(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】杭工事管理装置、表示方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20231023BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2019147512
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越田 崇譲
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚嗣
(72)【発明者】
【氏名】川上 直紀
(72)【発明者】
【氏名】栗原 善正
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 純一
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-028923(JP,A)
【文献】特開2014-185472(JP,A)
【文献】特開2017-045163(JP,A)
【文献】特開2015-148496(JP,A)
【文献】特開2006-283294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
G16H 10/00 -80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の杭、及び前記複数の杭に支持される架台を設置する工事エリアを規定するマップを記憶するマップデータ記憶部と、
前記複数の杭の工事状況を記憶する工事管理データ記憶部と、
情報を表示する表示部と、
ユーザの入力操作を受付ける入力部と、
前記入力部を介してユーザの第1の入力操作を受付けたときに、前記工事管理データ記憶部に記憶される杭の工事状況を前記マップに反映させて前記表示部に表示する制御部と、
を備え
、
前記杭は、複数種類あり、
前記工事管理データ記憶部に記憶される杭の工事状況は、設置した杭の種類を含み、
前記制御部は、前記杭を前記表示部に表示するときに、杭の種類に応じて設定された表示態様で前記杭を表示する、
杭工事管理装置。
【請求項2】
前記工事管理データ記憶部は、前記架台の工事状況を記憶し、
前記制御部は、前記入力部を介してユーザの第2の入力操作を受付けたときに、前記工事管理データ記憶部に記憶される前記架台の工事状況を前記マップに反映させて前記表示部に表示する、
請求項1に記載の杭工事管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記入力部を介してユーザの第3の入力操作を受付けたときに、前記杭の工事状況、及び前記架台の工事状況を前記マップに反映させて前記表示部に表示する、
請求項2に記載の杭工事管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記杭の表示と、前記架台の表示とが重なる場合、前記架台の表示を優先して表示する、
請求項3に記載の杭工事管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記架台の工事状況として前記架台が設置されている旨を表示する場合、当該架台を支持する杭が正しく設置されているか否かを判定し、正しく設置されていないと判定した場合、当該架台の表示態様を正しく設置されていると判定した前記架台から変更する、
請求項3に記載の杭工事管理装置。
【請求項6】
前記杭は、前記種類に応じて設置費用が異なり、
前記制御部は、前記入力部を介してユーザの第4の入力操作を受付けたときに、設置が予定されている杭の設置費用の予定合計金額と、現在設置した杭の状況を反映させた現在予定金額とを前記表示部に表示する、
請求項
1に記載の杭工事管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、杭工事管理装置、表示方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場において計測された作業データを取得することによって、工事現場における作業の信頼性を担保する技術が知られている。例えば、データロガーが作業機械による作業の結果を示す作業データを工程毎に取得し、取得された作業データは、工事現場内通信回線を介して携帯端末に送信される。携帯端末はカメラ機能を有しており、各工程の作業が終了したときに、その作業の出来栄えを示す工事現場写真を撮影する。携帯端末により工事現場画像データが取得されると、直ちに、当該工事現場画像データと、対応する作業データとが関連付けられてサーバへ送信される。このようにサーバが工事現場画像データと、対応する作業データとを関連付けて管理することにより、工事現場における作業の信頼性を担保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、杭を用いた工事現場では種々の工事が行われる。このような工事のうちには複数の杭を地面に打ち込んだ後、当該複数の杭に架台を設置し、さらに、架台上に複数の設置対象物を配置する工事もある。このような作業を広大な範囲で行う場合、その工事の進捗状況を管理することは困難である。
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載の技術は作業機械により杭を打ち、その作業結果と、作業の出来栄えのカメラ画像とを管理し、信頼性を担保するが、例えば、数万本という数の杭を打ち、数千という数の架台を設置するような広範囲の工事を管理する場合には、帰って手間がかかる。このため、工事の進捗状況を簡易に把握することができるシステムが望まれていた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、多くの杭や架台を用いる工事の進捗状況を簡易に把握することができる杭工事管理装置、表示方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る、杭工事管理装置は、マップデータ記憶部と、工事管理データ記憶部と、表示部と、入力部と、制御部とを備える。マップデータ記憶部は、複数の杭、及び前記複数の杭に支持される架台を設置する工事エリアを規定するマップを記憶する。工事管理データ記憶部は、前記複数の杭の工事状況を記憶する。表示部は、情報を表示する。入力部は、ユーザの入力操作を受付ける。制御部は、入力部を介してユーザの第1の入力操作を受付けたときに、工事管理データ記憶部に記憶される杭の工事状況を前記マップに反映させて前記表示部に表示する。前記杭は、複数種類ある。前記工事管理データ記憶部に記憶される杭の工事状況は、設置した杭の種類を含む。前記制御部は、前記杭を前記表示部に表示するときに、杭の種類に応じて設定された表示態様で前記杭を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る情報処理装置の概略的な構成の一例を示す図。
【
図2】同実施形態に係るマップデータの全体の一例を示す図。
【
図3】同実施形態に係る所定のエリアの一部の詳細な一例を示す図。
【
図4】同実施形態に係る架台毎の杭の設置場所の一例を示す図。
【
図6】同実施形態に係る工事管理データの一例を示す図。
【
図7】同実施形態に係る杭工事管理プログラムの処理の一例を示すフローチャート。
【
図8】実施形態に係る工事管理状況入力画面の一例を示す図。
【
図9】同実施形態に係る工事管理状況表示画面の一例を示す図。
【
図10】同実施形態に係る杭・架台の設置状況の表示例を示す図。
【
図11】実施形態に係る所定のエリアの一部の詳細な一例を示す図。
【
図12】同実施形態に係る一部の架台にエラーが発生した場合の一例を示す図。
【
図13】同実施形態に係る杭設置状況の表示例を示す図。
【
図14】同実施形態に係る架台設置状況の表示例を示す図。
【
図15】第2同実施形態に係る工事費用状況表示画面の一例を示す図。
【
図16】同実施形態に係る杭費用状況の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、杭工事管理装置である情報処理装置100の概略的な構成の一例を示す図である。情報処理装置100は、例えば、コンピュータ装置である。
図1に示すように、情報処理装置100は、制御部であるCPU10、ROM20、RAM30、表示部40、入力部50、及びHDD60を備えている。
【0011】
CPU10は、中央処理装置であり、HDD60に記憶されているプログラムを読み出し、ROM20、RAM30を用いてプログラムを実行する。ROM20は、不揮発性のメモリであり、CPU10が動作するための基本的なプログラム等が記憶される。RAMは30、揮発性のメモリであり、CPU10がプログラムを実行する際のワークエリア等として用いられる。
【0012】
表示部40は、例えば、ディスプレイであり、ユーザに必要な情報を表示する。本実施形態では、杭工事管理の進捗状況のデータを入力する入力画面、進捗状況を表示する表示画面等を表示する。入力部50は、例えば、キーボードやマウスであり、ユーザは、表示部40の表示に基づいて、所定の指示や情報を入力する。
【0013】
HDD60は、ハード・ディスク・ドライブであり、種々のプログラムやデータを記憶する。なお、ハード・ディスク・ドライブでなくても、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等でも良い。HDD60は、杭工事管理プログラム61、マップデータ記憶部62、杭費用記憶部63、工事管理データ記憶部64を含む。
【0014】
杭工事管理プログラム61は、杭工事の進捗状況を管理するプログラムである。杭工事管理プログラムについての詳細は
図7を参照して後述する。マップデータ記憶部62は、杭工事を行うエリアのマップを記憶する。マップデータについては、
図2から
図4を参照して後述する。杭費用記憶部63は、杭の種類毎の費用を記憶する。杭費用記憶部については、
図5を参照して後述する。工事管理データ記憶部64は、工事の進捗状況を管理する工事管理データを記憶する。工事管理データの詳細については、
図6を参照して後述する。
【0015】
次に、
図2から
図4を参照してマップデータについて説明する。
まず、マップ全体について説明する。
図2は、マップデータ記憶部62に記憶されるマップデータの全体の一例を示す図である。
マップは、道路R1,R2を挟んで6つのエリア(エリアA1からA6)に分けられている。このような構成されるエリアA1からA6の広さを合計すると、マップ全体でドーム球場の広さ数十個分に相当するほど、広範なエリアとなる場合もある。
【0016】
次に、エリアA1の詳細を説明する。
図3は、エリアA1の一部であるエリアA11の詳細の一例を示す図である。
図3に示すように、エリアA11は、複数の架台が配置されて構成されている。なお、説明の都合上エリアA11を例に挙げて説明するが、エリアA1の他のエリア、及び他のエリアA2からエリアA6も同様に構成される。
本実施形態では、架台の種類として、長さの異なる3つの架台M1,M2,M3を用いることとする。また、各架台には、架台を特定する架台番号が付されており、エリアA11内に設置される架台には、架台番号A1-001からA1-017の番号がそれぞれ付されている。この架台番号によりマップ内の架台の設置位置を特定することが可能になる。
【0017】
次に、架台を支持する杭の設置場所について説明する。
図4は、架台毎の杭の設置場所の一例を示す図である。
架台M1は、10個(2×5)の杭で支持されるようになっており、架台M2は、18個(2×9)の杭により支持されるようになっており、架台M3は、36個(2×18)の杭により支持されるようになっている。長手方向の長さは、架台M1がL1、架台M2がL2、架台M3がL3(L1<L2<L3)である。各杭には、杭番号が付されている。架台M1には、杭番号M101からM1110の10個の異なる番号が付されており、架台M2には、杭番号M201からM218の18個の異なる番号が付されており、架台M3には、杭番号M301からM336の36個の異なる番号が付されている。杭番号と、架台番号とを組み合わせることにより、マップ上でどの位置の杭であるかを特定することが可能になる。なお、架台M1,M2,M3には、それぞれ所定数の太陽光パネルモジュールが取り付けられ、工事完成後は、大規模な太陽光発電システムが構成される。なお、架台M1,M2,M3に取り付けられる設置対象物は、太陽光パネルモジュールに限るものはない。
【0018】
次に、杭の種類毎の費用について説明する。
図5は、杭費用の一例を示す図である。
本実施形態では、杭を地面に打ち込む工法として、スクリュ工法と、セメントミルク工法とが用いられる。スクリュ工法は、スクリュ杭を地面に打ち込んで固定し、それを基礎として架台やモジュールを取り付けていく工法である。セメントミルク工法は、掘削したあと杭を挿入し、セメントミルクの根固め液で地盤と一体化する工法である。
【0019】
図5に示すように、スクリュ工法は、杭の表示方法として、「△」が設定され、費用は、A0,000円が設定されている。セメントミルク工法は、杭の表示方法として、「〇」が設定され、費用は、B0,000円(>A0,000円)が設定されている。セメントミルク工法はスクリュ工法より手間がかかるため、費用が高く設定されている。
【0020】
次に、工事管理データについて説明する。
図6は、工事管理データ記憶部64に記憶される工事管理データの一例を示す図である。
工事管理データは、エリア、位置番号、架台の種類、架台設置日、架台検査日、杭位置、杭打込日、工法、および杭検査日が対応付けられている。エリアは、マップ上のエリアであり、本実施形態では、エリアA1からA6のいずれが記憶される。位置番号は、架台が設置される位置、言い換えれば架台番号が記憶される。架台の種類は、M1,M2,M3のいずれかが記憶される。架台設置日は、架台を設置した日が記憶される。架台検査日は、架台を設置後、所定期間経過後に実施される架台の設置状態の検査を行った日が記憶される。杭位置は、架台の種類に応じた杭の位置、言い換えれば杭番号が記憶される。杭打込日は、杭を打ち込んだ日(設置日)が記憶される。工法は、スクリュ(工法)かセメントミルク(工法)かが記憶される。杭検査日は、杭を打ち込んだ後、所定期間経過後に実施される杭の状態の検査を行った日が記憶される。なお、架台と、杭の検査は、1回でなくても所定期間あけて複数回行われてもよい。この場合、検査の回数に応じてフィールドを設けるようにすればよい。
【0021】
図6に示すように、例えば、エリアが「エリアA1」、位置番号「A1-001」には、架台M1が、日付XX/YY/Z2に設置されたことが記憶される。また、この架台を支持する杭番号M101~M110の杭が日付XX/YY/Z1に打ち込まれたことが記憶される。さらに、杭番号M101の杭は、スクリュ工法で、杭番号M102の杭は、セメントミルク工法で、…、杭番号M110の杭はスクリュで打ち込まれたことが記憶される。なお、位置番号「A1-001」の架台及びこの架台を支持する杭は、まだ、検査が行われてないため、検査日が記憶されていない。
【0022】
工事の作業者は、工事が終了した後、打ち込んだ杭の位置、打込日、工法を入力し、設置した架台の種類、位置、設置日を入力する。これにより、工事の進捗状況が工事管理データとして工事管理データ記憶部64に記憶される。
【0023】
次に、杭工事管理プログラム61について説明する。
図7は、杭工事管理プログラム61の処理の一例を示すフローチャートである。なお、当該処理は、CPU10がHDD60に記憶されている杭工事管理プログラム61を読み出して実行することにより、実現される。
【0024】
まず、CPU10は、表示指示か否かを判定する(ST101)。表示指示は、表示部40に表示した所定の表示画面から入力部50の操作によって入力された指示が表示指示を示すか否かに基づいて判定される。例えば、杭工事管理プログラム61の処理結果を表示させる表示画面において、表示ボタンが入力されたか否かに基づいて判定される。表示指示があったと判定した場合(ST101:YES)、ステップST102の処理へ進む。
【0025】
次に、CPU10は、杭及び架台の表示か否かを判定する(ST102)。CPU10は、例えば、既述の表示画面において、杭及び架台表示のボタンが入力されているか否かに基づいて判定する。杭及び架台の表示であると判定した場合(ST102:YES)、CPU10は、マップデータを取得し(ST103)、杭データを取得し(ST104)、架台データを取得する(ST105)。具体的には、CPU10は、マップデータをマップデータ記憶部62から取得し、杭データ、及び架台データを工事管理データ記憶部64の工事管理データから取得する。ここで、杭データは、打込み済みの杭の位置及び杭の工法に関するデータを含むものであり、架台データは、設置済みの架台の位置のデータを含むものである。
【0026】
次に、CPU10は、エラーがあるか否かを判定する(ST106)。ここで、エラーとは、例えば、架台が設置されているにも関わらず、当該架台を支持する杭の本数が合致していない場合が考えられる。一例を挙げれば、架台M1において、本来、当該架台M1に対応する10本の杭が打込まれているはずだが、9本しか杭が打ち込まれていない場合が相当する。なお、エラーは、これに限られるものではなく、工事の設置状態に対して整合が取れていない場合であればよい。他の一例を挙げると、本処理の日付が、架台の設置日から設定されている所定期間後の検査日を過ぎている場合が考えられる。
【0027】
エラーがあると判定した場合(ST106:YES)、CPU10は、エラー対象の表示を変更する(ST107)。具体的には、CPU10は、例えば、架台の表示が青色である場合に、エラーが判定された架台の表示赤色等の暖色系の表示色に変更する。
【0028】
エラーがないと判定した場合(ST106:NO)、又は、ステップST107の表示の変更処理を行った場合(AT107)、CPU10は、表示処理を行う(ST108)。より詳細には、CPU10は、マップ上に、杭のデータと、架台のデータとを重ね合わせて表示部40に表示する処理を行う。本実施形態では、CPU10は、マップ上に杭の位置を重ね合わせ、各杭を杭の工法の表示方法に合わせ、さらに、設置している架台を重ね合わせる。そして、杭の位置と架台の位置が重なる場合は、架台の表示を優先する。また、エラーが判定された架台には、架台の表示色を変更する処理を実行する。このような処理が実行された後、表示部40に処理結果が表示される。なお、表示部40への表示処理の設定(優先度、表示色)については、任意に変更することが可能である。
【0029】
一方、ステップST102において、杭及び架台の表示でないと判定した場合(ST102:NO)、CPU10は、杭の表示か否かを判定する(ST109)。CPU10は、例えば、既述の表示画面において、杭を表示するボタン、又は架台を表示するボタンが入力されているか否かに基づいて判定する。杭を表示するボタンが入力されている場合は、YESと判定され、架台を表示するボタンが入力されている場合は、NOと判定される。
【0030】
杭の表示であると判定した場合(ST109:YES)、CPU10は、ステップST103,ST104の処理と同様に、マップデータを取得し(ST110)、杭データを取得する(ST111)。そして、CPU10は、表示処理を行う(ST108)。より具体的には、CPU10は、マップ上に、杭のデータを重ね合わせて表示部40に表示する処理を行う。
【0031】
また、杭の表示でないと判定した場合(ST109:NO)、つまり、架台の表示であると判定した場合、CPU10は、ステップST103,ST105の処理と同様に、マップデータを取得し(ST112)、架台データを取得する(ST113)。そして、CPU10は、表示処理を行う(ST108)。より具体的には、CPU10は、マップ上に、架台のデータを重ね合わせて表示部40に表示する処理を行う。
【0032】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図8は、工事管理状況入力画面41の一例を示す図である。当該画面41は、ユーザが入力部50に対して所定の操作をすることにより表示部40に表示される。工事管理状況入力画面41には、杭設置状況ボタン41a、架台設置状況ボタン41b、表示ボタン41cが設けられている。
【0033】
杭の工事の作業者は、杭の工事終了後に、杭設置状況ボタン41aを入力した後、表示ボタン41cを入力する。これにより、工事を行った杭の状況を入力することが可能になる。また、架台の工事の作業者は、架台の工事終了後に、架台設置状況ボタン41bを入力した後、表示ボタン41cを入力する。これにより、工事を行った架台の状況を入力することが可能になる。入力形式は、任意に設定することが可能である。一例をあげれば、表計算ソフト上に、マップのエリア、架台番号、杭位置を対応させておき、ユーザは、工事を行った杭について、杭の種類、工法、日付を入力し、または、工事を行った架台の種類、日付を入力するようにする。これらのデータが工事管理データ記憶部64に記憶される。なお、工事管理データ記憶部64は、本実施形態では、1つの情報処理装置100の中に設けられているが、入力部50を介した入力だけでなく、情報処理装置100にLAN等の通信インタフェースを備える構成とし、LAN等の通信インタフェースを介して、他の情報処理装置から本実施形態の情報処理装置100にアクセスし、他の情報処理装置の入力部から工事管理データ記憶部64にデータを入力できるようにしてもよい。
【0034】
図9は、工事管理状況表示画面42の一例を示す図である。当該画面42は、ユーザが入力部50に対して所定の操作をすることにより表示部40に表示されるのは、工事管理状況入力画面41の場合と同様である。工事管理状況表示画面42には、杭・架台設置状況ボタン42a、架台設置状況ボタン42b、杭設置状況ボタン42c、表示ボタン42dが設けられている。
【0035】
ユーザは、進捗状況を把握したい対象のボタンを入力した後、表示ボタン42dを入力することにより、工事の進捗状況を表示することができる。例えば、ユーザが杭・架台の設置状況を把握したい場合、杭・架台設置状況ボタン42aを入力した後、表示ボタン42dを入力する(第3の入力操作)。これにより、杭・架台の設置状況が表示部40に表示される。
【0036】
図10は、杭・架台の設置状況の表示例62を示す図である。
図10に示すように、杭又は架台の設置が終了した箇所(ハッチング箇所)と、杭又は架台の設置が終了していな箇所(白抜きの箇所)とが表示されている。当該表示により、ユーザは、エリアA2,エリアA3の工事は完了しており、エリアA1の工事が進行中であることが視認できる。さらに、詳細に説明するため、以下ではエリア1のエリアA11を拡大して説明する。エリアA11の拡大表示は、ユーザが所定の操作を行うことにより可能になっている。例えば、ユーザは、入力部50を用いてエリアA11の範囲を指定し、全画面表示を指定する等の操作を行うことにより、エリアA11の詳細な表示を情報処理装置100にさせることができる。
【0037】
図11は、杭・架台設置状況ボタン42aに基づく表示結果のうちエリア11の部分を拡大した拡大図である。
表示D11は、架台が設置されている箇所を示しており、表示D12は杭(スクリュ工法)が設置されている箇所を示しており、表示D13は杭(セメントミルク工法)が打込まれている箇所を示しており、表示D14は杭も架台も未設置の状態を示している。これにより、ユーザは、エリアA11の工事の進捗状況を正確に把握することができる。
【0038】
一方、
図12は、
図11と同様の条件の表示であるが、一部の架台にエラーが発生した場合の一例を示す図である。表示D15は、架台が設置されているが、他の架台とは異なる表示態様で表示されている。例えば、表示D15は、赤色で表示され、表示D14は青色で表示される。これにより、ユーザは、例えば、表示D15が示す架台にエラーがあることを容易に視認することができる。具体的には、ユーザは、架台(架台M3)が設置されているが、当該架台を支持する杭が36本より少ない等の不具合が生じている可能性があることを把握できる。そして、ユーザは、当該架台・杭の設置状況を調査することにより、工事の作業ミスなのか、作業後のデータの入力ミスなのかを確認することができる。
【0039】
また、
図13は、エリアA11の杭設置状況の表示例を示す図である。
図13に示す表示例は、工事管理状況表示画面42から杭設置状況ボタン42c、表示ボタン42dが入力され(第1の入力操作)、エリアA11が指定された場合に表示部40に表示される。
【0040】
図13に示すように、エリアA11に含まれる架台の配置が表示され、当該架台の配置に応じて杭が表示されている。表示D21は、スクリュ工法によって打ち込まれた杭を示しており、表示D22は、セメントミルク工法によって打ち込まれた杭を示している。これにより、ユーザは、杭の設置状況を容易に視認することができると共に、設置されている杭の工法も視認することができる。
【0041】
さらに、
図14は、エリアA11の架台設置状況の表示例を示す図である。
図14に示す表示例は、工事管理状況表示画面42から架台設置状況ボタン42b、表示ボタン42dが入力され(第2の入力操作)、エリアA11が指定された場合に表示部40に表示される。
【0042】
図14に示すように、エリアA11に含まれる架台の配置が表示され、当該架台の設置の有無が表示されている。表示D31は、設置されている架台を示しており、表示D32は設置されていない架台を示している。これにより、ユーザは、架台の設置状況を容易に視認することができる。
【0043】
以上のように説明した情報処理装置100によると、多くの杭や架台を用いる工事の進捗状況を簡易に把握することができる。
より具体的には、ユーザは、
図13に示す表示例により杭の設置状況、
図14に示す表示例により架台の設置状況、
図11に示す表示例により杭・架台の設置状況を把握することができる。また、ユーザは、
図12に示す表示例によりエラーが発生している可能性のある個所を容易に把握することができる。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態は、杭の費用を表示するようにした点が第1実施形態と異なっている。このため、以下では当該点について詳細に説明することとする。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付すこととする。
【0045】
図15は、工事費用状況表示画面43の一例を示す図である。当該画面43は、ユーザが入力部50に対して所定の操作をすることにより表示部40に表示される。工事費用状況表示画面43には、杭費用ボタン43a,表示ボタン43dが設けられている。なお、本実施形態では、杭の費用を表示する場合について説明するが、情報処理装置100に杭の費用に加え、架台の費用、杭及び架台の合計費用を表示するボタンを設け、情報処理装置100は、これらの費用についても表示できるようにしてもよい。
【0046】
図16は、杭費用状況の表示例44を示す図である。杭費用状況は、
図16に示す杭費用ボタン43a、表示ボタン42dが入力されることにより(第4の入力操作)、表示部40に表示される。当該表示処理は、杭工事管理プログラム61に含まれており、杭工事管理プログラム61をCPU10が実行することにより、実現される。なお、本実施形態では、工事が進行している箇所までの杭の費用を表示する場合で説明する(エリアA2,A3,及びエリアA11のA1001からA1-008まで 参照:
図2,
図3,
図13)。
【0047】
図16に示すように、杭費用は、予定費用と、現在費用と、差額とが表示される。予定費用では、スクリュ(工法)の本数、及びセメントミルク(工法)の本数、それぞれの費用に加え、合計費用(予定合計金額)が表示される。この予定費用のスクリュの本数と、セメントミルクの本数とは、予め現地の地質等の調査結果に基づいて、いずれの工法で杭を打ち込むのが良いかを判断したうえで、マップに対応付けて予め設定されている。本実施形態では、予定している杭の工法については、例えば、工事管理データの杭位置と対応付けて記憶する(参照:
図6)。そして、杭の種類毎の費用は、杭費用記憶部63に記憶されているため、このデータを用いることができる(参照:
図5)。これらから、CPU10は、予定費用を算出する。
【0048】
また、現在費用では、スクリュ(工法)の本数、及びセメントミルク(工法)の本数、それぞれの費用に加え、合計費用(現在合計金額)が表示される。CPU10は、現在の工事管理データ、及び杭の種類の費用から、現在費用を算出する。実際に杭を打ち込む作業を行う際に、事前に行った調査結果から予定していた工法とは異なる工法で杭を打ち込む場合がある。このように杭を打ち込む作業時に予定の工法から変更されたときには、現在の杭の設置状況が予定されていた杭の設置状況と異なるようになる。この場合、費用に差額が生じるため、差額は、この杭の設置状況の変更による差分の金額を示している。
【0049】
ユーザは、このような差額の表示を把握することにより、杭の工事費用が予定していた杭の工事費用よりも増減していることを視認することができる。杭費用に増減がある場合には、ユーザは、クライアントに工事費用に増減が発生していることを正確に報告することが可能になる。
【0050】
上記実施形態では、工事管理データとして、杭データ、架台データを管理する場合で説明したが、これに限るものではない。架台には、設置対象物(例えば、太陽光パネル)が設置されるため、情報処理装置100は、架台に設置する設置対象物のデータをさらに管理し、表示可能なようにしてもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態では、情報処理装置100内に、杭工事管理プログラム61、マップデータ記憶部62、杭費用記憶部63、工事管理データ記憶部64が設けられる場合について説明したが、これに限るものではない。これら杭工事管理プログラム61、マップデータ記憶部62、杭費用記憶部63、工事管理データ記憶部64は、例えば、インターネットに接続されるサーバ内に設けられるようにしてもよい。この場合、杭・架台の工事を行う作業者がノート型パソコンやタブレット等を操作してインターネットを介してサーバにアクセスし、工事状況を記録するようにすることができる。そして、ユーザもノート型パソコンやタブレット等を操作してインターネットを介してサーバにアクセスして工事の進捗状況を表示させ、工事の進捗状況を把握することが可能になる。加えて、このように構成することにより、サーバで多くの工事現場の進捗状況を一括して管理することが可能になる。
【0052】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10…CPU、20…ROM、30…RAM、40…表示部、50…入力部、60…HDD、61…杭工事管理プログラム、62…マップデータ記憶部、63…杭費用記憶部、64…工事管理データ記憶部、100…情報処理装置(杭工事管理装置)