(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】ポイント密度図
(51)【国際特許分類】
G06T 15/00 20110101AFI20231023BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G06T15/00 501
A61B1/045 615
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018220029
(22)【出願日】2018-11-26
【審査請求日】2021-10-27
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・コーエン
(72)【発明者】
【氏名】ファディ・マサルウィ
(72)【発明者】
【氏名】イド・イラン
(72)【発明者】
【氏名】イタイ・ドロン
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-061789(JP,A)
【文献】特開2015-210186(JP,A)
【文献】特開2006-006490(JP,A)
【文献】特開2015-194909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/00 - 19/20
A61B 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
プロセッサによって、表面上の複数のポイントの各座標を受信することと、
ディスプレイ画面上で前記表面の画像をレンダリングすることと、
前記複数のポイントのうちの所定のポイントごとに、前記所定のポイントを囲む領域内の前記ポイントの密度を計算し、前記ディスプレイ画面上で、前記計算された密度と逆関係にあるポイントサイズを用いて、ユーザが前記ポイントの前記密度を認識できるように前記表面上の前記所定のポイントをレンダリングすることと、を含み、
前記所定のポイントを囲む前記領域内の前記ポイントの前記密度を計算することが、前記所定のポイントの前記座標に対応する中心を有する中心と、指定の長さを有する半径と、を含む球体として、それぞれの所定の領域を画定することを含む、方法。
【請求項2】
前記所定のポイントを囲む前記領域内の前記ポイントの前記密度を計算することが、前記領域内の前記ポイントの数をカウントすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記領域内の前記所定のポイントの前記密度を計算することが、前記複数のポイントから、前記所定のポイントに最も近い更なるポイントを識別し、前記所定のポイントと前記更なるポイントとの間の距離を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記表面が、2次元表面又は3次元表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記3次元表面が、体腔内の組織を表現し、前記各座標を受信することが、前記体腔内に挿入された医療用プローブから前記各座標を受信することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記体腔が心臓を含み、前記組織が心臓内組織を含み、前記医療用プローブが心臓カテーテルを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記所定のポイントをレンダリングすることが、前記ディスプレイ画面上で、円、楕円、及び星形からなる群から選択される形状を使用して、前記所定のポイントを提示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記球体の中心付近の前記ポイントの前記密度に基づいて前記半径を変化させるように構成され、
前記プロセッサが、前記中心から最も近い前記ポイントまでの距離を決定するように構成され、
前記球体の前記中心から最も近い前記ポイントまでの前記距離は、前記密度と逆関係にある、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
複数の視覚効果を定義し、前記視覚効果のそれぞれを前記密度の各範囲に割り当て、前記ディスプレイ画面上で、前記計算された密度に基づいた所定の視覚効果を用いて、前記表面上の前記所定のポイントをレンダリングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
装置であって、
ディスプレイ画面と、
プロセッサであって、
表面上の複数のポイントの各座標を受信し、
前記ディスプレイ画面上で前記表面の画像をレンダリングし、かつ、
前記複数のポイントのうちの所定のポイントごとに、前記所定のポイントを囲む領域内の前記ポイントの密度を計算し、前記ディスプレイ画面上で、前記計算された密度と逆関係にあるポイントサイズを用いて、ユーザが前記ポイントの前記密度を認識できるように前記表面上の前記所定のポイントをレンダリングするように構成されている、プロセッサと、を含み、
前記プロセッサが、前記所定のポイントの前記座標に対応する中心を有する中心と、指定の長さを有する半径と、を含む球体として、それぞれの所定の領域を画定することによって、前記所定のポイントを囲む前記領域内の前記ポイントの前記密度を計算するように構成されている、装置。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記領域内の前記ポイントの数をカウントすることによって、前記所定のポイントを囲む前記領域内の前記ポイントの前記密度を計算するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記複数のポイントから、前記所定のポイントに最も近い更なるポイントを識別し、前記所定のポイントと前記更なるポイントとの間の距離を決定することによって、前記領域内の前記所定のポイントの前記密度を計算するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記表面が、2次元表面又は3次元表面を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記3次元表面が、体腔内の組織を表現し、前記プロセッサが、前記体腔内に挿入された医療用プローブから前記各座標を受信することによって、前記各座標を受信するように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記体腔が心臓を含み、前記組織が心臓内組織を含み、前記医療用プローブが心臓カテーテルを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記プロセッサが、前記ディスプレイ画面上で、円、楕円、及び星形からなる群から選択される形状を使用して、前記所定のポイントを提示することによって、前記所定のポイントをレンダリングするように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記プロセッサが、前記球体の中心付近の前記ポイントの前記密度に基づいて前記半径を変化させるように構成され、
前記プロセッサが、前記中心から最も近い前記ポイントまでの距離を決定するように構成され、
前記球体の前記中心から最も近い前記ポイントまでの前記距離は、前記密度と逆関係にある、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記プロセッサが、複数の視覚効果を定義し、前記視覚効果のそれぞれを前記密度の各範囲に割り当て、前記ディスプレイ画面上で、前記計算された密度に基づいた所定の視覚効果を用いて、前記表面上の前記所定のポイントをレンダリングするように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項19】
プログラム命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、命令が、コンピュータによって読み込まれると、前記コンピュータに、
表面上の複数のポイントの各座標を受信させ、
ディスプレイ画面上で前記表面の画像をレンダリングさせ、かつ、
前記複数のポイントのうちの所定のポイントごとに、前記所定のポイントを囲む領域内の前記ポイントの密度を計算し、前記ディスプレイ画面上で、前記計算された密度と逆関係にあるポイントサイズを用いて、ユーザが前記ポイントの前記密度を認識できるように前記表面上の前記所定のポイントをレンダリングさせ、
前記所定のポイントを囲む前記領域内の前記ポイントの前記密度を計算することが、前記所定のポイントの前記座標に対応する中心を有する中心と、指定の長さを有する半径と、を含む球体として、それぞれの所定の領域を画定することを含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記
命令が、
更に、前記コンピュータに
前記球体の中心付近の前記ポイントの前記密度に基づいて前記半径を変化さ
せ、
前記中心から最も近い前記ポイントまでの距離を決定
させ、
前記球体の前記中心から最も近い前記ポイントまでの前記距離は、前記密度と逆関係にある、請求項19に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね画像提示に、特に複数のマッピングポイントを含む表面の画像の提示に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の医療処置は、心臓などの身体器官の空洞をマッピングすることを含む。空洞をマッピングするため、手術者が、器官内の特定の場所に医療用プローブを位置付け、プローブは位置情報を測定し、その情報をマッピングシステムに伝達する。マッピングシステムは、器官内の測定された位置を含むマップを生成する。このマップは、様々な診断法及び治療法を器官に適用する上で使用され得る。
【0003】
Watenabeに対する米国特許第6,975,335号は、拡大及び縮小した領域を表示するための方法を記載する。この方法は、拡大及び/又は縮小した領域を容易に検出することを可能にするため、画像内の領域のパターン密度を変更することを含む。例えば、第1の所定の領域が拡大表示され、第2の所定の領域が結果的に縮小されると、第1の所定の領域のパターンが拡大表示され、第2の所定の領域のパターンは、画像の他の部分に対して縮小表示される。
【0004】
Hao et al.に対する米国特許第7,046,247号は、表示用の非均一なグラフィック密度を有する、グラフィックデータセットを可視化するための方法を記載する。この方法は、領域のグラフィック密度を決定し、より高い解像度でより高いグラフィック密度を有する領域を提示することを含む。
【0005】
Handbook of Computational Statistics:Concepts and Methods(Gentle,James et al.,Springer,2012)のChapter 28は、グラフにプロットされたデータポイントを提示するための方法の説明を含む。この方法は、相対的に高いプロットの重なりを有する領域(すなわち、高密度のデータポイントを含む領域)内でデータポイントの輝度パラメータを増加させることを含む。
【0006】
Baar et al.に対する米国特許第9,323,413号は、詳細なコンテキストのプレゼンテーションに対応するズーム付きのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を記載する。GUIは、「ショルダー領域」に囲まれた「焦点領域」を含む「レンズ領域」を含む。焦点領域は、高倍率を用いて提示され、「ショルダー領域」の情報は、可視的に圧縮される。
【0007】
Shoemaker et al.に対する米国特許第9,299,186号は、原画像の関心領域を提示するための方法を記載する。この方法において、原画像は、頂点で接合された3つ以上の共有縁部によって画定される多角形を有する、多角形の集合を含むメッシュであり得る。
【0008】
Zhen et al.に対する米国特許第6,263,287号は、遺伝子発現データを操作及び分析するための方法を記載する。この方法は、グラフィックツールを含み、遺伝子発現の時間的パターンを相関させるためにクラスタリングアルゴリズムを使用する。
【0009】
上記説明は、当該分野における関連技術の一般的概論として記載したものであって、この説明に含まれる何らの情報が本特許出願に対する先行技術を構成することを容認するものと解釈するべきではない。
【0010】
参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、プロセッサによって、表面上の複数のポイントのそれぞれの座標を受信することと、ディスプレイ画面上で表面の画像をレンダリングすることと、複数のポイントのうちの所定のポイントごとに、所定のポイントを囲む領域内のポイントの密度を計算し、ディスプレイ画面上で、計算された密度と逆関係にあるポイントサイズを用いて表面上の所定のポイントをレンダリングすることと、を含む、方法が提供される。
【0012】
いくつかの実施形態では、所定のポイントを囲む領域内のポイントの密度を計算することは、領域内のポイントの数をカウントすることを含む。他の実施形態では、領域内の所定のポイントの密度を計算することは、複数のポイントから、所定のポイントに最も近い更なるポイントを識別し、所定のポイントと更なるポイントとの間の距離を決定することを含む。
【0013】
追加の実施形態では、表面は、2次元表面又は3次元表面を含む。更なる実施形態では、3次元面は、体腔内の組織を表現し、それぞれの座標を受信することは、体腔内に挿入される医療用プローブから各座標を受信することを含む。補足の実施形態では、体腔は心臓を含み、組織は心臓内組織を含み、医療用プローブは心臓カテーテルを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、所定のポイントをレンダリングすることは、ディスプレイ上で、円、楕円、及び星形からなる群から選択される形状を使用して、所定のポイントを提示することを含む。追加の実施形態では、所定のポイントを囲む領域内のポイントの密度を計算することは、所定のポイントの座標に対応する中心を有する中心と、指定の長さを有する半径と、を含む球体として、それぞれの所定の領域を画定することを含む。更なる実施形態では、この方法は、複数の視覚効果を定義することと、視覚効果のそれぞれを密度の各範囲に割り当てることと、ディスプレイ上で、計算された密度に基づいた所定の視覚効果を用いて、表面上の所定のポイントをレンダリングすることと、を含む。
【0015】
また、本発明の一実施形態によれば、ディスプレイ画面を含む装置と、表面上の複数のポイントの各座標を受信し、ディスプレイ画面上で表面の画像をレンダリングし、複数のポイントのうちの所定のポイントごとに、所定のポイントを囲む領域内のポイントの密度を計算し、ディスプレイ画面上で、計算された密度と逆関係にあるポイントサイズを用いて、表面上の所定のポイントをレンダリングする、ように構成されている、プロセッサと、が提供される。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、プログラム命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、命令が、コンピュータによって読み取られると、コンピュータに、表面上の複数のポイントの各座標を受信し、ディスプレイ画面上で表面の画像をレンダリングし、複数のポイントのうちの所定のポイントごとに、所定のポイントを囲む領域内のポイントの密度を計算し、ディスプレイ画面上で、計算された密度と逆関係にあるポイントサイズを用いて、表面上の所定のポイントをレンダリングする、ことをさせる、コンピュータソフトウェア製品が更に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書で、本開示をあくまで一例として添付図面を参照しつつ説明する。
【
図1】本発明の実施形態による、ポイントを含むマップ内の領域の密度に基づいて、マップ内のポイントのサイズを調整するように構成されている、医療システムの概略絵図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、異なるサイズを有するポイントを含むマップを提示する方法を概略的に示したフローチャートである。
【
図3】本発明の第1の実施形態による、異なるサイズを有するポイントのいくつかを含む、マップの断片を示す概略絵図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態による、異なるサイズを有するポイントのいくつかを含む、マップの断片を示す概略絵図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
概説
解剖学的マッピング法は、典型的には、マッピングシステムから収集されたマップポイントを含むマップを作製するものである。それぞれのマップポイント(本明細書では単純にポイントとも称される)は、体腔内における各座標と、おそらくは、対応の座標にて医療用プローブから適切に収集された生理学的特性とを、含む。マップポイントを収集するとき、ポイントのいくつかは、互いに近接し、密集領域を画定し得る。他のポイントは、全ての他のポイントから離れていてもよく、これらのポイントは、疎領域を画定すると推定される。ユーザーは典型的に、体腔をマッピングしながら、疎領域を低減又は除去することを望むが、ユーザーが処置の実行中に疎領域を識別することは困難であり得る。
【0019】
上述のように、密集領域は、互いに近接したマップポイントを含む。密集領域内のマップポイントが同じサイズを使用して提示される場合、特に、重複している、かつ/又は完全に隠されたマップポイントが存在する場合には、ユーザーがそれらのポイント間を区別することは困難であり得る。したがって、ユーザーが、密集領域内の特定のマップポイントを識別することは困難であり得る。
【0020】
本発明の実施形態は、心臓などの体腔をマッピングしながら、疎領域内のポイントを強調するための方法及びシステムを提供する。後述のように、表面上の複数のポイントについて各座標が受信され、表面の画像がディスプレイ画面上でレンダリングされる。複数のポイントのうちの所定のポイントごとに、所定のポイントを囲む領域内のポイントの密度が計算され、表面上の所定のポイントは、計算された密度と逆関係にあるポイントサイズを用いてレンダリングされる。
【0021】
ポイントを各領域の密度と逆関係にあるポイントサイズでレンダリングすることにより、本発明の実施形態を実行するシステムは、疎領域ではより大きいサイズのポイントを提示することができ、密集領域ではより小さいサイズのポイントを提示することができる。この結果、疎領域を画定するポイントが強調され(すなわち、より大きいサイズのポイントによる)、それにより、ユーザーは、マップ内のあらゆる疎領域を容易に識別することが可能になる。同様に、より小さいサイズで密集領域内のマップポイントを提示することにより、ユーザーは、領域内の個々のマップポイント間を容易に区別することが可能になる。
【0022】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、医療用プローブ22及び制御コンソール24を含む、医療システム20の概略絵図である。医療システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(33 Technology Drive,Irvine,CA 92618)によって製造されたCARTO(登録商標)システムに基づいていてもよい。後述の実施形態では、医療用プローブ22は、患者28の心臓26をマッピングするために使用される、心臓カテーテルを含む。又は、医療用プローブ22を、心臓又は他の体の臓器における他の治療及び/又は診断目的のために、必要な変更を加えて使用してもよい。
【0023】
医療処置中、医療専門家30は、医療用プローブの遠位端32が体腔に入るように、医療用プローブ22を、前もって患者の体腔(例えば、心臓26の心室腔)に配置されている生体適合性の鞘(図示せず)に挿入する。
図1に示す構成では、プローブ電極34が、医療用プローブ22の遠位先端36上に取り付けられている。プローブ電極は、典型的には、遠位先端36上に形成された薄い金属層を含む。いくつかの実施形態では、遠位端32は、互いに及び電極34から絶縁された、他の電極を有してもよいが、簡略化のために図示されていない。電極34は、プローブ22内の導線(図示せず)によってコントロールコンソールに接続されている。
【0024】
本明細書に記載の実施形態では、電極34は、心臓26における遠位先端36の位置を決定するために使用され得る。追加の実施形態では、電極34はまた、心臓26内の複数の位置における一定の生理学的特性(例えば、局所的表面電位)を測定するために使用され得る。
【0025】
制御コンソール24は、ケーブル38によって身体表面電極に接続され、身体表面電極は、典型的には患者28に貼り付けられた接着性皮膚パッチ40を含む。制御コンソール24は、接着性皮膚パッチ40とプローブ電極34との間で測定されたインピーダンスに基づいて、心臓26内の遠位先端36の位置座標を決定することができる、プロセッサ42を含む。
【0026】
遠位先端36の位置を決定するために、制御コンソール24は、電極34に電流を搬送することができ、プロセッサ42は、搬送された電流に応答してパッチ40によって検出される各インピーダンスを示す信号を受信する。プロセッサ42は、インピーダンスに基づいて、X軸55、Y軸56及びZ軸58からなる座標系54における電極34の3次元空間の位置(すなわち、パッチ40に対する)を決定し得る。インピーダンスに基づく位置追跡技術については、例えばそれらの開示内容が参照によって本明細書に援用される米国特許第5,983,126号、同第6,456,864号、同第5,944,022号に記載されている。
【0027】
図1及び
図2に示される医療システムは、遠位先端36の位置を測定するためにインピーダンスに基づいた感知を使用しているが、他の位置追跡技術を使用してもよい(例えば、磁気ベースのセンサを使用する技術)。磁気ベースのセンサを使用するシステムでは、遠位端32は、典型的に3つの直交センサコイルのセットを含む磁場センサ(図示せず)を含み、発電機コイル(図示せず)が、患者28の外部の既知の位置で、患者の下方に配置される。発電機コイルは患者28内の領域に交流磁場を送信し、交流磁場は、磁場センサに信号を誘導し、プロセッサ42は、これらの信号を解析して磁場発電機コイルに対する磁場センサの位置及び向きを導出する。
【0028】
磁気位置追跡技術については、例えば、それらの開示内容を参照により本明細書に援用するところの米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第6,788,967号、同第6,690,963号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,177,792号に記載されている。本明細書で上述する位置感知方法は、上述のCARTO(登録商標)システムに実装され、上記で引用した特許に詳細に説明されている。
【0029】
プロセッサ42は、典型的には、医療用プローブ22の要素(例えば、プローブ電極34)からの信号を受信し、制御コンソール24の他の構成要素を制御するための好適なフロントエンド及びインターフェース回路を備える汎用コンピュータを含む。プロセッサ42は、本明細書に記載される機能を実施するためにソフトウェア中にプログラムされていてもよい。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態で制御コンソール24にダウンロードされてもよく、又は光学的、磁気的、若しくは電子的記録媒体など、非一時的な有形媒体上に提供されてもよい。代替的に、プロセッサ42の機能の一部又は全ては、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0030】
制御コンソール24は、入力/出力(I/O)通信インターフェース44を更に含むが、これは、制御コンソールが、プローブ電極34及び接着性皮膚パッチ40から信号を送信する、かつ/又はこれらに信号を送信することを可能にする。プローブ電極34及びプロセッサ42は全て、有線接続(図示せず)及び/又は無線接続を介してI/O通信インターフェース44に結合される。
【0031】
プロセッサ42は、プローブ電極34及び接着剤皮膚パッチ40から受信した信号に由来するインピーダンスに基づいて、それぞれのマップポイントが心臓26の内室面上の座標を含む、複数のマップポイントを含むマップ46を生成し得る。処置中、プロセッサ42は、医療専門家30に対し、ディスプレイ画面48上にマップ46を提示し、このマップを表すデータをメモリ50に記憶し得る。メモリ50は、例えばランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなどの任意の好適な揮発性及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、医療専門家30は、1つ以上の入力装置52を使ってマップ46を操作することができる。代替的な実施形態では、ディスプレイ48は、マップ46を提示することに加え、医療専門家30からの入力を受理するように構成され得るタッチスクリーンを含んでもよい。
【0033】
密度に基づいたマップポイントのサイズ設定
図2は、本発明の実施形態による、マップ46を生成する方法を概略的に示したフローチャートであり、
図3は、本発明の第1の実施形態による、各密度に基づいた異なるサイズを有するマップポイント80を含むマップの概略絵図である。受信工程60において、プロセッサ42は、心臓26内の組織など、表面上の複数のマップポイント80の座標(すなわち、座標系54)を受信し、第1のレンダリング工程62において、プロセッサは、マップ46内で(すなわち、ディスプレイ48上で)、受信したマップポイント座標に基づいて表面82(
図3)をレンダリングする。
【0034】
一実施形態では、表面82は、2次元(2D)散布図などの2D表面を含む。別の実施形態では、表面82は、心臓26内の心臓内組織などの3次元(3D)表面を含む。プロセッサ42を使用して表面82をレンダリングし得るアルゴリズムの一例は、参照により本明細書に組み込まれる、「The Ball-Pivoting Algorithm for Surface Reconstruction」(Bernardini et al,IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics,Volume 5 Issue 4,1999年10月、349~359ページ)に記載されている。この研究論文に記載されているように、ball pivotingアルゴリズムは、三角形の頂点としてマップポイント80を使用する三角形のセットを作製することにより、三角形メッシュを計算する。次いで、プロセッサ42は、当該技術分野において既知の任意の便利な方法を使用して、メッシュを被覆し、表面82を生成する。
【0035】
選択工程64において、プロセッサ42は、所定のマップポイント80を選択し、画定工程66において、プロセッサは、所定のポイントを囲む領域84を画定する。
図3では、領域84は、領域が領域84A~84Dを含むように、識別番号に文字を付加することで区別され得る。いくつかの実施形態では、領域は球体(例えば、
図3に2次元の円として提示されている球面領域)であり、プロセッサ42は、座標系54において、所定のマッピングポイントの座標に対応する中心と、指定の長さを有する半径88と、を含む、3次元球体を画定することにより、所定のマップポイント80の周りに所定の領域84(例えば、
図3の領域84D)を画定する。
【0036】
一実施形態では、プロセッサ42は、特定の長さを有する半径の球体を画定し得る。例えば、半径は、10~20ミリメートルの固定長であり得る。別の実施形態では、プロセッサ42は、球体の中心に近いマップポイントの密度に基づいて、半径を変更し得る。例えば、プロセッサ42は、最も近いポイント80までの(すなわち、中心からの)測地距離を決定し得る。この実施形態では、密度は、球体の中心から最も近いポイントまでの距離に直接関係する。
【0037】
計算工程68において、プロセッサ42は、所定の領域内のポイントの密度を計算し、割り当て工程70において、プロセッサは、所定のポイントに、計算された密度と逆関係にあるポイントサイズを割り当てる。換言すれば、プロセッサ42は、より高い密度を有する領域内のポイントにより小さいポイントサイズを割り当て、また、プロセッサは、より低い密度を有する領域内のポイントにより大きいポイントサイズを割り当てることになる。
【0038】
第1の実施形態では、プロセッサ42は、所定の領域内の多数のマップポイント80に基づいて(例えば、その数をカウントすることによって)、所定の領域84について所定の密度を計算する。第1の実施形態では、所定の領域84内の所定のマップポイントについて計算された密度は、所定の領域内のマップポイントの数に直接関係する(すなわち、より多くのマッピングポイントを有する領域はより高い密度を有し、より少ないマッピングポイントを有する領域はより低い密度を有する)。
【0039】
第2の実施形態では、プロセッサ42は、マップポイント80のペア間の各距離86を計算し、また、プロセッサ42は、最も近い第2の所定のマップポイント80を識別することによって、第1の所定のマップポイント80の密度を計算する。第2の実施形態では、計算された密度は、第1の所定のマップポイントと第2の所定のマップポイントとの間の距離と逆関係にある(すなわち、距離が長いほど低い密度を示し、距離が短いほど高い密度を示す)。
【0040】
第2のレンダリング工程72において、プロセッサ42は、典型的には、マップ46内で表面82上の所定のマップポイントを重ね合わせることによってレンダリングする。表面82上の所定のマップポイントをレンダリングするため、プロセッサ42は、ディスプレイ48上で、所定のマップポイントの各座標に対応する表面82上の位置にて、その各サイズを用いて所定のマップポイントを提示し得る。
図3に示す実施形態では、プロセッサ42は、ディスプレイ48上でマップ46内に円/楕円形状としてマップポイントを提示することにより、マップポイント80をレンダリングする。
【0041】
図3では、マップポイント80は、マップポイントがマップポイント80A~80Cを含むように、識別番号に文字を付加することで区別され得る。マップ46のこの例では、
・領域84Aは高密度を有し、プロセッサ42は、小サイズの円を使用してマップポイント80Aをレンダリングする。
・領域84Cは低密度を有し、プロセッサ42は、大サイズの円を使用してマップポイント80Cをレンダリングする。
・領域84Bは、中密度(すなわち、低濃度と高濃度との間)を有し、プロセッサ42は、中サイズの円(すなわち、小サイズの円の直径と大サイズの円の直径との間の直径を有する)を使用してマップポイント80Bをレンダリングする。
【0042】
図4は、本発明の第2の実施形態による、各密度に基づいた異なるサイズを有するマップポイント80を含む、マップの概略絵図である。第2の実施形態では、プロセッサ42は、マップポイントを含む領域の各密度に基づいた異なるサイズを有する、スリーポインテッドの星形としてマップポイント80を提示する。
【0043】
図4に示す例では、マップポイントは、マップポイントがマップポイント80D~80Fを含むように、識別番号に文字を付加することで区別され得る。
図4に示すように、
・プロセッサ42は、小サイズの星形を用いてマップポイント80Dをレンダリングする。
・プロセッサ42は、大サイズの星形を用いてマップポイント80Fをレンダリングする。
・プロセッサ42は、中サイズの星形(すなわち、小サイズの星形と大サイズの星形との間)を用いてマップポイント80Eをレンダリングする。
【0044】
医療処置中、医療専門家30は、ディスプレイ48上のマップ46のズームレベルを設定するために、入力装置50を操作し、それによってディスプレイ上のマップポイント80のサイズを変更することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ42は、マップポイント80のベース直径(又は半径)を定義し、マップポイントそれぞれのベース直径の各倍数を割り当て得る。
図4に示す例を参照すると、プロセッサ42は、ベース直径を有する星形としてマップポイント80Fを提示し、ベース直径の75%を有する星形としてマップポイント80Eを提示し、ベース直径の50%を有する星形としてマップポイント80Dを提示し得る。したがって、医療専門家が異なるズームレベルを選択すると、プロセッサ42は、直径の異なるマップポイント80を提示するが、マップポイントの各直径に比例する長さを維持することができる。
【0045】
異なるサイズの楕円/円及び星形としてマップポイント80を提示することに加え、プロセッサ42は、他のタイプの視覚効果を使用して、異なる密度を有する領域84にマップポイント80を提示し得る。異なる密度を有する領域84にマップポイント80を提示するため、プロセッサ42は、複数の視覚効果を定義し、それぞれの視覚効果を密度の各範囲に割り当て、ディスプレイ48上で、各計算された密度に基づいた各視覚効果を用いてポイント80を(すなわち、マップ46上で)レンダリングし得る。
【0046】
第1の実施形態では、プロセッサ42は、異なる色を使用してマップポイント80を提示し得る。例えば、プロセッサ42は、密集領域84に青色のマップポイント80を提示し、疎領域84に赤色のマップポイント80を提示し得る。第2の実施形態では、プロセッサ42は、異なる形状を使用して、マップポイント80を提示し得る。例えば、プロセッサ42は、密集領域84に三角形のマップポイント80を提示し、疎領域84に正方形のマップポイント80を提示し得る。第3の実施形態では、プロセッサ42は、マップポイント80を提示するとき、異なる視覚効果を使用し得る。例えば、プロセッサ42は、密集領域84に非点滅のマップポイント80を提示し、疎領域84に点滅するマップポイント80を提示し得る。
【0047】
比較工程74において、サイズ設定もレンダリングもされていない追加のマップポイント80がある場合、この方法は工程64に続く。この方法は、全てのマップポイント80が、上述の実施形態を用いてサイズ設定及びレンダリングされた場合に終了する。
【0048】
上に述べた実施形態は例として挙げたものであり、本発明は上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書の上文に記載された様々な特徴の組み合わせ及び部分組み合わせの両方、並びに前述の説明を一読すると、当業者が想起すると思われる、先行技術に開示されていないそれらの変形及び改変を含む。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
プロセッサによって、表面上の複数のポイントの各座標を受信することと、
ディスプレイ画面上で前記表面の画像をレンダリングすることと、
前記複数のポイントのうちの所定のポイントごとに、前記所定のポイントを囲む領域内の前記ポイントの密度を計算し、前記ディスプレイ画面上で、前記計算された密度と逆関係にあるポイントサイズを用いて前記表面上の前記所定のポイントをレンダリングすることと、を含む、方法。
(2) 前記所定のポイントを囲む前記領域内の前記ポイントの前記密度を計算することが、前記領域内の前記ポイントの数をカウントすることを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記領域内の前記所定のポイントの前記密度を計算することが、前記複数のポイントから、前記所定のポイントに最も近い更なるポイントを識別し、前記所定のポイントと前記更なるポイントとの間の距離を決定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記表面が、2次元表面又は3次元表面を含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記3次元表面が、体腔内の組織を表現し、前記各座標を受信することが、前記体腔内に挿入された医療用プローブから前記各座標を受信することを含む、実施態様4に記載の方法。
【0050】
(6) 前記体腔が心臓を含み、前記組織が心臓内組織を含み、前記医療用プローブが心臓カテーテルを含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記所定のポイントをレンダリングすることが、前記ディスプレイ上で、円、楕円、及び星形からなる群から選択される形状を使用して、前記所定のポイントを提示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記所定のポイントを囲む前記領域内の前記ポイントの前記密度を計算することが、前記所定のポイントの前記座標に対応する中心を有する中心と、指定の長さを有する半径と、を含む球体として、それぞれの所定の領域を画定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 複数の視覚効果を定義し、前記視覚効果のそれぞれを前記密度の各範囲に割り当て、前記ディスプレイ上で、前記計算された密度に基づいた所定の視覚効果を用いて、前記表面上の前記所定のポイントをレンダリングすることを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 装置であって、
ディスプレイ画面と、
プロセッサであって、
表面上の複数のポイントの各座標を受信し、
前記ディスプレイ画面上で前記表面の画像をレンダリングし、かつ、
前記複数のポイントのうちの所定のポイントごとに、前記所定のポイントを囲む領域内の前記ポイントの密度を計算し、前記ディスプレイ画面上で、前記計算された密度と逆関係にあるポイントサイズを用いて、前記表面上の前記所定のポイントをレンダリングするように構成されている、プロセッサと、を含む、装置。
【0051】
(11) 前記プロセッサが、前記領域内の前記ポイントの数をカウントすることによって、前記所定のポイントを囲む前記領域内の前記ポイントの前記密度を計算するように構成されている、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記プロセッサが、前記複数のポイントから、前記所定のポイントに最も近い更なるポイントを識別し、前記所定のポイントと前記更なるポイントとの間の距離を決定することによって、前記領域内の前記所定のポイントの前記密度を計算するように構成されている、実施態様10に記載の装置。
(13) 前記表面が、2次元表面又は3次元表面を含む、実施態様10に記載の装置。
(14) 前記3次元表面が、体腔内の組織を表現し、前記プロセッサが、前記体腔内に挿入された医療用プローブから前記各座標を受信することによって、前記各座標を受信するように構成されている、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記体腔が心臓を含み、前記組織が心臓内組織を含み、前記医療用プローブが心臓カテーテルを含む、実施態様14に記載の装置。
【0052】
(16) 前記プロセッサが、前記ディスプレイ上で、円、楕円、及び星形からなる群から選択される形状を使用して、前記所定のポイントを提示することによって、前記所定のポイントをレンダリングするように構成されている、実施態様10に記載の装置。
(17) 前記プロセッサが、前記所定のポイントの前記座標に対応する中心を有する中心と、指定の長さを有する半径と、を含む球体として、それぞれの所定の領域を画定することによって、前記所定のポイントを囲む前記領域内の前記ポイントの前記密度を計算するように構成されている、実施態様10に記載の装置。
(18) 前記プロセッサが、複数の視覚効果を定義し、前記視覚効果のそれぞれを前記密度の各範囲に割り当て、前記ディスプレイ上で、前記計算された密度に基づいた所定の視覚効果を用いて、前記表面上の前記所定のポイントをレンダリングするように構成されている、実施態様10に記載の装置。
(19) プログラム命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、命令が、コンピュータによって読み込まれると、前記コンピュータに、
表面上の複数のポイントの各座標を受信させ、
ディスプレイ画面上で前記表面の画像をレンダリングさせ、かつ、
前記複数のポイントのうちの所定のポイントごとに、前記所定のポイントを囲む領域内の前記ポイントの密度を計算し、前記ディスプレイ画面上で、前記計算された密度と逆関係にあるポイントサイズを用いて、前記表面上の前記所定のポイントをレンダリングさせる、コンピュータソフトウェア製品。