(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
F21S 41/47 20180101AFI20231023BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20231023BHJP
F21S 41/16 20180101ALI20231023BHJP
F21S 41/265 20180101ALI20231023BHJP
F21S 41/43 20180101ALI20231023BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20231023BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20231023BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20231023BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20231023BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231023BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20231023BHJP
【FI】
F21S41/47
F21S41/151
F21S41/16
F21S41/265
F21S41/43
G02B3/00 A
G02B5/00 B
H01L33/58
F21Y103:10
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019041268
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】向島 健太
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-123479(JP,A)
【文献】特開2011-171002(JP,A)
【文献】特開2011-169853(JP,A)
【文献】特開2014-041802(JP,A)
【文献】特開2018-060129(JP,A)
【文献】特開2007-230374(JP,A)
【文献】特開2004-220015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/47
F21S 41/151
F21S 41/16
F21S 41/265
F21S 41/43
G02B 3/00
G02B 5/00
H01L 33/58
F21Y 103/10
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
前記複数の光源の各々に、それぞれが対応するように配置され、対応する光源からの光を集光して、所定の仮想面上において対応する光源像を形成する、一体に形成された複数の第1のレンズと、
複数の
前記光源像の投影像を前方へと投影する第2のレンズと、
前記複数の第1のレンズにおいて、隣接する2つの第1のレンズ間に延在し、一方の第1のレンズを通過する光が、他方の第1のレンズに入射しないように遮光する遮光部材とを備え、
前記遮光部材と、前記複数の第1のレンズとは、2色成形により一体に形成され、
前記遮光部材は、前記第1のレンズの厚さ方向の、内部から後面側に向かって突出するように設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記遮光部材が、前記第1のレンズの後面側に向かって肉厚になる楔形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記遮光部材が、前記第1のレンズの後面側に向かって肉薄になる逆楔形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記遮光部材が、透過性を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに係り、より詳細には、複数の光源を備える光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の光源と、複数の光源の各々にそれぞれが対応するように設けられた複数のレンズを用いて、投影レンズの後方焦点面に複数の光源像を形成し、投影レンズにより前記複数の光源像の投影像を前方へ投影することにより、一体的な配光パターンを形成する車両用灯具用の光学ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
複数の光源と、複数のレンズを用いる光学ユニットでは、1つの光源から照射された光線が、対応するレンズ以外のレンズに入射して、意図しない配光が形成され、前走車にグレアを与えることになる虞がある。
【0004】
このため、特許文献1では、複数のレンズのうち隣り合う2つを仕切るように延在する仕切部材を設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、光源からの光を集光して、投影レンズの後方焦点面に光源像を形成するために設けられるレンズは、寸法が小さく、複数のレンズの間に仕切部材を設けた構成は、複雑で、部品点数が多く、組み付け作業が困難であるという問題があった。このため、組み付けの誤差が大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、複数の光源と複数のレンズとを用いながら、意図しない配光を防止可能で、しかも組付け誤差が小さい光学ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様に係る光学ユニットは、複数の光源と、前記複数の光源の各々に、それぞれが対応するように配置され、対応する光源からの光を集光して、所定の仮想面上において対応する光源像を形成する、一体に形成された複数の第1のレンズと、複数の前記光源像の投影像を前方へと投影する第2のレンズと、前記複数の第1のレンズにおいて、隣接する2つの第1のレンズ間に延在し、一方の第1のレンズを通過する光が、他方の第1のレンズに入射しないように遮光する遮光部材とを備え、前記遮光部材と、前記複数の第1のレンズとは、2色成形により一体に形成され、前記遮光部材は、前記第1のレンズの厚さ方向の、内部から後面側に向かって突出するように設けられている。
【0009】
上記態様によれば、複数の光源と,複数の第1のレンズを備える光学ユニットにおいて、隣り合う2つの第1のレンズの間に、遮光部材を設け、意図しない光源からの光が前方へ出射されないように構成したので、意図しない配光を防止できる。
【0010】
また、上記態様によれば、複数の第1のレンズを一体に形成し、さらに遮光部材と第1のレンズとを2色成形により一体に形成する。したがって、複数のレンズの組み付け、および複数のレンズと複数の遮光部材の組み付けを一度に行うことができるようになり、製造時間の短縮が可能となり、組み付け作業が簡便になる。また複数の第1のレンズ、複数の遮光部材が、それぞれ別部材であった場合に生じる組み付け誤差を低減することできる。
【0011】
上記態様において、前記遮光部材が、前記第1のレンズの後面側に向かって肉厚になる楔形状に形成されていることも好ましい。
【0012】
また、上記態様において、前記遮光部材が、前記第1のレンズの後面側に向かって肉薄になる逆楔形状に形成されていることも好ましい。
【0013】
また、上記態様において、前記遮光部材が、透過性を有する材料で構成されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記態様によれば、複数の光源と複数のレンズとを用いながら、意図しない配光を防止可能で、しかも組付け誤差が小さい光学ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る光学ユニットの側面図である。
【
図2】同光学ユニットが備える光源ユニットの分解斜視図である。
【
図4】(a)は、同光源ユニットの、
図3のIVA-IVA線に沿う断面図であり、(b)は、同光源ユニットの、
図3のIVB-IVB線に沿う断面図である。
【
図5】同実施の形態に係る第1のレンズを通過する光の光路を模式的に示す図である。
【
図6】同実施の形態に係る第1のレンズを通過する光の光路を模式的に示す図である。
【
図7】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る灯具ユニットが備える光源ユニットの、
図4(a)に相当する断面図であり、(b)は同光源ユニットの、
図4(b)に相当する断面図である。
【
図8】(a)は、同形態の1つの変形例に係る光源ユニットの、
図4(a)に相当する断面図であり、(b)は、
図4(b)に相当する断面図である。
【
図9】(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る灯具ユニットが備える光源ユニットの
図4(a)に相当する断面図であり、(b)は、
図4(b)に相当する断面図である。
【
図10】(a)は、本発明の第4の実施の形態に係る光学ユニットが備える、レンズモジュールの正面図であり、(b)は、同レンズモジュールの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述される全ての特徴およびその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0017】
以下の実施の形態の説明において、同一の構成要素、部材には同一の符号を付し、また、同等の機能を有する構成要素、部材には、同一の名称を付して、重複する説明は適宜省略する。また、前後左右等の方向は、特に言及しない限り、光学ユニットすなわち、光学ユニットを備える灯具を正面視した場合における方向を意味する。また、各図において、矢印Up-Loは上下方向を、矢印Le-Riは左右方向を、矢印Fr-Reは前後方向を示す。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る光学ユニット10の側面図である。該光学ユニット10は、車両用灯具に用いられる光学ユニットであり、例えば、車両用前照灯に用いられるものである。
【0019】
光学ユニット10は、主として、第2のレンズ12、後で詳述する複数の第1のレンズ30(
図2)を備える光源ユニット14、およびヒートシンク16を備える。
【0020】
第2のレンズ12は、透明樹脂で形成された投影レンズである、前側表面が凸面で、後側表面が平面の平凸非球面レンズである。第2のレンズ12は、その後方焦点面上に形成される光源像の投影像を反転像として灯具前方の所定の仮想面上に投影する。
【0021】
ヒートシンク16は、例えば、アルミニウム等の金属であり、前面が矩形の板状で、後部が冷却フィン16aを構成する形状に形成されている。また、ヒートシンク16の前面中央付近には、光源ユニット14を取り付けるためのネジ孔(図示せず)が4箇所設けられている。
【0022】
光源ユニット14は、
図2に示すように、後方から、矩形の基板18、レンズホルダ20、レンズモジュール22、および金属カバー24を備える。
【0023】
基板18の前面には、複数の光源26が、所定間隔離隔して実装されている。光源26としては、例えば、LED(Light・Emitting・Diode)やレーザダイオード等の発光素子で形成された、白色光を発する発光モジュールが採用されている。例えば、具体的には、光源26は、青色光を発する青色LEDを、青色光を黄色光に変換する蛍光体で覆うことによって構成されている。
【0024】
なお、図示の例において、4個の光源26a,26b,26c,26dが用いられているが、光源の数は4個に限られず、灯具の目的および必要に応じて適宜設定することができる。また、図示の例において、光源26は、等間隔で配置されているが、光源の間隔も、灯具の目的および必要に応じて適宜設定することができる。
【0025】
また、図示しないが、光源26は、基板18上に設けられた金属線の導電線によって、給電コネクタおよび制御コネクタにそれぞれ接続され、電源から給電されて制御装置の制御に基づいて、点消灯し、配光可変型車両用前照灯に利用される励起光源アレイを構成する。
【0026】
レンズホルダ20は、アルミニウムやステンレス鋼等の金属製で、横幅が基板18と同寸で、縦幅が基板18よりも短い、横長矩形の板状部材である。また、レンズホルダ20は、中央に複数の第1のレンズ30と対応する寸法の横長矩形の開口28を有する。レンズホルダ20は、レンズモジュール22を光源26から所定距離離隔して配置する。
【0027】
レンズモジュール22は、主として透明または半透明の樹脂で形成されたレンズ複合体であり、複数の第1のレンズ30を備える。レンズモジュール22は、外形が、正面視レンズホルダ20と合同な横長矩形の板状に形成されている。
【0028】
レンズモジュール22の中央には、複数の第1のレンズ30(30a,30b,30c,30d)が、長手方向に直列に一体的に形成されている。第1のレンズ30は、前側表面が凸面で、後側表面も凸面の両凸レンズであり、レンズモジュール22の周縁部に広がるベース部32から前後方向に突出するように形成されている。なお、各第1のレンズ30a,30b,30c,30dの前側表面および後側表面は、自由曲面を有する、正面視縦長の略楕円形状を有するレンズであるが、作図の便宜上、
図2においては正面視円形のレンズとして表している。
【0029】
金属カバー24は、アルミニウムやステンレス鋼等の金属製で、レンズモジュール22と同寸の横長矩形の板状部材である。また、金属カバー24の中央には、レンズモジュール22の複数の第1のレンズ30と対応する寸法の矩形の開口34が設けられている。
【0030】
金属カバー24の四隅には、それぞれネジ孔36が設けられている。また、レンズモジュール22、レンズホルダ20、基板18の、金属カバーの4つのネジ孔36に対応する位置には、それぞれ4つずつのネジ孔38,40,42が設けられている。
【0031】
光源ユニット14は、後方から、基板18、レンズホルダ20、レンズモジュール22および金属カバー24をこの順に重ね、前方から4本の取り付けネジにより、ヒートシンク16(
図1)の前面に設けられた4つのネジ孔(図示せず)にそれぞれネジ止めすることにより、ヒートシンク16前面に取り付けられている。光源ユニット14は、複数の光源26の中央を、第2のレンズ12の光軸X1(
図4)が通過するように配置される。
【0032】
ここで、レンズモジュール22の詳細な構造を、
図3,
図4を参照しながら説明する。
【0033】
図3は、光源ユニット14の正面図であり、
図4(A)は、光源ユニット14の、
図3のIVA-IVA線に沿う断面図、
図4(B)は、光源ユニット14の、
図3のIVB-IVB線に沿う断面図である。
【0034】
前述の通り、レンズモジュール22は、透明または半透明の樹脂で形成されたレンズ複合体である。材料の樹脂としては、例えば透明または半透明のシリコン樹脂が用いられる。あるいは、透明または半透明のメラミン樹脂、フェノール樹脂、またはエポキシ樹脂を用いてもよい。また、材料の樹脂は、高耐熱性であることが好ましい。
【0035】
図4(a)に示すように、複数の第1のレンズ30a,30b,30c,30dは、複数の光源26a,26b,26c,26dのそれぞれに対応するように配置されている。具体的には、複数の第1のレンズ30a,30b,30c,30dの光軸X2a,X2b,X2c,X2dが、それぞれ複数の光源26a,26b,26c,26dの中心を通過するように配置されている。
【0036】
複数の第1のレンズ30のうち、隣り合う2つの間には、遮光部材31(31a,31b,31c)が設けられている。
【0037】
遮光部材31は、水平断面が扁平な楕円形で、第1のレンズ30の上下方向の長さとほぼ同寸に上下方向に延びる扁平な楕円筒体であり、例えば着色したシリコン樹脂等の、遮光性樹脂で構成されている。遮光部材31は、複数の第1のレンズ30の厚さ方向の内部から、背面側に向かって突出するように設けられている。
【0038】
なお、本明細書において、用語「遮光性」とは、光線を完全に遮断することのみを言うのではなく、遮光部材に入射した光が意図しないレンズに入射した場合でも、グレア光が発生しない程度に、光を遮断することをいう。
【0039】
したがって、遮光性樹脂として、光を完全に遮断するものではなく、透過性を有するものを用いてもよい。このように、遮光部材31が、透過性を有すると、光エネルギーは吸収されづらくなり、遮光部材31の熱の発生が抑制されるので、レンズモジュールの変形等を防止できるので有利である。
【0040】
レンズモジュール22と、遮光部材31とは、2色成形により一体に形成されている。まず、1次金型により、第1のレンズ30およびベース部32を一体形成する。次に、2次金型に、遮光性樹脂を射出する。
【0041】
図5は、複数の第1のレンズ30a、30b,30c,30dを通過する光の光路を矢印で模式的に示す図である。実線矢印は光源26a,26b,26c,26dの上端から出射した光を、破線矢印は光源26(26a,26b,26c,26d)の下端から出射した光を示す。
【0042】
また、
図5は、
図4aと同一の断面図を示すが、断面をしめすハッチングは適宜省略している。また、第2のレンズ12の後方焦点面Yは、実際には曲面状に形成されているが、ここでは後方焦点面Yを、便宜上平面として図示している。また、説明の便宜上、光源26a,26b,26c,26dは拡大して表している。
【0043】
図5に示すように、複数の第1のレンズ30a,30b,30c,30dのそれぞれは、対応する光源26a,26b,26c,26dの出射光をそれぞれ集光し、後方焦点面Y上に、それぞれ互いに縁部が接して一列に並ぶ個別の光源像48a,48b,48c,48dを形成する。第2のレンズ12は、これらの個別光源像の投影像を灯具前方に投影し、一体的な配光パターンを形成する。
【0044】
図6は、本実施の形態に係る遮光部材31(31a,31b,31c)の機能を説明するために、代表として、光源26bから出射された光の光路を模式的に示す図である。光源26bの中央から出射される光を代表として矢印で示し、実線矢印は、実際の光の光路を示し、破線矢印は、遮光部材31がないと仮定した場合の光の光路を示す。
【0045】
詳細には、光源26bから出射された光はランバーシアン特性を示し、第1のレンズ30bに入射する。このため、対応する第1のレンズ30bの取り込み角の範囲外で、レンズモジュール22に入射する光50a,50bが存在するが、遮光部材31a,31bはこのような光を遮光して、特定の光源26bから出射された光が、意図しない第1のレンズ30a,30cに入射するのを防いでいる。
【0046】
したがって、遮光部材31の第1のレンズ30b内に延在する部分の長さd1は、第1のレンズ30bの中を進行する光が、隣接する第1のレンズ30a,30cに入射しないように設計される。また、長さd1は、光源26bからの光50cが遮光部材31bも入射しなかった場合に、さらに隣の第1のレンズ30dへの入射することを防止する長さに設計されていることも好ましい。
【0047】
また、遮光部材31の第1のレンズ後方へ突出する長さd2は、光源26bの光が隣接する第1のレンズ30a,30cへ入射するのを防止する長さに設計されている。
【0048】
なお、遮光部材31が存在しない場合は、第1のレンズ30bに入射した光は、破線で示すように、隣の第1のレンズ30a,30cを進行して灯具前方へ出射される。このことは、光源26bを点灯し、光源26a,26cを消灯している場合に、意図せずに光源26a,26cも点灯しているかのような配光パターンとなり、対向車にグレアを与える原因となる。本実施の形態において、遮光部材31を備えることによりこのような意図しない配光を防止し、対向車にグレアを与えるのを防止する。
【0049】
また、本実施の形態では、複数の第1のレンズをレンズモジュール22として一体に形成し、さらに遮光部材31と第1のレンズ30とを2色成形により一体に形成する。したがって、複数のレンズの組み付け、および複数のレンズと複数の遮光部材31の組み付けを一度に行うことができるようになり、製造時間の短縮が可能となり、組み付け作業が簡便になる。また複数の第1のレンズ30、複数の遮光部材31が、それぞれ別部材であった場合に起こる組み付け誤差を低減することができる。
【0050】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る光学ユニット100は、レンズモジュール122における遮光部材131を除き、第1の実施の形態に係る光学ユニット10と概略同一の構成を有する。
図7(a),
図7(b)は、光学ユニット100の光源ユニット114における、光源ユニット14の
図4(a),
図4(a)と対応する断面図である。遮光部材131(131a,131b,131c)は、第1のレンズ30の厚さ方向の、内部から後面側に向かって突出するように設けられ、第1のレンズ30の後面側に向かって肉厚になる楔形状に形成されている。すなわち、遮光部材131は、水平断面が、前面側頂点が鋭角の二等辺三角形で、上下方向が、少なくとも第1のレンズの上下方向の長さと同寸に延在する、扁平な三角柱状体である。
【0051】
このような形状とすると、レンズにおいて、遮光部材の占める部分が小さくなり、レンズ内部を通過する光を有効に利用することが可能となる。
【0052】
(変形例1)
本実施の形態の変形例として、
図8に示すように、遮光部材131A(131Aa,131Ab,131Ac)の形状が、水平断面が、レンズ内に延在する部分は、前面側頂点が鋭角の二等辺三角形で、レンズ後方に突出する部分が、前後方向に細長い半楕円形状を有していてもよい。第2の実施の形態に係る遮光部材131a,131b,131cを、2色
成形により、第1のレンズと一体に形成しようとした場合、遮光部材131a,131b,131cの後端部の幅が、第1のレンズ30との結合部分の幅よりも大きくなるため、2次金型の型開きは無理抜きすることになる。遮光部材131A(131Aa,131Ab,131Ac)の様に構成すれば、遮光部材131Aを無理抜きする必要がなく、製品の歩留まりを低下させることがない。
【0053】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る光学ユニット200は、レンズモジュール222における遮光部材231(231a,231b,231cを除き、第1の実施の形態に係る光学ユニット10と概略同様の構成を有する。
図9(a),
図9(b)は、光学ユニット200の光源ユニット214における、光源ユニット14の
図4(a),
図4(b)と対応する断面図である。遮光部材231は、第1のレンズ30の厚さ方向の、内部から背面側に向かって突出するように設けられ、第1のレンズ30の背面側に向かって肉薄になる逆楔形状に形成されている。すなわち、遮光部材231(231a,231b,231c)は、水平断面が、後方側頂点が鋭角の二等辺三角形で、上下方向が、少なくとも第1のレンズの上下方向の長さと同寸に延在する、扁平な三角柱状体である。
【0054】
レンズモジュール222と遮光部材231a,231b,231cを2色成形で形成した場合、材料が異なるため、小さいほうの部材(ここでは、遮光部材231)と、大きいほうの部材(ここではレンズモジュール22)との境界面が乖離して、小さいほうの部材が脱落する虞がある。しかし、遮光部材231のように構成すれば、遮光部材231、レンズ内部側がレンズ表面側のよりも幅広になっているため、遮光部材231の脱落するのを防止することができる
【0055】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る光学ユニット300は、レンズモジュール322、遮光部材331および光源ユニットの寸法を除き、第1の実施の形態に係る光学ユニット10と概略同様の構成を有する。
図10(a),
図10(b)に示すように、レンズモジュール322は、複数の第1のレンズ330を備える。複数の第1のレンズ330は、横方向に並置されるだけではなく、縦方向にも並置される、マトリクス状に、一体的に形成されている。
【0056】
レンズモジュール322の背面の、隣り合う2つの第1のレンズ330の間には、遮光部材31と同一の材料で構成される遮光部材331が、2色成形により、レンズモジュール322(複数の第1のレンズ330)と一体に形成されている。
【0057】
遮光部材331は、上下方向に延在する鉛直部331aと、左右方向に延在する水平部331bを有する。鉛直部331aと、水平部331bとは、遮光部材31と同様に、断面が扁平な楕円形状の、楕円柱状体であり、鉛直部331aと、水平部331bとを格子状に組み合わせた形状に形成することで、特定の光源から出射される光が、対応する第1のレンズと左右および上下方向に隣接する、意図しない第1のレンズに入射して、意図しない配光が生じるのを防止している。
【0058】
なお、複数の第1のレンズ330の配置および数は、必要に応じて設定可能であることは言うまでもない。このように、本実施の形態によれば、様々なレンズ配置に対応できるので、設計の自由度が高くなる。
【0059】
複数の第1のレンズ330と、遮光部材331とが別体である場合、第1のレンズ330の数が増加すると、部品点数が増え、組付け作業が煩雑になる。また、組付け誤差が大きくなる。本実施の形態では、第1のレンズ330と、遮光部材331とを一体に形成しているので、第1の実施の形態と同様に、レンズモジュール322を基板、レンズホルダ、および金属カバーと共にヒートシンク前面にネジ止めするだけで、光源ユニットを組み付けることができ、組み立て作業が簡便となり、組付け誤差が低減する。
【0060】
(他の変形例)
また、上記各実施の形態において、複数の第1のレンズは、それぞれ同じレンズを用いているが、それぞれの形状および大きさは適宜設計することができる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は実施の形態に限られず、本開示に基づく種々の変形又は修正が、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10,100,200,200A,300 光学ユニット
12 第2のレンズ
26(26a,26b,26c,26d) 光源
30(30a,30b,30c,30d),330 第1のレンズ
31(31a,31b,31c),131(131a,131b,131c),131A(131Aa,131Ab,131Ac),231(231a,231b,231c),331 遮光部材