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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】持続的バッチ注文履行
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20231023BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G06Q10/087
B65G1/137 F
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019127999
(22)【出願日】2019-07-10
(62)【分割の表示】P 2016533365の分割
【原出願日】2014-08-04
(65)【公開番号】P2019215879
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2019-08-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】61/863,406
(32)【優先日】2013-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008317
【氏名又は名称】マシューズ インターナショナル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダネルスキー、ダーリン
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】佐藤 智康
【審判官】中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-532888(JP,A)
【文献】特開2009-263018(JP,A)
【文献】特開2000-34004(JP,A)
【文献】特開2001-225913(JP,A)
【文献】国際公開第2006/067829(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文を履行するためにコンピュータにより実行される方法であって、
この方法は、注文管理デバイスに備えられたプロセッサが、
複数の注文と関連付けられた注文情報を受信する工程であって、各注文は複数のビンのうちの1つのビンに割り当てられている複数のユニットのうちの少なくとも1つのユニットを指し示すものである、注文情報を受信する工程と、
前記注文管理デバイスが、注文のバッチを、前記複数のビンを移動させるように構成されている自動注文調達デバイスに割り当てる工程と、
前記注文管理デバイスが、前記自動注文調達デバイスから、前記注文のバッチの少なくとも1つのリアルタイムの完了に応答する注文完了情報を受信する工程と、
前記注文管理デバイスが、前記注文完了情報を受信することに応答して、前記複数の注文から新しい注文を前記自動注文調達デバイスに割り当てる工程と
を有する、方法。
【請求項2】
前記新しい注文は、少なくとも1つの注文割当て因子に基づいて割当てられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの注文割当て因子は、移動コスト、注文ランク付け、先入れ先出し注文、ユニット特性、注文特性、及び顧客特性のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの注文割当て因子は、複数の重み付けされた注文割当て因子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記注文情報は、最小在庫管理単位(SKU)、無線周波数識別(RFID)情報、バーコード情報、位置情報、注文番号、及び異なる注文の間の距離のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記自動注文調達デバイスに関連する位置情報を受信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記注文情報及び前記位置情報に基づいて前記複数の注文のそれぞれについて移動コストを確定することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
新しい注文を割当てることは、最小移動コストを有する注文を割当てることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記自動注文調達デバイスは、カートまたはスレッドの少なくとも一方を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
バッチ注文履行システムであって、
注文管理デバイスに備えられたプロセッサと、
前記プロセッサと動作可能に通信状態にある非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備え、前記コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のプログラミング命令を含み、前記1つまたは複数のプログラミング命令は、実行されると、前記プロセッサが、
複数の注文と関連付けられた注文情報を受信する工程であって、各注文は複数のビンのうちの1つのビンに割り当てられている複数のユニットのうちの少なくとも1つのユニットを指し示すものである、前記注文情報を受信する工程と、
注文のバッチを、前記複数のビンを移動させるように構成されている自動注文調達デバイスに割り当てる工程と、
前記自動注文調達デバイスから、前記注文のバッチの少なくとも1つのリアルタイムの完了に応答する注文完了情報を受信する工程と、
前記注文完了情報を受信することに応答して、前記複数の注文から新しい注文を前記自動注文調達デバイスに割り当てる工程と
を行うようになっている、システム。
【請求項11】
前記新しい注文は、少なくとも1つの注文割当て因子に基づいて割当てられる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの注文割当て因子は、移動コスト、注文ランク付け、先入れ先出し注文、ユニット特性、注文特性、及び顧客特性のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの注文割当て因子は、複数の重み付けされた注文割当て因子を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記注文情報は、最小在庫管理単位(SKU)、無線周波数識別(RFID)情報、バーコード情報、位置情報、注文番号、及び異なる注文の間の距離のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のプログラミング命令を更に含み、上記1つまたは複数のプログラミング命令は、実行されると、前記プロセッサが、前記自動注文調達デバイスに関連する位置情報を受信するようにさせる、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のプログラミング命令を更に含み、上記1つまたは複数のプログラミング命令は、実行されると、前記プロセッサが、前記注文情報及び前記位置情報に基づいて前記複数の注文のそれぞれについて移動コストを確定するようにさせる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記新しい注文は、最小移動コストに基づいて割当てられる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
注文調達デバイスであって、
プロセッサと、
前記プロセッサと動作可能に通信状態にある非一時的コンピュータ可読記憶媒体と
を備え、前記コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のプログラミング命令を含むものであり、
前記1つまたは複数のプログラミング命令は、実行されると、前記プロセッサが、
複数の注文に関連付けられた注文情報を注文管理デバイスから受信することであって、各注文は複数のビンのうちの1つのビンに割り当てられている複数のユニットのうちの少なくとも1つのユニットを指し示すものである、前記注文情報を受信することと、
前記複数の注文のうちの1つの注文をリアルタイムで完了することに応答して、注文完了情報を前記注文管理デバイスに送信することと、
前記注文管理デバイスから新しい注文を受信し、前記新しい注文を前記複数の注文の残りの注文に追加することと
を行うようになっている、デバイス。
【請求項19】
前記注文完了情報は、注文識別子、ユニット情報、または前記注文調達デバイスの位置情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年8月7日に出願された米国仮出願第61/863,406号の利益を主張する。本出願は、2013年2月1日に出願された国際出願第PCT/US2013/024308号の継続出願である。これらの出願のそれぞれの内容は、本明細書において完全に述べられるかのように、参照によりその全体を本明細書に組込まれる。
【背景技術】
【0002】
多くの産業は、製品を格納し、消費者注文を履行するため倉庫及び配送センタに頼る。一例は、消費者直結(DTC:direct-to-consumer)市場であり、DTC市場において、消費者は、電子商取引ウェブサイトオペレータ等のベンダに個々の購入を発行し、電子商取引ウェブサイトオペレータは、その後、消費者に対する直接発送による注文履行のために配送センタに頼る。配送センタにおいて、作業者(「ピッカ(picker)」)は、一連の棚、ボックス、容器、または同様なもの等の格納システム(「ピックライン(pick line)」)から注文された製品を位置特定(「ピック(pick)」)し、製品をカート内に配置することができる。製品は、その後、包装され、ラベル付けされ、消費者に直接発送される。
【0003】
バッチピッキングは、一般に、一度に複数の注文をピックすることを含む。例えば、ピッカは、倉庫を通してモバイルカートを押して、複数の注文に関連する製品をピックすることができる。モバイルカートは、論理的歩行シーケンスでどこに行くべきかまた何をピックするかをピッカに指示することができるワイヤレス無線周波数(RF)通信要素等の一定の自動化特徴を含むことができる。複数の(「N」個の)注文をカートに割当てることができる。各注文は、例えば、注文された製品のサイズのまたは他の特性に基づいて、カート上の指定された位置を割当てられる場合がある。コントローラ(例えば、プロセッサ、コンピュータ、または同様なもの)は、注文を共に結合し、それらの注文を1つの大きな注文または「バッチ(batch)」にすることができる。
【0004】
カートは、バッチとして「N」個の注文を割当てられ、ピッカは、カートによって指示されるアイテムを歩行シーケンスでピックしながら、開始ポイントから終了ポイントまでピックラインを歩行することができる。ピックラインの長さが完了した後、「N」個の注文が完了する。ピッカは、その後、カートを空にすることができ、そのカートは、「N」個の新しい注文をリロードされる可能性があり、また、ピッキングプロセスを反復することができる。
【0005】
従来の注文履行システムにおいて、ピッカまたはカートは、一度に受信することができる有限のセットの注文を割当てられる(例えば、カートは3つの注文を保持することができるだけである場合がある)。例えば、ピッカは、それぞれの注文が、ピックされる複数のユニットを含む、第1、第2、及び第3の注文(すなわち、N=3)を割当てられる場合がある。ピッカは、ピックラインの開始ポイントで開始し、ピック経路の終了ポイントに向かってピック経路に沿って移動するにつれて、注文のセット内のユニットをピックする。第1、第2、及び第3の注文が完了すると、ピッカは、開始部に戻り、注文をアンロードし、例えば、第4、第5、及び第6の注文のために再びプロセスを反復することができる。ピッキングの2つの完了サイクルの終了において、ピッカは、ピックラインの周りを2回歩行した後、6個の注文を完了した。
【0006】
こうしたシステムの1つの制限は、より多くの注文が完了するにつれて、システムが徐々に効率的でなくなることである。例えば、ピッカが「N」個の注文で開始し、ルートに沿って進み、最終的に、注文のうちの1つの注文を完了する場合、バッチは、今や、N-1個だけの注文のバッチになる。ピッカ効率のこの低下が継続し、ついには、バッチは、ピックされる注文の残りのユニットを有する1個だけの注文を有する。そのため、ピック経路を通る1回の歩行の終了時に、ピッカは、最大「N」個の注文をピックしただけであった。
【0007】
ピッキングプロセスの効率は、倉庫アイテムを、そのピック体積に基づいて位置特定することによって改善することができる。例えば、ピックラインの始まりに近い所で、最も一般的にピックされるアイテムを配置することは、ピック経路全体を歩行する前に、「N」個の注文が完了し、それにより、ピッカが開始ポイントにより早く戻ることを可能にするという可能性を改善する場合がある。しかし、ピックラインの前部に体積の大きいアイテムを位置付けるプロセスは、時間がかかりかつ労働集約的であり、倉庫管理者は、適合的製品配置アレンジメントを維持するため在庫品をあちこち移動させることを要求される。
【0008】
したがって、注文の動的なセットを完了するために必要とされる時間及び労力を効果的かつ効率的に管理するように構成されるシステムが非常に有益であることになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、それらが変わる場合があるため、述べる特定のシステム、デバイス、及び方法に限定されない。説明において使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態だけを述べるためのものであり、その範囲を制限することを意図されない。
【0010】
本文書で使用するとき、単数形「一つ(a)」、「一つ(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の参照を含む。別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語及び科学的用語は当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本開示の何ものも、本開示で述べる実施形態が、従来の発明のせいでこうした開示に先んじる資格がないという承認として解釈されない。本文書で使用するとき、用語「備える(comprising)」は「含むが、それに限定されない(including,but not limited to) 」を意味する。
【0011】
一実施形態において、バッチ注文を履行するためのコンピュータ実装式方法は、プロセッサによって、複数の注文に関連する注文情報を受信すること、注文の完了に応答して注文調達デバイスから注文完了情報を受信すること、及び、注文完了情報を受信することに応答して、複数の注文から新しい注文を注文調達コンポーネントに割当てることを含むことができる。
【0012】
一実施形態において、バッチ注文履行システムは、プロセッサと、プロセッサと動作可能に通信状態にある非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備えることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のプログラミング命令を含むことができ、1つまたは複数のプログラミング命令は、実行されると、プロセッサが、複数の注文に関連する注文情報を受信し、注文の完了に応答して注文調達コンポーネントから注文完了情報を受信し、注文完了情報を受信することに応答して、複数の注文から新しい注文を注文調達コンポーネントに割当てるようにさせる。
【0013】
一実施形態において、注文調達デバイスは、プロセッサと、プロセッサと動作可能に通信状態にある非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備えることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のプログラミング命令を含むことができ、1つまたは複数のプログラミング命令は、実行されると、プロセッサが、注文調達デバイスに割当てられた複数の注文に関連する注文情報を注文管理デバイスから受信し、複数の注文からの1つの注文を完了することに応答して、注文完了情報を注文管理デバイスに送信し、注文管理デバイスから新しい注文を受信するようにさせる。
【0014】
一実施形態において、コンピュータ可読記憶媒体は、注文履行プロセスを実装するように構成されるコンピュータ可読プログラムコードを有することができる。コンピュータ可読プログラムコードは、複数の注文に関連する注文情報を受信し、注文の完了に応答して注文調達コンポーネントから注文完了情報を受信し、注文完了情報を受信することに応答して、複数の注文から新しい注文を注文調達コンポーネントに割当てるように構成されるコンピュータ可読プログラムコードを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】幾つかの実施形態によるバッチ注文履行の方法を示す図である。
図1B】幾つかの実施形態によるバッチ注文履行の方法を示す図である。
図1C】幾つかの実施形態によるバッチ注文履行の方法を示す図である。
図1D】幾つかの実施形態によるバッチ注文履行の方法を示す図である。
図1E】幾つかの実施形態によるバッチ注文履行の方法を示す図である。
図2】本明細書で述べる種々の方法及びプロセスを実装するためのコンピューティングデバイスの種々の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、それらが変わる場合があるため、述べる特定のシステム、デバイス、及び方法に限定されない。説明において使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態だけを述べるためのものであり、範囲を制限することを意図されない。
【0017】
本文書で使用するとき、単数形「一つ(a)」、「一つある(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の参照を含む。別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語及び科学的用語は当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本開示の何ものも、本開示で述べる実施形態が、従来の発明のせいでこうした開示に先んじる資格がないという許可として解釈されない。本文書で使用するとき、用語「備える」は「含むが、それに限定されない 」を意味する。
【0018】
図1A~1Eは、幾つかの実施形態による例証的な注文履行のシステムを示す。図1Aに示すように、注文履行システム(「システム」)は、注文履行システムのために1つまたは複数のユニット注文を有する複数の注文に関連する注文情報を管理するように構成される注文管理デバイス10を含むことができる。システムはまた、例えば、注文管理デバイス10から注文管理情報を受信するように構成される注文調達デバイスまたはピック注文デバイス20を含むことができる。例えば、注文は、本、DVD、または同様なもの等のメディア製品ユニットの注文を含むことができる。別の例において、注文は、シャツ等の衣服ユニットを含むことができる。幾つかの実施形態に従って動作することができる任意のタイプの製品、ユニット、及び/または注文が本明細書で企図されるため、実施形態は、任意の特定の注文及び/またはユニットに限定されない。
【0019】
一実施形態において、注文管理デバイス10及び/或は注文調達デバイスまたはピック注文デバイス20は、プロセッサ、プログラミング命令、1つまたは複数のアプリケーションに関するデータまたは情報を収容するための非一時的メモリまたは他の記憶デバイス、並びに、例えば、図2に示されまた図2を参照して以下で述べられる中央処理ユニット(CPU)205、読出し専用メモリ(ROM)210、ランダムアクセスメモリ215、通信ポート240、コントローラ220、及び/またはメモリデバイス225を含む他のハードウェアを一般に含むことができる論理デバイスを含むことができる。注文管理デバイス10及び/またはピック注文デバイス20は、限定することなく、サーバコンピューティングデバイス、パーソナルコンピュータ(PC)、キオスクコンピューティングデバイス、壁設置型コンピューティングデバイス、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、タブレットコンピューティングデバイス、或は、現在知られているかまたは将来開発される任意の他の論理及び/またはコンピューティングデバイス等のモバイルコンピューティングデバイスを含むことができる。注文管理デバイス10及びピック注文デバイス20は本明細書において別個のデバイスとして述べられるが、実施形態はそのように制限されない。例えば、幾つかの実施形態において、注文管理デバイス10及びピック注文デバイス20は、単一コンピューティングデバイス等の単一デバイスである場合がある。こうした実施形態において、注文管理デバイス10及びピック注文デバイス20は、別個の要素及び/または単一デバイスのハードウェア/ソフトウェア機能を含むことができる。別の例において、注文管理デバイス10は、ピック注文デバイス20内に設置されるかまたはピック注文デバイス20にその他の方法で接続されるコンピューティングデバイスである場合がある。
【0020】
注文管理デバイス10及び/或は注文調達デバイスまたはピック注文デバイス20(以降で「ピック注文デバイス」と呼ばれる)は、当業者に知られる種々の通信プロトコルを使用して通信するように構成することができる。通信プロトコルの例証的でかつ非制限的な例は、ワイヤード及びワイヤレス通信プロトコル、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi、赤外線、ブルートゥース(登録商標)、ユニバーサルシリアルバス(USB)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、及び/またはインターネットを含む。
【0021】
一実施形態において、注文管理デバイス10は、システムによって受信される注文に関連する注文情報を生成するように構成される注文管理アプリケーションを実行することができる。注文管理アプリケーションは、注文をピック注文デバイス20に割当て、ピック注文デバイスによってどのユニット及び/または注文がピックされたか等のステータス情報をピック注文デバイス20から受信するように構成することができる。注文管理アプリケーションは、最小在庫管理単位(SKU:stock keeping unit)、無線周波数識別(RFID:radio-frequency identification)情報、バーコード情報、位置、番号、異なるユニット位置間の距離、または同様なもの等の、システム内で入手可能なユニットまたは注文(例えば、製品)に関連するユニットまたは注文情報にアクセスするように構成することができる。こうして、注文管理アプリケーションは、注文情報に基づいて注文をピック注文デバイス20に割当てるように構成することができる。例えば、注文管理アプリケーションは、注文をピック注文デバイス20に割当てて、ピック注文デバイスに割当てられた現在の注文に基づいて注文を完了するためピック注文デバイスが移動しなければならない距離を最小にすることができる。
【0022】
注文管理アプリケーションは、限定することなく、移動距離及び/または時間(「移動コスト(travel cost)」)、ランダム割当て、注文ランク付け(例えば、どの注文が最初に完了される必要があるか)、先入れ先出し、ユニット特性(例えば、一般的なSKU番号)、注文特性(例えば、より大きな注文が最後、単一注文が最初、または同様なもの)、消費者特性(例えば、大きな体積の消費者が最初、最も長い発送距離が最初、または同様なもの)、注文を選択することに対して影響を及ぼす場合がある任意の他の因子、及び/またはその任意の組合せを含む、種々の因子(「注文割当て因子」)に基づいて、注文をピック注文デバイス20に割当てることができる。幾つかの実施形態において、注文割当て因子は、ピック注文デバイス20の手一杯レベルを含むことができる。例えば、注文調達デバイスが手一杯または実質的に手一杯である(例えば、それ以上のユニットまたは閾値数のユニットを保持できない)場合、注文は、完了した注文シーケンスの経路に隣接して及び/またはその経路に沿って割当てることができる。
【0023】
幾つかの実施形態において、注文管理アプリケーションは、注文割当て因子に重みまたは優先度を割当てるように構成することができる。幾つかの実施形態において、注文管理アプリケーションは、例えば、注文及び/またはバッチの現在のセットを考慮して、注文割当て因子及び注文割当て因子の任意の重み付けまたは優先順位付けに基づいて新しい各注文またはバッチを動的に評価し、相応して注文を割当てるように構成することができる。
【0024】
幾つかの実施形態において、ピック注文デバイス20は、注文を完了するためピッカがピックライン25の周りを歩行するときに、ピッカによって使用されるデバイスを含むことができる。例えば、ピック注文デバイス20は、ディスプレイコンポーネント上に注文情報を表示するように構成されるモバイルコンピューティングデバイスを含むことができる。幾つかの実施形態において、ピック注文デバイス20は、ピックライン25の周りでトラック、コンベヤ、ホイール、または同様なものの上を移動するように構成される自動化デバイスを含むことができる。幾つかの実施形態において、ピック注文デバイス20は、従業員の補助がある状態かまたはない状態で、割当てられた注文について、自動的に、ピックライン25を通して移動し、ユニットにアクセスするように構成される自動化カートまたは他のデバイス(「自動化ピック注文デバイス」または「自動化注文調達デバイス)を含むことができる。幾つかの実施形態において、ピック注文デバイス20は、注文を表示するためのディスプレイデバイスを有する、従業員によって押されるように構成されるカートを含むことができる。幾つかの実施形態において、ピック注文デバイス20は、ユニットをカート内に配置するかまたはユニットを作業者にアクセス可能にするため、ユニットに達しユニットを把持するように構成される種々の要素を含むことができる。幾つかの実施形態において、ピック注文デバイス20は、注文に関連するユニットを格納するための種々の容器、ビン、または同様なものを含むことができる。したがって、幾つかの実施形態によるピック注文デバイス20は、一度に有限の数の注文を格納することに限定される場合がある。
【0025】
ピック注文デバイス20は、例えば、注文管理デバイス10から、複数の注文に関連する注文情報を受信するように構成される注文ピッキングアプリケーションを実行するように構成することができる。幾つかの実施形態において、注文ピッキングアプリケーションは、注文管理アプリケーションのクライアントアプリケーション、モジュール、ルーチン、または他のコンポーネントである場合がある。一実施形態において、注文ピッキングアプリケーションは、注文に関連するユニット、他の注文に牽連する注文のシーケンス、注文識別情報、または同様なもの等の注文情報を表示するように構成することができる。別の実施形態において、注文ピッキングアプリケーションは、注文ピッキングデバイスによる格納のためユニットを位置特定するかつ/またはユニットを配置するよう注文ピッキングデバイス20を移動させるかまたはその他の方法で動作させるように構成することができる。
【0026】
図1Aに示すように、ピック注文デバイス20は、第1の注文40、第2の注文45、及び第3の注文50を割当てられることができる。各注文40、45、50は、ピックライン25内に位置付けられるビン11、12、13、21、22、23、31、32、33、41、42、43、51、52、53、61、62、63からピックされる複数のユニットを含むことができる。開始ポイント30から終了ポイント35まで、ピック注文デバイス20は、注文のうちの1つが完了するまで、例えば、自動的にまたは作業者の補助によって、ピック経路80に沿って移動することによって、ピックされるユニットを位置特定することができる。この場合、第3の注文50は、アイテムがビン53からピックされると完了することができる。ピックライン25が開始ポイント30及び終了ポイント35を有するものとして示されるが、ピックラインが開始ポイント及び終了ポイントを含まない場合があるため、実施形態はそのように限定されない。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、完了した注文を、完了済みの注文キュー15内に預けることができ、完了済みの注文キュー15は、システム内の種々の位置に位置付けることができる。完了済みの注文キュー15は、コンベヤベルト、容器、プラットフォーム、または、発送、ラベル付け、処理、検査、包装、または同様なもののためにユニットを受取るかつ/または処理することができる他のコンポーネントを含む。したがって、完了した注文は、ピック注文デバイス20がシステムの周りを移動するときに、完了済みの注文キュー15上に預けることができる。一実施形態において、完了済みの注文キュー15は、限定することなく、ピックライン25の各通路の端、ピックラインの開始部、ピックラインの端、ピックラインの中央、またはその任意の組合せの位置を含む、システム内の種々の位置からアクセス可能であるとすることができる。
【0028】
図1Bに示すように、ピック注文デバイス20は、ピック注文デバイスに対して新しい注文、例えば第4の注文65を割当てる注文情報を受信することができる。注文ピッキングアプリケーションは、注文完了情報を注文管理デバイス10に通信するように構成することができる。例えば、ピック注文デバイス20は、ユニット及び/または注文が位置特定及び/または完了されたことを示すために作業者が選択することができるボタンを含むか又かディスプレイコンポーネント上に提示することができる。例えば、作業者は、ユニットが選択されるかまたは注文が完了したときに、必要とされる任意の情報を入力すると共に、「注文完了(order complete)」または「ユニット完了(unit complet)」ボタンを選択することができる。別の例において、ピック注文デバイス20は、自動的に、注文完了情報を検出するかつ/または注文管理デバイス10に送信するように構成することができる。例えば、ピック注文デバイス20は、バーコードスキャナ、RFIDリーダ、または同様なもの等の、注文に関する情報を手動で及び/または自動で受信するように構成されるコンポーネントを含むことができる。注文完了情報は、注文識別子、ユニット識別子、位置情報(例えば、ピック注文デバイス20の位置)、または同様なものを含むことができる。注文管理アプリケーションは、注文完了情報を使用して、ピック注文デバイス20が、新しい注文を受付けることができ、注文情報及び/または注文完了情報に基づいて新しい注文を割当てることができると判定することができる。
【0029】
ピック注文デバイス20は、第1の注文40、第2の注文45、及び第4の注文55をピックしながら、ピック経路80に沿って移動し続けることができる。ピック注文デバイス20に対する本明細書における参照は、一般に、システムを通して(自動でまたは手動で)移動する(カートまたは他の可動機器等の)ピック注文デバイス、または、(モバイルコンピューティングデバイス等の)ピック注文デバイスに関連する作業者であって、ピック注文デバイスによって提供される情報に基づいてシステム内で移動しており、また、ピック注文デバイスを運搬している場合がある、作業者を指すことができる。この場合、第1の注文40は、アイテムがビン63からピックされるときに完了することができる。ここで図1Cを参照すると、ピッカ20は、別の新しい注文、第5の注文70を割当てられることができる。ピッカ20は、注文のうちの1つが完了するまで、第2の注文45、第4の注文55、及び第5の注文60をピックしながら、ピック経路80に沿って移動し続けることができる。第2の注文45は、アイテムがビン62からピックされるときに完了することができる。図1Dに示すように、ピッカ20は、第6の注文65を割当てられることができ、また、注文のうちの1つが完了するまで、第4の注文55、第5の注文60、及び第6の注文65をピックしながら、ピック経路80に沿って移動し続けることができる。第4の注文55は、アイテムがビン12からピックされるときに完了することができる。ピッカ20は、図1Eに示すように第4の注文55の完了に応答して第7の注文70を割当てられることができる。ピッカ20は、第5の注文60、第6の注文65、及び第7の注文70をピックしながら、ピック経路80に沿って移動し続けることができる。図1A~1Eに示す幾つかの実施形態によるピックライン25を通る2つの完了サイクルの終了時に、ピッカ20は、ピック経路の周りを2回歩行した後、少なくとも7個の注文40、45、50、55、60、65、70を完了することができる場合がある。
【0030】
幾つかの実施形態によれば、ユニットは、注文をピックすることに関連する移動コストを最小にするシーケンス等の、任意のシーケンスでピック注文デバイス20によって選択することができる。例えば、ピック注文デバイス20は、1つの注文についてユニットをピックして、他の注文についてユニットを排除する、すなわち、次の注文に移動する前に一度に1つの注文に関して動作することができる。別の例において、ピック注文デバイス20は、注文によらず、入手可能な次のユニットを選択するように構成することができる。
【0031】
注文管理アプリケーションは、注文情報(例えば、各ユニットの位置)、注文情報(例えば、各注文にどのユニットが存在するか、どの注文がピック注文デバイス20に割当てられるか)、及び/または、ピック注文デバイスの位置を使用して、どの注文がピック注文デバイス20に割当てられるかを決定するように構成することができる。注文管理アプリケーションは、注文情報、注文情報、及びピック注文デバイス20の位置に基づいて任意の時点において各注文についての移動コストを動的に計算することができる。幾つかの実施形態において、注文管理アプリケーションは、最小の移動コスト(例えば、最短の移動距離及び/または移動時間)を有する入手可能な次の注文に基づいて新しい注文を割当てることができる。幾つかの実施形態において、注文管理アプリケーションは、最小の移動コスト及び注文割当て因子に基づいて新しい注文を割当てることができる。
【0032】
一実施形態において、注文管理アプリケーションは、ユニット用の有限の数の格納位置を有する、以下で述べた任意の単一ユニットコンパートメントを含む、ピック注文デバイス20の荷重に関連する情報を受信することができる。こうした実施形態において、注文管理アプリケーション及び/または注文ピッキングアプリケーションは、ピック注文デバイス20の荷重(load)をモニターすることができる。したがって、注文管理アプリケーションは、完了済みの注文キュー15に近接して、ピック注文デバイス20に基づく注文を割当てることができる。したがって、注文管理アプリケーションは、注文ピッキングデバイス20が、完了済みの注文キュー15に至る途中のユニットに向かって移動して、完了済みの注文をアンロードするように、注文を割当てることができる。一実施形態において、注文管理アプリケーションは、注文であって、注文についてのユニットの数が、注文ピッキングデバイス20用の利用可能なコンパートメントの数より多い、注文を扱うことができる。こうした実施形態において、注文管理アプリケーションは、利用可能なコンパートメントがユニットで一杯であるときに注文ピッキングデバイス20が完了済みの注文キュー15に近接するように注文を構成することができるため、注文ピッキングデバイス20は注文を効率的に扱うことができる。
【0033】
図1A~1Eに示す「持続的バッチ(perpetual batch)」システムは、ピックライン25に沿ういろいろなポイントにおける注文完了及び新しい注文の割当てを可能にし、それにより、ピック注文デバイス20及び全体的な注文履行プロセスが、注文が完了するにつれて効率を維持する。したがって、ピック注文デバイス20またはピック注文デバイスを有する作業者は、同じ距離を移動しながら、従来システムより多くの注文を完了することができる。更に、ピック注文デバイス20またはピック注文デバイスを有する作業者は、注文の連続した供給がある状態でシステムを通して移動することができる場合がある。
【0034】
上述した方法が一実施形態であること、及び、本明細書で述べるバッチ注文履行のシステム及び方法が、それらの一部が以下で述べられる上記説明からの変形並びに更なる特徴を含むことができることが理解されるであろう。
【0035】
図1A~1Eに示すシステムは、開始ポイント30及び終了ポイント35を有する通路内に配列されたビン11、12、13、21、22、23、31、32、33、42、42、43、51、52、53、61、62、63を有するピックライン20を示すが、実施形態はそのように限定されない。その理由は、幾つかの実施形態に従って動作することができる任意の他のタイプのアレンジメントが本明細書で企図されるからである。幾つかの実施形態において、通路からなる物理的ピックライン20は、注文ピッキングアプリケーション及び/または注文管理アプリケーションによって、円、正方形、または同様なもの等の他のタイプの構成として概念化することができる。幾つかの実施形態において、ピックライン20は、指定された開始ポイント30及び/または終了ポイント35を持たない場合がある。
【0036】
例えば、図1A~1Eに示すピックライン20は、仮想「円」として概念化することができる。ピックライン20は、ピックライン20が始まる場所で終了するピック経路80を示し、したがって、ピックラインは理論的な円になるよう展開される可能性がある。ピックラインにおける各ピック位置は、円周C上で、°またはラジアン単位で示すことができる。ここで、「C」はピック経路全体を移動するために必要とされる距離を示す。各位置は、この円上の特定の角度を示すことができる。そして、ピック位置間の距離は、円上の現在の位置角度とピック位置(複数可)の角度との差によって示すことができる。
【0037】
注文がバッチに全く割当てられないとき、システムは、注文管理デバイス10を通して、保留中の注文のキュー内の全ての注文を再検討し、ピック注文デバイス20の現在の位置に基づいて距離因子を確定することができる。距離因子は、ピック経路上のピック注文デバイス20の現在の位置から注文を完了するために必要とされるピック経路20に沿う距離を示すことができる。幾つかの実施形態によれば、最小の距離因子を有する注文は、バッチに付加することができる。
【0038】
「N」個の注文を扱うように構成される 注文を全く持たないピック注文デバイス20の場合、最小の距離因子を有する「N」個の注文は、例えば、最短から最長までのそれらのランク付けに基づいてバッチに付加することができる。そのため、第1の注文40は、現在の位置から移動する最短距離を有する注文であることになり、したがって、完了される第1の注文であることになる。したがって、第3の注文50は、先の図1A~1Eの説明で述べたように、第1の注文の前に完了しないことになる。一実施形態において、ピック円の周りの移動方向は同じ方向である場合がある。こうした実施形態において、注文は、ピック注文デバイス20がピックライン25上で逆戻りしないように選択される。別の実施形態において、ピック注文デバイス20は、ピック円の周りで2つ以上の方向に移動する場合がある。
【0039】
システムが開始ポイント30及び/または終了ポイント35を含む一実施形態において、ピック注文デバイス20は、開始ポイントから前方に終了ポイントに向かって移動するように(例えば、注文ピッキングアプリケーションによって)構成または指令されることができる。一実施形態において、ピック注文デバイス20が、終了ポイント35に、または、終了ポイントの前にピックライン25における最後のユニットに達するとき、ピック注文デバイスは、方向を反転させ、開始ポイント30に向かう方向に移動することができる。こうした実施形態において、開始ポイント30及び終了ポイント35は、ピックライン25を通る各パスに関して効果的に切換る。別の実施形態において、ピック注文デバイス20が、終了ポイント35に、または、終了ポイントの前にピックライン25における最後のユニットに達するとき、ピック注文デバイスは、開始ポイントに戻り、終了ポイントに向かう方向にピックラインを再び横切ることができる。
【0040】
注文管理アプリケーションは、注文をピック注文デバイス20に割当てて、上述した2つの移動パターン等の、ピックラインを通るピック注文デバイスの移動パターンに基づいて移動コストを最小にするように構成することができる。図1Aを参照すると、ピック注文デバイス20が終了ポイント35に達した場合、注文管理アプリケーションは、ピック注文デバイスが開始ポイント30に戻り、終了ポイントに向かう方向に移動するように構成または指令される場合、ビン11にユニットを有する注文を割当てることができる。対照的に、ピック注文デバイスが、終了ポイント35から開始ポイント30に向かう方向に移動するように構成または指令される場合、注文管理アプリケーションは、ビン51にユニットを有する注文を割当てるように構成することができる。
【0041】
ピック注文デバイス20が動作中であり、新しい注文がバッチに割当てられると、新しく付加される注文が古い注文の前に完了される可能性がある。幾つかの実施形態によれば、割当てられた注文のセットは、その日を通して消費者から受信される注文に基づいて動的に変化し、したがって、保留中の注文のプールは、動的であり、固定された注文キューではない。
【0042】
幾つかの実施形態によれば、ピック注文デバイス20は、無線周波数(RF)デバイス及び/またはカート(「RFカート(RF cart)」)として構成することができる。一実施形態において、RFカートは、モバイルカートに対して設置されたハードウェアを利用するペーパレス注文履行システムである場合がある。RFカートは、倉庫を通して単一パス上で一度に複数の注文をピックする方法を提供することができ、注文ピッカをより正確でかつ生産的にする。RFカートは、コンピュータ制御式であり、また、RFネットワークを介してリアルタイム応答及び報告を提供する注文管理デバイス10等の集中化コンピュータシステムと通信することができる。システムは、最も効率的なルートで倉庫ピック位置に向かうようピッカに指示するように構成することができ、一度で複数の注文を履行しながら歩行距離を最小にする。しかし、上述したように、実施形態はRFカートに限定されない。その理由は、RF端末、音声認識システム、またはトラックまたはコンベヤシステム上を移動するピックスレッドを含む、幾つかの実施形態に従って動作するように構成される任意のタイプのピック注文デバイスが本明細書で企図されるからである。
【0043】
ピック注文デバイス20は、ピック注文デバイス20の移動時間及び/または距離を全体的に最小にする論理移動シーケンスでユニットに至るようピッカに指示するガイダンスシステムとして動作することができる。ガイダンスシステムは、ピック注文デバイス20またはピック注文デバイスを有する作業者に、例えば可聴的にまたは視覚的に指示するためのシステムを含むことができる。一実施形態において、ピック注文デバイス20は、ピック注文デバイスに関連する乗り物またはカートの移動を制御するためのシステムを含むことができる、または、ピック注文デバイスに関連する作業者はピック注文デバイスの移動を制御することができる。
【0044】
一実施形態において、注文管理アプリケーションは、ピッキングプロセスを制御して、ピック注文デバイス20用の注文のバッチを生成することができる。一実施形態において、注文は、ランダムにまたは共通性アルゴリズムを使用することによって割当てられることができる。別の実施形態において、注文は、とりわけ、新しい注文をピッカに割当てることに起因する移動時間の増加、ピック経路上の現在ポイントからの最小移動距離及び/または時間、或はその組合せに基づいて割当てられることができる。したがって、注文管理アプリケーションは、現在のピック注文デバイス位置からまたは最後にピックされたアイテム位置からの最小量の移動によって完了される可能性がある注文を見出すことに基づいて、注文をピック注文デバイス20に割当てることができる。
【0045】
一実施形態において、ピックライン25は、専用の開始ポイント30及び/または終了ポイント35を含まない場合がある。こうした実施形態において、複数のピック注文デバイス20が、ピックライン25全体を通して種々の位置に分散されることができる。注文管理アプリケーションは、ピック注文デバイス20をこうして分散させた状態で注文を割当て、複数のピッカがピックラインを同時に横切るときに余儀なくされる衝突を回避し要件にパスするように構成することができる。複数のピック注文デバイス20の場合、ピッキングプロセスの始まりにおいて、システム内の各カートについて、注文管理アプリケーションは、カート上の注文位置の数に対応する「N」個の注文、及び/または、最短移動距離または最短移動時間(「移動コスト」)で完了される可能性がある「N」個の注文を選択することができる。ピック注文デバイス20は、注文が完了するまで、ユニットを調達することができる。注文は、取除かれ、カート上でまたは注文を発送エリアに輸送するコンベヤ上で、完了済みの注文キュー内に配置される(ことができる。注文管理アプリケーションは、その後、全ての入手可能な注文から、最短の移動距離または最短の移動時間(「最小移動コスト注文」で完了する場合がある注文を決定することができる。最小移動コストの注文は、空いた位置に割当てられる場合があり、ピッキングが継続する。完了した注文を最小移動コストでピックされる可能性がある新しい注文と置換するプロセスは、例えば、全ての注文が完了するまで継続することができる。したがって、「M」個のピック注文デバイス20は、一度に「N」個の注文を常にピックしている。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、システムは、「単一ユニット注文」を扱うように構成することができる。多くの消費者直結(DTC:direct-to-consumer)注文履行動作において、注文の量は、しばしば単一ユニットである。一実施形態において、ピック注文デバイス20、及び/または、ピック注文デバイスに関連するカート、スレッド、または同様なものは、単一注文を受信することに専用である場合がある。単一ユニットであるシステム内の任意の注文は、そのアイテムがピックライン25上の現在の位置と次のバッチピック位置との間に存在する場合、それぞれの個々のバッチに動的に割当てることができる。一実施形態において、単一ユニット注文は、任意のピック注文デバイス20、及び/または、単一ユニットが格納されるピックライン25位置を通過するかまたはその位置から閾値距離内にある、ピック注文デバイスに関連するカート、スレッド、または同様なものに付加することができる。一実施形態において、ピック注文デバイス20、及び/または、ピック注文デバイスに関連するカート、スレッド、または同様なものの上の単一ユニット注文位置が一杯であるとき、単一ユニット注文は、取除かれ、各アイテムが取除かれ注文に動的に割当てられる2次処理ステーションに送出されることができる。これらの注文のそれぞれが単一ユニットとして完了するため、注文が2次処理(発送)ステーションに到達するまで、注文の完全性は全く必要とされない。
【0047】
単一ユニット注文発送の一例において、単一ユニット注文をピックしたバッチを含むビン、ボックス、または他の格納媒体は、ピック注文デバイス20、及び/または、ピック注文デバイスに関連するカート、スレッド、または同様なものから取除かれ、発送ステーションに送出されることができる。このステーションは、コンピュータ、モニター(しばしば、タッチスクリーン)、バーコードスキャナ、ラベルプリンタ、及びスケールを含むことができる。格納媒体内の全てのアイテムは、ユニークでかつ個々の注文を示すため、各アイテムはそれ自体発送物である。発送ステーションのオペレータ及び/または自動化機器は、容器からユニットを取除き、識別用バーコードでユニットをスキャンし、ユニットを発送容器またはエンベロープ内に配置し、アイテムをスケール上に配置することができる。注文管理アプリケーションを含むことができるかまたはそれと通信することができる発送アプリケーションは、そのアイテムだけを必要とした保留中の(待機中の)注文をそのデータベースから(例えば、SKUに基づいて)見出し、発送コストを計算し、その注文用の発送ラベルと包装伝票の両方を印刷することができる。
【0048】
本明細書で使用される用語「歩行する(walking)」及び「歩行(walk)」は、例えば、一般にピッキング動作を指すことができる。その理由は、ピッキング動作が、しばしば、ピックラインを通して手動で押されるカートを含み、したがって、ピッカが歩行するからである。実施形態は、カートが使用される状況または歩行が必要とされる状況に限定されない。その理由は、実施形態が、自動であれ手動であれ、任意の形態のバッチピッキングを利用する任意の状況に適用されるからである。同様に、実施形態は、バッチピックカートの使用に限定されない。その理由は、任意の他のタイプのコンポーネントまたはデバイス、例えば、コンベヤ、自動誘導式乗物、搬送式スレッド、または他の適した輸送デバイスが、本明細書で提供される幾つかの実施形態に従って使用することができるからである。
【0049】
幾つかの実施形態によれば、バッチ履行システムは、ボックスのセット内に配置するためユニットを移動させるためのコンポーネントを含むループソータを含むことができる。従来のループソータにおいて、ボックスは、閾値数のボックスが充填されることに応答してループソーティングエリアから取除かれる。通常、ボックスは、ボックスの全てが充填されるまで取除かれない。したがって、利用可能なボックスの数が閾値に向かって減少するとき取引コスト(が存在し、多くの場合、システムは、ボックスの取除きを可能にするため、停止または減速しなければならない。一実施形態において、注文に関連する各ボックス及び/またはボックスの各セットが充填されるにつれて、ボックスを取除く信号が注文管理アプリケーションに送信される。こうして、セット内のボックスの数に等しいかまたは実質的に等しい利用可能なボックスの数が存在する「持続的」ループソータを構成することができる。
【0050】
図2は、先に論じた種々のコンピュータプロセス及びシステムを含むかまたは実装するために使用することができる例示的な内部ハードウェアのブロック図を示す。バス200は、ハードウェアの他の示すコンポーネントに相互接続する主情報ハイウェイとして役立つ。CPU205は、システムの中央処理ユニットであり、プログラムを実行するために必要とされる計算及び論理演算を実施する。CPU205は、単独で、または、図2に開示される他の要素と共に、例示的な処理デバイス、コンピューティングデバイス、またはプロセッサであるが、こうした用語は本開示内で使用される。読出し専用メモリ(ROM)230及びランダムアクセスメモリ(RAM)235は例示的なメモリデバイスを構成する。
【0051】
コントローラ220は、1つまたは複数のオプションのメモリデバイス225をシステムバス200にインタフェースする。これらのメモリデバイス225は、例えば、外部または内部DVDドライブ、CD ROMドライブ、ハードドライブ、フラッシュメモリ、USBドライブ、または同様なものを含むことができる。先に示したように、これらの種々のドライブ及びコントローラはオプションのデバイスである。更に、メモリデバイス225は、先に論じたように、任意のソフトウェアモジュールまたは命令、補助データを記憶するための個々のファイル、結果または補助データ(auxiliary)のグループを記憶するための共通ファイル、或は、結果情報、補助データ、及び関連情報を記憶するための1つまたは複数のデータベースを含むように構成することができる。例えば、メモリデバイス225は法務情報源215を記憶ように構成することができる。
【0052】
上述した、ステップ、アプリケーション、または同様なものに関連する機能ステップのうちの任意の機能ステップを実施するためのプログラム命令、ソフトウェア、またはインタラクティブモジュールは、ROM230及び/またはRAM235に記憶することができる。任意選択で、プログラム命令は、コンパクトディスク、デジタルディスク、フラッシュメモリ、メモリカード、USBドライブ、Blu-ray(登録商標)等の光ディスク記憶媒体、及び/または他の記録媒体等の有形のコンピュータ可読媒体上に記憶することができる。
【0053】
オプションのディスプレイインタフェース230は、バス200からの情報が、オーディオ、ビジュアル、グラフィック、または英数字フォーマットでディスプレイ235上に表示されることを可能にすることができる。情報は、現在の作業伝票及び関連するタスクに関連する情報を含むことができる。外部デバイスとの通信は、種々の通信ポート240を使用して行うことができる。例示的な通信ポート240は、インターネットまたはローカルエリアネットワーク等の通信ネットワークに取付けることができる。
【0054】
ハードウェアはまた、キーボード250等の入力デバイス、或は、マウス、ジョイスティック、タッチスクリーン、リモートコントロール、指示デバイス、ビデオ入力デバイス、及び/またはオーディオ入力デバイス等の他の入力デバイス255からのデータの受信を可能にするインタフェース245を含むことができる。
【0055】
先に詳述した説明において、本発明の一部を形成する添付図面に対して参照が行われる。図面において、同様のシンボルは、文脈が別途指示しない限り、通常、同様のコンポーネントを特定する。詳述される説明、図面、及び特許請求の範囲で述べる例証的な実施形態は、制限的であることを意味されない。本明細書で提示される主題の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用することができ、他の変更を行うことができる。本開示の態様が、本明細書で一般的に述べられ、図で示されるように、いろいろな異なる構成で配列され、置換され、組合され、分離され、設計される可能性があり、それらの全てが本明細書で明示的に企図されることが容易に理解されるであろう。
【0056】
本開示は、種々の態様の例証として意図される本出願で述べられる特定の実施形態によって制限されない。当業者に明らかであるように、その精神及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形が行われる可能性がある。本明細書で列挙されるものに加えて、本開示内の機能的に等価な方法及び装置は、先の説明から当業者に明らかであることになる。こうした修正及び変形は、添付特許請求の範囲内に入ることを意図される。本開示は、特許請求の範囲によって認められる均等物の全範囲と共に、添付特許請求の範囲によってだけ制限される。本開示が、当然変化する可能性がある特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物学的システムに限定されないことが理解される。本明細書で使用される用語が、特定の実施形態を述べるだけためのものであり、制限的であることを意図されないこともまた理解される。
【0057】
本明細書における実質的に任意の複数形及び/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/または用途にとって適切であるように、複数形から単数形に及び/または単数形から複数形に変換する可能性がある。種々の単数形/複数形の並べ替えは、明確にするため、本明細書で明示的に記述することができる。
【0058】
一般に、本明細書でまた特に添付特許請求の範囲(例えば、添付特許請求の範囲の要部)で使用される用語が、一般に、「オープンな(open)」用語として意図される(例えば、用語「含んでいる(including)」が「含んでいるが、それに限定されない(including but not limited to)」として解釈されるべきである、用語「有する(having)」が「少なくとも有する(having at least)」として解釈されるべきである、用語「含む(includes)」が「含むが、それに限定されない」として解釈されるべきである)ことが当業者によって理解されるであろう。種々の組成物(composition)、方法、及びデバイスが、種々のコンポーネントまたはステップを「備える(comprising)」(「含むが、それに限定されない」を意味するものとして解釈される)という観点で述べられるが、組成物、方法、及びデバイスは同様に、種々のコンポーネントまたはステップ「から本質的になる(consist essentially of)」または「からなる(consist of)」可能性があり、こうした用語は、本質的にクローズドメンバ(closed-member)グループを規定するものと解釈されるべきである。導入されたクレーム記載(introduced claim recitation)の特定の数が意図される場合、こうした意図はクレーム中に明示的に記載され、こうした記載がない場合は、こうした意図は存在しないことが当業者によって更に理解されるであろう。例えば、理解を補助するため、後続の添付特許請求範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つまたは複数の(one or more)」を使用して、クレーム記載を導入することができる。しかし、こうした句の使用は、不定冠詞「ある(a)」または「ある(an)」によるクレーム記載の導入が、たとえ同一のクレーム内に、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの及び不定冠詞「ある(a)」または「ある(an)」が含まれるときでも、導入されたクレーム記載を含む任意の特定のクレームを、1つだけのこうした記載を含む実施形態に限定することを示唆すると解釈されるべきではない(例えば、「ある(a)」及び/または「ある(an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。クレーム記載を導入するために使用される定冠詞の使用について同様のことが当てはまる。更に、導入されたクレーム記載についての特定の数が明示的に記載されても、こうした記載が、少なくとも記載された数を意味するように解釈されるべきであることを、当業者は理解するであろう(例えば、他に修飾語のない、「2つの記載(two recitations)」という単なる記載は、少なくとも2つの記載または2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びC等の少なくとも1つに類似する慣例が使用される事例では、一般に、こうした構文(construction)は、当業者がその慣例を理解することになるという意味で意図される(たとえば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aだけを、Bだけを、Cだけを、AとBを共に、AとCを共に、BとCを共に、及び/または、A、B、及びCを共に有するシステムを含むが、それに限定されないことになる)。こうした構文は、当業者がその慣例を理解することになるという意味で意図される(たとえば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aだけを、Bだけを、Cだけを、AとBを共に、AとCを共に、BとCを共に、及び/または、A、B、及びCを共に有するシステムを含むが、それに限定されないことになる)。2つ以上の代替の用語を提示する実質的に任意の離接的単語及び/または句は、説明においてであっても、特許請求の範囲においてであっても、または図面においてであっても、用語の一方、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図することが理解されるべきであることが当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、句「AまたはB(A or B)」は、「A」または「B」または「A及びB」の可能性を含むと理解されることになる。
【0059】
更に、本開示の特徴または態様がマーカッシュグループによって述べられる場合、それにより本開示がマーカッシュグループの任意の個々のメンバ、またはメンバのサブグループによって同様に述べられることを当業者は認識するであろう。
【0060】
当業者によって理解されるように、書面の説明を提供すること等による、任意のまた全ての目的のため、本明細書に開示される全ての範囲は、任意のまた全ての考えられる部分範囲およびその部分範囲の組合せを同様に包含する。挙げられる任意の範囲は、少なくとも同じ半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1、または同様な値へと細分される同一の範囲を十分に記載し、かつ可能にするものとして容易に認識される可能性がある。非限定的な例として、明細書で論じる各範囲は、下部3分の1、中部3分の1、上部3分の1に容易に細分される可能性がある。当業者によって同様に理解されるように、「まで(up to)」、「少なくとも、及び同様なもの等の全ての文言は、記載される数を含み、先に論じた部分範囲にその後細分される可能性がある範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲はそれぞれの個々のメンバを含む。そのため、例えば、1~3のセルを有するグループは、1、2、または3のセルを有するグループを指す。同様に、1~5のセルを有するグループは、1、2、3、4、または5のセルを有するグループを指す等である。
【0061】
種々の先に論じたまた他の特徴及び機能またはその代替物は、多くの他の異なるシステムまたはアプリケーションになるよう組合すことができる。現在のところ予見されないかまたは予想されない種々の代替物、修正物、変形物、またはその改良物を、その後、当業者が作ることができ、それらのそれぞれは、同様に、開示される実施形態によって包含されることを意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2