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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】遺骨合祀システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231023BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021141092
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2023034730
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2021-08-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521045667
【氏名又は名称】株式会社大野
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】大野 益通
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-219807(JP,A)
【文献】特開2008-198004(JP,A)
【文献】終活するうえで知っておきたいお墓の知識,[online],2017年10月30日,インターネット<URL:https://www.nomu.com/60/column/hitotsubashi/10.html>,[2022年7月28日検索]
【文献】改葬手続きでトラブルにならないための手順や費用を解説します,[online],2021年04月17日,インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20210417194723/https://shukatsu-support.jp/ohaka/kaiso/>,[2022年7月28日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/10-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム利用者が管理している墓地をデータサーバにて一元管理すると共に、最終継承者が死亡した際に、該最終継承者を含む所定範囲の親族の遺骨を合祀墓へ改葬して一定期間の慰霊を行うための遺骨合祀システムであって、
外部端末と、更新可能であって各種情報を記憶するデータサーバと、該サーバへのアクセス及び記録情報を管理するデータ管理部と、で構成され、
データサーバは、個人及び故人の基本情報と、故人が埋葬された墓地に関する情報と、合祀に関する情報を集積できる機能が備えられて成り、
データ管理部は、個人及び故人の基本情報管理と、故人が埋葬された墓地の情報管理と、合祀にて埋葬された故人の情報管理と、合祀に伴う必要書類の保管及び管理と、を行う機能が備えられて成り、
故人の基本情報をもとにして、システム利用者へ墓参案内が連絡され、
データ管理部にて、合祀に伴い必要になる手続案内及び手続代行の案内が行われことを特徴とする遺骨合祀システム。
【請求項2】
故人の基本情報には、音声及び画像データが含まれることを特徴とする請求項1に記載の遺骨合祀システム。
【請求項3】
前記個人及び故人の基本情報には、ペットの情報が含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遺骨合祀システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最終継承者が死亡した際に、該最終継承者を含む所定範囲の親族を合祀墓へ改葬し、一定期間の慰霊を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人口の大都市集中や少子高齢化等によって、墓地の管理が困難なケースが増加している。更に、生涯未婚率の上昇や、子どものいない夫婦の増加等による墓地後継者不在、いわゆる無縁墓の問題も同様に増加しており、墓地の維持管理が行き届かなくなるケースが全国的に発生してきている。
そこで、最終的に継承者がいなくなった墓地のあり方に関する新たな方策が求められていた。
【0003】
上記問題を解決すべく、特開2003-114940号公報(特許文献1)、や特開2008-97059号公報(特許文献2)、更に特開2021-56793号公報(特許文献3)に記載の技術提案がなされている。すなわち、特許文献1乃至3では、納骨堂と該納骨堂を参拝する遺族が、インターネットを介して相互に接続され、遠距離から参拝等が行える技術提案がなされている。
しかしながら、上記提案では、継承者がいなくなった際の遺骨をどう処理するのか、具体的な対策が講じられていない、といった問題があった。
【0004】
本出願人は、以上のような問題点、すなわち、墓地の最終継承者が死亡した場合においても、該最終継承者の親族が埋葬された墓地が無縁墓になることがなく、慰霊及び供養を行うことが可能なシステムを構築できないものかとの着想のもと、最終継承者が亡くなった場合に一定範囲内の親族の遺骨を合祀墓へ改葬し、一定期間の慰霊を行うシステムを開発し、本発明にかかる「遺骨合祀システム」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-114940号公報
【文献】特開2008-97059号公報
【文献】特開2021-56793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、インターネットを介した親族の墓地管理を行い、最終継承者が亡くなった場合でも、一定範囲内の親族の遺骨を合祀墓へ改葬し、一定期間の慰霊を行う遺骨合祀システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、最終継承者が死亡した際に、該最終継承者を含む所定範囲の親族(以下、システム利用者とする。)の遺骨を合祀墓へ改葬して一定期間の慰霊を行う遺骨合祀システムであって、外部端末と、更新可能であって各種情報を記憶するデータサーバと、該サーバへのアクセス及び記録情報を管理するデータ管理部と、で構成され、データサーバは、個人及び故人の基本情報と、故人が埋葬された墓地に関する情報と、合祀に関する情報を集積できる機能が備えられて成り、データ管理部は、個人及び故人の基本情報管理と、故人が埋葬された墓地の情報管理と、合祀にて埋葬された故人の情報管理と、合祀に伴う必要書類の保管及び管理と、を行う機能が備えられて成り、システム利用者が管理している墓地をデータサーバにて一元管理し、最終継承者が死亡した際に、該最終継承者及び所定範囲の親族の遺骨を事前に設定した合祀墓へと改葬し、一定期間の供養及び慰霊を行う機能が備えられて成る手段を採用する。
【0008】
また、本発明は、前記故人の基本情報をもとにして、システム利用者へ墓参案内が連絡される手段を採用する。
【0009】
さらに、本発明は、故人の基本情報には、音声及び画像データが含まれる手段を採用する。
【0010】
またさらに、本発明は、前記個人及び故人の基本情報には、ペットの情報が含まれる手段を採用する。
【0011】
さらにまた、本発明は、前記データ管理部にて、合祀に伴い必要になる手続案内及び手続代行の案内が行われる手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる遺骨合祀システムによれば、システム利用者が管理する墓地情報をデータサーバに記録させることにより、親族が亡くなった場合でもスムーズに墓地を継承することが可能となり、且つ最終継承者が亡くなった場合には、データサーバの情報をもとに、最終継承者の所定範囲内親族の遺骨を合祀墓へまとめて改葬し、一定期間供養及び慰霊することが可能となるため、たとえ本人以外の継承者が不在となっても、忘れずに供養してもらえ、更には無縁墓問題の解消にも資する、といった優れた効果を奏する。
【0013】
また、本発明にかかる遺骨合祀システムによれば、故人の基本情報をもとにして、システム利用者へ墓参案内が連絡されることにより、故人に対する供養の予定を事前に組むことが可能であって、忙しい利用者に代わり各故人の命日をシステムが管理し通知することができる、といった優れた効果を奏する。
【0014】
さらに、本発明にかかる遺骨合祀システムによれば、故人の基本情報には、音声及び画像データが含まれるため、システム利用者やその親族が、故人の記録をいつでも閲覧することが可能であり、命日以外でも故人のことを偲ぶことができる、といった優れた効果を奏する。
【0015】
またさらに、本発明にかかる遺骨合祀システムによれば、前記個人及び故人の基本情報にはペットの情報が含まれることにより、故人と共に生活していたペットに関する情報の閲覧が可能であると共に、システム利用者の飼っているペットが亡くなってしまった際も、故人と同様に合祀並びにシステム管理が可能になる、といった優れた効果を奏する。
【0016】
さらにまた、本発明にかかる遺骨合祀システムによれば、前記データ管理部にて、合祀に伴い必要になる手続案内及び手続代行の案内が行われることにより、普段関わりのない葬儀手続や自治体への手続等を事前に知ることができ、さらに代行手段が用意されているため、各手続に時間が取れない、もしくは手続前にシステム利用者が死亡してしまった際にも、システムによって自動的に合祀へ向けた手続を実行してもらえる、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明にかかる遺骨合祀システムのブロック図である。
図2】本発明にかかる遺骨合祀システムのフロー図である。
図3】本発明にかかる遺骨合祀システムのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明にかかる遺骨合祀システムは、インターネットを介した親族の墓地管理を行い、最終継承者が亡くなった場合でも、一定範囲内の親族の遺骨を合祀墓へ改葬し、一定期間の慰霊を行うことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる遺骨合祀システムの実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
尚、本発明にかかる遺骨合祀システムの全体構成及び各部の構成は、下記に述べる実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる機器や手段、その他の構成態様の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0020】
図1は、本発明にかかる遺骨合祀システムのブロック図である。また図2及び図3は、本発明にかかる遺骨合祀システムのフロー図である。
本発明にかかる遺骨合祀システムは、主に外部端末と、データサーバ10と、データ管理部11と、で構成されている。また、本システムの運用には、それを司る管理人12が存在する。管理人12とは、例えば本システムの運営会社である。すなわち、管理人12は、本システムが円滑に運用されるよう各種設定や情報の管理、必要手続の手配や代行を行い、また、的確な情報処理が行われているかを監視するなど、人為的な作業が必要な場合の作業者である。
【0021】
データサーバ10は、遺骨合祀システムにかかる各種情報を記録・集積する記憶媒体であり、外部端末との交信が可能となっている。記録される各種記録情報としては、少なくとも顧客(最終継承者13)データや、親族データ、故人データ、改葬手続データに関する情報が含まれ、更には、必要に応じてインターネットサイトS(以下、サイトSと言う。)のアクセス権を含む基幹情報や、サイトSにてログインした者並びにサイトSを閲覧した者の閲覧履歴、これら各種情報のデータ変更を行った際のデータ書き込み履歴、といった情報が記録・集積される。このデータサーバ10に記録・集積された各種情報は、関係者がサイトSにアクセスすることで閲覧したり、書き込み・更新したりすることが可能となっている。データサーバ10は、後述するデータ管理部11にて一元管理されており、各種情報の書き込みや更新に際し、データ管理部11による承認を必要とすることで、誤動作によるトラブル等を未然に防ぐことが可能となる。
【0022】
データサーバ10に記録・集積される各種情報の内容については、特に限定するものではないが、例えば以下の態様が考え得る。
顧客データは、最終継承者13の基本的な情報であって、少なくとも氏名、年齢、性別、所在、連絡先、配偶者・子供の有無、ペットの有無、親族14の生死、生死確認方法、といった内容が含まれる。
親族データは、氏名、年齢、性別、所在、連絡先、配偶者・子供の有無、ペットの有無、最終継承者13との関係、親族14の生死、生死確認、といった内容が含まれる。
故人データは、氏名、没年齢、没年月日、性別、埋葬地、近親者、ペットの有無、といった内容が含まれる。
改葬手続データは、埋葬地名、埋葬地住所、埋葬地管理団体名、埋葬地管理団体連絡先、埋葬地自治体名、埋葬地自治体連絡先、埋葬者氏名、埋葬年月日、といった内容が含まれる。
【0023】
データサーバ10に記録・集積された各種情報は、サイトSを介して閲覧や書込を行うことができるが、各種情報には個人情報が多分に含まれるため、誰でも無制限に閲覧や書込・更新できてしまうと、誤入力や個人情報の悪用といった問題が生じるおそれがある。そのため、アクセス者毎に個人情報の公開内容指定や書込・更新制限といった、サイトSへのアクセス制限を予め設定しておき、不必要な情報の閲覧や書込等が出来ないようにする態様が好適である。このアクセス制限方法は、特に限定するものではないが、管理人12による制限基準に照らし合わせて決定される態様や、最終継承者13やその親族14が個人情報の入力を行った際に併せて公開範囲を指定する態様が考え得る。これらの態様を採ることにより、故人の情報をみだりに変更されることがなくなり、更には無制限に個人情報を見られることがなくなり、各システム利用者が安心してシステムを利用できるといった効果が期待できる。
【0024】
データ管理部11は、データサーバ10のデータの保全を行い、併せてサイトSへの入室用ID及びパスワードやアクセス制限の管理、親族14の死亡時における親族データから故人データへの移行処理、最終継承者13からの合祀システム申請内容確認、最終継承者13から送付された合祀手続書類の確認処理、最終継承者13の死亡に伴うシステム開始処理(最終継承者13の葬儀及び合祀墓への埋葬処理、故人の各埋葬地から合祀墓への改葬処理、合祀墓への祈祷管理、所定期間後合祀墓から合葬処理)といった本システム運用の要を成すプログラムである。
データ管理部11は、データサーバ10内の各種データに関わる管理を一元的に行っている。このことにより、各処理システムにおけるデータ異常等のトラブルにも早急に対応することが可能となり、円滑なシステム運用へと資することとなる。
【0025】
データ管理部11の実際の運用では、各種情報の収集やアクセス制限等の設定を行う。特にアクセス制限に関しては、合祀システム利用者毎に、表示される画像や個人情報の閲覧範囲や、データサーバ10への書込・更新範囲について定めるアクセス制限を設定することとなる。
このとき、親族14が登録する連絡先については、緊急時においてのみ最終継承者13が閲覧可能である態様とすることが望ましい。合祀システム利用者である親族14が、万が一危篤状態に陥り連絡不能となった場合、その親族14が予め登録した連絡先へ最終継承者13が状況確認を行うことが可能となる。
【0026】
また、データ管理部11は、合祀システムにおける各種手続、特にデータ処理のみでは対応が難しい書類や電話のやり取りとなる改葬手続に向け、改葬手続データ(埋葬者氏名、埋葬年月日、埋葬地住所、埋葬地管理団体名及び連絡先、埋葬地自治体連絡先、合祀先住所、合祀先管理団体名及び連絡先、合祀先自治体連絡先等、改葬に必要なデータ)を収集することとなる。
最終継承者13が死亡した場合において、葬儀形式や知人等に送る死亡通知の範囲を予め最終継承者13に決定して貰う必要があるため、システム契約時や最終継承者13となった時等に決定を促す内容の通知やメール、もしくは自宅へ案内書類の郵送を行う態様となっている。併せて、改葬手続に関する必要書類一覧や、改葬手続の代行案内等も同時に送付する態様を採用する。
さらに、データ管理部11は、最終継承者13が死亡した際の死亡確認を行う必要がある。この場合、最終継承者13死亡の際の連絡、死亡確認後の遺体安置所、葬儀の方法、火葬及び埋葬手続等を、事前に最終継承者13と協議、もしくは、サイトS上の項目にて本人死亡時の対応の記入を促し、その回答をデータサーバ10上に記録する態様が望ましい。
【0027】
サイトSは、最終継承者13を含むシステム利用者が、ネットワークを通じてデータサーバ10にアクセスした際に表示される情報画面であり、ログイン時にIDとパスワードが必要な態様となっている。
システム利用者がサイトSを初めて表示させた時に各個人情報を登録した後、サイトSへのログインにて必要となるID及びパスワードが発行され、改めてIDとパスワードが入力されることによりサイトSの利用開始が可能となる。初回に入力した情報は入力者本人であればいつでも閲覧可能であり、もし入力誤り等や変更があれば再度書き込みをすることで更新可能となる。また、各利用者に定められた前記アクセス制限によって閲覧や書込・更新が制限されるが、システム利用者個人が閲覧されたくない情報等は、各データ入力時に制限を希望することで閲覧制限をかけることが可能となる態様が望ましい。
【0028】
サイトSにて表示される情報は、特に限定するものではないが、例えば親族14のサイトSでは、利用者氏名、ID、基本情報、故人の命日一覧、墓参の日程管理画面、故人の画像や動画一覧、利用者の画像や動画の保存ページ、等が表示される態様が考え得る。また、最終継承者13のサイトSでは、上記項目に加え、合祀についての情報、合祀に必要な書類一覧、親族埋葬先一覧、合祀先検索、等が表示される態様も考え得る。この態様の中で、合祀先の検索については、都道府県、名前、管理団体名(寺院や自治体等)、料金、合祀条件、等にて検索可能な態様が好ましい。
【0029】
サイトSと連動する形で、システム利用者の携帯端末からもアクセス可能なアプリケーション(以下、アプリと言う。)を使用する態様も考え得る。アプリもサイトSと同様に、ログインIDとパスワードによって入室し、ネットワークを通じてデータサーバ10へアクセス後に最新画面を表示させることによって、サイトSと情報の差異を無くすことが可能となる。また、サイトSとアプリの同時書込等の問題が起きぬよう、1つのIDでログインできるサイトSやアプリは1つのみで、同時接続を行った場合は片方の接続が自動的に切断される、といった制限を備える態様が望ましい。
【0030】
最終継承者13は、合祀システムの契約者若しくは契約者の親族14であり、親族14が埋葬された墓地の最終継承者13である。最終継承者13になることができる者は、法定相続人がいない者、あるいは、法定相続人がいても本人が望む場合であって、相続人による異議が無い者である。仮に本人が望んでも法定相続人の異議が有る場合には、最終継承者13の存命中に相続人の同意を得ておくことを要する。
最終継承者13のデータは、契約時の情報を基に、サイトSの書込・更新機能によって常に最新の状態にされる態様が好適である。
また、最終継承者13の親族14が存命中は、主に法事や墓地についての管理サイトSといった内容であるが、最終継承者13以外の親族14の死亡により最終継承者13のみとなった場合に、合祀に向けた案内や手続を実施可能なサイトSへと一部変更される、といった態様が考え得る。この態様の場合、最終継承者13の任意のタイミングにより合祀に向けた手続を開始することができ、サイト画面から合祀時に必要な書類や連絡先、合祀先に適した施設の検索等を行うことが可能となる。
【0031】
親族14は、最終継承者13を含む所定範囲内の親族14であり、システム登録時に合祀システムのサイトSを利用可能となる。サイトSにて、アクセス制限の範囲内におけるデータの閲覧や、書込・更新を行うことが可能である。また、サイトS上にて他の親族14や最終継承者13へ向けた画像や動画、メッセージを残す態様も考え得る。これらのデータは公開範囲を指定でき、例えば、最終継承者13へ向けたメッセージや動画などを事前に記録し、記録した親族14が死亡後に、最終継承者13へメールや通知等の連絡手段によって、生前に記録した内容が閲覧可能になった旨を連絡する態様等が考え得る。
尚、記録された音声や画像・動画のデータについては、それらデータを残した本人(親族14)の生存中に、該データの閲覧・拝聴に関する承諾を本人から得ておくことが望ましく、承諾を得ることで、個人情報開示の問題をクリアすることができる。
【0032】
故人とは、基本的には、システム登録時点で既に死亡し埋葬されている人、及び、システム運用中に死亡した親族14のことであるが、死亡した人が生存中に飼育していたペットも家族の一員と捉える風潮から、該ペットを故人並びに親族14としてその範疇に含めて考えることが可能である。システム運用中に親族14が死亡した場合、データサーバ10上の処理にて親族データから故人データへと変更されることとなる。故人データとして必要な埋葬地の情報や埋葬日等は、合祀の際の改葬手続に必要となる情報でもあるので、自治体に届けている埋葬日等から正確に入力し、データサーバ10上に記録しておくことが望ましい。
ペットが死亡した場合、生前から体内に埋め込まれたチップがあれば、遺骨と共にそのチップを一緒に埋葬することも可能であり、また、記録される故人データとしてのペット情報について、名前や写真・映像のほか、音声(鳴き声)、血統書データ、狂犬病注射の際に付与される識別番号、チップに保存されているデータなどを記録しておき、残された親族14がその情報を閲覧可能とする態様が考え得る。
そして、夫々の故人データを基に、お盆参りや故人の命日についてのお知らせや通知が自動的に各利用者へ送信される。この態様により、墓参りの日程が組みやすくなるのと同時に、普段から忙しく墓参りから遠ざかっている親族14や最終継承者13にも、故人に対する想い出を想起させることが可能となる。
また、故人データ内に保存してある画像や動画データ、故人となる前に保存された親族データ内の画像や動画データは、予め定められたアクセス制限の範囲内にて閲覧可能である。
【0033】
埋葬地管理者は、故人や親族14が埋葬される墓地の管理者であり、故人の改葬時に埋葬証明書を記載してもらうこととなる。この際、複数の故人が一緒に埋葬されている場合、夫々の故人名分の書類が必要となる可能性があるため、事前にその埋葬地の管理者毎に個人データをまとめておき、必要な時に一覧として出力できるような態様が好ましい。
また、改葬時の混乱を防ぐため、改葬前に必要な手続、改葬時に行う墓石の魂抜き等の手順や墓地の引き渡しに必要なこと等、事前に埋葬地管理者と協議・相談しておくことが望ましい。
【0034】
合祀墓は、最終継承者13が死亡した場合に、該最終継承者13を含む所定範囲内の親族14を同じ場所にて埋葬するための墓である。尚、最終継承者13の死亡以前に既に死亡している故人について、他の墓に埋葬されている場合は、改葬により合祀墓へ移されることとなる。あるいは、故人の死亡時に既に本システムの運用により合祀墓の所在が確定している場合は、最終継承者13の死亡を待たずに先に合祀墓へ埋葬される態様も可能である。かかる合祀墓に埋葬後は、予め定められた所定の期間(例えば最終継承者13の死亡後50年)、定期的に慰霊・供養が行われる。かかる定期的な慰霊・供養は、本システムの運用を司る管理人12の責任のもと、予め定められた儀礼形式に則り、執り行われることとなる。を経て合祀墓へ合葬されることとなる。この合祀墓は、予め最終継承者13が決定させておき、任意のタイミングにて故人の改葬を行うこととなる。
尚、予め定められた慰霊・供養を行う所定期間の経過後、合祀墓に埋葬された全ての遺骨は、当該合葬墓から取り出されて合葬処理される。そして、本システムの運用が終了することとなる。
【0035】
合祀を行う際、まず合祀先にて受入証明書、埋葬されている墓地の埋葬証明書、埋葬場所の自治体にて発行される改葬許可書が必要となる。
受入証明書は、合祀墓を管理する管理団体から発行してもらう証明書であり、埋葬証明書及び改葬許可書の発行時に必要となる。
埋葬証明書は、故人が埋葬されている埋葬地管理団体から発行してもらう証明書であり、改葬許可書の発行時に必要となる。改葬の際、故人の埋葬地から遺骨を取り出す前に、墓石の魂抜き等の供養が必要となるため、石材店や寺院等と事前の手続を最終継承者13との間で行っておく態様が好ましい。
改葬許可証は、故人が埋葬された埋葬地を管理する自治体にて発行される許可証であり、実際に改葬を行う際に必要となる。埋葬地に埋葬された故人の数だけ必要となるので、予め埋葬されている故人の情報を埋葬地管理団体と確認する態様が好適である。
【0036】
上記合葬に関わる手続は、管理人12が行う。データ管理部11は、最終継承者13を含む親族14が全て死亡した時に、管理人12と連携し、合祀手続を開始する。これにより、本来的に最終継承者13が行わなくてはならない数々の合祀手続の手間を減らし、さらに、最終継承者13が死亡した際も、合祀手続を自動的に滞りなく進めることが可能である、といった効果が期待できる。
【0037】
次に、本発明にかかる遺骨合祀システムの使用態様について、図2及び図3に基づき説明する。
まず、最終継承者13を本システムの契約者とし、該最終継承者13がサイトS上にて遺骨合祀システムの利用を申請し、親族14が同システムの利用が可能となるまでの動作を説明する。
本システムを実行する上での前提条件として、管理人12と最終継承者13との間で、管理人12を委任者とする死後事務委任契約を締結しておくと共に、管理人12を遺言書執行者に選任しておくことが好適である。また、必要に応じて管理人12を任意後見受任者や施主(祭祀主宰者)とする契約・取り決めを結んでおくことが望ましい。これらを事前に締結しておくことで、本システムの実行をスムーズに進めることが可能となる。
尚、本システムの利用には、運営上必要な費用が発生する。かかる費用については、管理人12が最終継承者13の死亡後にその遺産(相続財産)から必要分を受け取る態様も考え得るが、相続人の存在等により費用受け取りの煩雑化も想定される。したがって、システムの利用開始時に、必要経費の全てが支払われる態様が最適である。
【0038】
最終継承者13は、遺骨合祀システムのサイトS(以下、システムサイトと言う。)上にて個人情報(名前、メールアドレス又は利用中のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、ID及びパスワード等)を入力し、遺骨合祀システムの利用申請を行う。入力された個人情報は、顧客データとしてデータサーバ10上に保存されると共に、データ管理部11及び管理人12へ遺骨合祀システム利用申請通知が送信され、管理人12によって最終継承者13のシステムサイトにおけるログインID及びパスワードが発行されることとなる。
最終継承者13は、発行されたID及びパスワードを使用してシステムサイトの会員ページへと接続できるようになり、初回接続時に初期設定として顧客データにおける詳細(姓名、住所、連絡先、配偶者や子どもの有無等)の登録及び、親族情報として、親族名、本人(最終継承者13)との続柄、親族14の連絡先(住所やメールアドレス等)を夫々入力及び登録する。この登録情報には、現時点で継承されている墓地に関しての詳細情報も入力可能である。また、最終継承者13と登録親族間にて、合祀についての話し合いがされていない場合を考慮し、登録された親族14への合祀システム概要説明及び通知や案内の可否を問う態様も考え得る。
【0039】
管理人12は、上記継承者ページにて登録された親族14への連絡を、サイトSを通して行うこととなるが、登録情報が住所のみであった場合は、最終継承者13が直接親族データを入力するか、もしくは必要事項が記載可能な利用申込用紙を登録住所へと送付することとなる。この時に親族14が登録する情報は、姓名、生年月日、年齢、住所、最終継承者13との続柄、配偶者や子どもの有無、等であり、データサーバ10上の親族データとして登録されることとなる。同様に、故人の有無、故人の名前、埋葬場所名、埋葬地住所、埋葬地管理者、等を利用申込用紙に記載する態様では、データサーバ10上の故人データとして登録されることとなる。
そして、親族データ等がデータサーバ10へ登録されるのと同時に、管理人12によって予めアクセス制限が設定されたシステムサイトの親族用ID及びパスワードが発行され、親族14がシステムサイトに接続することが可能となる。
【0040】
また、最終継承者13におけるシステムサイトへの顧客データ登録後、合祀に関する取決めが行われる態様も考え得る。合祀先について、既に決定済みであるならば、合祀先名称、住所、連絡先、管理団体名、の入力を求めることとなり、未決定なのであれば、指定の住所や名前、もしくは、現住所付近からもっとも近い順に合祀が可能な墓所を複数表示させ、合祀墓としての登録を促すこととなる。合祀墓候補地を表示させる際、その候補地の概要がわかるように、候補地の詳細が表示されるサイトSへのショートカットや、付近地図等を添付しておくことで、詳しく概要を確認してから合祀先を決めることが可能となる。
また、合祀を行うにあたって、必要な手続や書類及び注意点等をまとめた案内メールや通知を最終継承者13の連絡先へ送る態様も考え得る。また、最終継承者13のサイトS上に、いつでも上記内容が確認できるよう、合祀についての項目を常に備える態様も好適である。最終継承者13は、任意のタイミングでこの項目を選択することにより、いつでも合祀についての理解を深めたり、合祀に必要な書類の準備を行ったりすることが可能になる。
【0041】
次に、親族14が画像や動画・メッセージ等を、本システムを利用して保存する場合の動作について説明する。
まず、親族14は事前に発行されたIDとパスワードを利用しサイトSへと接続し、表示された画面上の想い出登録の項目を選択する。尚、データサーバ10に保存する関係上、保存可能な画像枚数や、動画の残り時間等を項目選択時に表示させることで、無制限に画像を保存してしまったり、大切なメッセージが大量の動画により埋没してしまったりすることを未然に防ぐことが可能となる。
【0042】
データサーバ10は、親族ページの想い出記録の項目が押されると同時にデータサーバ10上にて画像や動画を保存可能な領域を確保し、親族14の想い出登録に備える。
想い出登録を選択した親族14は、「画像保存」、「動画保存」のいずれかを選択し、夫々の案内に従い保存することとなる。例えば、動画を新たに保存する場合は、「動画保存」の選択後、「新規動画の撮影」を選択し、規定の時間長さ内の動画を撮ることとなる。また、予め撮影した画像等を保存させる場合には、「画像保存」、「ファイルから選んで保存」を選択し、撮影した画像を選択し、保存することとなる。画像や動画の保存時には、保存する内容を再度確認できる態様が望ましい。この態様により、今回保存する画像や動画の内容確認を改めて行うことが可能となり、誤った内容のものを保存する可能性を排除できる。
【0043】
続いて、本システムを利用している親族14が亡くなった場合の動作について、図2に基づき説明する。
親族14の死亡を最終継承者13やその近親者が確認した後、サイトS上の親族死亡報告の項目からデータ管理部11へ報告を送ることとなる。この際、故人登録として必要な情報(親族命日、埋葬地名称、埋葬地管理団体、管理団体連絡先、墓地継承先)を、現時点で判明している範囲内にて入力及び登録する。この際、判明していない情報に関しては、後日に同項目もしくは故人情報ページにて追加登録可能な態様が望ましい。
そして、上記情報がサイトSを通じてデータ管理部11へ入ると同時に、管理人12にもシステム利用者の親族死亡情報としてメールや通知が送信される。管理人12は、送信された情報を確認後、データサーバ10上の該当親族データを故人データヘと切り替え、必要な情報(親族命日、埋葬地名称、埋葬地管理団体、管理団体連絡先、墓地継承先)の登録や、データサーバ10上の故人情報更新を行う。
また、死亡した親族14が、最終継承者13の最終親族であった場合、上記流れと共に合祀についての準備を進めることとなる。例えば、最終親族の遺骨と親族14の遺骨を最終継承者13より先に合祀墓に一括埋葬する場合、合祀墓管理団体にて受入証明書の発行をしてもらった後、既に亡くなっている親族14の遺骨が埋葬されている夫々の埋葬地管理団体から埋葬証明書を発行してもらい、埋葬地のある自治体にて改葬許可書を発行してもらうこととなる。その後、墓石の撤去、遺骨の回収、墓地の引き渡しといった前墓の墓じまいを行い、親族14の遺骨及び最終親族の遺骨は、合祀先の合祀墓へと埋葬されることとなる。この時、各親族の希望により、生前飼っていたペットの遺骨も合祀される態様も考え得る。また、埋葬終了とともに、データサーバ10上における故人データも更新され、今後は合祀墓にて最終継承者13は故人の供養を行うこととなる。
【0044】
最後に、本システムを使用していた最終継承者13の死亡時における流れについて、図3に基づき説明する。
まず、かかりつけ医師や事前に申し伝えられた看取り人等から、最終継承者13の死亡がデータ管理部11へ連絡され、同様の連絡がデータ管理部11から緊急通知として管理人12へ通知される。その後、管理人12もしくはその代理人によって最終継承者13本人の死亡確認が行われる。そして、医師による死亡診断書が発行された後、葬儀社へ連絡、墓地埋葬法に従って最低24時間は遺体を安置する必要があるため、安置場所(最終継承者13の自宅もしくは葬儀社の霊安室)にて安置される。安置期間が過ぎたら、居住地の自治体へ死亡届を提出、火葬許可証を発行された後、火葬場にて納棺、出棺、火葬となる。火葬後、生前申込がなされた合祀墓管理団体へ連絡し、骨壷に納められた最終継承者13の遺骨は合祀墓へと埋葬されることとなる。この時、親族14の合祀が未実施だった場合、最終継承者13の埋葬手続と同時に改葬手続も行われることとなる。また、最終継承者13の命日、埋葬日、埋葬場所は、データ管理部11にてデータサーバ10上の顧客データに保存される。
次に、最終継承者13との契約に基づき、合祀墓にて慰霊及び供養を所定期間された後、最終継承者13及びその親族14の遺骨は合葬処理されることとなる。また、慰霊及び供養を行った日付や合葬処理日は、データ管理部11にてデータサーバ10上の顧客データ及び故人データに保存される。
最後に、合葬処理が行われることで、本システムは終了となる。そして、顧客データ等に保存された各データは、データ管理部11により自動的に、あるいは、管理人12の承認のもと削除されることとなる。
【0045】
上記は、最終継承者13の死亡後、葬儀を行わずに火葬を行う直葬を希望した態様で記載したが、契約内容によっては本葬やお別れ会を開くといった態様も考え得る。この場合、最終継承者13から参列希望者と、死亡後に送信する文面を事前に選択してもらい、参列希望者夫々の連絡(住所やメールアドレス等)リストをデータサーバ10上に保存し、最終継承者13が死亡した後に、葬儀に関する連絡を管理人12が連絡先へ一斉送信する、といった態様となる。
【0046】
以上の通り、本発明にかかる遺骨合祀システムによれば、墓地の最終継承者13となった場合でも、事前に合祀先を決定しておき、更に合祀に伴う故人の改葬準備をしておくことにより、先祖代々の墓地を無縁仏にすることなく安心して老後を過ごすことが可能となり、最終継承者13が死亡したとしても、自動的に合祀墓へ埋葬されることとなって、死後の不安を解消し得る。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明にかかる遺骨合祀システムは、個人データや故人データをデータサーバ上で一括管理することにより、毎年の墓参りや回忌法要の管理は勿論、各親族の情報や、合祀の手続に必要な連絡先などもサイトを通して確認することが容易であり、合祀のみならず疎遠になりがちな親族間の連絡先・連携管理システムとしても提供し得るものである。したがって、本発明にかかる「遺骨合祀システム」の産業上の利用可能性は大きいものと思料する。
【符号の説明】
【0048】
10 データサーバ
11 データ管理部
12 管理人
13 最終継承者
14 親族
S インターネットサイト

図1
図2
図3