(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】被加工材の三次元形状加工装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/36 20140101AFI20231023BHJP
B23K 26/146 20140101ALI20231023BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20231023BHJP
【FI】
B23K26/36
B23K26/146
B23K26/00 N
(21)【出願番号】P 2020550895
(86)(22)【出願日】2018-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2018083467
(87)【国際公開番号】W WO2019110580
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-08-12
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506387498
【氏名又は名称】シノヴァ エスアー
【氏名又は名称原語表記】SYNOVA SA
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】リヘルツハーゲン、ベルノルド
(72)【発明者】
【氏名】ヒッペルト、ダーヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ディール、ヘルギ
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03124165(EP,A1)
【文献】特開平11-254161(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012003202(DE,A1)
【文献】特表2017-525568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/36
B23K 26/146
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザービーム(102)を用いる材料の除去加工により被加工材(101)を三次元形状加工するための装置(100)であって、
加圧された液体噴流(104)を放出して被加工材(101)に当て、前記レーザービーム(102)を前記液体噴流(104)の中に入射させて前記液体噴流(104)と結合させて、前記レーザービーム(102)を前記被加工材(101)に向けて伝播させる機械加工ユニット(103)と、
前記機械加工ユニット(103)に対する前記被加工材(101)のx-y-z方向位置を定める移動コントローラ(105)と、
前記被加工材(101)上の加圧された前記液体噴流(104)の入射点(108)のz方向位置を測定する測定ユニット(107)と、
レーザーコントローラ(106)と、を備え
、
前記測定ユニット(107)は、
材料除去加工を行わないでx-y方向面内の被加工材表面(109)を走査して、その走査中に、前記被加工材(101)上の前記液体噴流(104)の複数の入射点(108)のz方向位置を測定することによって前記被加工材表面(109)の輪郭を決定し、
前記装置(100)は、前記被加工材表面から被加工材の材料層を除去加工し、
前記レーザーコントローラ(106)は、
前記被加工材の材料層を除去加工する際に、前記被加工材表面(109)の決定した輪郭に基づいて、複数の異なるx-y方向位置のそれぞれに合わせて前記レーザービーム(102)のエネルギーを調
節する装置(100)。
【請求項2】
前記レーザービームはパルスであり、前記被加工材の材料層を除去加工する際に、前記レーザーコントローラ(106)は
、前記被加工材表面の決定した輪郭に基づいて、前記レーザービーム(102)の
レーザーパルス(200)ごとにそのエネルギーを
個々に調節する、請求項1に記載する装置(100)。
【請求項3】
前記レーザービー
ムはパルスであり、
前記被加工材の材料層を除去加工する際に、
前記レーザーコントローラ(106)は、前記移動コントローラ(105)が各レーザーパルス(200)に対して定めるx-y-z方向位置と
、前記レーザーパルス(200)の前に前記測定ユニット(107)が測定する被加工材(101)上の加圧された前記液体噴流(104)の入射点(108)のz方向位置とに基づいて、前記各レーザーパルス(200)ごとにそのエネルギーを
個々に調節する、請求
項2に記載する装置(100)。
【請求項4】
前記測定ユニット(107)が、前記各レーザーパルス(200)の後で、前記測定ユニット(107)が測定した前記被加工材(101)上の加圧された前記液体噴流(104)の入射点(108)のz方向位置でのそのレーザーパルス(200)の除去加工の結果を判定し、前記レーザーコントローラ(106)が、前記判定した除去加工の結果に基づいて、次の前記レーザーパルス(200)のエネルギーを調節する、請求項3に記載する装置(100)。
【請求項5】
前記レーザーコントローラ(106)が、前記レーザーパルス(200)の幅および/もしくは振幅を定めて、並びに/または前記レーザーパルス(200)のパルスレートと結果的に連続する2個のパルス(200)の間の時間遅れを定め、および/もしくはパルスバースト(201)を作って、前記各レーザーパルス(200)のエネルギーを調節する、請求項3または4に記載する装置(100)。
【請求項6】
前記レーザーコントローラ(106)は、各レーザーパルス(200)に対して前記移動コントローラ(105)が定めた前記被加工材(101)のx-y-z方向位置で、その前記各レーザーパルス(200)が1~1000μmのz方向深さの被加工材の材料を除去するように前記各レーザーパルス(200)のエネルギーを調節する、請求項5に記載する装置(100)。
【請求項7】
前記レーザービーム(102)を発生させるレーザー光源(110)であって、前記レーザーコントローラ(106)と前記レーザーパルス(200)を変調する高速スイッ
チとを含むレーザー光源(110)をさらに有する、請求項3乃至6のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項8】
前記測定ユニット(107)は、2つの連続した前記レーザーパルス(200)の間の時間内に前記被加工材(101)上の前記液体噴流(104)の入射点(108)のz方向位置を測定する、請求項3乃至7のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項9】
前記移動コントローラ(105)は、前記各レーザーパルス(200)の後、前記機械加工ユニット(103)に対する前記被加工材(101)のx-y-z方向位置をステップ単位で、または連続的に変化させる、請求項3乃至8
のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項10】
前記移動コントローラ(105)は、前記被加工材(101)を所定の軌道上で動かす時に、被加工材(101)のx-y-z方向位置を変化させることを加速させ、または減速させ、さらに
前記レーザーコントローラ(106)は、単位距離あたりの前記レーザーパルス(200)の数が前記所定の軌道の間で一定になるように、レーザーパルス周波数を増大または減少させる、請求項9に記載する装置(100)。
【請求項11】
前記被加工材表面(109)を走査している間、前記移動コントローラ(105)が与えるx-y-z方向位置に依り前記レーザービーム(102)を選択的に照射するか、または非照射にする、請求
項2乃至10のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項12】
前記レーザービーム(102)を用いて被加工材の材料の複数の層(800)を一層ずつ除去加工することにより被加工材(101)を形状加工する請求
項2乃至11のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項13】
前記複数の層(800)のそれぞれが、層ごとに予め決められたx-y方向面内の領域を占め、層ごとに予め決められた均一または不均一なz方向の厚さを有する、請求項12に記載する装置(100)。
【請求項14】
前記被加工材(101)の除去しようとする体積からなる積層体で表される部分(601)を算出する処理ユニット(600)をさらに有し、この算出した積層体で表される部分(601)に基づいて被加工材の材料からなる前記複数の層(800)を除去する、請求項12または請求項13に記載する装置(100)。
【請求項15】
前記レーザーコントローラ(106)が、さらに前記処理ユニット(600)から受信した前記積層体で表される部分(601)に基づいて、前記レーザービーム(102)のエネルギーを調節する、請求項14に記載する装置(100)。
【請求項16】
前記測定ユニット(107)は、前記被加工材(101)上の前記液体噴流(104)の入射点(108)の測定したz方向位置を前記処理ユニット(600)にフィードバックし、
前記処理ユニット(600)は、前記測定ユニット(107)からのフィードバックに基づいて、前記積層体で表される部分(601)、特に前記積層体で表される部分(601)の層数を再び算出する、請求項14または請求項15に記載する装置(100)。
【請求項17】
前記処理ユニット(600)は、前記被加工材(101)から除去される各被加工材の材料の層(800)の後、前記積層体で表される部分(601)を再び算出する、請求項14乃至16のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項18】
前記測定ユニット(107)は、x-y方向面内の前記被加工材表面(109)を走査し、それにより前記被加工材(101)上の前記液体噴流(104)の複数の入射点(108)のz方向位置を測定することによって、最後に除去された被加工材の材料層(900)の第1の傾きおよび/または表面凹凸(901)、並びに前記被加工材(101)の被加工材表面(109)の第2の傾きおよび/または表面凹凸(902)を、さらに決定し、
前記測定ユニット(107)が決定した前記第1の傾きおよび/または表面凹凸(901)に基づいて、少なくとも次の一層(800)を除去する、請求項12乃至請求項17のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項19】
前記レーザーコントローラ(106)は、少なくとも次の層(800)のために、前記測定ユニット(107)が決定した前記第1の傾きおよび/または表面凹凸(901)に基づいて、前記各レーザーパルス(200)の後で、前記レーザーパルス(200)のエネルギーをレーザーパルスごとに調節し、および/または前記被加工材(101)のx-y-z方向位置を変えて前記被加工材(101)を動かす軌道を調節する、請求項18に記載する装置(100)。
【請求項20】
前記測定ユニット(107)は、電磁波または超音波を用いて前記被加工材(101)上の前記液体噴流(104)の入射点(108)のz方向位置を測定する、請求項1乃至19のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項21】
前記測定ユニット(107)は、前記液体噴流(104)の有効長さを測定することによって前記被加工材(101)上の前記液体噴流(104)の入射点(108)のz方向位置を測定する、請求項1乃至20のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項22】
前記測定ユニット(107)は、前記液体噴流(104)によって前記被加工材(101)上の前記液体噴流(104)の入射点(108)のz方向位置を測定する、請求項1乃至21のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項23】
前記測定ユニット(107)が前記機械加工ユニット(103)の中に入れられて一体になっている、請求項1乃至22のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項24】
レーザービーム(102)を用いる材料除去加工により被加工材(101)を三次元加工するための方法(1000)であって、
加圧された液体噴流(104)を放出して被加工材(101)に当て、レーザービーム(102)を前記液体噴流(104)の中に入射させ前記液体噴流(104)と結合させて、前記被加工材(101)に向けて該レーザービーム(102)を伝播させること(1001)と、
前記液体噴流に対する前記被加工材(101)のx-y-z方向位置を定めること(1002)と、
前記被加工材(101)上の加圧された前記液体噴流(104)の入射点(108)のz方向位置を測定すること(1003)と、
材料除去加工を行わないで、前記被加工材(101)のx-y方向面内の被加工材表面(109)を走査することと、
その走査中に、前記被加工材(101)上の前記液体噴流(104)の複数の入射点(108)のz方向位置を測定することによって前記被加工材表面(109)の輪郭を決定することと、
前記被加工材表面から被加工材の材料層を除去加工することと、
前記被加工材の材料層を除去加工する際に、前記被加工材表面(109)の決定した輪郭に基づいて、複数の異なるx-y方向位置のそれぞれに合わせて前記レーザービーム(102)のエネルギーを調
節することと、
を含む方法(1000)。
【請求項25】
前記液体噴流(104)にパルス状に入射して前記レーザービーム(102)を前記液体噴流(104)と結合すること(1001)と、
各々のレーザーパルス(200)ごとに、前記被加工材(101)のx-y-z方向位置を定めること(1002)と、
各々のレーザーパルス(200)の前に前記液体噴流(104)の入射点(108)のz方向位置を測定すること(1003)と、
前記レーザーパルス(200)用に定めるx-y-x方向位置と前記レーザーパルス(200)の前に測定される前記被加工材(101)上の加圧された前記液体噴流(104)の入射点(108)のz方向位置とに基づいて、レーザーパルス(200)ごとのエネルギーを調節すること、とを含む、請求項24に記載する方法(1000)。
【請求項26】
前記被加工材表面(109)の前記決定した輪郭に基づいて、前記レーザービーム(102)の前記各々のレーザーパルス(200)の後で、前記レーザービーム(102)の前記各々のレーザーパルス(200)のエネルギーを定め、および/または前記被加工材(101)のx-y-z方向位置を変えて前記液体噴流(104)の軌道を定めることと、を含む、請求項25に記載する方法(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は被加工材を材料の除去加工(アブレーション)により三次元(3D)形状加工して最終部材にする装置に関する。材料の除去加工はレーザービーム、好ましくはパルスレーザーにより行われる。このレーザービームは液体噴流の中でガイドされて被加工材に入射する。本願発明はさらに被加工材を液体噴流の中に入射させてその液体噴流と結合させたレーザービームを用いる材料の除去加工による三次元形状加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧液体噴流に中に入射させ、その加圧液体噴流と結合させたレーザービームを用いて被加工材を機械加工する従来技術の装置が知られている。しかし、そのような従来技術の装置を用いる被加工材の「機械加工」は、完全に切断することおよび貫通孔を穿つことに限定されている。このような装置の機械加工工程の制御は、被加工材を完全な三次元形状加工して最終部材にすることができるほど十分ではない。これは、従来の装置ではレーザービームが除去加工する被加工材のx-y方向位置はわかっているが、材料の除去加工がおきているz方向位置がわかっていないことが主な理由である。その結果、従来の装置は被加工材のz(深さ)方向でレーザービームが実際に除去加工した材料の量を決めることもできない。そのため、従来技術の装置では、例えば被加工材の中まで行う切断または穿孔の深さを精度よく制御することができない。
【0003】
被加工材の三次元形状加工は付加製造法(AM)または除去製造法(SM)のいずれかである。「AM」は材料を堆積する、通常一層ごとに堆積することにより最終部材の所望の三次元形状を作り上げる工程を言うが、「SM」は所望の形状の最終部材を得るために被加工材(中実な塊)から材料を除去する工程を言う。実用的な用途の多くでは、AMよりもSMの方が好まれる。これは、SMを用いることによって、多くの部材がより迅速に、より効率的に、かつより安く製造することができるからである。
【0004】
さらに、より効率的な形状加工工程を実現するために、レーザーSM、すなわちレーザービームを用いて被加工材から材料を除去することは、従来の機械加工の手法、例えばミリングと組み合わせることができる。しかし、従来のレーザーSMは比較的時間がかかり、精度が低い工程である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記事情に鑑み、本願発明は所望の三次元形状を有する部材を製造するための従来技術のSMを改良すること、特に工程速度および精度を改良することを目標とする。この目的のため、本願発明は液体噴流の中に入射させてその液体噴流と結合させたレーザービームを用いて被加工材を機械加工する装置の有利な点を利用する。したがって、液体噴流によってガイドされるレーザービームを用いて被加工材を三次元形状加工するための装置および方法を提供することが本願発明の目的である。特に、このような装置及び方法ならば、被加工材を形状加工して所望する任意の三次元形状を有する最終部材にすることができるはずである。このような形状加工工程は迅速かつ正確でなければならない。そこで、本願発明の装置および方法はSM工程を従来のSMよりも効率的かつ安くするはずである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の目的は特許請求の範囲の独立項中に与えられる解決策によって達成される。本願発明の有利な実施の態様が従属項に定められる。
【0007】
具体的に、本願発明は材料の除去加工により被加工材を三次元形状加工するために液体噴流の中に入射してその液体噴流と結合するレーザービームを用いることを提案する。このレーザービームによって被加工材を形状加工し、被加工材から材料を除去することによって最終部材にする。言い換えれば、最終部材はSMによって得られる。
【0008】
本願発明の第1の特徴は、レーザービームを用いる材料の除去加工により被加工材を三次元形状加工するための装置であって、加圧液体噴流を放出して被加工材に当て、前記レーザービームを前記加圧液体噴流の中に入射させて前記加圧液体噴流と結合させて前記レーザービームを前記被加工材に向けて伝播させる機械加工ユニットと、前記機械加工ユニットに対する前記被加工材のx-y-z方向位置を定める移動コントローラと、前記被加工材上の前記加圧液体噴流の入射点のz方向位置を測定する測定ユニットと、を有する装置である。
【0009】
前記移動コントローラは被加工材を三次元的に動かし、前記レーザービームを用いて任意の3Dの輪郭の形状加工を可能にする。定められたx-y-z方向位置は所定の座標軸(座標)系における原点(0-0-0位置)に対する被加工材の位置に対応する。前記移動コントローラが定める被加工材のx-y-z方向位置は、したがって被加工材が載置される移動可能な機械加工表面の配置によって決まるものでよい。前記移動コントローラは、さらに被加工材を回転方向に沿って被加工材を動かすこと(例えば、回転させること、傾けること、向きを変えること)ができるものでよい。前記移動コントローラは被加工材の位置を高速かつ高精度で変えることができるのが好ましい。そのようにして、材料の除去加工による被加工材の三次元形状加工が現在存在しない速度および精度で可能になる。代わりに、軸システムが前記機械加工ユニットをすべての直線軸および回転軸に沿ってまたはこれらの軸うちのいくつかの軸に沿って動かす。
【0010】
三次元形状加工工程の間、前記測定ユニットは深さセンサーとして機能し、任意の時点および任意の位置での材料の除去加工のz方向位置、すなわち液体噴流とレーザービームが被加工材に当たる部位について知らせる。このz方向位置は普通前記移動コントローラによって定められた材料の表面とは相違する。液体噴流が被加工材表面上を動くと、またはレーザービームが被加工材表面から材料を除去する、すなわちレーザービームが機械加工し被加工材の中に入っていくと、このz方向位置は変わる。後者の場合、前記入射点が被加工材の中に深く入っていく。前記移動コントローラがz方向位置も定める一つの理由は、形状加工工程の制御を確実に行うためである。液体噴流発生点から被加工材に液体噴流が当たる個所までの距離が常に所定の範囲内になるように被加工材を配置するのが好ましい。したがって、被加工材からz方向に次々と被加工材の材料が除去されても、被加工材は常に最も効率的にレーザービームをガイドする液体噴流の部分と相互作用することができる。注目すべき点は、本明細書中で「液体噴流」という語はファイバのようにレーザービームをガイドできる層流の液体噴流を意味することである。前記装置から放出される液体は所定の長さまで層流の液体噴流を形成し、その所定の長さを超えると液体噴流は不安定な液体の流れとなり、最後には散りじりになって液滴になってしまうのである。
【0011】
本明細書中では、被加工材上の前記液体噴流の入射点のz方向位置を「測定する」ことは、所定の物理量を少なくとも一つ実際に測定することを含む。例えば、この「測定する」ことは、前記測定ユニットが波を放射した時点と前記測定ユニットが被加工材から反射した波を受波した時点の時間差を測定する測定でもよい。別の例として、干渉の原理を用いる場合は、この「測定する」ことには、複数の異なる波の位相差を測定することが含まれるものでよい。別の例として、この「測定する」ことには、液体噴流の有効長さを光学的に、電気的にまたは静電容量を用いて測定することが含まれるものでよい。z方向位置を「測定する」ことは、例えば前記装置、被加工材および/または最終部品の所定の既知の寸法に基づいて、z方向位置を推定することを単に意味するわけではない。測定された被加工材上の液体噴流の入射点のz方向位置により、レーザービームによって所定のx-y方向位置において被加工材からz方向にどれくらいの材料が除去されたかを判定することができる。完全な三次元形状加工能力を得るためには、この情報が極めて重要である。材料の除去加工が行われているx-y方向位置は、前記移動コントローラが定めたx-y-z方向位置のx-y座標から求めることができる。したがって、第1の特徴にかかる装置は被加工材の三次元形状加工工程について完全な制御および位置の情報を有している。
【0012】
したがって、前記装置が被加工材上の加圧液体噴流の入射点のz方向位置に基づいて材料の除去加工による被加工材の三次元形状加工を制御するのは有利である。
【0013】
第1の特徴の好ましい実施の態様では、レーザーコントローラが、前記移動コントローラが定めたx-y-z方向位置および前記測定ユニットが測定する被加工材上の加圧液体噴流の入射点のz方向位置に基づいてレーザービームのパワーまたはエネルギーを調節する。そのようにすれば、迅速な、高精度な、さらに完全に制御された被加工材の三次元形状加工工程が可能である。
【0014】
第1の特徴の別の実施の態様では、レーザービームはパルスであり、前記装置は前記移動コントローラが各レーザーパルスに対して定めるx-y-z方向位置と、そのレーザーパルスの前に前記測定ユニットが測定する被加工材上の加圧液体噴流の入射点のz方向位置とに基づいて、前記各レーザーパルスごとにそのエネルギーを調節するレーザーコントローラをさらに有する。
【0015】
このことは、前記装置が各レーザーパルスのエネルギーをレーザーパルスごとに調節して、(レーザー除去が起きる所定位置で)被加工材のz方向の材料除去を所定の量(深さ)にできることである。特に、各レーザーパルスの除去加工結果を迅速で、しかも直接的に制御できる。その結果、迅速で精度の高い被加工材の形状加工工程が可能になる。
【0016】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記測定ユニットが各レーザーパルスの後で、前記測定ユニットが測定した被加工材上の加工液体噴流の入射点のz方向位置でのそのレーザーパルスの除去加工の結果を判定し、前記レーザーコントローラが前記判定した除去加工の結果に基づいて次のレーザーパルスのエネルギーを調節する。
【0017】
したがって、前記装置はレーザーパルスによりz方向で除去された材料の量について知り、次のレーザーパルスのエネルギーを定める時にこの情報を考慮することができる。被加工材から表面層を除去するため、2個のレーザーパルスは被加工材上の異なるx-y方向位置に当たるものでよい。しかし、所定の量の材料を除去する、または除去加工の結果を修正するため、2個のレーザーパルスは被加工材上の同じx-y方向位置に当たるものでもよい。結果として、前記装置は被加工材の各位置での除去加工を調整して、極めて高精度で被加工材の三次元加工を行うことができる。
【0018】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記レーザーコントローラが前記レーザーパルスの幅および/もしくは振幅を定めて、並びに/または前記レーザーパルスのパルスレートと結果的に連続する2個のパルスの間の時間遅れを定め、および/もしくはパルスバーストを作って、前記各レーザーパルスのエネルギーを、調節する。
【0019】
したがって、前記装置はレーザービーム除去加工を制御するいくつかの手段を備えており、このことが三次元形状加工工程の精度および効率をさらに高める。
【0020】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記レーザーコントローラは、各レーザーパルスに対して前記移動コントローラが定めた被加工材のx-y-z方向位置で、そのレーザーパルスが1~1000μmのz方向深さの被加工材の材料を除去するように各レーザーパルスのエネルギーを調節する。
【0021】
したがって、前記装置は各x-y方向位置でz方向の除去加工深さをx-y方向位置ごとに定める。そのため、前記装置は被加工材の表面から一つ以上の層を除去する。それによって、除去される層の厚さは1~1000μmの間で、好ましくは1~200μmの間で均一でもよいし、不均一でもよい。
【0022】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記装置は、レーザービームを発生させるレーザー光源であって、前記レーザーコントローラとレーザーパルスを変調する高速スイッチ、好ましくはQスイッチを含むレーザー光源をさらに有する。
【0023】
前記装置はレーザー光源を含む。前記高速スイッチにより、前記装置はレーザーパルスを高速で変調し、複数のレーザーパルスのエネルギーを正確に、しかもレーザーパルスごとに0%から100%まで調節できる。したがって、高速かつ高精度の三次元形状加工が支援される。
【0024】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記測定ユニットは2つの連続したレーザーパルスの間の時間内に被加工材上の前記液体噴流の入射点のz方向位置を測定する。
【0025】
このようにすれば、前記装置が行うz方向位置の測定によって、複数のレーザービームパルスによって生じる材料の除去加工が妨げられない。その結果、z方向位置の測定の精度も高くなる。三次元形状加工工程の制御も比較的容易になる。
【0026】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記移動コントローラは各レーザーパルスの後、前記機械加工ユニットに対する被加工材のx-y-z方向位置をステップ単位で、または連続的に変化させる。
【0027】
したがって、前記装置は被加工材の決められたx-y方向位置で、パルス単位で材料を除去加工することができる。その結果、完全にデジタル化した材料除去加工工程が可能になる。材料からなる複数の層または構造体を被加工材の表面から除去できる。除去される層は表面全体を覆うものでもよいし、または表面の一部のみを覆うものでもよい。このようにして、被加工材の複数の異なる領域を領域ごとに異なるz方向深さまで材料を除去することができ、それによって被加工材を三次元形状加工することができる。
【0028】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記移動コントローラは被加工材を所定の軌道上で動かす時に、被加工材のx-y-z方向位置を変化させることを加速させ、または減速させ、さらに前記レーザーコントローラは単位距離あたりのレーザーパルスの数が前記軌道の間で一定になるように、レーザーパルス周波数を増大または減少させる。
【0029】
材料の除去加工工程の精度は、このようにして高めることができる。注目すべき点は、所定の段階の動きをしている間または被加工材の所定の領域内では、前記レーザーコントローラは通常より多いまたは通常より少ないレーザーパルスを照射することも可能であることである。例えば、通常より多いまたは通常より少ないレーザーパルスの照射により得られる通常より精度の高い加工または通常より精度の低い加工(または通常より多くの材料または通常より少ない材料の除去が必要とされる)が局所的にのみ必要な場合である。
【0030】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記レーザービームがx-y方向面内の前記被加工材表面を走査するように、前記移動ユニットが被加工材のx-y-z方向位置を繰り返し変える。
【0031】
例えば、被加工材のx-y-z方向位置は各レーザーパルスの後に変えてよい。そのようにすれば、被加工材全体(または、帆加工材の一部のみ)を覆う層を除去加工できる。このことにより、被加工材を高精度で修正可能に三次元形状加工して最終部品にすることができる。
【0032】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記装置が前記被加工材表面を走査している間、前記移動コントローラが与えるx-y-z方向位置に依り前記レーザービームを選択的に照射するか、または非照射にする。
【0033】
被加工材を連続的に動かす間、レーザービームはレーザー光源の高速スイッチ、例えばQ-スイッチにより選択的に照射されるか、または非照射にされる(「動きながら変える」)。移動コントローラは動作中に様々なx-y-z方向位置でレーザーコントローラに信号を送り、この信号にしたがって前記高速スイッチが制御される。その結果、レーザービームは移動コントローラが定める所定のx-y-z方向位置では照射されて材料を除去し、移動コントローラが定める他のx-y-z方向位置では非照射にされて材料を除去しない。このようにすれば、材料除去加工が行われるか否かは機械加工ユニットに対する被加工材の位置に依り、所定の位置または所定の領域のみで材料除去加工が行われることになり、また材料除去加工の速度は一定であり、このことはさらに材料除去の深さが一定になることを意味する。前記装置はこのように高速加工処理ができる利点を有する。
【0034】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、レーザービームを用いて被加工材の材料の複数の層を一層ずつ除去加工することにより被加工材を形状加工する。
【0035】
前記したように各層の厚さは1~1000μmであり、各層は均一な厚さでなくてもよい。さらに、各層は被加工材表面の異なる部分を覆うものでもよい。したがって、被加工材を一層ずつ正確に形状加工して所望の三次元形状にすることが可能である。
【0036】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記複数の層のそれぞれが、層ごとに予め決められたx-y方向面内の領域を占め、層ごとに予め決められた均一または不均一なz方向の厚さを有する。
【0037】
各層の領域および厚さは層ごとに決めることができる。複数の層が層ごとに除去されていくことによって、被加工材の材料の除去される総体積になり、残った被加工材の材料からなる最終的な三次元部材が生まれる。
【0038】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、被加工材の除去しようとする体積からなる積層体で表される部分を算出する処理ユニットをさらに有し、この算出した積層体で表される部分に基づいて被加工材の材料からなる前記複数の層を除去する。
【0039】
積層体で表される部分は三次元加工工程の前またはその間に算出され、除去される被加工材の材料の全体の体積および形状を決めるデジタル入力として機能する。したがって、除去加工工程を完全に、かつ正確に調節することができる。積層体で表される部分は材料除去加工工程の間に調節することも可能にする。
【0040】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記レーザーコントローラが、さらに前記処理ユニットから受信した前記積層体で表される部分に基づいて、レーザービームのエネルギーを調節する。
【0041】
具体的に言うと、前記レーザーコントローラは積層体で表される部分に基づいて各レーザーパルスのエネルギーを調節することができる。積層体で表される部分はデジタル入力として、または前記装置のプログラミングするために働き、正確で完全な三次元除去加工工程を行うことを可能にする。
【0042】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記測定ユニットは被加工材上の液体噴流の入射点の測定したz方向位置を前記処理ユニットにフィードバックし、前記処理ユニットは前記測定ユニットからのフィードバックに基づいて前記積層体で表される部分、特に前記積層体で表される部分の層数を再び算出する。
【0043】
このような手法により、除去加工工程が調整されてその精度が高められる。例えば、所定の位置で、または所定のレーザーパルスを用いて行おうとする材料除去は、その材料除去の結果と一致しない場合、このずれを考慮して、三次元形状加工工程の精度を補償し、保証する。
【0044】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記処理ユニットは前記被加工材から除去される各被加工材の材料層の後、前記積層体で表される部分を再び算出する。
【0045】
このような手法により、形状加工工程中に起きる凹凸のような、予定していた除去の結果との誤差およびずれが早期に矯正される。その結果、被加工材を三次元形状加工した最終部品の精度が向上する。
【0046】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記測定ユニットはx-y方向面内の被加工材表面を走査し、それにより被加工材上の液体噴流の複数の入射点でのz方向位置を測定することによって最後に除去された被加工材の材料層の第1の傾きおよび/または表面凹凸を決め、さらに前記被加工材の表面の第2の傾きおよび/または表面凹凸を決め、少なくとも前記測定ユニットが決定した前記第1の傾きおよび/または表面凹凸に基づいて、少なくとも次の1層または次の複数の層を除去する。
【0047】
除去工程中に誤って生じる任意の傾きまたは凹凸は次の層を用いて、または次の層から矯正できる。傾きおよび/または凹凸を完全に補償するには1層以上の層が必要になる。その結果、予定していた除去加工の結果からのずれが、工程が継続する間に悪化し、最悪の場合、所定の時点では矯正できなくなるということを回避できる。
【0048】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記レーザーコントローラは少なくとも次の層のために、前記測定ユニットが決定した第1の傾きおよび/または表面凹凸に基づいて、各レーザーパルスのエネルギーをレーザーパルスごとに調節し、さらに/または各レーザーパルスの後にx-y-z方向位置を変えて被加工材を動かす軌道を調節する。
【0049】
被加工材と液体噴流とが互いに相対的に動くことにより、被加工材が移動する軌道を変えることはまた、液体噴流が被加工材表面全体にわたって動く時の液体噴流の軌道を変えることを意味する。被加工材の移動の軌道を変えることには、具体的に動きの方向、動きの速度、加速度および/または曲線移動の半径を変えることを含むものとしてよい。
【0050】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記測定ユニットは電磁波または音波を用いて被加工材上の液体噴流の入射点のz方向位置を測定する。
【0051】
電磁放射光または音波は、被加工材から材料除去を一切しないような電磁放射光または音波を選ぶことが好ましい。このようにすれば、除去加工工程を妨げることなく、被加工材上の液体噴流の入射点を正確に決めることができる。
【0052】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記測定ユニットが液体噴流の有効長さを測定することによって被加工材上の液体噴流の入射点のz方向位置を測定する。
【0053】
例えば、測定ユニットは液体噴流中でガイドされるレーザー光を用いて液体噴流の有効長さを測定できる。有効長さは所定の測定範囲によって定義される。測定された有効長さの変化は、例えば前記機械加工ユニットと被加工材の間の完全な長さについての正確な指標となり、したがって被加工材上の液体噴流の入射点のz方向位置についての正確な指標となる。
【0054】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記測定ユニットは液体噴流によって被加工材上の液体噴流の入射点のz方向位置を測定する。
【0055】
具体的に、前記測定ユニットは例えば電磁放射光または音波を放射し、液体噴流を通して被加工材に入射させる。したがって、この電磁放射光または音波は液体噴流によりガイドされてz方向位置を測定するx-y方向位置まで正確に伝播する。反射した電磁放射光または音波も液体噴流中でガイドされて測定ユニットに戻る。例えば、この電磁放射光または音波の放射と受波する時間差に基づいて、被加工材上の液体噴流の入射点のz方向位置を高精度で測定することができる。したがって、極めて高精度な除去加工工程が可能になる。
【0056】
第1の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記測定ユニットが前記機械加工ユニットの中に入れられて一体になっている。
【0057】
このようにすれば、前記装置は極めて小型になり、前記装置自体が被加工材の任意の部分上の液体噴流の入射点のz方向位置を測定できる。
【0058】
本願発明の第2の特徴は、レーザービームを用いる材料除去加工により被加工材を三次元加工するための方法であって、加圧液体噴流を放出して被加工材に当て、レーザービームを前記液体噴流の中に入射させ、その液体噴流と結合させて、前記被加工材に向けて該レーザービームを伝播させること、前記液体噴流に対する前記被加工材のx-y-z方向位置を定めること、および前記被加工材上の前記加圧液体噴流の入射点のz方向位置を測定することを含む方法を与える。
【0059】
前記方法が有利な点は、被加工材上の加圧液体噴流の入射点の定められたx-y-z方向位置の組と被加工材上の加圧液体噴流の入射点の測定されたz方向位置に基づいてレーザービームのエネルギーを調節することである。
【0060】
第2の特徴の別の好ましい実施の態様では、前記方法では、液体噴流に入射して液体噴流と結合するレーザービームはパルスになっており、被加工材のx-y-z方向位置を定めることは各レーザーパルスに対して行い、各レーザーパルスの前に液体噴流の入射点のz方向位置を測定し、前記方法はさらに、各レーザーパルス用に定めるx-y-z方向位置と、各レーザーパルスの前に測定される被加工材上の加圧液体噴流の入射点のz方向位置とに基づいて、レーザーパルスごとに各レーザーパルスのエネルギーを調節することを含む。
【0061】
第2の特徴の別の好ましい実施の態様では、x-y方向面内の被加工材の表面を走査すること、被加工材上の液体噴流の複数の入射点のz方向位置を測定することによって前記表面の輪郭を決めること、および、前記表面の前記決めた輪郭に基づいて、レーザーパルスのエネルギーを定め、さらに/または各レーザーパルスの後に被加工材のx-y-z方向位置を変えて被加工材を動かす軌道を定めることを前記方法は含む。
【0062】
第2の特徴の前記方法は、第1特徴の装置の効果および利点として説明したのと同じ効果および利点を与える。注目すべき点は、第2の特徴の前記方法は第1の特徴の前記装置で説明した実施の態様にしたがう実施の態様とともに展開できることである。前記方法は第1の特徴の前記装置によって実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
前記した本願発明の特徴および実施の態様は、本明細書添付した次の図面と関連する所定の実施形態の記載により説明される。
【
図1】
図1は本願発明の実施形態にかかる装置を示す。
【
図2】
図2(a)、(b)、(c)は本願発明の実施形態にかかる装置による可能なレーザーパルスの制御方法を示す。
【
図3】
図3は願発明の実施形態にかかる装置によりレーザー周波数およびレーザーパルス数を被加工材の移動に適合させることを示す。
【
図4】
図4は本願発明の実施形態にかかる装置を示す。
【
図5】
図5(a)は本願発明の実施形態にかかる装置を示し、
図5(b)は2個のレーザーパルスの間でのz方向位置測定スキームを示す。
【
図6】
図6は本願発明の実施形態にかかる装置内で算出される除去しようとする量からなる積層体で表される部分を示す図である。
【
図7】
図7は本願発明の実施形態にかかる装置内での液体噴流の中に入射し同液体噴流と結合したレーザービームにより行う被加工材表面の走査を示す。
【
図8】本願発明の実施形態にかかる装置による被加工材の材料の一層ごとの除去工程を示す。
【
図9】
図9は本願発明の実施形態にかかる装置が行う表面の傾きおよび/または凹凸の訂正方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は本願発明の実施形態にかかる装置100を示す。具体的に、
図1はが示す装置100はレーザービーム102を用いる材料除去加工により被加工材を三次元までの形状加工を(完全三次元形状加工)行う。この目的のため、装置100は少なくとも一つの機械加工ユニット103と、移動コントローラ105と、測定ユニット107とを有する。好ましくは、装置100はレーザービーム102を発生するレーザー光源110を制御するレーザーコントローラ106をさらに有する。したがって、レーザー光源110は装置100の一部である。レーザーコントローラ106とレーザー光源110は
図1中点線で示されている。
【0065】
機械加工ユニット103は加圧液体噴流104を放出して被加工材101に当てる。加圧液体噴流104の液体は水であることが好ましい。被加工材101はレーザービーム102を加圧液体噴流104の中に入射させてレーザービーム102を加圧液体噴流104と結合させる。レーザービーム102は、特に限定されるわけではないが金属、セラミックス、ダイヤモンド、半導体、合金、超合金または超硬材料を含む材料の切断および形状加工に適した高光強度レーザービームである。レーザービーム102の代表的なレーザーパワーは1~2000Wである。
【0066】
移動コントローラ105は被加工材101の機械加工ユニット103に対するx-y-z方向位置を定め、すなわち移動コントローラ105は3次元方向の被加工材101の動きを制御する。この目的のため、移動コントローラ105は被加工材101もしくは機械加工ユニット103を動かすこと、または被加工材101を動かすことと機械加工ユニット103を動かすことを組み合わせること、のいずれかを行うものでよい。被加工材101は機械加工表面上に配置されるものでよい。この機械加工表面は装置100の一部でもよいし、一部でなくてもよい。いずれの場合でも、装置100はこの機械加工表面上に配置された被加工材101を機械加工できるような構成を有する。
図1に示すように、移動コントローラ105は被加工材101が配置される移動可能な機械加工表面に対して定めるx-y-z方向位置を与えるものでよい。その結果、この機械加工表面は予め較正された軸(座標)系の内部でこの位置に配置される。
【0067】
測定ユニット107は被加工材101上のz方向における加圧液体噴流104の(したがってレーザービーム102の)入射点108を測定する。入射点108は被加工材表面109上の点か、または例えばレーザービーム102によって定められたx-y方向位置にある被加工材の材料が既に除去加工されている場合は被加工材表面109の下方の点としてよい。すなわち、入射点108は
図1に示すように被加工材表面109内の溝またはくぼみ111の中にあることもある。測定ユニット107が測定する点z
pは材料除去加工のz方向位置、すなわちレーザービーム102によって機械加工される被加工材の深さを示すので、レーザービーム102は深さセンサーと言ってもよい。
【0068】
測定ユニット107は、特に液体噴流104が被加工材表面109に沿って動く場合、複数の入射点108の複数のz方向位置zpを測定できるものであることが好ましい。このようにすれば、測定ユニット107は被加工材101の正確な表面形状を測定できる。注目すべき点は、液体噴流104の進行方向は好ましくは鉛直方向に平行な方向であるが、鉛直方向に対して所定の角度をなす方向にすることもできることである。液体噴流104は加圧されているので、液体噴流104は常に真っ直ぐに進行する。この場合のz方向は鉛直方向かつ/または液体噴流104の進行方向に平行な方向としているが、そうでなくてもよい。x-y方向面は通常z方向に対して直角である。
【0069】
オプションであるが好ましいレーザーコントローラ106はレーザービーム102を機械加工ユニット103に供給する。レーザーコントローラ106は、好ましくは移動コントローラ105が定める被加工材101のx-y-z方向位置を与えられる。さらに、レーザーコントローラ106には被加工材101上の最後に測定された入射点108のz方向位置が与えられるものでよい。好ましくは、レーザーコントローラ106は、移動コントローラ105が定めるx-y-z方向位置に基づいて、および/または測定ユニット107が測定した一つ以上のz方向位置zpに基づいて、レーザービーム102のレーザーパワーを調節できる。
【0070】
好都合なことに、装置100が用いるレーザービーム102はパルスにしてよい。このため、レーザー光源110はパルスレーザービーム102を供給するものでよい。好ましくはレーザーコントローラ106がパルスの幅、パルスの振幅、パルスレート等を調節する。この場合、移動コントローラ105が各レーザーパルス200用に定めるx-y-z方向位置に基づいて、さらに測定ユニット107がその各レーザーパルス200の前に測定する被加工材101上の加圧液体噴流104の入射点108のz方向位置に基づいて、レーザーコントローラ106は各レーザーパルス200のエネルギーを調節する。
【0071】
このようにすれば、各レーザーパルスにより生じる被加工材の除去を特に迅速に、しかも直接的に調節できる。したがって、被加工材101の高精度の三次元形状加工が可能になる。特にレーザーコントローラ106と移動コントローラ105の両方が高速の動作が可能であるならば、極めて精度の高い三次元の輪郭をいかなる既知の技術をも上回る速度と精度で作り出すことができる。
【0072】
図2は装置100によって、特にレーザーコントローラ106によって一つ以上のレーザーパルス200のエネルギーをどのようにして調節できるかを示す。
図2(a)はレーザーコントローラ106がレーザーパルスの幅を定めることを示す。
図2(a)中で、すべてのレーザーパルス200が100%の振幅を有しているのがわかるが、これらのレーザーパルス200が異なる幅(すなわち、継続時間)を有し、これらの幅にはτ1、τ2およびτ3の符号が付けられている。したがって、各レーザーパルス200により与えられるエネルギーは異なる。
【0073】
図2(b)はレーザーコントローラ106が各レーザーパルス200の振幅も定めることができることを示す。ここでも、3個のレーザーパルス200が示されている。しかし、第1のレーザーパルス200のみが100%の振幅A
1を有している、他のレーザーパルス200はそれぞれ低い振幅A
2またはA
3を有している。したがって、各レーザーパルス200のレーザーパルスエネルギーは異なる。
【0074】
図2(c)はレーザーコントローラ106がさらにパルスレートを調節し、その結果連続する2個のレーザーパルス200の間の時間遅れを調節できることを示す。さらに、レーザーコントローラ106はパルスバースト201を作ることができる。最初の3個のパルス200(
図2(c)中の左側)がパルスバースト201を構成し、そのため連続する2個のパルス200の間の時間遅れΔ1が短い、すべてのパルス200は同一のパルス幅τ0を有している。対照的に、後半の3個のパルス200(
図2中の右側)は連続する2個のパルス200の間の時間遅れΔ2が大きい。ずなわち、後半の3個のレーザーパルス200のパルスレートは低い。したがって、レーザービーム102は、パルスバースト201とその他の複数のパルス200を用いて単位時間あたりに異なるエネルギーを与える。
【0075】
移動コントローラ105は機械加工ユニット103に対する被加工材101のx-y-z方向の位置を変えるのが好ましい。特に、レーザービームがパルスの場合、移動コントローラ105は各レーザーパルス200の後に被加工材101の位置を変えることができる。そのため、被加工材の位置はステップ単位で、または連続的に変えられる。移動コントローラ105が被加工材101を所定の軌道上で動かしながら、被加工材101のx-y-z方向位置の変化を加速させる、または減速させることも可能である。このことは
図3(1)に示され、同図では被加工材101が動く速度が時間とともに変化している。被加工材は具体的にはx-、y-、z-方向軸に沿って、または回転方向A、B,Cに沿って動かされる。
【0076】
レーザーコントローラ106は(
図3(3)に示すように)移動する軌道の間で単位距離あたりのレーザーパルス200の数が一定になるように(
図3(2)に示すように)レーザーパルス周波数を増加または減少できる。そのため移動コントローラ105はレーザーコントローラ106に情報を送って、移動する軌道の間でのパルス200の数が、座標軸系でのいかなる加速および減速の段階があっても変わらないようにする。
【0077】
しかし、移動コントローラ105はレーザーコントローラ106に知らせて、または命令して、速度に依りパルス200の数を調節して、例えば1mmより小さい半径の回転運動が行われる時は、レーザーコントローラ106が例えばより多くのパルス200を発生させるようにする。さらに
図3のスキームはレーザー周波数(パルスレート)に関して適用できるだけでなく、
図2で示したレーザーエネルギーを調節する他のオプションを用いても適用可能である。
【0078】
装置100はさらに高速レーザー切り替え制御を用いて、
図7中に示すように、また
図7に関して以下で説明するように座標軸系により被加工材の表面走査像が決まると、被加工材101が連続して動く間に機械加工ユニット103に対する被加工材101の実際の位置に依存するこの表面走査像の所定の領域のみに、除去加工用のレーザービーム102が作動するようになっている。このような動作は移動コントローラ105によるx-y-z方向位置の出力が高速であるおかげである。前記したやり方により、装置100はレーザーの周波数を補償する必要がなく、一定の速度で材料を除去する加工(一定の深さを意味する)を行い、しかもその加工を迅速に行う利点を有する。
【0079】
図4は
図1に示す装置100を発展させた本願発明の実施形態にかかる装置100を示す。
図1と
図4の中にある同じ要素は同じ参照符号を有し、同様な働きをする。
図4の装置100も機械加工ユニット103を有し、さらにレーザービーム102を機械加工ユニット103に供給するレーザー光源110を有する。この場合、レーザービーム102はレーザー光源110から機械加工ユニット103に光ファイバ401によって供給される。機械加工ユニット103内では、レーザービーム102が直接的に、または一つ以上の光学素子402を用いて優先的に、液体噴流104の中に入射して液体噴流104と結合する。この光学素子402はレンズ、レンズ組み立て部品またはレーザービームを合焦させて液体噴流の中に入射させる他の任意の適切な素子としてよい。
【0080】
機械加工ユニット103の端部から少なくとも一つの光学素子402までレーザービーム102をガイドするため、機械加工ユニット103はさらにビームスプリッター、ミラー、格子、フィルタ等の他の光学素子を含むものでもよい。光構成部(ここでは、光学素子402)を液体回路および液体噴流104が作られる機械加工ユニット103の領域と隔離するため、機械加工ユニット103はさらに光学的に透明な保護窓(図示せず)を含んでもよい。通常、液体噴流104は液体ノズル開口を有する液体噴流発生ノズルによって作られ、作られた液体噴流104はこのノズルを介して機械加工ユニット103から放出される。
【0081】
レーザー光源110はレーザーコントローラ106とレーザー共振器403を含む。もしもレーザービーム102がパルスレーザービームならば、レーザー光源110はレーザーパルス200を変調するスイッチ400を含むものでよい。好ましい実施の態様では、スイッチ400は0%と100%の間で光強度を極めて高速で変調する能力を有するQスイッチである。スイッチ400はレーザーコントローラ106により制御される。
【0082】
図5(a)は
図1に示す装置100を発展させた本願発明の実施形態にかかる装置100を示す。
図1と
図5(a)の中にある同じ要素は同じ参照符号を有し、同様な働きをする。具体的に、
図5(a)は装置100の機械加工ユニット103とレーザービーム102をガイドして被加工材101の上に入射させる液体噴流104を示す。
図5(a)の装置100は測定ユニット107を有し、この測定ユニット107は機械加工ユニット103の中に入れて機械加工ユニット103と一体にするのが好都合である。このようにすれば、測定ユニット107は被加工材101上の液体噴流104の入射点108のz方向位置を、液体噴流104を通して測定できる。このことにより、装置100を小型にすることが可能になり、同時に被加工材101の所定のx-y方向位置でのz方向位置を高精度かつ高速で測定することが可能になる。
図5(a)は現在測定されるz方向位置が被加工表面109内のくぼみ111の中にある、すなわち被加工表面109よりもz方向において下にあるということを示している。しかし、測定ユニット107は被加工表面109上の液体噴流104の入射点108のz方向位置も同様に測定することができる。
【0083】
測定ユニット107は電磁放射光または音波を用いて前記したz方向位置を測定できる。測定ユニット107は電磁放射光または音波を放射し、この電磁放射光または音波が全反射により液体噴流104中でガイドされて被加工材101上に入射する。測定ユニット107は反射した電磁放射光または音波を同様に受波する。これらの反射信号は液体噴流104中を通って測定ユニット107に向かって伝播する。例えば、対応する信号の送信と受信の時間差を求めることによって、測定ユニット107は入射点108のz方向位置を計算できる。このz方向位置から測定ユニット107はさらに液体噴流104の長さ、例えば機械加工ユニット103と被加工材表面109または図に示される被加工材表面109内のくぼみ111との間の完全な長さlを求めることができる。
【0084】
図5(b)は測定ユニット107がどの時点で被加工材101上の液体噴流104の入射点108のz方向位置を測定するか、すなわち後続の2つのレーザーパルス200の間の時間内のどの時点で測定されるかを示す(点線参照)。言い換えれば、測定ユニット107は各レーザーパルス200の後と前でそれぞれ前記z方向位置を測定するものでよい。レーザーパルス200を供給している間は、測定が行わないのが好ましい。このようにすれば、測定ユニット107が行う測定によって、レーザーパルス200によって生じる材料除去加工が妨げられない。
【0085】
注目すべき点は、装置100が材料除去加工のためにレーザービーム102またはレーザーパルス200を被加工材101上に入射させることを始める前に、測定ユニット107は被加工材表面109を完全に走査して、測定することが可能であることである。例えば、装置100はレーザービーム102を用いて被加工材の材料の複数の層を1層ずつ除去して、被加工材101を形状加工できる。この場合、測定ユニット107は各層の前に電磁放射光または音波により被加工材表面109を走査して、それにより被加工材表面109の表面形状を決めることができる。決定した表面形状に基づいて、レーザーコントローラ106は次の層の除去加工を制御するためにレーザービーム102またはレーザーパルス200ごとのエネルギーを調節することができる。
【0086】
図6は
図1、
図4または
図5(a)に示す本願発明の実施形態にかかる装置100に含めることができる有利なユニットをさらに示している。具体的に、装置100は処理ユニット600を有し、処理ユニット600は被加工材101のこれから除去加工する体積からなる積層体で表される部分601を算出する。これから除去加工する体積とは、すなわち複数の層によって表される材料の体積であって、最終部品の形状にするために元の被加工材101から除去されるべき体積である。算出した積層体で表される部分601に基づいて装置100は被加工材101をほとんどの場合形状加工することができる。
【0087】
積層体で表される部分601を作るため、コンピュータ支援設計(CAD)による手法を用いることができる。積層体で表される部分601は複数の層を含み、各層は定められた厚さを有していて、これらの複数の層の和が被加工材101から除去されなければならない体積となる。これらの複数の層は被加工材101を各回の完全な表面の走査で除去される材料の量を示す。積層体で表される部分601は処理ユニット600によってレーザーコントローラ106に与えられ、レーザーコントローラ106は、積層体で表される部分601に基づき各層の厚さを定められた厚さにするためにレーザービーム102のエネルギーまたは各レーザーパルス200のエネルギーを調節できる。
【0088】
図7は装置100がレーザービーム102をガイドする液体噴流104を用いて被加工材101の表面の走査を実施するやり方を示す(材料を除去しない状態で表面109を測定する場合、液体噴流104を用いない)。この目的で、移動コントローラ105は液体噴流104および/またはレーザービーム102が水平面であるx-y方向面内の被加工材表面109を走査するように被加工材101のx-y方向位置を変化させる。この表面走査は一つのラインごとに、一列ごとに、または任意の適切なやり方で行われる。具体的に、移動コントローラ105は(レーザービーム102がパルスの場合は)各レーザーパルス200の後で被加工材101の位置を変化させる。
【0089】
表面走査が行われるたびに、レーザービームエネルギーが正しく定められれば材料が被加工材101から除去される。例えば、レーザービーム102または各レーザーパルス200には、被加工材101の所定のx-y-z方向位置での1~1000μmのz方向深さ分の被加工材を除去するようなエネルギーが与えられている。このようにすれば、被加工材表面109を完全に走査するたびに、1~1000μmの厚さの層を除去することができる。除去される層のz方向厚さは均一でもいいし、不均一でもよい。レーザービームエネルギーを十分に低く定めていれば、またはレーザービーム102を止めていれば、表面の走査を材料の除去加工なしで行ってもよい。このような走査をすれば、測定ユニット107は被加工材表面109の輪郭を測定できる。
【0090】
図8は被加工材101が被加工材の材料からなる複数の層800を1層ごとに除去することによって被加工材101を形状加工するやり方を図解する。複数の層800は
図6中に示される算出された積層体で表される部分601と同一としてよい。複数の層800の各層はx-y方向面内の所定の領域を有し、この所定の領域は移動コントローラ105が定めるx-y方向位置により決まる。好ましくは、移動コントローラ105は積層体で表される部分601に基づき被加工材のx-y-z方向位置を定める。
【0091】
各層800のz方向の厚さは層によって均一であっても、不均一であってもよい。ここで層の厚さはレーザーコントローラ106が機械加工ユニット103に対する被加工材101の各x-y-z方向位置に対して定めるレーザーエネルギーによるものである。被加工材101の定められた各x-y-z方向位置に対して、装置100は被加工材101上の液体噴流104の入射点108のz方向位置を測定して、その測定した位置にしたがってレーザーパワーを調節する。その結果、被加工材の各位置で所定のz方向深さの被加工材の材料が除去される。
【0092】
図9は
図1、
図4または
図5(a)に示される本願発明の実施形態にかかる装置が被加工材の材料を除去加工している間に、間違って発生する傾きおよび/または凹凸を修正することができることを示す。もしもこのような傾きおよび/または凹凸を早い段階で修正しないと、各層800の加工ごとに誤差が累積して、最終部品が不正確な三次元形状になってしまう。特に測定ユニット107は最後に除去された被加工材の材料層900の傾きおよび/または凹凸を測定する。例えば、この測定は各レーザーパルスの後で深さを測定することによって、またはx-y方向面内の被加工材表面109を(例えば、材料除去加工を行わないで)走査し、それによって被加工材101上の複数の液体噴流104の入射点108のz方向位置を測定することによって行うことができる。したがって、被加工材101の被加工材表面109上の傾きおよび/または表面の凹凸902を測定することができ、この被加工材101の被加工材表面109上の傾きおよび/または表面の凹凸902から、傾き/凹凸901を算出できる。このことは
図9(a)に示される。
【0093】
装置100は最後に除去された層900の測定した傾きおよび/または凹凸901に基づいて、少なくとも次の層800を除去する。したがって、表面の凹凸および/または傾き902を少なくとも次の層800を除去することにより除くことができる。この目的で、装置100はレーザーエネルギーを調節するか、または被加工材101を動かす軌道、すなわち移動コントローラ105が定める被加工材101のx-y-z方向位置を繰り返し変えることによって生じる被加工材101の動きを調節する。このように調節することによって、液体噴流104が被加工材101全体にわたって動く軌道を、少なくとも次の層800の除去加工するために調節する。言い換えれば、レーザーコントローラ106は複数の異なるx-y方向位置のそれぞれに合わせてレーザービーム102のエネルギーを調節できる、または各レーザーパルス200のエネルギーをレーザーパルスごとに調節できる。さらに(または、オプションになるが)、例えば表面の凹凸がある被加工材表面109上の所定の位置でのみ、またはその位置で優先的に材料を除去するために、移動コントローラ105は加圧液体噴流104の軌道も調節できる。
【0094】
レーザーエネルギーの調節、被加工材101を動かす軌道の調節および/または被加工材101上でのレーザービーム102の入射角度の調節は、測定した傾きおよび/または凹凸901に基づいて(または、被加工材表面109上の表面の傾きおよび/または凹凸902に基づいて)行うのが好ましい。このようにして装置100は表面の傾きおよび/または凹凸902を除くことを、次に除去される層800から始めることができる。表面の傾きおよび/または凹凸を除くには、いくつかの層の加工が必要となってもよい。表面の傾きおよび/または凹凸を除去することができると、通常の一層ずつの除去加工を続けることができる。
【0095】
図10はレーザービーム102を用いる材料除去加工による被加工材101の三次元形状加工の方法1000を示す。方法1000は加圧液体噴流104を放出して被加工材101に当て、レーザービーム102を液体噴流104の中に入射させてレーザービーム102を液体噴流104と結合させ被加工材101に向けて伝播させる第1ステップ1001を含む。さらに、方法1000は液体噴流104に対する被加工材101のx-y-z方向位置を定める第2ステップ1002を含む。最後に方法1000は被加工材101上の加圧液体噴流104の入射点108のz方向位置を測定する第3ステップ1003を少なくとも含む。
【0096】
方法1000はさらに装置100の前記した機能にしたがうステップを含むものでよい。方法1000は具体的に装置100によって行われるものでよい。好ましくは、方法1000はパルスレーザービーム102を供給し、レーザーパルス200に対して定めるx-y-z方向位置とそのレーザーパルス200の前に測定された被加工材101上の加圧液体噴流104の入射点108のz方向位置とに基づいて、各レーザーパルス200のエネルギーをレーザーパルスごとに調節することを含む。
【0097】
本願発明を様々な実施形態および実施の態様とともに説明した。しかし、当業者ならば、添付した図面、明細書および独立請求項から他の変更例を考えつくことができる。発明の詳細な説明中だけでなく特許請求の範囲中で、「有する(comprising)」は他の要素やステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除するものではない。単一の要素または他のユニットは特許請求の範囲中の複数の物や製品の機能を果たしてもよい。所定の複数の手段が互いに異なる請求項に記載されているからといって、これらの手段の組み合わせを用いて好都合な実施の態様にすることできないということを示すものではない。