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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】油性固形化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20231023BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231023BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/02
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/73
A61Q1/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019132126
(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2021017401
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 悠也
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-186311(JP,A)
【文献】特開2013-209296(JP,A)
【文献】特開2013-159559(JP,A)
【文献】特開2013-091626(JP,A)
【文献】特開2016-164140(JP,A)
【文献】特開2014-181218(JP,A)
【文献】特開2016-188191(JP,A)
【文献】特開2007-269761(JP,A)
【文献】特開2005-350439(JP,A)
【文献】特開2015-101550(JP,A)
【文献】特開2010-083865(JP,A)
【文献】特開2000-119138(JP,A)
【文献】特開2012-082188(JP,A)
【文献】特開2013-040110(JP,A)
【文献】特開2003-321327(JP,A)
【文献】特表2007-511512(JP,A)
【文献】国際公開第2011/096337(WO,A1)
【文献】特開2017-095388(JP,A)
【文献】特開2009-073797(JP,A)
【文献】特開2007-262033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)ワセリン 7~40質量%、
(B)融点が30~53℃未満の半固形油 8~40質量%、
(C)25℃で液状の油成分 25~79質量%、
(D)デキストリン脂肪酸エステ 5~18質量%、
(E)着色剤
を含有し、成分(A)及び(B)の合計含有量が15~65質量%であり、
(F)融点61℃以上のワックスの含有量が3.40質量%以下である油性固形化粧料。
【請求項2】
成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、0.25~4.4である請求項1記載の油性固形化粧料。
【請求項3】
成分(B)を2種以上含む請求項1又は2記載の油性固形化粧料。
【請求項4】
さらに、(G)成分(E)以外の粉体を含有する請求項1~3のいずれか1項記載の油性固形化粧料。
【請求項5】
さらに、(H)有機変性粘土鉱物を含有する請求項1~4のいずれか1項記載の油性固形化粧料。
【請求項6】
成分(C)において、20℃における粘度が150mPa・s以下の油成分が、組成物中16質量%以下である請求項1~5のいずれか1項記載の油性固形化粧料。
【請求項7】
成分(D)が、パルミチン酸デキストリンである請求項1~6のいずれか1項記載の油性固形化粧料。
【請求項8】
口唇化粧料である請求項1~のいずれか1項記載の油性固形化粧料。
【請求項9】
請求項に記載の油性固形化粧料の塗布方法であって、
成分(E)として、少なくとも、赤色顔料を含み、その含有量が異なる2種以上の油性固形化粧料を用い、
着色顔料中の赤色顔料の割合が一番多い油性固形化粧料を初めに唇に塗布し、
次いで、他の油性固形化粧料を順次重ねて塗布することを特徴とする、油性固形化粧料の塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性固形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、唇に保湿感やケア効果を与える口唇化粧料が求められており、種々のリップクリーム、リップバーム等が開発されている。
例えば、特許文献1には、特定融点の炭化水素、抱水性油、デキストリン脂肪酸エステルを含有する油性化粧料が、保湿効果や形状保持性、使用性に優れることが記載されている。
また、保湿と唇への色付けの双方を一度に行うことも求められているが、特許文献1の油性化粧料のような、リップクリームタイプの化粧料に着色剤を配合すると、分散性が不十分で発色が悪い場合があった。
そこで、口紅自体に保湿性を付与する検討もされており、液状口紅では、ツヤ感や保湿感を持つものが開発されている。例えば、特許文献2には、特定融点のワックス及び半固形油、液状油及びデキストリン脂肪酸エステルを特定の割合で含有する口唇化粧料が、艶がありながら、唇の荒れを抑制し、ケア効果が持続することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-262033号公報
【文献】特開2017-95388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2に記載されている口唇化粧料は、液状口紅であり、塗布後に唇にしっかり留まらずに流れてしまうことがあり、色が唇の周りに広がってしまう場合があった。また、艶や発色は良いものの、彩度が高いと不自然さが目立つという課題もあった。
一般に、口紅をしっかりと唇に密着させるには、固形口紅が適していることから、本発明者らは、油性固形化粧料であって、彩度が高く、自然な発色で、保湿感に優れるものを開発することを考えた。
しかしながら、油性固形化粧料は、ワックスを用いて固形状にすることが多く、硬く塗布具に取れにくいものである。このため、塗布時の伸びも悪く、発色や彩度も十分ではない。
本発明は、保湿感やケア効果を有し、塗布時に伸ばしやすく、発色や彩度に優れた油性固形化粧料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、特定の融点の半固形油を特定の割合で用いるとともに、ワックス量を少なくして、デキストリン脂肪酸エステル等で固形状とすることにより、適度な硬さで、塗布時に伸ばしやすく、着色剤の分散性がよく発色が良好で、塗布時の彩度が高く、しかも、保湿効果及びその持続性に優れ、経時で発汗もしにくい油性固形化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)融点が53~61℃未満の半固形油 7~40質量%、
(B)融点が30~53℃未満の半固形油 8~40質量%、
(C)25℃で液状の油成分 25~79質量%、
(D)デキストリン脂肪酸エステル、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドから選ばれる1種又は2種以上 5~18質量%、
(E)着色剤
を含有し、成分(A)及び(B)の合計含有量が15~65質量%であり、
(F)融点61℃以上のワックスの含有量が12質量%以下である油性固形化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油性固形化粧料は、適度な硬さで、塗布具等に取りやすく、塗布時には伸ばしやすいものであり、着色剤の分散性が良く発色が良好で、着色剤や任意で配合する粉体以外の成分に由来する固形化粧料の曇りや濁りが抑えられてクリアになるため、塗布時の彩度が高く、鮮やかな仕上がりが得られるものである。また、べたつきがなく、密着感が得られ、塗布した直後に保護感を感じることができ、保湿効果及びその持続性に優れ、経時での発汗もしにくいものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)は、融点が53~61℃未満の半固形油であり、融点54~60℃であるのが好ましい。
本発明において、融点の測定法は、化粧品原料基準記載一般試験法の第3法により、測定されるものである。すなわち、試料をかき混ぜながら徐々に90~92℃まで加熱して融解し、加熱を止め、試料を融点より8~10℃高い温度まで放冷する。次いで、温度計(日本工業規格B7410に規定するペトロラタム融点用温度計)を5℃に冷却した後、ろ紙で水分をふきとって水銀球の半分を試料中に差し込み、直ちに抜きとり、垂直に保って放冷し、付着した試料が混濁してきたとき、16℃以下の温度の水中に5分間浸す。次に、試験官に温度計を挿入し温度計の下端と試験管の底との間が15mmになるようにコルクを用いて温度計を固定する。この試験管を、約16℃の水を入れた500mLのビーカー中に試験管の底をビーカーの底との距離を15mmになるように固定し、浴の温度が30℃になるまでは1分間に2℃ずつ上がるように加熱する。次いで、1分間に1℃上がるように加熱を続け、温度計から試料の一滴が離れたときの温度を測定する。この試験を3回行い、測定値の差が1℃未満のときは、その平均値をとり、1℃以上のときは、5回測定してその平均値をとり、融点とする。
【0009】
成分(A)の半固形油としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、ワセリン(57℃)、モクロウ(60℃)、合成モクロウ(53℃)、ビニルレザーワックス(54℃)等が挙げられる。これらのうち、水分の閉塞性が高く潤い性能に優れる点から、ワセリン(57℃)が好ましい。ワセリンは、唇の水分閉塞性に優れ、唇が常に覆われているケア効果を感じる点から、融点が53~60℃のものが好ましい。
また、ワセリンは、市販品として、白色ワセリン、スーパーホワイトプロトペット、パーフェクタ(Sonneborn社製)、ノムコートW(日清オイリオグループ社製)、クロラータムV(クローダ ジャパン社製)、サンホワイトP-150、P-200(日興リカ社製)等を用いることができる。
【0010】
成分(A)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、塗布直後の保護感、保湿効果及びその持続性の観点から、含有量は、全組成中に7質量%以上であり、9質量%以上が好ましく、11質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下であり、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に7~40質量%であり、9~35質量%が好ましく、11~30質量%がより好ましく、15~25質量%がさらに好ましい。
【0011】
本発明で用いる成分(B)の半固形油は、融点が30~53℃未満であり、31~52℃であるのが好ましい。
かかる半固形油としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル(52℃)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル(52℃)、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル(50℃)、水添パーム油(47℃)、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(45℃)、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル(40℃)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(37℃)、オレイン酸フィトステリル(33℃)、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル(31℃)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)(33℃)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(34℃)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)(38℃)、硬質ラノリン(49℃)、還元ラノリン(45℃)、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2(39℃)、アジピン酸ジグリセリル脂肪酸エステル(35℃)等が挙げられる。
【0012】
これらのうち、伸びに優れ、唇に艶を付与する点から、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル(50℃)、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(45℃)、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル(40℃)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(37℃)、オレイン酸フィトステリル(33℃)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)(33℃)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(34℃)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)(38℃)、アジピン酸ジグリセリル脂肪酸エステル(35℃)が好ましく、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)(33℃)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(34℃)、アジピン酸ジグリセリル脂肪酸エステル(35℃)がより好ましい。
また、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)は、市販品として、エルデュウPS-304、306(味の素社製)等を用いることができる。
【0013】
成分(B)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、発色、保湿効果及びその持続性をより一層向上させる点から、2種以上を併用することが好ましい。中でも特に、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)と、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)を含む2種以上を使用することがより好ましい。
また、着色剤の分散性、塗布直後の保護感、保湿効果及びその持続性の観点から、含有量は、全組成中に8質量%以上であり、9質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、40質量%以下であり、34質量%以下が好ましく、28質量%以下がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に8~40質量%であり、9~34質量%が好ましく、10~28質量%がより好ましい。
【0014】
本発明において、成分(A)及び(B)の合計含有量は、塗布直後の保護感、保湿効果及びその持続性に優れる観点から、全組成中に15質量%以上であり、20質量%以上が好ましく、23質量%以上がより好ましく、65質量%以下であり、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。また、成分(A)及び(B)の合計含有量は、全組成中に15~65質量%であり、20~60質量%が好ましく、23~50質量%がより好ましい。
【0015】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、着色剤の分散性、塗布直後の保護感、保湿効果及びその持続性の観点から、0.25以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.35以上がさらに好ましく、4.4以下が好ましく、4以下がより好ましく、3.6以下がさらに好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、0.25~4.4が好ましく、0.3~4がより好ましく、0.35~3.6がさらに好ましい。
【0016】
本発明で用いる成分(C)の油成分は、25℃で液状である。融点が30℃未満のもので、流動性のある油成分である。
かかる油成分としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ミネラルオイル、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、ポリイソブチレン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸オクチルドデシル、ホホバ油、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリメリト酸トリトリデシル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸オクチル等のエステル油;ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン、フッ素変性シリコーン等のフッ素油;炭酸プロピレンなどが挙げられる。
【0017】
これらのうち、密着感の付与、及び塗布具での伸ばしやすさの観点から、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油;イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ホホバ油、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル等のエステル油;オクチルドデカノール等の高級アルコールが好ましい。
【0018】
成分(C)としては、化粧料の経時での発汗を抑制する観点から、20℃における粘度が150mPa・s以下の油成分が、組成物中16質量%以下であるのが好ましく、11質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。
ここで、粘度は、B型粘度計、例えば、単一円筒型回転粘度計ビストロンVS-A1(芝浦システム社製)により測定される。
【0019】
成分(C)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、塗布具での化粧料の取れ量の多さ、及び塗布具での伸ばしやすさの観点から、含有量は、全組成中に25質量%以上であり、28質量%以上が好ましく、31質量%以上がより好ましく、79質量%以下であり、70質量%以下が好ましく、61質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に25~79質量%であり、28~70質量%が好ましく、31~61質量%がより好ましい。
【0020】
本発明で用いる成分(D)は、油ゲル化剤であって、成分(D)により油を固化させた場合に透明~半透明の外観を持つ成分である。成分(D)を本発明の構成成分と共に組成物中に含むことで、着色剤や任意で配合可能な粉体を除いた組成物(ベース組成)を固化した際に、固形のベース組成の曇りや濁りを抑えることができるため、塗布時の彩度が高く、かつ塗布具での化粧料の取れ量の多さや塗布時の伸ばしやすさに優れる。
本発明で用いる成分(D)としては、デキストリン脂肪酸エステル、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドが挙げられ、塗布具での化粧料の取れ量の多さ、塗布具での伸ばしやすさ、及び経時での発汗を抑制する観点から、デキストリン脂肪酸エステルが好ましい。
成分(D)のデキストリン脂肪酸エステルとしては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、炭素数8~24の脂肪酸とデキストリンのエステルが好ましい。また、デキストリンの平均重合度が3~150であるのが好ましい。
具体的には、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸・ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸デキストリン等が挙げられる。
これらのうち、塗布具での化粧料の取れ量の多さ、及び塗布具での伸ばしやすさの観点から、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸デキストリンが好ましく、パルミチン酸デキストリンがより好ましい。
【0021】
成分(D)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、塗布具での化粧料の取れ量の多さ、及び塗布具での伸ばしやすさの観点から、含有量は、全組成中に5質量%以上であり、6.5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、18質量%以下であり、16.5質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に5~18質量%であり、6.5~16.5質量%が好ましく、8~15質量%がより好ましい。
【0022】
成分(E)の着色剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、着色顔料、油溶性染料、光輝性顔料等を用いることができる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物;マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体;更にカーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素などが挙げられる。
油溶性染料としては、例えば、赤色218号、赤色223号、橙201号などが挙げられる。
【0023】
光輝性顔料としては、雲母、合成金雲母、ガラス、シリカ、アルミナ、タルク等の板状粉体等の表面を酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、酸化スズ、水酸化クロム、金、銀、カルミン、有機顔料等の着色剤で被覆したものなど、及びポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミ蒸着末、ポリエチレンテレフタレート・金蒸着積層末などの、フィルム原反を任意形状に断裁したものなどを用いることができる。
【0024】
これらの着色剤は、そのまま用いることができるほか、疎水化処理して用いることができる。
疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等を用いたシリコーン処理;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等を用いたアルキルアルコキシシシラン処理;パーフルオロアルキルリン酸、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸等を用いたフッ素化合物処理;N-アシルグルタミン酸、N-アシルアスパラギン酸、N-アシルリジン等を用いたN-アシルアミノ酸処理;レシチン処理;金属石鹸処理;トリイソステアリン酸イソプロピルチタン等を用いた有機チタネート処理などが挙げられる。
これらの処理は、1種又は2種以上組み合わせて行うことができる。また、これらの疎水化処理は、通常の方法により、行うことができる。
【0025】
本発明の油性固形化粧料を口唇化粧料とする場合、成分(E)の着色剤として、ベンガラ、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号及び赤色505号から選ばれる1種以上の赤色顔料を含むのが好ましく、塗布時の彩度が高いことから、赤色合成有機顔料を含むのがより好ましい。
【0026】
成分(E)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、魅力的な色調を付与する観点から、含有量は、全組成中に0.001質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、成分(E)の含有量は、全組成中に0.001~25質量%であるのが好ましく、0.1~20質量%がより好ましく、0.5~15質量%がさらに好ましい。
【0027】
本発明において、(F)融点61℃以上のワックスの含有量は、塗布時の彩度や塗布具への取れが低下するため、全組成中に12質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。これにより、本発明の油性固形化粧料では、ベース組成を固化した際に、固形のベース組成の曇りや濁りをより一層低減させることができ、塗布時に濁りがなく、より一層彩やかな色を発色することができる。
融点61℃以上のワックスは、25℃において固体の性状を示す。
【0028】
成分(F)のワックスとしては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、サンフラワーワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;シリコーンワックス、フッ素系ワックス、合成ミツロウ等の合成ワックスなどが挙げられる。
【0029】
本発明の油性固形化粧料は、さらに、成分(G)として、成分(E)以外の粉体を含有することができる。
かかる粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、カオリン、クレー、ベントナイト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機顔料、セルロース末、ポリメタクリル酸メチル、シリコーンエラストマー等の有機粉体、及びこれらの複合粉体などの体質顔料が挙げられる。
これらの粉体は、成分(E)と同様に、疎水化処理したものを用いることもできる。
【0030】
成分(G)の粉体は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、経時での発汗抑制、及び質感調整の観点から、含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、成分(G)の含有量は、全組成中に0.1~30質量%であるのが好ましく、0.5~20質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
【0031】
本発明の油性固形化粧料は、さらに、(H)有機変性粘土鉱物を含有することができ、経時での発汗をより一層抑制させることができる。
有機変性粘土鉱物としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されずに用いることができる。例えば、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等の層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して得られるカチオン変性粘土鉱物が好ましい。
ここで、第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記式(1):
【0032】
【化1】
【0033】
(式中、R1は炭素原子数10~22のアルキル基又はベンジル基を示し、R2はメチル基又は炭素原子数10~22のアルキル基を示し、R3及びR4は炭素原子数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、Xはハロゲン原子又はメチルサルフェート残基を示す)
で表されるものである。
【0034】
具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、及び上記各化合物のクロリドに代えてブロミド化合物としたもの等、さらにジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。
これらのうち、油中への分散性、及び経時での発汗を抑制する観点から、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリドが好ましく、少なくとも、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリドを含むものが好ましい。
【0035】
層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して得られるカチオン変性粘土鉱物としては、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト等が好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトがより好ましい。また、市販品としては、ベントン38、ベントン38VCG、ベントン27(以上、エレメンティスジャパン社製)等が挙げられる。
【0036】
有機変性粘土鉱物は、作業性向上の点、油の増粘効果に優れる点から、溶媒によって希釈された分散液として用いることもできる。
具体的には、有機変性粘土鉱物を予め溶媒に分散させたプレミックスゲルを用いることが好ましい。溶媒としては、有機変性粘土鉱物によって増粘可能であれば制限されないが、油の増粘効果の点から、オクチルドデカノール、ミネラルオイル等が好ましい。また、有機変性粘土鉱物を効率良く分散させて増粘効果を発現させる点から、炭酸プロピレン、エタノール、水、各種界面活性剤等の極性添加剤を含むことが好ましい。
プレミックスゲル中の有機変性粘土鉱物の含有量は、作業性向上の点、油の増粘効果、及び増粘した油性ゲル自体の油分離を抑制する点から、5~25質量%が好ましく、8~20質量%がより好ましく、10~18質量%がさらに好ましい。
プレミックスゲルとしては、カチオン変性粘土鉱物を10質量%含有するベントンゲルEUGV、ベントンゲルMIOV、18質量%含有するベントンゲルVS-5 PCV、15質量%含有するベントンゲルPTM(以上、エレメンティスジャパン社製)等の市販品を用いることができる。
【0037】
成分(H)の有機変性粘土鉱物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、経時での発汗を抑制する観点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。また、成分(H)の含有量は、全組成中に0.01~5質量%であるのが好ましく、0.05~2質量%がより好ましく、0.1~1質量%がさらに好ましい。
【0038】
本発明の油性固形化粧料は、前記成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、高分子化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料、防汚剤、保湿剤、水等を含有することができる。
【0039】
本発明の油性固形化粧料は、通常の方法により、製造することができ、固形状とされる。なかでも、非スティック状とするのが好ましく、パレット容器に充填した形態とするのが好ましい。この場合、ブラシやチップなどの塗布用具を用いたり、指に直接取って塗布することができる。
また、口紅、リップグロス、リップクリーム等の口唇化粧料として好適である。
【0040】
本発明の油性固形化粧料を口唇化粧料とする場合、パレット容器に充填した化粧料を、塗布用具で塗布して用いるのが好ましい。
化粧料塗布用具は、口唇化粧料を塗布するための塗布面を有し、かつ扁平体からなる塗布部と、先端に該塗布部を連結した支持軸とを有するものが好ましく、柔らかな口唇化粧料であっても、唇の輪郭を細かく塗り易く、しかも簡単に美しく仕上げることができる。具体的には塗布部はチップであることが好ましく、前記塗布部の表面が植毛されていることがより好ましい。
【0041】
本発明の油性固形化粧料が、口唇化粧料の場合、2種以上の異なる色の口唇化粧料を重ね付けして用いることができる。
具体的には、成分(E)として、少なくとも、赤色顔料を含み、その含有量が異なる2種以上の口唇化粧料を用い、着色顔料中の赤色顔料の割合が一番多い口唇化粧料を初めに唇に塗布し、次いで、他の口唇化粧料を順次重ねて塗布することができる。すなわち、より赤色の強い口唇化粧料を塗布した後、ベージュなど、赤色の弱い色を重ね付けする。
本発明の口唇化粧料は、伸ばしやすいので、唇上のような小さな空間においても、重ね付けした色を混ぜやすく、好みの色調に調整しやすいものである。
従来、唇の色を抑えるために、肌色やベージュ色のコンシーラーを塗布した後、口紅を塗布することが行われているが、本発明では、これとは逆の順番で、赤色を先に塗布するものである。これにより、従来の方法と比較して、より唇の色を一定の色調に抑えることができる。
なお、2種以上の口唇化粧料を用いる場合は、2種以上の化粧料を充填することができるパレット容器に充填されているのが好ましい。
【実施例
【0042】
実施例1~9及び比較例1~5
表1に示す組成の口唇化粧料(赤色系口紅)を製造し、塗布具での口紅の取れ量の多さ、塗布具での伸ばしやすさ、塗布直後の鮮やかさ、塗布直後の保護感、塗布3時間後の乾燥感のなさ、発汗を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0043】
(製造方法)
基材原料(色材以外)を125℃で30分間加熱溶解し、ディスパーにて均一混合した。次に、色材原料を加えて更に15分間均一混合し、脱泡した後、樹脂製のパレット容器に流し込み、冷却固化させ、口唇化粧料(口紅)を得た。
【0044】
(評価方法)
10名の専門パネラーが、塗布具(扁平形状の塗布部の表面が植毛されたもの)を用いて各口紅を唇に塗布したとき、塗布具での口紅の取れ量の多さ、塗布具での伸ばしやすさ、塗布直後の鮮やかさ、塗布直後の保護感、塗布3時間後の乾燥感のなさを、以下の基準で評価した。
ここで、「保護感」は、べたつきがなく、密着感があり、塗布直後にうるおい感が感じられることである。
また、得られた口紅を、室温に1週間静置し、さらに、40℃に1週間静置した後の発汗の状態を、以下の基準で評価した。
【0045】
(1)塗布具での口紅の取れ量の多さ:
5;塗布具での口紅の取れ量が多い。
4;塗布具での口紅の取れ量がやや多い。
3;塗布具での口紅の取れ量が若干多い。
2;塗布具での口紅の取れ量がやや少ない。
1;塗布具での口紅の取れ量が少ない。
【0046】
(2)塗布具での伸ばしやすさ:
5;塗布具で口紅が伸ばしやすい。
4;塗布具で口紅がやや伸ばしやすい。
3;塗布具で口紅が若干伸ばしやすい。
2;塗布具で口紅がやや伸ばしにくい。
1;塗布具で口紅が伸ばしにくい。
【0047】
(3)塗布直後の鮮やかさ:
5;塗布直後に鮮やかである。
4;塗布直後にやや鮮やかである。
3;塗布直後に若干鮮やかである。
2;塗布直後にあまり鮮やかでない。
1;塗布直後に鮮やかでない。
【0048】
(4)塗布直後の保護感:
5;塗布直後に保護感を感じる。
4;塗布直後に保護感をやや感じる。
3;塗布直後に保護感を若干感じる。
2;塗布直後に保護感をあまり感じない。
1;塗布直後に保護感を感じない。
【0049】
(5)塗布3時間後の乾燥感のなさ:
5;塗布3時間後に乾燥感がない。
4;塗布3時間後に乾燥感がほとんどない。
3;塗布3時間後に乾燥感が僅かにある。
2;塗布3時間後に乾燥感がややある。
1;塗布3時間後に乾燥感がある。
【0050】
(6)発汗:
5;発汗がない。
4;発汗がほとんどない。
3;発汗が僅かにある。
2;発汗が若干ある。
1;発汗がある。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例10
実施例1~9と同様にして、表2に示す組成の口唇化粧料(ベージュ系口紅)を製造した。
得られた口紅は、扁平形状の塗布部の表面が植毛された塗布具を用いたときに取れ量が多く、伸ばしやすいものであり、塗布直後に鮮やかで、保護感があり、塗布3時間後においても乾燥感がないものである。また、経時での発汗もない。
【0053】
【表2】
【0054】
実施例11
扁平形状の塗布部の表面が植毛された塗布具を用いて、実施例1の赤色系口紅(着色顔料中、赤色顔料97.4質量%含有)を唇に塗布した。その上に、実施例10のベージュ系口紅(着色顔料中、赤色顔料12.5質量%含有)を重ねて塗布し、唇の上で、混ぜ合わせた。
本発明の口唇化粧料は、伸ばしやすいので、唇上のような小さな空間においても、重ね付けした色を混ぜやすく、好みの色調に調整しやすいものである。