(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】表示装置および表示制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20231023BHJP
G09G 5/22 20060101ALI20231023BHJP
G09G 5/40 20060101ALI20231023BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G09G5/00 X
G09G5/00 510H
G09G5/00 550H
G09G5/00 550X
G09G5/22 650Z
G09G5/40
H04N5/66 D
(21)【出願番号】P 2020005016
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広樹
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-248755(JP,A)
【文献】特開2005-017247(JP,A)
【文献】特開2011-028118(JP,A)
【文献】特開2017-138567(JP,A)
【文献】特開平05-297840(JP,A)
【文献】特開2010-025590(JP,A)
【文献】特開平05-189263(JP,A)
【文献】特開昭61-223882(JP,A)
【文献】特開2000-305714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K35/00-37/06
G01D7/00-7/12
G01R31/00-31/01
31/24-31/25
G06F3/01
3/048-3/04895
40/00-40/197
G09G3/00-3/08
3/12
3/16
3/19-3/26
3/30
3/34
3/38-5/42
H04N5/222-5/257
5/38-5/46
5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域が形成されたディスプレイを備える表示装置であって、
映像信号に基づいて前記ディスプレイを駆動する映像処理部と、
プログラムを読み出して実行することにより、表示装置本体を中枢的に制御する主制御部と
、
タッチパネルとを備え、
前記主制御部が実行するプログラムには、デバッグ用のプログラムであって、デバッグの結果を示す1つ以上の文字コードを出力する命令が実装された専用プログラムが含まれ、
前記専用プログラムに基づいて前記主制御部が出力した文字コードを入力し、入力した文字コードを解析し、文字コードが描画文字を示す場合は、その描画文字に対応するフォントデータを取得し、取得したフォントデータが示す描画文字を前記表示領域に表示し、文字コードが描画に関する処理を示す場合は、当該描画に関する処理を実行する機能を、前記映像処理部に実装し
、
前記専用プログラムは、前記タッチパネルに関するデバッグを行う機能を含む
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
表示領域が形成されたディスプレイを備える表示装置であって、
映像信号に基づいて前記ディスプレイを駆動する映像処理部と、
プログラムを読み出して実行することにより、表示装置本体を中枢的に制御する主制御部とを備え、
前記主制御部が実行するプログラムには、デバッグ用のプログラムであって、デバッグの結果を示す1つ以上の文字コードを出力する命令が実装された専用プログラムが含まれ、
前記専用プログラムに基づいて前記主制御部が出力した文字コードを入力し、入力した文字コードを解析し、文字コードが描画文字を示す場合は、その描画文字に対応するフォントデータを取得し、取得したフォントデータが示す描画文字を前記表示領域に表示し、文字コードが描画に関する処理を示す場合は、当該描画に関する処理を実行する機能を、前記映像処理部に実装し、
前記表示領域には独立した複数の区画エリアが設定され、
前記専用プログラムは、デバッグの結果を示す1つ以上の文字コードからなる文字コード群について、デバッグの結果の種類に応じて前記区画エリアの何れか1つを示す識別情報を付加して出力し、
前記映像処理部は、
前記専用プログラムに基づいて前記主制御部が出力した文字コード群毎に、対応付けられた識別情報が示す前記区画エリアを、描画文字を表示しかつ描画に関する処理を実行する対象とする
ことを特徴とす
る表示装置。
【請求項3】
タッチパネルを更に備え、
前記専用プログラムは、前記タッチパネルに関するデバッグを行う機能を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
描画文字の文字コードのそれぞれのフォントデータが登録されたフォントテーブルが記憶されると共に、文字コード毎に文字コードと前記フォントテーブルにおけるフォントデータのアドレスとが対応付けられた対応情報テーブルが記憶され、
前記映像処理部は、
文字コードが描画文字を示す場合は、前記対応情報テーブルを参照し、前記対応情報テーブルにおいてその文字コードと対応付けられたアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されたフォントデータを、その描画文字に対応するフォントデータとして取得する
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
表示領域が形成されたディスプレイと、映像信号に基づいて前記ディスプレイを駆動する映像処理部と、プログラムを読み出して実行することにより、表示装置本体を中枢的に制御する主制御部と
、タッチパネルとを備える表示装置による表示制御方法であって、
前記表示装置の前記主制御部が、デバッグ用のプログラムであって、デバッグの結果を示す1つ以上の文字コードを出力する命令が実装された専用プログラムに基づいて文字コードを出力するステップと、
前記表示装置の前記映像処理部が、前記専用プログラムに基づいて前記主制御部が出力した文字コードを入力し、入力した文字コードを解析し、文字コードが描画文字を示す場合は、その描画文字に対応するフォントデータを取得し、取得したフォントデータが示す描画文字を前記表示領域に表示し、文字コードが描画に関する処理を示す場合は、当該描画に関する処理を実行するステップと
を含み、
前記専用プログラムは、前記タッチパネルに関するデバッグを行う機能を含む
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項6】
表示領域が形成されたディスプレイと、映像信号に基づいて前記ディスプレイを駆動する映像処理部と、プログラムを読み出して実行することにより、表示装置本体を中枢的に制御する主制御部とを備える表示装置による表示制御方法であって、
前記表示装置の前記主制御部が、デバッグ用のプログラムであって、デバッグの結果を示す1つ以上の文字コードを出力する命令が実装された専用プログラムに基づいて文字コードを出力する第1ステップと、
前記表示装置の前記映像処理部が、前記専用プログラムに基づいて前記主制御部が出力した文字コードを入力し、入力した文字コードを解析し、文字コードが描画文字を示す場合は、その描画文字に対応するフォントデータを取得し、取得したフォントデータが示す描画文字を前記表示領域に表示し、文字コードが描画に関する処理を示す場合は、当該描画に関する処理を実行する第2ステップとを含み、
前記表示領域には独立した複数の区画エリアが設定され、
前記専用プログラムは、デバッグの結果を示す1つ以上の文字コードからなる文字コード群について、デバッグの結果の種類に応じて前記区画エリアの何れか1つを示す識別情報を付加して出力し、
前記第2ステップにおいて前記映像処理部は、
前記専用プログラムに基づいて前記主制御部が出力した文字コード群毎に、対応付けられた識別情報が示す前記区画エリアを、描画文字を表示しかつ描画に関する処理を実行する対象とする
ことを特徴とする表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示制御方法に関し、特に、ディスプレイを備える表示装置およびこの表示装置による表示制御方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部装置から映像信号として入力される動画やインタフェイス等の映像を表示するディスプレイを備える表示装置が広く普及している。そして多くの表示装置では、OSD機能により提供されるインタフェイスを利用してディスプレイに関する設定(カラーに関する設定や表示位置に関する設定)ができるようになっている。なお、OSD機能に関して、特許文献1には、指示に応じてマイクロコンピュータに接続されているICに関する情報(名称や状態等)を一覧表示する技術が記載されている。また特許文献2には、デジタルカメラの表示モニタにOSDとして、再生画像選択画面等の各種画面を表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-274424号公報
【文献】特開2010-050690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、表示装置では、不具合が生じている場合や、定期メンテナンス等の理由によりデバッグを行う必要が生じる場合がある。デバッグは多くの場合、デバッグ用のプログラムがインストールされた専用の端末を表示装置に接続し、この専用の端末と表示装置の主制御部(メインCPU等)とが通信し、デバッグ結果が専用の端末側の表示パネルに表示されることによって行われていた。しかしながら、この場合、デバッグを行う度に専用の端末を用意して表示装置に接続する必要があり、作業が煩雑であった。
【0005】
このような作業の煩雑性を回避するために、デバッグ用のプログラムを表示装置自体にインストールし、この表示装置によりデバッグを行い、その結果を表示装置のディスプレイに表示することが考えられる。このようにすれば、専用の端末がいらないからである。このようにする場合の1つの方法として、デバッグの結果を画像データとして生成する画像データ生成機能を有するモジュールをデバッグ用のプログラムとは別に表示装置に実装し、主制御部の制御の下で当該モジュールがデバッグの結果が記録された画像データを生成し、映像処理部(ディスプレイを駆動する機能部)に出力し、映像処理部においてこの画像データと外部装置から入力される画像データとを同期させて重畳して表示するようにすることが考えられる。しかしながら、この場合、デバッグの処理に加えて、画像データを生成する処理も主制御部が行うため、主制御部の処理負荷の増大、および、当該モジュールを実装することに伴うコストの増大が見込まれ、その点で課題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、表示装置のデバッグに関し、専用の端末を用意することなく、かつ、処理負荷の増大およびコストの増大を抑制しつつデバッグを行うことができ、更にデバッグ結果を確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明では、表示領域が形成されたディスプレイを備え、映像信号に基づいてディスプレイを駆動する映像処理部と、プログラムを読み出して実行することにより、表示装置本体を中枢的に制御する主制御部とを備える表示装置について以下の構成としている。すなわち、主制御部が実行するプログラムに、ディスプレイおよび映像処理部のデバッグ用のプログラムであって、デバッグの結果を示す1つ以上の文字コードを出力する命令が実装された専用プログラムが含まれるようにしている。そして、専用プログラムに基づいて主制御部が出力した文字コードを入力し、入力した文字コードを解析し、文字コードが描画文字を示す場合は、その描画文字に対応するフォントデータを取得し、取得したフォントデータが示す描画文字を表示領域に表示し、文字コードが描画に関する処理を示す場合は、当該描画に関する処理を実行する機能を、映像処理部に実装している。この構成において、専用プログラムが、タッチパネルに関するデバッグを行う機能を含むようにしてもよい。またこの構成において、以下の構成としてもよい。すなわち、表示領域には独立した複数の区画エリアが設定され、専用プログラムは、デバッグの結果を示す1つ以上の文字コードからなる文字コード群について、デバッグの結果の種類に応じて区画エリアの何れか1つを示す識別情報を付加して出力する。そして映像処理部は、専用プログラムに基づいて主制御部が出力した文字コード群毎に、対応付けられた識別情報が示す区画エリアを、描画文字を表示しかつ描画に関する処理を実行する対象とする。以上の構成としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した本発明によれば、デバッグは、表示装置の主制御部が実行するプログラムの機能により実行され、また、デバッグの結果はディスプレイに表示される。このため、まず、専用の端末を用意する必要がない。更に、本発明によれば、デバッグ用のプログラムの機能により、デバッグの結果を示す情報が文字コードとして出力され、主制御部から映像処理部に出力される。そして映像処理部において文字コードが解析され、デバッグの結果を示す情報として表示される。このため、主制御部は、画像データを生成するモジュールを制御する処理を実行する必要がなく、処理負荷の増大を抑制できる。更に表示装置に、デバッグの結果が記録された画像データを生成するためのモジュールを実装する必要がなく、コストの増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るタッチスクリーンの正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るタッチスクリーンの機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】ディスプレイの表示領域に第1区画エリアおよび第2区画エリアが描画された様子を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るタッチスクリーンの動作例を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態に係るタッチスクリーンの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るタッチスクリーン1(特許請求の範囲の「表示装置」に相当)の正面図である。本実施形態に係るタッチスクリーン1は、車両のダッシュボードの中央部に設置される装置であり、各種映像を表示可能なディスプレイ2と、このディスプレイ2に重ねて配置され、タッチ操作による入力を受け付けるタッチパネル3とを備えている。タッチスクリーン1の筐体の全面の広い領域には、映像が表示可能な最大の領域である表示領域2aが形成されている。この表示領域2aは、タッチ操作を受け付ける最大の領域でもある。タッチスクリーン1の筐体において、ディスプレイ2の下方には、複数の操作スイッチ4が設けられている。
【0011】
図2は、本実施形態に係るタッチスクリーン1の機能構成例を示すブロック図である。
図2で示すようにタッチスクリーン1には車載装置5が接続されている。後に詳述するように、車載装置5は、タッチスクリーン1に対して第1映像信号を出力する機能、および、タッチスクリーン1から位置座標信号を入力したときに当該信号が示す操作位置に対応する処理を実行する機能を少なくとも有する装置である。一例として、いわゆるカーナビゲーション装置を本実施形態に係る車載装置5として機能させることができる。
【0012】
図2で示すように、タッチスクリーン1は、ディスプレイ2およびタッチパネル3の他、機能構成として、入力部10、主制御部11、信号処理部12、映像処理部13およびタッチパネル制御部14を備えている。本実施形態では、入力部10、主制御部11、信号処理部12、映像処理部13およびタッチパネル制御部14はそれぞれ、それぞれ独立した回路により構成される。
【0013】
主制御部11は、プログラムを読み出して実行することにより、タッチスクリーン1を中枢的に制御する機能ブロックである。主制御部11の回路は、演算処理手段としてCPUを備え、ROM等により構成された第1記憶部15に記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより各種処理を実行する。映像処理部13は、映像信号に基づいてディスプレイ2を駆動する機能ブロックである。映像処理部13の回路は、演算処理手段としてCPUを備え、ROM等により構成された第2記憶部16に記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより各種処理を実行する。主制御部11および映像処理部13以外の回路は、CPU、DSP(Digital Signal Processor)等の演算処理回路や信号処理回路を備え、ハードウェアとソフトウェアの協働により、または、ハードウェアにより、各種演算処理や各種信号処理を実行する。
【0014】
入力部10は、操作スイッチ4に対する操作を検出し、行われた操作を示す信号を主制御部11および映像処理部13に出力する。
【0015】
以下、複数のケースに分けてタッチスクリーン1の動作について説明する。
【0016】
<通常モードでディスプレイ2に映像を表示するケース>
まず、通常モードでディスプレイ2に映像を表示するときのタッチスクリーン1の動作について説明する。通常モードとは、後述するデバッグモードと異なる動作モードであり、タッチスクリーン1が通常の使用態様で使用されるときの動作モードである。
【0017】
ディスプレイ2への映像の表示に際し、車載装置5は、同期信号と同期させて第1映像信号をタッチスクリーン1に出力する。第1映像信号は、例えば、DVD等のメディアに記録された映像や、事前に用意されたユーザインタフェイスの映像、地図データに基づく地図の映像、車載装置5に接続された端末(例えば、いわゆるスマートフォン)から入力された映像、テレビ放送の映像等の映像信号である。車載装置5とタッチスクリーン1とは、LVDS(Low voltage differential signaling)に対応する所定の通信方式で有線接続されており、車載装置5は、当該所定の通信方式に従って第1映像信号を出力する。ただし、車載装置5とタッチスクリーン1との間で行われる通信の通信方式は何でもよく、例えば、USB、HDMI(登録商標)、DisplayPort等であってもよい。また、これら装置が無線接続される構成でもよい。
【0018】
信号処理部12は、第1映像信号を入力し、同期信号に基づいて1フレーム分の画像データであるフレーム画像データを切り出す。フレーム画像データは、ドットにより構成されるデータであって、ドット毎に、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の色成分を所定階調(例えば、256階調)の階調値として保持するデータである。信号処理部12は、フレーム毎にフレーム画像データを第2映像信号として映像処理部13に出力する。
【0019】
映像処理部13は、フレーム画像データを第2映像信号として入力する。映像処理部13は、フレーム毎にフレーム画像データをVRAM等で構成された第1フレームメモリ20に展開し、第1フレームメモリ20に展開されたフレーム画像データに基づいてディスプレイ2を駆動し、1フレーム分の画像をディスプレイ2に表示する。
【0020】
<通常モード時にタッチパネル3がタッチ操作されたケース>
次に、通常モード時にタッチパネル3がタッチ操作されたときのタッチスクリーン1の動作について説明する。タッチパネル3に対してタッチ操作が行われると、タッチパネル制御部14は、タッチ操作が行われたこと、および、タッチ操作が行われた位置の座標を検出し、座標を示す位置座標情報を主制御部11に出力する。タッチパネル制御部14の回路と主制御部11の回路とはI2C(Inter-Integrated Circuit)に対応する通信方式で接続されており、タッチパネル制御部14は、I2Cに従って位置座標情報を主制御部11に出力する。
【0021】
主制御部11は、タッチパネル制御部14から位置座標情報を入力すると、当該情報を信号処理部12に出力する。主制御部11の回路と、信号処理部12の回路とはI2Cに対応する通信方式で接続されており、主制御部11は、I2Cに従って位置座標情報を信号処理部12に出力する。
【0022】
信号処理部12は、主制御部11から位置座標情報を入力すると、所定の信号処理を行い、位置座標情報を位置座標信号として車載装置5に出力する。
【0023】
車載装置5は、信号処理部12から位置座標信号を入力すると、タッチ操作が行われた位置を示す座標を認識し、対応する処理を実行する。例えば車載装置5は、座標に基づいて、所定のタッチボタンがタッチ操作されたことを検出し、当該所定のタッチボタンが操作された場合に行うべき処理として予め定められた処理(一例としてユーザインタフェイスの切り替え)を実行する。
【0024】
<デバッグモードにおいてデバッグが行われるケース>
次にデバッグモードにおいてデバッグが行われるときのタッチスクリーン1の動作について説明する。本実施形態において、デバッグとは、タッチスクリーン1の動作確認を広く含む概念であり、不具合が実際に発生しているか否かに関わらず行われる。デバッグに際し、デバッグを行う者(以下「作業者」という)は、タッチスクリーン1の操作スイッチ4を予め定められた特殊な方法で操作する。特殊な方法の操作は、例えば、特定の3つの操作スイッチを長押しするといったものである。主制御部11は、入力部10から入力した信号に基づいて、操作スイッチ4が特殊な方法で操作されたことを検出すると、動作モードをデバッグモードへ移行する。ただし、タッチスクリーン1をデバッグモードへ移行させる方法は、本実施形態で例示する方法に限られず、一例として、専用のディップスイッチを設け、専用のディップスイッチがオンされたときに、主制御部11のCPUの所定のポートに信号が入力され、動作モードがデバッグモードへ移行する構成としてもよい。
【0025】
デバッグモードへ移行した後、主制御部11は、事前にインストールされ、第1記憶部15に記憶されたデバッグ用プログラム21(特許請求の範囲の「専用プログラム」に相当)をRAMに読み出し、実行する。
【0026】
図3は、デバッグ用プログラム21を説明に適した態様で単純化し模式的に示す図である。ここで、本実施形態では、デバッグモードにおいてタッチスクリーン1は以下の処理を実行するものとする。すなわち、タッチスクリーン1は、1分毎に、主制御部11のCPU(以下「第1CPU」という)の温度、および、映像処理部13のCPU(以下「第2CPU」という)の温度を示す情報を表示する。以下、この処理を実現させる機能を機能K1という。作業者は、表示内容を確認することによって、第1CPUおよび第2CPUに温度異常が発生していないかどうかを確認できる。
【0027】
更にデバッグモードにおいてタッチスクリーン1は、タッチパネル制御部14から位置座標情報を入力した場合、タッチ操作された位置の座標を示す情報を表示する。以下、この処理を実現させる機能を機能K2という。作業者は、自身でタッチ操作を行いつつ、表示された情報を確認することによって、タッチ操作が即座に正しい位置として検出されているかどうかを確認できる。
【0028】
図3で示すデバッグ用プログラム21において、符号SB1は、機能K1に対応するサブルーチンを示している。ここで、主制御部11には、第1CPUの温度を検出するセンサ(以下「第1センサ」という)から検出値が入力されると共に、第2CPUの温度を検出するセンサ(以下「第2センサ」という)から検出値が入力される。サブルーチンSB1は、主制御部11に、第1センサの検出値を取得させ変数H1に格納させる機能、および、第2センサの検出値を取得させ変数H2に格納させる機能を有するプログラムが記述されている。変数H1、H2には、整数型や浮動小数点型ではなく、文字型として値が格納される(後述する変数H3、H4についても同様)。更にサブルーチンSB1には、デバッグ結果出力コードC1が記述されている。
【0029】
デバッグ結果出力コードC1は、引数で指定された文字コード群(1つ以上の文字コードの群)を出力する命令(以下「文字コード出力用命令」という)を有している。文字コード出力用命令は、例えば、C言語におけるprintf関数である。
【0030】
本実施形態では、文字コード出力用命令により出力される文字コードは、ASCIIコードである。以下、文字コードを表すときは16進数で表す。また、本実施形態では、文字コードが割り振られた対象を全て「文字」と表現し、1つ以上の文字の連続を「文字列」と表現する。従って、描画の対象となる数字や、アルファベット、記号のみならず、改行を指示するコード(以下、このコードを特に「<改行>」と表現する)や、一文字削除を指示するコード(以下、このコードを特に「<一文字削除>」と表現する)等の描画に関する処理を示すコードについても、文字コードが割り振られている限り「文字」と表現する。例えば、ASCIIコードとして0x31が割り振られた数値の「1」や、0x41が割り振られたアルファベットの「A」は文字に相当し、ASCIIコードとして0x2bが割り振られた記号の「+」や、0x21が割り振られた記号の「!」は文字に相当し、また、ASCIIコードとして0x0aが割り振られた<改行>や、0x7fが割り振られた<一文字削除>は文字に相当する。ただし、以下の説明では、描画の対象となる文字(つまり、後述するフォントデータが用意された文字)を特に「描画文字」といい、描画に関する処理を示す文字を特に「処理文字」という。<改行>や<一文字削除>は処理文字に相当する。
【0031】
デバッグ結果出力コードC1は、固定的に文字列「1+」の文字コード群を出力し、更にこれに続けて、文字列「T1=」の文字コード群と、変数H1の値を示す文字列の文字コード群と、描画文字「/」の文字コードと、文字列「T2=」の文字コード群と、変数H2の値を示す文字列の文字コード群と、<改行>の文字コードとを出力する。
【0032】
例えば、サブルーチンSB1の機能により変数H1に「45」が格納され、変数H2に「30」が格納されたとする。この場合、デバッグ結果出力コードC1が出力する文字列は、「1+T1=45/T2=30<改行>」となり、具体的な文字コード群は、「0x31、0x2b、0x54、0x31、0x3d、0x34、0x35、0x2f、0x54、0x32、0x3d、0x33、0x30、0x0a」(ただし文字コード間の「、」は見やすさのために付加したもの)となる。
【0033】
サブルーチンSB1は、メインルーチンにより1分毎に呼び出されて実行される。この結果、1分毎に、その時点の第1CPUの温度の値を示す文字列および第2CPUの温度の値を示す文字列を含む文字列の文字コード群が、デバッグ結果出力コードC1により出力される。
【0034】
図3で示すデバッグ用プログラム21において、符号SB2は、機能K2に対応するサブルーチンを示している。サブルーチンSB2は、主制御部11に位置座標情報が入力されたときに、当該情報が示す座標を認識させ、X座標の値を変数H3に格納させ、Y座標の値を変数H4に格納させる機能を有するプログラムが記述されている。更にサブルーチンSB2には、デバッグ結果出力コードC2が記述されている。
【0035】
デバッグ結果出力コードC2は文字コード出力用命令を有している。デバッグ結果出力コードC2は、固定的に文字列「2+」の文字コード群を出力し、更にこれに続けて、文字列「X=」の文字コード群と、変数H3に格納された値の文字列の文字コード群と、描画文字「/」の文字コードと、文字列「Y=」の文字コード群と、変数H4に格納された値の文字列の文字コード群と、<改行>の文字コードとを出力する。例えば、サブルーチンSB2の機能により認識されたX座標が「100」、Y座標が「50」であったとする。この場合、デバッグ結果出力コードC2が出力する文字列は、「2+X=100/Y=50<改行>」となる(具体的な文字コード群は省略する)。
【0036】
サブルーチンSB2は、主制御部11への位置座標情報の入力がある度にメインルーチンにより呼び出され実行される。この結果、主制御部11に位置座標情報が入力されると、X座標を示す文字列およびY座標を示す文字列を含む文字列の文字コード群が、デバッグ結果出力コードC2により出力される。
【0037】
主制御部11と映像処理部13とは、文字コード出力用命令により出力された文字コード群を主制御部11から映像処理部13に出力するための専用のバスで接続されている。本実施形態では、主制御部11と映像処理部13との通信方式は、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)に対応する通信方式で接続されている。ただし、主制御部11と映像処理部13との間の通信方式はこれに限定されない。
【0038】
デバッグモードにおいて、主制御部11は、サブルーチンSB1を実行すると、デバッグ結果出力コードC1が出力する文字コード群を専用のバスを介して映像処理部13に出力する。以下、サブルーチンSB1のデバッグ結果出力コードC1が出力する文字コード群を「温度表示用文字コード群」という。サブルーチンSB1は1分毎に実行されるため、主制御部11から映像処理部13に対して1分毎に温度表示用文字コード群が出力されることになる。
【0039】
また、主制御部11は、サブルーチンSB2を実行すると、デバッグ結果出力コードC2が出力する文字コード群を専用のバスを介して映像処理部13に出力する。以下、サブルーチンSB2のデバッグ結果出力コードC2が出力する文字コード群を「座標表示用文字コード群」という。サブルーチンSB2は主制御部11に位置座標情報が入力される度に実行されるため、主制御部11に位置座標情報が入力される度に主制御部11から映像処理部13に対して座標表示用文字コード群が出力されることになる。
【0040】
映像処理部13は、入力部10から入力した信号に基づいて、操作スイッチ4が特殊な方法で操作されたことを検出すると、動作モードをデバッグモードへ移行する。デバッグモードへ移行した後、映像処理部13は、まず以下の処理を実行する。すなわち映像処理部13は、ディスプレイ2の表示領域2aに、2つの第1区画エリアAR1および第2区画エリアAR2を描画する。
【0041】
図4は、表示領域2aに第1区画エリアAR1および第2区画エリアAR2が描画された様子を示している。
図4で示すように、第1区画エリアAR1は、表示領域2aの左右方向の中央より図中で左側に設けられた矩形の区画エリアであり、背景が白で塗りつぶされている。また、第2区画エリアAR2は、表示領域2aの左右方向の中央より図中で右側に設けられた矩形の区画エリアであり、背景が白で塗りつぶされている。
【0042】
映像処理部13は、RAM等のワークエリアに形成された第2フレームメモリ22に第1区画エリアAR1に対応する第1区画エリア画像データG1(
図6、7)、および、第2区画エリアAR2に対応する第2区画エリア画像データG2(
図6、7)を展開する。第2フレームメモリ22は、ディスプレイ2の表示領域2aの解像度に応じてドットがドットマトリクス状の配置されたバッファであり、各ドットの位置は所定の座標系における座標として特定可能である。そして映像処理部13は、フレーム毎に、第1フレームメモリ20に展開されたフレーム画像データに対して、第2フレームメモリ22に展開されたデータを重畳し、重畳後のデータによってディスプレイ2を駆動することにより、第1区画エリアAR1および第2区画エリアAR2を表示領域2aに表示する。映像処理部13は、デバッグモードの間、第1区画エリア画像データG1および第2区画エリア画像データG2を継続して第2フレームメモリ22に展開し、第1区画エリアAR1および第2区画エリアAR2を表示領域2aに表示する。
【0043】
更にデバッグモードにおいて、主制御部11から文字コード群(本実施形態では、温度表示用文字コード群または座標表示用文字コード群)が入力されると、映像処理部13は、以下の処理を実行する。すなわち、映像処理部13は、文字コード群の最初の2文字を認識する。そして、最初の2文字が文字列「1+」の場合、映像処理部13は、処理の対象を第1区画エリアAR1とする。温度表示用文字コード群は最初の2文字が文字列「1+」であるため、温度表示用文字コード群に基づく処理は第1区画エリアAR1を対象として行われる。映像処理部13は、文字列「1+」の部分については破棄する。
【0044】
一方、最初の2文字が文字列「2+」の場合、映像処理部13は、処理の対象を、第2区画エリアAR2とする。座標表示用文字コード群は最初の2文字が文字列「2+」であるため、座標表示用文字コード群に基づく処理は、第2区画エリアAR2を対象として行われる。映像処理部13は、文字列「2+」の部分については破棄する。
【0045】
以上のように本実施形態では、表示領域2aには独立した2つの区画エリアが設定される。そして、デバッグ用プログラム21は、デバッグの結果を示す1つ以上の文字コードからなる文字コード群について、デバッグの結果の種類に応じて区画エリアの何れか1つを示す識別情報(本実施形態では文字列「1+」または文字列「2+」)を付加して出力する。映像処理部13は、主制御部11が出力した文字コード群毎に、対応付けられた識別情報が示す区画エリアを、描画文字を表示しかつ描画に関する処理を実行する対象とする。このような処理が行われることによる効果は後述する。
【0046】
入力した文字コード群の最初の2文字を認識し、対象とする区画エリアを決定した後、映像処理部13は、最初の2文字に続く文字コード群について、文字コード毎に順番に以下の処理を実行する。以下、ある1つの文字(便宜的に「処理対象文字」という)を処理対象として映像処理部13が実行する処理について説明する。まず、映像処理部13は、処理対象文字の文字コードを認識する。次いで、映像処理部13は、第2記憶部16に記憶された対応情報テーブル24を参照する。
【0047】
図5は、対応情報テーブル24の内容を説明に適した態様で模式的に示す図である。対応情報テーブル24とは、映像処理部13の処理対象となり得る文字コード(=主制御部11が出力する可能性のある文字コード)毎に対応する情報が対応付けられたテーブルである。具体的には、
図5を参照し、対応情報テーブル24では、描画文字の文字コードについては、文字コードと対応付けて、フォントテーブル25において文字コードに対応するフォントデータが格納されたアドレス(番地)を示す情報(以下「対応アドレス情報」という)が登録されている。フォントテーブル25およびフォントデータについては後述する。また、
図5を参照し、対応情報テーブル24では、処理文字の文字コードについては、文字コードと対応付けて、文字コードに対応する処理を示す情報(以下「対応処理情報」という)が登録されている。
【0048】
フォントデータとは、描画文字を表示領域2aに表示可能な態様で表現する実データのことである。本実施形態では、フォントデータは、所定サイズ(例えば、横24ドット、縦48ドットのサイズ)のビットマップフォントデータである。ただし、フォントデータは、ビットマップフォントデータの他、スケイラブルフォントデータや、ベクトルフォントデータ、アウトラインフォントデータ等であってもよい。また、フォントテーブル25とは、フォントデータのそれぞれが登録されたテーブルである。フォントテーブル25において、フォントデータのそれぞれには、その格納領域を識別するためのアドレス(番地)が割り振られており、全てのフォントデータについて、アドレスを指定することによって、その格納領域を一意に特定することができる。
【0049】
ここでフォントテーブル25は、タッチスクリーン1に備え付けのOSD機能部(以下「既存OSD機能部」という)が利用するものである。既存OSD機能部は、操作スイッチ4に対する所定の操作に応じて、ディスプレイ2のカラーに関する設定や、明るさに関する設定、表示位置に関する設定などの各種設定を行うためのユーザインタフェイスをOSDとして表示する機能を有している。既存OSD機能部は、OSDの表示に際して、各種文字の表示を、フォントテーブル25に登録されたフォントデータを利用して行う。本実施形態では、主制御部11から入力される文字コード群に対応する新たなフォントテーブルを記憶するのではなく、既存OSD機能部が利用するフォントテーブル25を利用する構成のため、第2記憶部16の記憶領域を有効活用できる。対応情報テーブル24において、描画文字の文字コードと対応付けられた対応アドレス情報は、フォントテーブル25が事前に分析されることによって設定される。
【0050】
映像処理部13は、第2記憶部16に記憶された対応情報テーブル24を参照し、処理対象文字の文字コードに対応付けられた情報を特定する。当該対応付けられた情報が対応アドレス情報の場合、映像処理部13は、フォントテーブル25を参照し、対応アドレス情報が示すアドレスの格納領域に格納されたフォントデータを取得する。次いで映像処理部13は、取得したフォントデータをルールに従って、第2フレームメモリ22の所定の位置に展開する。
【0051】
図6は、第2フレームメモリ22の様子を説明に適した態様で模式的に示す図である。
図6を用いてフォントデータを第2フレームメモリ22に展開するときの映像処理部13の処理について詳述すると、第1区画エリア画像データG1が展開された領域(第1区画エリアAR1に対応する領域。以下、「第1領域」という)、および、第2区画エリア画像データG2が展開された領域(第2区画エリアAR2に対応する領域。以下、「第2領域」という)の双方には予め開始位置P1が定められている。第1領域を対象として映像処理部13の処理について説明すると、映像処理部13は、第1領域に1行目の1つ目の描画文字の文字コード(最初に入力した温度表示用文字コード群の最初の描画文字の文字コード)のフォントデータを展開する場合、この開始位置P1がフォントデータの左上の隅に位置するような状態でフォントデータを展開する。
図6の矩形の領域R1は、1行目の1つ目の描画文字の文字コードのフォントデータが展開される領域を示している。
【0052】
映像処理部13は、1行目の2つ目の描画文字については、開始位置P1から右側に所定距離(ただしフォントデータの横幅のドット数以上の距離)だけ離間した位置にフォントデータを展開する。
図6の矩形の領域R2は、1行目の2つ目の描画文字の文字コードのフォントデータが展開される領域を示している。また、映像処理部13は、改行を実行した後、2行目の1つ目の描画文字の文字コードのフォントデータを展開する場合、開始位置P1から下方に所定距離(ただしフォントデータの縦幅のドット数以上の距離)だけ離間した位置(
図6において符号P2で示す位置)にフォントデータを展開する。
図6の矩形の領域R3は、2行目の1つ目の描画文字の文字コードのフォントデータが展開される領域を示している。以上のように、映像処理部13は、ある1つの行については、所定の位置を起点として右に向かって順番にフォントデータを展開し、また、改行があると、起点とする位置を所定距離だけ下げる。
【0053】
また、映像処理部13は、対応情報テーブル24において処理対象文字の文字コードに対応付けられた情報が対応処理情報の場合、対応処理情報が示す処理を実行する。例えば、映像処理部13は、対応処理情報が改行を示す場合、改行を実行する。
【0054】
映像処理部13は、主制御部11から文字コード群が入力された場合、以上の処理を実行する。この結果、例えば、タイミングT0において、温度表示用文字コード群として「1+T1=45/T2=30<改行>」を入力し、タイミングT0から30秒後に座標表示用文字コード群として「2+X=100/Y=50<改行>」を入力し、タイミングT0から1分後に温度表示用文字コード群として「1+T1=50/T2=60<改行>」を入力したとすると、映像処理部13は、以下の態様で、第2フレームメモリ22にデータを展開する。
【0055】
図7の各図は、第2フレームメモリ22にデータが展開される様子を示す図である。すなわち、温度表示用文字コード群として「1+T1=45/T2=30<改行>」を入力すると、映像処理部13は、
図7(A)で示す態様で、第1領域の1行目に文字列「T1=45/T2=30」に対応するフォントデータ群を展開し、その後、改行する。次いで、座標表示用文字コード群として「2+X=100/Y=50<改行>」を入力すると、映像処理部13は、
図7(B)で示す態様で、第2領域の1行目に文字列「X=100/Y=50」に対応するフォントデータ群を展開し、その後、改行する。次いで、温度表示用文字コード群として「1+T1=50/T2=60<改行>」を入力すると、映像処理部13は、
図7(C)で示す態様で、第1領域の1行目に文字列「T1=50/T2=60」に対応するフォントデータ群を展開する。
【0056】
上述したように、映像処理部13は、フレーム毎に、第1フレームメモリ20に展開されたフレーム画像データに、第2フレームメモリ22に展開されたデータを重畳し、重畳後のデータに基づいてディスプレイ2を駆動する。このため、第2フレームメモリ22に展開されたデータは、そのままディスプレイ2の表示領域2aに表示される。作業者は、第1区画エリアAR1の情報を視認することにより、1分毎の第1CPUの温度および第2CPUの温度を確認することができ、各CPUに温度異常が発生していないかどうかを確認することができる。また、作業者は、タッチパネル3をタッチ操作しつつ、第2区画エリアAR2の情報を視認することにより、タッチ操作に即座に反応しているかどうか、および、タッチ操作した位置が正確に検出されているかどうかを確認することができる。
【0057】
特に、本実施形態では、2つの区画エリアが設定され、CPUの温度に関するデバッグ結果については第1区画エリアAR1に表示され、タッチ操作に関するデバッグ結果については第2区画エリアAR2に表示される。このため、1つの区画エリアに、異なる種類のデバッグ結果が混合して表示される場合と比較して、内容が分かりやすい。
【0058】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、表示領域2aが形成されたディスプレイ2を備え、映像信号に基づいてディスプレイ2を駆動する映像処理部13と、プログラムを読み出して実行することにより、タッチスクリーン1を中枢的に制御する主制御部11とを備えるタッチスクリーン1について以下の構成としている。すなわち、主制御部11が実行するプログラムに、デバッグ用のプログラムであって、デバッグの結果を示す1つ以上の文字コードを出力する命令(文字コード出力用命令)が実装されたデバッグ用プログラム21が含まれるようにしている。そして、デバッグ用プログラム21に基づいて主制御部11が出力した文字コードを入力し、入力した文字コードを解析し、文字コードが描画文字を示す場合は、その描画文字に対応するフォントデータを取得し、取得したフォントデータが示す描画文字を表示領域2aに表示し、文字コードが描画に関する処理を示す場合は、当該描画に関する処理を実行する機能を、映像処理部13に実装している。
【0059】
本実施形態の構成によれば、デバッグは、タッチスクリーン1の主制御部11が実行するプログラムの機能により実行され、また、デバッグの結果はディスプレイ2に表示される。このため、まず、デバッグに際して、タッチスクリーン1とは別の専用の端末を用意する必要がない。更に、本実施形態の構成によれば、デバッグ用プログラム21の機能により、デバッグの結果を示す情報が文字コードとして出力され、主制御部11から映像処理部13に出力される。そして映像処理部13において文字コードが解析され、デバッグの結果を示す情報として表示される。このため、主制御部11は、画像データを生成するモジュールを制御する処理を実行する必要がなく、処理負荷の増大を抑制できる。更にタッチスクリーン1に、デバッグの結果が記録された画像データを生成するためのモジュールを実装する必要がなく、コストの増大を抑制できる。
【0060】
次に、タッチスクリーン1の動作、特に、主制御部11が文字コード群を出力し、映像処理部13が文字コード群に対応する処理を実行するときのタッチスクリーン1の動作についてフローチャートを用いて説明する。
図8(A)は主制御部11の動作を示し、
図8(B)は映像処理部13の動作を示している。
【0061】
図8(A)で示すように、主制御部11は、サブルーチンSB1のデバッグ結果出力コードC1、または、サブルーチンSB2のデバッグ結果出力コードC2の実行に応じて、文字コード群を出力する(ステップSA1)。
【0062】
図8(B)で示すように、映像処理部13は、主制御部11による文字コード群の出力に応じて、文字コード群を入力する(ステップSB1)。次いで、映像処理部13は、ステップSB1で入力した文字コード群の最初の2文字が文字列「1+」であるか「2+」であるか否かを判定する(ステップSB2)。文字列「1+」の場合(ステップSB2:「1+」)、映像処理部13は、処理の対象とする区画エリアを第1区画エリアAR1に決定する(ステップSB3)。その後、処理手順はステップSB5へ移行する。一方、文字列「2+」の場合(ステップSB2:「2+」)、映像処理部13は、処理の対象とする区画エリアを第2区画エリアAR2に決定する(ステップSB4)。その後、処理手順はステップSB5へ移行する。ステップSB5において、映像処理部13は、ステップSB1で入力した文字コード群を分析すると共に、分析結果に対応する処理(以下「分析処理」という)を実行する。
【0063】
図9のフローチャートは分析処理の詳細を示すフローチャートであり、特に、ある1つの文字(処理対象文字)を処理対象として映像処理部13が実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
【0064】
図9で示すように、映像処理部13は、処理対象文字の文字コードを認識する(ステップSC1)。次いで、映像処理部13は、第2記憶部16に記憶された対応情報テーブル24を参照する(ステップSC2)。次いで、映像処理部13は、処理対象文字の文字コードに対応付けられた情報が対応アドレス情報であるか、対応処理情報であるかを判定する(ステップSC3)。当該対応付けられた情報が対応アドレス情報の場合(ステップSC3:「対応アドレス情報」)、映像処理部13は、フォントテーブル25を参照し、対応アドレス情報が示すアドレスの格納領域に格納されたフォントデータを取得する(ステップSC4)。次いで映像処理部13は、取得したフォントデータをルールに従って、第2フレームメモリ22の所定の位置に展開する(ステップSC5)。ステップSC5の処理後、
図9のフローチャートは終了する。
【0065】
一方、当該対応付けられた情報が対応処理情報の場合(ステップSC3:「対応処理情報」)、映像処理部13は、対応処理情報が示す処理を実行する(ステップSC6)。ステップSC6の処理後、
図9のフローチャートは終了する。
【0066】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0067】
例えば、上記実施形態では、タッチスクリーン1は、車両に設けられたものであった。しかしながら、本発明は、車両に設けられたタッチスクリーン1に限られず、ディスプレイを備える表示装置に広く適用可能である。また上記実施形態では、タッチスクリーン1は、ディスプレイ2に加えタッチパネル3を備えていた。しかしながらタッチパネル3を備えていない構成でもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、タッチスクリーン1は、デバッグとして、CPUの温度の表示、および、タッチ操作された位置の座標の表示を行った。しかしながら、上記実施形態で例示したデバッグの内容は、説明の便宜のため非常に単純化したものあり、他のデバッグが行われるようにしてもよいことは勿論である。他のデバッグは、例えば、ログの表示や、プログラムに定義された変数に格納された値の表示、所定の処理を実行させたときの処理結果の表示、温度センサ以外のセンサの検出値の表示等である。
【0069】
また、区画エリアの態様は上記実施形態で例示した態様に限られない。例えば、3つ以上の区画エリアが設定される構成でもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 タッチスクリーン(表示装置)
3 タッチパネル
11 主制御部
13 映像処理部
21 デバッグ用プログラム(専用プログラム)
25 フォントテーブル