請求項2】
前記変位検出手段からの検出信号に基づいて、前記ダンサローラの変位が一定範囲内に収まるように前記巻取りフィルム回転手段の回転数を制御するフィルム張力制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の包装機の紙継ぎ装置。
【請求項3】
前記巻取りフィルム支持手段は、前記接合手段より上流側に設置され、前記フィルム送り手段は、前記接合手段より下流側に設置され、前記ダンサローラは、前記巻取りフィルム支持手段と前記接合手段との間、又は、前記接合手段と前記フィルム送り手段と間のいずれか一方に設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の包装機の紙継ぎ装置。
【請求項4】
前記フィルム移送距離設定手段が設定する距離は、前記接合手段で接合されるフィルムの紙継ぎ位置から前記紙管までのフィルムの経路長さに前記紙管に逆巻きされたフィルムの長さを加えた長さに相当する距離であることを特徴とする請求項
1記載の包装機の紙継ぎ装置。
【請求項5】
前記フィルム移送距離設定手段が設定する距離は、前記被包装品が包装された包装体の個数に換算された包装体数で表されること特徴とする請求項1乃至請求項
4のいずれかに記載した包装機の紙継ぎ装置。
【請求項6】
前記フィルム移送距離設定手段は、前記接合手段で接合されるフィルムの紙継ぎ位置から前記紙管までのフィルムの経路長さ、前記紙管に逆巻きされたフィルムの長さ及び前記包装体1個分の長さに基づいて前記包装体数を算出する包装体数算出手段を備えたことを特徴とする請求項
5記載の包装機の紙継ぎ装置。
【請求項7】
前記包装体数を入力する包装体数入力手段をさらに備えたことを特徴とする請求項
5記載の包装機の紙継ぎ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機において巻取りフィルムの交換を行う際、使い終わった巻取りフィルムから繰り出されていたフィルムと新しいフィルムを繋ぐ包装機の紙継ぎ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縦ピロー包装機、横ピロー包装機、ラッピング包装機、上包み包装機等の包装機においては、包材供給部から包材となるフィルムを繰り出し、繰り出したフィルムで被包装品を包装した包装体を生産する。
このような包装機の包材供給部では、巻取りフィルム支持装置のシャフトに装着された巻取りフィルムからフィルムが連続的に繰り出され、その巻取りフィルム(旧巻取りフィルム)がなくなった場合は、新しい巻取りフィルム(新巻取りフィルム)がシャフトに装着され、旧巻取りフィルムから繰り出されていたフィルムと新巻取りフィルムから繰り出すフィルムの先端を繋ぐ紙継ぎが行われる。
この場合、巻取りフィルムをできるだけ最後まで使い切るため、旧巻取りフィルムの終端を検出する装置(以下、適宜「終端検出装置」という。)が設置され、終端検出装置が旧巻取りフィルムの終端を検出すると、旧巻取りフィルムからのフィルムの繰り出しが停止され、紙継ぎが行われる。
終端検出装置としては、例えば、特許文献1(特開平10-129631号公報)には、原反ロールから引出されるウェブの移送経路に配設され、該ウェブに所定の張力を付与し得るよう設定されたダンサローラと、前記ダンサローラの変動を検出可能なローラ変動検出手段と、前記ローラ変動検出手段からの信号入力によって、前記ダンサローラの変動上下限位置への変動、または所定時間当りの急激な変動の何れかを検出して、ウェブの終了信号を出力する終了検出手段とから構成した包装機のウェブ終了検出装置が開示されている。
しかしながら、巻取りフィルムの繰り出し位置から紙継ぎ位置までは距離があり、単に終端検出装置が旧巻取りフィルムの終端を検出し、旧巻取りフィルムからのフィルムの繰り出しを停止し、紙継ぎを行った場合は、旧巻取りフィルムの紙継ぎ位置から終端までのフィルムが使用されずに無駄になり、旧巻取りフィルムを完全に最後まで使いきることができないという問題が生ずる。
【0003】
この点、特許文献2(特許第4320248号公報)には、フィルムロールを支持するフィルムロール支持部と、前記フィルムロールから送り出されたフィルムを搬送するフィルム搬送機構と、前記フィルムロール支持部と前記フィルム搬送機構との間に設けられ、前記フィルムロールの交換時にフィルム搬送機構側にあるフィルムの終端と交換後のフィルムロールのフィルム先端とを接合するフィルム接合装置とを備え、前記フィルム接合装置は、そのフィルム接合位置より上流側にあるフィルムをたぐり寄せるフィルム貯留機構を備え、前記フィルム貯留機構は、搬送されるフィルムをガイドする固定ローラと、搬送されるフィルムの走行距離を変える可動ローラと、該可動ローラを固定ローラに対して近接離反させる移動機構とを含む製袋包装機が開示されている。
特許文献2の製袋包装機においては、フィルムロールのフィルムが終端まで消費されると、フィルムの張力が所定値を越え、これを張力検出器が検出して商品供給部および駆動装置の動作を停止させ、交換前のフィルムロールから送り出されたフィルムをフィルムロールの近傍で切断した後、その切断フィルムの終端をフィルム貯留機構(可動ローラと固定ローラと移動機構などから構成される)がたぐり寄せることにより、フィルム搬送機構側にあるフィルム終端と交換後のフィルムロールのフィルム先端とをフィルム接合装置において接合することが可能となり、不要物として処分するフィルムを無くし、交換前のフィルムロールのフィルムを最後まで使い切ることができる。
そして、特許文献2には、フィルム貯留機構に張力検出器を設置し、フィルム貯留機構の可動ローラの動きからフィルムロールのフィルムが終端まで消費されたことを検出することも記載されている(特許文献2の段落[0129]~[0133]参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献2のフィルム貯留機構に張力検出器を設置した製袋包装機では、紙継ぎ部より下流側にフィルム貯留機構とを設置する必要があり、紙継ぎ部と巻取りフィルム装着部との間にフィルム貯留機構を設置して、フィルム通しなどの準備作業の容易化等を図ることができないという大きな問題がある。
また、紙継ぎ部より下流側にダンサローラ(フィルム貯留機構)を設け、ダンサローラの位置変動を検出して、その位置変動が一定範囲に収まるように巻取りフィルムを回転させるモータの回転数を調整して、フィルムの張力が一定になるように制御しつつ、ダンサローラの位置変動から巻取りフィルムの終端を検出する場合(この場合は、ダンサローラの位置変動が大きくなり設定範囲を逸脱したときに終端を検出した信号を出すこととなる)、紙管に巻き付けられているフィルムが全部繰り出されて、紙管に固定されているフィルムの終端が近傍のガイドローラに最も近接しても(特許文献2の
図23の状態)、ダンサローラの位置は大きく変動せず、モータによる紙管の回転を継続して、フィルムをある程度紙管に巻き付ける、いわゆる逆巻きをしないと、ダンサローラが設定範囲を超える位置まで変動しない。
このため、ダンサローラが設定範囲を超える位置まで大きく変動したことにより巻取りフィルムが終端まで繰り出されたとして、巻取りフィルムの繰り出しを停止すると、繰り出されたフィルムの紙継ぎ位置から終端までの長さは、紙継ぎ位置から巻取りフィルムが巻き付けられている紙管までの経路長さに逆巻きした長さを加えたものとなる。
そして、逆巻きしたフィルムの長さは、巻取りフィルムの種類、巻取りフィルムの繰り出し速度(巻取りフィルムが巻き付けられている紙管の回転速度)、巻取りフィルムの終端を検出するために設定されるダンサローラの位置変動の設定範囲等によって決まるが、これらは包装機が生産する製品(包装体)の種類によって異なり、逆巻きしたフィルムの長さは、一定しないこととなる。
よって、特許文献2のフィルム貯留機構を使用して、紙継ぎ位置から紙管位置までの長さのフィルムをたぐり寄せても、逆巻きされたフィルムがたぐり寄せられず、フィルム終端を紙継ぎ位置にもってくることはできず、また、特許文献2のフィルム貯留機構は、一定長さのフィルムしかたぐり寄せることができず、紙継ぎ位置からフィルム終端までの長さが製品の種類によって異なる場合に対応できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-129631号公報
【文献】特許第4320248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ダンサローラの位置の変動から巻取りフィルムの終端を検出して紙継ぎを行う包装機において、確実に巻取りフィルムの終端を紙継ぎ位置まで移送することができ、不要となって廃棄されるフィルム量をなくすようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、被包装品を包装するフィルムを紙管に巻き取った巻取りフィルムを支持する巻取りフィルム支持手段と、前記巻取りフィルムを回転させる巻取りフィルム回転手段と、前記巻取りフィルムから繰り出されるフィルムを送るフィルム送り手段と、前記巻取りフィルムの交換に際し、交換前の巻取りフィルムから繰り出されるフィルムと交換後の巻取りフィルムから繰り出されるフィルムを接合するための接合手段と、前記巻取りフィルムから繰り出されるフィルムが巻き付けられ、該フィルムに作用する張力の変化に対応して変位するダンサローラと、前記ダンサローラの変位を検出する変位検出手段と、前記変位検出手段からの検出信号に基づいて前記フィルム送り手段及び前記巻取りフィルム回転手段の動作を停止させるように制御する動作停止制御手段と、前記フィルム送り手段及び前記巻取りフィルム回転手段の動作が停止した場合に、前記巻取りフィルムから繰り出されたフィルムを移送させる距離を設定するフィルム移送距離設定手段と、前記フィルム送り手段及び前記巻取りフィルム回転手段を動作させ、前記フィルム移送距離設定手段が設定した距離だけ前記巻取りフィルムから繰り出されたフィルムを移送させるように制御するフィルム移送制御手段とを備え、前記動作停止制御手段は、前記巻取りフィルムからフィルムがすべて繰り出された後に繰り出されたフィルムを前記紙管に逆巻きして、前記巻取りフィルム回転手段の動作を停止させるように制御する包装機の紙継ぎ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0008】
請求項2の発明は、前記変位検出手段からの検出信号に基づいて、前記ダンサローラの変位が一定範囲内に収まるように前記巻取りフィルム回転手段の回転数を制御するフィルム張力制御手段をさらに備えた包装機の紙継ぎ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0009】
請求項3の発明は、前記巻取りフィルム支持手段は、前記接合手段より上流側に設置され、前記フィルム送り手段は、前記接合手段より下流側に設置され、前記ダンサローラは、前記巻取りフィルム支持手段と前記接合手段との間、又は、前記接合手段と前記フィルム送り手段と間のいずれか一方に設置されている包装機の紙継ぎ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0011】
請求項4の発明は、前記フィルム移送距離設定手段が設定する距離は、前記接合手段で接合されるフィルムの紙継ぎ位置から前記紙管までのフィルムの経路長さに前記紙管に逆巻きされたフィルムの長さを加えた長さに相当する距離である包装機の紙継ぎ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0012】
請求項5の発明は、前記フィルム移送距離設定手段が設定する距離は、前記被包装品が包装された包装体の個数に換算された包装体数で表される包装機の紙継ぎ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0013】
請求項6の発明は、前記フィルム移送距離設定手段は、前記接合手段で接合されるフィルムの紙継ぎ位置から前記紙管までのフィルムの経路長さ、前記紙管に逆巻きされたフィルムの長さ及び前記包装体1個分の長さに基づいて前記包装体数を算出する包装体数算出手段を備えた包装機の紙継ぎ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0014】
請求項7の発明は、前記包装体数を入力する包装体数入力手段をさらに備えた包装機の紙継ぎ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明の包装機の紙継ぎ装置においては、ダンサローラの位置の変動から巻取りフィルムの終端を検出して紙継ぎを行う包装機において、確実に巻取りフィルムの終端を紙継ぎ位置まで移送することができ、不要となって廃棄されるフィルム量をなくすようにすることができるという効果を奏し、さらに、紙管に巻き付けられた巻取りフィルムがなくなったことを確実に検出できるという効果を奏する。
【0016】
請求項2に記載の発明の包装機の紙継ぎ装置においては、さらに、ダンサローラの位置の変動を利用して、巻取りフィルムの張力制御を行うことができるという効果を奏する。
【0017】
請求項3に記載の発明の包装機の紙継ぎ装置は、請求項1の発明と同様の効果を奏する。
【0019】
請求項4に記載の発明の包装機の紙継ぎ装置においては、さらに、紙管に逆巻きされたフィルムも廃棄されないようにできるという効果を奏する。
【0020】
請求項5に記載の発明の包装機の紙継ぎ装置においては、さらに、包装体の個数に対応して不要となって廃棄されるフィルム量をなくすことができるという効果を奏する。
【0021】
請求項6に記載の発明の包装機の紙継ぎ装置においては、さらに、自動でフィルムを移送する距離を設定できるという効果を奏する。
【0022】
請求項7に記載の発明の包装機の紙継ぎ装置においては、さらに、個別にフィルムを移送する距離を設定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の包装機の紙継ぎ装置を備えた縦ピロー包装機の構成を表した構成図である。
【
図2】
図1に示す縦ピロー包装機本体の全体構成を表した斜視図である。
【
図3】縦ピロー包装機制御部20と操作パネル30の構成を示すブロック図である。
【
図4】紙継ぎ時における縦ピロー包装機制御部20の動作を示すフローチャートである。
【
図5】紙継ぎ時におけるフィルム供給部11と張力調整部12の動作を説明する説明図である。
【
図6】紙継ぎ時におけるフィルム供給部11と張力調整部12の動作を説明する説明図である。
【
図7】本発明の包装機の紙継ぎ装置を備えた縦ピロー包装機の他の例の構成を表した構成図である。
【
図8】紙継ぎ時におけるフィルム供給部11’と張力調整部12’の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[縦ピロー包装機の構成]
図1は、本発明の包装機の紙継ぎ装置を備えた縦ピロー包装機の構成を表した構成図であって、縦ピロー包装機本体の概略正面図に制御部分のブロックを組み合わせた図であり、
図2は、
図1に示す縦ピロー包装機本体の全体構成を表した斜視図である。
図中、1は縦ピロー包装機、10は縦ピロー包装機本体、11はフィルム(包材)供給部、11aは紙継ぎ台、11Mはサーボモータ、12は張力調整部、12aは回動アーム、12b、12cはダンサローラ、12dは固定ローラ、12eは回転ロッド、12REはロータリーエンコーダ、13は日付印字部、13aは日付印字装置、13bは昇降ローラ、14は被包装品供給部、14aはホッパー、14bは充填筒、15は製筒部、15aは製筒器(フォーマ)、15bは押さえ部材、15cはスライドローラ、16はフィルム送り部、16aはプーリー、16bは送りベルト、16Mはサーボモータ、16Maは回転軸、17は縦シール部、17a、17bは縦シールブロック、18は横シール・切断部、18a、18bは横シールブロック、19は包装体排出部、19aはベルトコンベア、20は縦ピロー包装機制御部、30は操作パネル、CLは通信回線、Fiはフィルム(包材)、gr1~gr4はガイドローラ、MFは巻取りフィルム、SKは紙管、Pcは包装体、tsは縦シール部分、ysは横シール部分であり、
図1においては、フィルム部分を二点鎖線で表す。
縦ピロー包装機1は、巻取りフィルムMFからフィルムFiを繰り出して被包装品を包装した包装体Pcを生産する縦ピロー包装機本体10と、縦ピロー包装機本体10の動作を制御する縦ピロー包装機制御部20と、縦ピロー包装機本体10を操作する操作パネル30から構成される。
【0025】
縦ピロー包装機本体10は、フィルム(包材)供給部11、張力調整部12、印字部13、被包装品供給部14、製筒部15、包材送り部16、縦シール部17、横シール・切断部18、包装体排出部19等から構成される。
フィルム(包材)供給部11は、巻取りフィルム支持装置と本発明の接合手段となる紙継ぎ装置を備えている。
巻取りフィルム支持装置は、シャフト(図示せず)と本発明の巻取りフィルム回転手段となるサーボモータ11Mを備え、サーボモータ11Mは、シャフトを回転させ、シャフトに装着された巻取りフィルムMFを回転させる。
紙継ぎ装置は、紙継ぎ台11aを備えている。
紙継ぎ台11aにおいては、フィルムFiの送り方向中央部に、送り方向と垂直方向に延びる溝が設けられ、この溝を挟んで上流側(ガイドロールgr1側)と下流側(ガイドロールgr2側)に、溝に沿う多数の小孔が設けられ、紙継ぎ台11aに内部の空気を吸うバキューム装置が取り付けられ、このバキューム装置を作動させて、フィルムFiを紙継ぎ台11上に吸着固定するようになっている。
そして、紙管SKに巻き付けられた巻取りフィルムMFがシャフトに装着され、巻取りフィルムMFから包材となるフィルムFiが繰り出だされ、巻取りフィルムMFがなくなると、フィルムFiの送りが停止され、紙継ぎ装置のバキューム装置を作動させてフィルムFiを紙継ぎ台11上に吸着固定し、作業者が溝に沿ってカッターでフィルムFiを切断して、上流側(ガイドロールgr1側)のフィルムFiを除去する。この状態で、作業が、巻取りフィルム支持装置に新しい巻取りフィルムMFを装着し、その先端部を紙継ぎ台11aの上流側(ガイドロールgr1側)の小孔に吸着させて固定し、旧巻取りフィルムから繰り出されていたフィルムと新巻取りフィルムから繰り出すフィルムを接合して繋ぐ紙継ぎが行われる。
【0026】
張力調整部12は、一対の回動アーム12a、回動アーム12aに回転自在に保持されたダンサローラ12b、12c、固定ローラ12d、回転ロッド12e、回動アーム12aの回動機構(図示せず)等から構成され、回転ロッド12eには本発明の変位検出手段となるロータリーエンコーダ12REが取り付けられている。
回動アーム12aの回動機構は、回動アーム12aを回動させダンサローラ12b、12cを上限位置まで持ち上げる機構であり、例えば、エアシリンダとストッパー等から構成され、エアシリンダのピストンロッドの伸縮により回動アーム12aを回動させ、回動アーム12aをストパーに当てて停止させる。
張力調整部12においては、ダンサローラ12b、12cと固定ローラ12dにかけ渡されたフィルムFiの張力が増加するとアーム12aの先端側が持ち上げられ、フィルムFiの張力が低下するとアーム12aの先端側が下がり、フィルムFiの張力の変化に対応してアーム12aが回転ロッド12eを中心に回動して、アーム12aの傾き角が変化する。このアーム12aの傾き角の変化(変位)をダンサローラ12b、12cの変位としてロータリエンコーダ12REで検出し、フィルムFiの張力制御、巻取りフィルムMFの終端の検出が行われる(詳細は後述する。)。
日付印字部13は、日付印字装置13a、昇降ローラ13b等を備え、フィルムFiに日付印字を行う。
【0027】
被包装品供給部14は、上部がホッパー14aとなっている充填筒14b、被包装品投入装置(図示せず)等を備え、被包装品投入装置より投入されるスナック菓子等の被包装品をホッパー14aで受けて充填筒14bに充填する。
製筒部15は、製筒器15a、押さえ部材15b、スライドローラ15c等を備え、フィルム供給部11より繰り出されて日付印字部13で日付が印字されたフィルムFiを、スライドローラ15cで案内し、製筒器15aで筒状に成形して押さえ部材15bにより充填筒14b外周面に押し付ける。
フィルム送り部16は、プーリー16a、送りベルト16b、サーボモータ16M等を備えた一対のフィルム送り機構を充填筒14bの両側に配置し、サーボモータ16Mにより、回転軸16Maに取り付けられたプーリー16aを回転させて送りベルト16bを移動させ、充填筒14bの外周面を包んでいるフィルムFiを、一定の長さだけ下方に送る。
縦シール部17は、縦シールブロック17a、17b、ヒータ(図示せず)等を備え、充填筒14bの外周面包んで重ね合わされたフィルムFiの両端部分に縦シールを施して縦シール部分tsを形成する。
横シール・切断部18は、横シールブロック18a、18b、ヒータ(図示せず)、切断装置(図示せず)等を備え、被包装品が充填された縦シール済フィルムに対して、横シールを施して横シール部分ysを形成し、横シール部分ysの中央部を切断し、被包装品が詰め込まれた包装体Pcを生成する。
包装体排出部19は、ベルトコンベア19a等を備え、包装体Pcをベルトコンベア19aにより排出する。
【0028】
そして、縦ピロー包装機本体10では、巻取りフィルムMFから繰り出されたフィルムFiは、ガイドロールgr1、紙継ぎ台11a、ガイドロールgr1を経て、張力調整部12のダンサローラ12b、固定ローラ12d、ダンサローラ12cにかけ渡され、ガイドロールgr3を経て日付印字部13に案内され、ガイドロールgr4を経て、製筒部15、包材送り部16に案内される。
これより、縦ピロー包装機1(縦ピロー包装機本体10)においては、巻取りフィルム支持装置は、紙継ぎ装置(紙継ぎ台11a)より上流側(フィルムFiの流れの上流側)に設置され、包材送り部16は、紙継ぎ装置(紙継ぎ台11a)より下流側(フィルムFiの流れの下流側)に設置され、張力調整部12のダンサローラ12b、12cは、紙継ぎ装置(紙継ぎ台11a)と包材送り部16の間に設置されていることとなる。
【0029】
[縦ピロー包装機制御部20、操作パネル30]
図3は、縦ピロー包装機制御部20と操作パネル30の構成を示すブロック図であり、図中、21は演算制御部、21aは動作制御部、21bはフィルム張力制御部、21cは動作停止制御部、21dはフィルム移送制御部、22は記憶部、23は送受信部、31はコンピュータ、31aはフィルム移送距離設定部、31a1は包装体数算出部、31a2は包装体数取得部、33は送受信部、34は入力表示部である。
縦ピロー包装機制御部20は、演算制御部21、記憶部22及び送受信部23を備え、演算制御部21は、動作制御部21a、フィルム張力制御部21b、動作停止制御部21c及びフィルム移送制御部21dを備えている。
動作制御部21aは、操作パネル30で設定された製品について、記憶部22の製品パラメータテーブルに登録されたパラメータ(縦ピロー包装機本体10が生産する製品毎に設定された生産能力、袋長さ、製品長さ、ヒータ温度等を表す数値)に基づいて、縦ピロー包装機本体10の駆動機器、例えば、フィルム送り部16のサーボモータ16M、縦シール部17やエンドシール・切断部18の各種ヒータの動作を制御する。
フィルム張力制御部21bは、ロータリエンコーダ12REが検出する張力調整部12の回動アーム12aの傾き角変位(ダンサローラ12b、12cの変位)を示す検出信号に基づいて、回動アーム12aの傾き角変位(ダンサローラ12b、12cの変位)が一定範囲内に収まるようにサーボモータ11Mの回転数を制御し、フィルムFiの張力を制御する。
動作停止制御部21cは、ダンサローラ12b、12cが大きく変位し、回動アーム12aの傾き角変位が設定範囲を超えたときのロータリエンコーダ12REの検出信号に基づいて、サーボモータ16Mとサーボモータ11Mの動作(回転)を停止させ、フィルムFiの送りを停止させる。
フィルム移送制御部21dは、動作停止制御部21cがサーボモータ11M、16Mの動作(回転)を停止させ、回動アーム12aの回動機構が、回動アーム12aを回動させダンサローラ12b、12cを上限位置まで持ち上げた場合、作業者のスイッチ操作、例えば、操作パネル30の入力表示部34に表示された操作画面のスイッチをタッチすることにより、操作パネル30のフィルム移送距離設定部31aが設定したフィルムFiの移送距離分だけ、サーボモータ11M、16Mを動作(回転)させてフィルムFiを移送する。
送受信部23は、通信回線CLを介して操作パネル30の送受信部33と通信を行い、演算制御部21から各種データを操作パネル30の送受信部33に送信し、また、送受信部33から送信される各種データを受信して演算制御部21に送る。
【0030】
操作パネル30は、コンピュータ31、送受信部33及び入力表示部34を備えている。
コンピュータ31は、演算処理部や記憶部を備え、縦ピロー包装機本体10に対応した専用のプログラムが組み込まれ、各種処理を行うと共に操作パネル30を統括的に制御する。
コンピュータ31の演算処理部は、包装体数算出部31a1と包装体数取得部31a2を有するフィルム移送距離設定部31aを備えている。
包装体数算出部31a1は、フィルムFiの紙継ぎ位置(紙継ぎ台11aに設けた溝の位置)から紙管SKまでのフィルムFiの経路長さに、紙継ぎ時に紙管SKに逆巻きされたフィルムFiの長さを加えた長さに相当する距離Lを、包装体Pcの個数に換算した包装体数N(Nは、距離Lを包装体Pc1個分のフィルムFiの長さpで割った値)を算出する。
包装体数取得部31a2は、入力表示部34から入力され、コンピュータ31の記憶部に記憶されている包装体数Nを取得する。
送受信部33は、コンピュータから送られてくる各種データを通信回線CLを介して縦ピロー包装機制御部20の送受信部23に送信し、縦ピロー包装機制御部20の送受信部23から通信回線CLを介して送信される各種データを受信してコンピュータ31に送る。
入力表示部34は、タッチパネル式の表示画面を有し、コンピュータ31に組み込まれた専用プログラムによって作成された各種画面、例えば、包装体Pc1個分のフィルムFiの長さ(袋長さ)pや包装体数Nを入力する画面、フィルムFiを包装体数N分だけ移送させるための操作画面を表示する。
【0031】
[紙継ぎ時における縦ピロー包装機制御部20の動作]
図4は、紙継ぎ時における縦ピロー包装機制御部20の動作を示すフローチャート、
図5と
図6は、紙継ぎ時におけるフィルム供給部11と張力調整部12の動作を説明する説明図であり、
図5(a)は、巻取りフィルムMFからフィルムFiを繰り出している状態し、
図5(b)は、巻取りフィルムMFからフィルムFiを終端まで繰り出した状態を示し、
図6(a)は、回動アーム12aの角度変位が設定範囲を超えた状態、
図6(b)は、フィルムFiの送りを完全に停止した状態を示す。
図中、RFは紙管SKに巻取りフィルムMFの巻き方向とは逆方向に巻き付けられた逆巻きフィルム、P1は紙継ぎ位置、P2は逆巻きフィルムRFが紙管SKから離れる位置、PEは巻取りフィルムMFの終端の位置、θは回動アーム12aの傾き角である。
この場合、巻取りフィルムMFでは、フィルムFiの終端は紙管SKに粘着テープで固定され、正面から見てフィルムFiが紙管SKに反時計回りに巻き付けられ、巻取りフィルムMFが時計回りに回転してフィルムFiが繰り出されるとし、繰り出されたフィルムFiは、ガイドローラgr1、gr2を経て、揺動機構12のダンサローラ12b、固定ローラ12d、ダンサローラ12cに案内され、ガイドローラgr3を経て、下流側に案内される。
また、製筒部15に案内されたフィルムFiは、フィルム送り部16でサーボモータ16Mの間欠回転により間欠的に送られることから、これに同期してフィルム供給部11のサーボモータ16Mも間欠回転し、巻取りフィルムMFが間欠回転してフィルムFiが間欠的に繰り出される。
以下、
図4~
図6に基づいて紙継ぎ時における縦ピロー包装機制御部20の動作を説明する。
まず、動作制御部21aがサーボモータ11、16を回転させ、フィルムFiを間欠的に送り(S1)、これにより包装体Pcが連続的に生産される。
このとき、演算制御部21が、ロータリーエンコーダ12REが検出する張力調整部12の回動アーム12aの角度変位(ダンサローラ12b、12cの変位)を取得し(S2)、取得した回動アーム12aの角度変位が設定範囲を超えたか否かが判断され(S3)、超えていない場合は、ステップS1に戻る。
図5(a)に示すように、紙管SKに巻き付けられたフィルムFiがなくならない状態では、フィルムFiに作用する張力の変化は小さいことから、ダンサローラ12b、12cの変位は小さく、回動アーム12aの傾き角θはほぼ一定の状態であり、ステップS3で回動アーム12aの角度変位は設定範囲を超えていないと判断され、ステップS1~S3の処理が繰り返され、包装体Pcの生産が継続される。
【0032】
そして、
図5(b)に示すように巻取りフィルムMFからフィルムFiを全部繰り出し、フィルムFiの終端位置PEがガイドローラgr1に最も近接しても、回動アーム12aの傾き角θはほとんど変化せず、ステップS3で回動アーム12aの角度変位は設定範囲を超えていないと判断され、サーボモータ11、16は回転を継続する。
しかしながら、巻取りフィルムMFからはフィルムFiが全部繰り出されており、サーボモータ11が回転を継続すると、フィルムFiの終端が紙管SKに粘着テープで固定されているため、フィルムFiは、紙管SKに対して巻取りフィルムMFの巻き付け方向(反時計回り)とは逆方向(時計回り)に巻き付けられる(逆巻きされる)。
これにより、ダンサローラ12b、12cが持ち上げられて回動アーム12aが回動し、傾き角θの変位(ダンサローラ12b、12cの位置変位)が大きくなり、その変位が設定範囲を超えると、動作停止制御部21cがモータ16Mの動作を停止させる(S4)。
この場合、動作停止制御部21cは、傾き角θの変位が設定範囲を超えると直ちにモータ16Mの動作(回転)を停止させるのではなく、包装体Pcの生産1サイクル分が終了した後、モータ16Mの動作(回転)を停止させる。
この状態では、
図6(a)に示すように、回動アーム12aの傾き角はθ1となっており、紙管SKには逆巻きフィルムRFが巻き付けられている。
この後、
図6(b)に示すように、動作制御部21aが回動アーム12aの回動機構を作動させ、ダンサローラ12b、12cを上限位置まで持ち上げ(このときの回動アーム12aの傾き角を0(ゼロ)とする)、モータ11Mの動作(回転)を停止させ、フィルムFiの送りを完全に停止させる(S5)。
なお、ダンサローラ12b、12cが上限位置まで持ち上げられた後にモータ11Mの動作を停止させたが、モータ16Mの動作を停止させたときにモータ11Mの動作を停止させてもよい。
【0033】
次いで、演算制御部21が、操作パネル30から通信回線CLを介して送信され、送受信部23が受信した包装体数Nを取得する(S5)。
具体的には、以下のようにして演算制御部21が包装体数Nを取得する。
まず、縦ピロー包装機本体10において、モータ11、16Mの回転が停止し、フィルムFiの送りが完全に停止すると、演算制御部21から包装体数Nを要求する要求信号が送受信部23に送られ、この要求信号は、通信回線CL介して操作パネル30に送信される。
操作パネル30では、送受信部33が縦ピロー包装機制御部20からの要求信号を受信してコンピュータ31に送る。
コンピュータ31のフィルム移送距離設定部31aでは、包装体数算出部31a1が、フィルムFiの紙継ぎ位置P1から逆巻きフィルムRFが紙管SKから離れる位置P2までのフィルムFiの経路長さL1に、紙管SKに逆巻きされた逆巻きフィルムRFの長さL2を加えた長さに相当する距離Lを、包装体Pcの個数に換算した包装体数N(Nは、距離Lを包装体Pc1個分のフィルムFiの長さpで割った値)を算出する。
ここで、経路長さL1は、紙継ぎ台11aの溝の位置、ガイドローラgr1の位置及び巻取りフィルムMFが装着されるシャフトの位置によって決まる固定長さであり、逆巻きフィルムRFの長さL2も、回動アーム12aの傾き角θによって決まる固定長さであり、L1とL2は予めコンピュータ31の記憶部に記憶されている。
また、フィルム移送距離設定部31aでは、包装体数取得部31a2が、入力表示部34から入力されコンピュータ31の記憶部に記憶されている包装体数Nを取得する。
そして、フィルム移送距離設定部31aは、コンピュータ31の記憶部に包装体数Nが記憶されていない場合、包装体数算出部31a1が算出した包装体数Nを送受信部33に送り、ンピュータ31の記憶部に包装体数Nが記憶されている場合、包装体数取得部31a2が取得した包装体数Nを送受信部33に送る。
このようにしてフィルム移送距離設定部31aから送受信部33に送られた包装体数Nは、通信回線CLを介して縦ピロー包装機制御部20送信され、送受信部23で受信され、演算制御部21に送られ、これにより、演算制御部21が包装体数Nを取得する。
【0034】
また、操作パネル30においては、縦ピロー包装機制御部20からの上記要求信号を受信すると、入力表示部34にフィルムFiを包装体数N分だけ移送するための操作画面が表示され、その操作画面にはスイッチが設けられている。
そして、作業者が、巻取りフィルムMFがなくなって、紙管SKにフィルムFiが逆巻きされ、フィルムFiの送りが完全に停止したことを確認し、入力表示部34に表示された操作画面のスイッチにタッチすると、その入力信号が送受信部33に送られ、通信回線CLを介して縦ピロー包装機制御部20送信され、これにより、演算制御部21が、入力表示部34に表示された操作画面のスイッチの入力信号を取得する(S6)。
次いで、動作制御部21aが紙継ぎ装置のバキューム装置を作動させてフィルムFiを紙継ぎ台11a上に吸着固定する(S8)。
この状態で、フィルム移送制御部21dがモータ11M、16Mを動作(回転)させ、フィルムFiを演算制御部21が取得した包装体数Nに相当する距離(長さ)だけ移送して、包装体Pcを生産し(S9)、処理を終了する。
このとき、フィルムFiの終端は、紙継ぎ台11aの紙継ぎ位置P1まで移動している。
この後、作業者により、必要に応じてフィルムFiの終端近傍が紙継ぎ台11aの溝に沿って切断されて除去され、紙継ぎ装置のシャフトに新巻取りフィルムMFが装着されてその先端が紙継ぎ台11aまで繰り出されて、紙継ぎ台11aに吸着固定され、旧巻取りフィルムから繰り出されていたフィルムと新巻取りフィルムから繰り出すフィルムを接合して繋ぐ紙継ぎが行われる。
このようにして、巻取りフィルムMFのフィルムFiの終端を紙継ぎ位置まで確実に移送して紙継ぎを行うことができ、不要となって廃棄されるフィルム量をなくすことができる。
なお、ステップS9でフィルムFiを移送する際に、フィルムFiの終端が紙管SKから剥がれない場合は、作業者が、操作パネルの入力表示部34に表示された操作画面のスイッチにタッチする前に、紙管SKに巻き付けられている逆巻きフィルムRFを巻き戻して、フィルムFiの終端を紙管SKに固定している粘着テープを剥がし、あるいは、フィルムFiの終端近傍を切断して、フィルムFiが紙管SKに固定されていない状態にした後、操作画面のスイッチにタッチしてステップS7~S9の処理を行うようにする。この場合、フィルムFiの終端近傍を切断する場合は、逆巻きフィルムRFの長さL2は、切断して除去したフィルムの長さを分だけ短い長さとなる。
また、ステップS8でバキューム装置を作動させてフィルムFiを紙継ぎ台11a上に吸着固定するのは、ステップS9で移送されるフィルムFiがバタついたり蛇行したりして不良の包装体Pcが生産されるのを防止するためであり、フィルムFiを紙継ぎ台11a上に吸着固定しなくても、不良の包装体Pcが生産されない場合は、ステップS8の処理は省略してもよい。
【0035】
[縦ピロー包装機の他の例]
図7は、本発明の包装機の紙継ぎ装置を備えた縦ピロー包装機の他の例の構成を表した構成図であって、縦ピロー包装機本体の概略正面図に制御部分のブロックを組み合わせた図である。
図中、1’は縦ピロー包装機、10’は縦ピロー包装機本体、11’はフィルム(包材)供給部、11a’は紙継ぎ台、12’は張力調整部、12a’は回動アーム、12b’、12c’はダンサローラ、12d’は固定ローラであり、
図1に示す縦ピロー包装機1と同一の部分については、同一の符号を付す。
縦ピロー包装機1’は、縦ピロー包装機1と比較して、縦ピロー包装機本体10’のフィルム供給部11’の紙継ぎ装置と張力調整部12’の配置が異なるだけで、他の構成は縦ピロー包装機1と同じである。
すなわち、縦ピロー包装機1においては、巻取りフィルム支持装置と張力調整部12の間に、ガイドロールgr1とガイドロールgr2に挟まれるようにして紙継ぎ装置の紙継ぎ台11aが配置されているが、縦ピロー包装機本体10’においては、紙継ぎ装置の紙継ぎ台11a’は、張力調整部12’と日付印字部13との間に配置されている。
この場合、縦ピロー包装機本体10’の紙継ぎ装置(紙継ぎ台11a’)自体の構成は、縦ピロー包装機本体10’の紙継ぎ装置(紙継ぎ台11a)の構成と同じである。
また、縦ピロー包装機本体10’の張力調整部12’は、一対の回動アーム12a’、回動アーム12a’に回転自在に保持されたダンサローラ12b’、12c’、固定ローラ12d’、回転ロッド(図示)12e、回動アーム12a’の回動機構等から構成され、その構成自体は、縦ピロー包装機本体10の張力調整部12の構成と同じである。
【0036】
そして、縦ピロー包装機本体10’では、巻取りフィルムMFから繰り出されたフィルムFiは、ガイドロールgr1’を経て、張力調整部12’のダンサローラ12b’、固定ローラ12d’、ダンサローラ12c’にかけ渡され、ガイドロールgr3’を経て紙継ぎ台11a’上を通過して印字部13に案内され、ガイドロールgr4を経て、製筒部15、包材送り部16に案内される。
これより、縦ピロー包装機1’(縦ピロー包装機本体10’)においては、巻取りフィルム支持装置は、紙継ぎ装置(紙継ぎ台11a’)より上流側(フィルムFiの流れの上流側)に設置され、包材送り部16は、紙継ぎ装置(紙継ぎ台11a’)より下流側(フィルムFiの流れの下流側)に設置され、張力調整部12’のダンサローラ12b’、12cは’、巻取りフィルム支持装置と紙継ぎ装置(紙継ぎ台11a’)との間に設置されていることとなる。
【0037】
[紙継ぎ時における縦ピロー包装機1’の動作]
紙継ぎ時における縦ピロー包装機1’の動作は、基本的に縦ピロー包装機1の動作と同じであるが、操作パネル30のフィルム移送距離設定部31aが設定する包装体数等が異なる。
以下、紙継ぎ時における縦ピロー包装機1’の動作を縦ピロー包装機1の動作との違いを中心に説明する。
図8は、紙継ぎ時におけるフィルム供給部11’と張力調整部12’の動作を説明する説明図であり、同図(a)は、巻取りフィルムMFからフィルムFiを繰り出している状態し、同図(b)は、フィルムFiの送りを完全に停止した状態を示す。
図中、RF’は紙管SKに巻取りフィルムMFの巻き方向とは逆方向に巻き付けられた逆巻きフィルム、P1’は紙継ぎ位置、P2’は逆巻きフィルムRF’が紙管SKから離れる位置、PE’は巻取りフィルムMFの終端の位置、θ’は回動アーム12a’の傾き角である。
図8(a)に示すように、紙管SKに巻き付けられたフィルムFiがなくならない状態では、フィルムFiに作用する張力の変化は小さいことから、ダンサローラ12b’、12c’の変位は小さく、回動アーム12a’の傾き角θ’はほぼ一定の状態であり、縦ピロー包装機1のフィルム供給部11と張力調整部12と同様に、
図4のフローチャートのステップS1~S3の処理が繰り返され、包装体Pcの生産が継続される。
そして、縦ピロー包装機1のフィルム供給部11と張力調整部12と同様に、巻取りフィルムMFからフィルムFiを全部繰り出し、フィルムFiの終端位置PE’がガイドローラgr1’に最も近接しても、回動アーム12a’の傾き角θ’はほとんど変化せず、回動アーム12a’の角度変位は設定範囲を超えず、サーボモータ11、16は回転を継続し、フィルムFiは、紙管SKに逆巻きされ、これにより、ダンサローラ12b’、12c’が持ち上げられて回動アーム12a’が回動し、傾き角θ’の変位(ダンサローラ12b’、12c’の位置変位)が大きくなり、その変位が設定範囲を超えると、動作停止制御部21cがモータ16Mの動作を停止させる(
図4のフローチャートのステップS4)。
この場合、縦ピロー包装機1の場合と同様に、動作停止制御部21cは、傾き角θ’の変位が設定範囲を超えると直ちにモータ16Mの動作(回転)を停止させるのではなく、包装体Pcの生産1サイクル分が終了した後、モータ16Mの動作(回転)を停止させる。
この後、
図8(b)に示すように、動作制御部21aが回動アーム12a’ の回動機構を作動させ、ダンサローラ12b’、12c’を上限まで持ち上げ(このときの回動アーム12a’の傾き角を0(ゼロ)とする)、モータ11Mの動作(回転)を停止させ、フィルムFiの送りを完全に停止させる(同ステップS5)。
なお、縦ピロー包装機1と同様に、ダンサローラ12b’、12c’が上限位置まで持ち上げられた後にモータ11Mの動作を停止させたが、モータ16Mの動作を停止させたときにモータ11Mの動作を停止させてもよい。
【0038】
この後、縦ピロー包装機1の場合と同様にして、演算制御部21が包装体数N’を取得する(同ステップS6)。
具体的には、操作パネル30のコンピュータ31のフィルム移送距離設定部31aにおいて、演算制御部21からの要求信号に基づいて、包装体数算出部31a1が、フィルムFiの紙継ぎ位置P1’から逆巻きフィルムRF’が紙管SKから離れる位置P2’までのフィルムFiの経路長さL1’に、紙管SKに逆巻きされた逆巻きフィルムRF’の長さL2’を加えた長さに相当する距離L’を、包装体Pcの個数に換算した包装体数N’(N’は、距離L’を包装体Pc1個分のフィルムFiの長さpで割った値)を算出する。
また、フィルム移送距離設定部31aでは、縦ピロー包装機1の場合と同様に、包装体数取得部31a2が、入力表示部34から入力されコンピュータ31の記憶部に記憶されている包装体数N’を取得する。
この場合、縦ピロー包装機1’は、縦ピロー包装機1と異なり、紙継ぎ台11a’が張力調整部12’の下流側にあり、紙継ぎ位置P1’も張力調整部12’の下流側にあることから、経路長さL1’は、縦ピロー包装機1の経路長さL1より、張力調整部12’の経路長さ(ガイドロールgr1’からガイドロールgr3’までの経路長さ)分だけ長くなり、包装体数N’も、経路長さL1’が経路長さL1より長くなった分に相当する包装体数分だけ縦ピロー包装機1の包装体数Nより大きくなる。
ここで、経路長さL1’は、紙継ぎ台11a’の溝の位置、ガイドローラgr1’、gr3’の位置及び巻取りフィルムMFが装着されるシャフトの位置によって決まる固定長さであり、逆巻きフィルムRF’の長さL2’も、回動アーム12a’の傾き角θ’によって決まる固定長さであり、L1’とL2’は予めコンピュータ31の記憶部に記憶されている。
そして、縦ピロー包装機1の場合と同様に、フィルム移送距離設定部31aは、コンピュータ31の記憶部に包装体数N’が記憶されていない場合、包装体数算出部31a1が算出した包装体数N’を送受信部33に送り、ンピュータ31の記憶部に包装体数N’が記憶されている場合、包装体数取得部31a2が取得した包装体数N’を送受信部33に送る。
このようにしてフィルム移送距離設定部31aから送受信部33に送られた包装体数N’は、通信回線CLを介して縦ピロー包装機制御部20送信され、送受信部23で受信され、演算制御部21に送られ、これにより、演算制御部21が包装体数N’を取得する。
【0039】
次いで、縦ピロー包装機1の場合と同様に、演算制御部21が、操作パネル30の入力表示部34に表示された操作画面のスイッチの入力信号を取得し、動作制御部21aが紙継ぎ装置のバキューム装置を作動させてフィルムFiを紙継ぎ台11a’上に吸着固定し、フィルム移送制御部21dがモータ11M、16Mを動作(回転)させ、フィルムFiを包装体数N’に相当する距離(長さ)だけ移送して、包装体Pcを生産し(同ステップS7~S9)、処理を終了する。
このとき、フィルムFiの終端は、紙継ぎ台11a’の紙継ぎ位置P1’まで移動している。
この後、作業者により、必要に応じてフィルムFiの終端近傍が紙継ぎ台11a’の溝に沿って切断されて除去され、紙継ぎ装置のシャフトに新巻取りフィルムMFが装着されてその先端が紙継ぎ台11a’まで繰り出されて、紙継ぎ台11a’に吸着固定され、旧巻取りフィルムから繰り出されていたフィルムと新巻取りフィルムから繰り出すフィルムを接合して繋ぐ紙継ぎが行われる。
このようにして、縦ピロー包装機1’においても、巻取りフィルムMFのフィルムFiの終端を紙継ぎ位置まで確実に移送して紙継ぎを行うことができ、不要となって廃棄されるフィルム量をなくすことができる。
なお、縦ピロー包装機1の場合と同様に、フィルム移送制御部21dがモータ11M、16Mを動作(回転)させ、フィルムFiを移送する際に、フィルムFiの終端が紙管SKから剥がれない場合は、作業者が、操作パネルの入力表示部34に表示された操作画面のスイッチにタッチする前に、作業者が紙管SKに巻き付けられている逆巻きフィルムRF’を巻き戻して、フィルムFiの終端を紙管SKに固定している粘着テープを剥がし、あるいは、フィルムFiの終端近傍を切断して、フィルムFiが紙管SKに固定されていない状態にした後、操作画面のスイッチにタッチしてフィルムFiを移送するようにする。この場合、フィルムFiの終端近傍を切断する場合は、逆巻きフィルムRF’の長さL2’は、切断して除去したフィルムの長さを分だけ短い長さとなる。
【0040】
このように紙継ぎ時における縦ピロー包装機1’の動作は、基本的に縦ピロー包装機1の動作と同じであるが、縦ピロー包装機1’のフィルム移送制御部21dの制御により移送される包装体数N’と、縦ピロー包装機1のフィルム移送制御部21dの制御により移送される包装体数Nは異なり、包装体数N’は包装体数Nより、遥かに大きな数となる。
よって、縦ピロー包装機1’の紙継ぎ時に廃棄されずに包装体Pcの生産に使用されるフィルムFiの量(長さ)は、縦ピロー包装機1の紙継ぎ時に廃棄されずに包装体Pcの生産に使用されるフィルムFiの量(長さ)より、遥かに大きく、本発明の紙継ぎ装置による効果は、縦ピロー包装機1より縦ピロー包装機1’の方がより大きいものとなる。
また、縦ピロー包装機1’においては、逆巻きフィルムRF’の長さL2’は、紙継ぎ位置P1’から位置P2’までのフィルムFiの経路長さL1’に比べては、相当小さいことから、フィルムFiの送りを停止した段階(
図8(b)の状態)で、作業者がフィルムFiを位置P2’で切断して逆巻きフィルムRF’を除去した後、作業者が、操作パネルの入力表示部34に表示された操作画面のスイッチにタッチし、フィルム移送制御部21dの制御により経路長さL1’のフィルムFiを移送するようにしてもよい。
この場合、フィルム移送距離設定部31aが設定する包装体数N’、すなわち、包装体数算出部31a1が算出する包装体数N’、あるいは、フィルム移送距離設定部31aが取得する包装体数N’は、経路長さL1’を包装体Pcの個数に換算した包装体数となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の包装機の紙継ぎ装置は、ダンサローラの位置の変動から巻取りフィルムの終端を検出して紙継ぎを行う包装機において、確実に巻取りフィルムの終端を紙継ぎ位置まで移送し、不要となって廃棄されるフィルム量をなくすことができ、縦ピロー包装機、横ピロー包装機、ラッピング包装機、上包み包装機等の包装機に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
1、1’ 縦ピロー包装機
10、10’ 縦ピロー包装機本体
11、11’ フィルム(包材)供給部
11a、11a’ 紙継ぎ台
11M サーボモータ、
12、12’ 張力調整部
12a、12a’ 回動アーム
12b、12c、12b’、12c’ ダンサローラ
12d、12d’ 固定ローラ
12e 回転ロッド
12RE ロータリーエンコーダ
13 日付印字部
13a 日付印字装置
13b 昇降ローラ
14 被包装品供給部
14a ホッパー
14b 充填筒
15 製筒部
15a 製筒器(フォーマ)
15b 押さえ部材
15c スライドローラ
16 フィルム送り部
16a プーリー
16b 送りベルト
16M サーボモータ
16Ma 回転軸
17 縦シール部
17a、17b 縦シールブロック
18 横シール・切断部
18a、18b 横シールブロック
19 包装体排出部
19a ベルトコンベア
20 縦ピロー包装機制御部
21 演算制御部
21a 動作制御部
21b フィルム張力制御部
21c 動作停止制御部
21d フィルム移送制御部
22 記憶部
23 送受信部
30 操作パネル
31 コンピュータ
31a フィルム移送距離設定部
31a1 包装体数算出部
31a2 包装体数取得部
33 送受信部
34 入力表示部である。
CL 通信回線
Fi フィルム(包材)
gr1~gr4 ガイドローラ
MF 巻取りフィルム
SK 紙管
Pc 包装体
ts 縦シール部分
ys 横シール部分
RF、RF’ 逆巻きフィルム
P1、P1’ 紙継ぎ位置
P2、P2’逆巻きフィルムRF、RF’が紙管SKから離れる位置
PE、PE’ 巻取りフィルムMFの終端の位置
θ、θ’ 回動アーム12a、12a’の傾き角