(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】エレベータ乗場用止水板
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20231023BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20231023BHJP
B66B 13/30 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
B66B13/30 Z
(21)【出願番号】P 2023024995
(22)【出願日】2023-02-21
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】519161414
【氏名又は名称】株式会社内原電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 満
(72)【発明者】
【氏名】光武 重博
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-34080(JP,A)
【文献】特開2002-46966(JP,A)
【文献】特許第6277524(JP,B2)
【文献】特許第6336671(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E04H 9/14
B66B 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ乗場からドアまで水が流れ込まないように設置する止水板であって、
上端及び下端より中間部が突出するように湾曲させて前記ドアの手前側で水を受け止めさせる表板と、
前記表板の奥側に当てて中空の蒲鉾状にする背板と、
前記表板の左側面及び右側面を塞ぐようにそれぞれ前記背板から立てた端仕切板と、
両方の前記端仕切板の間に複数が間欠的に配置されるようにそれぞれ前記背板から立てた中仕切板と、を有し、
前記端仕切板及び前記中仕切板は、前記背板にのみ固定され、前記表板の内面に設けた押さえ部材で挟むように支持する、
ことを特徴とするエレベータ乗場用止水板。
【請求項2】
前記端仕切板より外側に出た前記背板の端部と、前記エレベータ乗場の壁面に設けた受け部材の間に、縦シール材を介在させた上で、前記端部を挟むように前記受け部材に固定される端固定用部材を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ乗場用止水板。
【請求項3】
前記表板の下端面と、前記エレベータ乗場の床面とを、その間に横シール材を介在させた上で前記床面に固定するために、前記表板よりも飛び出さないように前記下端面から突出させた下固定用部材を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ乗場用止水板。
【請求項4】
前記表板の上端面と、上側に載せた別の止水板の下端面とを、その間に横シール材を介在させた上で連結するために、前記表板よりも飛び出さないように前記上端面から突出させた上固定用部材を有し、
上固定用部材は、当該別の止水板の下固定用部材に重ねたときに、そこに空けられた位置決め孔に挿通可能な位置決めピンが取り付けられる、
ことを特徴とする請求項3に記載のエレベータ乗場用止水板。
【請求項5】
前記端仕切板及び前記中仕切板によって区切られた各中空部に充填材を注入した、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のエレベータ乗場用止水板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大雨時にエレベータの乗場から昇降路内への雨水の浸入を防止するエレベータ乗場用止水板に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、人や荷物を載せて垂直方向に移動させる昇降機である。エレベータは、階数の多い建物(例えば、三階以上)に設置されるが、建物の出入口など乗場が屋外となる場合もある。エレベータの最下階のさらに下側には、ピットと呼ばれる空間が確保されており、巻上機などの設備も設置されている。台風や大雨などの際にエレベータの乗場から大量の雨水がピット内に流入するとピット内の設備が浸水してエレベータが故障するおそれがある。
【0003】
特許文献1に記載されているように、大雨時に既設のエレベータに対しても乗場に簡単に取付け及び取外し可能なエレベータ乗場用止水パネルの発明が開示されている。ただ、エレベータに取り付ける際、三方枠の形状によってはパッキンが密着しにくい場合があり、予め形状が合うかどうか確認しておく必要がある。また、乗場に溜まった雨水がドア下部の隙間から昇降路に流入するのを抑止できるが、吹き付ける雨がドア上部の隙間から入り込むことまでは防ぐことはできない。
【0004】
そのため、特許文献2に記載されているように、三方枠の形状に依らず既設のエレベータの動作を阻害せずに簡単に取付け及び取外し可能なエレベータ乗場用止水材の考案も開示されている。しかし、乗場が冠水して止水材の高さを超えるような量の水が来た場合には対応できず、止水材の高さを上げても水圧に耐える強度も必要となる。
【0005】
特許文献3に記載されているように、緊急時に1人でも簡単に作業でき、普段のメンテナンスも必要なく確実に止水ができ、事前の金具取付の必要がなくどこにでも固定ができる止水板の発明も開示されている。また、特許文献4に記載されているように、簡単な作業で、且つ確実に建造物の開口部を止水することができる止水扉の発明も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6694620号公報
【文献】実用新案登録第3240147号公報
【文献】特許第6941841号公報
【文献】特許第4523125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3及び4に記載の発明は、止水板の左右端よりも中央部が水の来る方向へ突出するように湾曲させて、止水板にぶつかった水を湾曲面に沿って横方向に流しているが、高さを上げるために複数の止水板を上方向に重ねた場合に、上下の湾曲面を正確に合わせるのは困難であり、その隙間から浸水するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、雨水の量が多くても確実に雨水の浸入を防止することができるエレベータ乗場用止水板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明であるエレベータ乗場用止水板は、エレベータ乗場からドアまで水が流れ込まないように設置する止水板であって、上端及び下端より中間部が突出するように湾曲させて前記ドアの手前側で水を受け止めさせる表板と、前記表板の奥側に当てて中空の蒲鉾状にする背板と、前記表板の左側面及び右側面を塞ぐようにそれぞれ前記背板から立てた端仕切板と、両方の前記端仕切板の間に複数が間欠的に配置されるようにそれぞれ前記背板から立てた中仕切板と、を有し、前記端仕切板及び前記中仕切板は、前記背板にのみ固定され、前記表板の内面に設けた押さえ部材で挟むように支持する、ことを特徴とする。
【0010】
また、前記エレベータ乗場用止水板において、前記端仕切板より外側に出た前記背板の端部と、前記エレベータ乗場の壁面に設けた受け部材の間に、縦シール材を介在させた上で、前記端部を挟むように前記受け部材に固定される端固定用部材を有する、ことを特徴とする。
【0011】
また、前記エレベータ乗場用止水板において、前記表板の下端面と、前記エレベータ乗場の床面とを、その間に横シール材を介在させた上で前記床面に固定するために、前記表板よりも飛び出さないように前記下端面から突出させた下固定用部材を有する、ことを特徴とする。
【0012】
また、前記エレベータ乗場用止水板において、前記表板の上端面と、上側に載せた別の止水板の下端面とを、その間に横シール材を介在させた上で連結するために、前記表板よりも飛び出さないように前記上端面から突出させた上固定用部材を有し、上固定用部材は、当該別の止水板の下固定用部材に重ねたときに、そこに空けられた位置決め孔に挿通可能な位置決めピンが取り付けられる、ことを特徴とする。
【0013】
また、前記エレベータ乗場用止水板において、前記端仕切板及び前記中仕切板によって区切られた各中空部に充填材を注入した、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水圧が掛かる方向への変形を抑えることができ、さらに、高さを上げるために複数の止水板を上方向に重ねても隙間を塞ぐことができるので、雨水の量が多くても確実に雨水の浸入を防止することができる
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明であるエレベータ乗場用止水板の設置状況を示す図である。
【
図2】本発明であるエレベータ乗場用止水板の外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明であるエレベータ乗場用止水板を示す正面図である。
【
図4】本発明であるエレベータ乗場用止水板を示す背面図である。
【
図5】本発明であるエレベータ乗場用止水板を示す平面図である。
【
図6】本発明であるエレベータ乗場用止水板を示す底面図である。
【
図7】本発明であるエレベータ乗場用止水板を示す左側面図である。
【
図8】本発明であるエレベータ乗場用止水板を示す右側面図である。
【
図9】本発明であるエレベータ乗場用止水板を分解した状態を示す図である。
【
図10】本発明であるエレベータ乗場用止水板の表板の内面を示す図である。
【
図11】本発明であるエレベータ乗場用止水板の背板の内面を示す図である。
【
図12】本発明であるエレベータ乗場用止水板の仕切板を示す拡大図である。
【
図13】本発明であるエレベータ乗場用止水板の仕切板を取り付ける状況を示す図である。
【
図14】本発明であるエレベータ乗場用止水板を連結して高さを上げた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例1】
【0017】
まず、本発明であるエレベータ乗場用止水板について説明する。
図1は、エレベータ乗場用止水板の設置状況を示す(a)正面図及び(b)平面図である。
図2は、エレベータ乗場用止水板の外観を示す斜視図である。なお、エレベータから離れる方向を手前側、エレベータに近付く方向を奥側とする。外側から見えるほうを外面、外側から見えないほうを内面とする。また、複数は、2以上だけでなく、1や0の場合も含むものとする。
【0018】
図1(a)に示すように、エレベータ乗場100が屋外の場合に大雨等で冠水すると、エレベータの三方枠120とドア110の隙間から昇降路内に雨水が浸入して設備が故障するおそれがある。特に、壁面140に設けられた操作パネル130でドア110を開くと、床面150に溜まった雨水が流れ込んでしまうので、エレベータ乗場100からドア110まで水が到達しないように、ドア110の手前側に止水板200を設置する。土地が低いと600~1000mm程度の水が来ることも想定されるので、このような場合でも対応可能な構造にする。
【0019】
図1(b)に示すように、止水板200を固定するために、三方枠120より外側の壁面140に受け部材160を設ける。止水板200は、左側の受け部材160から右側の受け部材160に渡すように、三方枠120より手前側に配置される。さらに、止水板200は、予め床面150に空けておいた留孔等にも固定される。止水板200と受け部材160の間をシールし、さらに止水板200と床面150の間をシールすることで、水の浸入を防止する。
【0020】
図2に示すように、止水板200は、上端及び下端より中間部が突出するように湾曲させてドア110の手前側で水を受け止めさせる表板300、表板300の奥側に当てて中空の蒲鉾状にする背板400、表板300の左側面及び右側面を塞ぐようにそれぞれ背板400の内面から立てた端仕切板500a、及び両方の端仕切板500aの間に複数が間欠的に配置されるようにそれぞれ背板400から立てた中仕切板500bを有する。
【0021】
表板300は、上端及び下端に水平面320が幅狭く左右に延びており、上端の水平面320から湾曲面310を介して下端の水平面320に至る。水平面320にシール材を付けて床面150に当てることで、シール性を向上させる。また、手前側に湾曲面310を突出させることで水圧に対して強度を向上させる。
【0022】
背板400は、表板300の奥側を上端から下端まで渡す板材であり、表板300に向かって突出するように仕切板500が取り付けられる。仕切板500には、背板400の左端と右端にそれぞれ端部410を確保した上で取り付けられる端仕切板500aと、湾曲する表板300と平坦な背板400の間に形成される中空部に取り付けられる中仕切板500bがある。
【0023】
仕切板500は、表板300の裏側である内面に合わせて弧状に成形され、中空部を複数の空間に分けるが、背板400のみに固定され、材質の膨張・収縮や変形、寸法の誤差などを吸収するため、また、表板300が水圧を受けたときの歪みを緩和するために、表板300には固定させない。
【0024】
止水板200は、さらに、端固定用部材600、下固定用部材700、上固定用部材800等も有する。また、止水板200は、水が溜まりそうなときに運び込んで設置するので、表板300の任意の場所に運搬用の取っ手210も付けられる。
【0025】
端固定用部材600は、止水板200を受け部材160に固定するために、板材を折り曲げて、受け部材160に当接する横板610と、端仕切板500aに当接する縦板620を形成したL字板である。横板610には、留孔630が空けられ、留具で受け部材160に固定されるが、端仕切板500aより外側に出た背板400の端部410を、横板610と受け部材160の間に挟む。
【0026】
下固定用部材700は、止水板200を床面150に固定するために、湾曲面310の頂部よりも飛び出さない程度に下側の水平面320から突出させた水平板である。下固定用部材700を水平に取り付けるために、湾曲面310に沿った支持材710を介在させる。下固定用部材700には、留孔720が空けられ、留具で床面150に固定される。
【0027】
上固定用部材800は、湾曲面310の頂部よりも飛び出さない程度に上側の水平面320から突出させた水平板である。上固定用部材800を水平に取り付けるために、湾曲面310に沿った支持材810を介在させる。
【0028】
図3は、エレベータ乗場用止水板を示す正面図である。
図4は、エレベータ乗場用止水板を示す背面図である。
図5は、エレベータ乗場用止水板を示す平面図である。
図6は、エレベータ乗場用止水板を示す底面図である。
図7は、エレベータ乗場用止水板を示す左側面図である。
図8は、エレベータ乗場用止水板を示す右側面図である。
【0029】
図3~8に示すように、止水板200は、横向きに立てた中空の蒲鉾状であり、正面側に表板300の湾曲面310、背面側に背板400、上面側に表板300の上側の水平面320(上端面320a)、下面側に表板300の下側の水平面320(下端面320b)、左側面側に左側の端仕切板500a、及び右側面側に右側の端仕切板500aを有する。
【0030】
止水板200は、SUS(ステンレス鋼)や薄板鋼板を使用する。アルミニウム薄板を蜂の巣状に貼り合わせたアルミハニカム材と同等の強度を持たせるために、断面を蒲鉾状にする。止水板200は、縦方向に湾曲しており、横方向に変化はないので、エレベータのドア110や三方枠120の間口寸法が変化しても同じ断面形状のまま延ばしたものを用意すれば良い。
【0031】
止水板200の高さは任意で良く、高さが不十分であれば、複数の止水板200を積載しても良い。表板300の高さに応じて、湾曲面310の湾曲率も変えれば良い。なお、下固定用部材700及び上固定用部材800を、湾曲面310の頂部よりも出張らないようにすることで、堰き止めた水上を漂う物体が止水板200に衝突しても湾曲面310で緩衝可能となる。
【0032】
止水板200は、表板300の上端面320a及び下端面320bが平坦であり、複数段に積重可能である。止水板200を上に積み重ねる場合は、下側の止水板200の上固定用部材800と、上側の止水板200の下固定用部材700とを重ね合わせて、両方を留具で連結して固定すれば良い。なお、上側と下側の止水板200の間にシール材を介しても良い。
【0033】
止水板200は、背板400が平坦であり、左端及び右端の端部410を縦シール材900でシールした上で、端固定用部材600を用いて端部410が受け部材160に対して着脱可能に固定される。
【0034】
止水板200の内部の中空部は、背板400に空けた嵌込溝420に中仕切板500bを挿し立てることで表板300の変形を抑制するが、さらに、背板400に空けた注入口430から、仕切板500によって区切られた空間に、発泡ウレタン等の充填材を注入しても良い。これにより表板300の局部的な変形が抑制される。なお、余分な充填材は排出口440から排出すれば良い。
【0035】
仕切板500は、背板400の内面に立てて固定しただけでは左右に傾く場合があるので、表板300の内面に押さえ部材330を設けて、仕切板500が左右へ変位するのを抑える。両側の端仕切板500aの間に配置する中仕切板500bの枚数は任意であるが、止水板200の横幅の3分の1(例えば、400mm)ピッチ程度にすれば良い。
【0036】
図9は、エレベータ乗場用止水板を分解した状態を示す図である。
図10は、エレベータ乗場用止水板の表板の内面を示す図である。
図11は、エレベータ乗場用止水板の背板の内面を示す図である。
図12は、エレベータ乗場用止水板の仕切板(横向き)を示す拡大図である。
【0037】
図9に示すように、止水板200は、背板400に仕切板500を固定し、背板400に表板300を被せたものである。その他、連結用の端固定用部材600、下固定用部材700、及び上固定用部材800、防水用の縦シール材900、及び横シール材910等が用いられる。
【0038】
図10に示すように、表板300の裏面には、背板400の嵌込溝420の位置に対応するように、押さえ部材330を設ける。押さえ部材330には、仕切板500を差し込むために縦長のスリット340を空ける。なお、押さえ部材330で仕切板500を挟んだ状態となるが、摺動自在で固定はしない。仕切板500よりスリット340の幅を広めにし、仕切板500の先端がスリット340の奥に達しない程度で良い。
【0039】
図11に示すように、背板400の上端及び下端は、表板300を被せるために、内面側に折り曲げた折曲部450が形成される。折曲部450の外側に表板300の水平面320を重ねる。仕切板500を挿す嵌込溝420の位置に合わせて、仕切板500の上端及び下端が当たるのを避けるために、切欠460が入れられる。
【0040】
図12に示すように、仕切板500は、表板300の湾曲面310に合わせて膨らむように湾曲させた湾曲部510、背板400に当接可能で中央に突起を設けた突部520、両端が尖らないように切り落とした端部530からなる。
【0041】
図13は、エレベータ乗場用止水板の仕切板を取り付ける状況を示す(a)背板側の図及び(b)表板側の図である。
図14は、エレベータ乗場用止水板を連結して高さを上げた状態を示す図である。
【0042】
図13(a)に示すように、仕切板500の突部520は、仕切板500を背板400に当てたときに、嵌込溝420に挿し込んで固定する。仕切板500の端部530は、仕切板500を背板400に当てたときに、切欠460に収めて折曲部450で支持する。端部530を平坦に切り落とすことで、表板300の上端面320a及び下端面320bから突出しない。
【0043】
図13(b)に示すように、仕切板500の湾曲部510は、表板300を背板400に被せるときに、表板300のスリット340に収めて押さえ部材330で挟持する。仕切板500を表板300に固定しないことで、水圧等による表板300の変形や歪みに対して柔軟に対応可能である。
【0044】
図14に示すように、最下段の止水板200は、表板300の下端面320bと、エレベータ乗場100の床面150とを、その間に横シール材910を介在させた上で、下固定用部材700を用いて床面150に固定される。下端面320bから突出させた下固定用部材700の留孔720と、床面150に空けた留孔とを、留具740で固定すれば良い。
【0045】
また、止水板200は、背板400の端部410と、壁面140に設けた受け部材160の間に、縦シール材900を介在させた上で、端固定用部材600を用いて端部410を挟むように受け部材160に固定される。端固定用部材600の留孔630と、受け部材160に空けた留孔とを、留具640で固定すれば良い。
【0046】
止水板200の上に別の止水板200aを積み重ねる場合は、止水板200の上端面320aと、別の止水板200aの下端面320bの間に、横シール材910を介在させた上で、止水板200の上固定用部材800の留孔820と、別の止水板200aの下固定用部材700の留孔720とを、留具740で固定すれば良い。
【0047】
なお、下固定用部材700に位置決め孔730を空け、上固定用部材800に位置決めピン830が取り付けておき、別の止水板200aの位置決め孔730に、止水板200の位置決めピン830を挿通させることで、下固定用部材700と上固定用部材800の位置合わせが可能である。
【0048】
縦シール材900及び横シール材910で密閉することにより、止水板200、200aの手前側から奥側への水の流入が防止される。なお、縦シール材900及び横シール材910には、クロロプレンゴム等を使用すれば良い。
【0049】
本発明によれば、水圧が掛かる方向への変形を抑えることができ、さらに、高さを上げるために複数の止水板を上方向に重ねても隙間を塞ぐことができるので、雨水の量が多くても確実に雨水の浸入を防止することができる
【0050】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。止水板の断面形状は、弧状に湾曲するだけでなく、三角形状や台形状など多角形状に膨らむようにしても良い。
【符号の説明】
【0051】
100:エレベータ乗場
110:ドア
120:三方枠
130:操作パネル
140:壁面
150:床面
160:受け部材
200:止水板
200a:止水板
210:取っ手
300:表板
310:湾曲面
320:水平面
320a:上端面
320b:下端面
330:押さえ部材
340:スリット
400:背板
410:端部
420:嵌込溝
430:注入口
440:排出口
450:折曲部
460:切欠
500:仕切板
500a:端仕切板
500b:中仕切板
510:湾曲部
520:突部
530:端部
600:端固定用部材
610:横板
620:縦板
630:留孔
640:留具
700:下固定用部材
710:支持材
720:留孔
730:位置決め孔
740:留具
800:上固定用部材
810:支持材
820:留孔
830:位置決めピン
900:縦シール材
910:横シール材
【要約】
【課題】雨水の量が多くても確実に雨水の浸入を防止することができるエレベータ乗場用止水板を提供する。
【解決手段】エレベータ乗場用止水板は、エレベータ乗場からドアまで水が流れ込まないように設置する止水板であって、上端及び下端より中間部が突出するように湾曲させて前記ドアの手前側で水を受け止めさせる表板と、前記表板の奥側に当てて中空の蒲鉾状にする背板と、前記表板の左側面及び右側面を塞ぐようにそれぞれ前記背板から立てた端仕切板と、両方の前記端仕切板の間に複数が間欠的に配置されるようにそれぞれ前記背板から立てた中仕切板と、を有し、前記端仕切板及び前記中仕切板は、前記背板にのみ固定され、前記表板の内面に設けた押さえ部材で挟むように支持する、ことを特徴とする。
【選択図】
図1