(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】多重ボトル製造方法及び多重ボトル用プリフォーム
(51)【国際特許分類】
B29C 49/22 20060101AFI20231023BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20231023BHJP
B29C 49/06 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
B29C49/22
B65D1/02 111
B65D1/02 221
B65D1/02 232
B29C49/06
(21)【出願番号】P 2019144128
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】505440295
【氏名又は名称】北海製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃広
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0152122(US,A1)
【文献】特開2005-047593(JP,A)
【文献】特開2019-123510(JP,A)
【文献】特開2017-186059(JP,A)
【文献】特開2017-196822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00-49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル樹脂製の外殻ボトルと、前記外殻ボトルの内部に配置され、容積を減少させて変形可能なポリエステル樹脂製の内容器体とを備え、
前記外殻ボトルは、外口部と、前記外口部に連設された外殻ボトル本体とを有し、
前記内容器体は、前記外口部の内周側に配設された内口部と、前記内口部に連設され、前記外殻ボトル本体の内面形状に沿う形状の内容器体本体とを有し、
前記外口部と前記内口部との間に、前記外殻ボトル本体と前記内容器体本体との間に流体を導入する通路が形成され、
前記外殻ボトル本体の底部に接地部が形成され、
前記接地部の内側の内面に前記内容器体本体の底部が密着しているポリエステル樹脂製多重ボトルを製造するための多重ボトル製造方法であって、
前記外殻ボトルを形成する有底筒状の外プリフォームの内側に、前記内容器体を形成する有底筒状の内プリフォームを配置するとともに、前記外プリフォームと前記内プリフォームとの間に、前記外殻ボトルと前記内容器体との離間を促す離型剤を介在させる配置工程と、
前記外プリフォーム及び前記内プリフォームを、金型の内部に配置して、ブロー成形してポリエステル樹脂製の多重ボトルを形成する成形工程とを備え、
前記外プリフォーム及び前記内プリフォームの少なくとも一方は、前記成形工程で前記ブロー成形後に前記接地部を形成する部位近傍
に、前記外プリフォームの内周面と前記内プリフォームの外周面との間隔を狭め
られた形状とする
ための段差部を有し、
前記段差部と、前記外プリフォームの内周面と、前記内プリフォームの外周面とは、前記段差部の前記通路を形成する側に、前記離型剤を介在させる空隙部を形成し
、
前記空隙部は、前記段差部によって、前記ブロー成形後に前記接地部よりも内側となる部分側への前記離型剤の侵入を防止していることを特徴とする多重ボトル製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の多重ボトル製造方法において、
前記段差部は、前記外プリフォームの内周面に周状に形成されていることを特徴とする多重ボトル製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の多重ボトル製造方法において、
前記配置工程で、前記段差部と前記段差部に対向する面との間隔を、1.0mm以下にすることを特徴とする多重ボトル製造方法。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多重ボトル製造方法において、
前記配置工程で、前記空隙部における前記外プリフォームの内周面と前記内プリフォームの外周面との間隔は、0.1mm~3.0mmであることを特徴とする多重ボトル製造方法。
【請求項5】
外殻ボトルを形成する有底筒状のポリエステル樹脂製の外プリフォームと、前記外プリフォームの内側に配置され、容積を減少させて変形可能な内容器体を形成する有底筒状のポリエステル樹脂製の内プリフォームとを備え、
ブロー成形により、接地部が底部に形成された前記外殻ボトル、及び、前記外殻ボトルの内面に沿う形状の前記内容器体を備え、前記接地部の内側の内面に前記内容器体の底部の外面が密着しているポリエステル樹脂製多重ボトルを製造するための多重ボトル用プリフォームであって、
前記外プリフォームは、前記ブロー成形後に前記接地部を形成する部位近傍
に、前記外プリフォームの内周面と前記内プリフォームの外周面との間隔を狭められた形状とする
ための段差部を有し、
前記段差部と、前記外プリフォームの内周面と、前記内プリフォームの外周面とは、前記段差部を底部とする空隙部を形成し、
前記空隙部に、前記外殻ボトルと前記内容器体との離間を促す離型剤を介在させることを可能とする構成であ
り、
前記空隙部は、前記段差部によって、前記ブロー成形後に前記接地部よりも内側となる部分側への前記離型剤の侵入を防止していることを特徴とする多重ボトル用プリフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル樹脂製の外殻ボトルと、その外殻ボトルの内部に配置され、容積を減少させて変形可能なポリエステル樹脂製の内容器体とを備えた合成樹脂製の多重ボトルを製造するための多重ボトル製造方法、及び、多重ボトル用プリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外圧に対して原形復帰可能な外殻ボトルの内部に、内容物の減少に伴って容積を減少させるように変形(以下、「減容変形」ということがある。)する内容器体を配置するとともに、外殻ボトルと内容器体との間に外気が導入されるようにした合成樹脂製の多重ボトルが知られている。
【0003】
この多重ボトルは、通常、逆止弁を備えた注出キャップを口部に取り付けて使用され、外殻ボトルの胴部が押圧された際には、押圧による外殻ボトルの変形とともに内容器体が減容変形して、内容器体に収容されている内容物が注出される。一方、押圧が解除されると、外殻ボトルと内容器体との間に外気が導入され、外殻ボトルは原形復帰する。
【0004】
一方、内容器体は、外気の侵入が阻止され減容変形された状態が維持される。これにより、この多重ボトルによれば、内容器体に収容されている内容物が酸化等により変質することを防止することができる。
【0005】
この種の多重ボトルとしては、減容変形が容易な軟質のポリエチレン樹脂を用いて、外殻ボトル及び内容器体を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
ところで、ポリエステル樹脂製(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂製)の容器は、ポリエチレン樹脂製の容器と比較して、透明性や、収容している内容物の香味の保持性等が優れている。そこで、特許文献1に記載のような多重ボトルにおいて、ポリエチレン樹脂に代わりポリエステル樹脂を用いて外殻ボトル及び内容器体を形成する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかし、多重ボトルをブロー成形によって形成する場合、ポリエステル樹脂を用いて外殻ボトル及び内容器体を形成すると、ポリエチレン樹脂を用いて形成した場合に比べて、外殻ボトルと内容器体との剥離離間性が低下し、内容器体が外殻ボトルに張り付いて剥離し難くなり、外殻ボトルと内容器体との間に空気が入り難くなり、内容器体が減容変形しにくくなるおそれがある。
【0008】
そこで、剥離離間性を向上させるために、ブロー成形を行う前の段階において、内容器体を形成する内プリフォームと外殻ボトルを形成する外プリフォームとの間に、離型剤を介在させる方法がある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2013-245010号公報
【文献】特開2017-128383号公報
【文献】特開2017-186059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、離型剤が外プリフォーム及び内プリフォームの多重ボトルの底部となる部分にまで侵入してしまうと、形成された多重ボトルの底部においても、内容器体の底部の剥離が生じやすくなってしまう。
【0011】
そして、底部において、とりわけボトル底部の接地部の内側部(すなわち、ボトル軸心側)において内容器体の底部の剥離が生じると、外殻ボトルの胴部が押圧された際に、内容器体が減容変形したとき、内容器体の底部がボトル口部の方向に引かれ内容器体を所定の形(例えば、径方向にのみ縮径した形)になるように減容変形させることができないおそれがあった。ひいては、内容器体から全ての内容物を注出しきれなくなるおそれがあった。
【0012】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、底部、特にボトル接地部の内側部では外殻ボトルから内容器体が剥離しにくく、底部以外では外殻ボトルから内容器体が剥離しやすいポリエステル樹脂製の多重ボトルを製造するための多重ボトル製造方法、及び、ポリエステル樹脂製多重ボトルを製造するための多重ボトル用プリフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の多重ボトル製造方法は、
ポリエステル樹脂製の外殻ボトルと、前記外殻ボトルの内部に配置され、容積を減少させて変形可能なポリエステル樹脂製の内容器体とを備え、
前記外殻ボトルは、外口部と、前記外口部に連設された外殻ボトル本体とを有し、
前記内容器体は、前記外口部の内周側に配設された内口部と、前記内口部に連設され、前記外殻ボトル本体の内面形状に沿う形状の内容器体本体とを有し、
前記外口部と前記内口部との間に、前記外殻ボトル本体と前記内容器体本体との間に流体を導入する通路が形成され、
前記外殻ボトル本体の底部に接地部が形成され、
前記接地部の内側の内面に前記内容器体本体の底部が密着しているポリエステル樹脂製多重ボトルを製造するための多重ボトル製造方法であって、
前記外殻ボトルを形成する有底筒状の外プリフォームの内側に、前記内容器体を形成する有底筒状の内プリフォームを配置するとともに、前記外プリフォームと前記内プリフォームとの間に、前記外殻ボトルと前記内容器体との離間を促す離型剤を介在させる配置工程と、
前記外プリフォーム及び前記内プリフォームを、金型の内部に配置して、ブロー成形してポリエステル樹脂製の多重ボトルを形成する成形工程とを備え、
前記外プリフォーム及び前記内プリフォームの少なくとも一方は、前記成形工程で前記ブロー成形後に前記接地部を形成する部位近傍に、前記外プリフォームの内周面と前記内プリフォームの外周面との間隔を狭められた形状とするための段差部を有し、
前記段差部と、前記外プリフォームの内周面と、前記内プリフォームの外周面とは、前記段差部の前記通路を形成する側に、前記離型剤を介在させる空隙部を形成し、
前記空隙部は、前記段差部によって、前記ブロー成形後に前記接地部よりも内側となる部分側への前記離型剤の侵入を防止していることを特徴とする。
【0014】
このように、本発明の多重ボトル製造方法では、外プリフォームと内プリフォームとの間に離型剤を介在させてから、ブロー成形して多重ボトルを形成している。これにより、形成された多重ボトルでは、外プリフォームから形成された外殻ボトルと内プリフォームから形成された内容器体との間に離型剤が介在しているので、接地部を形成する部位より内側部を除き、外殻ボトルから内容器体が剥離し易くなっている。
【0015】
ここで、この多重ボトルの製造方法の配置工程においては、離型剤を介在させるための空間として、空隙部を形成している。この空隙部は、段差部と、外プリフォームの内周面と、内プリフォームの外周面とで形成されている。
【0016】
ここで、空隙部を形成する段差部は、成形工程でブロー成形後に接地部を形成する部位近傍で、外プリフォームの内周面と内プリフォームの外周面との間隔を狭める形状となっている。
【0017】
そのため、この段差部によって、空隙部から成形工程でブロー成形後に接地部よりも内側となる部分側へ、離型剤が侵入してしまうことが防止される。すなわち、段差部を用いて形成された空隙部に介在する離型剤は、成形工程で底部の接地部よりも内側の部分へ侵入しにくくなる。
【0018】
したがって、本発明の多重ボトル製造方法によれば、底部のうち接地部よりも外側の部分においては、離型剤によって、外殻ボトルから内容器体が剥離しやすく、且つ、底部のうち接地部よりも内側の部分においては、離型剤の侵入が防止されているので、外殻ボトルから内容器体底部が剥離しにくいポリエステル樹脂製の多重ボトルを製造することができる。
【0019】
また、本発明の多重ボトル製造方法においては、
前記段差部は、前記外プリフォームの内周面に周状に形成されていてもよい。
【0020】
本発明の多重ボトル製造方法においては、
前記配置工程で、前記段差部と前記段差部に対向する面との間隔を、1.0mm以下にすることが好ましい。
【0021】
このように構成すると、ブロー成形の際にプリフォームが延伸温度に加熱された際には、内プリフォームの筒状胴部外面と外プリフォーム内面が接近し、段差部が対向する面に接するので、その加熱によって離型剤が流動しやすくなっても、その離型剤が外プリフォーム底部と内プリフォーム底部との間(ひいては、多重ボトルの底部)に侵入することを防止することができる。
【0022】
また、ブロー成形の際に段差部とそれに対向する面とが効率よく圧着されるので、ブロー成形後には、形成された多重ボトルの接地部よりも内側の部分における剥離を防止することができる。
【0023】
本発明の多重ボトル製造方法においては、
前記配置工程で、前記空隙部における前記外プリフォームの内周面と前記内プリフォームの外周面との間隔は、0.1mm~3.0mmであることが好ましい。
【0024】
外プリフォームの内周面と内プリフォームの外周面との間隔が0.1mm未満である場合、外プリフォームの内周面と内プリフォームの外周面との間に十分な量の離型剤を介在させることができなくなるおそれがある。そのため、外プリフォームで形成される外殻ボトルと内プリフォームで形成される内容器体との剥離離間性を、十分に確保することができなくなるおそれがある。
【0025】
一方、その間隔が3.0mmを超える場合、外プリフォームと内プリフォームとを所定の延伸温度まで加熱するときに、外プリフォームと内プリフォームとの間の温度差が大きくなり、外プリフォームと内プリフォームとを同時にブロー成形しにくくなるおそれがある。
【0026】
そこで、このように、その間隔を0.1mm~3.0mmにすると、十分な剥離離間性を確保しつつ、外プリフォームと内プリフォームとを同時にブロー成形しやすくすることができる。
【0027】
本発明の多重ボトル用プリフォームは、
外殻ボトルを形成する有底筒状のポリエステル樹脂製の外プリフォームと、前記外プリフォームの内側に配置され、容積を減少させて変形可能な内容器体を形成する有底筒状のポリエステル樹脂製の内プリフォームとを備え、
ブロー成形により、接地部が底部に形成された前記外殻ボトル、及び、前記外殻ボトルの内面に沿う形状の前記内容器体を備え、前記接地部の内側の内面に前記内容器体の底部の外面が密着しているポリエステル樹脂製多重ボトルを製造するための多重ボトル用プリフォームであって、
前記外プリフォームは、前記ブロー成形後に前記接地部を形成する部位近傍に、前記外プリフォームの内周面と前記内プリフォームの外周面との間隔を狭められた形状とするための段差部を有し、
前記段差部と、前記外プリフォームの内周面と、前記内プリフォームの外周面とは、前記段差部を底部とする空隙部を形成し、
前記空隙部に、前記外殻ボトルと前記内容器体との離間を促す離型剤を介在させることを可能とする構成であり、
前記空隙部は、前記段差部によって、前記ブロー成形後に前記接地部よりも内側となる部分側への前記離型剤の侵入を防止していることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態に係る多重ボトルの構成を示す斜視図。
【
図3】
図1の多重ボトルの多重ボトル用プリフォームの断面図。
【
図4】
図3の多重ボトル用プリフォームの要部の拡大図。
【
図5】
図1の多重ボトルの製造方法を模式的に示す断面図であり、
図5Aは金型に多重ボトル用プリフォームを取り付けた状態、
図5Bはブロー成形の際の状態、
図5Cはブロー成形後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本実施形態に係るポリエステル樹脂製多重ボトルである多重ボトル1、及び、その製造方法について説明する。
【0031】
まず、
図1及び
図2を参照して、多重ボトル1について説明する。
【0032】
図1及び
図2に示すように、多重ボトル1は、外圧に対して原形復帰可能な外殻ボトル2と、外殻ボトル2の内部に配置され、内容物の減少に伴って容積を減少させるように変形する内容器体3とを備えている。なお、本実施形態では、
【0033】
外殻ボトル2及び内容器体3は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を好適樹脂として用いているが、それに限定されず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフラノエート樹脂等のポリエステル樹脂を単独で用いてもよいし、併用してもよい。
【0034】
外殻ボトル2は、円筒状の外口部20と、外口部20に連設している肩部21と、肩部21に連設している円筒状の胴部22と、胴部22に連設している胴部下方部23とを備えている。外殻ボトル2では、肩部21、胴部22及び胴部下方部23によって、有底筒状の外殻ボトル本体24が形成されている。
【0035】
外口部20は、外周面に雄ネジ部20aと、雄ネジ部20aの下方に設けられたサポートリング20bとを有している。雄ネジ部20aには、逆止弁付きキャップ(不図示)の内周面に形成されている雌ネジ部が螺合する。これにより、外口部20に逆止弁付きキャップが取り付けられる。
【0036】
肩部21は、全体として、上端部(すなわち、外口部20に連設している部分)から下端部(すなわち、胴部22に連設している部分)に向かって、拡径しながら次第に薄肉となるように形成されている。
【0037】
肩部21の上方部分は、下方に向かって次第に拡径する略四角錐状に形成されている。肩部21の下方部分は、下方に向かって次第に拡径しつつ、四角錘の角が滑らかになるように形成されている。そのため、その下方部分は、下端部(すなわち、胴部22に連設している部分)では、円筒状となっている。
【0038】
胴部22は、上下方向に延びる中心軸線に直交する断面が略円形となるように構成されている。これにより、胴部22は、その中心軸線に対して任意の方向から押圧して、変形させることができるようになっている。
【0039】
胴部22の肉厚は、0.20~0.40mm、好ましくは、0.20~0.35mmの範囲に設定されている。肉厚をこのような厚さにすると、外殻ボトル2は、手の押圧力で滑らかに変形し、その押圧力を解除すると滑らかに原形復帰することができるという優れたスクイズ性を得ることができる。
【0040】
胴部22は、筒状の胴部下方部23を介して、接地部23bにつながっている。
【0041】
胴部下方部23の筒状部分のうちの下方部分は、上方に向かって次第に拡径する略四角形錘状に形成されている。筒状部分のうちの上方部分は、上方に向かって次第に拡径しつつ、四角錘の角が滑らかになるように形成されている。そのため、その上方部分は、上端部すなわち、胴部22に連設している部分)では、円筒状となっている。
【0042】
また、胴部下方部23は、環状の接地部23bに連接し、その内側に多段状に膨出している底部23aを備えている。
【0043】
底部23aは、四角錘台状凹部を3段に重ねた形状となっている。外殻ボトル2は、この底部23aを設けることによって、自立性が付与されている。
【0044】
肩部21の上方部分、及び、胴部下方部23の筒状部分のうちの下方部分では、中心軸線に直交する水平断面が、四角形状となっている。肩部21の稜線は、胴部下方部23の筒状部分の稜線の延長線上に位置している。
【0045】
図2に示すように、内容器体3は、外口部20の内周側に配設されている円筒状の内口部30と、内口部30に連設され、外殻ボトル本体24の内面形状に沿う形状の内容器体本体31とを備えている。
【0046】
内口部30は、その上端部に外口部20の上端よりも上方に延出された筒状の延出部30aと、延出部30aの上端部の周縁から径方向外方に張り出す鍔部30bとを有している。内口部30は、鍔部30bにより外口部20の上端縁に係止されている。
【0047】
また、内口部30は、その外周面に周方向に間隔を存して、内口部30の中心軸線に沿って上下方向に延びる複数の縦溝30cが形成されている。縦溝30cは、内口部30の下端まで延びている。なお、縦溝30cは、1つだけであってもよい。
【0048】
また、内口部30は、鍔部30bの下面に、内口部30の径方向に延びる横溝30dが形成されている。横溝30dの内周の部分は、縦溝30cの上端部に連設されている。すなわち、横溝30dは、縦溝30cと同数設けられている。また、横溝30dの外周側の部分は、鍔部30bの外周縁で外部に開放されている。
【0049】
縦溝30c及び横溝30dによって、外口部20と内口部30との間に、通路4が形成されている。通路4は、外殻ボトル本体24と内容器体本体31との間に流体を導入する。このようにして導入された流体、及び、後述する離型剤との作用によって、それらの間に空間が形成される。
【0050】
内容器体本体31は、外殻ボトル本体24よりも薄肉に形成されている。具体的には、内容器体本体31の肉厚は、0.03~0.20mm、好ましくは、0.05~0.15mmの範囲に設定されている。これにより、内容器体本体31は、外殻ボトル本体24の押圧による変形に対応して、容易に減容変形することができるようになっている。
【0051】
このように構成されている多重ボトル1は、逆止弁付き注出キャップを外殻ボトル2の外口部20に装着して用いられる。内容器体3に収容されている内容物を注出するときには、まず、使用者は、外口部20及び内口部30を、下方に向くように傾ける。そして、使用者が外殻ボトル2の胴部22を把持して押圧すると、内容器体本体31が減容変形する。これにより、内容物は、内容器体3本体から押し出されて、内口部30から注出される。
【0052】
内容物を注出した後、外殻ボトル2の胴部22の押圧を解除すると、外殻ボトル2と内容器体本体31との間に通路4を構成する縦溝30cから肩部21と内容器体本体31との間に外気が導入される。外殻ボトル2は、復元力によって、原形復帰する。一方、内容器体本体31は、別途設けられた逆止弁により外気の侵入が阻止され、減容変形したままの状態が維持される。
【0053】
このとき、内容物は重力により内口部30側に集中しているので、内容器体本体31の外殻ボトル2の胴部下方部23の筒状部分の稜線に挟まれている部分に対応する側面部分に、内容器体本体31の内側への谷折れ部が形成される。そして、内容器体本体31は、その部分を起点として、外殻ボトル2から剥離するとともに、その谷折り部に沿って内側に没入することによって、外殻ボトル2の長さ方向に沿うように谷折れ変形する。
【0054】
そのため、多重ボトル1では、内容器体本体31に収容されている内容物を注出するために、外殻ボトル2の胴部22の押圧とその押圧の解除とを繰り返すと、内容物が減少するとともに、内容器体本体31の谷折れ変形が進行して、内容器体本体31が折り畳まれるような減容変形が進行する。
【0055】
ところで、多重ボトル1は、その底面に、底部23aを備えている。この底部23aの内面には、ブロー成形時にも後述する段差部50eによって離型剤の侵入が防止されるので、ブロー成形時の加熱圧着により、内容器体本体31が密着している。
【0056】
また、底部23aは、積層された四角錐台状の複数の凹部で構成されている。そのため、底部23a近傍では、外殻ボトル2と内容器体本体31との間に外気が侵入しにくくなっており、内容器体本体31が外殻ボトルから剥離しにくくなっている。
【0057】
そのため、多重ボトル1では、内容器体本体31に収容されている内容物を注出することによって、内容器体本体31に外殻ボトル2の長さ方向に沿うような谷折れ変形が生じた場合にも、外殻ボトル2の接地部23bの内側部の底部23aでは、外殻ボトル2から内容器体3が剥離しない。
【0058】
これにより、多重ボトル1では、内容器体本体31から内容物を注出した際には、内容器体3が、外殻ボトル2の底部23aから剥離しないまま、外殻ボトル2の長さ方向に沿うように谷折れ変形する。すなわち、内容器体本体31の変形が、内容物の移動を阻害しにくい変形となるように制限されている。
【0059】
したがって、多重ボトル1では、内容器体本体31が減容変形した際に、変形した内容器体本体31に内容物の移動が阻害されて、内容物が内容器体本体31に残留してしまうことを抑制することができるようになっている。
【0060】
次に、
図3及び
図4を参照して、ブロー成形によって多重ボトル1を形成するポリエステル樹脂製多重ボトル用プリフォーム(以下、「プリフォーム5」という。)について説明する。
【0061】
プリフォーム5は、外殻ボトル2を形成する外プリフォーム50と、その外プリフォーム50の内側に配設され、内容器体3を形成する内プリフォーム51とを備えている。多重ボトル1は、プリフォーム5を、所定の延伸温度で二軸延伸ブロー成形することによって製造される。その所定の延伸温度は、外プリフォーム50及び内プリフォーム51に用いられる樹脂の種類、肉厚、大きさ等に基づいて、設定される。
【0062】
外プリフォーム50及び内プリフォーム51は、外殻ボトル2及び内容器体3を形成するためのものであるので、ポリエステル樹脂を用いて、射出成形により形成されている。
【0063】
外プリフォーム50は、外殻ボトル2の外口部20と同一形状の外プリフォーム口部50aと、外プリフォーム口部50aの下方に連設された円筒状の外プリフォーム胴部50bと、外プリフォーム胴部50bの下端開口を閉塞する半球状の外プリフォーム底部50cとを備えている。また、外プリフォーム口部50aの外周面には、外殻ボトル2のサポートリング20bと同一形状のサポートリング部50dが設けられている。
【0064】
内プリフォーム51は、内容器体3の内口部30と同一形状の内プリフォーム口部51aと、内プリフォーム口部51aの下方に連設された円筒状の内プリフォーム胴部51bと、内プリフォーム胴部51bの下端開口を閉塞する半球状の内プリフォーム底部51cとを備えている。
【0065】
外プリフォーム胴部50bと内プリフォーム胴部51bとの間には、外プリフォーム胴部50bの内周面、及び、内プリフォーム胴部51bの外周面の少なくとも一方に塗布することによって、離型剤が介在している。離型剤としては、例えば、流動パラフィン、延伸温度では液状となるパラフィン、シリコン系化合物等が用いられる。
【0066】
ここで、後述する段差部50eよりも上方の部分において、外プリフォーム50の外プリフォーム胴部50bと内プリフォーム51の内プリフォーム胴部51bとの間隔は、0.1mm~3.0mmとなっている。
【0067】
この間隔が0.1mm未満である場合、外プリフォーム50の外プリフォーム胴部50bと内プリフォーム51の内プリフォーム胴部51bとの間に十分な量の離型剤を介在させることができなくなるおそれがある。そのため、外プリフォーム50で形成される外殻ボトル2と内プリフォーム51で形成される内容器体3との剥離離間性を、十分に確保することができなくなるおそれがある。
【0068】
一方、この間隔が3.0mmを超える場合、外プリフォーム50と内プリフォーム51とを所定の延伸温度まで加熱するときに、外プリフォーム50と内プリフォーム51との間の温度差が大きくなり、外プリフォーム50と内プリフォーム51とを同時にブロー成形しにくくなるおそれがある。
【0069】
ところで、上記のように外プリフォーム50の外プリフォーム胴部50bと内プリフォーム51の内プリフォーム胴部51bとの間に離型剤を介在させている場合、例えば、ブロー成形の際の加熱によって離型剤の流動性が上昇してしまうと、意図している部分以外の部分にまで、離型剤が浸入してしまうおそれがある。具体的には、離型剤が多重ボトル1の底部23aとなる部分にまで侵入してしまうおそれがある。
【0070】
そのようにして、離型剤が多重ボトル1の底部23aとなる部分にまで侵入してしまうと、形成された多重ボトル1の底部23aにおいても、剥離が生じやすくなってしまう。そして、底部23aにおいて剥離が生じてしまうと、外殻ボトル2の胴部22が押圧された際に、内容器体3を所定の形(例えば、径方向にのみ縮径した形)になるように減容変形させることができないおそれがあった。ひいては、内容器体3から全ての内容物を注出しきれなくなるおそれがあった。
【0071】
そこで、
図4に示すように、プリフォーム5では、外プリフォーム50の内周面に、対向する面(すなわち、内プリフォーム51の外周面)に向かって張り出す周状(環状)の段差部50eを設けている。
【0072】
この段差部50eは、ブロー成形後において接地部23bを形成する部位近傍で、外プリフォーム50の内周面と内プリフォーム51の外周面との間隔を狭められた形状とするためのものである。
【0073】
そして、段差部50eと、外プリフォーム胴部50bの内周面のうちの段差部50eよりも上側の部分と、内プリフォーム胴部51bの外周面とによって、離型剤を保持するための空隙部6を形成している。空隙部6は、筒状の空間を画成しており、ブロー成形の前においては、その空間の内部で、離型剤が保持される。
【0074】
空隙部6は、段差部50eの縦溝30cを形成する側(具体的には、
図4において上方側)に、形成される。すなわち、空隙部6の底部は、段差部50eによって構成されている。ここで、段差部50eは、外プリフォーム50の内周面のうち、ブロー成形後に接地部23bを形成する部位近傍に設けられている。
【0075】
そのため、ブロー成形の際及びブロー成形後においては、段差部50eによって、空隙部6である筒状の空間から外殻ボトル2の接地部23bよりも内側となる部分側(具体的には、底部23aの形成されている領域)、すなわち、底部23aへの離型剤の侵入が、防止されている。
【0076】
段差部50eは、対向する面(具体的には、内プリフォーム胴部51bの外周面)に向かって張り出すように構成されている。そして、プリフォーム5においては、段差部50eと対向する面との間隔は、外プリフォーム胴部50bと内プリフォーム胴部51bとの間隔よりも狭くなるように構成されている。具体的には、1.0mm以下、好ましくは0mmとなるように構成されている。
【0077】
このように構成すると、ブロー成形の際にプリフォーム5が加熱された際には、内プリフォーム胴部51bが径方向に膨張して対向する段差部に接し、前記加熱によって離型剤が流動しやすくなっても、その離型剤が外プリフォーム底部50cと内プリフォーム底部51cとの間(ひいては、多重ボトル1の底部23a)に侵入してしまうことを防止することができる。
【0078】
また、ブロー成形の際に段差部50eとそれに対向する面とが効率よく圧着されるので、ブロー成形後には、形成された多重ボトル1の接地部23bよりも内側の部分における剥離を抑制できる。
【0079】
次に、
図5を参照して、多重ボトル1を製造するためのブロー成形装置7について説明する。
【0080】
図5に要部を示すように、ブロー成形装置7は、金型70と、ブローノズル71と、ストレッチロッド72とを備えている。
【0081】
金型70は、外殻ボトル2の外口部20から下の外殻ボトル本体24の外周面における外形に沿う形状の成形部70aと、外プリフォーム50の外プリフォーム口部50aのサポートリング部50dを下方から支持する支持開口部70bとを備えている。金型70は割型構造であり、左右側と底部側とで分割することによって成形後の多重ボトル1が脱型できるようになっている。
【0082】
ブローノズル71は、昇降手段(不図示)により昇降され、Oリング71aを介して、内プリフォーム51の内プリフォーム口部51aの上端面に気密に当接する。ブローノズル71のOリングよりも内周側の部分には、高圧気体供給手段(不図示)に接続された気体通路71bが形成されている。気体通路71bには、ストレッチロッド72が上下方向に移動自在に挿通している。
【0083】
ストレッチロッド72は、進退駆動手段(不図示)によってブロー成形時に前進される。なお、ブロー成形の初期状態を示す
図5Aにおいては、ストレッチロッド72は、ブローノズル71の先端から突出しているが、未使用時には後退されてブローノズル71の内方(図中上方)に収納されている。
【0084】
次に、
図3及び
図5を参照して、ブロー成形装置7を用いて、プリフォーム5から多重ボトル1をブロー成形により形成する製造方法について説明する。なお、
図5は、左から順に、初期状態(
図5A)、ブロー成形中の状態(
図5B)、ブロー成形完了後の状態(
図5C)を示す。
【0085】
この製造方法においては、まず、
図3に示すように、内プリフォーム51を、外プリフォーム50に挿入して、外プリフォーム50の内側に配置する。このとき、外プリフォーム50と内プリフォーム51との間に、空隙部6(
図4参照)を形成するとともに、その空隙部6に、外殻ボトル2と内容器体3との離間を促すための離型剤を介在させる。この工程が、本発明における配置工程である。
【0086】
次に、
図5Aに示すように、内プリフォーム51が内側に配設された外プリフォーム50(すなわち、プリフォーム5)を金型70にセットした後、内プリフォーム51の内プリフォーム口部51aにブローノズル71を接続する。このとき、プリフォーム5は、金型70にセットされる前に、ブロー成形可能な所定の延伸温度に加熱される。
【0087】
次に、
図5Bに示すように、ブローノズル71の気体通路71bから内プリフォーム51の内部に加圧空気を導入するとともに、ストレッチロッド72を下方に伸長させる。
【0088】
これにより、まず、内プリフォーム51の内プリフォーム胴部51bが膨張して未膨張状態の外プリフォーム50の外プリフォーム胴部50bの内面に密着する。
【0089】
その後、さらに内プリフォーム51の内部に加圧空気を導入しつつ、ストレッチロッド72を下方に伸長させると、膨張した内プリフォーム51の内プリフォーム胴部51bにより外プリフォーム50の外プリフォーム胴部50bが押し広げられる。
【0090】
これにより、
図5Cに示すように、外プリフォーム50の外プリフォーム胴部50bが、金型70の成形部70aの内面形状に沿うように成形されて、外殻ボトル2の外殻ボトル本体24が形成される。また、内プリフォーム51の内プリフォーム胴部51bが、外殻ボトル2の外殻ボトル本体24の内面形状に沿うように成形されて、内容器体3の内容器体本体31が形成される。
【0091】
以上の
図5A~
図5Cを参照して説明した工程が本発明の成形工程である。この工程の終了時において、外殻ボトル2の外殻ボトル本体24の内面には、内容器体3の内容器体本体31の外面が密着した状態になっている。
【0092】
これらの工程が終了した後には、多重ボトル1の内部からストレッチロッド72が退避させられて、金型70から多重ボトル1が取り外される。
【0093】
以上説明したように、この多重ボトル製造方法では、外プリフォームと内プリフォームとの間に離型剤を介在させてから、ブロー成形して多重ボトルを形成している。これにより、形成された多重ボトルでは、外プリフォームから形成された外殻ボトルと内プリフォームから形成された内容器体との間にも離型剤が介在しているので、外殻ボトルから内容器体を剥離し易くなっている。
【0094】
ここで、この多重ボトルの製造方法の配置工程においては、離型剤を介在させるための空間として、空隙部6を形成している。この空隙部6は、段差部50eの上方の、外プリフォーム50の内周面と、内プリフォーム51の外周面とで形成されている。
【0095】
ここで、空隙部6を形成する段差部50eは、成形工程でブロー成形後に接地部23bを形成する部位近傍で、外プリフォーム50の内周面と内プリフォーム51の外周面との間隔を狭めた形状となっている。
【0096】
そのため、この段差部50eによって、空隙部6から成形工程でブロー成形後に接地部23bよりも内周側となる部分側へ、離型剤が侵入してしまうことが防止される。すなわち、段差部50eを用いて形成された空隙部6に介在させられている離型剤は、成形された胴部下方部23のうち接地部23bよりも内側の部分へ侵入しにくくなる。
【0097】
したがって、この多重ボトル製造方法によれば、胴部下方部23のうち接地部23bよりも外周側の部分においては、離型剤によって、外殻ボトルか2ら内容器体3が剥離しやすく、且つ、胴部下方部23のうち接地部23bよりも内周側の部分においては、離型剤の侵入が防止されているので、外殻ボトル2から内容器体3が剥離しにくい合成樹脂製の多重ボトル1を製造することができる。
【0098】
また、この多重ボトル製造方法においては、外プリフォーム50の内周面と内プリフォーム51の外周面との間隔は、0.1mm~3.0mmとなっている。このように構成した場合、外プリフォーム50と内プリフォーム51とが十分に接近した状態でブロー成形が行われる。これにより、ブロー成形の際には、外プリフォーム50と内プリフォーム51とが離型剤を介して密着して、それらが一体的に延伸される。
【0099】
すなわち、ブロー成形の際には、内プリフォーム51がブロー成形の早い段階で外プリフォーム50の内周面に接して支えられる。その結果、ポリエチレン樹脂よりも柔軟性の劣るポリエステル樹脂を用いる場合であっても、肉厚ムラ、及び、ピンホールの発生を抑制しつつ、0.03mm~0.2mmという薄肉の内容器体3を製造することができる。
【0100】
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0101】
例えば、上記実施形態においては、段差部50eは、環状の部材として構成されている。しかし、本発明の段差部は、そのような構成に限定されるものではなく、段差部の形状は、外プリフォームの内周面及び内プリフォームの外周面とともに、筒状の空間を画成する空隙部を形成できる形状であればよい。
【0102】
例えば、段差部は、有底筒状の外プリフォームの胴部の内周面、又は、有底筒状の内プリフォームの胴部の外周面の全周に亘って、連続的に形成されている環状のものであってもよい。また、外プリフォームの底部の外周面、又は、内プリフォームの底部の外周面全域を覆うような形状あってもよい。
【0103】
また、例えば、段差部の空隙部の底となる面の形状は、略水平な平坦な形状の他、外周側又は内周側に向かって傾斜するテーパ状であってもよいし、曲線状、階段状等であってもよい。
【0104】
また、上記実施形態においては、好適実施態様として、段差部50eは、外プリフォーム50の内周面に、対向する面に向かって張り出すように構成されている。しかし、本発明の段差部は、そのような構成に限定されるものではない。段差部は、外プリフォーム及び内プリフォームの少なくとも一方に設けられていればよい。
【0105】
そのため、例えば、段差部は、内プリフォームの外周面に設けてもよいし、外プリフォームの内周面及び内プリフォームの外周面の両方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…多重ボトル、2…外殻ボトル、3…内容器体、4…通路、5…プリフォーム(多重ボトル用プリフォーム)、6…空隙部、7…ブロー成形装置、20…外口部、20a…雄ネジ部、20b…サポートリング、21…肩部、22…胴部、23…胴部下方部、23a…底部、23b…接地部、24…外殻ボトル本体、30…内口部、30a…延出部、30b…鍔部、30c…縦溝、30d…横溝、31…内容器体本体、50…外プリフォーム、50a…外プリフォーム口部、50b…外プリフォーム胴部、50c…外プリフォーム底部、50d…サポートリング部、50e…段差部、51…内プリフォーム、51a…内プリフォーム口部、51b…内プリフォーム胴部、51c…内プリフォーム底部、70…金型、70a…成形部、70b…支持開口部、71…ブローノズル、71a…Oリング、71b…気体通路、72…ストレッチロッド。