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特許7370680バッテリシステムとバッテリシステムを備える電動車両及び蓄電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】バッテリシステムとバッテリシステムを備える電動車両及び蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/367 20210101AFI20231023BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20231023BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20231023BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231023BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20231023BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20231023BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20231023BHJP
   H01M 50/512 20210101ALI20231023BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/209
H01M50/15
H01M10/44 P
H01M50/342 101
H01M50/35 201
H01M50/507
H01M50/512
H01M50/35 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020527277
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2019019680
(87)【国際公開番号】W WO2020003801
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2018120849
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江頭 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直剛
(72)【発明者】
【氏名】山根 大典
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-207340(JP,A)
【文献】国際公開第2014/064888(WO,A1)
【文献】特開2018-018795(JP,A)
【文献】特開2012-089499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/30-50/392
H01M50/20-50/298
H01M50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に積層される複数の角形電池セルを備える電池ブロックであって、それぞれの角形電池セルが、設定圧で開弁する排出弁が設けられる排出口と、正負の電極端子が絶縁材を介して設けられる封口板とを有している、該電池ブロックと、
前記角形電池セルの電極端子に接続されて、一部又は全体の該角形電池セルを並列に接続してなる並列接続のバスバーと、
前記複数の角形電池セルの前記封口板の表面に配置される絶縁プレートであって、前記絶縁プレートが、前記排出口と対応する位置に設けられ、前記排出口から噴出される排出ガスを通過させる開口を有する通過部と、前記並列接続のバスバーと前記封口板との間に配置される押圧部とを含んでいる、該絶縁プレートと、
前記絶縁プレートに固定される蓋プレートであって、前記通過部の開口に臨む前記排出口と対向している、該蓋プレートと、
を備え、
前記電池ブロックは、前記角形電池セルを並列に接続してなる複数の並列接続ユニットを互いに直列に接続しており、
前記絶縁プレートは、隣接する前記並列接続ユニットの間と対応する位置に設けられ、前記角形電池セルの幅方向に延在する複数のスリットを有しており、
前記蓋プレートと前記絶縁プレートとが前記複数のスリットのうち隣接するスリットの間で連結されており、前記隣接するスリット間の連結位置が、前記排出口の中心から前記角形電池セルの幅方向に偏在していることを特徴とするバッテリシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリシステムにおいて、
前記隣接するスリット間の前記連結位置は、該連結位置の下方に位置して互いに並列接続される複数の角形電池セルに対して、正極側の電極端子に近接する位置に設けられているバッテリシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバッテリシステムにおいて、
前記封口板は、該角形電池セルの内圧が上昇すると変形する可撓性のある板材であって、
前記角形電池セルは、内圧上昇により前記封口板が変形された状態で、内圧が所定の圧力まで上昇すると前記排出弁が開弁するように開弁する圧力が設定されており、
内圧上昇で変形された前記封口板で前記絶縁プレートが押圧される状態で、前記排出弁が開弁されるようにしてなることを特徴とするバッテリシステム。
【請求項4】
請求項1ない3のいずれか一つに記載のバッテリシステムにおいて、
前記並列接続のバスバーは、前記絶縁プレートの前記押圧部が当接する部分に、他の部分と比べて強度が低くなるように構成されている切断部を有することを特徴とするバッテリシステム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一つに記載のバッテリシステムを備える電動車両であって、
前記バッテリシステムと、該バッテリシステムから電力供給される走行用のモータと、該バッテリシステム及び前記モータを搭載してなる車両本体と、該モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備えることを特徴とするバッテリシステムを備える電動車両。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか一つに記載のバッテリシステムを備える蓄電装置であって、
前記バッテリシステムと、該バッテリシステムへの充放電を制御する電源コントローラとを備えており、
前記電源コントローラでもって、外部からの電力により前記角形電池セルへの充電を可能とすると共に、該角形電池セルに対し充電を行うよう制御することを特徴とする蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池を備えるバッテリシステムとバッテリシステムを備える電動車両及び蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池セルを積層してなるバッテリシステムが種々の用途に使用されている。このバッテリシステムは、隣接する複数の電池セルを並列に接続することで出力電流を大きくでき、また並列接続された電池セル同士を直列に接続することで出力電力を大きくできる。このため、このバッテリシステムは、大きな出力電力を必要とする用途に好適に採用されている。例えば、並列接続する複数の電池セルを備える電源装置としては、下記特許文献1の電源装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/133592号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電源装置を高容量化するための構成として、特許文献1に例示されるような、並列接続する複数の電池セルを備える電源装置が注目されている。しかしながら、特許文献1に記載されている電源装置において、ある電池セルが内部ショートすると、その電池セルに並列接続されている他の電池セルから内部ショートした電池セルに電流が流れ込んで発熱するおそれがある。このような状態となると、内部ショートした電池セルに並列接続された電池セルが外部ショートすることになり、複数の電池セルの温度が上昇して熱暴走が誘発される可能性がある。
【0005】
本発明は、以上の弊害を防止することを目的として開発されたもので、本発明の大切な目的は、並列接続される複数の電池セルを含む電源装置において、熱暴走の誘発を防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様のバッテリシステムは、一方向に積層される複数の角形電池セルを備える電池ブロックと、並列接続のバスバーと、絶縁プレートと、絶縁プレートに固定される蓋プレートと、を備える。それぞれの角形電池セルは、設定圧で開弁する排出弁が設けられる排出口と、正負の電極端子が絶縁材を介して設けられる封口板とを有する。並列接続のバスバーは、角形電池セルの電極端子に接続されて、一部又は全体の角形電池セルを並列に接続する。絶縁プレートは、複数の角形電池セルの封口板の表面に配置される。また、絶縁プレートは、排出口と対応する位置に設けられ、排出口から噴出される排出ガスを通過させる開口を有する通過部と、並列接続のバスバーと封口板との間に配置される押圧部とを含む。蓋プレートは、通過部の開口に臨む排出口と対向する。
さらに、電池ブロックは、角形電池セルを並列に接続してなる複数の並列接続ユニットを互いに直列に接続しており、絶縁プレートは、隣接する並列接続ユニットの間と対応する位置に設けられ、角形電池セルの幅方向に延在する複数のスリットを有している。蓋プレートと絶縁プレートは、複数のスリットのうち隣接するスリットの間で連結されており、隣接するスリット間の連結位置が、排出口の中心から角形電池セルの幅方向に偏在している。
【0007】
さらに、以上の態様の構成要素を備えたバッテリシステムを備える電動車両は、前記バッテリシステムと、該バッテリシステムから電力供給される走行用のモータと、該バッテリシステム及び前記モータを搭載してなる車両本体と、該モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備えている。
【0008】
さらに、以上の態様の構成要素を備えたバッテリシステムを備える蓄電装置は、前記バッテリシステムと、該バッテリシステムへの充放電を制御する電源コントローラを備え、前記電源コントローラが外部からの電力による前記角形電池セルへの充電を可能とすると共に、該電池セルに対し充電を行うよう制御している。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、排出口からガスが排出されると、排出されたガスに起因して蓋プレートに上方向に外力が働くようになっている。蓋プレートは、絶縁プレートに連結される構成となっているため、ガスに起因する外力により、絶縁プレートの押圧部が並列接続のバスバーを上方向に押し上げるように変位する。これにより、並列接続のバスバーまたは内部ショートした角形電池セルを介して形成される外部ショート回路を遮断することができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかるバッテリシステムの斜視図である。
図2図1に示すバッテリシステムの分解斜視図である。
図3図1に示すバッテリシステムのIII-III線断面図である。
図4図1に示すバッテリシステムのIV-IV線断面図である。
図5】電池ブロックと絶縁プレートとバスバーの位置関係を示す分解斜視図である。
図6】電池ブロックと絶縁プレートの位置関係を示す平面図である。
図7】角形電池セルの封口板と電極端子の連結構造を示す拡大断面図である。
図8】いずれかの角形電池セルが内部ショートした状態で並列電池のショート電流を遮断する電流遮断部の原理図である。
図9】並列接続している角形電池セルが外部ショートする一例を示す概略構成図である。
図10】絶縁プレートが並列電池のショート電流を遮断する原理図である。
図11】並列電池ユニットの概略斜視図であって、並列電池のショート電流を遮断する状態を示す図である。
図12図11に示す並列電池ユニットの縦断面図である。
図13図11に示す並列電池ユニットの横断面図である。
図14】封口板で押し上げられる絶縁プレートの他の一例を示す概略断面図である。
図15】封口板で押し上げられる絶縁プレートの他の一例を示す概略断面図である。
図16】封口板で押し上げられる絶縁プレートの他の一例を示す概略断面図である。
図17】絶縁プレートが並列電池のショート電流を遮断する他の一例を示す概略断面図である。
図18】エンジンとモータで走行するハイブリッドカーにバッテリシステムを搭載する例を示すブロック図である。
図19】モータのみで走行する電気自動車にバッテリシステムを搭載する例を示すブロック図である。
図20】蓄電装置にバッテリシステムを使用する例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明の一つの着目点について説明する。本発明者らは、電源装置を高容量化するための一例として、複数の電池セルを並列接続する構成について検討を行った。上述のとおり、並列接続された複数の電池セルを含む電源装置において、ある電池セルが内部ショートすると、その電池セルに並列接続されている他の電池セルから内部ショートした電池セルに電流が流れ込んで発熱するおそれがある。一方、外装缶の内圧上昇に伴い、外装缶内の内部電極と封口板に設けられている電極端子との電気接続を遮断する安全機構を備えた電池セルがある。安全機構としては、電池セルの内部で内部電極と電極端子との間に配置される電流遮断機構(CID:Current Interrupt Device)などがある。複数の電池セルを並列接続する電源装置において、この種の安全機構を備える電池セルを採用することで、安全性を高めることができる。具体的には、ある電池セルが内部ショートすると、内部ショートした電池セルに並列接続された電池セルから内部ショートした電池セルに電流が流れ込むが、原理的には、内部ショートした電池セルのCIDが作動することで、内部ショートした電池セルの正負の電極端子をつなぐ電流経路が遮断されることになるため、並列接続された電池セルからの流れ込み電流を停止できることが期待される。
【0012】
しかしながら、本発明者らは、並列接続された複数の電池セルを含む電源装置の検討の過程において、以下の問題により、CID等の安全機構を備えていても、並列接続された電池セルからの流れ込み電流を遮断できない場合があることを見出した。
【0013】
一般的に、電池セルは、正負の電極端子が設けられる封口板と外装缶を有している。外装缶や封口板は、金属で形成されている。そのため、電極端子は、ガスケットと呼ばれる絶縁材を介して、封口板に取り付けられている。この種のガスケットとしては、樹脂が用いられる。ここで、ある電池セルが内部ショートした状態を想定すると、内部ショートした電池セルが保有しているエネルギーの大部分が熱に変換されることになる。そのため、大容量の電池セルが内部ショートすると、電池温度が急激に上昇して400℃以上と極めて高温となる可能性もある。電池セルのガスケットは、樹脂で形成されているため、電池温度が400℃以上と極めて高温となるとガスケットが溶融する。そのため、並列接続された複数の電池セルを含む電源装置において、ある電池セルが内部ショートすると、内部ショートした電池セルの封口板と正負の電極端子が接触する可能性がある。このような状態になると、内部ショートした電池セルのCID等の安全機構が作動して内部ショートした電池セルの電極端子と内部電極が切り離されたとしても、内部ショートした電池セルの封口板を介して、その電池セルに並列接続されている他の電池セルが外部ショートすることになり、熱暴走を誘発するおそれがある。
【0014】
そこで、本発明者らは、この問題について鋭意検討したところ、電池セルの排出弁が設けられる排出口から排出されるガスを利用できることを知見した。具体的には、電池セルの外装缶の内圧が上昇すると、内圧に応じて開弁する排出弁が設けられる排出口からガスが排出される。このガスを利用して、電池セルの電極端子を押し上げることで、電極端子と封口板の接触を防止できることを見出し、本発明のある態様を着想するに至った。
【0015】
本発明のある態様のバッテリシステムは、一方向に積層される複数の角形電池セルを備える電池ブロックと、並列接続のバスバーと、絶縁プレートと、前記絶縁プレートに固定される蓋プレートと、を備えている。それぞれの角形電池セルは、設定圧で開弁する排出弁が設けられる排出口と、正負の電極端子が絶縁材を介して設けられる封口板とを有している。前記並列接続のバスバーは、前記角形電池セルの電極端子に接続されて、一部又は全体の該角形電池セルを並列に接続している。前記絶縁プレートは、前記複数の角形電池セルの前記封口板の表面に配置されている。また、前記絶縁プレートは、前記排出口と対応する位置に設けられ、前記排出口から噴出される排出ガスを通過させる開口を有する通過部と、前記並列接続のバスバーと前記封口板との間に配置される押圧部とを含んでいる。前記蓋プレートは、前記通過部の開口に臨む前記排出口と対向している。
【0016】
上記構成によると、排出口からガスが排出されると、排出されたガスに起因して蓋プレートに上方向に外力が働く。蓋プレートは、絶縁プレートに連結される構成となっているため、ガスに起因する外力により、絶縁プレートの押圧部が並列接続のバスバーを上方向に押し上げるように変位する。これにより、並列接続のバスバーが接続されている電極端子が上方向に押し上げられるため、熱により電極端子と封口板の間に介在する絶縁材が溶融しても、電極端子と封口板の接触を防止できる。また、絶縁プレートは、上述のとおり、並列接続のバスバーを上方向に押し上げるように変位するため、絶縁プレートは、角形電池セルから離間する方向に変位することになる。そのため、角形電池セルからの熱が絶縁プレートに伝わりにくくなる効果も期待でき、電極端子と封口板を絶縁している絶縁材が溶融するような状態であっても、絶縁プレートの損傷を防止でき、絶縁プレートを介して電極端子を保持して、電極端子と封口板の接触を効果的に防止できる。
【0017】
また、前記電池ブロックは、前記角形電池セルを並列に接続してなる複数の並列接続ユニットを互いに直列に接続し、前記絶縁プレートは、隣接する前記並列接続ユニットの間に設けられて、前記角形電池セルの幅方向に延在する複数のスリットを有していてもよい。
【0018】
上記構成によると、絶縁プレートが変位する際、スリット部分で絶縁プレートが破断し、異常な状態となっている電池セルの電極端子のみを絶縁プレートで押し上げるように構成することができる。そのため、ガスに起因する外力が分散することなく、効果的に利用することができる。
【0019】
また、前記蓋プレートと前記絶縁プレートとが前記複数のスリットのうち隣接するスリットの間で連結されており、前記隣接するスリット間の前記連結位置が、前記排出口の中心から前記角形電池セルの幅方向に偏在するように構成してもよい。
【0020】
上記構成によると、ガスに起因する外力の回転モーメントを大きくすることができ、連結位置に近接する側の電極端子を効果的に押し上げることができる。具体的には、ある電池セルに対して、正負の電極端子のうち、一方の電極端子と封口板との接触を防止することで、封口板を介した外部ショートを防止できるため、絶縁プレートは、一方の電極端子を押し上げるだけでよい。この構成によると、連結位置を偏在させることで、一方の電極端子を効果的に押し上げることができるようになっている。
【0021】
また、前記隣接するスリット間の前記連結位置は、該連結位置の下方に位置して互いに並列接続される複数の角形電池セルに対して、正極側の電極端子に近接する位置に設けられていてもよい。
【0022】
上記構成によると、正極側の電極端子を絶縁プレートで押し上げることができる。リチウムイオン電池の場合、正極側の電極端子は、アルミニウムで形成され、負極側の電極端子は、銅で形成される。そのため、正極側の電極端子のほうが、電極端子を保持するために必要になる仕事量が小さい。厳密には、正極側の電極端子には、内部電極も接続されているため、絶縁プレートは、正極側の電極端子のみを押し上げているわけではない。しかしながら、電極端子の材料の違いに起因して、正負の電極端子と内部電極を含む構造体は、重心が負極側に若干偏っているため、正極側の電極端子のほうが、電極端子を保持するために必要になる仕事量が小さくなることが期待できる。従って、正極側の電極端子を保持する構成としたほうが好ましい。
【0023】
また、前記封口板は、該角形電池セルの異常により内圧が上昇すると変形する可撓性のある板材とし、前記角形電池セルの異常により内圧上昇に伴う該封口体の変位量が、前記並列接続のバスバーと前記押圧部の間の隙間よりも大きくしてもよい。
【0024】
上記構成によると、ガスに起因する外力だけでなく、封口体の変形も利用して、絶縁プレートで電極端子を押圧することができる。
【0025】
また、前記並列接続のバスバーは、前記絶縁プレートの前記押圧部が当接する部分に、他の部分と比べて強度が低くなるように構成されている切断部を有していてもよい。
【0026】
上記構成によると、押圧部が並列接続のバスバーの切断部を押圧することで、切断部を破断するようになっている。並列接続のバスバーを破断できれば、封口板と電極端子が接触しても、封口板を介して外部ショートしないようにすることができる。
【0027】
本発明のある態様の電動車両は、前記バッテリシステムと、該バッテリシステムから電力供給される走行用のモータと、該バッテリシステム及び前記モータを搭載してなる車両本体と、該モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備えている。
【0028】
本発明のある態様の蓄電装置は、前記バッテリシステムと、該バッテリシステムへの充放電を制御する電源コントローラとを備えている。前記電源コントローラは、外部からの電力により前記角形電池セルへの充電を可能とすると共に、該角形電池セルに対し充電を行うよう制御している。
【0029】
なお、上記構成において、押圧部を介した外力により並列接続のバスバーを切断することができるように構成される場合には、前記角形電池セルがCIDを有していない電池セルであっても、並列接続のバスバーを介して形成される外部ショート回路を遮断することができる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための方法及び構成を例示するものであって、本発明は以下の方法及びものに特定されない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0031】
以下、バッテリシステムの一実施の形態として車両用バッテリシステムに最適な例を図面に基づいて説明する。図1はバッテリシステムの斜視図を、図2はバッテリシステムの分解斜視図を、図3図4はバッテリシステムの垂直横断面図をそれぞれ示している。図1図4に示すバッテリシステム100は、複数の角形電池セル1を積層してなる電池ブロック2と、電池ブロック2を構成している各々の角形電池セル1の電極端子13に接続されて、角形電池セル1を並列と直列に接続するバスバー5とを備える。図2のバッテリシステム100は、複数の角形電池セル1を並列と直列に接続している。バスバー5は、角形電池セル1を並列に接続する並列接続のバスバー5Xと、直列に接続する直列接続のバスバー5Yとからなる。バッテリシステム100は、角形電池セル1を並列に接続して出力電流を大きく、直列に接続して出力電圧を高くできる。したがって、バッテリシステム100は、用途に最適な出力電流と出力電圧となるように、角形電池セル1を並列と直列に接続している。
【0032】
電池ブロック2は、複数の角形電池セル1を、絶縁性のセパレータ19を介して積層している。さらに、電池ブロック2は、積層された複数の角形電池セル1の両側の端面に一対のエンドプレート3を配置し、エンドプレート3をバインドバー4で連結して、複数の角形電池セル1を加圧状態に固定している。
【0033】
角形電池セル1は、リチウムイオン二次電池などの非水系電解液二次電池である。角形電池セル1をリチウムイオン二次電池とするバッテリシステム100は、容積と重量に対する充放電容量を大きくできるが、角形電池セル1には、リチウムイオン二次電池に代わって、内部抵抗が小さく大容量、大出力の他の全ての二次電池を使用できる。
【0034】
角形電池セル1は、図5の分解斜視図と図6の平面図に示すように、その厚さを上辺の横幅よりも薄くした金属製の外装缶11の開口部を封口板12で密閉している。外装缶11は金属板を深絞り加工して、厚みのある矩形状に成形されている。外装缶11と封口板12はアルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。封口板12は、外装缶11の上面開口部を気密に密閉している。さらに、封口板12は、図7の要部拡大断面図に示すように、絶縁材16を介して正負の電極端子13を両端部に固定している。絶縁材16は、樹脂製またはゴム製のガスケットで、電極端子13と封口板12とを絶縁しながら気密に連結している。封口板12に固定された正負の電極端子13は、角形電池セル1の内部において、集電部材18を介して電極体(図示せず)に電気接続されている。さらにまた、封口板12は電極端子13の間に排出弁14の排出口15を設けている。排出弁14は、外装缶11の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを排出口15から放出する。
【0035】
封口板12は、角形電池セル1が内部ショート等の異常により内圧が上昇する状態で変形する可撓性のある板材である。封口板12は、アルミニウム(この明細書においてアルミニウムはアルミニウム合金を含む意味に使用する)等の可撓性のある金属板が使用できる。金属製の封口板12は、材質と厚さを調整して、内部ショートして内圧が上昇すると変形する可撓性を実現できる。たとえば、アルミニウム合金の封口板12は、厚さを0.5mm~2mm、好ましくは1mm~1.5mmとして、内部ショートによる内圧上昇で変形する可撓性を実現できる。ただし、封口板12は必ずしも金属板とする必要はなく、たとえば、耐熱特性の優れたプラスチック板やゴム状弾性板とすることもできる。
【0036】
角形電池セル1は、内圧が異常に上昇すると開弁する排出弁14を設けて、外装缶11の破裂を防止している。図5の角形電池セル1は封口板12の中央部に排出弁14を設けている。排出弁14は、設定圧力で開弁して内部のガスを排出する。排出弁14は、角形電池セル1の異常により内圧が上昇して封口板12が変形した後、内圧が所定の圧力まで上昇すると開弁するよう開弁する圧力を設定している。なお、本明細書において、並列電池とは、任意の角形電池セルに対して、この角形電池セルと並列に接続されている角形電池セルを意味するものとする。
【0037】
バッテリシステムは、何れかの角形電池セル1が内部ショートするとき、並列接続している角形電池セル1、すなわち並列電池からの流れ込み電流を遮断するために、絶縁プレート7と蓋プレート8を設けている。図8の概略回路図は、複数の角形電池セル1を並列に接続しているバッテリシステムにおいて、何れかの角形電池セルA(図において最上段の角形電池セル1)が内部ショート(矢印aで表示)すると、この角形電池セルAと並列に接続している隣の並列電池、すなわち角形電池セルB(上から2段目に配置している角形電池セル1)にもショート電流が流れる状態(矢印bで表示)を示している。この図に示すように、角形電池セルAが内部ショートすると、並列電池の角形電池セルBは、外部にできる外部ショート回路によってショートされるからである。いずれかひとつの角形電池セル1が内部ショートして過大電流が流れて熱暴走する状態で、さらに隣の角形電池セル1も、外部ショートによる過大電流で熱暴走すると、熱暴走が複数の角形電池セル1に誘発されて安全性は阻害される。
【0038】
また、角形電池セル1として、電流遮断機構30を備える角形電池を採用した場合について図9の概略構成図に示す。図9に示す角形電池セル1は、電流経路を遮断する電流遮断機構30として、大電流が流れると電流を遮断するCID31を内蔵している。図9は、隣接して並列に接続している電池セルの接続状態を示す図である。ただし、この図は、内部短絡して過電流が流れる状態を判りやすくするために、現実には積層して配列される隣接電池を対向する位置に配置して図示している。この図において、下側に位置する角形電池セルAが鎖線で示すように内部ショートすると、この角形電池セルAに並列接続している上側の並列電池である角形電池セルBに流れ込み電流が流れる。図の矢印Xで示すように、内部ショートした角形電池セルAが、並列電池の角形電池セルBの外部ショート回路となるからである。このように、角形電池セルAが内部ショートした場合、並列電池の角形電池セルBは、外部にできる外部ショート回路によってショートするが、角形電池セルAに内蔵されるCID31が作動することにより、外部ショート回路が遮断される。
【0039】
しかしながら、角形電池セルAの内部ショート自体は止めることができないため、角形電池セルAは発熱する。角形電池セルAの発熱量が大きいと、電極端子13と封口板12を絶縁している絶縁材16が溶け出し、電極端子13と封口板12とが互いに接触するおそれがある。この状態は、封口板12と電極端子13の間に介在された絶縁材16が熱溶融する状態で、封口板12の上面に配置された電極端子13の平板部13aが、電極端子13やこれに接続されたバスバー5の自重により、あるいは角形電池セル1に内蔵された電極体(図示せず)からの加重によって、封口板12に接近して接触することにより生じる。この状態になると、並列電池である角形電池セルBは、図9の矢印Yで示すように、電極端子13を介して電気接続される並列接続のバスバー5Xと封口板12で形成される外部ショート回路によって再びショートされることになり、これにより熱暴走を誘発するおそれが生じる。
【0040】
以上の弊害を防止するために、内部ショートした角形電池セル1から排出ガスが排出される状態で、排出されるガスにより蓋プレート8に上方向に外力を作用させることにより、並列電池の外部ショートを阻止して熱暴走の誘発を防止する。内部ショートした角形電池セル1から排出ガスが排出されると、図4及び図9に示すように、蓋プレート8に上向きに働く力により、絶縁プレート7の押圧部22が並列接続のバスバー5Xを上方向に押し上げるように変位する。絶縁プレート7は蓋プレート8で封口板12から離れる方向に移動される。蓋プレート8は、開弁する排出弁14の排出口15から噴出される排出ガスで移動される。蓋プレート8は、排出口15から噴出される排出ガスの通路にあって、排出口15から噴出される排出ガスの運動のエネルギーで移動される。
【0041】
以上のように、角形電池セル1が内部ショートして絶縁プレート7が押し上げられると、並列接続のバスバー5Xが接続されている電極端子13が上方向に押し上げられる。このため、発熱により電極端子13と封口板12の間に介在する絶縁材16が溶融しても、電極端子13が下方に移動して封口板12に接触するのを有効に防止できる。また、絶縁材16が溶融することで、電極端子13は封口板12に対してフリーな状態になるが、封口板12から浮いた状態にある電極端子13の前後左右の位置関係は、これが接続された並列接続のバスバー5Xと絶縁プレート7とを介して、封口板12の定位置に保持される。とくに、封口板12による外部ショート回路は、正負の電極端子13が同時に封口板12に接触することにより生じる。このため、並列接続のバスバー5Xを上方向に押し上げるように変位する絶縁プレート7により、一対の電極端子13が同時に封口板12と接触するのを有効に防止して、外部ショート回路が形成されるのを防止できる。したがって、電極端子13と封口板12を絶縁している絶縁材16が溶融される状態となっても、上方向に付勢される絶縁プレート7を介して、電極端子13と封口板12とを非接触状態に保持して、角形電池セルBの過大電流を効果的に防止して熱暴走の誘発を阻止できる。さらに、詳細には後述するが、角形電池セル1の内部ショートにより、封口板12が変形する構造とすることで、封口板12の変形する突出部分で絶縁プレート7を押し上げでき、発生するガスで押し上げることの相乗効果でより確実に電極端子13と封口板12との接触を防止できる。
【0042】
さらに、絶縁プレート7は、内部ショートした角形電池セル1から排出ガスが排出される状態で、並列接続のバスバー5Xを破断して、並列に接続している並列電池のショート電流を遮断してもよい。絶縁プレート7が並列電池のショート電流を遮断する原理図を図10に示す。この図に示すバッテリシステムは、角形電池セルAのショート電流でバスバー5を破断して電流を遮断する状態を示している。この図は、バスバー5を破断して電極端子13から分離する状態を示しているが、バスバー自体を破断して電流を遮断することもできる。バスバー5は、角形電池セル1の封口板12の表面に配置している絶縁プレート7で破断される。絶縁プレート7は蓋プレート8で封口板12から離れる方向に移動されてバスバー5を破断する。蓋プレート8は、開弁する排出弁14の排出口15から噴出される排出ガスで移動される。蓋プレート8は、排出口15から噴出される排出ガスの通路にあって、排出口15から噴出される排出ガスの運動のエネルギーで移動される。
【0043】
図10は絶縁プレート7がバスバー5を破断する状態を示している。絶縁プレート7は、角形電池セル1の封口板12の表面に配置される。絶縁プレート7は、両端部を封口板12と並列接続のバスバー5Xとの間に挿入している。絶縁プレート7は、蓋プレート8で引き上げられてバスバー5を破断する。この図のバスバー5は、電極端子13との接続部を破断して並列接続している角形電池セル1のショート電流を遮断する。
【0044】
バッテリシステム100は、図2図5、及び図6に示すように、並列接続のバスバー5Xで複数の角形電池セル1を並列に接続して並列電池ユニット10とし、さらに、並列電池ユニット10を直列接続のバスバー5Yで直列に接続している。図のバッテリシステム100は、バスバー5を介して、隣接する2個の角形電池セル1を並列に接続して並列電池ユニット10とし、さらに、隣接する並列電池ユニット10を直列に接続している。ただし、本発明のバッテリシステムは、必ずしも2個の角形電池セルを接続して並列電池ユニットとすることなく、3個以上の角形電池セルを接続して並列電池ユニットとし、あるいは全体の角形電池セルを並列に接続することもできる。
【0045】
絶縁プレート7は、図4図5に示すように、封口板12の表面にあって、端部を互いに並列に接続している角形電池セル1の封口板12とバスバー5との間に挿入している。2個又は3個の角形電池セル1を並列に接続しているバッテリシステム100は、互いに並列に接続する全ての角形電池セル1、すなわち2個又は3個の角形電池セル1の封口板12との対向位置に1枚の絶縁プレート7を配置する。4個以上の角形電池セルを並列に接続しているバッテリシステムは、複数に分割した複数枚の絶縁プレートを角形電池セルの封口板の対向位置に配置する。複数に分割された各々の絶縁プレートは、少なくとも並列接続している2個以上の角形電池セルの封口板との対向位置に配置される。絶縁プレート7は、蓋プレート8に引き上げられてショート電流を遮断する。絶縁プレート7は、内部ショートして変形した角形電池セル1の排出弁14から噴出される排出ガスで押し上げられるので、内部ショートした角形電池セル1のバスバー5が最も強く押し上げられる。
【0046】
図11は、2個の角形電池セル1を並列に接続している並列電池ユニット10の概略斜視図である。この図は、一方の角形電池セルAが内部ショートし、排出弁14が開弁して噴出される排出ガスで蓋プレート8が押し上げられ、この蓋プレート8で引き上げられた絶縁プレート7がショート電流を瞬断する状態を示している。また、図12図11を長手方向に切断した概略断面図、図13図11を横方向に切断した概略断面図で、共に蓋プレート8で絶縁プレート7が引き上げられる状態を示している。これらの図において、蓋プレート8で引き上げられない位置にある絶縁プレート7を鎖線で示し、蓋プレート8で引き上げられた絶縁プレート7を一点鎖線で示している。
【0047】
これらの図に示す並列電池ユニット10は、封口板12の対向面に絶縁プレート7を配置している。絶縁プレート7は、1枚の板状で、図3図5、及び図6に示すように、電極端子13を挿入する貫通孔23を設けている。貫通孔23は、電極端子13の外形より内形を大きくして、電極端子13に対して移動できるように挿入している。さらに、絶縁プレート7は、図4図6に示すように、プレート部21の両端部であって、隣接する貫通孔23の間にバスバー5を押し上げる一対の押圧部22を設けている。この絶縁プレート7は、変形しないプラスチック製の板材、あるいは表面を絶縁している金属板である。絶縁プレート7は、図11図13に示すように、蓋プレート8で引き上げられると、押圧部22でバスバー5を押し上げてショート電流を遮断する剛性のある絶縁板である。図3及び図4に示すように、蓋プレート8は、連結部28を介して絶縁プレート7に連結しているので、これが排出ガスで押し上げられると、絶縁プレート7を引き上げてバスバー5を破断する。蓋プレート8は、封口板12に設けた排出弁14から噴出される排出ガスで押し上げられる位置に配置される。図の角形電池セル1は、中央部に排出弁14の排出口15を設けて、排出ガスを封口板12の真上に噴出するので、蓋プレート8は排出弁14の排出口15の真上に水平姿勢に配設される。
【0048】
図3図6の絶縁プレート7は、蓋プレート8との連結位置、すなわち連結部28の位置を排出口15の中心から一方の端部に向かって偏在する位置としている。図4の断面図に示す並列電池ユニット10は、図において左側のバスバー5の強度が、右側のバスバー5よりも弱く、同じ押圧力で押圧して左側のバスバー5は右側のバスバー5よりも破断されやすい。たとえば、並列接続のバスバー5Xの一方をアルミニウムやアルミニウム合金として、他方の並列接続のバスバー5Xを銅や銅合金製とすると、アルミニウムやアルミニウム合金製のバスバー5が破断されやすい弱いバスバー5Wとなる。並列電池ユニット10は、一方のバスバー5を破断してショート電池を遮断できるので、弱いバスバー5Wを破断することで、ショート電池は確実に遮断できる。図4の蓋プレート8は、弱いバスバー5Wを確実に破断するために、絶縁プレート7と蓋プレート8との連結部28は、排出口15の中央から弱いバスバー5W側に偏在している。図3図6の絶縁プレート7は排出弁14の排出口15との対向位置に排出ガスの通過部26を設けているので、連結部28は、排出ガスの通過部26の片側であって、破断されやすい弱いバスバー5W側に配置している。この構造は、蓋プレート8が、連結部28を介して絶縁プレート7の破断されやすい側を強く引き上げて、弱いバスバー5Wを確実に破断してショート電池を遮断できる。例えば、角形電池セル1をリチウムイオン電池とする場合、正極側の電極端子13はアルミニウムで形成され、負極側の電極端子13は銅で形成される。このため、正極側の電極端子13に連結される並列接続のバスバー5Xが、破断されやすい弱いバスバー5Wとなる。したがって、この場合には、絶縁プレート7と蓋プレート8との連結位置は、連結位置の下方に位置して互いに並列接続される複数の角形電池セル1に対して、正極側の電極端子13に近接する位置に設けることが好ましい。
【0049】
さらに、バッテリシステムは、排出弁14が開弁されて排出口15から噴出される排出ガスにより絶縁プレート7が押し上げられる力だけでなく、角形電池セル1の異常により内圧が上昇して変形する封口板12が絶縁プレートを押し上げることによる相乗効果でさらに効果的にバスバー5を破断する構造としている。図12図13は、角形電池セル1の内圧が上昇して封口板12の中央部が突出する状態を示している。この図に示すように、可撓性のある封口板12は外周縁を外装缶11に固定しているので、内部ショート等の異常により内圧が上昇すると中央部が突出するように変形する。角形電池セル1の異常により内圧が上昇して封口板12が変形すると、絶縁プレート7は封口板12の突出部12Aに押し上げられる。さらに、この状態で、排出弁14が開弁されて排出口15から排出ガスが噴出されると、角形電池セル1の封口板12の変形による押し上げ力と、排出弁14の排出口15から噴出される排出ガスが蓋プレート7を押し上げる力の両方で絶縁プレート7を押し上げて、並列接続のバスバー5Xを破断する。この構造は、開弁する排出弁14から噴出される排出ガスの運動のエネルギーと、封口板12の変形の両方で絶縁プレートを押し上げることで、速やかに、しかもより確実に並列接続している電池のショート電池を遮断できる。
【0050】
バッテリシステム100は、図5図6において電池ブロック2の上面、すなわち、複数の角形電池セル1の封口板12を同一平面に配置している電極面に絶縁プレート7を配置している。絶縁プレート7と蓋プレート8は、並列電池ユニット10の積層方向に伸びる板状としている。図に示す絶縁プレート7は、隣接する並列電池ユニット10の間にスリット17を設けており、このスリット17を介して複数に区画されたプレート部21を配置している。蓋プレート8と絶縁プレート7はスリット17の間において、連結部28を介して互いに連結されており、この連結位置を排出口15の中心から弱いバスバー5W側に配置している。図に示す絶縁プレート7と蓋プレート8は、スリット17間における連結位置、すなわち、連結部28の位置が並列電池ユニット10の積層方向において、左右方向が交互になるように千鳥に配置している。この構造は、絶縁プレート7と蓋プレート8の連結部28を、並列電池ユニット10の積層方向において千鳥に配置することで、直列接続される並列電池ユニット10の並列接続のバスバー5Xであって、左右交互に、すなわち千鳥に配置される弱いバスバー5Wを確実に破断できる。
【0051】
以上のバッテリシステム100は、図11図13に示すように、角形電池セルAが内部ショートして内圧上昇により封口板12が変形して突出し、排出弁14が開弁されて排出ガスが噴出されると、絶縁プレート7は一点鎖線で示す位置に押し上げられる。押し上げられる絶縁プレート7は、押圧部22がバスバー5を押し上げてバスバー5Xを破断する。絶縁プレート7は、並列接続のバスバー5Xを切断し、あるいは並列接続のバスバー5Xと電極端子13との接続を分離してバスバー5を破断する。破断されたバスバー5は、並列電池の外部ショートを解消し、並列電池である角形電池セルBに流れるショート電流を遮断する。
【0052】
封口板12の変形により押し上げられる絶縁プレート7は、図12に示すように、封口板12の突出部12Aに接触する位置Rが力点、バスバー5を押し上げて分離しない位置Qが支点、バスバー5を押し上げて分離する位置Pが作用点となって、バスバー5を電極端子13から分離する方向に破断力が作用する。さらに、排出弁14の開弁により排出口15から噴出される排出ガスにより押し上げられる絶縁プレート7は、図12に示すように、封口板12の突出部12Aに接触する位置Rが支点、連結部28が絶縁プレート7を引き上げる位置Sが力点、バスバー5を押し上げて分離する位置Pが作用点となって、バスバー5を電極端子13から分離する方向に破断力が作用する。すなわち、絶縁プレート7には、封口板12の変形による破断力と、排出ガスの運動エネルギーによる破断力が作用し、これらの合力Fによりバスバー5を破断する。図11の絶縁プレート7は、各々の電極端子13(図において4個の電極端子13)に接続しているバスバー5を、電極端子13から引き離すように押し上げるが、破断強度の最も弱い部分において、バスバー5は電極端子13から分離される。
【0053】
たとえば、角形電池セル1の一方の電極端子13及びこの電極端子13に接続しているバスバー5がアルミニウム製で、他方の電極端子13及びこの電極端子13に接続しているバスバー5を銅製(この明細書においてアルミニウムや銅等の金属は合金を含む意味に使用する。)とするバッテリシステムにあっては、アルミニウムの連結強度が銅よりも弱いので、アルミニウム製の電極端子13とバスバー5との接続部が分離される。
【0054】
図12において、封口板12の突出部12Aで押し上げられて、連結部28で引き上げられる絶縁プレート7は、P点において、バスバー5を電極端子13から分離して破断すると、平面状の絶縁プレート7が突出部12Aの湾曲面で押圧される状態となって傾斜する。この状態で、傾斜する絶縁プレート7は、P点とR点の距離がR点とQ点の距離よりも長くなる。絶縁プレート7が傾斜することで、封口板12の突出部12Aと絶縁プレート7との接触点であるR点がQ点に接近するからである。接触点であるR点がQ点に接近するにしたがって、Q点からR点までの距離(L1)と、Q点からP点までの距離(L2)の比率、すなわちテコの比(L2/L1)が大きくなって、P点においてバスバー5を電極端子13から引き離す距離、すなわち電極端子13とバスバー5との間隔(d)は大きくなる。電極端子13とバスバー5の間隔(d)が大きくなるとショート電流を確実に遮断できる。
【0055】
バッテリシステムは、テコの比(L2/L1)を調整して、引き離された電極端子13とバスバー5との間隔(d)をコントロールできる。絶縁プレート7の封口板12との対向面の形状を変更してR点の位置を変更できるからである。図14図15の断面図に示す絶縁プレート7は、突出する封口板12に押圧されるR点を長手方向に位置ずれさせるために、封口板12との対向面を突出させている。絶縁プレート7は、図14に示すように、封口板12側に突出する突出部24の頂点を中央部よりもQ点側にずらせてテコの比(L2/L1)を大きくでき、図15に示すように、突出部24の頂点を中央部よりもP点側にずらせてテコの比(L2/L1)を小さくできる。テコの比(L2/L1)を大きくして、バスバー5が電極端子13から離れる間隔(d)を大きくでき、また、テコの比(L2/L1)を小さくして、P点がバスバー5を電極端子13から分離する破断力を強くできる。バスバー5が電極端子13から離れる間隔(d)と、P点がバスバー5を電極端子13から分離する破断力とは互いに相反する特性である。したがって、テコの比(L2/L1)は、バスバー5の分離距離と破断力を考慮して最適位置に設定する。
【0056】
さらに、封口板12の突出部12Aで押し上げられて、連結部28で引き上げられる絶縁プレート7は、P点において、バスバー5を電極端子13から分離して破断すると、平面状の絶縁プレート7が突出部12Aの湾曲面で押圧される状態となって傾斜する。この状態で、傾斜する絶縁プレート7は、P点とR点の距離がR点とQ点の距離よりも長くなる。絶縁プレート7が傾斜することで、封口板12の突出部12Aと絶縁プレート7との接触点であるR点がQ点に接近するからである。接触点であるR点がQ点に接近するにしたがって、Q点からR点までの距離(L1)と、Q点からP点までの距離(L2)の比率、すなわちテコの比(L2/L1)が大きくなって、P点においてバスバー5を電極端子13から引き離す距離、すなわち電極端子13とバスバー5との間隔(d)は大きくなる。電極端子13とバスバー5の間隔(d)が大きくなるとショート電流を確実に遮断できる。
【0057】
さらに、図16の断面図に示す絶縁プレート7は、封口板12の突出部12Aで面接触状態に押圧されるように、突出部12Aを案内する湾曲凹部25を封口板12との対向面に設けている。この絶縁プレート7は、封口板12の突出部12Aに面接触状態に押圧されるので、可撓性のある封口板12で無理なく安定して押し上げられる。
【0058】
以上のバッテリシステムは、電極端子13とバスバー5との接続部を、内圧が上昇する角形電池セル1の封口板12の変形と、排出弁14から噴出される排出ガスの運動エネルギーの両方で絶縁プレート7が押し上げられるとバスバー5が電極端子13から分離される連結強度としている。このバッテリシステム100は、角形電池セル1の封口板12の変形による押し上げ力と、排出弁14の排出口15から噴出される排出ガスが蓋プレート7を押し上げる力の両方で絶縁プレート7を押し上げて、並列接続のバスバー5Xを破断するので、絶縁プレート7によるバスバー5の破断力を大きくすることができる。このため、バスバー5を電極端子13に接続する連結強度を強く設定することができ、振動や衝撃等の外力により、バスバー5が電極端子13から分離される誤作動を確実に防止できる。
【0059】
ただ、本発明のバッテリシステムは、図17に示すように、排出弁14の排出口15から噴出される排出ガスが蓋プレート7を押し上げる力のみで絶縁プレート7を押し上げて、並列接続のバスバー5Xを破断することもできる。このバッテリシステムは、排出弁14が開弁して排出口15から噴出される排出ガスの運動エネルギーにより絶縁プレート7が押し上げられる。この場合、図17に示すように、連結部28が絶縁プレート7を引き上げる位置Sが力点となって、絶縁プレート7の両端であるP点とQ点には、バスバー5を電極端子13から分離する方向に破断力F1、F2が作用する。この絶縁プレート7は、蓋プレート8との連結位置である連結部28が、排出口15の中心からP点側に配置されているので、Q点とS点の距離(L1)がP点とS点の距離(L3)よりも長くなる。したがって、絶縁プレート7が連結部28から受ける押し上げ力fに対して、P点に作用する破断力F1と、Q点に作用する破断力F2は、以下のようになる。
F1=f(L1+L3)/L3
F2=f(L1+L3)/L1
ここで、L3<L1より、F1>F2となり、絶縁プレート7はP点に接続された弱いバスバー5Wを確実に破断する。すなわち、バスバー5を押し上げて分離しない位置Qが支点、バスバー5を押し上げて分離する位置Pが作用点となって、弱いバスバー5Wを電極端子13から分離して破断する。したがって、電極端子13と弱いバスバー5Wとの接続部は、排出弁14から噴出される排出ガスの運動エネルギーで絶縁プレート7が押し上げられるとバスバー5が電極端子13から分離される連結強度とする。
【0060】
以上のバッテリシステムは、電極端子13とバスバー5との連結強度を、バスバー5を電極端子13に溶接する面積で調整する。電極端子13とバスバー5との溶接面積を小さくして連結強度を弱くし、反対に溶接面積を大きくして連結強度を強くできるからである。ただ、バスバー5と電極端子13との連結強度は、電極端子13とバスバー5との溶接部の形状で調整し、またスポット溶接して固定されるバスバー5は溶断電流で調整し、レーザー溶接して固定されるバスバー5はレーザー溶接に使用するレーザービームの出力、レーザービームの照射面積、照射時間で調整し、さらに、超音波振動で電極端子13に溶接されるバスバー5は、超音波振動子の出力、押圧力、超音波振動させる時間で調整し、さらに、電極端子13とバスバー5との金属材料の種類等で調整できる。
【0061】
絶縁プレート7は、並列接続のバスバー5Xの一部を切断して、ショート電流を瞬断することもできる。この並列接続のバスバー5Xは、図示しないが、横幅を狭く加工し、あるいは、切断される部分を薄くして、強制的に引張強度を弱くしてショート電流を遮断する。この並列接続のバスバー5Xは、金属板に切欠部を設けて中央部に幅狭部からなる切断部を設け、あるいは金属板の一部をプレス加工や切削加工により薄く形成してなる切断部を設けて引張強度を弱くし、押圧部22で押し上げられる際に、この部分で破断され、あるいは切断される構造とする。なお、並列接続のバスバー5Xの破断は、必ずしも押圧部22による機械的な作用のみである必要はなく、押圧部22による押圧と、並列接続のバスバー5Xの切断部に流れる電流による発熱が合わさって、並列接続のバスバー5Xが破断するように構成してもよい。
【0062】
以上のバッテリシステムは、電動車両を走行させるモータに電力を供給する車両用の電源に最適である。バッテリシステムを搭載する電動車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの電動車両の電源として使用される。
【0063】
(ハイブリッド車用バッテリシステム)
図18に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車にバッテリシステムを搭載する例を示す。この図に示すバッテリシステムを搭載した車両HVは、車両本体90と、車両本体90を走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給するバッテリシステム100と、バッテリシステム100の電池を充電する発電機94と、モータ93とエンジン96で駆動されて車両本体90を走行させる車輪97とを備えている。バッテリシステム100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、バッテリシステム100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、バッテリシステム100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、バッテリシステム100の電池を充電する。
【0064】
(電気自動車用バッテリシステム)
また、図19に、モータのみで走行する電気自動車にバッテリシステムを搭載する例を示す。この図に示すバッテリシステムを搭載した車両EVは、車両本体90と、車両本体90を走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給するバッテリシステム100と、このバッテリシステム100の電池を充電する発電機94、モータ93で駆動されて車両本体90を走行させる車輪97とを備えている。モータ93は、バッテリシステム100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、バッテリシステム100の電池を充電する。
【0065】
(蓄電用バッテリシステム)
さらに、本発明はバッテリシステムの用途を電動車両に搭載するバッテリシステムには特定せず、たとえば、太陽光発電、風力発電などの自然エネルギーを蓄電する蓄電装置用のバッテリシステムとして使用でき、また深夜電力を蓄電する蓄電装置用のバッテリシステムのように、大電力を蓄電する全ての用途に使用できる。例えば家庭用、工場用の電源として、太陽光や深夜電力等で充電し、必要時に放電する電源システム、あるいは日中の太陽光を充電して夜間に放電する街路灯用の電源や、停電時に駆動する信号機用のバックアップ電源等にも利用できる。このような例を図20に示す。なお、図20に示す蓄電装置としての使用例では、所望の電力を得るために、上述したバッテリシステムを直列や並列に多数接続して、さらに必要な制御回路を付加した大容量、高出力の蓄電装置80を構築した例として説明する。
【0066】
図20に示す蓄電装置80は、複数のバッテリシステム100をユニット状に接続して電源ユニット82を構成している。各バッテリシステム100は、複数の角形電池セルが直列及び/又は並列に接続されている。各バッテリシステム100は、電源コントローラ84により制御される。この蓄電装置80は、電源ユニット82を充電用電源CPで充電した後、負荷LDを駆動する。このため蓄電装置80は、充電モードと放電モードを備える。負荷LDと充電用電源CPはそれぞれ、放電スイッチDS及び充電スイッチCSを介して蓄電装置80と接続されている。放電スイッチDS及び充電スイッチCSのON/OFFは、蓄電装置80の電源コントローラ84によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ84は充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをOFFに切り替えて、充電用電源CPから蓄電装置80への充電を許可する。また充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で負荷LDからの要求に応じて、電源コントローラ84は充電スイッチCSをOFFに、放電スイッチDSをONにして放電モードに切り替え、蓄電装置80から負荷LDへの放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをONにして、負荷LDの電力供給と、蓄電装置80への充電を同時に行うこともできる。
【0067】
蓄電装置80で駆動される負荷LDは、放電スイッチDSを介して蓄電装置80と接続されている。蓄電装置80の放電モードにおいては、電源コントローラ84が放電スイッチDSをONに切り替えて、負荷LDに接続し、蓄電装置80からの電力で負荷LDを駆動する。放電スイッチDSはFET等のスイッチング素子が利用できる。放電スイッチDSのON/OFFは、蓄電装置80の電源コントローラ84によって制御される。また電源コントローラ84は、外部機器と通信するための通信インターフェースを備えている。図20の例では、UARTやRS-232C等の既存の通信プロトコルに従い、ホスト機器HTと接続されている。また必要に応じて、電源システムに対してユーザが操作を行うためのユーザインターフェースを設けることもできる。
【0068】
各バッテリシステム100は、信号端子と電源端子を備える。信号端子は、入出力端子DIと、異常出力端子DAと、接続端子DOとを含む。入出力端子DIは、他のバッテリシステム100や電源コントローラ84からの信号を入出力するための端子であり、接続端子DOは他のバッテリシステム100に対して信号を入出力するための端子である。また異常出力端子DAは、バッテリシステム100の異常を外部に出力するための端子である。さらに電源端子は、バッテリシステム100同士を直列、並列に接続するための端子である。また電源ユニット82は、並列接続スイッチ85を介して出力ラインOLに接続されて互いに並列に接続されている。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係るバッテリシステムとこれを備える電動車両及び蓄電装置は、EV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等のバッテリシステムとして好適に利用できる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0070】
100…バッテリシステム、1…角形電池セル、2…電池ブロック、3…エンドプレート、4…バインドバー、5…バスバー、5X…並列接続のバスバー、5Y…直列接続のバスバー、5W…弱いバスバー、7…絶縁プレート、8…蓋プレート、10…並列電池ユニット、11…外装缶、12…封口板、12A…突出部、13…電極端子、13a…平板部、14…排出弁、15…排出口、16…絶縁材、17…スリット、18…集電部材、19…セパレータ、21…プレート部、22…押圧部、23…貫通孔、24…突出部、25…湾曲凹部、26…通過部、28…連結部、30…電流遮断機構、31…CID、80…蓄電装置、82…電源ユニット、84…電源コントローラ、85…並列接続スイッチ、90…車両本体、93…モータ、94…発電機、95…DC/ACインバータ、96…エンジン、97…車輪、EV…車両、HV…車両、LD…負荷、CP…充電用電源、DS…放電スイッチ、CS…充電スイッチ、OL…出力ライン、HT…ホスト機器、DI…入出力端子、DA…異常出力端子、DO…接続端子
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