(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】物品搬送用フィーダ及びそれを備えた組合せ秤
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20231023BHJP
B65G 27/08 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G01G19/387 C
B65G27/08
(21)【出願番号】P 2022544960
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(86)【国際出願番号】 JP2020032154
(87)【国際公開番号】W WO2022044155
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】島谷 省伍
(72)【発明者】
【氏名】末道 亮
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-64016(JP,A)
【文献】特開2017-26339(JP,A)
【文献】特開2016-145782(JP,A)
【文献】国際公開第2016/043332(WO,A1)
【文献】特開2001-253526(JP,A)
【文献】実開平4-118632(JP,U)
【文献】米国特許第5726394(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
B65G27/00-27/34
B65G47/00-47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加振機構の振動ヘッド部に、物品を載置搬送する物品搬送体が、着脱可能に取付けられる物品搬送用フィーダであって、
操作レバーを有すると共に、該操作レバーの回動操作によって、前記振動ヘッド部と前記物品搬送体との係合を締込み保持する締込み操作部と、
弾性撓み変形可能な支軸が設けられると共に、前記締込み操作部に連結されて前記操作レバーの回動操作によって移動する可動連結部材とを備え、
前記締込み操作部の前記操作レバーの回動操作に伴う前記可動連結部材の移動によって、前記支軸を弾性撓み変形させて、前記振動ヘッド部と前記物品搬送体との係合を弾性的に保持する、
物品搬送用フィーダ。
【請求項2】
前記物品搬送体は、前記締込み操作部及び前記可動連結部材を備え、
前記振動ヘッド部及び前記可動連結部材は、係合用の楔斜面をそれぞれ有し、
前記可動連結部材の移動に伴う前記楔斜面の楔作用によって、前記物品搬送体を、前記振動ヘッド部側へ押付ける、
請求項1に記載の物品搬送用フィーダ。
【請求項3】
前記可動連結部材に設けられた前記支軸と前記締込み操作部の前記操作レバーとが、締結ロッドによって連結されている、
請求項1または2に記載の物品搬送用フィーダ。
【請求項4】
前記可動連結部材に設けられた前記支軸の中間部位に、連結部材が外嵌装着され、前記連結部材における支軸挿通部位にブッシュが介在されている、
請求項3に記載の物品搬送用フィーダ。
【請求項5】
前記締結ロッドが、前記支軸の中間部位に外嵌装着された前記連結部材と、前記操作レバーに設けられた支軸とに、互いに逆ネジの関係でねじ込み連結されている、
請求項4に記載の物品搬送用フィーダ。
【請求項6】
供給される物品を外方に分散搬送する分散フィーダと、分散フィーダの周囲に設けられる複数の直進フィーダと、各直進フィーダに対応して設けられる複数の供給ホッパ及び複数の計量ホッパを備える組合せ秤であって、
前記直進フィーダを、物品搬送体としてのトラフが加振機構の振動ヘッド部に着脱可能に取付けられて構成される、前記請求項1ないし5のいずれか一項に記載の物品搬送用フィーダとした、
組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を振動搬送する物品搬送用フィーダ、及び、それを備えた組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、組合せ秤では、計量する物品を、組合せ秤の上部中央の分散フィーダのトップコーンに供給し、分散フィーダによって物品を外方に振動搬送して、分散フィーダの周囲に放射状に配設した複数の直進フィーダによって更に外方に振動搬送し、各直進フィーダに対応して配設された各供給ホッパにそれぞれ供給する。
【0003】
各供給ホッパは、対応する各計量ホッパに物品を排出し、各計量ホッパで物品の重量が計量される。計量された計量ホッパの物品の重量に基づいて、組合せ演算を行って、物品の重量が所定重量範囲となる計量ホッパの組合せである適量組合せを選択する。選択された適量組合せの計量ホッパから物品を排出し、集合シュートを介して下方の包装機等へ投入する。
【0004】
食品を計量処理する組合せ秤では、食品衛生上、定期的な洗浄作業を欠かすことができず、また、食品の種類が変更される度に、洗浄作業を行う必要がある。そのため、組合せ秤においては、分散フィーダのトップコーン、直進フィーダのトラフ、供給ホッパ、計量ホッパ、等の各部材を洗浄する必要があり、これら部材は簡易に着脱できるように構成されている。
【0005】
直進フィーダでは、物品搬送体としての樋状のトラフを電磁式の加振機構の振動ヘッドに着脱するものであり、その着脱構造の一例が、例えば、特許文献1に示されている。この特許文献1の直進フィーダでは、トラフの下面に設けた連結部材を振動ヘッドに位置決め係合した状態で、締込み操作部の操作レバーを、回動操作する。これによって、トラフを振動ヘッド側に押し付けながら締込み係合して、トラフを振動ヘッドに強固に連結するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
操作レバーを、回動操作する締込み構造では、弾性的な締込み力を得るために、構造の一部に弾性変形する部材を組み込む必要がある。上記特許文献1では、その弾性変形部材としてコイルバネを用いている。
【0008】
しかしながら、コイルバネは、物品の欠片や滓が入り込んで付着し、付着物を洗浄除去するには手間がかかるものである。特に、食品を取り扱う組合せ秤の場合、衛生上から十分な洗浄を行うことが要求されるので、数多くのフィーダを洗浄処理するのに多大な労力と時間を要することになる。
【0009】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、洗浄を容易に行うことができると共に、物品搬送体を安定した締込みで振動ヘッド部に的確に連結することができる物品搬送用フィーダ、及び、これを備えた組合せ秤を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0011】
(1)本発明に係る物品搬送用フィーダは、加振機構の振動ヘッド部に、物品を載置搬送する物品搬送体が、着脱可能に取付けられる物品搬送用フィーダであって、
操作レバーを有すると共に、該操作レバーの回動操作によって、前記振動ヘッド部と前記物品搬送体との係合を締込み保持する締込み操作部と、弾性撓み変形可能な支軸が設けられると共に、前記締込み操作部に連結されて前記操作レバーの回動操作によって移動する可動連結部材とを備え、前記締込み操作部の前記操作レバーの回動操作に伴う前記可動連結部材の移動によって、前記支軸を弾性撓み変形させて、前記振動ヘッド部と前記物品搬送体との係合を弾性的に保持する。
【0012】
本発明に係る物品搬送用フィーダによると、振動ヘッド部と物品搬送体との係合を弾性的に保持するための弾性撓み変形可能な支軸は、単純な形状の部材であり、洗浄が容易なものとなる。
【0013】
また、支軸の弾性特性は、その材質、軸径、及び、支持スパン等によって決まるものであり、いずれもが、精度よく管理しやすい要素である。従って、この支軸の弾性特性は一定に管理しやすく、所望の締込み特性を安定して確保することができる。
【0014】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記物品搬送体は、前記締込み操作部及び前記可動連結部材を備え、前記振動ヘッド部及び前記可動連結部材は、係合用の楔斜面をそれぞれ有し、前記可動連結部材の移動に伴う前記楔斜面の楔作用によって、前記物品搬送体を、前記振動ヘッド部側へ押付ける。
【0015】
この実施態様によると、安定した弾性特性の締込みによって楔斜面を介しての係合を行うことができるので、繰り返し着脱を行っても、一定の締込み状態で可動連結部材を振動ヘッド部に押し付け連結することができる。
【0016】
(3)本発明の他の実施態様では、前記可動連結部材に設けられた前記支軸と前記締込み操作部の前記操作レバーとが、締結ロッドによって連結されている。
【0017】
この実施態様によると、操作レバーの回動操作に伴って、締結ロッドを介して可動連結部材の支軸に外力が加えられ、支軸が弾性撓み変形して締込みが行われる。
【0018】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記可動連結部材に設けられた前記支軸の中間部位に、連結部材が外嵌装着され、前記連結部材における支軸挿通部位にブッシュが介在されている。
【0019】
可動連結部材に設けられた支軸を、例えば、硬質樹脂材で構成して、金属材からなる連結部材を外嵌装着した場合に、連結部材の支軸挿通孔の縁が、直接に支軸に食い込んで支軸が損傷する。この実施態様によると、支軸挿通部位にブッシュが介在されているので、支軸の損傷を回避することができ、撓み変形する支軸を、所期の弾性特性を維持して長期間使用することができる。
【0020】
(5)本発明の他の実施態様では、前記締結ロッドが、前記支軸の中間部位に外嵌装着された前記連結部材と、前記操作レバーに設けられた支軸とに、互いに逆ネジの関係でねじ込み連結されている。
【0021】
この実施態様によると、締結ロッドを回動調整することによって、連結部材と操作レバーに設けられた支軸との距離を調節することができる。これによって、経年劣化や撓みの残留、等によって可動連結部材の支軸における弾性特性が低下して締込みが緩くなった場合にも、締結ロッドの回動調整によって所望の締込み特性に復元することができる。
【0022】
(6)本発明に係る組合せ秤は、供給される物品を外方に分散搬送する分散フィーダと、分散フィーダの周囲に設けられる複数の直進フィーダと、各直進フィーダに対応して設けられる複数の供給ホッパ及び複数の計量ホッパを備える組合せ秤であって、
前記直進フィーダを、物品搬送体としてのトラフが加振機構の振動ヘッド部に着脱可能に取付けられて構成される、上記(1)ないし(5)の物品搬送用フィーダとしている。
【0023】
本発明に係る組合せ秤によると、直進フィーダの振動ヘッド部とトラフとの係合を弾性的に保持するための弾性撓み変形可能な支軸は、コイルバネに比べて単純な形状の部材であり、洗浄が容易であり、複数の直進フィーダの洗浄に要する労力及び時間を削減することができる。
【0024】
また、直進フィーダのトラフを取り外して洗浄した後、トラフを加振機構の振動ヘッド部に、所定の締込み特性で的確に連結することができる。
【発明の効果】
【0025】
このように、本発明によれば、洗浄を容易に行うことができると共に、物品搬送体を安定した締込みで振動ヘッド部に的確に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る組合せ秤の概略構成図である。
【
図4】
図4は直進フィーダのトラフ取付け部を下方から見た斜視図である。
【
図5】
図5は直進フィーダの振動ヘッド部の斜視図である。
【
図6】
図6は直進フィーダのトラフ取付け部の底面図である。
【
図7】
図7は直進フィーダのトラフ取付け部における組付け工程を示す底面図である。
【
図9】
図9は直進フィーダのトラフ取付け部の一部を示す横断底面図である。
【
図10】
図10は直進フィーダのトラフ装着工程を示す一部切欠き側面図である。
【
図11】
図11は直進フィーダのトラフ装着工程を示す一部切欠き側面図である。
【
図12】
図12は直進フィーダのトラフ装着工程を示す一部切欠き側面図である。
【
図13】
図13は直進フィーダのトラフ締込み部位を拡大した縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1に、本発明の一実施形態に係る物品搬送用フィーダを備えた組合せ秤の概略構成図が示されている。この実施形態の組合せ秤は、各種の食品などの物品を所定量ずつ計量して排出するものであって、床面Fに設置されると共に、計量された物品を下方に設置した包装機(図示せず)に投入して袋詰めする包装ラインなどに使用される。
【0029】
床面Fには、中央部が大きく上下に貫通開口すると共に、平面形状が矩形に形成された中空の基台1が設置され、この基台1の中央上方に、中空短柱形のセンター基体2が脚部3を介して支持されている。
【0030】
センター基体2の上部中心には、図示されていない供給コンベヤの終端から落下供給される物品を、振動によって放射状に分散搬送する分散フィーダ4が装備されている。この分散フィーダ4の周囲には、分散搬送された物品を受け取って、振動によって外方に向けて直進搬送する多数台の物品搬送用フィーダとしての直進フィーダ5が放射状に設けられている。
【0031】
更に、センター基体2の外周に、各直進フィーダ5で搬送された物品を一旦貯留する供給ホッパ6と、各供給ホッパ6から排出された物品の重量を計量する計量ホッパ7とが装備されている。そして、これら直進フィーダ5、供給ホッパ6、及び、計量ホッパ7を一連とする多数連の計量ユニットによって物品の組合せ計量及び排出が行われる。
【0032】
計量ホッパ7の下方には、排出された物品を集める集合シュート8が配備されると共に、集合シュート8の下端部には、集合シュート8から滑落してきた物品をセンター基体2の中心下方に集める集合ファネル9が配備されている。更に、集合ファネル9の下方には、集合ファネル9で集められた物品を一旦受け止め貯留し、包装機側からの排出要求指令に基づいて排出作動する集合ホッパ10が配置されている。
【0033】
分散フィーダ4は、緩傾斜の傘形に形成されたトップコーン11と、これを振動駆動する電磁式の加振機構12とを備えている。加振機構12は、センター基体2の内部中央に設置されている。詳細な構造は図示されていないが、センター基体2の上面に加振機構12の振動ヘッド部が露出されている。この振動ヘッド部にトップコーン11が着脱可能に装着されている。なお、加振機構12は、重量センサ13を介してセンター基体1の内部に支持されている。この重量センサ13によって分散フィーダ4上の物品重量が検知される。検知された重量検知情報に基づいて図示されていない供給コンベヤがオン/オフ制御されて、分散フィーダ4上に設定範囲内の重量の物品が供給されるようになっている。
【0034】
直進フィーダ5は、樋形のトラフ14と、これを振動駆動する電磁式の加振機構15とを備えている。各直進フィーダ5の加振機構15が、分散フィーダ5の加振機構12をとり囲むようにセンター基体2内に配備されている。
【0035】
センター基体2の外周部には、供給ホッパ6及び計量ホッパ7のゲート開閉用の駆動機構、及び、計量ホッパ7内の物品の重量を検知する重量センサ、等を組み込んだ駆動ユニット16が装着されている。この駆動ユニット16に、供給ホッパ6及び計量ホッパ7が着脱可能に装着支持されている。
【0036】
この実施形態の組合せ秤では、物品搬送用フィーダの一例である前記直進フィーダ5におけるトラフ14の着脱構造を以下のように構成している。なお、以下の説明において、構造の理解を容易にするために、直進フィーダ5の搬送始端側(分散フィーダ4側)を前側(前方)、搬送終端側(供給ホッパ6側)を後側(後方)、直進フィーダ5の搬送方向と直交する水平方向を左右方向と呼称する。
【0037】
図2は、
図1の組合せ秤の直進フィーダ5の側面図であり、
図3は、直進フィーダ5の底面図であり、
図4は、直進フィーダ5のトラフ取付け部を下方から見た斜視図である。また、
図5は、直進フィーダ5の振動ヘッド部の斜視図であり、
図6は、直進フィーダ5のトラフ取付け部の底面図である。
【0038】
直進フィーダ5における物品搬送体であるトラフ14は、薄板材を上拡がりに開放した樋状に屈折形成してなるトラフ本体14aの外側面及び下面に沿って補強板14bが溶接固定されている。更に、この補強板14bの下面に、厚板材をU形に屈折した前後に長い支持板14cが、溶接固定された構造となっている。この支持板14cの下面に、加振機構15の振動ヘッド部15aに対する着脱機構20が備えられている。
【0039】
着脱機構20の前半部には、トラフ下面の支持板14cに溶接固定された厚板材からなる連結板21と、これに前後スライド可能に嵌合支持される可動連結部材として前後に長い可動連結板22とが配備されている。
【0040】
連結板21の後部には、
図4に示されるように、略円形の載置部21aが備えられると共に、その前方には矩形の係合連結部21bが連設されている。載置部21aに、可動連結板22を前後にスライド移動可能に係入する案内凹部23が後向きに開口して形成されている。係合連結部21bの下面には、前向きの係合フック24と、左右位置決め用の係合ピン25が突設されている。
【0041】
可動連結板22は、連結板21より少し薄く形成されている。連結板21における案内凹部23の左右に対向する内側面には、前後に長い係合片26が、案内凹部23内方に突出するように、連結板21の下面と面一に溶接固定されている。係合片26は、その上下厚さが連結板21と可動連結板22の厚さの差に相当する寸法に設定されている。この係合片26は、
図6のA-A断面図である
図8に示すように、案内凹部23に係入された可動連結板22の左右端辺が、支持板14cの下面と係合片26の上面との間に挟まれて、前後スライド可能に案内支持されるようになっている。
【0042】
可動連結板22の左右端辺には、係合片26の前後長さより少し長い組付け用凹部27が切欠き形成されている。つまり、可動連結板22を連結板21に組み付ける場合、
図7に示すように、先ず、組付け用凹部27を係合片26に位置合わせして可動連結板22を案内凹部23に係入した後、可動連結板22を後方に移動させることで、可動連結板22を落下させることなく連結板21に嵌合支持することができる。
【0043】
なお、支持板14cの下面には、大径頭部を備えた案内ピン28が突設されると共に、可動連結板22には、案内ピン28を挿通係合するガイド溝29が形成されている。このように、可動連結板22は、係合片26と案内ピン28とによって前後2箇所で係合支持されて、落下することなく前後スライド可能に嵌合支持される。
【0044】
可動連結板22の前部には、振動ヘッド部15a側に係合連結するための係合孔30が、前方が小径に形成されて開口されている。また、この係合孔30の周縁には、
図6,
図8に示すように、内方下方に向かう楔斜面sが形成されている。
【0045】
可動連結板22は、
図4,
図6等に示すように、着脱機構20の後側に配備された締込み操作部20aに連動連結されている。この締付け操作部20aの操作レバー37の回動操作によって、可動連結板22が前後にスライド移動するようになっている。
【0046】
可動連結板22の後端部には、左右一対の軸支部31が対向して突設されている。この両軸支部31に亘って支軸32が横水平に支持されると共に、支軸32の左右中間部位に連結部材33が、回動可能に外嵌装着されている。
【0047】
ここで、支軸32は、弾性撓み変形可能な硬質樹脂材、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)で形成されている。この支軸32は、
図9の横断底面図に示すように、軸支部31に外方から軸受け部材34がねじ込まれて一定位置に固定されている。この軸受け部材34に支軸32の端部が挿入されて、両持ち状態で支持されている。この構成によると、軸受け部材34を軸支部31から外方に抜き取ることで、支軸32を容易に軸心方向に抜き外すことができ、支軸32が損傷した場合などに、支軸32を容易に交換することができる。
【0048】
連結部材33の支軸挿通部位には、左右一対の樹脂製のブッシュ35が介在され、金属材、例えば、ステンレスからなる連結部材33の支軸挿通孔の縁が、直接に支軸32に食い込んで支軸32が損傷するのを回避できるようにしている。但し、ブッシュ35は、一体型でもよい。
【0049】
締込み操作部20aには、
図4,
図6に示すように、支持板14cの下面にボルト連結された支点ブラケット36と、これに横向きの支点p周りに上下回動可能に枢支連結された操作レバー37とが配備されている。操作レバー37の長手方向中間には、回動可能に支軸38が設けられている。この支軸38の中央部位に、直交してねじ込み連結した締結ロッド39が、前方に延出されている。この締結ロッド39の前端部が、可動連結板22に支軸32を介して組み付けられた連結部材33に、ねじ込み連結されている。
【0050】
締結ロッド39の両端部に備えたネジは、互いに逆ネジの関係となっており、一方の端部が左ネジで、他方の端部が右ネジである。この締結ロッド39を正逆に回動操作することで、連結部材33と支軸38との距離を微調節することができるようになっている。
【0051】
他方、加振機構15における振動ヘッド部15aには、
図5に示すように、厚板材からなる載置板41が、一対のネジ42によって水平に連結固定されている。載置板41は、円形の載置部41aと、これから前方に延出された矩形の係合連結部41bとを備えた形状に形成されている。この載置板41の載置部41aの中心に、大径頭部43aを備えた連結ピン43が立設されて、溶接固定されている。連結ピン43の大径頭部43aは、外方下向きの楔斜面tを備えた逆傘形に形成されている。
【0052】
また、係合連結部41bには、トラフ側の係合フック24に対応する矩形の係合孔44と、トラフ側の係合ピン25に対応する前後長孔45とが設けられている。
【0053】
載置板41は、その下側に配した円形の支持板46と共締めで振動ヘッド部15aに連結されている。この支持板46に形成された環状溝47に、防水用ベローズ48の上端開口縁を嵌入支持するようになっている。なお、図示されていないが、防水用ベローズ48の下端開口縁は、センター基体2の上面に形成されたヘッド部挿通用の開口部の周縁に防水状に嵌合支持されている。防水用ベローズ48によって、トラフ14を取り外しての洗浄時に、振動ヘッド部15aの挿通部位からセンター基体2内へ洗浄水が浸入することが防止されるようになっている。
【0054】
次に、上記着脱機構20を用いてトラフ14を加振機構15に連結固定する手順について説明する。
【0055】
先ず、
図10に示すように、締込み操作部20aの操作レバー37を大きく下方に回動させて可動連結板22を前方にスライド移動させた状態で、トラフ14を振動ヘッド部15aの上方に搬入する。
【0056】
次に、
図11に示すように、トラフ14を振動ヘッド部15aに載置し、係合フック24を係合孔44に挿通すると共に、係合ピン25を前後長孔45の前部に係合させる。この時、連結ピン43は可動連結板22における係合孔30の大径部位に挿入される。
【0057】
次に、振動ヘッド部15aに載置したトラフ14を少し前方へ押し動かして、係合フック24の内角部位を係合孔44の前縁に当接させる。その後、
図12に示すように、操作レバー37を上方に回動操作する。この操作レバー37の上方回動に伴って支軸38が後方に移動し、可動連結板22が後方にスライド移動される。
【0058】
支軸38の軸心が、レバー支点pと支軸32の軸心qとを通る死点dを、上方に超えるまでに、可動連結板22の後方移動によって、係合孔30における小径部が、連結ピン43の大径頭部に引っ掛かる。これによって、
図13に示すように、係合孔30の上向き楔斜面sが大径頭部43aの下向き楔斜面tに係合する。
【0059】
この状態から操作レバー37を更に強く上方に回動すると、連結ピン43と係合孔30との係合によって後方移動が阻止された状態で、支軸38が更に後方に変位されようとすることになり、締結ロッド39が強く後方へ引かれる。この後方への力が、連結部材33を介して支軸32の中央部位に作用することで、支軸32は後方へ弾性的に撓み変形する。
【0060】
支軸38の軸心が、レバー支点pと支軸32の軸心qを通る死点d上に至った時、支軸32の撓み変形が最大となる。
【0061】
図12に示すように、操作レバー37の上端辺が支点ブラケット36の底面に当接する上方回動限界に到達すると、支軸38の軸心が前記死点dを少し上方に超えた状態となる。この時、支軸32は若干撓み変形した状態にあり、この支軸32の弾性復元力によって可動連結板22は前方に引かれ、連結板21は前方に押された状態にある。これによって、係合フック24が係合孔44に強く係合されると共に、係合孔30及び連結ピン43の楔斜面s、tの係合に伴う楔作用によって可動連結板22が振動ヘッド部15a側に強く押し付けられる。その結果、連結板21が振動ヘッド部15aの載置板41に強く押し付け係合される。
【0062】
従って、トラフ14全体が、振動ヘッド部15aに対して所定位置に正しく位置決めされた状態で確実強固に締込み固定されることになる。
【0063】
上記手順を逆に行えば、トラフ14を振動ヘッド部15aから簡易に取り外すことができ、トラフ14、及び、センター基体2の上部に露出した振動ヘッド部15aの洗浄を行うことができる。
【0064】
取り外されたトラフ14は、操作レバー37を正逆に回動操作して、可動連結板22を前後スライドさせながら洗浄水を勢いよく吹き付けることで、付着物を簡単に洗浄除去することができる。
【0065】
また、トラフを取り外した振動ヘッド部15aは、
図5に示すように、載置板41に係合孔44と前後長孔45が開口し、一つの連結ピン43が突出しているだけで略平面である。したがって、これらに物品の欠片や滓が付着していても簡単に洗浄除去することができる。
【0066】
本実施形態によれば、各部材の製作誤差や組付け誤差を、支軸32の弾性撓み変形によって、吸収することができる。これによって、組合せ秤の複数の直進フィーダ5における締込み特性を均一にするために1台ごとに調整する必要がない。
【0067】
また、支軸32の弾性特性が、摩耗等の経年劣化によって変化して締込みが緩くなった場合には、締結ロッド39の回動によって締込み具合を復元調整することができる。更に、支軸32の弾性特性が極端に悪化したり、支軸32が損傷したような場合には、軸受け部材34を軸支部31から外方に抜き出すことで、支軸32を取り外して簡単に交換することができる。
【0068】
[その他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0069】
(1)上記実施形態では、直進フィーダ5、供給ホッパ6、及び、計量ホッパ7を一連とする計量ユニットの多数連を分散フィーダ4の周囲に沿って配備した円形配列型の組合せ秤を例示しているが、多数連の計量ユニットを横一列状に配備した直線配列型の組合せ秤に適用することもできる。
【0070】
(2)トップコーンを物品搬送体とする物品搬送用フィーダである分散フィーダに本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0071】
5 直進フィーダ
14 トラフ(物品搬送体)
15 加振機構
15a 振動ヘッド部
20 着脱機構
20a 締込み操作部
22 可動連結板(可動連結部材)
31 軸支部
32 支軸
34 軸受け部材
37 操作レバー
38 支軸
39 締結ロッド