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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】疎水性カプセル
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/06 20060101AFI20231023BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A24D3/06
A24D3/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018566553
(86)(22)【出願日】2017-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 IB2017053871
(87)【国際公開番号】W WO2018011660
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-06-10
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】62/360,923
(32)【優先日】2016-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ギュイヤール オーレリアン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァナン ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディル イヴ
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】間中 耕治
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-546400(JP,A)
【文献】国際公開第2016/063181(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
A24D 3/04
A24D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品(10,100)で使用するためのカプセル(120)であって、
液体感覚促進材料と、
前記液体感覚促進材料を囲むシェルであって、前記シェルはゼラチンからなり、前記シェルの外側表面(230)と共有結合した疎水性基によって疎水性にされる前記外側表面(230)を有する、シェルと、を含む、カプセル(120)。
【請求項2】
前記疎水性基が、ハロゲン化物脂肪酸を前記シェルの前記外側表面上のペンダントヒドロキシル基と反応させることによって、前記シェルの前記外側表面と共有結合されて、それにより、脂肪酸エステル部分を形成する、請求項に記載のカプセル(120)。
【請求項3】
前記共有結合が、多糖類のヒドロキシル基と前記ハロゲン化物脂肪酸との間にある、請求項に記載のカプセル(120)。
【請求項4】
前記ハロゲン化物脂肪酸が脂肪酸塩化物である、請求項またはに記載のカプセル(120)。
【請求項5】
前記脂肪酸塩化物が、パルミチン酸クロリド、ステアロイル酸クロリド、ベヘン酸クロリド、またはパルミチン酸クロリドおよびステアロイル酸クロリドの混合物である、請求項に記載のカプセル(120)。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載のカプセル(120)と、前記カプセル(120)の下流のエアロゾル形成基体(20)と、を備える、喫煙物品(10)。
【請求項7】
前記喫煙物品(10)がマウスピース(50)を備え、前記マウスピース(50)が前記カプセル(120)を備える、請求項に記載の喫煙物品(10)。
【請求項8】
前記マウスピース(50)が、フィルター材料を備え、前記カプセル(120)が、前記フィルター材料内に埋め込まれる、請求項に記載の喫煙物品(10)。
【請求項9】
前記物品(10)が、前記エアロゾル形成基体(20)を加熱するが燃焼しないように構成される、請求項のいずれか1項に記載の喫煙物品(10)。
【請求項10】
液体感覚促進材料および前記液体感覚促進材料を囲むシェルを含むカプセル(120)を製造するための方法であって、前記カプセル(120)は喫煙物品(10,100)で使用するためのカプセルであり、前記シェルが、ゼラチンからなり、疎水性外側表面(230)を有し、前記方法は、
前記シェルの外側表面(230)上の反応基をハロゲン化物脂肪酸と反応させることを含む、方法。
【請求項11】
前記カプセル(120)の前記シェルの前記外側表面上の前記反応基が、ヒドロキシル部分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ハロゲン化物脂肪酸が、前記ヒドロキシル部分と反応して、脂肪酸エステル部分を形成する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙物品で使用するためのカプセルであって、疎水性になるように処理される、カプセル、ならびに疎水性に処理されたカプセルを含むフィルター、マウスピースおよび喫煙物品に関連する。
【背景技術】
【0002】
フィルター紙巻たばこは一般的に、紙ラッパーで囲まれたたばこカットフィラーのロッドと、包まれたたばこロッドと端と端を接して整列され、チッピングペーパーによってたばこロッドに取り付けられた円筒形フィルターとを備える。従来的なフィルター紙巻たばこでは、フィルターは、多孔性のプラグラップ内に包まれた酢酸セルローストウのプラグから構成しうる。主流煙の粒子状およびガス状構成要素を除去するために濾過材料の二つ以上のセグメントを備える複数構成要素フィルターを有するフィルター紙巻たばこも知られている。
【0003】
たばこなどのエアロゾル形成基体が燃焼式ではなく加熱式である数多くの喫煙物品も、当業界で提案されてきた。加熱式喫煙物品では、エアロゾルはエアロゾル形成基体の加熱によって生成される。公知の加熱式喫煙物品には、例えばエアロゾルが電気的加熱によるか、または可燃性燃料要素または熱源からエアロゾル形成基体への熱の伝達によって生成される喫煙物品が含まれる。喫煙中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物が冷めるにつれて凝結してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。また、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン供与源から、燃焼することなく、また一部の場合には加熱することなく、例えば化学反応によって生成される、喫煙物品も知られている。
【0004】
喫煙中に消費者に追加的な風味を提供するために、風味剤添加物を喫煙物品に組み込むことが知られている。風味剤は、喫煙物品内のたばこ材料の加熱または燃焼に際して発生するたばこの風味を高めるため、またはミントまたはメントールなどの追加的な非たばこ風味を提供するために、使用されてもよい。
【0005】
喫煙物品で使用されるメントールなどの風味剤添加物は、一般的に好適な液体担体を使用して喫煙物品のフィルターまたはたばこロッドの中に組み込まれる液体風味剤の形態である。多くの場合、液体風味剤は揮発性があり、従って、保存中に喫煙物品から移動または蒸発する傾向がある。従って、喫煙中に主流煙に風味を与えるために利用できる風味剤の量が減少する。
【0006】
例えば、カプセルまたはマイクロカプセルの形態での風味剤の封入を通した、保存中の喫煙物品からの揮発性風味剤の損失の減少が以前提案された。例えば構造の圧潰または溶融によって封入構造を破壊して開けることによって、喫煙物品の喫煙前または喫煙中に封入された風味剤を放出することができる。このようなカプセルが粉砕されて風味剤が放出される場合、カプセルは特定の力で破壊され、その力で風味剤を放出する。
【0007】
カプセルを組み込む多くの喫煙物品では、カプセルは、主流煙内に見出される湿潤剤、水およびその他の化合物、または喫煙物品を通り抜けるエアロゾル、またはカプセルの周囲の湿気もしくは水分を吸収しうる。吸収された液体は、カプセルの構造的完全性を減少し、風味剤の故意でない漏出またはカプセルの破壊を引き起こしうる。
【0008】
したがって、高湿条件下で故意でない漏出または破壊を起こしにくい、新奇な壊れやすいカプセルを提供することが望ましい。例えば、喫煙物品が高湿潤レベル、高い含水量を含み、または高湿環境で保存される時に機械的に安定したカプセルを有する、喫煙物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第一の態様によると、喫煙物品で使用するためのカプセルは、液体感覚促進材料と、液体感覚向上材料を囲むシェルと、を含む。シェルは、疎水性にされる外側表面を含む。外側表面は、シェルの外側表面に疎水性基を共有結合することによって、疎水性にされることが好ましい。疎水性基は、その脂肪酸部分またはエステルを含むことが好ましい。
【0010】
本発明の別の態様によれば、喫煙物品は、疎水性にされるカプセルを備える。カプセルは、エアロゾル形成基体の下流で喫煙物品内に組み込まれうる。
【0011】
本発明のさらに別の態様において、疎水性の外側表面を有するカプセルを製造するための方法は、カプセルの表面上の反応基をハロゲン物化脂肪酸と反応させることを含む。反応基は、ペンダントヒドロキシル部分を含むことが好ましい。ハロゲン化物脂肪酸は、ヒドロキシル部分と反応して、脂肪酸エステル部分を形成することが好ましい。
【0012】
喫煙物品内の疎水性カプセルは、煙内の水もしくは湿潤剤、または喫煙物品を通り抜けるエアロゾルをより少なく吸収しうる。結果として、カプセルの過早破裂の可能性または故意でない漏出もしくは破壊が減少されうる。同様に、喫煙物品が高湿環境(例えば、喫煙物品が3週間、2ヶ月、3ヶ月、もしくは6ヶ月より長いような長期間保存された時に、70%、80%、90%、95%、99%より大きい相対湿度である、またはこうした条件の組み合わせ)に保存される時、または喫煙物品が、例えば、エアロゾル発生基体内に高含水率または高湿潤率を含む時、カプセルの過早破裂の可能性または故意でない漏出もしくは破壊が減少されうる。
【0013】
本発明のカプセルは、疎水性になるように処理され、したがって、一定の状況下で、疎水性になるように処理されていないカプセルよりも機械的に安定しうる。したがって、疎水性であり、かつ機械的に安定したカプセルは、クリックに対する耐性、破壊における距離、破壊のために圧縮された時の触覚および可聴感覚、ならびに早期の破壊または漏出に対する耐性などの、それらの性能特性のうち一つ以上を維持することがより可能でありうる。
【0014】
任意の適切なカプセルは、本開示の教示に従って疎水性でありうる。カプセルは、液体組成物を封入する外側シェルを含むことが好ましい。液体組成物は、感覚促進剤を含みうる。本明細書で使用される場合、「備える」という用語は、含む、を意味するが、一つ以上の列挙された構成要素に限定されない。「から成る」、および「から本質的に成る」は、用語「含む」に包摂されることが理解されるであろう。したがって、感覚促進剤を含む液体組成物は、感覚促進剤から本質的に成る、またはそれから成る液体組成物でありうる。
【0015】
カプセルは様々な物理的な構成で形成されてもよいが、これには単一部分から成るカプセル、複数部分から成るカプセル、単一壁から成るカプセル、複数壁から成るカプセル、大型カプセル、および小型カプセルなどが含まれるが、これに限定されない。
【0016】
カプセルのシェルは任意の適切な材料から形成されうる。例えば、シェルは、デンプンエステルおよびエーテル(具体的には、デキストリンおよびマルトデキストリン)などの分解された、または化学的にもしくは物理的に修飾されたデンプンなどのデンプン、ゼラチン、コラーゲン、キトサン、レシチン、ゲランガム、寒天、アガロース、アルギン酸、アルギネート、カラギーナン、ペクチン、アラビアガム、ガティガム、プルランガム、カードラン、マンナンガム、インルニン、キサンタンガム、修飾された、および非修飾のセルロース(より詳細には、例えば、セルロースアセテート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロースエステルおよびエーテル)、ならびにポリアクリレート、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンのうち一つ以上を含むポリマーなどの合成膜材料、を単独で、またはそれらの混合物として含みうる。シェルは、シェルの総乾燥質量の約1.5重量%~約100重量%、約4重量%~約75重量%、または約20重量%~約50重量%などの、任意の適切な量の一つ以上の材料を含有してもよい。
【0017】
シェルは一つ以上の充填剤をさらに含んでもよい。本明細書で使用される場合、「充填剤」は、シェル内の乾燥材料の割合を増やすもしくは減らすことができる、またはシェルの粘弾性特性を変えることができる任意の適切な材料(可塑剤など)である。シェル内の乾燥材料の量を増やすことで、シェルを凝固し、シェルを変形に対して物理的により抵抗力のあるものにすることができる。充填剤は、デンプン誘導体(デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン(アルファ、ベータ、もしくはガンマ)など)、またはセルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)など)、ポリビニルアルコール、ポリオール、またはそれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。シェル内の充填剤の量は一般的に、シェルの総乾燥質量の約25%~約95%、約40%~約80%、または約50%~約60%などの98.5%以下である。
【0018】
カプセルは、例えば、公開された国際特許出願WO2006/136197の表題「SMOKING DEVICE INCORPORATING BREAKABLE CAPSULE, BREAKABLE CAPSULE AND PROCESS FOR MANUFACTURING SAID CAPSULE」で記述されるように形成されうる。WO2006/136197は、とりわけ、シェルがシェルの総重量の1.5~50重量%の量のジェランを含みうることを記述する。別の方法として、カプセルは、例えば、公開された国際特許出願WO2010/146845の表題「SOFT CAPSULE AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR」で記述されるように形成されうる。別の方法として、カプセルは、とりわけ、シェルがポリ酢酸ビニルを含むことを記述するUS2017/0055569に記述されるように形成されてもよい。別の方法として、カプセルは、例えば、EP0389700A1、US4,251,195、US6,214,376、WO2003/055587またはWO2004/050069に記述されるように調製されてもよい。
【0019】
カプセルは、フィルム形成ポリマーで被覆された微細に分散された液体または固相を含みうる。ポリマーは、例えば、乳化およびコアセルベーションまたは界面重合の後に、封入されるように材料に付着されうる。別の方法として、液体感覚促進剤は、一つ以上のフィルム形成ポリマーで被覆されうるマトリクス内に吸収されうる。
【0020】
シェルは、シェルの外側表面に一つ以上のペンダントヒドロキシル部分を備える、またはシェルの外側表面に一つ以上のペンダントヒドロキシル部分を含むように処理されることが好ましい。ペンダントヒドロキシル部分は、一つ以上の親水コロイド、一つ以上の充填材またはその両方によって提供されうる。さらに、または別の方法として、シェルは、一つ以上のヒドロキシル基を提供する一つ以上の添加剤を含みうる。シェルの外側表面にペンダントヒドロキシル部分を形成するための適切な処理は、プラズマ処理またはコロナ処理を含む。ヒドロキシル基の濃度または密度は、シェルの組成またはシェルの処理のタイプもしくは範囲を制御することによって、制御されうる。
【0021】
カプセルは、シェルの外側表面を疎水性にするために任意の適切な様式で処理されうる。カプセルは、シェルの外側表面に疎水性基を共有結合するように処理されることが好ましい。疎水性表面は、疎水性基を含む任意の適切な試薬(複数可)と表面を反応させることによって形成されうる。疎水性基は、シェルの外側表面に、またはシェルの外側表面上のペンダントプロトン供与性基に共有結合されることが好ましい。例えば、疎水性基は、シェルの外側表面のペンダントヒドロキシル基に共有結合されうる。
【0022】
シェルの外側表面の部分と疎水性試薬との間の共有結合は、シェルの外側表面上に疎水性材料の被覆を単に配置するよりもしっかりとシェルに付着した疎水性基を形成しうる。
【0023】
疎水性試薬は、アシル基または脂肪酸基を含みうる。アシル基または脂肪酸基またはその混合物は、飽和でも不飽和でもよい。試薬中の脂肪酸基(ハロゲン化物脂肪酸など)は、シェルのヒドロキシル基などペンダントプロトン供与性基と反応して、例えば、脂肪酸とシェルとの間のエステル結合などの共有結合を形成できる。本質的に、ペンダントヒドロキシル基とのこれらの反応により、セルロース系材料をエステル化できる。
【0024】
アシル基または脂肪酸基は、C10-C30アルキル(10~30個の炭素原子を有するアルキル基)、C12-C24アルキル(14~24個の炭素原子を有するアルキル基)を含み、またはC16-C20アルキル(16~20個の炭素原子を有するアルキル基)を含むことが好ましい。一部の実施例では、カプセルは、二以上の長さの脂肪酸を含む部分と共有結合するように修飾される。当業者であれば、本明細書で使用される場合、「脂肪酸」という用語が、12~30個の炭素原子、14~24個の炭素原子、16~20個の炭素原子を含むか、または15、16、17、18、19、または20個を超える炭素原子を有する長鎖の脂肪族、飽和または不飽和の脂肪酸を意味することを理解する。様々な実施形態で、疎水性試薬は、アシルハロゲン化物、例えばパルミチン酸(C16)クロリド、ステアロイル酸(C18)クロリドまたはベヘン酸(C22)クロリドを含む脂肪酸塩化物などのハロゲン化物脂肪酸、またはその混合物を含む。例えば、疎水性試薬は、パルミチン酸クロリドとステアロイル酸クロリドの混合物を含みうる。脂肪酸塩化物とシェルの外側表面のペンダントヒドロキシル基との間の反応は、結合した脂肪酸エステル部分と塩酸をもたらす。
【0025】
疎水性部分を含む試薬は、任意の適切な様式でシェルに結合されうる。例えば、シェルは、試薬に関して適切な時間で適切な温度で試薬を含む蒸気に露出されて、シェル上の反応基と反応しうる。例えば、ペンダントヒドロキシル基を含むシェルを有するカプセルは、約2分~約10分間、約80℃~約100℃の温度でハロゲン化物脂肪酸を含む蒸気に露出されて、エステル結合を介して脂肪酸部分を表面に付着しうる。蒸気は、蒸気で濃縮された窒素気流などの適切なガス流に運ばれうる。
【0026】
別の方法として、疎水性部分を含む試薬は、適切な溶剤に溶解されてもよく、溶剤は、適切な温度および適切な時間で、例えば、シェルへの浸漬、吹き付け、印刷、または他には接触によって塗布されて、シェル上のペンダント反応部分と反応しうる。試薬は、任意の適切な溶剤に溶解されうる。ハロゲン化物脂肪酸に関して、溶剤は、アセトンまたはアセトニトリルなどの非プロトン極性溶剤であることが好ましい。
【0027】
別の実施例では、疎水性部分を含むある量の試薬が溶剤なしで、例えば表面上に20マイクロメートルの規則的な間隔を置いた円を形成する試薬の小滴などで、制御された温度でシェルの表面に付着されうる。試薬の蒸気張力を制御することにより、脂肪酸とシェルとの間のエステル結合の形成の拡散により反応の伝搬を促進でき、一方で連続的に未反応の酸塩化物が取り除かれる。シェルのペンダントヒドロキシル基のエステル化は、一部の実例において、シェルの表面上のペンダントヒドロキシル基とアシルハロゲン化物(例えば、脂肪酸塩化物を含むアシルクロリドなど)との反応に基づく。疎水性試薬を加熱するために使用できる温度は、試薬の化学的性質に依存し、ハロゲン化物脂肪酸では約120°C~約180°Cの範囲である。しかし、使用できる温度は、カプセルのシェルの性質によって制限されうる。いくつかの好ましい実施形態では、反応温度は、約80°C~約100°Cの範囲である。
【0028】
疎水性カプセルは、ハロゲン化物脂肪酸などの脂肪酸基を含む試薬をカプセルのシェル上のペンダントヒドロキシル基と反応させることによって形成され、それにより、カプセルの疎水性表面が形成されることが好ましい。疎水性脂肪酸アシル基は、ハロゲン化物脂肪酸(例えば、塩化物など)をシェル上のペンダントヒドロキシル基と反応させることによってシェルの表面に付着されて、カプセルの疎水性表面が形成されうる。ハロゲン化物脂肪酸は、液体状のハロゲン化物脂肪酸をブラシ、ローラー、または吸収性または非吸収性のパッドなどの固体サポートに載せた後、固体サポートをカプセルの表面と接触させることにより加えられうる。ハロゲン化物脂肪酸は、印刷技術(グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット、ヘリオグラフィなど)によって、ハロゲン化物脂肪酸を含む液体の吹き付けによって、湿潤によって、またはその中への浸漬によっても塗布されうる。塗布工程は、一様または不等なパターンの疎水性領域をカプセルの表面上に形成する不連続な島状の試薬を配置できる。ラッパー上の疎水性領域の一様または不等なパターンは、少なくとも約100個の不連続な疎水性の島、少なくとも約500個の不連続な疎水性の島、少なくとも約1000個の不連続な疎水性の島、または少なくとも約5000個の不連続な疎水性の島で形成されうる。不連続な疎水性の島は円形、長方形または多角形など、有用な任意の形状を有しうる。不連続な疎水性の島は有用な任意の平均横寸法を有しうる。多くの実施形態で、不連続な疎水性の島は5~100マイクロメートルの範囲、または5~50マイクロメートルの範囲の平均横寸法を有する。表面上に塗布された試薬の拡散を助けるために、ガス流も適用できる。米国特許公開第20130236647号に記載されたものなどの装置およびプロセスが疎水性カプセルの製造に使用でき、その全体を参照し本明細書に組み込む。
【0029】
一部の実施形態では、加熱されたハロゲン化物脂肪酸またはその他の適切な疎水性試薬の流れは、カプセルのベッドにわたって流れて、それにより、例えば、脂肪酸塩化物をカプセルの表面上のヒドロキシル基と反応させることによって、疎水性試薬をカプセルに移植しうる。一部の実施形態では、流れの温度は70℃~170℃である。反応温度は、とりわけ、疎水性試薬の蒸気圧およびシェルの完全性が損なわれる温度のうち一方または両方に依存しうることが理解されよう。カプセルのベッドは、加熱された疎水性試薬の流れに加える前に適切な温度で加熱することによって、あらかじめ調製されてもよく、またはあらかじめ調製されなくてもよい。
【0030】
ハロゲン化物脂肪酸などの疎水性試薬は、窒素または空気などのキャリアガスによって運ばれうる。流れの流量は、一定であってもよく、または変化してもよい。例えば、流量は、短い継続時間で高流量に分散される場合と比較して長い継続時間で低く、それにより、カプセルの浮遊を可能にしうる。疎水性試薬は、カプセルを含む柱部の下部に置かれうる、吸い取り紙上に置かれてもよい。キャリアガスは、柱部を通じて流れて、FACがカプセルと相互作用することを引き起こしうる。キャリアガスは、柱部への導入の前に予熱されてもよい。追加的に、または別の方法として、疎水性試薬は、例えば、水浴内で加熱されてもよく、疎水性試薬の加熱された蒸気は、カプセルを含む柱部内への導入のためにキャリアガスと相まってもよい。キャリアガスは、疎水性試薬蒸気と相まる前に予熱されてもよい。
【0031】
いずれの場合(吸い取り紙または熱生成された疎水性試薬蒸気)でも、ガスは、例えば、キャリアガス流を介して柱部から吐き出されて、反応が脂肪酸塩化物と表面ヒドロキシル部分との間にある場合、塩酸などの反応副産物を可能にしうる。
【0032】
移植の後に、カプセルは、受動的に冷却されることが可能とされ、または段階的な冷却を受けてもよい。段階的に冷却することは、柱部にカプセルを露出して、加熱された空気、窒素または水蒸気の温度を連続的に低減することを伴いうる。例えば、加熱された空気、窒素または水蒸気の温度は、20℃ずつ冷却されてもよく、または各連続的な冷却段階で任意のその他の適切な段階的な温度で減少されてもよい。
【0033】
一部の実施形態では、カプセルは、石油エーテルなどの適切な溶剤における、ハロゲン化物脂肪酸などの適切な疎水性試薬と接触してもよく、カプセルの表面に試薬を移植するために適切な温度および時間でオーブン内で、またはヒートガンを用いて加熱されてもよい。カプセルが加熱されて、試薬の移植を可能にする時間は、長期間の加熱がカプセルの完全性または性能を損ないうる場合、制限されうる。疎水性試薬で被覆されたカプセルは、好ましくは約2分~約20分、より好ましくは約4分~約8分の間加熱される。疎水性試薬、溶剤(用いられる場合)およびカプセルの性質に依存して、加熱は、約70℃~約170℃であってもよい。
【0034】
カプセルは、球状、楕円形または円筒形など、任意の適切な形状を有しうる。しかし、カプセルは球状であることが好ましい。これは、球形度の値が少なくとも約0.9であるカプセルを含む場合があり、球形度の値はおよそ1であるのが好ましい。球形度は、物体がどれだけ球状であるかの尺度である。定義上、物体の球形度(ψ)は、所定の物体と同じ堆積を有する球形の表面積のその物体の表面積に対する比率である。完全な球形の球形度の値は1である。一般に球状のカプセルは、一般に球状の外側シェルを備えるのが好ましい。
【0035】
カプセルは、任意の適切な感覚促進剤を含んでもよい。適切な感覚促進剤は風味剤および感覚剤を含む。適切な風味剤には、天然または合成のメントール、ハッカ、スペアミント、コーヒー、お茶、スパイス(シナモン、クローブおよびショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、リュウゼツラン、ビャクシン、アネトール、リナロオールおよびそれらの任意の組み合わせを含む。特に好ましい風味剤はメントールである。
【0036】
壊れやすいカプセル中の感覚促進剤の濃度を調節または変更して、望ましい量の感覚促進剤を提供することができる。従って、各カプセル内の感覚促進剤の濃度は同じにすることもでき、または望ましい感覚的結果に応じて変更することができる。
【0037】
カプセルの直径は約2mm~約7mmであることが好ましく、約3mm~約5mmであることがさらに好ましい。一部の好ましい実施形態で、カプセルの直径は約3.5mmである。別の方法として、カプセルは、例えば、約1mm未満の直径を有するマイクロカプセルであってもよい。例えば、マイクロカプセルは、約0.01mm~約1mの直径を有しうる。
【0038】
カプセルのシェルは任意の適切な厚さを有しうる。マイクロカプセルは、割合大きいカプセルよりも薄いシェルを有しうる。約2mm以上の直径を有するカプセルに関して、カプセルが製造中の力に耐えられるだけの十分高い固有破裂強度を提供するために、シェルの厚さは少なくとも30ミクロンが好ましく、少なくとも50ミクロンがより好ましい。
【0039】
本発明の喫煙物品で使用されうる壊れやすいカプセルの例には、粉砕可能なカプセル、熱により破裂可能なカプセル、直径が0.3mm~1.0mmのマイクロカプセル、または直径が1.0mm~7.0mmのマイクロカプセル、およびこれに類するものなど、機械的に壊れやすいカプセルが含まれる。壊れやすいカプセルは、粉砕可能なカプセルであることが好ましい。本明細書で使用される粉砕可能なカプセルは、約0.01kp~約5kpの粉砕強度を有するカプセルであり、約0.5kp~約2.5kpの粉砕強度を有するカプセルであることが好ましい。カプセルの粉砕強度を、1つのカプセルに対して破裂するまで垂直方向に連続的に負荷をかけることによって測定することができる。カプセルの粉砕強度は、容量25kg、最小変位0.02kg、精度+/-0.15%のLLOYD-CHATILLON Digital Force Gauge、Model DFIS 50を使用して測定することができる。フォースゲージはスタンドに取り付けることができ、カプセルは、手動のスレッドねじ装置を用いて上方に移動させるプレートの中央に位置付けることができる。その後、手動で圧力をかけることができる。ゲージは、カプセルが破裂する瞬間にかけられた最大の力を記録する(例えば、kgまたはLbの単位で測定)。カプセルの破裂によって、コアの内容物が放出される。
【0040】
カプセルを特徴付けるためのさらなる方法には、破壊の前にカプセルが耐えることのできる、例えば、ニュートンの単位で測定される最大圧縮力である粉砕力が含まれ、また破壊時の圧縮によるカプセルの寸法の変化(すなわち変形)である破壊時の距離が含まれる。また、例えば、カプセルの寸法(例えば、カプセルの直径)と、破壊点まで圧縮された時に圧縮力の方向で測定されたカプセルの寸法との間の比で表現することもできる。圧縮は一般的に、自動または手動の圧縮試験機の圧縮プレートによって、床に向かってかけられる。こうした機械は当業界で周知であり、また市販されている。
【0041】
好ましい実施形態において、喫煙物品に導入する前のカプセルの粉砕強度は、約0.6kp~約2kpであり、約0.8kp~約1.2kpであることが好ましい。喫煙物品に導入して喫煙試験にかけた後のカプセルの粉砕強度は約0.6kp~約2kpであることが好ましく、約0.8kp~約1.2kpであることがより好ましい。別の方法として、カプセルは、喫煙物品内への導入の前に、約10.0N~約25.0N、好ましくは約11N~約18N、より好ましくは約12.0N~約16.0Nの範囲の粉砕力値を有する。圧縮試験機は、10mm/分~420mm/分の速度範囲で動作しうる。約4mm~約7mmの範囲の直径における直径のカプセルに関して、喫煙物品内への導入の前のカプセルは、約0.60mm~約0.80mm、好ましくは約0.74mmの破壊における距離を示しうる。一般的には、インストロンまたはその同等物のような100Nの引張ロードセルを装備した汎用引張/圧縮試験機が、約0.6kp~約2kp、好ましくは約0.8kp~約1.2kpの範囲で約30mm/分で作動する時に、破壊における上記の粉砕力(クリックへの抵抗としても知られている)および距離は得られる。放出要素は、約17N、好ましくは約14Nの破壊に対する最大抵抗を有することが好ましい。一般的には、インストロンまたはその同等物のような100Nの引張ロードセルを装備した汎用引張/圧縮試験機が、60%の相対湿度下で、約30mm/分かつ22℃で作動する時に、破壊に対する上記の最大抵抗は得られる。手動試験機の一例は、Alluris Type FMI-220C2-Digital Force Gauge 0-200N(供給元:Alluris GmbH&Co.)である。
本開示で記載される一つ以上のカプセルは、任意の適切な様式で喫煙物品内に組み込まれうる。カプセルは、喫煙物品のフィルターまたはマウスピースの中に組み込まれるのが好ましい。
【0042】
「マウスピース」という用語は本明細書で使用される時、消費者の口と接するように設計されている喫煙物品の部分を示す。マウスピースは、チッピングラッパーなどの外側ラッパーの範囲によって画定されうる。一部の実例において、マウスピースは、喫煙物品の口側の端から約40mm延びた、または喫煙物品の口側の端から約30mm延びた喫煙物品の部分として画定されうる。マウスピースはフィルターを含みうる。
【0043】
カプセルは、フィルターの中に組み込まれるのが好ましい。カプセルは、酢酸セルローストウ、ポリ乳酸(PLA)、または紙などのフィルター材料内に包埋されることが好ましい。例えば、フィルターは、風味含有の壊れやすいカプセルを紙巻たばこのフィルターの中に組み込む方法と類似する方法で、フィルター材料内に包埋することができる。
【0044】
別の方法として、カプセルは、フィルター内の空隙またはくぼみ内に置かれうる。例えば、カプセルは、それらの間にカプセルを含むくぼみを画定する上流セグメントおよび下流セグメントによる、プラグ空間プラグ構成におけるくぼみ内に置かれうる。一部の実施形態では、フィルターは、くぼみの上にある窓部を提供する透明のラッパーを含む。このことは、消費者がくぼみ内のカプセルを見ることを可能にしうる。これは、カプセルが視覚的指標を有し、カプセルが壊れたことを消費者が確証できる場合に、特に有利でありうる。
【0045】
本開示で記載されるようなカプセルを含むフィルターまたはマウスピースは、たばこロッドなどのロッドに取り付けられて、喫煙物品のすべてまたは少なくとも一部分を形成しうる。フィルターまたはマウスピースはロッドと軸方向に整列されることが好ましい。多くの実施形態では、フィルターはチッピングペーパーでたばこロッドに結合される。
【0046】
カプセルを含むフィルターまたはマウスピースは、任意の適切な喫煙物品に組み込まれうる。本明細書において「喫煙物品」という用語は、紙巻たばこ、葉巻たばこ、シガリロおよびたばこなどの喫煙可能材料が点火され、燃焼されて煙を生成するその他の物品を示すために使用される。「喫煙物品」という用語はまた、ニコチンを含むエアロゾルがエアロゾル形成基体(例えば、たばこ基体またはその他のニコチン含有基体など)を燃焼することなく熱により生成される、エアロゾル発生物品を含み、ニコチンを含むエアロゾルが、例えば、化学反応または粉末の吸入によって、エアロゾル形成基体を燃焼または加熱することなく生成される、エアロゾル発生物品を含む。
【0047】
喫煙に適した材料またはエアロゾル形成基体は、たばこのロッドを含むことが好ましい。本開示のために、「喫煙に適した材料」および「エアロゾル形成基体」は互換的に用いられる。ロッドは、細かく切られたたばこ、またはたばこカットフィラーで形成されてもよく、または再構成たばこまたはキャストリーフたばこ、または両方の混合物を含みうる。エアロゾル形成基体は、端と端をつないだ関係でマウスピースに接続されうる。
【0048】
加熱式喫煙物品の一実施例は、一つ以上の電気発熱体により加熱されてエアロゾルを生成する、エアロゾル発生基体を含む。別のタイプの加熱式喫煙物品では、エアロゾルは、可燃性の熱源または化学的な熱源から、熱源の内部、周囲、または下流に位置しうる物理的に分離されたエアロゾル発生基体に熱を移動することにより生成される。
【0049】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は加熱式喫煙物品、または紙巻たばこ、葉巻たばこ、シガリロではない、あるいはたばこ基体を燃焼させずに煙を発生させる喫煙物品を意味する。本発明による喫煙物品は、完全な組み立てられた喫煙装置でもよく、または例えば加熱式喫煙装置もしくはエアロゾル発生物品の消耗品など、エアロゾルを発生させるために組み立てられた装置を提供する目的で1つ以上のその他の構成要素と組み合わせられる喫煙装置の構成要素でもよい。
【0050】
一般に、エアロゾル発生装置は、熱源と、エアロゾル形成基体(たばこ基体など)と、エアロゾル形成基体の下流にある少なくとも一つの空気吸込み口と、少なくとも一つの空気吸込み口と物品の口側端との間に延びる気流経路とを備える。熱源はエアロゾル形成基体の上流にあることが好ましい。数多くの実施形態において、熱源はエアロゾル発生装置と一体型であり、消費可能なエアロゾル発生物品はエアロゾル発生装置内に開放できる形で受けられる。
【0051】
熱源は、可燃性熱源、化学的熱源、電気的熱源、ヒートシンクまたはそれらの任意の組み合わせでもよい。熱源は電気的な熱源でもよく、エアロゾル形成基体に挿入できるブレードの形態であることが好ましい。別の方法として、熱源はエアロゾル形成基体を囲むように構成してもよく、またそのようなものとして、中空円筒の形態、またはその他の任意の適切な形態でもよい。別の方法として、熱源は可燃性熱源である。本明細書で使用される時、可燃性熱源は、使用時にそれ自体が燃焼して熱を発生させる熱源であるが、これは紙巻たばこ、葉巻きたばこまたはシガリロとは異なり、喫煙物品内のたばこ基体の燃焼は関与しない。こうした可燃性熱源は、炭素、および金属過酸化物、超酸化物、または硝酸塩などの点火補助剤を備えることが好ましく、ここで金属はアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。
【0052】
カプセルは、喫煙物品の電気発熱体によりある程度十分に加熱されて、エアロゾル発生基体を燃焼することなくエアロゾルを生成するように構成される、エアロゾル形成基体を含む喫煙物品のマウスピース内に組み込まれることが好ましい。喫煙物品は、マウスピースとエアロゾル発生基体との間にエアロゾル冷却要素および支持要素を含みうる。例えば、エアロゾル発生物品は、国際(PCT)特許出願公開WO2013/098405で説明されるようなエアロゾル発生物品でありうる。
【0053】
加熱式喫煙物品またはエアロゾル発生物品で使用されるたばこ基体またはその他のエアロゾル発生基体は一般的に、紙巻たばこなどの燃焼式喫煙物品よりも高いレベルの湿潤剤(複数可)を含む。適切な湿潤剤は、当技術分野において知られており、糖アルコール、糖ポリオール、ポリマーポリオール、グリコール、尿素、およびアルファ-ヒドロキシ酸を含む。例えば、湿潤剤には、グリセロール、グリセロールトリアセテート、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール(PEG400およびPEG600などのPEG)、ポリオキシエチレン、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、およびポリデキストロースが含まれうる。
【0054】
各種の実施形態で、たばこ基体またはエアロゾル形成基体は、高レベルの湿潤剤を有する。本明細書で使用される時、高レベルの湿潤剤は、乾燥質量で約10重量%を超える含量を意味し、約15重量%を超えるのが好ましく、約20重量%を超えるのがより好ましい。たばこ基体またはエアロゾル形成基体はまた、乾燥質量で約10重量%~約30重量%、約15重量%~約30重量%、または約20重量%~約30重量%の湿潤剤またはエアロゾル形成体の含量を有しうる。
【0055】
本発明の一つの態様に関連して上述した特徴は、本発明の別の態様にも適用されうる。
【0056】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を有する。本明細書で提供した定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0057】
「上流」および「下流」という用語は、たばこ基体エアロゾル発生基体から引き出され、マウスピースを通過する時の主流煙またはエアロゾルの方向に関連して説明された喫煙物品の要素間の相対的位置を意味する。
【0058】
本明細書で使用される「主流煙」という用語は、紙巻たばこなどの可燃性喫煙物品により発生した煙、および上述した通り不燃性喫煙物品により発生したエアロゾルを示す。主流煙は喫煙物品を通過して流れ、ユーザーによって消費される。
【0059】
「疎水性」という用語は水をはじく属性を示す表面を意味する。カプセルが本開示に従う疎水性であるかどうかを決定するために、定められた条件下で定められた期間を通じてカプセルによって吸収された水の量と未処理のカプセルが比較されうる。処理されたカプセルがより少ない水を吸収する場合、カプセルは、未処理のカプセルよりも疎水性であるとみなされうる。例えば、Cobb水吸収試験(ISO535:1991)は、カプセルによって吸収された水の量を決定するためにカプセルに加えるように変更されうる。
【0060】
「破裂強度」という用語は、(喫煙物品の外側に存在する時に)カプセルが破裂する、カプセルに加えられる力を指す。破裂強度はカプセルの力・圧縮曲線のピークで示される。これは、AllurisタイプFMI-220 C2デジタル力ゲージ0-200N(ドイツのAlluris Gmbh&Co.KGから市販されている)など、当業界で公知の適切な測定装置を使用して試験されうる。
【0061】
「カプセルの直径」という用語は、フィルターまたは喫煙物品の長手方向に直角をなして測定した時のカプセルの最長断面寸法を指す。
【0062】
単数形(「一つの」および「その」)は本明細書および添付した請求の範囲で使用される場合、複数形の対象を有する実施形態を含蓄するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0063】
「または」という用語は、本明細書または添付した請求の範囲で使用される場合、その内容によって明らかに別途定められていない限り、「および/または」を含めた意味で一般的に使用される。
【0064】
本明細書で使用される「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含まれる(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは制約のない意味で使用され、一般的に「含むが、これに限定されない」を意味する。「から本質的に成る」、「から成る」、およびこれに類する用語は、「含む」およびこれに類するものに包摂されることが理解されるであろう。
【0065】
「好ましい」および「好ましくは」という語は、ある一定の状況下である一定の利益をもたらしうる本発明の実施形態を言及する。ただし、同一またはその他の状況下で、その他の実施形態もまた好ましいものでありうる。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗に意味するものではなく、請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外するものではない。
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1図1は、喫煙物品の一実施形態の斜視概略図であり、この場合において、紙巻たばこは、ラッパーで巻かれていない。
図2図2は、カプセルを含むマウスピースを備える喫煙物品の一実施形態の概略断面図である。
図3図3は、疎水性部分を疎水性表面に移植するための反応の一実施形態を示す概略図である。
図4】疎水性に処理された(右)および未処理の(左)カプセルのそれぞれの表面上に水滴を置いた数分後のカプセルの写真である。
図5】漏出した着色剤の量を測定するための紫外線吸収結果を示す図である。
図6】表7の結果を示すグラフ形状において示す図である。
図7】カプセルごとの漏出頻度のプロットを示す図である。
図8】「クリックに対する音響」の結果を示す図である。
【0067】
図1に示した喫煙物品100は、一般的に円筒形のたばこロッド101の形態のエアロゾル形成基体と、一般的に円筒形のフィルター103の形態のマウスピースと、を含む。たばこロッド101およびフィルター103は端と端が接した関係で軸方向に配置されており、互いに隣接することが好ましい。たばこロッド101は喫煙材料を囲む外側ラッパー105を含む。たばこは細かく切られたたばこであるか、またはたばこカットフィラーであることが好ましい。フィルター103はフィルター材料を囲むフィルターラッパー(非表示)を含む。たばこロッド101は上流の点火側の端109と下流端111を有する。フィルター103は上流端113および下流の口側の端115を有する。フィルター103の上流端113は、たばこロッド101の下流端111と隣接している。液体風味剤を含む壊れやすいカプセル120は、フィルター103のくぼみに配置される。
【0068】
フィルター103は、フィルター103の全長およびたばこロッド101の隣接した領域を囲むチッピング材料117によって、たばこロッド101に取り付けられている。明確にするために、チッピング材料117は、図1では喫煙物品から部分的に取り外された状態で示されている。この実施形態で、チッピング材料117はフィルター穿孔123の円周列も含む。穿孔123は主流煙の換気のために提供される。
【0069】
図2は、好ましい実施形態に従う喫煙物品10を示す。エアロゾル発生物品10は、エアロゾル形成基体20、支持要素30、エアロゾル冷却要素40およびマウスピース50という、同軸に整列して配置される4つの要素を含む。これらの4つの要素は、連続して配列され、および外側ラッパー60によって取り囲まれ、エアロゾル発生物品10を形成する。物品10は近位または口側の端70を有し、ユーザーは使用中にその端を自身の口の中に挿入し、遠位端80は口側の端70に対して喫煙物品10の反対側の端に位置する。液体風味剤を含む壊れやすいカプセル120は、マウスピース50に配置される。
【0070】
使用時に空気は、ユーザーによって喫煙物品10を介して遠位端80から口側の端70に引き出される。また、喫煙物品の遠位端80は喫煙物品10の上流端と説明されてもよく、喫煙物品10の口側の端70は喫煙物品10の下流端と呼ばれてもよい。口側の端70と遠位端80の間に位置する喫煙物品10の要素は、口側の端70の上流にあると記述、または別の方法として、遠位端80の下流にあると記述することができる。
【0071】
エアロゾル形成基体20は、喫煙物品10の最端の遠位端または上流端に位置する。図2に図示した実施形態において、エアロゾル形成基体20は、ラッパーによって取り囲まれる捲縮され均質化したたばこ材料シートの集合体を含む。均質化されたたばこ材料の捲縮したシートはエアロゾル形成剤としてグリセリンを含む。
【0072】
支持要素30はエアロゾル形成基体20のすぐ下流に位置し、エアロゾル形成基体20に隣接する。図2に示した実施形態において、支持要素は中空のセルロースアセテートチューブである。支持要素30は、それがエアロゾル発生装置の発熱体によって貫通されることができるように、喫煙物品10の最端の遠位端80にてエアロゾル形成基体20を位置する。さらに下に記述するように、支持要素30は、エアロゾル発生装置の発熱体がエアロゾル形成基体20に挿入される時に、エアロゾル形成基体20がエアロゾル冷却要素40の方へ喫煙物品10内に下流へと押し込まれるのを防ぐように働く。支持要素30はまた、喫煙物品10のエアロゾル冷却要素40をエアロゾル形成基体20から間隔を置くためのスペーサーとして働く。
【0073】
エアロゾル冷却要素40は支持要素30のすぐ下流に位置し、支持要素30に隣接する。使用時、エアロゾル形成基体20から放出される揮発性物質は、喫煙物品10の口側の端70に向かって、エアロゾル冷却要素40に沿って通過する。揮発性物質は、エアロゾル冷却要素40内で冷めて、ユーザーが吸入するエアロゾルを形成してもよい。図2に図示した実施形態において、エアロゾル冷却要素は、ラッパー90によって取り囲まれたポリ乳酸の捲縮したシートの集合体を含む。ポリ乳酸の捲縮したシートの集合体は、エアロゾル冷却要素40の長さに沿って延在する複数の長手方向経路を画定する。
【0074】
マウスピース50はエアロゾル冷却要素40のすぐ下流に位置し、エアロゾル冷却要素40に隣接する。図2に示す実施形態で、マウスピース50は低濾過効率の酢酸セルローストウフィルターなどの従来のフィルター材料を含む。
【0075】
喫煙物品10の外側ラッパー60の遠位端部分は、チッピングペーパーの帯によって取り囲まれうる(図示せず)。
【0076】
図2に図示した喫煙物品10は、ユーザーによって消費されるために発熱体を含むエアロゾル発生装置と係合するように設計される。使用において、エアロゾル発生装置の発熱体は、エアロゾルを形成するのに十分な温度まで喫煙物品10のエアロゾル形成基体20を加熱し、これがエアロゾル発生物品10を介して下流に引き出され、ユーザーによって吸入される。ユーザーは、マウスピース50を圧搾して、カプセル120を破壊し、物品10の消費の間の任意の所望の時間で風味剤を放出しうる。風味剤は、エアロゾルを運ぶ空気内に混入されてもよく、エアロゾルと共にユーザーにより吸入されうる。
【0077】
カプセルの疎水性表面200を疎水性表面230に変化させるための反応の実施例が図3に示される。疎水性表面200は、例示の実施形態においてペンダントヒドロキシル部分210を含む。脂肪酸塩化物(RCOCl)220の疎水性試薬は、ペンダントヒドロキシ部分210と反応して、ペンダント脂肪酸部分240を有する疎水性表面230を生成しうる。塩酸(HCl)250は、反応の副産物である。
【実施例
【0078】
実施例1:初期段階での概念実証
カプセルの表面の疎水性処理の効果を測定した。
【0079】
主にゼラチンから成るメントールコアおよびシェルを含むカプセルをV.Mane Fils(フランス)から入手し、それを石油エーテル(非プロトン極性溶剤)に溶解されたパルミチン酸クロリドおよびC16脂肪酸塩化物を含む溶液中に浸した。カプセルを短時間の浸漬の後に空気中で乾燥させ、その後、2~8分の間、80-100度のオーブン下に置いた。
【0080】
未処理の(V.Mane Filsから入手したような)および疎水性に処理されたカプセルを平らな面上に置いた。疎水性に処理された、および未処理のカプセルのそれぞれの表面上に水滴を置いた。水滴をカプセルに置いた数分後、カプセルの写真(図4)を撮った。図4では、未処理のカプセルは左にあり、疎水性に処理されたカプセルは右に示される。未処理のカプセルの壁の厚さは、いくつかの褶曲した厚さにより50~100マイクロメートルに増加した。数分後、疎水性に処理されたカプセルは、膨張することなく、また水滴は、平面上にその全体的な元の形状を維持していた。
【0081】
図4から明白であるように、カプセルの疎水性処理は、水に対する異なる反応をもたらした。処理は、処理されたカプセルにより吸収された水量が未処理のカプセルと比べて減少した点において効果的であった。
【0082】
実施例2:追加的な試験
I.材料および方法
A.C16脂肪酸塩化物の移植
ゼラチンおよび約2mm~約3mm(メントール)の直径を有するメントール含有コア[V.Mane Fils(フランス)]を含むシェルを有する球状のカプセル(「メントールカプセル」)、ならびにビスコパール(ビスコースから成り、約1mmの直径を有するおおよそ球状の物体)(Rengo)が、どの移植技術が疎水性シェルを有するカプセルを生成するのに十分に作用しうるかを定めるために3つの移植技術を用いて、パルミチン酸クロリド、およびC16脂肪酸塩化物(C16FAC)と融合された。移植は、FACをカプセルのシェルの表面上に存在するヒドロキシル基と反応させて、脂肪酸をシェルに共有結合させる。反応の副産物は、排出された塩酸である。
【0083】
採用された3つの移植技術を以下に略述する。
【0084】
1.オーブン
16FAC(2重量%)を溶剤(石油エーテル98%)内に加えることによって、試薬混合溶液を調製した。カプセルを数分間、試薬混合溶液に浸し、試薬混合溶液から取り出した。残留溶剤を数分間、室温でカプセルから蒸発させた。その後、カプセルをオーブン内に置き、以下の表1に示す時間で、850mbarの圧力および150℃の温度で、窒素流出下に保った、または以下の表1に示す時間で、150℃の温度で、大気条件下に保った。
【0085】
2.ヒートガン
16FAC(2重量%)を溶剤(石油エーテル98%)内に加えることによって、試薬混合溶液を調製した。カプセルを数分間、試薬混合溶液に浸し、試薬混合溶液から取り出した。残留溶剤を数分間、室温でカプセルから蒸発させた。以下の表1に示す時間で150℃の温度に設定したヒートガンをカプセルに向けることによって、C16FACをカプセル表面に融合した。
【0086】
3.蒸気相
上部に置かれたグリルを有するペトリ皿にC16FACを置いた。カプセルは、グリルの上部に置かれた。グリルおよびその上部にカプセルを有するペトリ皿は、乾燥器内に置かれ、それを以下の表1に示す時間で180℃でオーブン内に置いた。蒸気相試験の間、反応装置内でより迅速に150°Cに到達するようにオーブンを180°Cに設定した。
【0087】
【表1】
【0088】
B.C11脂肪酸塩化物の移植
メントールカプセルおよびビスコパールが、どの移植技術が疎水性シェルを有するカプセルを生成するのに十分に作用しうるかを定めるために3つの移植技術を用いて、C11脂肪酸塩化物(C11FAC)と融合された。移植は、脂肪酸塩化物をカプセルのシェルの表面上に存在するヒドロキシル基と反応させて、脂肪酸をシェルに共有結合させる。反応の副産物は、排出された塩酸である。
【0089】
採用された3つの移植技術を以下に略述する。
【0090】
1.オーブン
11FAC(2重量%)を溶剤(石油エーテル98%)内に加えることによって、試薬混合溶液を調製した。カプセルを数分間、試薬混合溶液に浸し、試薬混合溶液から取り出した。残留溶剤を数分間、室温でカプセルから蒸発させた。その後、カプセルをオーブン内に置き、以下の表2に示す時間で、850mbarの圧力および80℃の温度で、窒素流出下に保った、または以下の表2に示す時間で、80℃の温度で、大気条件下に保った。
【0091】
2.ヒートガン
11FAC(2重量%)を溶剤(石油エーテル98%)内に加えることによって、試薬混合溶液を調製した。カプセルを数分間、試薬混合溶液に浸し、試薬混合溶液から取り出した。残留溶剤を数分間、室温でカプセルから蒸発させた。以下の表2に示す時間で80℃の温度に設定したヒートガンをカプセルに向けることによって、C11FACをカプセル表面に融合した。
【0092】
3.蒸気相
上部に置かれたグリルを有するペトリ皿にC11FACを置いた。カプセルは、グリルの上部に置かれた。グリルおよびその上部にカプセルを有するペトリ皿は、吸い取り紙のリング上に置かれ、それを以下の表2に示す温度および時間でオーブン内に置いた。
【0093】
【表2】
【0094】
C.水への浸漬
融合したカプセルを水中に置き、それらの挙動を観察した。例えば、カプセルの全体的な外観に注目し、浮流するカプセルの割合に注目し、またメントールカプセルの変色までの時間に注目した。
【0095】
D.熱帯環境に置いた時の漸進的な重量増加の測定
38℃および90%の相対湿度に制御された環境(「熱帯環境」)に融合したカプセルを置き、所定の時間でそれらの質量を測定して、水分吸収により得られるそれらの重量を定めた。
【0096】
E.表面張力の測定
メントールカプセル上でのみ表面張力測定を実施した。ビスコパールのサイズが小さいことにより、ビスコパールについての表面張力測定は得れなかった。メントールカプセルを粘着テープを用いて小さなロッドに置き、60秒の継続時間で、慣習的なジオメトリー(3mmの直径および3mmの高さのシリンダー)および1.5mmの挿入深さで、Kruss装置を用いて試験を実施した。カプセルにより得られる水の絶対質量を測定した。実験は移植の効果を推定するように設計され、質量が低い場合、移植はより効果的であった。
【0097】
F.色漏出の測定
メントールカプセルから漏出した着色剤の量をUV-VIS分光測光法を用いて測定した。各サンプルに関して、蒸留水中の適切な分光光度測定セルに3つのカプセルを置き、1分後に286nmで吸光度を測定した。
【0098】
II.結果
以下のC16FAC試験からいくつかの観察が得られた。以下の表3(メントールカプセルに関する)および表4(ビスコパールに関する)にいくつかの初期段階での観察を示す。
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
全体的に、C16FACの移植は、上昇する浮遊およびより少ない色漏出などの水への反応に関して、C11FACの移植よりも効果的であることが観察された。
【0101】
カプセルは、長期間高温に露出された時に分解されることが観察された。80°Cでの場合でさえ、カプセルは、長時間露出されたままである時に分解された。
【0102】
38°Cおよび90% RHに置かれた融合されていないカプセルと融合したカプセルの重量増加の間に差は観察されなかった。
【0103】
水中にビスコパールを浸した結果を以下の表5に詳しく説明する。
【0104】
【表5】
11FACで処理されたすべてのビスコパールは、水中に置いた時に沈んだ。
【0105】
メントールカプセルに関して、水中のそれらの挙動は、浸漬の数秒後の着色剤の漏出により、数量化するのに容易であった。以下の表6は、異なる試験における着色剤の漏出に関して、秒で必要な時間を要約する。比較点に関して、融合されていないメントールカプセルは、水中における8秒後に着色剤の流出を始めた。
【0106】
【表6】
図5に示される紫外線吸収結果(漏出した着色剤の量を測定するための)は、前の観察、すなわちヒートガンを用いた移植または蒸気相における十分な長時間の移植が耐水性を向上する一方で、オーブンにおける移植は耐水性をわずかに向上することを確実にする。これらの条件に関して、着色剤は非常に緩やかに流出し、それは吸光度測定における低い値をもたらす。
【0107】
以下の表7は、経時的に測定された(条件ごとに2回の測定)質量を提供する。理論上、質量が低い場合に移植は良好である。
【0108】
【表7】
【表8】
図6は、グラフ形状において表7の結果を示す。示されるように、表面張力測定は、4分間ヒートガンを用いた移植およびオーブンにおける移植がカプセルによるより少ない水の吸収をもたらしたことを示唆していると思われる。
【0109】
表面張力測定のみから、オーブンにおける移植またはヒートガンを用いた移植が、蒸気相における移植よりもよい解決策であることを推論する。
【0110】
III.結論
結論において、脂肪酸部分をカプセルの表面へ共有結合することは、いくつかの技術によって達成されうる。例えば、純粋な試薬を用いた熱気流下で、かつ蒸気相における共有結合は、十分に作用すると思われる。これらの技術は、例えば、流体化されたベッドを使用することによるカプセルの表面への疎水性部分の工業規模の共有結合に関して、最適化され、改善され、かつスケールアップされうる。
【0111】
実施例3:知覚試験
メントールを含み、ゼラチンを含むシェルを有するカプセル(V. Mane Fils)(「メントールカプセル」)は、4つの異なるプロセスを用いて、メントールカプセルの表面にC16脂肪酸部分を融合するために、C16脂肪酸塩化物で処理された。プロセスは、一般的に、実施例2で上述した通りに実施され、それは、(i)8分間150°Cでのヒートガン処理、(ii)8分間150°Cでのオーブン処理、(iii)4分間150°Cでのオーブン処理、および(iv)4分間180°Cでの蒸気相処理を含む。
【0112】
捲縮したキャストリーフたばこのロッドを備える喫煙物品のプロトタイプのフィルターおよび酢酸セルローストウのセグメントを含むフィルター(HEETSTMと同様)にメントールカプセルを組み込んだ。9人のパネリストは、4回のセッションを通じて、各プロトタイプの3つの異なるサンプル(異なるプロセスを用いて処理されたカプセルを含む)を試験した。各セッションにおいて、パネリストは、同様の処理プロトコルを受けたメントールカプセルをそれぞれ含む、3つのプロトタイプを試験した。パネリストは、iQOSブランドのたばこ加熱装置を使用して処理されたメントールカプセルを含む喫煙物品を消費し、風味剤(ハッカ味の/清涼感)の漏出に関するそれらの知覚認知、カプセルを破壊した時の鈍いクリック音(「クリックに対する音響」)、および試験終了時の指の間のカプセル破壊の触感覚を提供した。
【0113】
香味の漏出に関する試験のために、パネリストは、喫煙物品を消費し(少なくとも10回の吸入)、ハッカアロマ、清涼感、またはハッカアロマと清涼感の両方を知覚したかどうかを評価することをパネリストに求めた。パネリストが知覚を認識した場合、知覚を認識した吸入の回数を示すことをパネリストに求めた。各動作の終了において、カプセルの破壊を試みて、パネリストがカプセル破壊の触感覚および音響を認識したこと、感覚だけを認識したこと(音響なし)、または何も認識しなかったこと(感覚なし、および音響なし)を伝えるようにパネリストに求めた。
【0114】
「クリックに対する音響」試験に関するパネリストのうちの1人からのデータは、そのパネリストがカプセルが位置する部分を押さなかったので、分析から取り除いた。
【0115】
結果を図7および図8に示す。図7において、カプセルごとの漏出頻度のプロットを示す。発生頻度が、試験されたプロトタイプごとに合計で27のサンプルに関する9人のパネリストの結果から算出された。図8において、「クリックに対する音響」の結果を示す。発生頻度が、試験されたプロトタイプごとに合計で24のサンプルに関する8人のパネリストの結果から算出された。
【0116】
図7に示すように、漏出発生頻度は、カプセル(i)および(iv)の両方に関して約90%である一方で、カプセル(ii)に関してのみ30%の漏出が観察され、カプセル(iii)に関しては漏出が観察されなかった。パネリストのコメントを見ると、彼らは3つのカプセル[カプセル(i)、(ii)および(iv)]が漏出を示したことを観察し、またパネリストは、きわめて低い度合いのハッカアロマまたは清涼感のみを知覚したことを言及した。汚染した全体的に釣り合わないサンプルを有しうる、カプセルが評価の前にすでに破壊され、またはすでに漏出していたことによって、カプセルのきわめてわずかな漏出、またはサンプルの汚染さえもが、評価の前に発生していたことが考えられる。さらなる分析が正当化される。
【0117】
図8の「クリックに対する音響」に関して、カプセル(i)、(ii)および(iii)は、約80%のサンプルが依然として動作の終了時に触感覚およびクリックに対する音響を誘発したというきわめて近接した結果を得た。カプセル(iv)に関して、高い割合のサンプルがクリックに対する音響がなく感覚のみを誘発した一方で、動作の終了時に感覚およびクリックに対する音響を維持する低い割合のサンプルを観察した。
【0118】
実施例4:破壊における距離およびクリックに対する耐性
上記の実施例2に記載したように、2%のC16脂肪酸塩化物とメントールカプセルを融合した。メントールカプセルの平均重量は、21.1mg(n=50)であった。メントールカプセルは、4分または8分の間、ヒートガンを用いて150℃で、オーブンにおける850mbarの圧力下で8分間150℃で、または蒸気相において150℃で処理された。
【0119】
クリックに対する耐性および破壊における距離を以下のように定めた。簡潔には、100N引張ロードセルを装備したインストロン汎用引張/圧縮試験機を用いた。150mmの直径を有する下側圧迫板、およびロードセルの容量に対して耐性であり、20mmの直径を有する上側圧迫板を用いた。下板の中央にメントールカプセルを置いた。約30mm/分で、メントールカプセルおよび下板の方に上板を下げた。60%の相対湿度下で22℃で試験を実施した。
【0120】
メントールカプセルおよび負荷(ニュートンにおいて、クリックに対する抵抗)と接触した後に上板が移動した距離(mmにおいて、破壊での距離)を測定した。カプセルが破壊された時に負荷の急な低下が発生した。
【0121】
結果を下の表8~表11に示した。
【0122】
【表9】
【0123】
【表10】
【0124】
【表11】
【0125】
【表12】
【0126】
結論
風味剤を含むカプセルおよび壊れやすいシェルが、脂肪酸部分を含む酸クロリドを用いた様々な方法および条件により処理されうることを結果は示す。処理されたカプセルは、水分に対して耐性があり、さらにそれらが破壊のために圧縮された時に多くのそれらの性能特性を保持する。
【0127】
上述の例示的な実施形態は限定するものではない。上述の実施形態と一貫性のあるその他の実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0128】
これによって、本明細書で引用した各特許、公開された特許出願、雑誌論文およびその他の公然と利用可能な情報は、本明細書で提示された開示に相反しない範囲でそのそれぞれの全体が参照によって本明細書に援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8